世捨て人龍の配信生活~迷宮の底で人型龍になったけれど生活を充実させたいので配信者します~   作:嘉神かろ

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第204話 久々コラボ配信

204

『ハロハrうぇ!?』

『こんにちは。コラボ配信なんて珍しいですね』

『こんセイメええええええええええええええ!?』

『なんか見覚えの顔がある』

『違う見覚えのある顔が』

『ダーウィンティーさんお久しぶりです!再会するときはコラボだと思ってました!』

 

 うんうん、だいたい皆そうなるよね。私も驚いたもの。

 人も集まってきたし、挨拶しとこうか。今回も私から、みたいですねはい。

 

「ハロハロ。八雲ハロだよ」

「晴明や」

「ダーウィンティーです! お久しぶりです!」

 

 三配信分のコメントはちゃんと出てるね。色分けもできてる。よしよし。

 

「古参は驚いたよね。わかるよ、その気持ち。凄く」

 

『ああ やっぱり急に来たんだ』

『二人、というかダーウィンティーさんはやりそうだな、そういうさぷらいず、』

『百合スレで報告してきましたほめて』

『え。どちらさん?』

 

「最近来てくれるようになった人もいるし、改めて紹介するよ。まずこっちの黒髪美少女がダーウィンティーことウィンテ。吸血鬼たちの女王で、皆がやってるゲームやらなにやらの技術系には大抵関わってる」

 

 百合スレは、まあ触れなくて良いか。コメントでグッジョブとかぐぅ有能とかって並んでるし。

 あれ、この人とこの人、たしかまだ若かったよね? 五十歳くらいだった気がする。え、そんなに布教されまくってるの? あ、このあいだ成人したって言ってた人間のリスナーさんまで。

 

「んで、こっちの金髪狐っ子美少女が晴明。関西圏の初代長。陰陽道や神道系の術を使う人で知らない人はいないんじゃないかな」

 

 おー、若い子と幼い子がざわついてるね。あ、令奈さんの登録者がいっきに何百人か増えた。これがコラボ効果か。

 でも、これ日本人ばっかりだろうなぁ。この辺の人たちが登録してくれないと意味ないんだよね、今回の目的だと。

 

 それはそれとして照れる二人が可愛い。令奈なんかなんでもないフリして狐耳の中がうっすら赤いんだもの。眼福だね。

 

「今日は久々、何百年かぶりに、この三人で迷宮を攻略するよ」

「そういうわけなのでよろしくお願いします!」

 

『攻略なのか散歩なのか』

『二人も強いのかな』

『いっそ 迷宮の主がかわいそう』

『めちゃくちゃ強いぞ ハロさんにならぶくらいには』

 

 あー、どうしよう。確かに二人は強いんだけど、まだ全力を出せないことは言うべきかな?

 配信のためのイメージ戦略はともかくとして、吸血鬼や関西圏に敵対する勢力への牽制的には言っておいた方がいい。ただ、言い訳だって捉えちゃうような残念な人もいるだろうからなぁ。

 

 んー、まあ、任せようか。

 てことで目配せする。どうやら明かしておくらしい。

 

「まあ、強いほうやろな。今の私らは半分くらいん力しか出せへんけど」

 

『強い方どころではないですぞ。日本で五本の指には確実に入る強者(つわもの)です。』

 

 あ、赤竜。なんだかんだコメントは久しぶりな気がする。ていうかまだ生きてたんだ。

 竜人ってどれくらい生きるんだろう?

 

 ……なんか、私が配信やってる間は生涯現役とかって言いそう。赤竜だもの。

 うん、考えるのやめようか。彼は夜墨も理解の外にあるって言ったような生き物だし。

 

『よう。お前らばっか面白そうなことしやがって』

 

 およ、珍しい人からのコメントが。

 

「鬼秀じゃん。子育てに集中しなくていいの?」

 

『いつの話してやがる。もう息子も立派に若頭やってるよ。なんなら引退して全部任せることも考えてるくらいだ』

 

 そっか、もうそんなに経ったのかぁ……。

 中国に向かう前にプロポーズしてきたのが懐かしいよ。

 

 そうだ、日本に帰ったら美味しいご飯ご馳走されに行かないといけないんだった。奥さんとか息子さんの顔も見てみたいし。

 でもやっぱり、私が行ったら気まずいかな? いやこうして配信に来てるし、大丈夫か。

 

 うん、大丈夫ってことにしておこう。美味しいご飯の方が大事だ。

 

 まあ、初めの挨拶はこんなものかな。ちょっと長くなっちゃったけど。

 

「それじゃ、出発しようか。サクサクいこう」

「おー!」

「せやなぁ」

 

 そんなこんなで始まった迷宮攻略なんだけど、案の定だったね。完全に散歩だった。主に二人に寄せられた近況への質問なんかも、戦いながら雑談感覚で答えてたし。

 

 そんな感じであっという間に到着した最終階層。待ち構えていたのは、何かしらの悪魔だ。

 私はあまり詳しくないから、天使のような、しかし黒い翼を持ち、燃えさかる古代の戦車に乗った彼が何者かは知らない。確かなのは、二百十階層という深さに見合う強さを持つ上位の存在であるということ。そして、そのクラスでしかないということだ。

 

「足を止めます!」

 

 美しい悪魔の頭上から鮮血の槍が雨となって降り注ぐ。彼は翼で自身を覆うようにして防ぐけれど、その翼は見る見る赤く染まる。絵の具となっているのは、ウィンテの血ではなく悪魔自身の血だ。

 

 当然、これくらいで終わるようでは二百階層クラスの名が泣く。

 悪魔は自身の支配できた僅かな魂力へ強大な意思を注ぎ込み、膨大な魔力となして紅蓮の炎を生み出した。

 

 大悪魔と言うべきなのだろう魔法だ。街の一つ程度は簡単に灰塵に帰してしまう威力があるのは間違いない。

 それでも、私たちにとってはただの悪あがきに過ぎない。

 

 舞う令奈へ迫る豪炎。その前に歩み出て、槍を振るう。

 それだけで、悪魔の生み出した絶望は、破壊は、分かたれて無と化す。

 

 と同時に、令奈の準備が整った。

 

「断罪の剣、闇御津羽(くらみつは)

 

 ほんの十秒に満たない短な舞いと言霊、そして陰陽の極みが生み出したのは、水の象る巨大な一振りの剣。それは、迦具土を切った剣より滴る血から生まれし神の名を模した魔法。母殺しという罪をなした神を裁く剣。

 

 一歩右へ避ければ、空けた道をなぞるように断罪の剣が振り下ろされる。

 

 彼はできる限り防御を固めたのだろう。しかし神の罪すら裁く剣を、たかだか悪魔が防げるはずがない。一刀のもとに両断され、断末魔の声も上げること無く、悪魔は灰となって剣の起こした風にさらわれた。

 

『瞬殺だった』

『まあいつものこと』

『やっぱるいかわいそうだった』

『ま こうなるよね』

 

 うんうん。そりゃあね。

 例え全力が出せないとしても、主神クラスに打ち勝った私たち三人を大迷宮にすらなれてない迷宮の守護者が殺せるわけない。戦いになるはずもない。

 至極妥当な結果でしかない。

 

「あっさりだったねー。二人は何か感想ある?」

「えー? 特にないですね」

「せやなぁ。一対一で魔法なし縛りくらいはせんとあかんかったなぁ、てところや」

 

 つまり、歯ごたえ皆無だったと。

 

「だいたい同感。まあ、ここが最終階層みたいだし、この辺で配信は終わろうか。みんな、今日は来てくれてありがとね。また気が向いたら合おう。お疲れ様ー」

「お疲れ様です!」

「なんかおもろい発見あったらよろしゅうな」

 

『おつはろだうぃせいー』

『お疲れ様でした』

『おつおつ』

『なんか欲張りセットみたいなひとが 乙ハロです』

 

 はい、終了っと。

 二人も枠を閉じたみたいだね。

 

 感想としてはさっきも言った通り。ドロップアイテムもそんなに面白そうなものじゃないし、普段なら潜らないような迷宮だったね。

 

 さて、力の制限のほうは……。

 

「それなりに解除されたね」

「ですね。七割にはぎりぎり届かないくらいでしょうか」

「私もそんなもんや」

 

 ふむ。

 ドラゴンたちやグラシアンの力を考えたら、まあ及第点かな。少なくとも、誰かが辿り着く前に死ぬなんてことはない。

 

 あと残るのは、やっぱり確かだったらしいこの違和感についての話かな。

 

 

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