最強のエースパイロット…の陰でしれっとスコアを伸ばすとある一般隊長のお話 作:Yura0628
『ソウルキーパーよりオオタチ1。2機の敵Namedが合流、移動を停止した。攻撃の予兆かもしれない、警戒して接近せよ』
「了解」
発艦して移動すること数分、俺達は艦隊陣形外にいる敵Namedを捕捉し、接近を試みていた。
しかし、彼我の距離は100kmを切った程度のところで俺達の足は遅くなる。
先に俺達を壊滅させた広範囲兵器、そして画面に写るNamedが構えているロングバレルライフル──〈えちご〉の外装を貫いたと思われる兵器を警戒しなければならなかったからだ。
「さて、ここからどうするか…ハク…じゃない、オオタチ6、ここから連中を狙い撃ち出来るか?」
『出来ない、とは言わないけど当てるのは無理だ。天山は狙撃機体じゃないし、弾速も早くない。せいぜい牽制しか出来ないね』
「それで良い、俺達が接近する際に敵の攻撃を減らせれば十分だ」
『分かった。タイミングは任せるよ』
天山3機の砲撃でNamedの牽制が出来るかは分からないが…彼らを信じるしかない。
「オオタチ1より各機、俺の合図でスラスター全開、オオタチ6以降は掩護射撃を頼む」
『『『了解』』』
「よし…3、2、1…行くぞ!」
その言葉と共に、俺はスラスターを全開、後ろを見ることなく宇宙空間を駆ける。
突撃を開始した数秒後、俺を青色の光が追い抜いていくと、敵Namedに一直線に向かっていき、回避機動を取らせることに成功する。
「オオタチ1より各機!敵の攻撃は気にするな!真っ直ぐ敵に向かうぞ!」
それに下手に動くと、俺達が天山の砲撃に当たる可能性もある。なら軌道を一切変えずに進むのが最善だ。
《目標を射程圏内に捕捉》
「かますぞ…!」
天山の砲撃に追い立てられている敵機に向かって俺達は、急遽装備変更をした、
粒子砲と違いプラズマ砲は、メインの弾道の周辺にも被害を及ぼすことができるという強力な特性を持つ。
なぜこんな便利な物を最初から携行していなかったというと、敵味方が入り乱れる戦場だと誤射の危険が粒子砲の数倍高まる上、弾数の制約も受けてしまうからだ。
まぁ、強力だが制限付きの特殊武装だと思ってくれたらそれで良い。
『初弾命中せず』
「だろうな」
しかし、そんな強力なプラズマ砲も、やはりNamedに当てるのはそう簡単なことではない。
さらに…
『おいおい、そんなもんが当たると思ってんのかよ…!』
『…また敵がオープンチャンネルで話しかけてきた…?』
「何だってNamedはここまでおしゃべりなんだ?」
いや、俺が接触したNamedはNemesis隊だけだが、バートランドに続いて2番機までオープンチャンネルで話し出したらNamedがおしゃべりだと印象を持っても仕方ないだろ?
『俺はNemesis隊2番機のアランだ。ほら、早くかかってこい、バートランド隊長をそれなりに苦戦させたんだ。すぐにくたばってくれるなよ?』
『この
「あぁ、上等だ…!」
Named相手に啖呵を切った俺はhumanoid形態に変形、プラズマ砲で牽制しつつ右肩にエンブレムのある敵機に切り掛かる…ふりをする。
本命は俺の真後ろについたオオタチ2のプラズマ砲だ。
『おおっとぉ!中々考えて攻撃してくるじゃねぇか!』
「やかましいなコイツ…」
放たれたプラズマは擦りもせず漆黒の宇宙へ消えていったが、俺達は攻撃の手を緩めるわけにはいかない。
即座に俺はオオタチ6に通信を入れ、援護の要請を行う。
「オオタチ6!敵機が俺達から離れないよう牽制してくれ!自由に動き回られたら厄介だ!」
『了解…!』
威勢の良い返事と共に放たれた援護射撃が敵機の動きを阻害し、そこへオオタチ4、5が上下から切り掛かった。
『はぁぁぁ!!』
『届けぇぇ!!』
『っと、おもしれぇなぁおい!』
しかし彼らの攻撃は不発に終わり、もう1方の敵機が俺へと向かってくる。
『オオタチ1、下方に敵機!』
『アランばかり見てないで少しはこっちも見たらどうだ?』
「しゃらくせぇ!」
オオタチ5達に意識を割いてこそいたが、俺自身も警戒していた上ソウルキーパーの警告により、余裕を持って俺は敵機を迎え撃つ。
下から向かってくる敵機に俺がプラズマ砲を放ち、回避機動をとらせるとその行動を読んでいたオオタチ3が背後からシールドチャージを行う。
『なっ、チィ…!』
「オオタチ2と共に追撃しろ!敵2番機は俺が止める!」
『了解』
俺はそうオオタチ3に指示を出すと、自身に向かってきたビームをシールドで防ぎスラスターを全開、敵2番機へ突撃する。
『マジか!?っぶねぇ!』
敵機の意表をついた俺の攻撃は残念ながら当たる事はなく、俺は敵機の横を素通りすることになる。そこを見逃すことなく敵2番機はビームソードで俺を両断しようと振りかぶるが、そこへオオタチ6達の粒子砲が殺到し、敵機はさらに回避機動を行わざるを得なくなる。
『ちょ、ちょ、ちょ!容赦ねぇな!』
「全部躱しといて何言ってんだ…」
ふざけた言動してるが、腐ってもNamedと言うことか、それなりに濃い弾幕だったんだが。
『クソッ、すばしっこい!』
『…オオタチ3よりオオタチ1、敵3番機がそちらに向かった』
「了解」
オオタチ2達も苦戦しているようだ。あの隊長機ほどでは無いにしろ、まだ実力の差は大きい。
(だが、バートランドと戦う前の俺達だったらここまで善戦出来てない、それもこの機数で…)
誰が言ったか、自分より格上の相手と戦う事は普段の訓練の何年分に匹敵するらしい。
基本は格上との戦いで命を落とすことが多いから広まってないだけで、実はその通りなのかもしれないな…
『よそ見とは感心しないな!』
『隊長!』
「っ、分かってる…!」
正面から切り掛かってくる敵機、振り上げられたそれを、俺は両手で握ったビームソードで受け止める。片腕の出力では負けても、両腕ならば…!
「グッ…ダメか!機体ごと押し込まれる…!」
『量産機で力比べとは強気だな!』
「このっ…!」
『ソウルキーパーよりオオタチ各機!敵隊長機と白虎がもつれ合いながら急速接近中!警戒せよ!』
敵機の圧力に耐えている最中聞こえたソウルキーパーからの通信、それが俺の耳に届いた瞬間、何度目かもわからない巨大な衝撃が俺を襲った。