最強のエースパイロット…の陰でしれっとスコアを伸ばすとある一般隊長のお話   作:Yura0628

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戦闘終結

『……ザッ…聞こえるか…こちらルーシ連邦中央艦隊だ。大和連邦及びロイヤル王国艦隊は直ちに戦闘を停止せよ』

 

通信機から響く感情を感じさせない声、圧倒的な存在感を醸し出す巨艦。そして次々とワープアウトしてくる大艦隊…

 

文字に起こすとせいぜい一文と少ししかないが、実際にその存在を目の前にした絶望感、無力感は俺が今まで経験した中で1番だった……Nemesisと相対した時よりも。

 

 

 

なぜ俺がそこまで恐れるのか、答えは単純。ほとんどそのような事は起こらないが、Namedは一般兵でも落とせる、落とされた記録がある。

 

しかし、今俺達が相対しているソビエツキーソユーズ…僅か数隻しか建造されなかったにも関わらず、()()()()()()()を終焉させ、その後も猛威を振るい続けた戦艦という艦種を超越した戦艦群。

 

……通称Ragnarøk(ラグナロク)級戦艦は、初めて建造されたとされる630年前から現在に至るまでの撃沈破記録が()()()()、またNamedの数は国際条約により制限されていないが、こちらは国ごとに保有制限が掛けられるほど強力な戦力として君臨している。

 

 

国際的な条約で確認されているRagnarøk級は封印されている5隻含め22隻存在しており、現在存在する1000を超えるNamedの数から考えると戦力的にいかに異質か分かるだろう。

 

 

 

「それを抜きにしても、何でルーシ連邦航宙軍の総旗艦がこんなところに…それにWDAは…?」

 

俺の独り言にルーシ連邦軍が応えるはずもなく、通信機から続けて言葉が聞こえてくる。

 

『本星系は我がルーシ連邦領であり、他国軍の侵入、戦闘行為などもってのほかだ。本来であればここで貴艦隊らを撃破もしくは拿捕するが、生憎本艦隊は観艦式へ向かう最中であるため貴艦隊らの戦闘行動の停止及び、本星系からの離脱を確認し次第元の航路に戻る必要がある。速やかに応答されたし』

 

(いや待て待て、この星系は無所属星系のはずだろう、お前らが勝手に領有権主張してるだけで)

 

そんな事を思っていると、ロイヤル艦隊の司令が()()()()()()()()()()返答を行った。

 

 

『……こちらロイヤル王国航宙軍、第9遠征打撃艦隊司令、()()()()()()()()()だ。先ほどロイヤル王国政府より本艦隊に撤退命令が出た。よって貴国の要求を本艦隊は容認する』

 

 

『…了解した。貴国の英断に感謝する…イサリビ司令、ロイヤル王国の意思は分かったな。それを受けて、貴官はどう判断する。即応機動艦隊の司令には強い権限が与えられているのだろう?』

 

 

『…良いだろう…我が艦隊も撤退する』

 

渋々といった声音だ。無理もない。何故ならこの星系を大和連邦も()()()()()()()()()からな。その目論見が自身の判断で実質破綻した。一艦隊司令には、重いだろう。

 

だが、天雷を守り通すといった最終目的は達成出来た。こればかりは仕方がない。

 

 

『よし、では貴艦隊らは直ちにWDAを解除、救援活動が終了次第速やかに本星系より離脱せよ。もし不審な行動が確認された場合、我が艦隊は全力を持って排除する』

 

 

『『……』』

 

 

そこからは早かった。両艦隊は損傷した艦船の曳航準備や破壊された艦からの人員の救出等を済ませWDAをお互いに解除。順次ワープで撤収していく。

 

これらの様子を、俺はサカイ大尉、そしてバートランドと共に眺めていた。

 

「………俺たちを堕とさなくて良いのか」

 

『…確かに今襲えば、貴官らのどちらかは確実に落とせるだろう。だがその後はどうする。生き残ったどちらかの抵抗を受ける間に、ルーシ連邦艦隊からNamedが出てきて私は撃墜される。抵抗したとしても、あのソビエツキーソユーズが睨みを利かせている限り私、そして我が艦隊が生き残る事は不可能だ。そのような愚かな選択を取る事は決してない』

 

「…そうかい」

 

『だが、いつかまた相見える時があれば、必ず貴官らを落とす。これだけは覚えておけ』

 

「俺は二度と会いたくないがな。仮に会ったとしても全力で逃げるさ」

 

『フッ、好きにすればいい……さらばだ』

 

 

それだけ言い残すと、バートランドは機体を翻し艦隊の方向へ去っていった。

 

 

 

『……お疲れ様、彼との対話は楽しかったかい?』

 

「いえ、二度と話したくない位には恐怖心が勝りましたね。今も冷や汗ドバドバですよ」

 

『ハハっ、冷や汗で済んでるところを見るに、大分耐性は付いたんじゃない?』

 

「耐性はありがたいですが、慣れたくはない部類です…」

 

『まぁ良いさ、自分の格上相手に生き残った。この事実は変わらないんだから…さて、僕らも戻ろうか』

 

「はっ」

 

 

そうして、俺とサカイ大尉は艦隊に向かって移動を始める。途中でサカイ大尉は司令に呼び出されたと言い一気に加速して行ってしまったが、すぐ後に俺は部下達と合流することが出来た。

 

 

 

『隊長、オオタチ2以下全員、生還しました』

 

『Named相手にここまで大立ち回りを演じる羽目になるなんてね…早く帰ってシャワーを浴びたいよ』

 

『…隊長もご無事なようで何よりです』

 

「おう、しっかり5体満足だ……お疲れさん」

 

その言葉は部下達に向けたものでもあったが、同時に自身の相棒(紫電改)に対するものであった、かもしれない。

 

 

ともかく、俺たちオオタチ隊はロイヤル王国航宙軍のNamed、Nemesis相手に生き残ることが出来た。それだけで、今は十分だ。

 

 

だが、しばしの休息の後、俺にはやらねばならないことがある。

 

 

(………さて、帰ったらまずは帰還報告だな)

 

 

 

 

 

 

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