【聖龍伝説:第二章】英雄達の日々   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 共演する2次元人、第二シリーズです。今は懐かしき二人の霊能力者が出て来ます。
■それと作者の個人的な思考から、教員の方はあの女性を嫌っている描写を書いております。
■男性教師が二人に言っている台詞は実際に漫画で彼が言っていた台詞で、作者が最も衝撃を感じた台詞です。
■今思えば、あの教師の様な素晴らしい教育者は、もう現代には居ないのかな……。


共演する二次元人 ~霊能力教師と美しきGS(ゴーストスイーパー)

[chapter:夕暮れの学校]

 

 20日が過ぎた、ある日の夕暮。

 この日修司とアッコは、とある学校まで来ていた。

 

 その学校には、日夜奇怪な事件ばかりが起きると教育委員会から連絡を受け修司とアッコは二人でその学校に訪問してた。

 

「……大丈夫かアッコ? 今回の一件は、正直怖いんだぞ?」

「大丈夫よ。いつも通りに二人で協力すれば良いだけじゃない」

「ん……」

 問題の学校前で修司はアッコに訊ねてみると、彼女は笑顔を浮かべながら平然と言い返した。

 

「ところで修司。この学校で起こる奇怪な事件って、どんな事なの?」

 訊ねて来たアッコに修司は答える。

「ああ、いわゆる心霊的な事件だよ」

「え? それじゃ……やっぱり幽霊とかそんなの? どんな幽霊が出てくるのかな?」

 アッコは怖くなるどころか、返って好奇心が湧いてきた様子。

「な、何だ? 普通は怖がるとこだろ。普通女って心霊とかオバケは苦手なのに……。うさぎなんかに話したら大泣きしちまって、結局来なくて良いって言っちまったし……」

「まぁね、普通は怖いわよ。だけど私は逆にドキドキしちゃうのよね。どんな事が起きるのか、逆に好奇心がくすぶられてさ」

 笑顔で平然と言うアッコに、修司は少しながら驚いていた。

 

「ま、まぁ。取りあえず学校に入るか」「そうね」

 二人が学校に入ろうとした、その時。修司がアッコに伝える。

「あっ、そうだ。なぁアッコ、悪いけど先にお前が校内に入って様子見してくれないか? 俺だと顔が割れちまっているからよ」

「あ……ま、まぁ良いけど」

「良し。何か有ったらスグに通信機で連絡寄越してくれれば駆け付けるからよ」

「分かったわ」

「それじゃ、俺は校門前に居るからよ。ホントに何か有ったら連絡くれよ」

「解ってるって」

そして加賀美あつこは一人で先に学校内に入って行った。

 

(ふぅ~、まぁ修司は市長として有名だから仕方が無いか。ふふ、それに私だけでも事件解決できちゃうかも♡それにしても見た目は普通の学校よね。この童守(どうもり)小学校は……)

 

 

 そしてアッコは一人で夕暮れの校内に入り、少し探索を始めた。

 窓から流れ込む、夕暮れの燃える様な赤みのオレンジが校内を鮮やかにも怪しく染めていた。

(あ、案外怖いわね。夕暮れの校舎って……人が居ないと尚更だわ)

 一人、人気も無ければ物音も無い校舎の廊下をアッコは歩き続けた。

 ときおり水道の蛇口から滴る水の音が廊下に響き渡り、より一層怖さを引き立たせていた。

 

 この時、アッコは学校では定番である各部屋に足を運ばせて見た。

 

 音楽室

 其処には一台のグランドピアノに数十の椅子

 そして壁には今にも目が動きそうなベートーベンを始めとした肖像画の写真。

 

 図書室

 人のいない図書室からは、まるで人恋しいような、そんな雰囲気が漂っていた。

 

 保健室

 既に保健医の不在で有った部屋は誰も居ないベットの真下から何かが飛び出して来そうな恐怖が感じられた。

 

 美術室

 窓から差し込む夕暮れで、綺麗なオレンジ色に染まった一室には今にもニッコリ微笑むのではないかと感じられるモナ・リザの肖像画。

 

 体育館

 教室とは比べ物にならない広さの体育館からは空虚な広さから感じる怪しい静けさが漂っていた。

 

 トイレ

 此処で良く聞く話は言うまでも無い「トイレの花子さん」

 アッコも花子さんの噂は知っていたのでトイレの一番奥の個室には怖くて近寄れなかった。

 

 理科室

 戸棚にはガラスケースに収まったホルマリン漬けのカエルやヘビなど見ているだけで不気味な物が五萬とあった。

 

 更にアッコは3階の窓からプールを眺めてみた。

 校内と同じく、夕日で鮮やかに染まるプールの水面を見つめてアッコは何かプールから得体のしれないモノが飛び出してくるのではないかと少しだけ想像してしまった。

 

 

 そんな学校内を見て回り、アッコは思った。

(夕暮れの学校って、昼間とはまったく違う顔をしているのね。まるで別世界に居るみたい……)

 

 生徒たちが在校している時は、とても喧しくそして賑やかであった筈の校舎も時が経ち、誰も居なくなり、日が沈みかけ、夕日で染められていくと本来の校舎とは全く違う外見になる事にアッコは恐怖よりも神秘的な感覚に陥った。

 

 

 その時だった。

「おい君。何してるんだ?」「えっ」

 突然アッコに声をかけて来たのは一人の男性教師。

「あっ……(ま、まだ人が居たんだ)」

 驚くアッコに教師は訊ねて来た。

「君は何処の子だい? この学校では見かけない顔だが……」

「あ、ああ。済みません、私……」

 問われてしまったアッコは、どう答えて良いか解らず戸惑ってしまう。

「もう夏休みになったんだから、早く家に帰りなさい。それとも、まだ学校で授業を受けたいって思っているのかい?」

 男性はアッコにウィンクをしながら言った。

「い、いいえ。……分かりました、もう帰りますね」

「ああ、早く帰らないと親が心配するぞ」「はい」

 アッコはその場を立ち去ろうとすると、男性はアッコを呼び止めた。

「あっ、それと」「え?」

「……ちゃんと夏休みの宿題、済ませるんだぞ」

「あ、はーーい」

 笑顔でアッコに告げる男性に、アッコも笑顔で返事した。

 

 そしてアッコは男性と別れ、再び校舎を歩き始めた。

(ふぅ、何とか遣り過せたわね。今の男の人、此処の先生だったのかな。なんで左手に手袋なんかしているんだろう? 蒸れちゃって大変だろうな、この時期)

 アッコは先ほど、自分に声をかけて来た男性の事を思っていた。

 

 

 

 それからしばらく歩いていると、異変は起きた。

「…………ウウゥ……」「え? な、なに?」

 突然アッコの耳に、何者かの唸り声のような音が入ってきた。

 声は次第にアッコに近づいてきた。

「……ウウゥ……ウウウウゥゥ」「! ち、近い!」

 アッコは驚き、思わず近くの階段を上って行ってしまった。

「ど、どうしよう……し、修司に連絡しよう!」

 アッコはポケットからコンパクトを取り出し、通信用のスイッチを押した。

「し、修司! 修司! アッコよ、お願い返事して!」

 するとコンパクトから修司の声が流れた。

「此方修司。どうしたアッコ、何か有ったか?」

「し、修司! 今さっき不気味な唸り声の様なのを聞いて……い、今階段を上がっている所なんだけど、まだ声が私を追って来て……!」

 焦り口調で話すアッコに、修司も通信機越しではあったが緊迫した状況を理解した。

「と、ところでアッコ! その唸り声が何なのか、それは分からないのか?」

 修司が訊ねると、アッコは自分の後ろを振り返って確認した。

「そ、それが……声はするけど姿が見えないのよ! 声だけが私の事を付いて来て、今必死で階段を上っているとこなのよっ」

「わ、分かった。そんじゃアッコ、お前はそのまま階段を上がって屋上に出ろ! 俺が聖龍使いに変身して、其処までジャンプするからよ。お前も何か有ったらスグにミラーガールに変身して対処しろ!」

「分かったわ、お願いだからスグに来てね。私、修司の事、期待しているんだから」

 そう言ってアッコは通信を切り、全速力で階段を駆け上がった。

 

 このアッコの言葉に修司は内心驚いた。

「期待しているんだから」

 修司がこの言葉を言われたのは、今の今までアッコが初めてだった。

 

 

 

[変身! 魔鏡聖女]

 

 アッコは必死に階段を上り、なんとか屋上に辿り付いた。

 彼女は屋上に誰も居ない事を確認すると、すぐさまコンパクトの鏡を見つめて呪文を唱えた。

 

「テクマクマヤコン!」

 

 呪文を唱えると彼女の体は青い光に包まれ、服は白をベースにした青の衣(ころも)、スカートは長めであるが素足が強調された程良い長さ。両手には手首の部分が青いラインの白い手袋、足の靴は青いラインが入った白のブーツ、頭の両端のお下げ髪に巻き付けていたピンクのリボンは青の宝石が輝く純白のリボンに身に着けていた物を変化させた。

 

 胸には金色(こんじき)の縁取りの青い宝石

 頭には青の宝石が散りばめられたティアラを身に着け最後に左手首にはリストバンドに変化したセイント・コンパクトを装備して、顔には青い縁取りの白いアイマスクを装着した彼女は叫んだ。

「愛と希望を聖なる鏡で護り抜く! 奇跡の乙女、ミラーガール!! 只今参上!」

 

 と、アッコがミラーガールに変身を済ませた時。

「ウオオオオオオォォォ!!」

 彼女の周りに無数のドクロの形状をした紫の炎が出現した。

「な、なに? この変なのは?」

 更に其処へ、ちょうど聖龍使いが駆けつけて来た。

「ミラーガール!」「せ、聖龍使い!」

 聖龍使いは校舎を一気に屋上まで跳躍して来た。

「せ、聖龍使い。これはいったい……」

 ミラーガールが訊ねると聖龍使いは重い口調で答えた。

「うむ、一種の悪霊のようなものじゃ……」「あ、悪霊!?」

「そうじゃ。何故か解らぬが、この童守小を中心に多数の怨霊悪霊の類が集まってきておる! このままでは学校が大変な事になるぞ!」

「た、大変! 何とかしなきゃ!」「うむ、行くぞミラーガール!」

 

 聖龍使い、そしてミラーガールは群がる怨霊悪霊の群れに挑んで行った。

 

 

 

[鬼の手を持つ者]

 

 屋上にて怨霊悪霊の群れと戦い始めた聖龍使いとミラーガール。

 聖龍使いは聖龍剣で。ミラーガールはミラーシールドから放たれる光で怨霊たちを浄化しながら戦っていたが余りにも数が多過ぎた為、次第に体力が消耗し始めて来ていた。

「はぁ……ミラーガール、大丈夫か」「い、今のところはね……」

 二人は迫りくる霊の群れに果敢に立ち向かって行ったが、数が減る様子は見られなかった。

 

「せ、聖龍使い。このままじゃ……」「う、うむ……」

 背中を合わせ会話していた、その時。

 一体の怨霊が死角である頭上からミラーガール目掛けて襲いかかって来た。

「! み、ミラーガール!」「えっ」

 二人が気付いた時は、怨霊はもう其処まで迫って来ていた。

『!』二人が驚愕した、次の瞬間。

 

「無に還れ!」

 一人の男が突如現れ、ミラーガールに襲いかかって来た怨霊を一瞬で消し去ったのだ。

「だ、誰じゃ!」「え! こ、この人は……!」

 突然現れた男に驚愕する二人だったが、ミラーガールは男の顔を見て更に驚いた。

 何故なら、男は先ほどミラーガールこと加賀美あつこに声をかけた男性で有ったからだ。

 男は二人に背中を向けたまま立ち尽くした後。

「……ふぅ~、何とか間に合ったな。大丈夫か、お嬢さん」

 そう言いながら男は二人に顔を向けた。

 

 向けられた男の外見は、ぼさぼさの髪に特徴的な生え方をしたゲジマユ、顔はけっこう男前だが、先ほどアッコが見た表情とは違い多少強面になっていた。 服装はワイシャツに黒いスーツ、ワイシャツの方は腕まくりされていた。

 そして一番異様であったのが、さっきアッコが見た手袋のはめられていた左手がまるで異形の手で有った事だ。

 

 男を見てミラーガールは衝撃を受けた。

(こ、この人。さっきの人だ……! で、でも、あの左手は……!!)

 彼女は完全に男の左手に意識が行ってしまってた。

 その時、意識が行ってしまってたミラーガールに別の怨霊が襲いかかった。

「また来るぞ!」「あ!」

 聖龍使いが声をかけ気付いた瞬間。

「はあぁぁ!」

 再度、男が異様な左手で襲いかかる怨霊を消滅させた。

「あ、ありがとうございます……」

 ミラーガールは呆然となりながらも男に礼を述べた。

 すかさず聖龍使いが男に歩み寄り訊ねた。

「ぬ、主は何ものなのじゃ?」す

 ると男は微笑みながら答えた。

 

「俺か? 俺の名は鵺野鳴介(ぬえのめいすけ)。此処の教師だ」

「な、なぬ? き、教師でござるのか? で、では、その左手は?」

 教師と名乗る男の発言に動揺しながらも再度訊ねる聖龍使い。

 男は毅然とした態度で変わらず答えた。

「ん? この左手か? これは鬼を封印している左手、通称《鬼の手》だ」

「お、鬼の手?」「えぇっ?」

 驚く二人であったが、動揺している際にも悪霊の群れは三人に襲いかかって来た。

「! 今は話は後だ! まずはこの魑魅魍魎(ちみもうりょう)の群れを片付けるのが先だ! 確か君たちは聖龍使いにミラーガールだったな。近頃ウチの生徒たちが良く話している」

「う、うむそうじゃ。拙者等はこの学校に日夜起きる不可思議な件(くだり)を聞いてそれで駆け付けて来たのじゃが、まさか此処まで霊の群衆に遭遇するとは思わんかった」

「ああ。今まで何度もこの童守小では不可思議な事件は多数遭ったが最近は余計に奇怪な事件が発生してウチの生徒達も被害に遭っているんだ! 原因はまったく解らないんだが……!」

 苦悶の表情で語る男に、ミラーガールは何かを感じ取っていた。

「あ、貴方は……」

 男に話しかけようとするミラーガールに、男は言った。

「ん? ああ、俺の事はそんなに気難しく話しかけなくても良いよ。気軽にぬ~べ~って呼んでくれ。生徒達からもその愛称で良く呼ばれるからな」

「あ、はい。ぬ、ぬ~べ~さんは、その鬼の手を今までも使って来たんですか?」

「ん、ああ。以前から生徒達の周りで起こる怪奇現象や心霊騒動その類で生徒が危険な目に遭って来た時は、この鬼の手で解決して来たんだ。さっきも校内に居る時、霊気を感じられたから急いで屋上まで駆けつけて来たんだが、まさか町で有名なヒーローが既に二人も駆けつけていたとは」

「は、はぁ……」

「まっ、今は話は後だ。先にこいつ等を何とかしなければ」

「そ、そうですね」

 ぬ~べ~と話を済ませミラーガールは再度襲いかかってくる怨霊の群れに聖龍使い等と向かい合った。

 

 

 

 

 

[落下する武人]

 

 童守小の教師、鵺野鳴介(ぬえのめいすけ)こと、ぬ~べ~を加え聖龍使いとミラーガールは三人で無数の魑魅魍魎(ちみもうりょう)を相手に挑んで行った。

「てぃやっ」「はあぁっ」

 聖龍使い、ぬ~べ~は迫りくる怨霊を一撃で仕留めて言った。

「ふんっ、やぁ」

 ミラーガールもシールドから放出される聖なる光で怨霊達を次々に消滅して行った。

 

 だが霊たちの数は一方に減らなかった。

「な、何故、此処まで怨霊の類が集まるのじゃ……」

 息を切らしながら聖龍使いが呟くと、それに答える様にぬ~べ~が呟く。

「あ、ああ。今までも同じような事は有ったが最近になって余計に怨霊が集まって来るようになった。まるで何かに引き寄せられているのか、はたまた集められているのか……」

 

 そして同じように体力が消耗してきたミラーガールも膝に両手をつき、呆然としていた。

「ど、どうしよう……もう、力が……」

 その時! 一気に多数の霊がミラーガールを襲いにかかった。

「き、きゃあっ!」「あ、いかん! 彼女が」

 ぬ~べ~が気付いた瞬間、聖龍使いがミラーガールに駆け寄った。

「ミラーガール!」聖龍使いがミラーガールに駆け寄った、その時。

 彼女の持っていたシールドが今まで以上に激しく輝きだした。

「なぬ?」「こ、これは……」「え? なに……」

 余りの激しい輝きに目を背けるぬ~べ~に、目を瞑る聖龍使い。

 そして驚き動揺するミラーガールの目の前で、ミラーシールドは激しく光り屋上一体を光が呑み込んで行った。

 

 そして光に呑まれた魑魅魍魎は一瞬で消滅してしまった。

 

「こ、これは……」

 一瞬で全ての怨霊を消し去ってしまった状況に、目を丸くして驚くぬ~べ~。

「い、今のは……なに?」

 ミラーガール本人も状況が理解できず、ただただ呆然としてしまっていた。

 

「今のは、何じゃ……?」

 聖龍使いも驚愕し、思わず後向きで屋上のフェンスに寄り掛かりながら呆然としていた。

 その時。聖龍使いが寄り掛かっていた網目状のフェンスが外れ、外れたフェンスごと聖龍使いは6階建ての校舎から落下してしまった。

「なぬっ、うわぁ!」

「せ、聖龍使い!」「あ!」

 落ちていく聖龍使いを目の当りにして、ミラーガールとぬ~べ~は声を上げた。

 

 そして落下して行く聖龍使いはそのまま背中越しで真下のコンクリートに減り込んだ。

「うぎゃ!」

 減り込んだまま、聖龍使いはピクリとも動かなかった。

「せ、聖龍使い」「た、大変だ」

 ミラーガールはそのまま地面まで着地し、ぬ~べ~は急ぎ階段を駆け下りて向かった。

「大丈夫? 聖龍使い」「う、うむ……」

 ミラーガールの問い掛けに小さく答える聖龍使い。彼はミラーガールに支えられながら起き上る。

「う、うむ……ついてないな……」

 そう聖龍使いが呟いたいた時、急いで階段を下りて来たぬ~べ~がその場に駆けつけて来た。

「だ、大丈夫かっ?」「あっ、ぬ~べ~先生。大丈夫で~す」

 駆け付けたぬ~べ~に笑顔で手を振るミラーガール。

 

 ぬ~べ~は駆け寄るとすかさず聖龍使いに訊ねた。

「大丈夫でしたか、聖龍使い」

「あ、ああ。少し背中を痛めてしまったが、大事無い」

「そ、そうですか。それは良かった……ん? その顔」

「ん? ……! し、しまった!」

 何とさっきの落下の衝撃で鬼の面がズレテしまい、小田原修司の素顔が見えてしまっていた。

 

 聖龍使いの素顔を見たぬ~べ~は顔色を変えて叫んだ。

「あ、貴方は! い、いや君は! 確か町の新しい市長に就任した小田原修司ではないか!! な、何故君が!?」

 驚くぬ~べ~に聖龍使いもミラーガールも慌ててしまった。

「あ、あの……」「ぬ、鵺野先生。これはですね……」

 

 二人は何とか驚くぬ~べ~にも理解できるように説明し始めた。

 

 そして事情を理解したぬ~べ~は険しい顔付きで腕を組みながら二人に言い放った。

「なるほど、事情は分かった。聖龍使いは小田原修司がアニメタウンの守護神と伝えられている聖龍に認められたからこそ変身できるようになり、今までも多数の事件を解決して来たって事か」

「あ、はい。そうなんです!」

 事情を話したミラーガールであったが、ぬ~べ~はそんな二人にいきなり怒鳴りつけて来た。

「何やっているんだ!」『!』

 強面で怒鳴るぬ~べ~に怯む二人。

 

 二人にぬ~べ~は更に強めの口調で説教を始めた。

「何をしているんだ君は! 下手したら死んでいたんだぞ! そもそも君はもちろん、ミラーガールや他の英雄達だってまだ子供なのに何故戦わせる! 何故危険な事に首を突っ込むんだ! 子供が危険な事に首を突っ込むんじゃない!!」

 物凄い権幕で怒鳴るぬ~べ~を目の当りに、さすがの修司も思わず正座してしまってた。

 

 そしてミラーガールの方も正座しつつも、ぬ~べ~の燃える様な目を見て彼が本当に生徒を、そして子供が危険な目に遭う事を望んでいない事を悟っていた。

 

 聖龍使いは恐る恐るぬ~べ~に話し出す。

「わ、分かりますよ、貴方のその気持ちは……で、ですけどね」

「ですけどねじゃない!」「ヒッ」

 話し出そうとする聖龍使いにすかさず怒鳴るぬ~べ~に完全に身が縮まってしまう聖龍使い。

 

 そんな時、再び悪霊怨霊の群れが集まって来た。

「むっ、いけない。また霊たちが集まり出して来た」

「えぇ!」「な、何故再び集まるのじゃ、いったい」

 そして集まった霊たちは三人を取り囲むように陣をとった。

「くっ。これじゃ身動きがとれんぞ……」

「ど、どうする? 聖龍使い」「むむ……」

 三人が立ち往生している、その時である。

 

「はあぁぁ!」

 突如、何枚もの御札が飛んできて、その札に霊が触れた途端、札もろとも霊が消滅して行った。

「なに!」「い、今のは?」「む!」

 三人が驚き、目を向けると其処には一人の女性が立っていた。

 

 

 

 

 

[全てはお金の為に]

 

「あら? 町の英雄二人に、それにもう一人……別のゴーストスイーパーも雇われてたのかしら?」

 三人が目を向けた先に立っていたのは赤みのオレンジ色の長髪でスタイル抜群の一人の女性で有った。

「き、君は? 君は誰だ」

 女性を見てぬ~べ~は思わず訊ねた。

 

 すると女性は不敵に微笑みながら威風堂々と名乗った。

「ふっ、私はGS(ゴーストスイーパー)美神令子(みかみれいこ)! 依頼を受けて此処に駆けつけに来たのよ」

「ご、ゴースト、スイーパー……」

 突然現れた美神令子に目を丸くして呆然と驚くぬ~べ~。

「ご、ゴーストスイーパー? な、何なのそれ?」

 初めて聞くゴーストスイーパーという言葉に目を丸くして思わず唖然とするミラーガール。

 

 そんな彼女に聖龍使いが話し出した。

「聞いた事が有るでござる。様々な企業や個人から依頼を受け、妖怪や悪霊を退治する、一種の仕事人でござる。国からの試験を受け国家資格を得られた後も一定の研修期間を過して初めてプロのスイーパーになれると聞いておる」

 聖龍使いに続いてぬ~べ~も口を開いた。

「俺も聞いた事が有る。中には高額な依頼料を取ろうとする者も居れば、ほとんど無報酬で仕事を受ける者までピンからキリまでいると耳にしているが……ま、まさか本職のGSを目の当りにするとは」

 

 三人が唖然としていると、美神が三人に近寄って来た。

「貴方、何処のGSなの?」

 ぬ~べ~に近寄った美神が彼に訊ねると、すかさずぬ~べ~が美神に答える。

「い、いや。俺はGSなんかじゃない。俺は此処の教師で鵺野鳴介っていう。き、君は何故此処に? 何処の誰がGSに依頼を?」

 すると美神は不敵に微笑みながら毅然と答えた。

「ああ。実は教育委員会から依頼を受けたのよ。最近この童守小を中心に奇怪な事件が連続で起きているから何とかしてくれって」

「そ、そうか……」

 動揺しながら返事するぬ~べ~に美神は言った。

「貴方は此処の教師なんでしょ? だったら此処は私に任せて後は逃げても良いわよ。悪霊退治はプロに任せて置いて」

 

 だがぬ~べ~は美神の発言に対し、鋭い眼つきを見開き彼女を睨みつけながら返答した。

「……それはできない」「な、なぜ?」

 鋭い眼つきのぬ~べ~に一瞬怯む美神に、ぬ~べ~は更に続けて言った。

「此処は俺が務める学校だ。生徒から愛され、そして俺自身が愛する生徒と共に過ごして来た学校は俺が守る! ……何より、俺はGSという職業が気に入らないんでね」

「!」

 ぬ~べ~の言葉に驚愕する美神。

 

 その時! 再び悪霊たちが集まりだし、4人に襲いかかって来た。

「下がってろ!」

 すかさずぬ~べ~が前に飛び出し、迫る悪霊の群れを鬼の手で切り裂いた。

「! あ、貴方! その左手は?」

 ぬ~べ~の異形の左手を見て驚愕する美神。

「話は後だ! 君は其処に居る子供二人を安全な場所まで批難させてくれ!」

 美神の問いそっちのけで鬼の手を揮うぬ~べ~は彼女に聖龍使いとミラーガールを避難させろと告げた。

「え? こ、子供二人って……」

 ぬ~べ~の発言に戸惑う美神。

 彼女から見ればミラーガールはともかく聖龍使いは古風な口調なうえ、彼が先ほど外れた面を元に戻した事も有りタダの老人と思い込んでしまっていたのであった。

 

 しかし彼女はハッと気付いた。

 何故ならタダの教師であるぬ~べ~に指図される意味合いは無いのだからだ。

「ちょ、ちょっと貴方! 貴方こそ逃げなさいよ! いくら何でもこんな無数の悪霊相手に素人が勝てる訳無いでしょ!? 貴方こそ引っこんでいなさいよ!」

「ウルサイ! 俺は金でしか動かないお前等に大事な学校を護られるのが癪(しゃく)なだけだ!」

「な、何ですって? 何処の馬の骨か解らない教員がプロの私をバカにするとは良い度胸じゃないの! その左手で霊達を切り裂いているみたいだけど、それって鬼を封印している手でしょ? 正直、その左手で戦っている貴方の方が危ないわよ。鬼って悪霊や死霊、そして他の妖怪以上に危険な存在なのよ! そんなモノで戦っている素人が偉そうな事言っているんじゃないわよッ!」

 互いに引けを取らずに言い争うぬ~べ~に美神。

 

 そんな二人を尻目に、再び聖龍使いが悪霊相手に剣をふるった。

「何じゃが喧しくなってきたわい。ワシ等はワシ等で戦うぞミラーガール」

「え、ええ……」

 

 この時、戦う二人を視界に捉えたぬ~べ~が再度、二人に怒鳴った。

「お前達! いい加減、危険な事はするんじゃない! このお姉さんと一緒にさっさと逃げなさい!」

「って、いい加減にしてよ! 何なのよさっきから! 何で私がアンタの指図を受けなきゃいけないのよ!!」

 

 再び言い争ってしまう美神とぬ~べ~。

 と、その時。

 

 

 

[囚われの武人]

 

「なぬ!?」「せ、聖龍使い!」

 突然無数の悪霊たちが聖龍使いに纏わり付き彼の体を包み込んだ。

「えっ?」「な、なんだ?」

 美神とぬ~べ~も突然の事態に驚いた。

 そして聖龍使いに纏わり付いた悪霊たちは一体の巨大な化物へと変貌し、聖龍使いを捕えてしまう。

 

「聖龍使い!」

 捕まってしまった聖龍使いを見て悲痛な叫び声を上げるミラーガール。

「ぐっ、ぐぬぬぬ……!」

 一方の聖龍使いも化物に捕えられてしまい身動きができなかった。

「ああ!」「な、何てことだ……!」

 それを見ていた美神とぬ~べ~も驚いてしまってた。

「ぐむむ……」「せ、聖龍使い」

 捕まり、高く上げられている聖龍使いを見上げながら途方に暮れるミラーガールに、聖龍使いは告げた。

「み、ミラーガール……」「え?」

「さ、先ほどの主の技。アレをこの化物に使えぬか?」

「む、無理よ! さっきの技は何だったのか、私全然解らないんだものっ」

 悲痛な声で答えるミラーガール。

 

 その時、化物相手に美神がすかさず無数の御札を投げ飛ばした。

「喰らえッ!」

 御札は化物に貼り付き、化物の体に電流の様な物が流れたが化物はビクともせず直ぐに御札を剥がしてしまった。

「そ、そんなっ」

 御札が効かず動揺する美神に、ぬ~べ~が言い寄った。

「おい君! やたらに御札何か飛ばすんじゃない! 聖龍使いの身に何か有ったらどうする気だ!」

「な、何よ! 今はあの化物をどうにかするのが先決でしょ! 大丈夫よ、相手はあの聖龍使い。生半可な事じゃ死にやしないわ……」

「何を言う! 何か有ってからじゃ遅いんだ! それとも、君達GSは金さえ貰えれば人一人の命など、どうなっても構わないのか!」

 このぬ~べ~の発言に、さすがの美神令子も堪忍袋の緒が切れた。

「……何ですって。そりゃ、私は金で依頼を引き受けるとは言え、人命には気を使うわよ! ホントに何なのさっきからアンタ! 何かとGSを見下すような言動して……! そんなにGSが気に食わないの!?」

 するとぬ~べ~は平然と美神に答えた。

「ああ気に食わんな。金一つでどんな除霊も引き受け、更には除霊して欲しければ多額の報酬を相手にフッ掛け相手から絞れるだけ絞り取る金の亡者、それがお前等GSだろ! 中には無償で除霊をする者もいると聞くがGSのほとんどが高額の報酬でしか除霊を行わないのが現状だ! ……俺は金でしか動かない奴は、金を得るしか能の無い霊能力者が気に入らないんだよッ!!」

「!!」ぬ~べ~の発言に、美神は驚くと同時に返す言葉が無かった。

 

 事実、彼女自身も高額の報酬でしか依頼を引き受けないGSだったからだ。

 

 そしてこの時、ぬ~べ~自身も複雑な心境であった。

 彼の父親も当初は無償で除霊を引き受ける優しい霊能力者であったが彼の妻すなわちぬ~べ~の母が病に倒れた際は、ぬ~べ~の一家が貧乏で有ったが為ぬ~べ~の父親に救われた者達は誰も彼等を助けようとは思わず、結局ぬ~べ~の母親は病死してしまった。

 後に父親は幼いぬ~べ~を親戚に預け数年後とある高名ながらも相手に高額な金を要求する霊能力者に成り果ててしまった。

 そして親戚に預けられたぬ~べ~は孤独な幼少時代を過す羽目になるのであった。

 そんな過去の経緯もあって、ぬ~べ~は金で依頼を受けるGSを心の何処かで嫌ってしまっていた。

 

「ぐっ……!」

 ぬ~べ~と美神が言い争う間も、聖龍使いは化物に掴まれ、締め付けられ苦しんでいた。

「せ、聖龍使い!」

 ミラーガールが声をかけるが、聖龍使いは必死にもがくばかりで返事をする余裕も無かった。

「た、大変! このままじゃ……」

 自分の力だけでは何もできないと悟るミラーガール。

 

 だが肝心のぬ~べ~と美神は未だ睨み合いながら動こうとしなかった。

「君だって分かるだろ! 悪霊怨霊は元はと云えば俺たちと同じ人間なんだぞ! そんな尊い命を金で簡単に駆除してしまうお前等を、俺は同じ霊能力者とは認めない!」

「何よッ! 確かに元は生きた人間で有ったとは云え、今は彼等は自我の無い魑魅魍魎の類なのよ! 放っておけばそれこそ人命に関わるでしょ!」

「何故君が人命を尊重するんだ! お前達は金さえ貰えればそれで良いんだろうがッ!」

「言ってくれるわねアンタ! 金金って……確かに私はGSでもガメツイ方よ。周りはもちろん、自分でも高額の報酬にしか興味の無いクソ女って自覚しているわ! だから私は別に構わないけど、他のGSまで一緒にされるのだけは黙っていられないわ!」

 

 美神は愛用の警棒を手に取り、それをぬ~べ~に向けた。

「何なら、まずはその左手の鬼をアンタごと除霊してあげようかしら……!」

 美神は怒りに満ちた表情でぬ~べ~を睨みつけながら言った。

「簡単には除霊出来んぞ。いや、それ以前に金の亡者如きにこの鬼の手が除霊出来るものか! この左手の鬼の封印は、俺の恩師の力も有って初めて封印できているのだからな」

 ぬ~べ~も鬼の手を構えながら美神を睨み返した。

 

 そして、ぬ~べ~と美神。二人が睨み合っている、その時。

「もう止めてください!」『!』

 睨み合う二人に突然ミラーガールが叫んだ。

「み、ミラーガール……」「……」

 呆然となるぬ~べ~と美神にミラーガールは悲痛な眼差しを向けながら話し出した。

「い、今は言い争うよりも……聖龍使いを、彼を助け出してそしてあの大きな怪物を何とかするのが先決でしょ。わ、私……私は確かに子供だから二人の話が解らない、どっちが正しいのか理解できない。だけどそんな私でも、今すべき事だけは解ります! 一刻も早く、あの怪物を倒して聖龍使いを助ける事だけは解ります!」

『…………』

 ミラーガールの力強い眼差しを向けられながら告げられる彼女の発言に思わず無言になる二人。

「お二人の意見は、お話はとても意味が深いのは、少なくとも理解できました。そして互いに、その考えを曲げずに自分の意見を主張したいと言う強い願いも感じられます。だけど今は! その思いをどうか抑えて一緒に協力してください! どうか聖龍使いを助ける為に、私に力を貸して下さい! お願いします!」

 ミラーガールは叫びながら涙を流し、ぬ~べ~と美神に頭を下げた。

 

 そんな聖女の悲痛な願いを聞き、霊能力教師とGSは口元を微笑ませた。

「……ふぅ、女の子を泣かせてしまうとは。教育者としての俺の実力はまだまだだな」

「ぬ、ぬ~べ~先生……」

「私も、ついカッとなっちゃったわ。確かに今は言い争っている時じゃないわね。ごめんなさいミラーガール」

「み、美神さん……い、いいえ! お、お願いします。どうか力を貸して下さい! 3人で協力し合って聖龍使いを助けましょう!」

 穏やかな表情になったぬ~べ~と美神、二人の顔を見てミラーガールは涙を拭い再度二人にお願いした。

 

 そして美神とぬ~べ~は背中を合わせてながら、聖龍使いを掴んでいる怪物に視線を向けた。

「それじゃ行くわよ。ゲジマユの教員さん♡」

「ゲジマユ言うな。俺は鵺野鳴介(ぬえのめいすけ)って言う立派な名前が有るんだ。そちらこそ頼むよ、プロの霊能力者さん」

 互いに声を掛け合う二人の後には、ミラーシールドを構えるミラーガールの姿が有った。

「よ、宜しくお願いします! 鵺野先生、美神さん!」

「了解!」「其方も頼むわよ、ミラーガール」

 ミラーガールの問い掛けに力強く返事するぬ~べ~に、ウィンクしながら返答する美神。

 

 そして三人は悪霊の集合体である巨大な化物の排除と、それに捕われた聖龍使いの救出を 開始した。

 

 

 

 

[共闘せよ! 聖女と教師とGS]

 

 三人はそれぞれの役回りで化物に立ち向かって行った。

「行くわよバケモノめッ!」

 まずは美神が此処ぞとばかりに大量の御札を化物に飛ばした。

「ぐオオォォ!」化物は悲鳴を上げたが、この時ぬ~べ~は有る事に気付いた。

「ん? なぁスイーパーのお嬢さん」「ん? 何? 鬼の手の先生」

「今の御札……かなり高額の御札じゃないのか? 良いのか、少し勿体無いんじゃ……」

 すると美神は微笑みながらぬ~べ~に言い返した。

「何よ、人命には代えられないでしょ。何より、あの子に泣き付かれちゃったら何だか一段と頑張らなきゃイケない気がするのよね」

 そう云いながら美神は後のミラーガールに視線を向けた。

「……なるほどな。確かにあの子の力強くも鏡の様に綺麗な目で泣き付かれたらそんな気になってしまうかもな」

 美神の言葉にぬ~べ~も微笑みながら呟いた。

「グワアアァァ!」

 大量の御札を貼られ苦しむ化物は、体から無数の悪霊を放出し、放出された悪霊は三人目掛けて襲いかかって来た。

「させるかぁッ!」襲いかかる悪霊たちを、ぬ~べ~は鬼の手で一掃した。

 そんなぬ~べ~を見て、美神は改めて一言放った。

「貴方、良くもそんな強力な妖気を持つ鬼を左手に封じられるわね。改めて見ると、ホントに大したものよ」

「いや。これは俺だけの力じゃない。話せば長いが、俺が最も尊敬できる恩師の霊力も有って初めて左手に封印できているんだ」

 笑顔で話すぬ~べ~を見て、美神も思わず笑顔で話した。

「良いわね、尊敬できる恩師が居て。私の恩師も中々の人望家だったけど、金に無欲過ぎるのがタマに傷なのよね」

 話終わると美神は少し複雑な顔で苦笑した。

 

 

 そして美神とぬ~べ~はそれぞれ身構えながら後方のミラーガールに叫んだ。

「お願いミラーガール!」「君の力で、俺たちの霊力を増大させてくれ!」

「はい!」

 二人の要望を聞き、ミラーガールはシールドを構えながら心の奥底から祈った。

(お願い、この二人に……私達に力を……聖龍使いを助ける力を!)

 祈り続けるとシールドは輝き出し、そしてミラーガールは大声で唱えた。

「ミラー・プレイ・デザイアー!」 

 するとシールドからの光は前方のぬ~べ~と美神を包み込みそれと同時に二人の霊力が増幅された。

 

《ミラー・プレイ・デザイアー》

 この技は、自分や周りの者の願いや祈りの想いをコンパクトで増幅させて更なる力を使えるようにするミラーガール最大にして最愛の技。

 この力でアッコことミラーガールは様々な奇跡を起こしてきた。

 今思えば、かつてパンサーハニーによって死んだミスティーハニーを救うべく、さくらのタイム「時」のカードを発動させ過去に戻ったり、その後、戦いの最中で死んでしまったセーラープルートの復活やナースエンジェルの命に封印されていた「命の花」のみの解放。

 

 これらすべて、一種の《ミラー・プレイ・デザイアー》だったのかもしれない。

 

「す、凄い!」「こ、此処まで霊力が増幅されるとは……!」

 凄まじい程に増幅する自身の霊力に、二人も驚いた。

 そして美神とぬ~べ~は霊力が増幅された状態で悪霊の集合体である化物目掛けて突っ込んで行った。

「消えなさいバケモノ! アンタの居場所は此処じゃないわッ!」

「バケモノめ、俺や俺の生徒達が愛してやまない学校に居るな! 無に還れ!!」

「グオオオオオォォォォォォ……」

 

 二人が化物に突っ込み、衝突した瞬間、辺りは強烈な光に包まれて行った。

 

 

 

 

[終わり良ければ]

 

 そして光が消え、ミラーガールはそっと目を開けてみると

「うん……! あ、ああ……!」

 目を開けてみると、其処には巨大な化物の姿は無く美神令子と鵺野鳴介ことぬ~べ~更には巨大な化物に捕まっていた聖龍使いが三人とも無傷で立っていた。

 

「せ、聖龍使い!」「おおっと」

 ミラーガールは嬉しさの余り、思わず聖龍使いに駆けより彼に抱き付いた。

「良かった。聖龍使いも無事に済んで」「えぇ、まったくね」

 ミラーガールの満面の笑顔を見て、ぬ~べ~と美神も安堵した。

 

「あ、ありがとうございます! ぬ~べ~先生、美神さん!」

 そんな二人にミラーガールは笑顔を向けながら礼を述べ頭を下げた。

 

 すると二人は複雑な心境でミラーガールに返答した。

「い、いや。俺達こそ君に感謝と謝罪を言わなければ……」

「そうね。聖龍使いが大変な時だったのに私達言い争ってしまって……それだけでなく、貴女の御蔭で私達の霊力が増大されたからこそ悪霊の集合体であるあの化物を倒せた訳だし今回は全て貴女に美味しい所を持って行かれちゃったわよ」

「そ、そんな……二人が協力してくれたからこそできたんです。お二方の力が有ったからこそ、誰も傷付く事無く無事に済んだんですよ」

 ミラーガールは少し頬を赤くさせながら二人に返事する。

 

「み、ミラーガール……」「せ、聖龍使い! 大丈夫?」

 ミラーガールが話をしていると、聖龍使いが歩み寄って来た。

「大丈夫じゃ。主や鵺野鳴介、そして美神令子殿の協力が有ったお陰で傷も無いわい」

「そ、そう……ホッ、良かった」

 安堵し胸をなでおろすミラーガール。

 

 そんな二人を見て、美神が呟いた。

「仲が良いのね、あの二人……ん? ちょっと待ってよ?ねぇ、えぇっと確か……」

 美神はぬ~べ~に視線を向けた。

「ん? 何だ? 俺の名前は鵺野鳴介だよ」

「あぁ、そうだった。ねぇ鵺野さん貴方さっきあの二人に対して子供二人って言っていたけど、アレはいったい……」

「ん、ああ、アレはだな……」

 訊ねられたぬ~べ~は微笑みながら美神に耳打ちした。

「……え、えぇ!? ほ、ホントなの?」

「ああ、ホントだ」

 耳打ちされた美神は思わず驚いてしまった。

 

「ん? どうしたんじゃ、あの者は?」「み、美神さん?」

 驚き大声を出す美神に聖龍使いとミラーガールは気付いた。

 美神は突拍子に聖龍使いに向かって訊ねる。

「あ、貴方! あの市長に就任した小田原修司なの? 確か、まだ11歳の若い男の子の?」

「!」「い、いえ、その、あの……」

 驚愕し、慌ててしまうミラーガール。

 

 

 と、そんな時。

「おーーい、美神さーーん」「美神さーーん、遅れてしまって済みません」

 4人の所に一人の若い男と白装束のフワリと空中を舞う女性が駆け寄って来た。

「あっ、おキヌちゃん。それに横島」

 二人を見て、美神は二人の名を口にした。

 その内の一人、白装束のおキヌが美神に申し訳無さそうに告げた。

「ご、ごめんなさい美神さん。道に迷っちゃって遅れちゃいましたぁ」

 泣きながら謝罪するおキヌに美神は優しく話しかけた。

「大丈夫よおキヌちゃん。この童守町は初めてくる所だから幽霊の貴女にとっては只でさえ迷いやすかったんだから仕方が無いわよ。それに引き換え、コラ横島! 何で貴方まで遅れてくる訳!?」

 美神に怒鳴られ、怯えながらも横島は言い訳を述べる。

「か、勘弁して下さいよ。俺だってこの町は初めて何ですし、何より美神さん先に行っちゃうんだから何処の学校に行っちゃったんだが解らなくなるし……」

「言い訳しないの! おキヌちゃんは幽霊でまだ現代の環境とかに馴染んでいないんだから先輩のアンタがしっかり補助してあげなきゃイケないでしょ!!」

「は、はい……」

 物凄い権幕で怒鳴る美神に横島は完全に尻込みしてしまった。

 

 そして二人と合流した美神令子はぬ~べ~と聖龍使い、そしてミラーガールに別れを告げた。

「それじゃあ鵺野先生、そして聖龍使いにミラーガール、色々とありがとう。鵺野先生、思わず口論になってしまいましたけど、本当に済みませんでした」

「いえいえ、それは此方も同じです。ついカッとなってしまって貴女の様な美しい人に数々の暴言を吐いてしまって。本当に申し訳ありません」

 ぬ~べ~と美神は互いに心から謝罪した。

「それでは私達はこれで。ホントにありがとう、鵺野先生、そしてミラーガール」

「此方こそ、ありがとうございました!」「ありがとう、美神さん!」

 別れの挨拶を交わし、美神はおキヌと横島を携えてその場を去ろうとした、その時。

 

「ま、待っておくれ!」「ん? なぁに? 聖龍使い」

 立ち去ろうとする美神に聖龍使いが呼び止めて話をした。

「じ、実は美神殿。例の事なんじゃが……」

「ん? ……ああ、あの事ね。それなら安心して。こう見えて仕事柄、個人情報とかは口外しない主義なのよ。だから貴方の事も言わないで置くわ、聖龍使い」

「か、忝(かたじけな)い」

 笑顔で返答した美神の言葉を聞き、聖龍使いは心の中で安堵した。

 

「それじゃサヨウナラ。貴方もまだまだ何だから無茶しちゃいけないわよ。それと、あんなカワイイ女の子が居るんだから余り心配掛けさせない様にね」

 去りながら聖龍使いに手を振り別れを告げる美神だった。

 

 

 

 童守小から立ち去る時、横島が美神に訊ねた。

「ねぇ美神さん。いったい何が有ったんですか?」

「ん? ちょっと色々とね」

 訊ねて来た横島に笑顔で答える美神に、続いておキヌが訊ねて来た。

「美神さん。さっきの聖龍使いとの会話、アレは何なんですか?」

「ん、いわゆる守秘義務って奴よ」「ふ~~ん」

「さぁってと。仕事も無事に済んだんだし、この際今日は居酒屋でパァっとみんなで飲みますか♪」

「オオっ、美神さんが奢ってくれるんですか? こりゃまた珍しいっ」

「どうしたんですか美神さん。いつにも増して今日はやけに御機嫌ですね」

 おキヌの発言に美神は満面の笑顔で平然と答えた。

「うふ。今日は何だか気分が良いのよねっ。ささ、早く行きましょう。終わり良ければすべて良しっ、てね」

 

 いつも以上に上機嫌の美神に戸惑いながらも、おキヌと横島は美神と共に居酒屋に足を運ばせて行った。

 

 この時、美神は心の中で思っていた。

(ふふ、あのミラーガールの純粋で綺麗な、そう鏡の様な瞳を見ていたら何だか清々しい気分になって来たわ。こんな気分、久しぶりだなぁ……)

 

 

 

 

[バカになって]

 

 そして学校に残っていた聖龍使いとミラーガールも美神に続き童守小を去ろうとしていた。

「それじゃ鵺野先生」「今日は手間を掛けさせてしまい申し訳なかった」

 ぬ~べ~と向き合い別れを告げようとしていたミラーガールと聖龍使い。

 

 そんな二人にぬ~べ~も穏やかな心情で告げた。

「いや。俺の方こそ色々とキツイ事言って済まない。ただ、本当に君達はまだ子供何だから余り無茶な事だけは控えてくれよ。子供が傷付いて悲しむのは、いつの時代だって親なんだからね」

「はい、解りました」「う、うむ……」

 笑顔で答えるミラーガールに対し聖龍使いは何処か複雑な心境であった。彼だけは親に心配されるどころか、返って白目を向けられていたからだ。

 

 その時唐突にミラーガールがぬ~べ~に訊ねた。

「ぬ、ぬ~べ~先生」「ん? 何だい、ミラーガール」

「わ、私、ぬ~べ~先生の言動を見ていて、ふと思ったんですけど先生は何か特別な思いで、その鬼の手を使って自分の生徒達を守っているんですよね」

 するとぬ~べ~は穏やかな表情で答えた。

「ああ、そうだ。俺は昔から霊能力が有って、それが原因で様々な思いをして来た。そんな時、いつも俺を守ってくれていた一人の教師と巡り合えたからこそ、俺は教師になってこの能力を生徒の為に使おうと決心したんだ」

「そうですか……そ、それにしても。何であそこまで美神さんに言ってしまったんですか? 確かに彼女は御金を貰うためとはいえ、多くの人を救っているのには変わりないんですよ」

 言われたぬ~べ~は神妙な顔立ちでミラーガールに答えた。

「確かにな。だが、やはり金だけで全てを解決するやり口は、どうも俺は好きになれない。そりゃ、金が無ければ生きていけないのが人間社会の常識だ。……だけど、それでも人は金の為では無く、そして感謝される為でも無い。金も感謝も無くとも、人は人を救い続けなければいけないと、俺は思うんだよ」

「……」

 思わず無言でぬ~べ~の話を聞いていたミラーガールに、ぬ~べ~は最後に彼女や聖龍使いに言い放った。

 

「昔、俺の死んだ母さんから言われた事が有るんだ。母さんが死ぬ間際に俺に伝えた言葉《人間、バカになって人を救え》……って。俺は死んだ母さんのこの言葉を胸に刻み込みそして教師になった今でもバカの一つ覚えの如く人を助けてるんだ」

『!』

 ぬ~べ~の口にした言葉に、聖龍使いもミラーガールも途轍もない衝撃を感じ取った。

 

 どんなに損をしようと、どんなに自分が傷つこうと。

 それでも救える人を、命を救い続ける。

 そんな亡き母親の言葉を忘れず教師を続けている鵺野鳴介。

 

 彼の熱い思いを二人は心の底から感じていた。

 

 

 

 聖龍使いとミラーガールがぬ~べ~の話を聞いていた、その時。

「おーーい、ぬ~べ~」「ぬ~べ~! 何か有ったの!?」

 複数の子供たちがぬ~べ~の名を呼びながら駆け付けて来た。

「おっ、広に郷子。それに美樹、克也、まことじゃないか」

 子供達に向かってぬ~べ~が名前を口に出す。

 

 駆け付けて来た子供達に、ぬ~べ~は何事かと訊ねる。

「どうしたんだお前等? 何か有ったか?」

 すると子供達の一人で、長いツインテールの少女がぬ~べ~に話した。

「何って。さっきまことが学校に忘れ物取りに行ってたら、ぬ~べ~が何か得体のしれないモノと戦っているって。まことは慌てて私達にそれを伝えてくれたから、私たち急いで学校に駆けつけて来たのよ」

 彼女に続いて、今度は小柄な身長のおかっぱ頭の少年が口を開いた。

「う、うん。ボク、さっき建物の陰から覗いていたけど、怖くなって、それでみんなを呼んだのら」

 更にスポーツ刈りの少年もぬ~べ~に言った。

「お、俺たち、まことから聞いてまだぬ~べ~がヤバい妖怪と戦っているんじゃないかって心配して、それで……」

 これを聞いたぬ~べ~は穏やかな笑みを浮かべて生徒達に話した。

「ふっ、済まない。お前達に心配掛けさせてしまって。でも、もう大丈夫だ。実はさっきまで心強い味方が居たし何より此処に居る二人のスーパーヒーローが俺よりも先に駆けつけて来てくれててな。彼等の協力も有って、無事に退治できたから安心しろ」

 ぬ~べ~に言われ、子供達は聖龍使いとミラーガールに目を向けた。

「は、はぁい……」「……」

 視線を向けられ苦笑いしながらも手を振るミラーガールに対して無言で腕を組んでいる聖龍使い。

 

 彼等を見て子供達は目を輝かせた。

 

『う、うわぁ……!』

 少年少女等は初めて生で見る二人に駆け寄り、色々と語り出した。

「す、スッゲエ! 本物の英雄だぜ! か、克也。本物だぞ」

「わ、解ってるって! す、スゲエ……」

「カッコいい鎧なのだぁ。ボクも着てみたいのらぁ」

 聖龍使いに駆け寄り彼の甲冑姿をガン見する少年達。

「は、初めまして! 貴女ミラーガールよね。いつもテレビで活躍拝見させてもらっています! わ、私は稲葉郷子(いなばきょうこ)って言います。実は私セーラームーンの大ファンで髪型も彼女に合わせて同じツインテールにしているんです! あっ、もちろんミラーガールの事も大好きですよ!」

「は、はぁ……」

 郷子に迫られるミラーガールは、ファンに迫られるという余り経験の無い出来事に思わず呆然となってしまう。

 

 しかしこの時ミラーガールに話しかけて来た一人の少女にミラーガールは完全に視線を奪われた。

「うわぁ、貴女がミラーガールね。アァンッ、こんな時こそ色紙が有ればサインしてもらって、それをクラスメイトに、いやネットで高く売りつけられるって言うのに……!」

「! あ、貴女は……!」

 悔しがる彼女を見てミラーガールは愕然とした。

 

 ミラーガールが視線を奪われた少女は、頭にカチューシャをしている短髪の子で有ったが、「その胸が小学生とは思えないほどの巨乳で有ったからだ。

(お、大きい……で、Dカップは有るんじゃないの……)

 少女の胸を見て、ミラーガールは目を丸くして驚き唖然とした。

 

 彼女を見て驚いたミラーガールはぬ~べ~に耳打ちで訊ねた。

「あ、あの、先生」「ん? 何だ、ミラーガール」

「あ、あの子達。先生の担当するクラスの生徒達何ですよね」

「ああそうだよ。スポーツ刈りで短ズボンなのが立野広(たてのひろし)、帽子を被っているのが木村克也(きむらかつや)、一番小さくておかっぱ頭なのが栗田(くりた)まこと、さっき君に話しかけた稲葉郷子に、そしてカチューシャをしているのが細川美樹(ほそかわみき)。皆、俺が担当するクラスの生徒たちだ」

 これを聞き、ミラーガールは更に内心動揺しながら訊ねた。

「と、ところで、鵺野先生の担当している学年って……ろ、六年生ですか?」

「ん、いや、五年生だけど。五年三組が俺の担当しているみんなのクラスだ」

「!(ガァーッン! ご、五年生……私と、同じ……)」

 事実を知り、ミラーガールは人知れず落胆する。

 

 

 

 

[苦悩する聖女]

 

 童守小での激闘の日の夜。

 

 とある居酒屋では……。

「……ウグ、ウグ。プッハァ~。いやあ、久々に飲むビールは美味いわぁ」

「いやぁ、俺も久しぶりにまともな飯が食えて感激です……」

「珍しいですねぇ。美神さんが私達にお酒を奢ってくれるなんて……」

 事件解決後、まっすぐ居酒屋に足を運んだ美神令子等御一行。

 この日の美神は珍しく横島やおキヌに酒や料理を奢ってあげていた。

「うぐうぐ、それにしても美神さん。例の依頼を受けた学校にいた教師って、美神さんと同じ霊能力者だったんですか?」

 食べ物を口いっぱいに頬張りながら美神に訊ねる横島に、美神は穏やかな顔で答えた。

「ええ。とても生徒思いで優しい伊達男だったわね。まぁ、私達の様な金を取るGSは余り好きじゃないみたいだけど誰かを守りたいっていう思いは人一倍有る、そんな先生だったわ」

「へぇ~、美神さんが其処まで言うなら大した人ですね。その先生」

 美神の台詞に思わず頷くおキヌ。

「ふふふ(……ミラーガール、不思議な子だったなぁ。あんな透き通った輝きを放つ眼は初めて見たわ)」

 美神は童守小で会ったミラーガールに聖龍使い、そして鵺野鳴介の事を思った。

(まさか小学生の小田原修司が聖龍使いだったなんて驚きね。あのミラーガールや鵺野先生の発言もヤケに身に沁みたしこれからは少しでも蓄えた金はこうして気軽にパァっと使うのも良いかもしれないわね。……ま、横島に遣り過ぎたらそれこそ毒だけどね)

 

 

 

 修司の自宅

「ふぅ~、今日は色々と大変だったなぁ。まさか委員会があの美神令子を呼び寄せていたとは……。本来は会社自体が違うから絶対に共演しない筈のお二人が協力するとは……。それにしても、ミラーガールの、アッコのあの能力はいったい……」

 修司は一人で考えていた。

 魑魅魍魎の群れに襲われそうになったときミラーガールのシールドから放たれた強烈な光は何だったのかを……。

 

 

 

 そして、その加賀美あつこはと言うと……。

「……ううぅ、ウウウゥ……」

 自室のベットの上で枕に顔を押し当てながら一人泣いていた。

「ニャア?」

 泣きじゃくるアッコを心配し、シッポナがアッコに近寄る。

 するとアッコは徐にシッポナを抱きあげて、シッポナに問い掛けた。

「ねぇシッポナ。私の胸って別に特別小さい方じゃないわよね?」「ニャっ?」

 涙目で訴えるアッコに少し驚くシッポナ。

 

「グス、今日ね、修司と一緒に行った学校にさ、私と同じ学年なのに胸がとっても大きい女の子が居たのよ。年上ならまだしも、何で同い年であそこまで胸が違い過ぎる子が居るのよっ。アァ~ン、何で私の胸って小さいのよ~~!」

 

 涙を延々と流し続ける聖女であったという。

 

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