仮面ライダー×仮面ライダー トラベラーズヒーローズ 作:地水
飛羽真と映司がエリスド公国にて出会いを果たしたその翌日の事。
フリッツ城の客室にて目覚めた飛羽真はベットから起きあがり、ゆっくりと背伸びをした。
「んー……よく寝た!」
睡眠が十分に足りたのか満ち足りた笑顔で朝を迎えると、ベットから降りて早速着替えようとする。
今日はエリセド公国の観光を兼ねた取材をするために出かける予定だ。
昨日の怪人達・ヤミーがまた出るかもしれない不安もあるが、それでもせっかく素晴らしい国に来たのだから作家として自分の創作の糧にしたい。
そう思った矢先……突然扉を開けて芽依が部屋の中に入ってきた。
「と、飛羽真ぁ!大変だよぉ!」
「えっ、芽依ちゃん?朝っぱらからどうしたの?」
「今すぐ外出て! やばいことなってるのっ!!」
芽依に引っ張られて部屋から出ていき、城内に設けられた外への窓を覗いて確認する。
そこでまず目についたのは、昨日までなかった大きな風車がついた塔だった。
その建物について見覚えがあった飛羽真はすぐにその名を口にした。
「あれって、風都タワー……? 前に風都で新刊発表で行った事があるけど……!」
「おかしいよ飛羽真! なんで日本にある風都がエリスド公国の隣にあるの!」
「えっ……ああっ!? そういえば!」
芽依の言葉を聞いて驚きの声を上げる飛羽真。
遠くの方にある風都の街並は、自分達がよく知る日本の風都の物だが……何故、風都がエリスド公国の目と鼻の先にあるのか。
目の前に広がる謎に対して飛羽真は一旦部屋に戻ると、身支度を整えて芽依の元へと戻ると彼女に言った。
「芽依ちゃん、俺はあの風都の方へ行ってみる。そっちは倫太郎と行動してくれ」
「えっ、飛羽真はどうするの?」
「昨日と事件と無関係とも思えない。なにより放っておけないからね」
そう言いながらいつの間にか身支度を終えた飛羽真はすぐさま外へ出るために走り出す。
嵐の如く去って言った彼の背中を見て、芽依は叫んだ。
「ちょっとぉ! 取材のネタ忘れないでねぇ!」
芽依の言葉をフリッツ城から出ていくと、背に飛羽真は道路がある街中へやってきた。
道路の近くへ駆け寄ると、とあるワンダーライドブックを取り出した。
【創刊!ディアゴスピーディー!】
赤いワンダーライドブック・ディアゴスピーディーワンダーライドブックを起動させると、飛羽真の前に赤いバイク・ディアゴスピーディーが出現。
すぐさま座席に跨ると飛羽真はディアゴスピーディーを発進させる。
アルファルトによって舗装された道を走りながら突如エリセド公国の森林地帯に現れた風都の方へと向かっていく。
暫くは走っていると、ライドベンダーを駆っている映司と合流している事に気付き、若干驚く。
映司は言葉語らず、ただ頷くと前を向いて飛羽真と同じく風都の方へと向かう。
やがて、森林地帯を駆け抜けた二人が辿り着いたのはエリセド公国と風都が隣接する境界線。
本来だったら大自然の森が広がっていたその場所は、風都の都会の光景へと変わっていた。
違和感しか感じないその景色を見て、映司はとある既視感を思い出す。
「今回は逆だけど……この状況、まるで何処かで会ったような」
何らかのデジャブを感じて眉を潜める映司。
そして思い出したのは、10年前のグリードとの戦っていた頃に起きた『錬金術師ガラの事件』。
コアメダルを生み出した古代の科学者・もとい錬金術師ガラによって時空間が入れ替わる現象……。
あの時はドイツの一部の土地が東京の一部と入れ替わったり、自分達が巻き込まれて江戸時代に飛ばされたこともあったが……。
今回の風都も同じ現象に巻き込まれているためガラと何らかの関連はあると思っていると、飛羽真が何かを見つけて大声を上げた。
「ああっ! 映司さん、あれ!」
「どうしたの……って、あれは!?」
映司が見たものは、風都の地にある高速道路……その上で巨大な怪物とそれに追われるパトカーの光景。
く長い頭昆虫・オトシブミによく似たその姿に映司は心当たりがあった。かつて自分が一度倒したヤミーである『オトシブミヤミー』だ。
今回違うのは、あの時は大金やビルといった富の象徴を糧に成長して巨大化していたが、今のオトシブミヤミーは既に巨大化しており、目の前で逃げるパトカーを執拗に攻撃している点だ。
様子がおかしいのは確かだが、飛羽真も映司も助けない理由はなかった。
「飛羽真君、いくよ」
「わかりました!」
二人はそれぞれ腰に自分のベルトを装着すると、変身の準備をする。
二人の周りにメダルと炎の幻影と共にその姿を変えていく。
「「変身!!」」
【タカ・トラ・バッタ!】
【タ・ト・バ! タトバ・タ・ト・バ!】
【烈火抜刀!】
二人が変身したオーズ・タトバコンボとセイバー・ブレイブドラゴンは自前のバイクに乗り込むと、エンジンを吹かして再び走り出す。
風都を脅かす欲望の尖兵から無辜の人々を助けるために。
~~~
一方その頃、風都の高速道路上を走るパトカー。
オトシブミヤミーという怪物に追いかけられる中、車内には二人の人物が焦った表情で乗っていた。
「瞬平、そのケースをしっかり持っててよ!」
「わ、分かってますよぉ! これは離しませんよぉ!」
一人は元気そうな女性刑事『大門凛子』。
一人は落ち着きのない男性『奈良瞬平』。
"とある魔法使いの青年"によって救われたという共通点を持つ彼ら二人は"警視庁国家安全局0課"からの依頼の元とある目的を以てこの風都へやってきていた。
その目的であるケースは瞬平が大事そうに持っており、凛子は運転席でパトカーを運転していた。
背後に迫るオトシブミヤミーが繰り出す前足による攻撃を上手く避け、何とか逃げ切ろうとしていた。
「しかし凛子さん! あの怪物が狙っているのってもしかして……!」
「もしかしなくても、そのケースの中身でしょうね!」
「なんであんな怪物が【コレ】を狙っているんでしょう!?」
「さあね! ああもう、こんな時、彼がいてくれたら……!」
荒々しく揺れる車内で何とか耐えている瞬平と、ハンドルを操作して何とか回避を続ける凛子。
怪物に追いかけられているというこんな状況を打破してくれる【指輪の魔法使い】は現在旅の途中……少なくとも、自分達が今いる風都にはいないはずだ。
それでも彼がいない今は自分達が何とか踏ん張るしかない。
だから今、凛子と瞬平の二人はこの逃走劇に勝たなくちゃならなかった。
アクセルペダルを踏み、パトカーはオトシブミヤミーから猛スピードで距離を引きはがしていく。
やった、と思ったその矢先……オトシブミヤミーは口吻から破壊光弾を生み出し、そのまま放射。
その一撃は危うくパトカーを飲み込もうとしていた。
二人は自分の死を覚悟した……その時だった。
――燃え盛るような赤い龍を模した幻影が剣を以て断ち切ったのは。
「晴人くん!?」
「晴人さん!?」
凛子と瞬平は揺られる車内にしがみつきながら、急ブレーキ。
タイヤ痕を数メートルを地面に刻みつけながら停車すると、急いで自分達を助けた存在を確認。
……そこに立っていたのは剣を持った一人の仮面ライダー。
赤と黒を主体とするボディにドラゴンの意匠が入ったその剣士の仮面ライダーに、どことなく"自分達が知っている仮面ライダー"と姿が被って見えたのは気のせいだろうか。
彼……セイバーは愛機のディアゴスピーディーに跨ったまま、こちらの方へ顔を向けて声をかけてきた。
「大丈夫ですか!?」
「あなた、仮面ライダー?」
「ええ、ここは俺達に任せて!」
凛子の問いかけに答えると、セイバーは自信満々に答えた。
その直後、オトシブミヤミーへ向かってやってくるバイクが一機。
赤・黄色・緑という配色に凛子ら二人には見覚えがあった……何故なら過去の『とある事件』で召喚ライダーという幻影としてながら助けてもらったからだ。
「セイヤー!!」
オトシブミヤミーの巨体を掻い潜りながらメダジャリバーで斬りつけるオーズ。
予想外の奇襲を受けて苦しむオトシブミヤミーを背に、オーズはライドベンダーを止めてセイバーと合流。
凛子と瞬平を背にオーズとセイバーはそれぞれの武器を構える。
「「はああああああ!!」」
オーズとセイバーの両名がオトシブミヤミーへ目掛けて向かって走り出す。
それに対しオトシブミヤミーは破壊光弾を再び生み出し、二人のライダーへと放射。
高熱を有しながら迫るそれをタイミングよく斬り裂き、相殺した後にオトシブミヤミーへ斬りかかる。
セイバーは右足を、オーズは左足を。
切れ味の鋭い一撃によってオトシブミヤミーの何本もの足は切り落とされてしまう。
悲鳴にも似た咆哮を上げるオトシブミヤミーと、攻撃を続けているオーズとセイバーの二人の仮面ライダーに瞬平と凛子の表情は明るくなった。
「やったぁ! やりましたよ凛子さん!」
「やるじゃない、仮面ライダー!」
瞬平と凛子は二人の仮面ライダーの戦いぶりを見て、自分の中でも勇気づけられ応援する。
オトシブミヤミーとの戦いは優勢、人より遥かに大きい巨体で抵抗するもジワジワと削って追い詰めていく。
このまま上手くいけばあの怪物は倒されるだろ……。
そう楽観視していたその隙をついて、また新たなる脅威がやってきた。
「なんだ!? うわっ!?」
「飛羽真君!? ぐっ!」
突如一同のいる空に時空の歪みが生まれ、そこから荒れ狂う大波のような攻撃がオーズ達に襲い掛かる。
オーズとセイバーは反応しきれずに吹っ飛ばされ、さらに凛子と瞬平の迫る。
気が付けば、二人の目の前には未知の仮面ライダー……ポセイドンの姿が立っていた。
「オレ好みな欲望の気配を駆けつけてみてみれば……コイツか」
現れたポセイドンは視線を瞬平の方へ向ける。
いきなりの視線の圧を受けてびくりと背筋を伸ばした瞬平は恐れ戦いていた。
「し、知らないはずなのに何だか知っている気がする……!」
「瞬平、ワケ分からない事言ってないでゆっくりと下がるわよ……下手にすると何をされるか……!」
怯える瞬平に言い聞かせるように、凛子は拳銃を引き抜いて牽制しようとする。
二人は後ろに下がって警戒するが、ポセイドンはただ静かに言葉を吐いた。
「一つだけ言っておく、命乞いだけはするな。時間の無駄だ」
ポセイドンは手に握っているディーペストハープーンの矛先を瞬平達へ向けると、そのまま攻撃を仕掛けようとする。
悲鳴を上げながら何とか避ける瞬平達を見て、奇襲の一撃からようやく立て直したセイバーは驚きの声を上げる。
「ぐぅ、アレは……仮面ライダー!?」
「確か、仮面ライダーポセイドン……今から30年後から未来やってきたっていう仮面ライダーだ!」
セイバーと同じく態勢を立て直したオーズはメダジャリバーを杖替わりに立ち上がると、ポセイドンを相手するために向かおうとする。
だが先程まで攻撃してきたオトシブミヤミーがその巨体を使って行方を遮ってしまう。
「くぅ、邪魔をするな!」
オーズはメダジャリバーを思いっきり振って斬撃を叩き込むが、それでもオトシブミヤミーは退かない。
その間にもポセイドンが瞬平達二人を追い詰めていくのが伺える。
乗っていたパトカーを一閃してものの見事に真っ二つ、逃げる手段を失った瞬平と凛子はなんとか抵抗する意思を示すしかなかった。
一体どうすればいいか……と、オーズが悩んでいる所へセイバーが叫んだ。
「映司さん、あの二人は俺に任せて!」
そう言いながらセイバーが取り出したのは、一冊のワンダーライドブック。
臙脂色のワンダーライドブック・西遊ジャーニーのページを開き、すぐさま聖剣ソードライバーへ装填。
【とあるお猿さんの冒険記、摩訶不思議なその旅の行方は】
【烈火抜刀! 西遊ジャーニー!】
電子音声が鳴り響いた後、セイバーの黒側のボディが錫杖が造詣された左肩を有する臙脂色へと変わる。
セイバー・西遊ドラゴンと呼ばれる形態に変わると、地面を蹴り上げ飛び上がった。
【西遊ジャーニー!】
「間に合え!」
セイバーが叫ぶと同時に足元に赤い雲状の乗り物が顕現、トリッキーな動きで邪魔するオトシブミヤミーを飛び越えると火炎剣烈火を構えて突貫していく。
目の前に迫るのは、ポセイドンに追い詰められる瞬平と凛子の姿だった。
「や、やばい……逃げ道がない!」
「くぅ、弾丸もない……!」
さっきまで発砲していた拳銃も弾切れとなって使い物にならず、他に逃げ道はない。
目の前にいるポセイドンは振り上げたディーペストハープーンで自分達の命を奪おうとした。
そして凛子と瞬平は斬り裂かれ……。
――直前に、火炎剣烈火の刀身がディーペストハープーンを受け止めた。
ポセイドンが驚愕した仕草をした直後、先程まで赤い雲が突っ込み、その動きを阻害する。
瞬平達が見てみると、そこに立つのはポセイドンの凶刃を愛剣で受け止めるセイバーの姿。
自分の知らない仮面ライダーの登場にポセイドンは言い放った。
「ほう、今度はお前が相手か? お前も、命乞いだけはするなよ。時間の無駄だ」
「いいや……そんな結末は俺がさせない!」
ポセイドンに対し啖呵を切ったセイバーはディーペストハープーンを弾いてポセイドンごと叩き飛ばす。
膝をついて立て直しているポセイドン目掛けて、セイバーは言い放った。
「物語の結末は、俺が決める!」
瞬平と凛子を背にセイバーは火炎剣を構え、ポセイドンに立ち向かう。
異国の地に飛ばされた風都での戦いは続いていく。