世捨て人龍の配信生活~迷宮の底で人型龍になったけれど生活を充実させたいので配信者します~   作:嘉神かろ

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第45話 不本意だけども

 うん、どう考えても人間ピンチだね。

 

 一応、溢れたのをどうにか対処するって事も出来るとは思う、

 けど、仮に浅い層のごく一部にしか襲われなかったとしても、乗り切れるのは強者たる始祖たちの勢力くらいだろう。

 

 大変だね、人間。

 大変だけど、ぶっちゃけ私、関係あるかな?

 

 あまり無いよね、正直。

 spの交換レートが上がるくらいの影響しかない。

 

 いや、収入も減るか。

 でも制限解除されたしなぁ。

 

 生き残った少数からでも十分稼げるよね。

 食べ物は自給自足できるわけだし、調理器具も無いなら無いでやりようがある。

 交換するとしたら料理のレシピも含めた本くらいだ。

 

「よし、私関係ないね」

 

 だって私、龍だもの。

 人間って枠組みからはとっくの昔に外れてる。

 人型の私が特殊なだけで、種族そのもので言えば二足歩行ですらないんだよ。

 

 人間社会が大打撃を受けたところで、どうでも良い。

 というわけで谷さん頑張れ。

 渋谷の王として、人間として。

 

「ロードよ、人間たちが栄えた方が都合良かったのではないか?」

「ん?」

 

 確かになんかそんな事、前に考えた気がする。

 

「新たな書に酒、便利な道具をどんどん作って欲しいなどと言っていたであろう」

「あー……」

 

 そっか。

 それがあったかー。

 

 忘れてたよ、大事な事なのに。

 最悪道具は魔法でどうとでもなるし、お酒は同じのを飲むのもありだけど、本はそうもいかない。

 

 世の中にどれだけの本があるかは分からないけど、私の途方もないだろう寿命が尽きるまでには確実に読み切ってしまう。

 そういう意味では、今の体のスペックが仇になった形か。

 

 前より頭の回転が早くなったせいで、音声として脳内再生しながらですら一日二十冊は軽く読めるもの。

 他に色々するとして、一日平均十冊だと考えても、一年で三千六百五十冊か。

 

「ねえ夜墨。私らの寿命ってどれくらい?」

「さあな。その気になれば星ほどにも生きられるのではないか?」

 

 うん、全然足りないね。

 計算するまでも無かった。

 

 仕方ないなぁ。

 少しだけ、私自身が社会に組み込まれてしまわない程度に助力しよう。

 あー、面倒くさい。

 

 面倒だけど、理想の生活の為だ。

 自堕落には暮らしたいけど、ぼーっと過ごしたい訳じゃないから。

 

 ましてや億年単位を生きるのなら尚更。

 

「はぁ。問題は、やり方だよね」

「こればかりは個の力で足りるもので無いからな」

 

 全国各地にいくつあるかも分からない迷宮、その全てを回って魔物掃討なんて、現実的で無い。

 百年単位で猶予があるなら可能ではあるけど、それをすれば私の自由は大幅に制限される。

 

 そんなの、許容できる訳がない。

 それなら現代文化には一度途絶えて貰ってのんびり待つ方を選ぶ。

 

 何にせよ、まずはタイムリミットの計算か。

 私の支配する迷宮の保有魔力量がこれだから、手付かずの迷宮は……大体これくらいかな?

 

 保有上限は、規模に比例すると見て、幅に余裕を持って計算すると……。

 

「夜墨、この条件なら猶予はどれくらい?」

「……大凡で三年ほどだ」

 

 思ったよりはあるか?

 これなら、ギリギリ人間たちだけでどうにかなるかもしれない。

 

 何にせよ、各地に生まれた始祖たちの協力は不可欠。

 多くの人間たちには配信を見ている人経由で伝われば良いけれど、彼らだけには確実に伝える必要がある。

 

 その点に関しては他力本願でもある程度生き残るなら問題ないは問題ないんだけどね。

 ただ、不確定すぎるから、将来に私の目的が達成される可能性の振れ幅が怖い。

 

「自分で行くしかない、かぁ……」

 

 これで人間関係に発展したら嫌だなぁ。

 その場限りの関係にしたい。

 

 けどうち一人はウィンテさんなんだよなぁ。

 関係、深まっちゃうよ。

 画面越しのうっすーい関係じゃなくなる。

 

 んー、どうしよう……。

 彼女の引き籠り体質に期待する……?

 なんかそんな事言ってた記憶あるし。

 

 いや、彼女にはスレッドか配信越しでいいのか。

 よし、そうしよう。

 解決!

 

 それじゃあ早速、プライベートスレッドの方に書き込みましてっと……。

 

 返信はや。

 えっと……。

 

「……北陸の方って誰かいたっけ?」

「少なくとも私は知覚していないな」

 

 だよねぇ。

 

「じゃあ関西。ウィンテさん以外」

「同様だ」

 

 ふーむ……。

 なんか嫌な予感がするけど、どっちも無しと返しておく。

 

「げっ……」

「どうした?」

「ウィンテさん、北陸の出身だからそっちに行きたいらしいんだけどさ、代わりに紹介したい人がいるから直接会えないかってさ」

 

 何のためにスレッド越しにしたのか……。

 けどこれは会わなきゃだよねー。

 

 私の口からちゃんと説明しろって旨の文言あるし。

 

 ぐぬぬ……。

 ウィンテさんめ、やりおる……。

 

「面倒だなぁ……。けど、やるしか無いもんねぇ」

「ああ、諦めろ。ロード自身の目的のためだ」

 

 はぁ。

 本当、仕方ないなぁ……。

 

 さて、切り替えよう。

 面倒な事はさっさと終わらせるに限る。

 

 ウィンテさんとの約束は、三日後か。

 じゃあ明日は南の端から北上していこう。

 

 移動はそんなに掛からないはずだから、探すのとお話しという名の一方的な通達に時間をかける事になるかな。

 

 一人目は、スレッドの情報通りなら人魚の女王。

 サクッと終われば良いな。

 

 まあ取り敢えず、ステーキですね。

 憂鬱な事は美味しいものを食べて一旦忘れる!

 

 

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