最強のエースパイロット…の陰でしれっとスコアを伸ばすとある一般隊長のお話   作:Yura0628

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先週事前告知無しに投稿をお休みして申し訳ありませんでした。


水面下の攻防

大和連邦本星

 

大和連邦航宙軍総司令部

 

 

 

司令部棟最上階にある元帥の部屋へ、ロズブレアン会戦の後に()()()()を終えたハクトがドアを開けて中に入った。

 

「ハクト・サカイ、ただいま帰還しました」

 

「ご苦労。それで、どうだった?」

 

「ダメです。WDA(ワープ妨害領域)範囲内にも関わらず、天雷の速力で振り切られました。逃走に使用されたのは間違いなく〈超光速輸送艇(タキオントランスポーター)〉です」

 

「未だ()()では理論上の技術か…他に情報は?」

 

カグヤは悩ましそうに鼻の頭を押さえつつ更に問う。

 

「連中が逃走する際に放ってきた弾丸が、既存の大和連邦製の物ではなく〈華蓮民国〉製ということが分かりました。ただし、使用された武器はいずれも大和連邦製です」

 

そう言ってハクトはカグヤへ1発の弾丸を差し出す。歩兵用小型電磁加速砲へ対応する弾丸は天雷の装甲に当たった際潰れたのか、歪な形をしていた。

 

「華蓮民国も一枚噛んでいる…?だが非正規手段で入手された可能性もあるのか。入手手段が分からないと何とも言えんな」

 

「いえ、解析班によるとこの弾丸は民間に流通は一切しておらず、入手手段は華蓮民国から直接入手するしかないとの事です。なぜ我々の銃と規格が合っているのか不思議でなりませんが…」

 

「大方自分達で銃と弾丸の両方を設計するのが困難だっただけだろう。あの国は物量こそ狂っているがそう言った点では他国に劣っているからな。だが華蓮民国もこの件に関わっているか…ロイヤル王国も情報を流されただけと言っているが、確証もない情報を信じて地方統合艦隊クラスを投入するとは思えん」

 

 

ロイヤル、そして華蓮民国は7大国である。末端の方は杜撰なところもあるだろうが、天雷の奪取や()()()()()()()()()()()()()()など末端のやることではない。

 

「両国の中枢にも、「奴ら」に通じている人物がいるな」

 

「既に目星は付けてありますが、やはりこの国に潜んでいる者同様尻尾は見せませんね。現在〈S特〉が動いてますが、恐らく空振りに…『サカイ大尉!〈S特〉から連絡!施設内にて不明勢力と交戦開始とのこと!』…カグヤ元帥」

 

「当たりを引いたか、よし。〈天之尾羽張(アメノヲハバキリ)〉…トツカ隊が付近で任務に当たっているはずだ。彼らに動いてもらうか」

 

「了解、では自分は〈カラタ大臣〉の監視を継続します。〈S特〉が上手くやればそのまま確保出来るかもしれない」

 

「そうだな、危うく三器隊の一角ツルギ隊(草薙剣)を消滅させられるところだった、絶対に許さん」

 

 

 

 

************************

 

 

てんびん座第2星系 第1、第2惑星間部

 

Area22:暗礁宙域 秘匿小惑星基地

 

 

『通路上にバリケード!』

 

『破壊して進め!資料の破棄を許すな!』

 

直径500mに満たない小惑星の内部に建設された基地で、大和連邦航宙軍の特殊部隊〈S特〉と基地を掌握する不明勢力の間で戦闘が起こっていた。

 

〈い型潜宙艦〉で基地近郊まで接近した彼らは、数隻の〈こうりゅう型特殊艇〉に乗り換え基地へ侵入。当初は基地は放棄されているとして残存資料の収集のための任務だったが、いざ基地に突入すると不明勢力により基地は稼働状態であり、交戦に入ることとなった。

 

 

『後方クリ…まだ居んのかよ!?』

 

『クソ、グレネード諸共突っ込んできやがった!』

 

『この先に自動機関砲(オートタレット)!』

 

 

猛烈な反撃に遭っている〈S特〉だが、実はそこまで損害は出ていない。

 

彼らが身に纏う強化外骨格(エクソスケルトン)は一般的なモノより大幅に強化されているため、装甲に傷をつけることは歩兵クラスの火器では不可能であり、関節部分も液体金属装甲で覆われているため無類の堅牢さを誇る。

 

更に主力戦車と同等の火力性能と〈空挺機動兵〉が持つ機動性も加わった結果、大火力兵器を運用出来ない場所で彼らを倒すことは実質不可能だ。

 

「来た!?撃てぇぇ!」

 

『うおっ、角待ちとは卑劣な手使ってくれるじゃねーか』

 

だからこそ、普通の歩兵では尻込みするような場所へも躊躇なく突入できる。

 

「ぐぁぁぁぁぁ!!」

 

『ったく…キリがねぇな』

 

肩部拡散砲で数人まとめて薙ぎ倒した〈S特〉の隊長は防護マスクの下でため息を吐き、部下達がついてきてるか確認するとすぐにまた前進を再開する。

 

「死ねぇぇぇ!!」

 

『邪魔だ』

 

脇に部屋から飛び出してきた研究者らしき男がマシンガン(短機関銃)を放つが、火薬式の歩兵火器が役に立つはずも無く、隊長の殴打によって壁のシミとなった。

 

その後も〈S特〉は抵抗する障害を蹂躙し、やがて基地の最奥区画へと足を踏み入れる。

 

『ここが中央制御室か、突入するぞ』

 

重厚なハッチを破壊して中に入ると、彼らの予想と違い、そこには資料などなく広大な空間に1機の〈ワープゲート基点装置〉が建っているだけであった。

 

『隊長…これは…』

 

『危なかったな…すぐに母艦に連絡だ。()()()()()()()()()()()。要請が通るまでの間俺達は宝探しといこう』

 

そう言って隊長はビーコンの設置だけ行うと部屋から出て、既にクリアリングを終えた部屋を一つ一つ確認し始めた。

 

部下達もそれに続き、手分けして(秘匿資料)の捜索を行う。

 

『ダメです、証拠となる資料は見つかりません』

 

『こっちもだ。あくまでワープゲートの実験施設としかない。目的は確実に()()のハズなんだが…』

 

『隊長、攻撃要請通りました。資料回収が終わったら直ちに離脱しろとのことです』

 

『分かった、と言っても目ぼしいものはほとんど無いからな。一応確認しながら戻るぞ』

 

 

 

数十分後、基地内の捜索をあらかた終えた〈S特〉が母艦に帰還し、その母艦である〈い型潜宙艦〉は攻撃体制に入る。

 

 

『ミサイル発射管1から4番、AAM-3(対小型天体誘導弾)装填』

 

『ターゲットビーコン確認。誘導装置異常なし』

 

『AAM-3装填完了、安全装置解除』

 

『発射管減圧、ミサイルハッチ開け』

 

400m級の船体を持つ〈い型潜宙艦〉の前方ミサイルハッチが解放され、中に装填されたAAM-3が姿を覗かせる。

 

『ハッチ解放、発射準備よし』

 

『撃て』

 

艦長の短い指示が飛び、間を空けず射撃担当官が引き金を引くと4発のAAM-3は発射管から放たれ、ビーコンからの信号を受け取り一直線に小惑星基地へと飛翔、着弾。

 

硬い岩石部をものともせず小惑星基地内部へ突き刺さったAAM-3は、基地の中心付近まで到達すると起爆、内部から基地を爆破する。

 

小惑星基地は木っ端微塵になると、周辺の小惑星へ破片がぶつかり瞬く間に危険な宙域を作り出した。

 

『目標の破壊を確認』

 

『直ちに潜航せよ』

 

だが〈い型潜宙艦〉は亜空間へ潜航が可能な艦であるため、正空間の影響を受けることなく宙域から離脱。作戦はひとまず成功するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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