仮面ライダー×仮面ライダー トラベラーズヒーローズ   作:地水

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第4話:荒れ狂うP/海神を止めれるのはカレらだけ

 

 エリセド公国から遠く離れた極東の島国の首都……日本。

そこで一つの騒乱が起きようとしていた。

 

――風都。

微風であれ強風であれ風が止まぬこの街へ向かう存在がいた。

暴れ狂う水のようなエフェクトを纏うその存在は適当なビルの屋上に辿り着くと、その姿を露わにした。

 

「ここか、地球の記憶に魅入られた都市は……」

 

そう言いながら姿を現したのは一人の仮面の戦士。

水色、青、赤で彩られた頭部にサメ、胴部にクジラ、下半身にオオカミウオの意匠を持った仮面の戦士。

金色の複眼と胸には三種の海洋生物の刻まれた三角形状のプレート"トライングデルタ"。

その手にはディーペストハープーンと呼ばれる槍が握られていた。

戦士の名前は『仮面ライダーポセイドン』。

 

かつてオーズ達と戦い、敗れ去ったはずのコアメダルを用いた仮面ライダーである。

闘争による欲望の権化ともいうべきポセイドンは他の仮面ライダー達と戦う事を目的としていた。

目の前にある風都……【この街を守る仮面ライダー】達と戦うべく、この街へ足を運んだのだ。

 

「まずは、あの目障りな風車を潰すか」

 

破壊活動で仮面ライダー達をおびき寄せるために、風車が一体となったタワー・風都タワーを目に着ける。

手にしているディーペストハープーンを構え、水流による斬撃を差し向けようとする。

――だが、ポセイドンの凶行を止めるように、何者かが振り上げたディーペストハープーンを蹴り上げた。

 

「待て!」

 

蹴り飛ばされたディーペストハープーンは屋上の足場にへと突き刺さり、ポセイドンは見やる。

そこに立っていたのは、自分が知らない謎の仮面の戦士だった。

 

黒いボディに黄色の装甲を纏ったスタイリッシュな姿と、飛蝗の顔をメカニカルに模した仮面。

腰部には起動キー型アイテム・プログライズキーと、プログライズキーが装填された大型の変身ベルト・ゼロワンドライバー。

赤い複眼の双眸がこちらを見つめており、それに対してポセイドンは問いかけた。

 

「お前、仮面ライダーか……何者だ?」

 

「俺は、仮面ライダーゼロワンだ」

 

――『仮面ライダーゼロワン』。

かつて暴走する人型AI・ヒューマギアが変貌した怪人"マギア"と戦い、彼らの凶行を止めるべく奮闘した仮面ライダー。

かつて自分が戦ったオーズとも異なる未知の仮面ライダーの登場にポセイドンは感心した声を上げた。

 

「ほう、お前も仮面ライダーか……戦ってみたいものだ」

 

「いや……お前の戦いを止められるのはただ一人、このオレだ!」

 

ポセイドンの言葉を聞いた後、いつものように相手の悪事を止めるための合言葉を口にしたゼロワンは足場を蹴って高く飛んだ。

あいさつ代わりの飛び蹴りを叩き込もうとするが、ポセイドンは何らく躱すと屋上に刺さっていたディーペストハープーンを回収。

すかさずゼロワンを切り伏せようとするが、負けじとゼロワンはアタッシュケース型武器・アタッシュカリバーで防いだ。

 

【ブレードライズ!】

 

「なんのっ!」

 

アタッシュケースの形から片刃の剣へと変形させて、ゼロワンはアタッシュカリバーを振るい放った。

鋭い一撃を叩き込まれ、ポセイドンの踏ん張る足が僅かに退かせた。

……どうやら目の前にいる仮面ライダーはオーズと同レベルの実力を持っており、それが分かるとポセイドンは高笑いをした。

 

「アッハッハッハ! そうだ、戦いの相手はこうでなくてはなぁ!」

 

「お前、何が言いたい!?」

 

「あの時オーズとアクアに倒されたオレが【アイツ】の手によって復活した……誰かに使われるのはいささか癪だが、こうして新たなる仮面ライダーと戦えるとなると悪くはないものだ!」

 

饒舌に語るポセイドンはゼロワンを強引に突き飛ばすと、ディーペストハープーンを手放して格闘戦を仕掛けていく。

殴打、蹴りといった一撃がゼロワンに襲い掛かるが、それらを何とか耐え抜く。

やがてアタッシュカリバーに別のプログライズキーを装填。

 

【ブリザード!】

 

【ベアーズアビリティ!チャージライズ!フルチャージ!】

 

氷結能力を有するホッキョクグマのプログライズキー・フリージングベアープログライズキーを発動すると、アタッシュカリバーの刀身に冷気が宿る。

絶対凍土を彷彿とされるその刃をゼロワンはカウンターのようにポセイドンへと思いっきり叩きこんだ。

 

 

フリージングカバンストラッシュ

 

 

ゼロワンが繰り出したカバンストラッシュによる必殺技『フリージングカバンストラッシュ』によって、ポセイドンの体は凍り付いていく。

身動きができないポセイドンはせめてもの抵抗でディーペストハープーンを振るおうとするが、手先まで凍ってしまい、ゼロワンへ直撃することは叶わず……。

やがてポセイドンの全身は凍り付き、その場で沈黙状態となった。

 

「やっと、止まったか……」

 

戦いをひとまず制したゼロワンは安堵したのか、アタッシュカリバーを杖にその場で膝をついた。

どうやら風都にやってくるまでポセイドンを追いかけていたようで、少なからず疲労がかかっていた。

肩で息をしながら凍り付いたポセイドンを見ながら、これからどうしようかと考えていた。

そこへ、ゼロワンの通信システムに連絡がかかる。

連絡に応答すると、相手は若い女性の見知った声だった。

 

『或人社長、無事ですか?』

 

「イズか……心配してくれてありがとう。今の所はなんとか拘束しているよ」

 

『今、他のライダー達と連絡を取っている所です。或人社長は合流するまで例のコアメダルのライダーをその場に止まらせてください』

 

「わかった。なんとかこっちで……」

 

相手の女性に返事を返そうとしたその時だった。

ゼロワンの目の前で凍っていたポセイドンから、【声】が聞こえてきたのは。

 

『――――ッッ!!!』

 

異変に気付いたゼロワンが改めて見やると、……そこには禍々しいほどの狂気を孕んだ笑い声がポセイドンから聞こえてきたからだ。

 

「……ッ!?」

 

あまりの異常事態にゼロワンは態勢を立て直してアタッシュカリバーを構える。

その直後、ポセイドンの身動きを凍らせていた氷が見る見るうちに罅が入って大きくなっていく。

やがて全身に回ると全ての氷は砕け散り、ポセイドンが姿を現した。

……そこでポセイドンから聞こえてくる笑い声が先程話し合った声とは違っていたことだ。

 

『――――ッッ!!!』

 

笑い声が衝撃波となってゼロワンに襲い掛かる。

気を取られていたゼロワンは回避する動作が遅くれてしまい、直撃して吹っ飛んでしまう。

 

「ぐああああああ!?」

 

屋上の足場を飛び出し、空中へと投げ出されてしまったゼロワン。

あわやこのまま地面へ落下してしまうのでは……そんな不味い予想が頭をよぎった時、ゼロワンドライバーとは異なる電子音声が聞こえてきた。

 

【LUNA/JOKER】

 

ゼロワンの耳にそんな電子音声が響いた後、投げ出されたゼロワンの手を掴んだのは金色の右腕。

屋上から繋がるその長い右手は元に戻るかのように引き寄せられると、そこで右手の主である【二人】の見知った声が声をかけてきた。

 

「大丈夫か、ゼロワン?」

 

『遅れてきてすまないね』

 

そこに立っていたのは、仮面ライダーダブル・ルナジョーカー。

ポセイドンが襲おうとしていた"街を守る仮面ライダー"の一人であり、探偵である二人の変身者が変わって戦うという二人で一人の仮面ライダー。

以前『セクターシティ』という一つの島からなる街で起きた大きな事件をきっかけに知り合い、その後も何かと交流を続けていた。

今回もポセイドン襲来で事前に連絡し、こうして駆けつけたようだ。

ゼロワンはダブルの救援に驚きと喜びの声を同時に挙げた。

 

「ダブル!? 翔太郎さんにフィリップ君!」

 

「おう、久しぶりだな。飛電社長さんよ」

 

『っと、再会を喜ぶのは後にした方がいい。来るよ!』

 

ダブルから差し出された左手を握って喜ぶゼロワンだったが、片割れの相棒の言葉を聞いて互いに顔を一か所へ向けた。

……そこには、胸を押さえながら苦しんでいるポセイドンの姿があった。

 

「ぐぅっ! 暴れ散らすか……!」

 

ポセイドンはディーペストハープーンを当てずっぽうに振り回す。

何が起きたか分からないが、今が好機と見たダブルとゼロワンは互いの顔を見話させる。

 

『二人とも、仕掛けるなら今だ!』

 

「オーライ、マキシマムで行くぜ」

 

「わかりました!」

 

ゼロワンが了承した後、二人のライダーはそれぞれ必殺技を叩き込む準備を行う。

まずダブルは緑のUSB型アイテム・ガイアメモリの一つであるサイクロンメモリを起動させ、変身ベルトであるダブルドライバーへと装填する。

 

【CYCLONE/JOKER】

 

金色から緑一色となった右半身と変わって、ダブル・サイクロンジョーカーにフォームチェンジ。

そしてゼロワンとダブルはそれぞれベルトを操作して、高く飛びあがった。

 

【JOKER・MAXIMUM DRIVE】

 

【ライジングインパクト!】

 

『「ジョーカーエクストリーム!」』

 

「とりゃあああああ!」

 

ダブルとゼロワン、二人のライダーはそれぞれの必殺キックをポセイドンへと叩きこむ。

ダブル・サイクロンジョーカーの『ジョーカーエクストリーム』。

ゼロワン・ライジングホッパーの『ライジングインパクト』。

2大ライダーによるライダーキックを受けて、ポセイドンは蹴り飛ばされてしまう。

 

――轟音。

背後に燃え上がる爆炎を背に屋上へと着地したダブルとゼロワン。

本来だったら普通の相手だったら一撃で戦闘不能に陥るはず……だが、その考えを裏切るように狂気の笑い声が再び響き渡った。

 

「なっ!?」

 

「おい、フィリップ! 様子がおかしいぞ!」

 

『おかしい、マキシマムの一撃を食らってなお立っていられるなんて……!』

 

驚くゼロワンとダブルらを他所に、爆炎の中からポセイドンがよろめきながら出現する。

……その際、胸部にできた大きな裂傷からセルメダルを吐き出しており、そこから【ナニカ】が見えた。

狂気に満ち溢れたその笑った表情を浮かべており、それを見たライダー達は驚愕するしかなかった。

 

『まさか、中に誰かが取り込まれている……!?』

 

「おいおい、マジかよフィリップ……!」

 

ポセイドンの中に"誰か"が取り込まれているという事実を聞いて、ダブルは攻撃の手が一瞬緩んでしまう。

その一方、ダブルの隣にいたゼロワンは【周囲の異変】に気付いた。

 

「うわぁっ!? ちょっと二人とも、アレ、アレ!?」

 

「なんだよ社長!? こんな時に!?」

 

ダブルがチラリとゼロワンの示した方向へ視線を向けてみると……。

――頭上の空に、地上の街並が広がっていた。

 

「んなああああ!? なんだあれ……空に街が!?」

 

『違う、翔太郎……僕たちがいる風都周辺が裏返っているんだ!』

 

驚くダブルが周囲を見回すと、自分達がいる風都周辺が謎の光のオーラによって包まれており、ゆっくりと動いていた。

まるでコインの裏返しの如く風都の外の世界は関東の街並から何処かの森林地帯へと変わっていく。

自分達が知らない異常事態に気を取られている中で、ようやく裂傷を修復して態勢を立て直したポセイドンは呟いた。

 

「くぅ、このまま暴走するくらいなら……!!」

 

ポセイドンは力を込めると、宙に浮かび上がってその姿を変貌させていく。

下半身の両足はオオカミウオを模した怪物の形へと変化し、大口を開けながらダブル・ゼロワンの両名を狙う。

このままではまずい、と思った二人は咄嗟にアイテムを取り出し……。

その直後、ポセイドンが必殺の一撃を披露した。

 

「ディープスパウダー!!」

 

下半身が変形したオオカミウオの大口が全てを飲み込まんと吸収し始める。

ダブルもゼロワンもどうにか逃れようと踏ん張るが、吸引力に耐え切れなかったのか足場であった屋上が砕けて吸い込まれる。

――最後には屋上の建物ごとポセイドンが繰り出した『ディープスパウダー』によって呑み込まれてしまった。

 

 

「……一度、エリセドの地に戻るか。そろそろ向こうも動く頃だろう」

 

 

ポセイドンはそう呟くと、右手を突き出し手何かを掴む動作をする。

時空の歪みが生まれ、ポセイドンはその中へと入っていく。

ポセイドンの姿がその中へ消えると、時空の歪みはそのまま元に戻って消失した。

 

 

――その光景を、二つの人影が見ていた。

 

「あー……危なかった、危うくあのアンコウモドキの餌になるところでしたね」

 

そう言って小脇にダブルを抱えて空中を飛んでいるのは、ゼロワン・フライングファルコン。

あの時、咄嗟にフォームチェンジをして吞み込まれる直前に脱出したのだ。

脅威が去った今、とりあえず安堵したダブルは同意するように愚痴をこぼした。

 

「まったくだ……しかし、どうするこの状況? この街の域を超えた事件だぞ」

 

『風都の外は未知らぬ森林地帯が広がっている……ある意味、ゾクゾクするね』

 

ダブルは周囲を見回すと、そこに広がるのは【森林地帯に囲まれた風都】という奇妙な光景。

恐らく日本ではない何処かの国に飛ばされた風都という現実味のない事実を、これから起きるであろう混乱と共に二人のライダーは受け入れるしかなかった。

 

 

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