ナタ「先生、何時になったらアイルー君と結婚するんですか?」 作:飛沫
後、ラギアクルスの水中戦凄く綺麗で感動しました。
ゲームでも現実でも、水が綺麗な風景は癒されますね。
「ん……」
首筋に柔らかな物が触れる感覚がこそばゆくて、ナタは目を覚ます。寝起きでぼんやりした視界がだんだんとはっきりしてくると、火にかけられた鍋や床に乱雑に置かれた本の数々が目に入ってきて、ナタは自分が何処にいるのかを思い出す。
「そっか、ここルロウさんの」
言いかけて、肩に寄りかかるようにして共に寝ていたルロウがずり落ちる。床に激突しないように支えて、様子を覗えば、口をムニャムニャと動かしたまま寝ていた。そっと藁床に背中をもたれかかせれば、起きる気配もなくそのまま眠り続けている。
「そういえば、先生は大丈夫かな」
音を立てないよう注意しながらルロウの住処を離れ、簡易キャンプの方へ足を向けた。
* * *
昨日、ナタはハンター達と共に、氷霧の断崖へとやってきていた。素材でグラシスメタルが足りなかったので採取にきたのだが、ついでということで色々な素材の見分け方も教わる。
「採取の依頼も意外とあるんだ。それに、回復薬なんかは購入することも出来るが、知っていれば見つけて調合できるし、何よりお金がかからないからな。覚えていて損はないぞ」
歩きながら鉱脈や骨塚で利用出来る鉱石や骨の見分け方、薬草と雑草の違い、キノコの見分け方を簡単に教わる。
色々な情報が頭に入ってきて、覚えきれるか不安だったがハンターもアルマも「直ぐに全部覚える必要もないから。これから一緒に行く時に、また詳しく教えるから安心していい」と言ってくれたので、とりあえず今回は探しているグラシスメタルをメインに鉱石を覚えることにした。地図を頼りにセクレトと簡易キャンプを駆使して断崖内を一通り巡り、目的数を集めたのでベースキャンプに戻ろうかとしていた時に、ルロウを見つけたのだ。初対面時と同じように、ネルスキュラの糸にぐるぐる巻きにされた状態で。
ハンターが慌ててスリンガーで降ろし、絡みついた糸を外していたのだが、その途中でネルスキュラが戻ってきてしまい。誘導弾を使ってハンターがネルスキュラを引き離している間に、アルマと共に作業を続け。終わってしばらくしてからハンターが戻ってきたが、その時には天候が異常気象に代わりつつあった。
ハンターとアルマだけなら、無理を押せば通過出来るかもしれないが、ナタを連れては流石に危険だと、近場の簡易キャンプで過ごそうと準備をしていたら、ルロウが「捕らわれた者同士、共に過ごすもまた運命」と助けた礼で、寝床を貸してくれるというのでありがたくお邪魔させてもらうことにしたのだ。
そして、大人数いるのだからケチらずにいこうとハンターが携帯食料を存分に使って豪勢な食事も作ってくれた。クナファチーズとハチミツをたっぷりかけたベーコンは、ナタの大好物だったし、ゴチソウダケやトリュフ・ド・コンガと合わせた野菜や魚料理等は、ルロウが「懐かしい」と喜んでくれた。そして、食事を堪能した後、アルマとナタはルロウが寝床にしている洞穴で共に寝かせてもらい、ハンターとアイルーは簡易キャンプで眠ることになったのだ。
* * *
「先生……起きてます?」
寝ている事を考慮して小声で声を掛ければ、同じように小声が返ってきた。
「……ナタか? おはよう」
目隠し代わりだったのか、目元を隠すように深く被っていたシルドフードをずらしてハンターが此方を見る。テント内は思っていたよりも暖かく、上はシルドコート、下はインナーの軽装に布団一枚で過ごせたようだ。
「入ってきてくれ。ちょっと動けなくて」
「え? 先生どこか怪我を……!?」
『動けない』という単語に反応して、ナタは急いでハンターがベッド代わりにしているハンモックへと近づくが、動けない理由を目の辺りにして足が止まる。怪我ではないことが分かり安心したが、理由を知り思わず両手を握りしめた。
ナタが布団だと思っていたのが、クナファネコスーツを纏ったアイルーだったからだ。真っ白い手がシルドコートをしっかりと握りしめ、安心しきっているのか表情もとても穏やかで幸せそうで。二人のこの姿なら、何時間見てても見飽きる事などないだろう。というか、もっと早くから見たかったしこれからもずっと見ていたい。それぐらいナタにとっては素晴らしく計り知れないほどの価値のある光景だった。
「こ、この格好は一体……」
「昨日はほら、異常気象になって荒れていただろう? そうしたら風の音にアイルーが怯えていたから、呼んだらこんな風に乗っかってきてな。別に見られて困るものでもないから、放っておいたら寝始めて、俺もそのまま寝入ってこんな状態だ」
「ありがとうございます」
「(ナタに感謝されるような事をしたか……?)喜んでくれて……何よりだ?」
「あ、この状態を記録したいので、ちょっとそのままでいてもらっていいですか?」
「構わないけど……どうやって?」
「今お願いしてきます」
テントから飛び出して向かったのは簡易キャンプの設置や撤去をしてくれる職人ツィーの元だ。
以前、別の隊のハンターが釣りで、金冠サイズであろう大物を釣り上げたとき、赤いチェック柄の帽子を被ったアイルーに、大物を高々釣り上げている姿を描写してもらっている姿をみたことあった。そのアイルーの名前は知らないが、同じアイルー同士、何か繋がりを持っているのではないかと予測して頼んでみれば、どういう手段を使ったのかは分からないが、数分もしないうちに例のアイルーがやってきたくれる。話をすれば、件のアイルーは直ぐに了承してくれて、数分もしない内に非常に精密なスケッチを描いてくれてナタに渡してくれた。これをでしばらくは絵を眺めてはニヤつく日が続くだろう。
(後でノノにも見せよう)
そんな事を考えながら仕舞っていると、絵の上手さに関心していたハンターが自分の分も欲しいと言い出したのでもう一枚描いてもらう。
「こんな事をしてくれているアイルーもいたのか。全然知らなかった、ナタはよく知っていたな」
「僕も、この前偶然利用している人をたまたま見て。本当、知ってて良かったです」
「そうなのか。あ、それで今後の事で話があるんだが……このまま続けても大丈夫か?」
「全然問題ありません」
寧ろあと一時間はこの格好でお願いします、と口にしたいところだったが、その辺は黙っておく。しかし、願いとは裏腹に騒がしくしたせいか、アイルーの耳がピクピクと動くと「う〜ん」という声と共に起きてしまった。ハンターの腹の上に乗っかったまま視線がかち合うと「おはよう」と笑顔を向けられる。まぁ何だ、起きたのは非常に惜しいがこの体勢はこの体勢で有りだな、と思うナタであった。
「アイルー、悪いんだが下りてくれないか。ナタとこれからの事を話したいんだ」
「はーい」
ハンターの頼みにアイルーはコクンと頷くと、ピョンと跳ねて床に着地する。すると、起き上がってハンモックに座り直したハンターの脚の間に入り込むと、ペタンと腰を下ろしハンターを上目遣いで見つめてきた。ハンターも柔らかな笑みを浮かべるとアイルーの頭を軽く撫でてやる。
「昨日に比べると、だいぶ落ち着いたみたいだな」
「えへへー」
(アルマ、テントに入っている時はいつもこんなの見ているのか……羨ましい)
コレだったら先生限定で編纂者になるのもありかもしれない、と新たな可能性を考えているとセクレトがテントの中に顔を突っ込んできて、構えと言わんばかりにアイルーとハンターに嘴を押し付けて軽く齧ってくる。その積極的な姿にやはり彼は剛の者だと感心していると「ナタ」と再び名前を呼ばれた。
「はい先生」
「この前、アルマやジェマ、オリヴィアさんとも相談して今後の方針を一応考えてみたんだが……」
「とりあえず、一狩り行ってみるか?」
アルマさん
最初テント内にお邪魔した時は、自分の存在ガン無視でイチャつく二人に「ええ……」とか思っていたが今はもう慣れた。寛大。
ジェマさん
色々と冒険してきたという事なので心がとても広く、目の前でイチャつかれても動じることはない。寛大。
オリヴィアさん
「鳥の隊のハンターは、アイルーを構いすぎじゃないのか?(アトスを撫で回しながら)」