【聖龍伝説:第二章】英雄達の日々 作:セイントドラゴン・レジェンド
■その他にも、キャラの人格が崩壊しています。
[chapter:華麗なる騎士]
ジュニアことジュピターキッドの歓迎会が開かれていた最中。
町の異常な事件を察知して警報装置が作動。
聖龍隊は新たに仲間になった参謀・ジュピターキッドにスターライツを従えて現場に急行した。
現場は、謎の生命体によって破壊された自動車やバイクが散乱する国道だった。
「……な、何これ?」「う、うむむ……」
現場に付いた聖龍使いとミラーガール。
そして聖龍隊は辺りを見回して愕然とした。
何故なら、其処には既に体を斬り裂かれ打ち捨てられていた魔獣が横たわっていた。
「こ、この変な生き物って……な、何なの?」
セーラームーンは見た事も無い不気味な生き物の残骸を目の当りにして驚いてた。
「こ、この生き物……確かニュースで見た事有るわ。今、世界中で色んな都市や町を破壊しつくしている怪物よ」
亡骸を見てマーキュリーが言う。
「そ、そう言われてみれば確かに良くニュースで取り上げられている怪物だわ。ママのニュースで見た事有る」
イサミも怪物の残骸を見て呟いた。
「だ、だけど……誰が怪物たちを倒したんだろう?」
「そうよ、その通り。私達は全員、先ほどまでメインフロアに居たんだもの。私達以外の誰かが倒した以外、考えられないものね」
ウラヌス、ネプチューンが互いに見つめ合いながら語る。
「だけどさ……正直、僕達以外の人間で此処まで敵をズタズタに斬り付けられる人物って、心当たりないよ」
新たな仲間、ジュピターキッドも目の前に転がっている怪物の残骸を見ながら言った。
そして皆が斬り殺された怪物たちの残骸に目をやっていた時だった。
「ほう……今ごろ駆けつけて来たのかい君たち」
「! な、何奴!!」
謎の声に聖龍使いが反応した。
すると皆の目の前に、見た事も無い10代か其処らの年齢の少年が物陰から出て来た。
「だ、誰!?」「あ、怪しい奴め!」
少年を見て警戒するマーズと小狼。
「ね、ねぇ。あの子の身形、何だか……」
「う、うん。何だかアッコちゃ、あ、いいや。ミラーガールのコスチュームと少し似ている……」
少年の服装を見て、マーキュリーとジュピターが気付いた。
目の前に悠然と立ち尽くすその少年は。
ミラーガールのコスチュームと同じ色合いをしている西洋の甲冑の様な鎧を首の下から爪先まで着こなしていた。
更に顔には濃い青色のアイマスクをしていてマスクの形状はミラーガールのと少し似ていた。
唯一ミラーガールと違う個所は、彼は盾を所持しておらず代わりに刀身の先端が広い形状の剣を腰に差していた。
「き、君はいったい誰だ!」「何者なの、貴方は」
デューイとミスティーハニーが謎の少年に向かって言い放った。
すると少年は口元を微笑ませ、聖龍隊を見つめながら言った。
「俺かい? 俺の名は……そうだな。華麗なる騎士、と言ってもらえば幸いかな」
少年は少し気障っぽく聖龍隊に言い切った。
「気障な奴だな、アイツ」「そうね。まるでソウシみたい」
「て、イサミちゃん。僕をあんな変な奴と一緒にしないで欲しいね」
トシやイサミの発言に言い返すソウシ。
「アナタ! フザケテないで、ちゃんと名乗りなさいよ!」
ミラーガールは半ば調子に乗って発言する少年に向かって叫んだ。
すると少年はミラーガールを見つめながら言い放った。
「これはこれは。聖女と呼ばれているヒロインにしては、かなり強気な発言をするんだな」
少年は口元を上げながら、嘲笑うかのようにミラーガールに発言した。
「あ、あの少年……ちょっとカッコイイかも……」
少年の顔をジッと見ていたヴィーナスは思わず呟いた。
「ねえ君! 御辞儀も大事だけど、その前に名乗るのが本当の礼儀ってものでしょ!!」
「お、おお……! 何とも、勇ましい事……」
少年はミラーガールに本気で叱られ、少しばかり動揺してしまう。
そして少年は観念したのか話し出した。
「ふぅ~、分かりました分かりました。申し上げてあげましょう」
少年は溜息を付きなら呟き語り、そして皆に自分の名を名乗り始めた。
「ミラーガールよ、そしてついでに聖龍隊の皆さま方。よ~く俺の名前を覚えて居て置いてくれよ。……俺の名は《ミラー・ナイト》! すなわち鏡の騎士である!!」
少年、いや、ミラーナイトはカッコ良くポージングをとりながら言い放った。
「み、ミラーナイト……!!」
聖龍使いは驚いた。
何故なら加賀美あつこことミラーガールも本来なら二次元界には存在していなかった英雄であったのだが目の前のミラーナイトも彼女と同じく二次元界では見当たらないキャラクターで有ったからだ。
「み、ミラーナイト。あ、貴方はいったい何者なの?」
ナースエンジェルが訊ねると、ナイトは堂々と言い放った。
「そうだな。しいて言えば、アニメタウンで一番イケメンで最強の英雄……かなっ」
発言しながらナイトは皆に向かってウインクを飛ばした。
「ふ、ふざけてやがるな。あの小僧……!」
「そうだな。見てて胸くそ悪くなる」
青児と衛がナイトを見て腹を立てていた。そんな二人を見て、ナイトが吐いた。
「フッ、お二人さん。いくら年寄りだからって俺様の初々しい若さを妬んじゃいけないぜ」
ふてぶてしく吐いたナイトの言葉に、青児とタキシードはキレた。
「い、いい加減にしろよ。このガキャ……!」
「い、いっぺんシメたろか……?」
二人は普段、絶対に言わない様な言葉を吐き、絶対に見せない表情を浮かべた。
「あ~~やだねやだね。オッサンの僻みっぷりは」
ナイトは鼻で笑いながらドヤ顔で言ってしまう。
『シャーーーーーーッ!!』
ナイトの態度に二人は完全にブチギレてしまった。
「殺す! あのガキ絶対ブッ殺すぞタキシード!!」
「アアッ! 口に手ェ突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたがる……!!」
最早人間の顔で無くなった二人を見て、他の皆は顔面を蒼白させた。
「ヤルのかい皆さん。それだったら俺も手を抜かないぜ」
不敵に笑いながら、ナイトは腰に差していた剣を抜きとり剣先を聖龍隊側に向けながら構えた。
「ほぅ。君も剣が主流の武器なのかい?」
ウラヌスが訊ねると、ナイトは悠然と答えた。
「ああ、そうだ。そう言えば、アンタの武器も同じ剣だったんだよな。セーラーウラヌス」
不敵に微笑みながら、ナイトはウラヌスに問い掛ける。
「それだったら私がお相手するわ。私も剣術には自身が有るのよ」
そう言いながらミスティーハニーが前へと出た。
「僕だって黙っちゃ居られない。こんな何処の誰か分からない奴にデカイ顔されたら、この先事だからね」
ウラヌスもミスティーに続いて前に出た。
そんな二人に対し、ミラーナイトは優雅に、そして悠然に身構えながら言い放った。
「ほぅ~。麗しきレディー達と太刀合えるとは実に光栄だ。良いとも、此方からも是非御手合わせをお願いするよ」
「分かった。それでは行くぞ!」「調子に乗っているのも今の内よ!」
ウラヌスとミスティーハニーは剣を構えて一直線にナイトに向かって行った。
するとナイトは徐に剣を持っている右腕を、力いっぱい前方に振り払った。
ナイトが剣を振り払うと、剣刃の部分が突然分かれて鞭の様に伸び出した。
そして伸びた刃はウラヌスとミスティーに向かって行き、二人の体をズタズタに引き裂いた。
「ぐはっっ」「きゃああっ」
体を引き裂かれた二人は傷だらけになり、道路に倒れ込んでしまう。
「う、ウラヌス!」「ミスティー!」
二人を心配しネプチューンとキューティーハニーが倒れた二人に駆け寄る。
「な、何だ? あ、あの剣は?」「ば、バラバラになっちまったぞ!?」
ナイトが振った剣が形を変えた事に驚愕する星夜とトシ。
「ま、まさか……あんな剣が存在していたとは……」
「こ、この星には、あんな武器が存在していたと言うのか」
同じく突然剣刃が分かれてしまった剣を見て驚くメイカーとファイター。
これを見た聖龍使いがミラーナイトの武器を見て呟く。
「なるほど、関節剣でござるか。お主、中々面白い剣を所持しておるのじゃな」
「か、関節剣?」
聖龍使いが口に出した【関節剣】にメタルバードが反応した。
すると聖龍使いは語りだした。
「関節剣。またの名を蛇腹剣とも言うが、剣を振る時の力加減や振り方によって二種の形状に変化する武器じゃ。動きの早い剣での攻撃と、重く広範囲の敵を攻撃できる鞭。この二つの特性を所持している剣の事じゃ」
聖龍使いが語っていると、それに返答するかの如くナイトが言い放つ。
「ああ。因みにこの剣は《ミラー・ブレイド》という。俺お気に入りの武器だ。どうだ、イカすだろ」
「……なるほどのぉ」
聖龍使いが無言でナイトを見つめているその時、ウラヌスとミスティーは傷だらけになった体を引き摺りながら立ち上がった。
「だ、大丈夫? ウラヌス……」「ミスティーハニー、怪我は……」
切り傷だらけの二人にサターンとちびムーンが歩み寄る。
「あ、ああ。何とか平気だ……」「ま、まさか剣が伸びてくるとはね……」
苦痛によって顔を歪ませながら返事するウラヌスにミスティー。
その時、聖龍使いが唐突にミラーナイトと話しだした。
「……ミラーナイトよ。関節剣を所持している主に、一つ頼みたい事が有るのじゃが」
「ん? 何だい? 俺に頼みたい事って…?」
「うむ。実はな……」
皆が二人の動向に目を向ける中、聖龍使いはミラーナイトに言い放った。
[激突! 武人VS騎士]
「……『僕の躾けは厳しいよ』って言ってみてくれないか?」
「……言わねーよ」
「そうか、なら……『僕にはもう、時間が無いんだ』」
「言わねーーって!! テメェなに某戦国ゲームの武将の台詞言わせようとしてやがるんだ!!!」
聖龍使いの発言にブチギレながら怒鳴りつけるミラーナイト。
それに対して聖龍使いは両手の人差し指を向かい合わせながら呟くように言った。
「だって~~、やっぱり関節剣って言ったら、例のあの人が有名じゃないか。だからさ~、少しぐらい言ってくれれば嬉しかったんだけどな……」
「ウルセエよ! 100パー作者の趣味じゃねえか!! なに別の版権ネタ織り込んできてんだよ!!」
二人の言い合いに、他の面々は思わず呆れてしまった。
「……な、なぁ。ときどき修司さ、あ、いや。聖龍使いって真面目な展開にも関わらずふざけた言動するよな」
「あ、ああ。何なんだろうな……」
目の前の二人のやり取りに、思わず死んだ目で呆れ果てる星夜と小狼。
「こ、これが、聖龍隊……なのかい?」
「は、話に聞いていたのと偉い違いだ……」
「わ、私達は、これから、こんなメチャクチャな展開に付いていかなければいけないのでしょうか……」
涙を流して嘆くヒーラー・ファイター・メイカーの三人にキッドが歩み寄り、そして優しく声を掛けた。
「……大丈夫。慣れれば良いんだよ、慣れればね」
この時、三人に語りかけるキッドの目には涙が浮かんでいた。
そしてナイトは本格的に聖龍使いに攻撃を仕掛けて来た。
「このヤロー! 冗談抜きで痛めつけてやる!!」
ナイトは叫びながら聖龍使いに向かって行き、ミラーブレイドを振り回す。
「はっ」
聖龍使いは剣を振り回すナイトの攻撃を聖龍剣で受け止めていきながら攻撃を回避した。
剣と刀がぶつかり合い、激しい金属音と火花を出しながら聖龍使いとミラーナイトは剣戟し合った。
「うわ~~、やっとまともな闘いになって来やがったよ」
「うんうん。いつもの義兄さ、あっ、いいや、聖龍使いらしい豪快で爽快な剣戟だね」
ナイトと闘い合う聖龍使いを見て呟くメタルバードとキッド。
「はっ、はっ!」「ハァぁっ!」
聖龍使いとミラーナイト。両者は互いに引けを取らない剣戟を繰り広げ続けた。
そんな二人を見て聖龍隊の皆は衝撃を覚えた。
「あ、あの二人……な、何だか凄く活き活きしてない?」
「え、ええ。言われてみれば、確かに……」
激しい刀と剣のぶつかり合いを見て唖然としてしまうセーラームーンとマーズ。
「な、何だか聖龍使いの目。いつも以上に活気溢れると言うか何というか……」
「ええ。いつも以上に目に力が入っているわ」
聖龍使いの目の奥に通常の彼からは感じられない熱い何かを感じ取ったマーキュリーとキューティーハニー。
「す、凄い火花……」「ほ、本当に時代劇みたいに火花が刀から出ている……」
激しい剣劇で生じる火花を見て目を丸くして驚く苺鈴にさくら。
「おりゃおりゃ!」
聖龍使いは更に力を込めて刀を振るった。
「くっ、なんて馬鹿力だ……!」
聖龍使いの豪力に怯み始めるナイト。すると彼は一旦、後退して態勢を立て直した。
「イヤっほ~~、聖龍使い、もっとヤッっちゃって~~」
「エッ! う、うむ……」
突然ミラーガールからの声援を受け、驚きながらも返事をする聖龍使い。
そんな彼女の姿を見て、ナイトは軽く笑いながら吐き捨てた。
「ふっ、まったく。あのミラーガールって女の趣味は悪過ぎる。なんでこんな古臭い言動をする鎧男に夢中になるんだか」
ナイトのこの発言を聞いた聖龍使いは封を切った様にナイトに叫んだ。
「言うんじゃねえナイト! 俺はともかくミラーガールを……! 仲間をバカにするような言動は、俺の前で言うんじゃねえぇぇ!!」
『!!』「! せ、聖龍使い……!」
突然自口調で叫ぶ聖龍使いの言葉に驚く聖龍隊とミラーガール。そしてミラーガールは、聖龍使いに向かって笑顔で言った。
「……ふふっ。大丈夫よ聖龍使い、私は全然気にしてないから。さっさとそんな変な人倒しちゃってーー」
「ガァーッン……」
ミラーガールの発言に人知れずショックを受けるナイト。
そして彼女の発言を聞いた聖龍使いは徐に態勢を変えて発言した。
「あ、ああ。分かったわい、それじゃー、目には目を戦法で、さっさと終わらせてやるわい」
すると聖龍使いは徐に腕を構えながら刀の切っ先をミラーナイトに向けた。
「な、何をする気なの彼は?」「い、いったい聖龍使いは何を……」
独特の構えをする聖龍使いを見て不思議がるプルートとデューイ。
すると聖龍使いの体から電気が発生した。
「え、えっ?」「で、電気が体から!?」
突然体から電気を放出する聖龍使いを見て驚くファイターとナースエンジェル。
「ま、まさか彼、体から電撃を放つ積りじゃ?」
「ウッソっ? ま、まこちゃんじゃあるまいし」
同じく、激しく動揺しながら驚くネプチューンとヴィーナス。
「で、でも確か、彼って雷も発生できた筈よ。だから体から電撃を放てる事も可能なんじゃ……」
「じゃ、じゃあ聖龍使いは、あの銀天狗の様に電撃の球を刀の先から放てるのか……!」
マーキュリーの解説に答える様に発言するソウシ。
「はああぁぁ……!」
聖龍使いは切っ先をナイトに向けたまま構えていると、聖龍剣に電撃が溜まっていった。
「す、スゲエ! あ、あのまま電撃の球をミラーナイトにぶつける気だ!」
「で、でもよ。な、何かどっかで見た事有るような、無い様な……」
トシの発言にメタルバードが言い返していると、聖龍使いが咄嗟に叫んだ。
「HELL DRGON!!」
聖龍使いが叫ぶと刀の先から電撃の球がミラーナイトに向かって放たれた。
『ええええええぇぇぇぇぇ!!』
聖龍隊一同は口を開けて驚き叫んだ。ナイトも続けて叫んだ。
「ってちょっと待て―ー! それ完全にパクリの技だろうが―ー!!」
そして電撃の球がナイトの眼前まで迫って来た。
「う、うわっ」
ナイトはギリギリの所で球を回避した。
電撃の球はそのまま、彼の後方に有った一台の自動車に直撃。車は大破した。
「てオーーイ! 車が火を吹いて炎上しちまったぞぉ!!」
「おい聖龍使い! その技ってお前の技じゃないだろうが―ー!!」
技を見て激しくツッコム青児とタキシード。
そんな時、聖龍使いは電撃を避け腰を抜かしてしまっているミラーナイトに向かって右手で聖龍剣を肩に構え乗せ、左手を前に突き出して挑発するかのポージングで言い放った。
「Ha! peace again!」
聖龍隊は完全に顔面崩壊で驚愕し、メタルバードが叫んだ。
「おーーい! それ最早別もんだろうがーー!!」
続いてキッドも叫んだ。
「完全に蒼龍、丸パクリじゃないかーー!!」
「ワハハッ。いやぁ、一度やってみたくて、遂」
「遂じゃないでしょーーがッ!」
聖龍使いの返事に泣きながらツッコム小狼。
「それになぁ。相手も関節剣って言う武器使っているから良いかなぁって」
「いくら武器が某戦国ゲームの武将の武器と同じだからってアナタまでそのゲームの技使っても良い訳!?」
珍しくキューティーハニーまでも聖龍使いにツッコんだ。
そんな聖龍隊のバカ騒ぎにも似た会話の最中、ナイトが聖龍使いに告げた。
「おい聖龍使い! 技のパクリも問題だが、テメエ民間人の車炎上させても良いのか!?」
ミラーナイトは、先ほど電撃が当って炎上した車を指差しながら聖龍使いに告げた。
すると聖龍使いは平然と言い放った。
「ああ、大丈夫でござるよ。その車も魔獣が破壊した事にして置くから。それで後は結果オーライ♪」
親指を立てながら言い放つ聖龍使いにナイトは叫んだ。
「それで良いのか聖龍隊の総長を務める男が! 町の英雄が自分の仕出かした事を全部魔獣の所為にしても良いのかよっっ!」
左手を突き出しながら聖龍使いにツッコミ口調で叫ぶナイト。
すると聖龍使いは再度、平然と言い放った。
「ダイジョーブダァ♪ 一応ワシが、この話の主人公何じゃしな」
「ふ、ふざけんじゃねえぇぇ!!」
涙目で激しくツッコむナイト。
そんな様子を見ていた面々は、激しい状況変化に慣れず、少しばかり疲労してしまってた。
「も、もう疲れた……こんな展開」「も、もう無理……」
涙目になりながら腰を下ろしてしまうナースエンジェルにさくら。
「は、ははは…い、いつも以上にグダグダ……」
「い、いくら何でも、こればっかりは慣れないわ……」
「わ、私…少し貧血起きて来た」
「い、今は耐えよう、亜美ちゃん……」
「わたし、もうイヤ……」
内部系セーラー戦士も地べたに座り込み呟いた。
「お、おい聖龍使い。皆もう精神的にクタクタだからよぉ、さっさと終わらせてくれよ」
メタルバートが呟くと聖龍使いは強気な口調で返事をした。
「おうっ、それでは再度取っ組みあうとするか」
そう言うと聖龍使いはミラーナイトに再び向き合い、彼をジッと見つめると刀を構えて突っ込んで行った。
「く、くそっ」
そして二人は再度、激しい剣戟を再開した。
[武器となる鋼鳥]
聖龍使いとミラーナイト。
二人の剣戟は一向に激しさを失わず共に鋭い眼光を光らせながら引けを取らない闘いを見せた。
そんな二人を見守るしかない聖龍隊の面々。長引いてしまうと不安がったデューイが聖龍使いに言った。
「な、なぁ。聖龍使い、僕も共闘しようか」
だが聖龍使いはデューイに返答した。
「手出し無用! この者は拙者が打ち倒す!」
ミラーブレイドを鞭の様に振り回し攻撃しているナイトも続いて発言した。
「たくっ、いつ聞いてもジジ臭え事ばっか言いやがるんだな、お前は!」
「黙れ小僧!」
聖龍使いはナイトの鞭状の関節剣を聖龍剣で弾きながら言い返した。
「こ、このままでは、確かに勝負が長引いてしまう……ならば!」
聖龍使いは徐にメタルバードの方に顔を向け、彼に言った。
「メタルバード! 例のアレ、ヤルでござるぞ!」
「ええぇ~~!? オレ、アレ嫌なんだけど」
文句を言うメタルバードに聖龍使いは更に言った。
「良いからヤルでござる。主の鋼の体の特性を最も活用できる合体技なのでござるぞ」
「わ、分かったよ……」
メタルバードは渋々と聖龍使いに駆け寄った。
「な、何をする気だ?」「さ、さぁ?」
タキシードとキッドは思わず顔をキョトンとさせた。
「それで……今回はどんな風に変化させれば良いんだよ」
「うむ。今回はな……」
聖龍使いとメタルバード。二人はヒソヒソと周りに聞こえない様に密談した。
「オイお二人さん。なに二人だけでヒソヒソ話し合っているんだい。俺は速急にジジ臭い聖龍使いを斬り倒したいんだが」
ナイトのこの発言にミラーガールが言い返した。
「君! 何で聖龍使いを目の敵にしているの!? さっきから見ていて感じたけど、アナタ自棄に聖龍使いの事敵視しているんじゃない!?」
ミラーガールの発言を聞いたナイトは険しい眼つきでミラーガール等聖龍隊に言い放った。
「フッ、そりゃあ……その男の影響で、この世界が変わりつつ有るからな」
「え?」
ナイトの発言にミラーガールも聖龍隊も目を丸くして呆然としてしまった。
その時、聖龍使いの傍らに居たメタルバードが聖龍使いの頭上高くに飛び上がり空中で自身の体を軟体化させて体の形状を変化させていった。
「な、何をする積りだ聖龍使い!」
ナイトが声を上げている最中にもメタルバードの姿は変わりつつ有った。そしてメタルバードの体は巨大な斧の様な武器に変化した。
「ちょ、ちょっと待て! た、確かその武器って……!」
巨大な斧の形状を見て驚くナイト。
そして聖龍使いは右手に持っていた聖龍剣を腰に差している鞘に納めつつメタルバードが変化した強大斧を両手でしっかりと持ち上げ構えた。
巨大斧を持ち上げながら、聖龍使いは言った。
「おんどりゃあぁ! ミラーナイトよ。これでワシと力比べするんしゃい!!」
「ちょっと待った! そ、その台詞って言うか訛り口調も何かパクッている気がするんだけど!」
聖龍使いの発言に、これまた珍しくウラヌスがツッコム。
更にジュピターがウラヌスに続いて発言した。
「って、その武器も何かまたパクッているわよ!」
其処にナイトも続いてツッコム。
「オイッ! さっきの『HELL DRGON』もそうだったけど、その武器に喋り方もパクッてないか!?」
「黙らっしゃい! 覚悟を決めるがよか」
そんなナイトの発言に訛り口調で言い返す聖龍使い。
そして聖龍使いは巨大な斧を持ったままナイトに突っ込んで行き、斧を豪快に振り回しながら闘った。
「ウワー~ッ、止めろーー止めてくれーー! いっくら何でも、そんな斧一撃でも喰らったら即アウトだよぉ!!」
驚き困惑しながら叫ぶミラーナイトに聖龍使いは斧を振り回しながら平然と言った。
「その通りばい。全ては一刀による一撃のみで闘いは決まるんばい!」
「オイっっっ、いつまでその訛り口調で喋り続けるんだぁぁ!」
青児も聖龍使いの喋り方にツッコム。
そんな最中も聖龍使いは斧を振り下ろしたりブン回したりしながらミラーナイトに向かって発言した。
「ミラーナイト! おまはんが魂、ワシに見せてみいィ!」
「だーかーらっ! いい加減パクリネタは止めろって!!」
必死に攻撃を避けながらも応戦し、それでかつツッコミを入れるナイトに聖龍使いは更に言う。
「勝負は髪の毛一本分。それ位の差じゃ」
「アーーーーッ!! 完ッ全にBASA○Aの島○義弘の台詞も武器も丸パクリじゃないかよーー!!」
ミラーナイトは突っ込みながらも関節剣であるミラーブレイドを振って鞭の形状で聖龍使いを攻撃していく。
聖龍使いは巨大斧でナイトの攻撃を受け止めつつ彼に対して斧を力の限り振り回して攻撃していった。
そんな激闘の中、巨大斧に変身しているメタルバードが聖龍使いに言った。
「お、おい相棒。さっきからお前が無茶な扱いしたり、あのミラーナイトって野郎の攻撃受けてばっかでオレの体随分痛いんだけど……」
涙声で話すメタルバードに聖龍使いが言う。
「耐えるのじゃメタルバード。ほら、良く言うじゃろ。『鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス』と。待つ事も大事な強さなのでござるよ」
「オイこらーッ! それって徳○家康の有名な句じゃねぇかーー!!」
メタルバードが激しく言い返す中、更に聖龍使いは続けていった。
「因みにワシの句はこうじゃ。『鳴かぬなら 鳴くまで脅す 不如帰(ほととぎす)』」
「ってオイーーっ! 鳴くまで脅すって脅迫かよ!? なに? お前は脅迫で事を進める男なのかよ!!?」
『成せば成る 成さねば成らぬ」
「ってなに言ってんだよっ?」
巨大な斧という武器に変身してもメタルバードは通常通り聖龍使いを、相棒をツッコんでいく。
「おりゃーー、チェストーーッ」「うわっ、うわぁ!」
聖龍使いは斧を振り回し、また軽く跳ね上がると少し高い位置から斧を振り下ろしてナイトを攻撃していく。
これを見ていた面々は、珍妙な面持ちで告げ始めた。
「……な、なんか。余計に道路が破損していってないかい?」
「う、うん……言われてみれば……」
原作では絶対見せない様な珍妙な顔で会話するウラヌス・ネプチューンのカリスマ組。
「ど、道路が益々メチャクチャになっていっちゃってる……」
「ほ、ほええぇぇ……アスファルトが罅(ひび)だらけな上に電灯も斧で斬られて倒れちゃってるよぉ……」
目の前で行われる激闘で破壊されていく道路を見て半ば怯えた表情で言うナースエンジェルにさくら。
そんな珍妙な上に怯えた目で語り合う面々に、キッドが半ば死んだ目で皆に言った。
「……僕、これを見て一つだけ確信できる」「……なに?」
キッド同様、低い口調で死んだ目で言うマーズ。
そしてキッドは聖龍隊に向けて死んだ目で見詰めながら言った
「……これ、絶対父さん泣くよ」
冷めた真顔で語るキッドに、その場の皆も冷めた真顔になった。
「確かに……」「ウッズさん泣いちゃうね。こんな惨状には……」
ちびムーン、セーラームーンが泣きながら語る。
「た、確かに……これだけ壊されちゃ……」
「ウッズさん、大変ねぇ……」
ジュピターもマーキュリーも呆れ顔で呟く。
「もうイヤ! 俺一抜けた!」
激しい剣戟の最中、メタルバードは聖龍使いの手から抜け出した。
「ああぁ! おいどんの太刀が」
「だから好い加減BA○ARAネタは止めろって!!」
「……もうキレたぞ、俺」
聖龍使いとメタルバードの言い合いの最中ミラーナイトは関節剣で聖龍使いを攻撃してきた。
「ふむっ」
聖龍使いは咄嗟に聖龍剣で攻撃を弾こうと思い刀を突き出したが、なんとナイトの関節剣が聖龍剣に巻き付いてしまった。
「し、しまった!」
動揺する聖龍使い。
「ああ!」
それを見ていたミラーガールも声を出してしまう。
「さぁ! 御次は此方からビシビシ行かせてもらうぜ!」
ミラーナイトが関節剣を両手で持ち、身構えた瞬間。聖龍使いは何かの攻撃が来ると察知する。
「そうはいかぬ!」
聖龍使いは咄嗟に、ミラーブレイドが巻き付いてしまった聖龍剣を地面に突き刺した。
「なに?」
その行動に驚くナイト。そして自身の剣が聖龍剣に巻き付いてしまっている為ナイト自身も身動きが封じられてしまった。
「おりゃーっ」
動揺するナイトに、聖龍使いが単身ナイトに突っ込んで行く。
「ウッ」
眼前まで迫って来る聖龍使いにナイトは驚いた。そして
「ハアァァッ」「うぐっ……」
聖龍使いはナイトの顔面に拳骨を殴り付けた。殴られたナイトは後方に吹っ飛んでいき、それと同時に関節剣も引っ張られ、聖龍剣も持ってかれそうになるが。
「そうは、させぬわ!」
聖龍使いは自身の右側から持っていかれる聖龍剣を空中で掴み取り、奪い返した。
そして関節剣を元に戻したナイトは顔を押さえながら苦痛の面立ちで聖龍使いに言った。
「くっ……な、なんて無茶苦茶な。だが同時に冷静かつ大胆な判断力だ……!」
そして二人は、再び睨み合いながら身構えた。
[割れた鬼の面]
それから、聖龍使いとミラーナイト。
双方は互いに動く事も無く、ただただ互いの目を睨み続けた。
二人の空気は重く、誰も寄せ付けないほどの雰囲気を醸し出していた。
「……せ、聖龍使い」
ナイトと睨み続ける聖龍使いが放つ重く異様な空気にミラーガールは不安だった。
そして唐突に、聖龍使いがナイトに告げた。
「……行くぞ!」
それに答える様にナイトも言った。
「ああ……!」
そして二人は一気に駆け寄り、双方の太刀筋が相舞った瞬間一筋の閃光が見えた。
二人は互いの真横を駆け抜けると同時に斬り付けた様だったが、ミラーガールはもちろん聖龍隊の面々にも斬り付けた瞬間は見えなかった。
「……ウッ」
その時、立ち尽くしていたナイトが崩れ落ちた。
「や、やったの?」「せ、聖龍使いは…?」
声を上げるミスティーにヴィーナス。そして聖龍使いの方は。
「……うん。皆の集、ワシは大丈、ぶ……」
聖龍使いが皆に告げようとしたその時。
何と顔に付けていた鬼の面が縦に真っ二つに割れてしまった。
『……あ』「……あ、あ……」
『あああああぁぁぁぁ!!!』
面が割れ、地に落ちてしまい聖龍隊も聖龍使いも思わず叫んでしまう。
「あ~~ッ面が~~ッ!」
素顔が曝された小田原修司は思わず叫びを上げる。
そして聖龍使いの素顔を見たナイトは彼に告げた。
「ふっ、いつもの小田原修司の性分に戻ったか」
『!!』聖龍隊は驚いた。
ナイトが修司の顔を見てあまり驚いてない様子から、ナイト自身最初から聖龍使いの正体を分かっていた事が垣間見えたからだ。
「オイィ! 大事な面をよくも割ってくれちゃったな!!」
涙目でナイトに叫ぶ修司。
「オイっっ。それよりも修司! コイツ何だかお前の事知っていたみたいだぞ!?」
修司に告げるメタルバード。だが修司は
「そんな事よりもっ! おいミラーナイト!」
修司はミラーナイトに歩み寄り、右手を平たくして前に突き出した。
「ん?」
ナイトが不思議がっていると、修司は彼に言い放った。
「罰金 10億万円な」
「……オイっっ! 何じゃその大金!! しかも元ネタ完全に「クレしん」じゃないか!!」
「正義のヒーロー 小田原修司」
「アアーーーー! それも完全にぶ○○りざえもんの丸パクリじゃろうがーーーー!!」
二人が激しい言い合いをしている、その時。ふとキッドが有る事に気付いた。
そしてキッドは地面に落ちた鬼の面に歩み寄り面を手にとってナイトと言い合う修司に言った。
「ね、ねぇ……ちょっと良いかい、お二人さん」
「何だ?」「何だキッド?」
キッドの問い掛けに反応するナイトと修司。
二人に対しキッドは言った。
「ね、ねぇ。ちょっと気付いたんだけど、何か鬼の面、変わっちゃってない?」
『ん?』
キッドに指摘され、二人が鬼の面を見てみると真赤な鬼の形相に彫られていた面は、何故か木面無垢な木の面になってしまってた。
「……これは?」「な、なんで……?」
面を見て思わずポカンとしてしまうナイトと修司。そして面を見た聖龍隊も同じような顔で不思議に思っていた。
そんな時だった。
「ウガアアアァ、ウガアアァァァ……!」
『!?』
突如辺りに響く、唸る様な大声にナイトも修司も聖龍隊も驚いた。
「な、なに? この唸り声みたいな音は?」
ミラーガールが驚き辺りを見回していると唸り声が更に大きく、そして何と聖龍隊に向かって話しかけて来た。
「ウガアァァ! お前達か、俺を今まで封印してきた聖龍使いの一派は?」
『!!?』
皆が辺りを見回していると、ジュピターが声を上げた。
「あっ! み、みんな! あ、アレ……ッ」
ジュピターが驚いた様子で上の方を指差した。そして聖龍隊、ナイトが見たモノは。
「ウガアァ~~! 聖龍使いぃぃぃ!!」
何と高層ビルに匹敵するほどの巨大な鬼が立っていた。
『ええええええぇぇぇぇぇぇ~~~~~~っ!!』
聖龍隊もミラーナイトも絶叫した。
鬼の肌は、まるで血を浴びたかのように真赤で頭には白髪に二本の巨大な角を生やしていた。
そして顔は何と、聖龍使いが被っている鬼の面の顔立ちと瓜二つ。
「なっっ、何じゃありゃーー!!?」
修司は本気で驚いた。すると鬼は足元の修司や聖龍隊に気付いた。
「ウガーーッ! 此処に居たか聖龍使いィ!!」
「え???」
突如鬼は修司を見て声を上げた。しかし修司は鬼にはまるで心当たりがなかった。
「えっ? し、修司くん。あなた、あの鬼と面識が有るの?」
「えっ? い、いや、知らない知らない。俺あんな鬼の事なんて全く知らないよ」
修司は動揺しながら首を横に振り続けた。だが鬼は修司を見て、更に大声で言った。
「ウガーーッ、よくも俺様を今まで封印してくれたなぁ。タップリ暴れまわってやるぜ!」
そして鬼はその巨体で暴れ始めた。
「うわーっ」「いやぁーっ」
鬼が暴れると辺りはまるで地震が起きたかのように地面が揺れた。
更に鬼は手当たり次第に周りの建物を破壊し始めた。
「や、止めろー!」
タキシードが声を上げ鬼に言うが、鬼の耳にはまったく届かなかった。
そのとき、メタルバードが涙目で修司に訊ねた。
「お、おい聖龍使い。あ、あの鬼は何なんだよ!」
「し、知らねーーって。俺も初めてみるよ、あんなデッカイ赤鬼はよっ」
修司はもちろん、聖龍隊の皆までもが混乱している最中。突然、修司の右腕に装着している龍玉、そう聖龍が修司に話しかけて来た。
「……修司、修司よ。聞くが良い修司よ」
「せ、聖龍か!?」
突然の聖龍からの呼びかけに修司は驚き、そして周りに居た聖龍隊の面々も修司の所に集まり聖龍の話に耳を傾けた。
「こ、これが聖龍の声ですか?」
「な、なんか年配者の声っぽい…ね」
「う、うん。確かに……」
聖龍の声を聞いたライツの三人はそれぞれ言った。
「こ、これが聖龍の声……」
「初めて聞いたな」
「え、ええ……」
同じく初めて聞いたタキシード・青児・ミスティーも口を開いた。
「お、おい聖龍……あ、あの巨大な鬼はいったい何なんだ?」
多少焦りながら修司が聖龍に訊ねる。すると聖龍は修司や聖龍隊に聞こえる様に告げた。
「うむ。あの鬼はな……実はその昔、当時の聖龍使いによって面に封じ込められていた鬼なのじゃよ」
「ふ、封じ込められてた!?」
聖龍から聞いた修司は仰天した。そんな修司達に聖龍は続けて話した。
「うむ。あの鬼は確か名を怒る鬼と書いて【怒鬼】という名の鬼じゃった筈じゃ。その昔、確か安土桃山時代じゃったか、その頃の聖龍使いの目の前に巨大な鬼が地獄から這いずり出て来おって人里を暴れまわっていたのじゃ。その時、当時の聖龍使いが無垢な木の面に鬼を何とかして封じ込めらる事に成功したのじゃよ」
「お、鬼を面に封印してた……」
これを聞いた修司も聖龍隊も蒼然となった。
「と、ところで聖龍……じ、地獄から来たっていうけど実際あの鬼、そう怒鬼は何処の地獄から来た訳なの?」
修司が顔面蒼白で訊ねると、聖龍は彼に答えた。
「確か……あっ、そうじゃ確か、無間地獄から来た筈じゃったぞ」
これを聞いた修司は更に顔から血が引いていった。
「う、ウソだろ……む、無間地獄から……?」
「え? え? な、何、何なの? 無間地獄って……?」
セーラームーンは無間地獄の意味が分からずキョトンとした。
そんな彼女に修司が強い口調で説明した。
「オイっっセーラームーン! お前、俺より年上なのにそんな事も知らねえのかよ! 無間地獄って言うのはなっ、地獄で一番深い地獄、死んだ罪人の中で最も罪深い人間が落ちる地獄の事だよ!!」
「は、はぁ……っ」
「それからもう一つ! 地獄の鬼はな、やって来た地獄が深ければ深いほど強い鬼になっちまうんだよ!! だから無間地獄から来たあの鬼は地獄の鬼の中で一番強くてヤバい鬼だって事だ!!」
混乱しながらも修司はセーラームーンに説明する。
そしてこれを聞いたミラーガールは驚愕し、修司に訊ねた。
「う、ウソッッ! い、一番地獄で強いって、そ、それじゃ私達、どうやってあの鬼を止めれば良いのよ!?」
ミラーガールに言われ、修司は聖龍に訊ねた。
「そ、そうだ聖龍! お、俺たちゃどうやって、あの鬼を倒せば、あっ、いいや、止めれば良いんだよ!」
すると聖龍は平然とした口調で言い放った。
「……其処は、皆で協力して自力でやってくれ」
そう言い残し、聖龍は語るのを止めた。
『……お、おいィィィィィィィ!』
皆は絶叫した。
[怒れる鬼]
「ウガアアアァァ……!」
相変わらず鬼は大きな音を立てて町の中で足踏みをして暴れまわっていた。
「どーーすんだよ修司! これじゃ町が壊滅しちまうぞ!!」
修司の首根っこを掴んでメタルバードが言い放つ。
「お、俺だってどうすれば良いか今考えてんだよーー!!」
問い詰めるメタルバードに修司は涙目で言い返した。
その時、巨大な鬼、通称【怒鬼】が聖龍隊の女子たちを見て言い放った。
「……ん? おおぉ、こりゃベッピンな女子(おなご)じゃねえか。オイお前等」
「ハッ、はい……な、何でしょうか?」
怒鬼に睨まれ、思わず怯みながら返事をしたセーラームーン。
「お前等、痛い目に遭いたくなきゃ、大人しく全員生き肝を寄越しやがれ」
「え! い、生き肝!?」
怒鬼の言葉にジュピターは驚いた。
「あっ、はいはい! あ、あげるから何もしないでぇ!!」
「わ、私もちゃんと差し上げますから!」
セーラームーンにヴィーナスは涙目で叫ぶも。
「ちょ、ちょっと二人とも! 生き肝が何なのか分かってないでしょ!」
「え?」「うん?」
マーキュリーに問われてキョトンとするムーンにヴィーナス。
そして二人にマーズが言った。
「生き肝ってのはね二人とも、人間の生の心臓の事を言っているのよ!」
『……え、えええぇぇぇ!!!』
マーズの説明に、二人はようやく事の重大さを理解した。
そして女子たちが驚いている中、怒鬼は更に彼女達に告げた。
「人間の若い女子の生き肝を喰らえば長生きできるんだよ。さぁ、早く喰わせろ」
『キャアアァァ!!!』
怒鬼はムーン・ヴィーナスを始めとした女子一同に手を伸ばし、一同が悲鳴を上げた。
「逃げるんじゃねえよ、ほいっ」
すると怒鬼は一人の聖龍隊士を右手に握る様に捕えた。
「うふふ……めんこい女子じゃのぉ。でも、さっさと食べちまうか」
怒鬼が発言していると、握られていた者が怒鬼に向かって告げた。
「……お、おい」「ん? 何だべ」
「……僕は男だっ!!」
「いっ、ギャアアァァァァ!!」
何と怒鬼が捕まえたのはデューイであった。
そしてデューイは自分を握っていた怒鬼の右手を自らの剣で突き刺し、怒鬼は絶叫した。
「い、イデェ……」
自分の右手に深々と剣を刺された怒鬼は思わずデューイを放してしまった。
「たくっ、ホントにこのシリーズは僕の扱いに関して酷いなぁ」
解放されたデューイは愚痴を零す。
「ぐうぅぅぅ……や、やりやがったな!」
剣で刺された怒鬼は怒り、女子達を睨みつける。そして右手に突き刺さった剣を抜き言った。
「こうなったら……」
すると突然怒鬼は道路の真ん中に移動した。
「ん? あ、アイツ何かする気か?」「さ、さぁ……」
メタルバードと修司が見ていると、怒鬼は前屈みになり、そのまま道路で前転を行った。
「っておーーい!」
「な~に道路の真ん中ででんぐり返ししてやがるんだよ!!」
怒鬼の行為に仰天し叫ぶメタルバードに修司。
そして修司がハッと思い付いた。
「そうだ! オイみんな! ちょっと聞いてくれ」
修司の問い掛けに周りに集まる面々。そして修司は皆に告げた。
「ま、まずはだな……ま、マーキュリー・ネプチューン・それにさくら! お前達三人で協力して道路全体を水浸しにしろ! さくらはウォーティ(水)とウェイブ(波)の両方を同時に使え!!」
『は、はい!』
三人は修司に言われるままに技を使い、道路を水浸しにした。
「ん? 何だこれは? こんなチッポケ水でどうにかなると思っているんガ?」
突然、足元から水浸しになっていく道路を見て、怒鬼が告げる。
そして修司は更に三人に告げた。
「よしっ、次は氷系の技で凍らせるんだ! マーキュリーは氷技で、キューティーハニーはルージュアローのブリザード(氷)で、そしてさくらはフリーズ(凍)で道路を凍り付かせろ!!」
三人はそれぞれ技を、水浸しの道路に放つと道路はみるみる内に凍り付いていった。
「ウガッ? 何だ? 道路が凍っていくぞ?」
怒鬼の足元はみるみる凍り付き、怒鬼の足まで凍り付いてしまった。だが
「ウガガ、こんな氷なんてヘッチャラだべ!」
凍り付き、道路と接着していた怒鬼の足は、意図も簡単に引き剥がされてしまう。
「おいぃぃっ、どうするんだよ! アイツのバカでかい足には何とも無いぞ!」
「騒ぐなぁ!!」
動揺し慌てる青児に修司が怒鳴り、続けて言い放った。
「慌てるな野郎共! まだ手は有る! マーキュリー、ネプチューン、さくら! 再度水系の技で道路を濡らせ!!」
『……あ、はい』
声を捲し立てて言う修司の指示とおりに彼女達は再び道路を水で濡らし尽くした。
「よしっ、これで良い! 次はキッド、お前だ!」
「えっ、は、はい!」
突然修司に命じられ、自然と直立するキッド。
「お前は怒鬼の足元から巨大な蔓を生やして怒鬼の足に絡ませ動きを封じろ!」
「う、うん……」
キッドは言われるがままに怒鬼の足元から植物を生やして、それを怒鬼の足に絡み付かせた。
「ン? 何だ、この草は?」
突然自分の足に絡み付いて来た植物を怒鬼はポカンと見つめた。
「よっしゃっ! すぐに怪力自慢や格闘系の連中は怒鬼の間近まで接近するんだ! 俺が合図したら怒鬼の足を全力で押し出せ! キッドは皆の動きに合わせて絡み付いている蔓を引っ張り上げるんだ! 念のためさくらもパワー(力)を使用して補助してやれ!!」
修司の命令通り、ジュピターを始めとした怪力や格闘系の面々やパワー(力)を使用したさくらが怒鬼の足元に駆け寄っていく。
「ん? 何だ、おめえ等?」
怒鬼が自分の足元に集まって来る面々に目を向ける。
「みんな、今よ!」
ジュピターの掛け声を合図に、みんな怒鬼の足を押し出した。
「今だ、キッド!」「ああ!」
キッドも修司の合図で怒鬼の足を封じている蔓を引っ張り上げた。
すると怒鬼の足は動き、足は凍った上に濡れている道路の上をツルツルと滑り始めた。
「ウワッ、ウワッ、足が、足が滑る!」
怒鬼は驚き、慌てふためいたが、一度バランスを崩した態勢は元に戻せず、そのまま後方に尻から倒れていき尻もちを付いた。
怒鬼が尻もちを付いた瞬間、辺りに地響きが起こり、修司達も思わず宙に一瞬浮いてしまう。
「……うわ、デッカイ地響きだ事」
修司は目を丸くして驚いていた。
一方、怒鬼の方は。
「……ウウゥ…」
後頭部を思いっきり地面に叩き付けてしまった為に気を失ってしまってた。
「や、やったか……」
タキシード仮面は冷汗を大量に掻きながら呟いた。
だが。
「……う、ウガ? あ、イテテ……、何だべ? あ、頭打っちまったべな……」
何と頭を強打した怒鬼が起き上がりだした。
『ウソ~~ッ!!』
それを見たタキシードと青児は互いに抱き合いながら絶叫した。
「……く、い、イテぇよう…………」
頭を押さえこみながら涙目になる怒鬼。そんな悲痛な面持ちで一粒の涙を流す怒鬼を見てミラーガールは居た堪れなくなってしまう。
そしてミラーガールは怒鬼の顔の近くまで近寄り、怒鬼に話しかけた。
「だ、大丈夫? あなた…」「アアン……」
「み、ミラーガール!」「あ、危ないわよ!」
ミスティーにマーズが呼び止めようとするが、ミラーガールは怒鬼の耳元まで近寄り彼に続けて話した。
「大丈夫? 頭にタンコブできてるわよ。すぐに治療するわね」
そう言うとミラーガールはシールドから《ミラー・ヒーリング・フラッシュ》を放ち、怒鬼の頭の痛みを消し去った。
すると怒鬼は不思議そうな瞳でミラーガールを見つめ、彼女に訊ねた。
「……お前。何でオレを助けた? 暴れていたと言うのに……人でない、鬼だと言うのに……何故?」
怒鬼は理解できなかった。町を破壊し、その上異形の鬼だと言うのにミラーガールは当り前の様に自分の頭に感じる痛みを消してくれた。
思わず怒鬼は目を潤わせた。
「……何でお前は、俺なんか助けた。異形の、それも破壊しか能の無い俺を…何故」
怒鬼の質問に、ミラーガールは笑顔で返した。
「……だって、困っている人を助けるのは当然でしょ。それが今回は、たまたま鬼だっただけ」
優しさに満ちたミラーガールの笑みに、怒鬼は心奪われた。
[面に戻る鬼]
ミラーガールの優しさに心奪われた怒鬼。
そんな怒鬼に修司が訊ねた。
「おい怒鬼。お前、この後どうする?」「え?」
修司の発言に反応する怒鬼。
「……お前は、このまま面に封じられていたいか? それとも、地獄に帰って大人しくしているか? お前の好きにしろよ。俺は止めやしねえよ」
自分に語りかけてくる修司の瞳を、怒鬼はジッと見つめた。この時の修司の瞳は、余りにも暗く、そして悲愴な想いに満ちた瞳であった。
この瞳を見た怒鬼は修司に何かを感じた。それは常人では有り得ない深い闇、そして悲痛な想いだった。
そして怒鬼は、徐に修司に訊ねた。
「……人間界に居させてくれるなら、俺はまた面に戻っても良いガ」
呟くように言った怒鬼の言葉に、修司は答えた。
「……そうか。それじゃ、また面に戻って、俺と一緒に居てくれるかい? 無論、ミラーガールや聖龍隊のみんなも一緒だがな」
その言葉に怒鬼は軽く頷いた。
そして彼の巨体は煙の様になり、修司が持っていた割れた面に吸い込まれていった。
更に割れた面は元の状態にくっ付き、元通りに。
すると修司はすぐさま面を自分の顔に装着させた。
「……ふぅ、一時はどうなるかと思ったが、無事に鬼を面に戻せて良かったでござるよ」
面を付けた修司は通常の聖龍使いの喋り方に戻った。
そんな聖龍使いに仲間達が歩み寄って来た。
「お、おい修司。何か最後はアッサリと終わっちまったな」
「……ああ、そうだな」
メタルバードの問い掛けに聖龍使いは多少暗鬱な口調で言い返した。
「み、ミラーガール。貴女大丈夫だった?」
「はい。あの鬼……怒鬼は余り怖い鬼じゃなかったみたいですよ」
ファイターの質問にミラーガールは笑顔で答えた。
「で、でもまさか……その面に本物の鬼が封印されていたとはね」
「あ、ああ。俄かには信じられないな……」
星夜、小狼が目を丸くして言った。
「そ、それにしても、ミラーガール……」
「あ、アナタ良く、あんな巨大な鬼に対して微動だにせず近寄れたわね」
ウラヌス・ネプチューンがミラーガールに訊ねてみると、彼女は笑顔で二人に言った。
「え? だってあの鬼さん、あんなに痛がっていたんですよ。放っておけないでしょ」
笑顔で言い返すミラーガールに二人を始め、他の聖龍隊士達も何も言えなかった。
そんな時
「……嬉しいっぺ。まさか、此処まで心配してくれるなんて……!」
『!?』
突然、聖龍使いがいつもとは違う声で喋った。
「な、なに義兄さん、今のは?」
驚いたキッドは聖龍使いに訊いた。
「い、いや。俺は何も言ってないぞ」
否定する聖龍使いだが、再び声がした。
「いやいや。まさかこの俺みたいな乱暴者に優しくしてくれる女子が居てくれていたなんてな……」
「ん!?」
聖龍使いは咄嗟に鬼の面を外して、面を真正面から見てみた。
すると面の目の部分は赤く光っており、口元は僅かながら動いていた。
「ま、まさか、怒鬼かっ?」
修司は驚愕の表情で面に問いかけた。
「ああ。俺だっぺよ。強制的に封印されて来た訳じゃないから、自分の意思で自由に話す事ができるんだっぺよ」
「ま、マジかよっ」
怒鬼の言葉に驚くメタルバード。
「まぁ、そう言う訳で、今後ともよろしくお願いするっぺな、聖龍隊の皆はん」
『………………』
聖龍隊は全員、言葉を失った。
「……あっ、そうだ! あの野郎は……!」
突然メタルバードが言い放ち、辺りを見回した。
「くそ、いつの間にか消えやがったな、ミラーナイトめ!」
いつの間にかミラーナイトは姿を晦ましていた。皆も一斉に辺りを見回すが、彼の姿を見つける事はできなかった。
そんな皆に、ミラーガールは言った。
「もうみんな。良いじゃないのよ。魔獣は全部倒されているんだし、怒鬼も無事にお面に戻ってくれたんだし、あのミラーナイトも本当は悪い人じゃないかもしれないじゃない。そんな気にする事無いわよ」
彼女の発言にミスティー・キッド・ネプチューンが言い返した。
「な、何言っているのよミラーガール」
「ホントにあいつが善人かどうか分からないのにさ」
「そんな呑気で良い訳なの?」
するとミラーガールは三人に言い返す。
「あら? 最初は敵側だったミスティーハニーに、最初は私達を徹底的に攻撃してきたジュピターキッド。それに当初は私達とは意見の食い違いで敵対していたネプチューンが、そんな事言うんだぁ」
『ウッ…』
三人は言い返す言葉が無かった。
「大丈夫よ。もし、また敵対する様な事になったら、その時こそ聖龍使いが何とかしてくれる筈よ。ねぇ」
「う、うぅ……」
笑顔で自分に言って来たミラーガールの発言に聖龍使いは言葉を飲み込んでしまった。
そして去りゆく聖龍隊の様子を、遠くからミラーナイトが窺っていた。
「……まったく。滅茶苦茶な展開にしてくれるな修司は。……それにしても、本当にあの男に二次元界を変える力が有るのかね? アッ、顔がイテえ……」
ナイトは聖龍使いに殴り付けられた顔の痣を押さえつけた。
[鬼の出たアニメタウン]
翌日の朝。
昨日起った事件についてテレビで大々的に取り上げられていた。
「皆さま、おはようございます。『花丘玲子のおはよう7』の時間です。本日は昨日、アニメタウンに出没した巨大な赤い鬼についてのニュースです。昨日、午後16時頃、アニメタウン中央区、赤塚地区にて今現在、世界中で目撃されている魔獣が多数出現いたしました。しかし、それに続く様に今度は高層ビルよりも巨大な真赤な鬼が現れたとの報告です。付近住民からも目撃情報が寄せられ、今町は蒼然と化しています……」
「……こ、今度は巨大な鬼じゃと!? はぁ~、な、何が起きていると言うのかのぉ……」
「そ、そうね。お祖父ちゃん……は、ははは……」
自宅にて母親のニュースを見ていたイサミは苦笑しながら祖父に反応していた。
そしてツバメ小学校では。
「おい見たか、今朝のニュース」「ああ、見た見た」
「まさか俺達の地区に、あんなデッカイ鬼が出てくるなんてな」
「英雄達はどうしてたんだ?」「ちゃんと出向いて退治してくれたんじゃねえのか?」
「うんうん、実際突然現れた鬼が突然消えちゃったみたいだからな」
この会話を蒼褪めた表情で冷汗を大量に掻きながら聞いていたのが修司とアッコだった。
「……どうする修司。此処まで話が大きく成っちゃっているけど」
アッコが修司の顔を横目で見ながら訊く。
「……しばらく放置しておこう。正直俺も頭が痛いよ」
修司とアッコが悩み更けていた、そんな時。
「……お、おはよう」
「あっ、おはようキー……うわっ? き、キーオ様? どうしたんですか、その顔のガーゼは!?」
教室に入って来たキーオに女子が挨拶をかわそうとしたが、キーオは鼻の上あたりに小さくガーゼを張り付け手で押さえながら苦痛で顔を歪ませていた。
「き、キーオどうしたの? その顔の傷」
モコが心配そうにキーオに訊ねた。
「あ、ああ……ちょっとゲートボールの最中に顔をぶつけてな。なに、大した事じゃないから気にしないでくれ」
キーオは苦笑しながら答えた。
「……キーオ、どうしたのかしら?」「さぁな……」
自分達の席に座りながらアッコと修司は顔に傷ができているキーオを見つめていた。
そしてキーオは自分の席に着席すると。
(あ、イッテ~。あの野郎、本気で顔を殴るとはよ……)
キーオは苦悶しながら修司やアッコに気付かれない様、二人を睨んでいた。