最強のエースパイロット…の陰でしれっとスコアを伸ばすとある一般隊長のお話 作:Yura0628
飯山教導基地
大和連邦領 さそり座第11星系 惑星
大和連邦軍 飯山教導基地
演習場含めた総面積が200万haを超えるこの基地の中央、総合統制センターの一室に俺達は居た。
最も、俺達を案内した士官が部屋を退出してから既に20分以上経過していて暇を持て余しながら、ではあるが。
「……………暇だ」
「暇ですね…」
少し時間がかかるとは言っていたが20分以上だとは思わなかった。16時間の長旅の後これは中々堪えるな。
「自分が様子を見てきましょうか?」
「いや…あーでも、うーん…」
流石に痺れを切らしたのか、元ツルギ9〈セナ・イナハシ〉が様子を見てこようか俺に提案してきた、が、正直許可は出しにくい。
大和連邦軍最大級のこの基地には多数の軍事機密が存在しており、その警備はかなりのものだ。俺達がいるこの統制センターなど同じ大和連邦軍人でも決められた区画以外に立ち入ると途端に捕縛され、最悪軍法会議にかけられる。
俺達が案内された時は担当士官が共にいた為大丈夫だったが、今この部屋の外にセナが出たら、多分ないとは思うが捕縛されて騒ぎになる可能性がある。幾ら待たされているからと言って騒ぎにするのは避けたい。
(しょうがないか)
「よし、俺が見てこよう、お前達はここで待機、もし誰か来たら隊長は人を探しに行ったと伝えといてくれ」
「はっ」
なんて言ったものの、別に俺が隊長だから捕縛されないという訳ではなく、単純に騒ぎになりかけた時の対処は、俺がやった方がマシになるだろうという浅い考えの元動いただけだけどな。
自動で開いたドアから廊下を覗くと動くものは一切見えず、鈍色の空間が延々と続いている。
(警備ドローンすら展開してないのか…逆に怖いんだが)
だがいつまでもここに立ち止まってるわけにはいかない為、一息吐くと俺は廊下に足を踏み出した。
「っ…大丈夫そうだな」
一瞬身構えたが、床に足を着けた途端天井から捕縛ネットが飛んでくるなどと言ったことはなく、空間は平静を保っている。
(行きます…かと)
歩いてれば誰かしら人いるだろの精神で俺は廊下を進み始める。もちろん区画の境目を超えないよう注意しながらだ。
(すげぇなこれ、さすが大和連邦最大級の基地)
行きの時はあまり眺められなかったが、改めて歩くと様々なことに気づく。
実戦を想定していないであろうはずなのに軍用装甲を建材として使用していたり(それも屋内)、至る所に配置されてる警備ユニット、監視カメラetc…てか俺歩き回ってるの警備担当の人間は気づかないのかよ。
(しゃあない、下手に歩き回るより一回外出た方が人絶対居るな)
高度に自動化、無人化されている統制センター内で人を見つけるのを諦め、先程通った道を辿り俺は外に出ようと歩みを進める。
幸いすぐに統制センターの本棟から出ることは出来た……出た瞬間警備ドローンに囲まれたが。
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「本当に申し訳ない、少しトラブルがあってね」
「いえ、無断で外に出たのは俺の判断ですし、モリタ司令が謝る事では…」
俺の前で帽子を外し頭を下げている人物…飯山教導基地総司令官〈ジュン・モリタ〉へ俺は慌てて頭を上げるよう頼み込む。
(上官に頭を下げられるのは心臓に悪いことこの上ない…)
「いや、階級が上だからこそ規律正しくせねばならん。君が外に出たのも元はと言えば我々が遅れたからだしな」
「わ、分かりました、謝罪を受け取ります…」
「ありがとう…では、本題に入ろうか」
「はっ」
頭を上げたモリタ司令を前に、俺達は緊張しつつ耳を傾ける。
「まずは、我が飯山教導基地へようこそ。貴官らのような優秀なパイロットを迎え入れることができて嬉しい限りだ。大まかには知っているだろうが、飯山教導基地は大和連邦統合惑星軍及び航宙軍の教導を行っている最大規模の基地だ。まぁ基地の紹介は今は良いだろう。今回貴官らが当基地へ配属された理由は知っているな?」
「はっ、〈ロズブレアン会戦〉で大幅に人数が減った旧ツルギ隊の新たな隊員を選出すると共に、その隊員への教導であります」
俺が答えると、モリタ司令は「その通りだ」と頷きながら窓際まで歩いていき、外の様子を眺めながらさらに続ける。
「ここ数年、中規模以上の戦闘頻度が大幅に増加している。それに伴って各国の軍事力増加も著しい、置き去りにされる訳にはいかん…話が逸れたな。ともかく、およそ半年の間よろしく頼むぞ」
「はっ、こちらこそお世話になります」
「私からは以上だ。後は〈ソウ〉君、頼んだぞ」
そのモリタ司令の言葉に、先程から黙っていた士官が前へ出てくる。
「私は飯山教導基地所属、〈ソウ・カドナ〉中尉だ。当基地の案内を担当する。早速宿舎から案内しよう、着いてきてくれ」
(いよいよか、少しトラブったが、このまま行けば2、3時間後には休めるかな)
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「貴方達が本当に私の教官に相応しいか、確かめてあげます」
「はぁ…」
「「「「……………………………」」」」
(どうしてこうなった)
腕を組みこちらを睨む少女に、ため息を吐くカドナ中尉、硬直する旧ツルギ隊の面々…
なぜこんな状況になったのか…少し時を遡ろう…