ナタ「先生、何時になったらアイルー君と結婚するんですか?」 作:飛沫
マイケルの映画を観ました。やっぱダンスするマイコーカッケー!大画面で見るから余計に迫力もあって凄かったです。惜しむらくは通常の映画館で観たことですかね。T-LEXで観れば良かった……。
「プーギー? なんでこんな所に?」
大集会所の一角、タルコロチャレンジの会場でハンターがエキス欲しさにタルを必死で転がしていたら、フンフンと鼻を鳴らしながら、一匹のプーギーが入ってきた。見知った顔を見つけたからか、足元にすり寄ってくると顔を上げてハンターを見つめてくる。
「あれ? 君どうしたの?」
ハンターの隣で応援していたアイルーもプーギーに気づき、そばに寄ってしゃがみ込む。両手を差し出せば、プーギーはフンフンと鼻を鳴らして腕のなかに収まるので、アイルーは抱き上げてハンターの顔を見る。
「この子、スージャにいた子だよね」
アイルーの問いかけに返事をするかのようにピギー! と元気よく鳴くプーギー。何人もの竜人族がこの大集会所にいるので、往来するのはそれほど大変ではないという事だろう。しかし、それはあくまで人の脚でのこと。小柄なプーギーならば、ここに来るのは少し苦労する筈だが。
「誰かと一緒に来たのか?」
プギー! とプーギーが鳴くが、あいにくとハンターはプーギーのプロではないので、肯の意味を持つのか否の意味なのか判断できない。一度タルコロを中断して、高台から下の様子を眺めてみるが……プーギーを探す挙動をしている人物はいないように見えた。
「一匹で来た可能性が高そうだな。まぁ、距離はあるが危ない道ではないし可能といえば可能か」
「何だったらボクたちで送り届けてもいいしね」
「そうだな」
二人で納得して降ろしてやれば、プーギーはグリグリとハンターの脚に身体を擦り付けた後、足元にくっつくようにしてついてくる。どうやら行動を共にする気のようだ。
危ないよ、とアイルーが足元から引き離そうとするが、抱き上げて降ろすと直ぐにハンターの足元に行って纏わりつく。仕方がないとハンターは、タルコロを中断する事にした。どうせ時間はある、もっと高い点数が取れる配置の時にやるとしよう。
「ほら、何がしたいんだ」
しゃがみ込んで頭を撫でてやれば、すっかりご機嫌になったプーギーは、小さな前足をハンターの膝の上に乗せて懸命に鳴き出した。やっぱり意味は理解出来ないが、一緒にいたい、くっついていたい、というのはなんとなく分かる。
「とりあえずこうしておくか」
ちょうど今の重ね着はシルドコートとシルドフードだ、フードの中にプーギーを入れればちょうどいい感じになる。少々重いが、耐えられない程ではない。
「ピギー!」
「おっと」
フード部分からモゾモゾと這い出てきたプーギーが、ハンターの肩の上に後ろ足を乗せ、前足と頭部でハンターの顔を挟み込むような姿勢をとると、そのまま動かなくなる。
「落ちると危ないぞ」
「高い所から景色が見られて楽しいんじゃない?」
アイルーの指摘に、そうかと納得するハンター。確かに抱き上げたことはあるが、頭の高さまで持ち上げたことはない。ならば。
「もう少し高い所に行ってみるか?」
「プギー!」
「だったらしっかり掴まっていてね」
アイルーの言葉にプーギーが元気よく返事をするのを見届けてから、ハンターたちはおそらく古龍のものであろう骨を、蔦と己の脚力を使って登り始める。バランスが悪くなると、必死に鳴きながらもしっかりと頭部にしがみついて離れないという意思を見せるプーギー。そのまま一番景色がいいであろう場所へたどり着くと、興奮したように鼻息を荒くする。
「ここが、俺達が登れる場所で一番高いところだな。なかなかいい眺めだろう」
ハンターはプーギーに話しかけた後、落とさないよう注意しながら骨の端で胡座をかき、脚の間にプーギーを座らせる。この状態なら、出ない限り落っこちる危険はないだろう。
その隣にアイルーが腰を下ろすのを見届けてから、ハンターはポーチを開いて携帯食料を取り出す。調理しようか思案した結果、そのまま食べることにしたようだ。確かに、落ちたところでノーダメージのハンターだが、鍋や熱々の料理を落として、下を歩いていた者の頭上になんて事になったら大惨事どころの騒ぎではない。
「高い所で食事するのもなかなかだろ?」
「ピギー!」
野菜の携帯食料をプーギーに差し出してやればフンフンと匂いを嗅ぎ、あっという間に平らげる。配給所のアイルーが厳選した食料だ、不味くはないだろう。
ハンターとアイルーも、燻製肉の携帯食料を取り出してかじりつく。トム、トマ、トモが作ってくれたであろう、燻製肉は塩加減や燻製加減が絶品で、以前ならコレだけで満足できていただろう。しかし、燻製肉にチーズとハチミツ垂らす甘い塩っぱいの無限ループを知ってしまった今では、少し物足りなく感じてしまう。やはり調味料は偉大だ。
「ん、どうした?」
食べ終えたプーギーが、ある一点を見つめながらひたすらに鼻を鳴らす。動くな、と前置きしたから脚の間から出ることはないが、とにかくその場所が気になるようだ。
「あそこに何かあるのかな?」
「行ってみるか」
プーギーを再びフードの中に収め、アイルーと共に件の場所へ向かへば、日の光を反射してキラキラと輝く古びた竜彫貨が転がっていた。
「こんな所に……全然気が付かなかった!」
「助かったぞプーギー! 交換で使うんだが中々目にする機会が少なくてな」
「ピギー!」
二人で褒めてやれば、得意気な顔をして鼻を鳴らす。その後、フワフワの首領がいる巣に案内したり、共に釣りを楽しんだり……気がつけば辺りはすっかり暗くなり、竜人族の歌姫が美しい声で歌を披露していた。
「もうこんな時間か。すっかり長い間連れ回してしまったな。大丈夫か?」
「ピギー!」
「プーギーも楽しかった、って言っているみたい。よかったね、相棒」
「そうか。もう夜も遅くなったし、ここでやめるとしよう。プーギーは帰るのか? それともここで夜を過ごすのか? もし行く当てがないなら、あそこのキャンプに来るといい。俺のキャンプだ、歓迎するぞ」
「プギー!」
理解したように頷いてみせるプーギー。その後、友情を育んだプーギーと別れたハンター達はマイキャンプに戻り、歌姫の声を子守唄にして眠りにつく。そして朝、ナタに揺り起こされてハンターは目覚める。
「先生、配給所にいるミャーというアイルーが先生に相談があるそうなんですが」
「配給所か……何時も世話になっているしな。分かった、直ぐに行ってみよう」
「前にやっていたラーメンが食べたくて仕方なくて……ボク、考えたんだよ……プーギーがいれば……」
「「え"っ」」
先程培った友情をとるか、食料配給所の義理と恩に報いるか。ハンターとアイルーの葛藤と苦悩が始まる。
プーギー君
ミャー君にスージャから連れてこられる(多分)。ハンターさんに色々な所へ連れて行ってもらえたお陰で、ハーブがありそうな場所を見つけることができた。携帯食料の味が忘れられず、今後スージャで会ったら後ろをついて回る可能性大。
ミャー君
プーギーを連れてきた張本人(多分)。言い方が不穏なせいでハンターさんとアイルー君にあらぬ誤解をされる。とりあえず一蘭のラーメンが再び食べられるようになって満足。今後、チケットが余っているハンターさんを見かけたら、可愛くおねだりしてくる可能性大。