ナタ「先生、何時になったらアイルー君と結婚するんですか?」   作:飛沫

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アイスボーン時から、ハンターさんとアイルー君のイチャイチャ話は書きたいと思っていたんですが……思っていただけなんですよ……。
ワイルズ……人語ボイス付きの力って凄い……


先生、ナタ君を目覚めさせる

 初めて会話をした時の印象は「悪い人ではないんだろうな」というものしか無かった。

 

「どうかな、最近」

 

 あまりにもざっくりし過ぎな内容に、ナタはなんと答えればいいのか本気で迷ったのを覚えている。その後も、調査団の人たちに見つけてもらった時の状況や、好きな物は何だとか、脈絡のない会話が続いて困惑しながら何とか返答した。その時、ハンターの視線が落ち着きなくウロウロしていたので「あんまり話をするのが得意じゃないのか」と気づく。

それからは、特に話をすることも無く、ハンターが相棒として共に連れているアイルーと呼ばれた獣人(アルマに教えてもらった)と、親密にしている姿を遠くから眺めること数日。彼に対する認識に、変化が生じる出来事が起きる。

 モンスターの行動に気がかりな所があり、クナファ村に警告を伝えに行った最中の事。ドシャグマが大群を成して村に入り込んできたのだ。幸いにも、村人は避難を始めていたので怪我人は出ることはなかったのだが、その時の自分は村で知り合った一人の少女・ノノが心配で大人たちの傍から離れ探している時に群に出会ってしまう。

 脳裏に蘇ったのは、見たことのないモンスターが里を襲う姿。恐怖に身体が竦むが、それでも無理やり足と手を動かして、隠れられそうな隙間に入り込んで出来るだけ小さく縮こまる。目を瞑って、耳を塞いで。今やってきている恐怖と、目を閉じても浮かんでくる過去の体験から逃れようと必死になっていた時だった。

 

「ナタ!」

 

 身体を隠していた木材が退けられ、伸ばされたハンターの腕が自分の身体を引き寄せるとしっかりと抱きしめられる。瞬間、あれだけ風が強く、薄暗かった世界から音が消え、周りが光に包まれたように真っ白になったのは、彼の腕の中が安心できる温かい場所だったからだろう。両親の事はもう朧気な記憶しか残っていないが、父親に抱きしめられるのはこんな感じなのかもしれない。

 その後のハンターの行動は「頼もしい」の一言に尽きる。暴れるドシャグマの群を村の外に追い出して、リーダー格であった一際大きい個体を討伐して、群を退けた。その後も何か問題が起きる度に、背中に担いだランスを手にしてオトモアイルーと立ち向かい、モンスターを退ける。それだけではない。故郷に戻ってきた時に、育ててくれた叔父から護竜、龍灯、守人の事など色々と聞かされ、更に死んだ父親の形見のペンダントの秘密も打ち明けられた。その上で、ゾ・シアの存在を知り、龍灯の事を考慮して何もせずに目覚めさせるか、ペンダントを使い龍灯を止めゾ・シアの活動を停止させるかの判断を委ねられる。

 どちらを選択しても、甚大な被害が出るのは確実だ。それでもクナファ村のノノやイサイ、アズズの人々や耳の方たちを考えれば龍灯を止める方が良い判断と思え、ペンダントを受け継ぐものとして役目を名乗り出た。

 とはいえ覚悟をしていたつもりでも、やはりいざ実行するとなれば本当にこれが正しいのかと、手が震え身体が動くなる。落ち着かせるように目を閉じて、何とか実行に移そうとした時。

 

「龍灯は止めない。道はもう一つある」

「ハンターの意思により、ゾ・シアの討伐を遂行する」

 

 自分を庇うようにしてハンターが前に立ち、凛とした声で宣言をした。そして、腰に佩いている剥ぎ取りナイフで結晶を叩き、目覚めさせたゾ・シアをアイルーと共に見事に討伐してくれたのだ。

 以来、ナタにとってハンターは「頼りになる人」から「目標とすべき大人」に変わり。自身も将来ハンターになるべく、見習いハンターとして改めて鳥の隊と行動を共にしている。

 

*  *  *

 

「お疲れ様です、先生。人々から交換依頼の希望と、採取したアイテムを預かってきました」

 

「お、そうか。なら話を聞かせてもらおうか」

 

「はい」

 

 クエストを終え、ハンターがテントに戻るタイミングを見計らって声をかければ、くるりとこちらを向いてハンターが答える。

 ゾ・シア討伐後、今度はモンスターの狂竜化という問題が出てきたが、先日元凶と思われたゴア・マガラを討伐。更に、狂竜ウィルスに侵されたエネルギー等を取り込んでしまい、手に負えなくなりかけていたアルシュベルドも発見し、これも討伐した。折角自然に還った個体を狩猟するのはかなり心苦しいものがあったが、それでも生まれたのは一体だけではなかったらしく、時々上空を飛んでいるアルシュベルドの姿を見かけるので、産まれたのは一体だけではないのだと安堵した。

 

「ヘダテアロエとチーズの交換依頼があるのか。なら、これを頼む。預けておくから都合のいい時に渡しておいてくれ」

 

「はい、先生」

 

 渡された品物を受け取って仕舞う。ぎこちなかった会話をしていたハンターとも、今はこうして淀み無く会話をすることが出来る。やはり、仕事仲間ではない相手(特に子供)と話すのは苦手と言う程ないが、不得意らしい。

 

「言い訳になるかもしれないが……ハンター生活の大部分をアイルーと二人きりで過ごしていたから、通常の会話をどうやって拡げるとか、繋げるとかが難しいんだ。狩りに関する報告や、情報のやりとりは普通にできるんだけれどな」

 

 その返答をもらってからよく観察していると、クナファ村で子供たちに囲まれている時は、以前のように目を泳がせていた。どうやら、村の近くでモンスターを仕留めた姿を子供たちに見られて質問攻めにあっているようだ。普段ではまず見られない弱りっぱなしのハンターを新鮮な気分で眺めていたら、間にアイルーが割って入り子供たちに何かを耳打ちする。すると、興味の対象がアイルーに移ったらしく、アイルーの手を引いて村の奥まで行ってしまった。口下手なハンターとは反対に、彼が連れているアイルーは非常に明るくお喋り好きで、コミュニケーション能力のバランスを取っているように見える。そして、それが分かっているからか、ハンターもアイルーをお互いをとても大事にしていて、仲が良い。禁足地調査にきているハンターは、基本的にアイルーと友好的な関係を築いているが、その中でも鳥の隊のハンターとアイルーの親密さは群を抜いているんじゃなかろうか。

 

「少し、テントで休憩している。何かあったら起こしてくれ」

 

「はい、お休みなさい先生」

 

 アイルーと共にマイテントに引っ込むハンターを見送ってから、ナタはハンターから譲り受けた剥ぎ取りナイフを手にまじまじと見ていた。これは、ハンターがゾ・シア討伐時に使っていたナイフ。見習いハンターになりたいと伝えた時に、ハンターにねだって貰った物だ。

 

「研いであるから斬れ味に問題はないが、新しいものはいくつもあるからそれを貰ったほうがよくないか?」

 

「いえ、僕がハンターになる道を決めた切っ掛けのナイフがいいんです。それを持っていれば、どんなことがあっても諦める事がないと思うので」

 

「そ、そうか……」

 

 恥ずかしそうにしながらも、どこか嬉しげな表情でハンターはナイフを渡してくれた。

 

「フフ……」

 

 そんな事を思い出して笑っていたら、突然ハンターのテントから今まで聞いたことのないような大声がして、驚いたナタが視線を向けると同時に、転がるようにしてハンターが飛び出してくる。ハンターは辺りを見回すと、ナタの向かい側でマリアンヌを大事そうに抱えてキョトンとしているアルマと、絶叫に反応して様子を伺いにしたジェマを見つけると身振り手振りで何かを伝えようとしてきたが、テンパり過ぎているせいか、言いたい事が理解できない。二人が呆気にとられている姿をハンターの背中越しから見ていると、テントからトテトテとアイルーが出て来た。ナタが声をかけようとすると、真っ白な手で口元を隠して笑う。「内緒にしてね」ということらしい。

 よく分からないまま、指示された通りに黙っているとアイルーはハンターの腰をチョンチョンと突付き、ハンターが振り返ると同時に「ばあっ!」とピンク色の鮮やかな肉球を見せてきた。途端、切羽詰まった顔を和らげ、安堵の息を吐くハンター。キャッキャとはしゃぐアイルーに「コイツめ」と悪態をつくものの、見つめる視線は非常に優しい。その内、アイルーのフサフサとした頬を両手で掬うようにして豪快に撫でてやると、ゴロゴロと上機嫌な事を知らせる音が聞こえてきた。

 

「ああ、そういうことですか!」

 

「へ? どういうこと?」

 

 両手を叩き、合点がいったという表情をするアルマに、未だについていけてないジェマが訊ねてくると、アルマがクスクスと笑いながら教えてやる。

 それによれば先日、隔ての砂原の簡易キャンプの中で寝入っていたアイルーにハンターが悪戯をして驚かせたのだとか。

 

「まぁ、何をしてみせたのかは分からないですが、あの様子ならやり返したのだと」

 

「あー、そういう事。確かに今まで見たことのないような焦り方だったもんね。しっかしまぁ、人目も憚らずイチャイチャして」

 

 納得した所でジェマは加工場に戻り、アルマも気分転換なのかベースキャンプ内を散策し始める。ハンターもアイルーとひとしきり戯れると満足したのか「大タル買ってくる」と補給所へと足を運び、残されたのはナタとアイルーだけになった。

 

「あー、楽しかった!」

 

「仲いいね」

 

「まぁ、ずっと一緒にいる大切な相棒だからね!」

 

 エヘヘ、と照れ笑いするアイルーを見てふと、先程漏らしていたジェマの言葉を思い出す。

 

「……そういえば、先生とアイルーは付き合っているの?」

 

「え?」

 

 ナタからの質問に、アイルーは驚いたような顔をすると、衝撃の発言が飛び出した。

 

「ボク、男の子だよ?」

 

「え?」

 

 今度はナタが驚く番だ。何しろ、目の前にいるアイルーはラバラバリナの重ね着を着用しているのだから。ふんわりとした綿毛のような白い生地に、真っ赤な薔薇をアクセントに付けたウィッグとドレスは、どうみても女子用だ。だから、ナタはずっとアイルーを一人称を「僕」と呼ぶ女の子だと思っていたのにまさかの男の子宣言。思考がついていかない。

 

「だ、だったらその格好は……?」

 

「だって相棒が『可愛い、似合ってる』って言ってくれたから」

 

 ボク、相棒が大好きだから喜んでくれるならどんな格好してもいいよ! 笑顔でそう言い切った後、ハンターに呼ばれたアイルーは「相棒が呼んでるからボク行くね!」と手を振ってナタの元を離れた。一人になったナタは、その場でジッと考え込む。

 

「まさかアイルーちゃんが男の子だったなんて……いやでも、全然違和感なかったし」

 

 しかもハンターもアイルーも、すこぶる顔がいい。

 

「だったら……あっても問題……ないんじゃ……ないか? いや……ないよな。うん」

 

 二人が恋人同士の様な行動をする事を思い浮かべても、嫌悪感は殆どわかない。しかも、同性同士で種族違い。なんだかドキドキしてきた。だから。

 

「先生。僕、二人のこと応援してますね」

 

「そうか? (よく分からないが)ありがとう」




ハンターさん(♂)
二十代半ばの面がめちゃくちゃいい元ぼっちハンター。
会話の持っていき方が致命的に下手くそ。
会話が続かなくなりそうになると、アイルーに助けを求める。
相棒のアイルーが大好き。ハンター引退しても、ずっと一緒にいたいと思ってる。

アイルー君(♂)
真っ白な毛並みのアイルー。とても可愛い顔をしている。
相棒のハンターが大好き。彼が喜ぶのならププロエグドの格好だって喜んでする。
もし、ハンターが引退したとしてもずっと一緒に入れたらと思っている。

セクレト君(♂)
ハンターとアイルーがイチャイチャしてる最中にも平気で割り込んでいける鋼の心臓の持ち主。強い。
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