ナタ「先生、何時になったらアイルー君と結婚するんですか?」 作:飛沫
今は歴戦王ウズ・トゥナの装備作り終えたので、懐かしのライドウ君のリメイクやってます。
やっぱ主人公と猫の組み合わせは最高やな!
最終話でもゴウトニャンが一緒についてきてくれる仕様にしてくれて本当に嬉しい。
「はっ、やぁ!」
左手に持ったシールドで叩きつけるように攻撃すれば、ケラトノスは一声鳴いて身体を蹌踉めかせた。そのさらけ出された隙を見逃さず、片手剣で思い切り斬りつければ、一際大きな声を上げて、ダケラトノスが倒れ込む。その後、地面に伏せたまま数度痙攣をしていたが、その痙攣が終わると二度と動くことはなかった。
「ふぅ、これで三体目だ」
辺りを見回し、近くに向かってくる大型モンスターやケラトノスの群れがいないことを確認してから、ナタはしゃがみ込みハンターから譲ってもらった剥ぎ取りナイフを突き立てる。ハンターたちから教えてもらった切り取りしやすい部位に慎重にナイフを入れ、手に入れた素材はーーー。
「よしっ、生肉ゲット」
目当ての素材を無事に獲ることができ、満面の笑みを浮かべるナタ。先程まで三回連続で肉部分を上手く剥ぎ取ることができず、泣く泣く堅殻をポーチに収めていたのだが今回はしっかりと入手する事が出来た。目指す数はあと七つ。
ナタが何をしているのかと言えば、先日ハンターが言っていた「一狩りしないか」を実行しているのだ。ハンターがギルドに依頼を出し、ナタがアルマを通してそれを受けるという形で。
依頼内容は先程も言ったように、生肉の納品だ。ポーチに詰められるだけつめて、持ってきてくれとのこと。本来なら、生肉が取れるならどのモンスターでもいいのだが、今回は狩猟するモンスターもケラトノスと決められていた。ハンター曰く「生肉をとるならダルトドンやゼレドロンがいいいんだろうが……そのモンスターだと狩りの練習にすらならないから」だそうで、竜種には劣るものの一応堅殻を持つケラトノスに白羽の矢が立ったというわけだ。
確かにはっきりとした抵抗はしてこないものの、殻を纏ったケラトノスを一撃で倒すのは熟練のハンターでも難しいだろう。加えて、しっかりと狙って攻撃しないと、上手く肉の部分を剥ぎ取ることが出来ずに、堅殻で妥協しなければならなくなる。擬似的に、ハンター達が狙ってやっている部位破壊の練習にも繋がるわけだ。
ナタはくるりと振り返ると、入手きた骨付きの生肉を振り回しながら、双眼鏡でエリア8に設置されている簡易キャンプを見る。すると、同じように双眼鏡で此方の様子を伺っているハンターの姿が見えた。向こうも、振り回している肉に気づいたのだろう。手を軽く上げて振ってくれ、更に後ろを振り向くと両手でアイルーを持ち上げた。アイルーもニコニコしながら、両手をブンブンと振り回している。応援してくれているようだ。
(うーん、本当にあの二人は仲がいいなぁ)
見ているこちらまで、自然に頬が緩んでしまう。自覚なしに、くっついたり笑い合ったりしているがまたいい。こうやって遠くから見守るのも悪くないが、やっぱり近くで眺めて二人のイチャつきっぷりを目に焼き付けたいと思う。
(うん、頑張ろう)
ハンターがアイルーを降ろし、持っていた双眼鏡を貸してやる姿にへニャリと笑ってから、片手剣を手にして次の標的を探す。完全にオマケだが、ナタが一狩り行く際に使用する武器種を何にするかになった時は、あらゆる隊のハンターが集結して、己が担ぐ武器がいかに素晴らしいかをプレゼンしてくるという怒涛の展開となった。その時に「ナタ、ランスはいいぞ、殆どの攻撃をガードできるし。俺も教えてやれる」「ハンマーを選んでくれれば、私が責任を持って君を一流のハンマー使いにしてやる」と必死の形相で勧誘してきたハンターとオリヴィアの顔を、ナタは当分の間忘れることはないだろう。
結局、どれだけ熱いプレゼンをしても、まだ大人になりきっていないナタには、重い武器や大きい武器は扱うのに苦労するだろうということで、片手剣に落ち着く。一応双剣なども候補に上がったが、ハンターの「俺はガード出来る武器じゃないと教えられない」という一言によってナタの未来は決まったのだった。
その後も油断する事なく、慎重に攻撃を加えていってケラトノスを討伐し、生肉を剥ぎ取ること数度。後一回ほどで指定された数を手に入れられるという所で「よぅ、ナタ少年」と声がかかる。持っていた片手剣をしまって、声がした方角へ顔を向ければ、軽く手を上げてくるトリス装備の男性が近づいてきた。
「ロッソさん、こんにちは」
「あぁ、どうだ初めての狩りは? まぁ、あのハンターが目を光らせているから、チャタやケマトリスがやってくる心配はないだろうが」
え、と反射的に簡易キャンプに目を向ける。生憎と、裸眼ではキャンプ周辺の様子は鮮明に見えないが、先程見たこともあって想像は容易に出来た。
「ひょっとして先生、ついてこようとしたんですか?」
「あぁ、アルマに『そこまでしたら、狩りの意味が無いのでは?』と冷静に突っ込まれて、そのキャンプで眺めてる事で我慢したみたいだけれどな」
「先生……」
恥ずかしいような、擽ったいような。どう反応していいか分からずに俯いて頬を掻いていると、ロッソが目を細め懐かしい過去を思い出すように呟く。
「よく笑うようになったな。良かったよ、本当に」
「へ……」
「アルマ達に救助されて、ここに戻ってきたばかりの時の君の顔は、かなりひどい顔をしていたからさ」
「そ、そんなに落ち込んでましたかね……?」
「落ち込んでたってよりは、苦しんでるって顔つきだったな。何で自分がここにいるのか、のんびりとこんな事してていいのかってさ」
自覚がなかったが、確かにそんな暗い顔をしていたから対話と交流は不得意だが、基本的に人のいいハンターは声を掛けてくるだろう。
「えっと、その……ご迷惑をおかけしました」
「いいんだよ。あの状況だ、元気に振る舞えってほうが無理がある。それに言ったろ? 笑えるようになって良かったって」
「正直、あんな暗い顔をして、明るさを取り戻せる方が少ないからな。本当にそれだけで充分嬉しいんだ」
ロッソはそう言うと、ナタの頭をポンポンと撫でるように軽く叩く。どうやら見守ってくれていたのは、鳥の隊と星の隊だけではなかったようだ。この際だ、友好を深める為に色々訊ねるのもいいかもしれない。
「あの……答えづらかったらいいんですけど、ロッソさんはどうしてハンターに?」
「あぁ、俺か? 偶々だな」
「偶々……」
「そう、偶々他の人間よりも体力と力があって、偶々見かけたヘビィボウガン使いのハンターをかっこいいと思って、見様見真似でハンターになったら、想像してた以上にしっくりきたから続けてる。確か、君と一緒にいるハンターも、似たような理由な筈だ。多分、そういう軽い気持ちの方がいいのかもな」
ロッソは目線を空へと上げる。
「ハンター志望の奴はな、結構君みたいな顔してやってくるのが多いんだ。大切な人や、心の拠り所にしていた場所を奪われて、モンスターは全部狩ってやるって感じでさ」
「そういう理由のハンターは、成功すれば大抵が誰もが知っているような超一流になる。当たり前だよな、お気楽な理由でなった俺なんかよりも、何倍も何十倍もモンスターについて勉強して、腕を磨いてるんだから。けれど、そんな英雄が出てくる確率は千に一人か、万に一人。大抵は急ぐあまり、腕に釣り合わない無茶な依頼を受けるのが殆どだ。それがすぐ治る怪我で済めばいいが、それ以上の事になっちまうのもかなりいる」
実際、見たことがあるのだろう。一瞬だけ沈んだ顔つきをするロッソ。しかし、直ぐに穏やかな顔になる。
「けどまぁ、今の君ならそんな無茶はしないだろうし、あのハンターがさせる事もないからな。俺も何かあれば力になるつもりだから、気軽に声をかけてくれ」
「はい!」
返事をすれば、ロッソは頷いて「じゃあ、またベースキャンプでな」と軽く手を降ってから、セクレトに乗って別のエリアへと向かう。彼の背中を見送ってから、ナタは呟く。
「僕、先生やアルマ以外の人にも気にかけてもらえてるんだな……」
色々な人の嬉しさで、胸が温かくなる。モンスターを倒すことによって、新しい未来を切り開いてくれたハンターに憧れ、同じ道を志すようになったが正直、自分がどんなハンターになりたいのかはまだはっきりしていない。けれど、こうやって見守ってくれたり手を差し出してくれる大人が沢山いてくれれば、きっと胸を張れるようなハンターになれるだろう。
もう一度エリア8を双眼鏡で覗き込めば、ハンターが今度はアルマを呼んで双眼鏡を渡す。そして、此方を見ているナタを見つけたのだろう。大きく手を振ってくれた。
早く戻ろう。そして、あの三人に褒めて貰おう。ナタは片手剣を握りしめて、ケラトノス目掛けて走り出した。
ロッソさん
お馴染み、赤の隊のサポートハンター。ぼっちのハンターさんに闘技場のクエストへ誘われれば、嫌な顔せず同行してくれる神のような人。その為、比較的話もする。ヘビィボウガン使いなので、ガード可能武器仲間としてハンターさんから親近感を持たれている。