【聖龍伝説:第二章】英雄達の日々   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 今回は変身怪獣の過去に触れる話です。彼の本名も明らかになります。その他色々なキャラ出演やあのキャラの正体が明かされます。

※鏡の国の設定は作者のねつ造であります。
※またもやあの戦国ゲームネタを使っています。声優さん、そしてファンの方には前もって謝罪しておきます。


疾風(かぜ)の決意

[空を行く御一行]

 

 夏休みのある朝、アニメタウンの空港に修司とアッコの姿が有った。

「修司」「アッコ、早く来い」

 二人は空港の中を進んだ。

 

 アッコは修司に訊ねた。

「ねぇ修司。今日は何でまた空港何かに?」

「実はなアッコ。変身怪獣の奴がちょっとな」

「へ? 変身怪獣がどうかしたの?」

「うん、実はなアイツ、やっと決心したようで」「け、決心?」

「ああ、かつて自分の住んでいた超獣族の集落に戻って色々としたいんだってよ。……アイツにとっては辛い過去を思い起こすって言うのに」

「……」

 アッコ自身も変身怪獣の過去の経緯は耳にしていた。

 

 かつて古より続く超獣族の高度な文明は、超獣族が持つ特殊能力も重なって人間達から危険視され、軍による総攻撃で壊滅した事…。

 

「まぁ、アイツにとっちゃ自分のルーツに知人である俺等を触れさせる事で何か変われると思っているのかもな。色々と俺等に話したい事も有るらしいし」

「……そうね。どんなに辛い過去でも誰かに知ってもらう事で少しでも苦しみを減らせるかもしれないし、何より自分自身を受け入れられる一番良い方法かもしれないしね」

「…………」

 アッコの台詞に修司は無言になった。まるで自分自身に言われているみたいであったからだ。

 

 

 

 そして空港の一角、貸切の滑走路には小型のチャーター機が一機。更にウッズ、ウエルズにジュニア、何故か加納望に、そして変身怪獣が既に飛行機の横で二人を待っていた。

「あ、修司様。アッコさんも無事に着いたようですね」

 二人を見てウッズが声をかけた。

「良し、これで全員そろったね」「ああ」

 ジュニアとウエルズが顔を見合せながら呟く。

「おはようアッコちゃん」「あ、おはようございます」

 加納は機嫌よくアッコに挨拶を交わした。

「どうしたんですか加納さん。何で此処に?」

 アッコが訊ねると、加納は薄暗い面立ちで答えた。

「うん……実はね、今回余りにも手勢が揃わなかったって理由だけで呼ばれちゃってさぁ。下手に断って修司君の逆鱗に触れるのもアレだと思って、渋々クィーン・アースから遥々来たんだ……ヘレナも無事に回復できて新婚生活満喫できると思ったんだけどね……」

 暗く悲しげな表情を浮かべる加納に、アッコは憐みを感じた。

 

「よぉアッコ。済まないな、今回はオレのワガママに付き合って貰っちまってよ」

 変身怪獣の発言にアッコは笑顔で言い返した。

「別に良いわよ。それより変身怪獣、よく決心できたわね。私達で良ければ一緒に着いていくわ」

 アッコの言葉に歓喜した変身怪獣は目を潤わせて彼女に言った。

「あ、アッコ…………オレと結婚してくれ「無理」

 

 

 そして彼等はチャーター機に搭乗し、ウッズとウェルズがパイロットとして操縦する機体は空に舞い上がった。

 

 機内では。

「ねぇ修司、そう言えば他のみんなは?」

 アッコが修司に訊くと、修司はコーラを飲みながら答えた。

「うん? セーラー戦士は戦士で他に野暮用が有るらしいし、それにまことに関しては多少飛行機嫌いらしいし、ハニー姉妹は学園の連中でサマーバケーション、ナースエンジェルは星夜とデートだそうだ。イサミ達は学校の自由研究で忙しいみたいだし、さくら達は知世の御呼ばれで軽井沢の別荘に行っちまったみたいだ。……良いねあいつ等は。一緒に行動してくれる身内やダチがいてよ」

 少し無愛想になる修司に、アッコは優しく答える。

「大丈夫よ修司。今は私達が側に居るわ」「……」

 

 そんな二人をスグ側の席で座っていた変身怪獣とジュニアは二人の様子を見ていた。

「あの二人、ホントに仲が良くって良いよね。そう思うだろ変身怪獣」

「まぁな。後は男の方がもう少し愛想よくしていれば申し分ないんだが」

 自分を気に掛けてくれている異性が居るのに愛想良くしない修司を見て目を細める変身怪獣。

「……ふぅ」

 別の席では加納が小さく溜息をついていた。いくら人が集まらなかったとはいえ急に呼ばれた事に、加納は多少の不満を感じていた。

 

 

 飛行機はそれから更に飛び続けた。

「おい変身怪獣、後どれぐらいなんだ? お前の故郷は」

「ああ、もうすぐのはずだ……」

 修司に訊ねられると変身怪獣は、少し寂しそうな表情を浮かべた。

 

 だが、その時だった。

「うわっ」「なっ、なに?」

 突然機体が揺れ出し、修司やアッコは驚いた。

「うわ、うわっ」「ど、どうしたんだ?」

 変身怪獣とジュニアも驚愕し動揺してしまってた。

 

「何が有ったんだ、一体」

 修司は速急に操縦席に足を運び、其処で運転しているウッズとウェルズに訊ねた。

「お、おいウッズ、ウエルズ、一体何が遭ったんだ?」

 二人は慌てながらも返答した。

「そ、それが突然操縦が効かなくなって」

「コントロールが効かねえ!」

 必死に操縦桿を握るウェルズであったが機体は下がる一方で有った。

 

「修司なんとかしろ~~ッ!」「僕こんな所で死にたくな~~い」

 騒然となる機内で泣き叫ぶ変身怪獣にジュニア。

「修司なんとかして~~」「って何がどうなってこんな状況にッ?」

 同じく泣き叫んでしまうアッコに偉く困惑してしまう加納。

 そんな状況下の中、修司は皆に機体は完全にコントロールを失ってしまい墜落してしまうと伝え、これを聞いた皆は一層動揺し、困惑した。

 そんな仲間達の眼前で、修司は平然とした態度で言い切った。

「いや~、それにしても、本当にまことだけは乗って無くて良かったぜ。飛行機にトラウマ持っているアイツがこんな状況に陥ったら絶対に泣き叫ぶぜ」

「って落ち着いて話している場合かぁ~~ッ!」

「何とかしなさいよッ!」

 平然としている修司にツッコム変身怪獣にアッコ。

 

 そんなこんなで飛行機は落下して行った。

 

 

 

 

[崖の下の集落跡]

 

 修司達が落ちた場所。其処は赤茶色の大地が目立つ崖の狭間で有った。

 皆、バラバラになった機体から外に這い出た。

 

『………………』

 皆、バラバラの残骸に成り果てた機体を見て愕然とした。

「お、俺たち。よくこれで生きていたよな」「うん……」

 修司とアッコは唖然としながら呟いた。

 

 そして残骸を漁っていたウッズとウェルズが修司達の所に歩み寄って来た。二人は重い面立ちで皆に言った。

「……ダメです。通信機も計器も何もかもメチャクチャです」

「救助呼ぶ事も出来ないぞ……」

 これを聞いた面々はショックで顔を蒼褪めさせる。

 

 そんな顔面蒼白になる仲間達を見て変身怪獣は提案した。

「あ、ああ、そうだ。みんな、もしかしたらオレの住居であった王国跡に何か有るか役に立つモンが有るかもしれねえぞ」

 これを聞いた修司は声を上げた。

「そ、そうか。高度な文明を持っていた超獣族の遺産で何か有るかもしれないな。良し、みんな行くぞ」

 こうして変身怪獣の案内の元、皆足を進ませた。

 

 しばらく進むと、其処は荒れ果てた集落であった。確かに何かが生活していた痕はあったが、廃れてからかなりの年月が経っているのが見て解った。

 

「こ、此処が、かつての超獣族の王国跡……か」

 廃墟を見て修司が変身怪獣に訊ねる。

「……ああ、そうだ。此処は主に市場だった所かな。連日此処では色んな物が売られ活気だっていた」

 静かに口を開く変身怪獣の顔は何処か暗く寂しげな雰囲気を醸し出していた。

 

 更に進むと崖の側壁にそのまま掘っている造りになっている住居らしい建造物が有った。

「こ、此処は……」

 修司が目を丸くして訊ねた。

「ああ、これは一般人用の居住用の住まいだ。人間で言えばアパートの様なもんだよ」

 変身怪獣が答えると、それに続いて今度は加納が彼に訊ねた。

「な、なぁ。崖の岩を直接削って住いにしたのかい? そ、それにしても岩の断面が余りにも綺麗過ぎる……」

「ああそれは特殊な機械で岩を溶かして造ったからだよ」

「と、溶かした?」

 変身怪獣の発言に驚く修司。

「ああ、特殊な機械で岩石を溶かした上に、コーティングする要領で特殊な薬剤を岩肌に染み込ませてあるからな。それで断面は綺麗な上に、風化もなるべく防げるんだよ」

 変身怪獣の説明に驚きつつ、一行は更に先に進んだ。

 

 その際、修司は有る事に気付き変身怪獣に訊いた。

「……なぁ変身怪獣」「……なんだ」

「あちこちにある黒い、焦げたような影は、一体何なんだ?」

 修司が指差す方には、まるで人の影の様な黒い焦げ跡が有った。それも至る所に。訊ねられた変身怪獣は思い詰めた表情で修司の言葉に答えた。

「……アレは、超獣族の死んだ、いや消された痕だ」

『!!』

変身怪獣の言葉に驚愕してしまう修司・アッコ・ジュニア・ウッズ・ウェルズそして加納。

修司は動揺しつつ変身怪獣に再度訊ねた。

「お、おい。消されたって……」

 すると彼は重い口調で答えた。

「……オレ以外の超獣族は、オレほどの再生能力は無かったとはいえ、細胞を自在に変化させる特殊な体質であった。それを人間達は見越していたから、人間は俺たち超獣族の細胞そのものを焼き尽くす特別な兵器、そう熱光線銃の様な武器で俺たちの体を消滅させて行った。……あの黒い影は、その消された超獣族の名残だ。強烈な光線を浴びせられて肉体は蒸発し、燃えカスが黒い影の様に岩肌に残っているんだよ」

 これを聞いて修司達は顔から血の気が引いていき蒼褪めて行った。

 

 超獣族の死んだ痕に残っていた黒い影、それはまるで原爆の強烈な光で体が蒸発し、その時にできる人影と丸っきり同じであった。

 修司は改めて此処で行われた人間の暴虐を思い知った。

 

 そんな無数の黒い影が点在する狭間を更に進んで行くとまるで古代エジプトの様な巨大な宮殿が崖岩に掘られ作られていた。

 巨大な宮殿を見上げる一同。修司は目を丸くして驚きながら変身怪獣に訊ねる。

「お、おい。変身怪獣、これは」

「此処がオレの元実家。超獣族王家の住居だった宮殿だよ」

 平然と述べる変身怪獣の言葉に一度唖然とした。

 

 そしてその宮殿内を進んで行った。中は広く、立派な彫刻が施された石柱が宮殿内を支えていた。

 

 宮殿内を進む道中、アッコが宮殿の床に広くこびり付いている黒い影に気付いた。

「ヘ、変身怪獣……あ、あれ……」

 震える指で指差しながら訊ねるアッコの問いに、変身怪獣は暗い表情で答えた。

「あれは……多くの超獣族の民を避難させようと集団で移動させている最中、人間達が一斉に兵器を浴びせた為、こんなに影が残っているんだよ」

「い、移動させてた……」

 思わず加納が呟くと、それに対し変身怪獣は更に重い顔立ちで答えた。

「ああ、民を集団で移動させていたのは、引き連れていたのは…………超獣族王家の妃だ」

「! き、妃って、それじゃ……」

 驚愕してしまう修司に続き変身怪獣が小さく呟いた。

「……ああ、オレの母上だ」『!!』

 悲しい瞳を浮かべながら呟く変身怪獣の言葉を耳にし愕然となる一同。

 

 

 父も母も、幼い自分が過して来た故郷を、平穏な人生と共に全て壊されてしまった少年の悲痛な思い。

 修司もアッコも、彼の感じている心痛を改めて再認識した。

 

 

 

 

[王からの遺産]

 

 暗く残酷な変身怪獣の過去を再度知った修司達は、変身怪獣の案内の元更に宮殿奥に足を運んだ。

 其処は岩肌が目立つ崖肌や、大理石等の石で装飾された宮殿内とは違い、かなり機械的な造りになっている空間。

「こ、これは……」

 技術者でも有るウッズが驚く中、変身怪獣が皆に言った。

「此処は超獣族の研究機関だ。此処で色々な技術の確立や能力の研究が盛んに行われていたんだ」

「そ、そうか……こ、こりゃすげえ」

 変身怪獣の言葉を聞いたうえで修司は目を皿の様に広げて辺りを見回していた。

 

 精密機械の様な、電子的な側壁で覆われた空間は確実に人間よりも遥か先の技術を超獣族が持っていた事が理解できた。

 

 そんな中、アッコが腰ほどの高さの物体に寄り掛かる際、誤ってその物体に有ったボタンを押してしまった。

 すると辺りは突然暗闇に閉ざされた。

「きゃっ」「な、何だ突然?」

 悲鳴を上げるアッコに続き、困惑する加納。

 

 その時周りの壁から光が放出され、空間の中央に映像が投影された。

「こ、これはっ」「これは……一種のホログラム(立体映像)のようですね」

 ウッズ親子が驚く中、投影された映像は一人の人物だった。

 

 その者は変身怪獣と同じ超獣族の男性で、高官の様な白い衣を身に纏い、胸元の部分には金の宝飾の飾り物を巻き付けている少し顔に小シワがある超獣族の成人男性だった。

 

「こ、この人は……」

 アッコを始め、周りの者たちが投影されている男に目を奪われている中、修司がふと変身怪獣に訊ねようと目を向けると、彼は目からポロポロと涙を流していた。

「へ、変身怪獣っ」

 初めて見る彼の泣き顔に驚く修司。

 そして変身怪獣は投影された超獣族の男を見ながら口を開いた。

 

「……ち、父上」

『!!』「! ち、父上!? そ、それじゃ、この人物が……!」

 変身怪獣の発した言葉に驚愕する一同、そして修司。

 

 そんな愕然とする中、投影された人物は語り始めた。

「……私は超獣族を統べる王家の統治者、すなわち王である。我が子よ、よくぞ戻って来られた」

「ち、父上……」

 父である王の声を久々に聞いた変身怪獣は涙を流しながら映像の王を見つめた。

「……息子よ、お前がこの映像を見ている時には、既に私も王国もこの世には無いだろう。だが、いかなる時も他の種族を、存在を恨み憎んではいけない。憎しみは人の心を、人の目を曇らせ、互いに憎悪と云う感情で争ってしまえば双方共に滅んでしまう。相手の心理を、相手の存在をまずは理解し、それを通して互いを知る事が争いをせずに共生して行く事だ。口で云うのは簡単だがそれを行うに当たっては実に難しいのが現実だ。だが、それでも耐え凌ぎ世界と共に生きていける時代が必ず来る筈だ。かつて人間自身も、肌が黒い黄色いや人種の違いで差別し合っていたが、時を経て行く内にそんな事も無くなって来た。それと同様に、何れは人種のみならず、全ての生きとし生ける心ある者が平等に生きていける時代が来ようぞ。自分と違うものと生きる事で、人は更なる可能性を見出し、更なる世界の発展にもつながろうぞ。我々はそれを怠っていたからこそ、人間から誤解を受け、そして滅んでしまったのだ。違うものを受け入れる事で更なる可能性を、運命を掴める。それを決して忘れないでおくれ」

「ち、父上……ウウゥ……」

 立体映像の父の姿を見、そして言葉を聞きながら変身怪獣は泣き崩れてしまった。

 

 そして投影された王は言い放った。

「息子よ。人と触れ合う事の可能性をお前に見出させる為にもお前に残していたある技術をそなたに託そうと思う」

 すると部屋には円柱の様な機械の土台がせり上がって来た。

「こ、これはッ」

 修司やみんなが驚いていると王は続けて述べた。

「息子よ、此処にそなたに授けた我が王国の紋章を嵌め込みなさい。さすれば更なる能力をそなたの紋章にアップロードする事ができる。しかし、あくまで争いの為に使うのではない。己と共に生きてくれる、そんな存在を守る為にこそ使うが良い」

 その瞬間、投影されていた王の姿が薄くなって行った。

「ち、父上!」

 消えて行く父の姿に声を上げる変身怪獣。

 消えて行く王は最後にこう言い残した。

「息子よ、私がこの世から消え果てても忘れないでおくれ。さすれば私が死ぬ事は無い。忘れないでくれぬ限り、私は永遠にそなたの心の中で我が子であるお前を見守って行こうぞ……」

 そう言いながら王の姿は消滅した。

 

「ち、父上……」泣き崩れる変身怪獣。

 そして辺りは再び灯りに照らされた。

 

「……変身怪獣」

 修司は泣き崩れる変身怪獣の肩を叩いた。

 

 そして彼が落ち着きを取り戻したのを確認すると変身怪獣は父の言葉に従い、床から出現した円柱に自身がメタルバードに変身する際使う超獣族のエンブレムを土台に嵌め込んだ。

 紋章を円柱の土台に嵌めこんだ瞬間、円柱に電流がバチバチと激しく火花を出しながら流れた。

 そして電流が収まると円柱は煙を出し、辺りは静寂になった。

 しかし紋章には何の変化も見られなかった。

「……お、おい。変身怪獣、これは」「あ、アレ? 何でだ?」

 何の変化も無い紋章に動揺しながら修司が変身怪獣に訊ねるが、彼にも理解できなかった。

 

 その時、部屋を調べていたウッズが呼んだ。

「変身怪獣さん、ちょっと良いですか?」

「ん? なんだウッズ」

「ちょっとこの機械を見ていたんですけど、これは」

「ん、これは……」

 二人がウッズに歩み寄り、彼やアッコ達と一緒に機械等を探っていた。

 だが、その背後の円柱に置いたままにしていた紋章が突然。

 

「ウィーンウィーン、ピピピピ」

 紋章の目の部分は赤く点滅すると、板状の金属であるのに突如生き物のように動き出した。

 動き出した紋章は首の部分を起き上がらせると修司達の方に目を向け、レーダーで有る目でしっかりと彼等を認識した。

 そして完全に起き上がると紋章はトコトコと歩き出し、背を向け機械を弄っている修司やウッズ達に声をかけた。

「ドウシタンヤ、何カオ探シデッカ?」

「! ん?」

 修司達が声に気付き後ろを振り返り足元に目をやると、其処には金属板の紋章がピンと立ち尽くし、修司達の顔を見上げていた。

「……ギャアアっ」

 数秒の間を空け、声を上げる修司達。

 

 今までタダの金属の板で有った紋章が突然動き出し、歩き、そして言葉を喋った事に驚愕してしまう修司達。

 

 

 

[コインの鳥とキングの名]

 

 突然動き出し言葉を語り出した紋章に驚きながらも、修司達は紋章に目を向けた。

 金属の板条で有った紋章は、その厚さ3ミリ程の金属の体をグニャリと動かす感じで動いており、後は見た目的には今までの金属の紋章とは大して変わりは無かった。

 

 動き出した紋章を見て、目を丸くして驚く一同。

 皆が驚く中、修司は紋章に訊ねた。

「お、お前……い、いったい」

 すると紋章は目の部分を赤く点滅させながら修司の顔を見つめ、そして一言言葉を発した。

「……認識。あんたハ小田原修司ヤナ。イツモ王子ガオ世話ニナッテオリヤス」

「! お、俺を知ってるのか?」

 目を丸くして驚愕する修司に、紋章は続けて話した。

「ハイ、ト言ウヨリモ、イツモアンサンノ事ハ見テハリヤシタワ」「え?」

 紋章は更に述べた。

「ワイハ確カニ自由ニ動ケルヨウニナッタノハ先ホドヤ。ケレド今マデ内蔵サレテイルかめらデ皆ハンノ事ハ見テイマシタワ。アンサン等ガ王子ト仲ヨォ付キ合ッテクレテイルノハ既ニ知ッテイマスガナ」

 紋章の発言に驚き言葉を失くす一同。

 

 そんな唖然とし、口を開く面々に動き出した紋章は皆の顔を見上げながら訊ねた。

「……トコロデ、皆ハンハ何ヲシテイルンデッカ?」

 それに対し修司が答えた。

「あ、ああ。実は俺たちが乗って来た飛行機が壊れちまって、それで此処から町まで帰る手段が無いか色々と探してはいるんだよ」

「ア、ソレナラ……チョックラ済ンマヘン」

 訳を聞いた紋章はウッズが弄っていた機械に飛び乗り、機械に有る直径3ミリほどの穴に自分の腕を変形させて突っ込んだ。

「! お、おい。お前のその腕……」

 変形した紋章に修司が驚くと紋章は説明し出した。

「アア、ワテノ体ハ特殊ナ金属デデキテイルノハ、修司ハンモ知ッテオルヤロ。今マデハ王子ト合体シタ時シカ変形デキンカッタンヤケド、サッキわてノ起動あっぷろーどニ成功デキタカラ、コレカラハ何時デモ何ニデモ変形デキルンデッセ」

「うわあ! それなら何時でも金属の体を変形させて活躍できるのねアナタ。スッゴォい……え、え~と、アナタは」

 紋章の説明を聞いて歓喜するアッコだったが、紋章の事を何と呼べばいいのか解らず困惑した。

 そんなアッコに紋章は告げた。

「アア、あっこハン、わてノ事ハコウ呼ンデオクレ。MG3562α80619timp8867GOD9989……ト」

『??!』

 余りにも数学的かつ長い数英字に動揺しまくる一同。

 

 そして修司が紋章に言った。

「な、なぁ。お前のその名前、余りにも長過ぎるから、何かもっと別の名前が良いんじゃないか?」

「例エバ?」

 紋章に訊き返され、修司は考えた。

「そうだな、う~ん……お前と変身怪獣が合体するってのは、コイツがメタルバードに変身する時の事だろ。メタルバードの相方と云う事で…………そうだ!」

 修司は思い付き、それを皆に伝えた。

「お前の名は……コインみたいな小さな金属の鳥で《チップバード》ってのはどうだ」

『ち、チップバード?』

 修司が紋章に名付けた名前に皆唖然とした。

 そして名前を付けてもらった紋章は変身怪獣に訊ねた。

「ちっぷばーど……王子。王子ハコノ名前ヲドウ思イマスカ?」

「え、お、オレ? う~ん……い、良いんじゃないか、チップバード。オレもそれで良いと思うぜ。さっきの長ったらしいヤツよりもマシだしな」

「ソウデッカ。マッ、王子ガ宜シインヤッタラわてモソレデエエデ」

 変身怪獣の承諾を得た紋章は、自身をチップバードと名乗る様になった。

 

 そして機械から自身の腕を抜くとチップバードは変身怪獣の肩に乗り、皆を手引きしながら宮殿内から出ようとした。

 

 その道中。

「……ところで王子。何で王子は名前を名乗らないんでっか? 由緒ある超獣族の王家の名ではないでっか」

「い、いや。オレはどうも、あの名前っていかにも王族らしい気障ったらしい名前だと思っちまってよ。余り名乗りたくないんだよ。何よりもう王家も滅んじまったし、名前に縛られているのもアレかなと思ってよ」

 変身怪獣の肩に乗りながら彼と会話を交わすチップバード。

 そんな二人の会話を横で聞いていた修司はチップバードに訊ねた。

「……なぁチップバード。変身怪獣の名前って、どんな名だ? いくら訊いても話してくれねえし、お前から言ってくれよ。俺も正直、怪獣って名前で呼ぶのもアレかなって思い始めて」

「あ、それは私も同じよ」

 修司に続き、アッコもチップバードに言った。

「で、でもよ。オレの名前なんて、どうでも良いだろ? 別に……」

 すると変身怪獣のこの一言にアッコが反論した。

「何言っているのよ! 親から貰った名前を隠しているなんてどうでも良くないわよ!」

 アッコの言葉に動揺しながらも困惑する変身怪獣。

 更にこれを聞いた修司がチップバードに再度訊ねる。

「なぁチップバード。コイツの名前、そう王家の名って……」

 修司の質問にチップバードは平然と答えた。

 

「ああ、其処まで言うなら確かに言わない訳にはいきまへんな。王家の名は《キングズ》そして王子に与えられた特別な名前で自由に世界に羽ばたけると言う祈りを込めて《ウィングダムズ》そして王子自身の名で《バーンズ》。《バーンズ・ウィングダムズ・キングズ》これが王子の本来の名前でっせ」

 

 チップバードから聞いた変身怪獣の名前に、修司達は目をパチパチさせながら唖然となった。

「…………お、お前。ちゃ、ちゃんとした名前が有ったんだな」

「……」

 修司に言われた変身怪獣の顔は何処か赤くなっていた。

「べ、別に変な名前じゃ無いじゃない。素敵な名前だと私は思うわよ、バーンズ」

「そ、そうか……」

 アッコに言われ、思わず頬を掻きながら照れる当の本人。彼女に続き、修司も告げた。

「ま、俺も別に変な名前とは思えないし、何より今までの呼び名寄りは遥かにましだ。これからも宜しく頼むぜ、バーンズ」

「は、はぁ……」

 

 友に告げた修司は、ある事に気付きチップバードに訊いた。

「ん? そう言えば……おいチップバード、お前なんか言葉が変わってねえか。いや、むしろさっきよりは言語がまともになっている様な……」

「ああ、それはやな。さっきワテが腕を突っ込んでいた機械は超獣族の使用していたコンピューターとリンクしている機械で情報等のデータをダウンロードしてな。そん時に言語プログラムも改良しておいたんや」

「そ、そうか……それじゃ、なんでお前の言語が関西弁なんだ?」

「あ、それはやな、先代の国王、つまり王子のお父上が人間の世界の言語を色々と調べてみると、やたらに面白いって感じられる言語が有りましてね。それをワテの言語プログラムの基礎に組み込んだんでっせ」

「そ、そうなの……(ま、まぁ確かに。関西弁って面白いイメージが有るのは解るけど、もっとマシなの無かったのかい。バーンズの親父さん)」

 

 内心呆然としてしまう修司だった。

 

 

 

 

[待ち構えていた騎士]

 

 チップバートの案内の元、変身怪獣改めバーンズと共に宮殿跡を出た一行はそのまま崖の狭間を進んで行った。

 

「ねぇチップバード。アナタが案内してくれる先には、一体何が有るの?」

 先頭を行くバーンズの肩に乗るチップバードにアッコが訊ねる。

 するとチップバードはアッコの質問に首を振り向きながら答えた。

「ああ、ワテ等がこれから行くのは超獣族の格納庫でっせ。其処には確かバーンズ王子の為に造られた飛行機体が有る筈でっせ」

 これに修司は驚いた。

「え! ば、バーンズに専用の機体? メッチャ良いなぁ」

「ハハハ、そりゃ、何てったって滅んでいても超獣族の王家継承者なんやからな」

 修司の言葉に高笑いしながら返すチップバード。

 

 そしてしばらく歩いていた、その時。

「……ふふふ、遂に超獣族の文明にまで触れてしまったな。小田原修司」

「ん! な、何奴!?」

 突然聞こえて来た声に、修司も他の面々も驚き動揺した。

 そして彼等の目の前に現れたのは、一人の少年であった。修司達はその者の顔を見て愕然とした。

「あ、アナタは……!」

 アッコもその者の顔を見て驚いた。

 そして修司はその者の名を叫んだ。

 

「お、お前。何故此処に居るんだ…………ミラーナイト!」

 それは以前より何度も聖龍隊と衝突を繰り返して来た自称鏡の騎士ミラーナイト。

 ナイトは修司達を高所から見下ろしながら言い放った。

「はは、まさか此処まで干渉してしまうとは。遂に此処まで運命を捻じ曲げてしまう結果を生み出してしまうとはな。それでは、一先ず話は後。早速手合わせお願いできないかな? 小田原修司」

 不敵に笑いながら修司と手合わせを申すナイトの言動にジュニアが言い返した。

「き、君は! 君はいったい何が目的なんだ。いつも聖龍隊の目の前に現れては挑発し、やたら義兄さんと手合わせしたがる。いや、それ以前に何故君が義兄さんや僕たち聖龍隊の素性まで知り得ているんだ! 僕達はもちろん、此処に居る加納望や彼の妹として町で生活しているミミナちゃんが反転世界の地球クィーン・アースから来た事まで知っているなんて……!」

 言い寄るジュニアの言動にナイトは嘲笑いながら答えた。

「はは、そんな事はどうでも良いだろ。そのクィーン・アースの為にも俺は小田原修司の実力を常に確認しておかなければいけないんだからよ」

 そう吐き捨てながらナイトは腰のミラーブレイドに手を掛け、ブレイドの切っ先を修司達に向けながら身構えた。

 それを見た修司もナイトが本気で掛かって来る事を悟り、懐に仕舞っている鬼の面に手を伸ばした。

 

 だがその時。

「待ちたまえ! 鏡の騎士よ!」「ん? 誰だ!」

「え?」「い、今のは?」「誰の声だ?」

 突然辺りに響く謎の声。皆が必死に見回してみると、今度は一人の男がその身を現した。

「あ! お、お前は!」

 修司はその者を見て口を大きく上げて声を出した。

 そしてアッコもその者を見て、名を上げた。

「ぜ……ゼラさん!」

 それは以前、修司達の目の前に現れ、修司達に自らの意思で犯罪結社豹の爪(パンサークロー)を抜け出したと言い残し姿を消した豹の爪の首相パンサーゾラの息子にして豹の爪の元幹部プリンス・ゼラだった。

「ぜ、ゼラさん。貴方、何故此処に……」

 ゼラを見つめながらアッコが訊ねると、ゼラは微笑みながらアッコに言い返した。

「ふふ、ミラーガール。いえ、今は加賀美あつこでしたね。いえね、ただ気の向くままに旅をしていたら此処に辿り付きましてね。またもや正体不明の坊やが貴女達に迷惑を掛けているみたいなので、少しお仕置きをして差し上げようと……。子供の躾けは大人の役目なんですからね」

 微笑みながらゼラは自らの剣を手に取った。

 それをみたナイトはゼラを睨みつけながら吐き捨てた。

「おやおや。元悪党のゼラ様がこの俺と一戦交えたいとは良い度胸じゃないか。下衆な悪党は下衆のまま何処とでも野垂れ死んでいれば良いモノを……」

 互いに引けを取らず、遂に二人は剣を手に取り、戦い始めてしまう。

 

 それを見た面々は驚愕し、アッコが声を上げた。

「きゃ、きゃあ! だ、誰か二人を止めて、お願い!」

 アッコの叫び声を尻目に、ミラーナイトとゼラは真剣で真っ向から空中で激しい剣戟を繰り広げ、双方がぶつかる瞬間強烈な火花が目に見えた。

「お、おい。俺等も行くか?」「い、行った方が良いんじゃないの?」

 互いに顔を見合せながら発する修司にジュニア。

 しかし一人、加納望が前に出て専用の剣を手に取り言い放った。

「いや、此処は僕が行くよ」「え?」「か、加納さん?」

 加納の言動に驚く修司にアッコ達。彼は皆に顔を向けながら言った。

「……いつも君達には何かと世話になっているからね。何よりアッコちゃん、君に対しては色々と迷惑もかけた事も有ったし、以前のりりか君の事も有る。少しは御礼を返さなければ、僕自身済まない気持ちだからね」

「か、加納さん……」

 加納の言葉にアッコは複雑だった。

 確かに最初の頃は正気では無かった加納望に追われ、怖い思いをした。そして遂最近、本来なら死ぬはずだった筈のナースエンジェルこと森谷りりかの死の運命も変える事ができた。

 しかし、アッコは加納が自分を追い回した事は今では全く気にしていないうえ、りりかの事もあくまで自分の意志とは関係なく運命を変える事が出来たので、それを恩に感じてもらっているのも、何だか申し訳ない様な気がしたうえ、アッコは他の聖龍隊士と同様いやそれ以上に争い事を好んではいなかった。

 

 だがそんなアッコの本心を知らず加納は空中で激しい剣戟を交わすミラーナイトとゼラの戦いに加わった。

「待てミラーナイト! これ以上の暴虐振りは止めるんだ!」

「か、加納望」

「ほほぉ、お前もこの俺と遣り合おうっていうのかい? ま、お前もこのゼラと同様、元は下衆な野郎だからな。遠慮なく切り刻めるぜ!」

 ゼラに加勢するように戦闘に加わった加納望に対しても、ミラーナイトは果敢に斬り込んで行った!

 

「お、おいどうする?」「い、いや。どうしよう……」

 修司とジュニアは義兄弟同士で顔を見合せながら困惑していた。

 

 更に戦いが激化して行く中、ゼラが一人ナイトの攻撃に弾かれ、地面に叩きつけられた。

「ぐっ……」「ぜ、ゼラさん」

 地に寝そべるゼラを気にし、アッコがゼラに駆け寄る。

「だ、大丈夫ですかゼラさん」「は、はい。大丈夫ですよ、聖女」

 その時、ゼラは自分が使っていた剣が見当たらなくなっているのに気付いた。

「あ、あれ。私の剣は……」

 ゼラが必死に辺りに目を配らせていると、修司がゼラに歩み寄り声を掛けた。

「おい、ゼラ。剣じゃないが、お前が使いこなせそうな武器が、実は今手元に有るんだよ」

「え? わ、私に使いこなせそうな武器……」

 修司の言葉を聞き、ゼラは呆然とした。

 そして修司は地面に叩きつけられ、倒れるゼラにその武器を手渡し、見せつけた。

「…………」

 武器を見たゼラは目を丸くして呆然となった。

 そして一言、修司に放った。

「……あ、あの。これを私に使えと」

「うん、そうだよ」

「……」「何か言いたい事あんの?」

 黙り込んでしまうゼラに修司が言い寄った。

 そしてゼラは、修司に渡された武器を手に取り、修司に突き出す様に武器を前に出して言い放った。

「これ…………完全に戦○バサラの明智○秀の鎌(かま)ですよね! 以前からこう云うネタは多々有りましたが何ですか!!」

「あ、不満? それじゃ錫杖鎌(しゃくじょうかま)の方が良いか……」

「好くありません!! しかもそれもバサ○の天○の専用武器じゃありませんかッッ! 何ですかアナタは! いっくら中の人が同じだからって……いやそれならそれで何故他のキャラに例えない! 何故バ○ラネタに拘るんですかッッッ!!!」

「ああ、それはだなゼラ。この作者がお前の声優のキャラで一番把握しているのがバサラの明○と○海だけなんだよ。まぁそれで偏っちゃっているんだよなぁ。何より作者は大の戦国好きだし」

「だ、だからって……だからって何で選りにも寄ってその二人何ですか。……私の声優さんは他にもいっぱいイケメンキャラボイスを演じているのに、ウウゥ……」

 修司に差し出された武器を前に、遂に泣き出してしまうゼラであった。

 

 これを呆れながら目を細めて見ていたアッコは思わず心の中で呟いた。

(……ホント、男って奴は)

 

 

 

 

[覚醒! 新メタルバード]

 

 そんな中、加納望とミラーナイトの戦闘は収まる事は無く、更に激しくなって行く一方。

「仕方が無い。俺が行くか」

 痺れを切らした修司は火花散る戦闘に加わろうとしたが、その彼にアッコが告げた。

「し、修司。お願いだから無理はしないで」「あ、アッコ……」

 自分の腕を掴みながら、顔を見つめて告げるアッコの瞳に見つめられ、修司は何も言い返す事が出来なくなった。

 

 そんな状況下の時だった。チップバードがバーンズに告げた。

「王子。此処はワテ等の出番でっせ」「で、出番?」

 チップバードの発言に困惑するバーンズであったが、チップはバーンズの胸の当りに空中停止すると、突然唱えた。

「メタル・イン!」

「えっ? ちょ、待てよ、お前、う、うわっ」

 困惑するバーンズを尻目に、チップバードの銀色のボディがバーンズの体を包み込み、瞬く間にバーンズの体は銀色の光沢輝く体に変化した!

「よし王子。一先ずアップロードし立ての変身は問題無く済みましたなぁ」

「! お、お前! 変身した後でも言葉交わせるのかよっ」

 メタルバードに変身したバーンズが胸のあたりに目を向けると、今までは紋章の形だけ残っていたのが目の部分がチップが喋ると同時に赤く点滅し続けるのであった。

 そんな状態の時、チップバードはメタルバードに告げた。

「王子、一気に行きまっせ!」「へ?」

 すると突然、メタルバードの背中にジェットエンジンが体から出現し、そのエンジンが火を噴いた瞬間メタルバードは激しい剣劇を交わしているナイトと加納目掛けて飛び上がった。

「ってウソ~~ッッ!」

 メタルバードは涙目になりながら猛スピードで飛び上がり、制御できない間々二人に突っ込んで行った。

「!!」「えっ!?」

 猛スピードで突っ込んでくるメタルバードに気付き反応するナイトと加納であったが、メタルバードはそのまま二人に衝突しそうになってた。

「うわあっ!」「あ、危ない!」

 二人は衝突寸前で回避し、難を逃れた。

 そしてメタルバードはそのまま上空まで上がり、何とか空中で停止する事が出来た。

「わ、わわわ……ッ。な、何とか止まれた……おいチップバード! 今のはいったい何なんだ!」

 メタルバードがチップに問いかけると、彼は平然と答えた。

「いやはや、すいまへんな王子。今のは新しくアップロードしたデータの調整も兼ねて試しにジェットエンジンを出してみたんやが、まだ制御の部分で微調整が必要みたいですわ……」

「いやアップロードとか微調整とかはまず置いといて! 何でオレの背中に突然ジェットエンジンが出てくる訳なんだッ? 何で機械がオレの体から出て来ちゃっている訳ッッ?」

 すると、動揺し困惑するメタルバードにチップは衝撃の事実を告げた。

「あ、それはやな王子。ワテが覚醒した上に、さっき無事にアップロードも完了したからワテと王子のシンクロ率が高まり、それによって王子の体の外側だけでなく体内までも金属化になる事ができ、それによって王子は変身時は一種の半機械生命体(サイボーグ)になる事が可能なんでっせ」

「!! さ、サイボーグ!?」

 チップの発言にメタルは驚愕した。

 

 と、その時であった!

「何しやがるんだッ!」

 下方からミラーナイトがジャンプすると同時に蛇腹剣であるミラー・ブレイドを伸ばし放ち、メタルバードに攻撃を仕掛けた。

「ウッ」攻撃に気付いたメタルバード。

 その時チップがメタルバードの意思とは関係なく仕掛けた。

「危ない王子ッ」

 チップバードが叫ぶと同時にメタルバードの両足が変化し、先端から電流が放たれミラーブレイドに直撃。ナイトは少量の電流ではあったが感電してしまった。

 それを下方で見ていた修司やアッコ達は目をパチクリさせながら驚いていた。

「……す、スゲエ」

 体を機械化に出来るメタルバードに修司は驚きつつも大いに関心を示した。

 だがメタルバード本人は、突然自分の体が機械化になった事に深く動揺し、ただただ困惑するばかり。

「王子、早くあの男に止めを!」

「い、いや待てよチップバード待ってくれよ」

 困惑するメタルバードは慌ててチップバードに問い掛ける。

「ま、待ってくれチップバード! いきなりサイボーグになっちまって、オレ少し落ち着きたい訳なの。頼むからもう少しペースを落として行動して行こうぜ」

「は、はぁ。解りやした。そんじゃ今度は王子が自らの御意志で体をサイボーグ化してみてくださいな」

「う、うん、分かった。で、でもどうすれば……」

 困惑するメタルバードにチップバードが説明をした。

「大事なのはイメージでっせ王子。こんな機械になりたい、あんな武器に手を変化させてみたいと、強いイメージを頭ん中に構想する事で王子の思った通りの機械化に体を変化させる事が出来る筈や」

「わ、分かった。やってみる……」

 チップバードに言われ、メタルバードは頭の中で強くイメージした。

(そ、そうだな。何を想えば……そういや、ロボットものでは腕からキャノン砲とか放てるのが有ったよな)

 

 メタルバードが一人、イメージしながら想い更けているその時。

 先ほど感電してしまったミラーナイトが再度メタルバードに攻撃を仕掛けようと、10m幅の岩崖を交互に蹴りながらジャンプし、メタルバードに攻撃をしようとした。

「さっきは良くもやってくれたな。喰らえッ」

 ナイトがブレイドを振り払うと、蛇腹剣のブレイドはメタルバード一直線に向かって行った。

「メタルバード危ない!」

 アッコが声を掛けた、その時だった。

「……! おんどりゃあっ!」

 メタルバードが目を見開くと同時に、彼の腕は変形し機械的な筒状の形状になり、その筒から強力な光線が放たれた!

「な、なにっ? う、うわあぁ!」

 光線はナイトの体を包み込むように、彼に直撃した。

『!!』

 それを見た修司・アッコ・ウッズ・ウェルズ・ジュニア・ゼラ・加納は驚愕した。

 更に光線はそのまま地面に直下し、辺りは綺麗に吹き飛んでしまう。

「………………」

 光線を放ったメタルバードは余りの高威力に口を開け、目を丸くして唖然としてしまってた。

 

 

 そして戦闘で傷付いた加納とゼラに、アッコがミラーガールに変身して治療をしようとした時、彼女の目に光線を浴び気絶してしまっているナイトの姿が入った。

「……ねぇ修司」「ん? なんだミラーガール」

 修司は敢えて変身時は変身している時の英雄名で呼んでいる。

 そんな彼にミラーガールは訊ねた。

「ね、ねぇ。あのミラーナイトも治療してあげましょうよ」

 だが修司は即答で返事した。

「でもなぁ。アイツを治療して良いものか……。まぁ、順番を付けるとしたら加納が一番、ゼラが二番、ナイトは除外ってところかな」

「じ、順番って……っ。それにその順番の付け方は……」

「ああ、しいて言えば治していいほど善人な奴等だよ。加納は悪どかったとはいえ洗脳されていただけだし、ゼラは最初は本当に嬲り殺したいほどムカついていたけど今は一応は改心しているみたいだしな。でもナイトの方は何だかね。今まで俺等に幾度となく刃向かって来たし、治してやって良いのかどうか……」

 呆れ顔で語る修司に、ミラーガールはすかさず言い返した。

「何を言っているのよ! 怪我をしている人を治すのに悪人も善人も無いわよ! ナイトは私がキッチリ治しておくわ。加納さんやゼラさん同様にね」

 そう言い放つとミラーガールはすぐさま三人の治療を開始した。

「……ふぅ~~、相変わらずだな、アッコの奴も。……さてと、俺は」

 修司は徐に、新たな能力を使えるようになり地面に降り立ったメタルバードに歩み寄って声を掛けた。

「どうだメタルバード。少しは落ち着いているか」「し、修司……!」

 声を掛けられたメタルバードは、パッと見落ち着いているように見えたが少しだけ動揺し混乱している様子であった。

「し、修司。オレは、その……」

 突然、強大な力を使えるようになってしい困惑するメタルバードに、修司は話しかけた。

「メタルバード。お前が今後その強大な力をしっかり使えるかどうかで、俺たち人間とお前ら超獣族の関係は深く変わって行くと俺は思うぜ」

「え……」

「どんな強大で恐ろしい力で有っても所詮は力。使う者の意志一つで人を救う力にもなれれば逆に人を傷つける力にもなってしまうのが力と云う存在だ。それは能力に限らず他の武力や権力も同じ事だ。お前が今後、自分の意志でしっかりその能力を制御しながら今まで通り共に戦ってくれるなら、俺はそれで良いぜ」

「し、修司……!!」

 そして最後に、修司はメタルバードにある言葉を告げた。

「メタルバード。これは外国の英雄が自身の教訓として、常に忘れずにいる言葉何だが……その英雄はこう言っている。《大いなる力には 大いなる責任が伴(ともな)う》」

「!!」

「お前もこの言葉通りに自分の能力に責任を感じながら、これからも俺の相棒として頑張ってくれよ。俺は期待しているぜ」

 そうメタルバードに告げる修司だった。

 

 大いなる力には、大いなる責任。

 この言葉をメタルバードは己の胸に刻み込み、自身の得た新たな能力と向き合う決意をした。

 

 

 

 

[同級生だった騎士]

 

 ミラーガールの治癒能力の御蔭で体の傷が完治した加納にゼラ。

 彼等に続き、メタルバードのキャノン砲で吹っ飛ばされ気絶してしまったミラーナイトも回復させようと、ミラーガールが倒れている彼に歩み寄った。

「さぁ、今度は貴方よミラーナイト…………ん、んンンっ??」

 突然ミラーガールの顔色が豹変した。

「ど、どうしたミラーガール?」

 慌てて修司が声を掛けると、ミラーガールは震える人差し指をナイトに向けながら言った。

「し、修司……あ、あの……あの、ミラーナイト」

「ん? ミラーナイトがどうかしたか…………んっ? え、ええぇ! ま、マジかよ!」

「ん? どうしたんだい二人とも」「何か有りましたか?」

 驚く二人を気にして加納とゼラが声を掛ける。

 すると修司は目を丸く見開きながらナイトの方を指差した。

 何とミラーナイトの顔のアイマスクが外れており、彼の素顔がバッチリ見えていたのだ。

「あ!」 

「おやおや。ナイトの素顔が見えてしまってますね。でも、何故お二人は彼の顔を見てそんなに驚いているのですか?」

 訊ねるゼラの言葉に対し、修司とミラーガールは驚き動揺しながら震える口調で答えた。

「だ、だって……」「だ、だってよ、ゼラ……」

「か、彼……」「こ、コイツは……!」

『……ウチのクラスの姿桐男(すがた きりお)だ「よ!!』

『な、何ィ!?』

 二人の発言にその場の皆が一同に仰天した。

 ミラーナイトの正体、それは修司とアッコのクラスメイトである姿桐男だった。

 

 ミラーガールはすぐさま気絶しているミラーナイトこと姿桐男の怪我を治療した。

「……う、う~~ん。い、いったい、何が……ん、み、皆さん、どうしたんですか? そんなに俺の顔を見つめちゃって」

 ナイトが目を覚ますと、ミラーガールや修司、そして他の面々も彼の顔を覗き見る様に見つめていた。

「み、皆さま。何で俺の顔をそんなに見ている訳なんでしょうか? い、いくら俺がカッコ良いからってそんなに見詰められちゃ、照れちまうよ……」

 その時、ミラーガールがナイトを睨む様に見詰めながら言い放った。

「そりゃ見詰めたくなるわ。は・じ・め・て! 貴方の顔を皆は見たんですもの。ま、私と修司だけは知っている顔だったけどね、キーオ」

「へっ…………わ、わっ、ワッ! ま、マスクが……!!」

 ミラーガールに指摘され、初めて自分の装着していたアイマスクが外れていた事に気付く姿桐男、通称キーオ。

 そんなキーオに修司が言い寄った。

「おいキーオ。まさかお前がミラーナイトだったとはな。驚き過ぎて呆れるぜ」

「ウッ……」

 修司に続き、ミラーガールがキーオに訊ねてみた。

「き、キーオ。貴方どうしてミラーナイト何かに……い、いいえ。それよりも、何故貴方がミラーナイトになっている訳?」

 ミラーガールに言い詰められ、観念したキーオは渋々答えた。

「……ふぅ、仕方が無いか。それじゃ言うけどよミラーガールいやアッコ、俺はこの世界の人間じゃないんだよ」

「え!」

 驚愕するミラーガールに修司達。そしてキーオは続けて話した。

「実はなアッコ、そして修司。俺はアッコが、加賀美あつこがミラーガールに変身したことでこの世界に何かしらの影響が出ないか懸念して鏡の国からやって来たんだ」

「か、鏡の国からだとっ」「え!」

 修司とアッコは驚いた。

 鏡の国。それはアッコにコンパクトを授けた鏡の国の女王が治める鏡の中の異世界。

 修司やアッコ達が驚く最中、キーオは更に述べた。

「まぁ、要するに加賀美あつこがちゃんと渡されたコンパクトで英雄としての務めが出来るか、そして小田原修司こと聖龍使いがミラーガールを始め他の英雄達もしっかりと護りつつ聖龍隊を指揮し続けるのか心配になってな。それでしっかりと二人の動向を観察していれば色々な場面で聖龍使いと一戦交えていたって訳だよ」

 これを聞いた二人は唖然とした。そして修司が唖然としながらもキーオに訊ねる。

「……お、おい、キーオ。そ、それじゃ……お前は、鏡の国の女王の事も知っているのか?」

 訊ねられたキーオは動揺する様子も無く、ただ平然と言う。

「知っているも何も、鏡の国の女王は俺の母上だ」『!!!』

「な、何だって!!」

「か、鏡の国の女王様がお母さん!? そ、それじゃキーオ、貴方は」

「ああ、実質的に俺は其処のバーンズと同じ王子って事になるな」

 キーオが告げる衝撃の事実にただただ驚く一同。

 

 余りにも衝撃的な事実を告げられ動揺した一同は、少し間を空けさせてから再度キーオに訊ねてみた。

「き、キーオ。貴方、ミラーナイトに変身して聖龍隊や聖龍使いに闘いを挑んでいたのは私達の実力を試していた訳だった訳?」

「まぁ、そんな所かな」

 アッコに訊ねられるとキーオは立ち上がり体に着いた砂ほこりを叩きながら返答した。

「で、でもなんでまた……」

 未だ納得のいかないアッコは再度キーオに訊ねてみると、キーオは不敵な微笑を浮かべながら話を修司に振った。

「それはだな、この先起き得るであろう、ある計画を本当に遂行できるか、俺自身まだ疑問に満ちているからな。そうだろ修司」

「! え、え?」

 話を振られた修司は偉く動揺した。

 そんな修司にアッコが訊いた。

「え? ある計画って……ねぇ修司、何なのその計画って言うのは」

「あ……あぁ、まぁ、そのな、その……何れ話す」

 話すのを躊躇いながらも修司は話を逸らした。

 そんな修司を見兼ねたウッズが咄嗟に一言、皆に告げた。

「み、皆さん! 今はまずチップバードさんの案内の元、超獣族の飛行機体に行かないと」

「あ、ああ」「ま、まぁ。確かに今はそっちが最優先だしね」

 ウッズに指摘され、バーンズにジュニアそして他の者達もそっちに意識が行った。

「そ、それじゃアッコ。俺達も行くか」「えっ、う、うん」

 修司に言われアッコも彼に着いていく形で後を行った。

 だがアッコはこの時、キーオやゼラの事が気になり、彼等に声を掛けた。

「あ、そうだ。ねぇゼラさん、キーオ、貴方達はどうする? 良かったら一緒に帰らない?」

 この言葉に二人は返した。

「あ、ああ……そうだな。一先ず今回は一緒に帰るとするか」

 顎を摘まみながらキーオが呟く。

「ふふ、ありがとうございます聖女。しかし、折角の御好意なのですが、私はまだ世界を見て回りたいのです。もう少ししたら私は自分の意志で町に帰ろうと思っているので、また機会が有りましたらお会いしましょう。では」

 そう言いながらゼラは一人、その場から去って行った。

 

 そして再び足を進める道中、修司は周りに聞こえぬようキーオに話しかけた。

「おいキーオ。お前、何であの計画の事まで知ってんだよ」

「ふっ、俺はお前の事で知らない事は無いんだぜ。聖龍隊結成の本当の目的、そして母上同様お前が別次元から来た存在だって事もな」

「!! き、キーオ。お前は、いったい……」

 キーオの発言に驚愕した修司が訊ねると、彼は横目で修司を見ながら告げた。

「まぁ、悪い様にはしないさ。既に多くの運命が狂ってしまった以上、もう後戻りはできない。それ故にお前の責任は甚大だぞ。下手をすれば鏡の国はもちろん、クィーン・アースも含めた全ての二次元界、そしてお前の世界も崩壊し消滅するんだからな」

「…………」

「……まぁ、安心しろ。こうなったら俺も出来得る限りの援助はして行くさ。いくら創造の存在とは云え、俺は若くして世界と共に消えたくは無いんでね」

 キーオの言動に、修司は何も言い返す事が出来なかった。

 

 

 

 

[超獣族の遺産]

 

 そして新たにキーオを加えた一行は、再びチップバードの案内の元、超獣族の隠し格納庫に向かった。

 辿り付いたのは崖の岩壁であった。

「お、おい。どうしたんだ、行き止まりだぞ」

「ああ、ちょっと待ってておくれなし」

 修司が困惑しているとチップバードがバーンズの肩から飛び上がると、岩壁に向かって目から赤い光線を放出した。すると壁が次第にせり上がり、隠された格納庫の入り口が目の前に現れた。

「! こ、これは……っ!」

 修司やバーンズ達が驚き、目を丸くしている中チップバードは羽をパタパタと羽ばたかせながら格納庫の中に入って行き、皆に呼び掛けた。

「皆はん皆はん、この奥に王子専用の飛行体が格納されているんや。はよ来んしゃい」

 チップバードに手招きされ、一行は格納庫の奥に足を進ませた。

 

 すると其処には分厚い金属の壁で護られている一角が存在し、その壁にある赤いランプの様なセンサーに再度チップバードが赤い光線を放出すると壁が両側から開いて行った。

 

 壁が両開きで開くと、中は学校の体育館ほどの広さの基地になっており、その中央には銀色に輝く不思議な球体が点在していた。

「……な、なぁ。あの球は、いったい何なの?」

 目を点にして唖然となりながらも修司がチップバードに訊ねると、彼はその巨大な球体に飛び近づき語った。

「何なのじゃ無く、これが超獣族の遺した王子専用の飛行メカでっせ」

『!?』

 チップバードの発言に皆、驚愕し愕然とし、とてつもなく困惑しながら衝撃を受けた。

 

 何故ならその金属の球体は銀色の光沢を輝かせながら翼もましてプラグを差し込む様な穴も何もないタダの直径10メートルほどの満丸の球体だったからだ。

 

「…………」

 皆かなりの衝撃を受けたが、一番衝撃的だったのが機体を譲り受ける本人のバーンズ。

 バーンズはチップバードに涙目で言い寄った。

「おおおおぉぉぉおい!! 何っ? 何なの!? 何で飛行機体がタダの金属のカタマリな訳なんだよ~~ッ! せめてコクピットぐらいは有っても良いだろうが~~ッッッ!」

「落ち付けバーンズ! コクピットが有る無いだけの問題でも無いだろうっっ」

 喚き叫ぶバーンズを必死に宥める修司。そんな二人を呆れ目で見つめてしまう一同。

 と、そんな状態に陥っているバーンズにチップバードが述べた。

「王子王子。そんなに慌てなさんな。これはちゃんと飛行できるようになりまっせ」

「えっ……ホント?」 

「ええ、ホントでっせ」

 チップバードに言われ唖然とするバーンズにチップは続けて話した。

「これはな王子。生前の国王、つまり王子のお父上が、超獣族では王子にしか無いテレパス能力を更に使いこなせる様にと、この機体を開発させたんでっせ」

「と、言うと……」

「と云いますと王子のテレパス能力でこの機体のコンピューターに直接王子の意志を伝える事で、王子の思った通りの機体に変化できるのがこのメカ何でっせ。これは王子以外の存在に多用されるのを防ぐために、わざとこんな造りにしてあるんや。今はこんな機体やが、ワイの中のコンピューターとこのメカの内臓コンピューター、更に王子のテレパスで意志をリンクさせればどんなメカニックに変化できる超獣族の技術の結晶何ですや、この機体は」

 チップの話を聞いてバーンズが目を丸くして問い詰めた。

「お、おい! そ、それじゃ俺がテレパスでこの球体に意識を送れば俺のイメージ通りに球体がメカにでも何にでもなれちまうって事か!?」

「ああ、そう言う事でっせ王子」

 チップバードの話に驚くバーンズに修司たち一同。

 

 そしてバーンズはチップの言うとおり、自分のイメージを球体にテレパスで送ってみた。

「う~~ん……」

 そんなバーンズを修司達は静かに見守る。

 そんな中バーンズは更にイメージを強く、そして膨らませながら球体にテレパスを試みる。

 

 すると銀色の球体は次第に変形して行き、グニャリグニャリと形が成り立って行った。

「うわっ」「こ、これは……!」

 まるで生き物の様な動きをする球体に驚愕してしまう加納とウッズ。

 そんな動きをしながら球体は次第に形を変え、両サイドに翼らしい物が生え、ジェットエンジンの噴出口もある銀の光沢輝くシルバーの丸みを帯びた戦闘機にへと変貌した。

「おおう! これはまた、実に未来的かつ流線型なデザインの飛行機だなバーンズ」

「いやな。やっぱり人間の技術の一歩先を行く超獣族の技術が詰まった機体だからな。未来的なデザインの飛行機が良いかなと思ってね」

 銀色の光沢輝く未来的な流線型の繋ぎ目すら見当たらない滑らかで綺麗なフォルムの機体に、修司は興奮し感極まった。

 

 丸みを帯びた流線型フォルムの機体の側面から出入り口らしい物が開き、更には階段までが伸びるように出現し、皆機体に入り込んで行った。

 

「……へぇ~~、案外中は広いんだな」

 機体の中を見回す修司がボツリと呟く。

「でも何だか殺風景ね。せめて椅子とかが有れば座れるのに」

 アッコが呟くと、それを聞いたバーンズが再度テレパスで機体に意志を送った。するとアッコや修司達の後ろに銀色の金属の椅子が出現した。

「わっ。い、椅子が生えて来たっっ?」

 突然自分の後ろに、まるで草が生えてくるかのように現れた椅子に驚愕するアッコ。

「そんなに驚くな。オレのイメージ通りに機体はどんな形状にもなれるんだからよ」

 そうバーンズは言うと、前方のコクピット席に座り込んだ。すると彼の目の前のメカニックから操縦桿が飛び出す様に出現し、バーンズはそれを両手でしっかりと握り締めた。

「よし……みんな行くぜ」

 バーンズが告げると、同時に前方の壁が上下に開き、奥の方に光が見えた。そう飛行機の射出口であった。

 そして皆、床や壁から出現した椅子に腰を下ろすと、突然金属の布が腰や肩に巻き付いて来た。

「う、うわっ」「な、なに?」

 巻き付いて来た布に驚く面々。それはいわゆるシートベルトだった。

 皆にシートベルトが巻き付いたのを確認したバーンズは一気に機体のエンジンを点火した。

 すると機体は一瞬で上空まで飛び上がり、一行はそのままアニメタウンまで直帰した。

 

 

 そして空を行く飛行体の機内では、様々な会話がなされていた。

「おいバーンズ! この機体メッチャイケるじゃねえか! お前こんな戦闘機の運転までできるんだな!!」

 目を輝かせながら修司がバーンズに話しかけると、彼は微笑みながら返した。

「なに、昔っから英才教育の一環でメカとかの扱いも教えられているんでね。何よりテレパスでどう動かすかも解るから簡単に操縦できるんだよね」

「そっかぁ。ところでこの機体の名前なんだが、シンプル何だけど《シルバー・ウィング》(銀の翼)って名前はどうだ」

「オオゥ、なかなか良い名前じゃないか。良し、それで行こう! 今からこの機体はシルバー・ウィングだ!」

 そしてこの時、機内で座っていた加納望がキーオに訊ねていた。

「あ、そう言えばキーオくん」「ん? 何だいカノンさん」

 キーオは不敵に口元を微笑ませながら返答すると、加納は更にキーオに訊ねた。

「いやね。君はさっき、自分は鏡の国の女王の息子だって言っていたよね。僕は以前、その女王様とアッコちゃんのコンパクトを通して面識が有るんだけど、その時女王様は僕やミミナの出身であるクィーン・アースの事も既に知っていたみたいなんだけど、何で知っているのかなって」

「ああ、それは簡単な事だよ。俺たち鏡の国の住人が住んでいる世界は鏡の世界でな、鏡を通して色んな国や世界の様子を見れるんだよ。だから鏡が存在している国や異世界なら、鏡の国からは丸見えって訳なんだ。クィーン・アースにも鏡がちゃんと存在している以上、俺等の世界には存在が知られているんだよ」

「! そ、そうだったのか……!」

 キーオの告げる事実に軽く驚く加納。鏡の国からは既に鏡のある世界を見る事が出来るので、同時にその世界の存在も熟知しているというのだった。

 

 更に加納に続きアッコもキーオに話しかけた。

「ねぇキーオ。貴方はこの後どうする気?」

「ん、どうするって?」

「だって貴方がミラーナイトに変身して聖龍隊や聖龍使いに闘いを挑んていたのは修司の、聖龍使いの実力や、彼がしっかりと聖龍隊を指導して行けるかを見極める為なんでしょ。だったら、これからは私達と一緒に活動していかない?」

「!? な、何だって?」

 アッコの提案に驚いてしまうキーオに、アッコは更に問い掛ける。

「戦って相手の事を知り得るよりも一緒に行動して互いをもっと理解し合う方が良いと私は思うんだけど、どうかな?」

 笑顔で自分に話しかけてくるアッコの提案に、キーオは答えるのを躊躇ってしまってた。だがふと思った。

(う、う~~ん。このまま聖龍隊に入って良いのかどうか。正直世界のバランスを崩してしまう存在だからな、聖龍隊は。……いや待てよ。敢えて一緒に居る方が返ってコイツ等の行動を選り見張られるかもしれないし……)

 そしてキーオは愛想よくアッコに返事した。

「分かった、俺も聖龍隊の厄介になろう。俺も正直、もっと聖龍隊の英雄について知りたいしな」

「やったぁ♪それじゃ今後も宜しくねキーオ。修司も承諾してくれるわよね。キーオが聖龍隊に入る事を」

「えっ……う、う~~ん……」

 修司は一瞬迷った。理由がどうあれ、幾度となく聖龍隊や自分に刃向かったキーオを仲間に入れていても良いものかと。だが修司が悩んでいると、キーオが話しかけて来た。

「修司頼むぜ。俺も少しはお前のプランに協力してやれるかもしれないしよ」

「! お、お前……! ……何処まで知っているんだ」

 キーオを睨みながら修司は訊ねた。すると彼は思い詰めた無表情な顔をしながら修司の耳元に話し返した。

「……色々、いや、お前が経験して来た過去の事や、アッコの瞳の件、そしてこの先どんなキャラクターを救いたいか、その為にも行わなければいけない計画の事もな」

「!! お、お前は……!」

「安心しろ。今はアッコにも誰にも言わないで置くよ。下手に事実を知ったら、皆愕然とするし何より更に運命が狂ってこの世界共々、皆が消滅してしまうかもしれないからな」

「…………」

 

 

 こうして超獣族の王国跡での冒険は終わった。

 修司達は超獣族の王の言葉を知り、更に新たな仲間? のチップバードに、彼から聞いた変身怪獣の本名バーンズ・ウィングダムズ・キングズ、更には超獣族の技術が詰まったシルバー・ウィング。

 更に鏡の国の女王同様、修司の素性を知っているミラーナイトこと姿桐男、通称キーオを加えて彼等はアニメタウンに帰って行った。

 

 だがキーオの言っている世界崩壊とは? 狂ってしまった運命とは?

 

 

 本当の戦いは未だに闇の中でひっそりと眠っている。

 そう時が来るまで。

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