20XX年9月29日、世界各地で同時多発的にゲートが開通。
これにより、世界秩序に大きな混乱が訪れた。
同時に、
では、繋がった瞬間から起きた出来事を、時系列的に見ていこう。
まずは繋がってから数時間。
ロシア連邦・モスクワ近郊では、政府直轄の治安部隊が即座に周辺地域を封鎖。数時間のうちに、ゲヘナ学園の校舎群や建造物類が視認され、その映像は即座にロシア国営放送によって報道された。
ベルギー王国ブリュッセルではロシア同様に軍が即座に周辺地域を封鎖し、こちらはトリニティ総合学園の街並みがゲートに映し出された。
ロシアは直ちにに使節団を派遣する準備を始め、国防省を中心に各省庁が一斉に動き出した。
特に
更に、国内外の反応を抑え込むべく、各地で情報統制が敷かれた。
ベルギーにおいても、EU本部との協議を経て、統合派遣団の設立が進められる。
特筆すべきは、EU各国が協力して形成した初の共同ゲート対策部隊が、トリニティへの正式接触を試みたことである。
この部隊は文化交流を前提としたソフトパワー重視のアプローチを採用し、従来の軍事的介入とは一線を画す動きを見せた。
このEUが協力したゲート対策部隊の結成の際、ドイツ・フランス・イタリアなどがゲートの領有権を巡り、EU議会で大きく対立。
だが、ベルギー政府の介入により『EUという機関のあり方』を大きく変え、よりEU加盟国内での政治的・経済的な結び付きを強化。
最終的にゲートはEU加盟国の共有資産とされ、EUも単なる地域連合から、実質的な軍事同盟を含む集団安全保障機構へと変貌を遂げた。
これはヨーロッパのアメリカ離れを象徴する出来事の一つとされ、同時にヨーロッパ人の郷土意識が『ドイツ』や『フランス』といったものから、『ヨーロッパとそれ以外』というものへと変化していった。
一方で、北太平洋に開通した公海上のゲートを巡り、国際社会は対応を巡って大きく揺れ動いた。
アメリカと中国がそれぞれ第3艦隊と南海艦隊を派遣し、ゲートの“所有権”を巡って睨み合いを展開。
しかし、両政府首脳による協議の末、このゲートは全人類に共有された資源であるという前提のもと、国際連携による管理が決定された。
国際連合はこの一件を受け、即座に『
加盟各国からの代表を選出し、ゲート管理・通行・調査活動を行う新たな国際機関の発足準備が進められる事となった。
キヴォトスと地球が接続された当初は混乱が支配していたが、数日後にはそれぞれの国家が外交的な戦略に基づき動き始める。
ロシアとゲヘナ、EUとトリニティの協調関係は、この中でも特に注目された事例である。
ゲヘナでは
特にゲヘナはキヴォトスでも有数の劣悪な治安を誇り、これに対してロシア政府は万魔殿に対してゲヘナ中央区を『特別地区』とすることで、少ない労力で限定的に安全地帯を作ろうと考えた。
対してトリニティは、欧州の文化的土壌と親和性が高く、旧来の価値観を重視する保守的な学園都市であることから、EU側との経済連携が急速に進展。
特にドイツ・フランス・ベルギーを中心とした重工業および医療、教育機関の進出が目覚ましく、学園都市のインフラ刷新が進んだ。
これらの動きを受け、日本政府は再び外交の主導権を握るべく動き出す。
日キ条約を元に、連邦生徒会およびシャーレとの関係を再確認。混乱を最小限に抑えるための三者協議を招集し、日本国内でのワームホール研究および経済協力機構の立ち上げを宣言する。
一方でアメリカは、既にカイザーと手を結びアビドス砂漠での影響力を確立していたこともあり、他国の動きを冷静に見守る姿勢を取っていた。
だが裏ではCIAやUSASOCが連邦生徒会内部のカイザーと繋がっている勢力に接触し、情報工作や技術取得を試みるなど、静かなる暗躍を開始する。
こうして数日の間にめざましい交流を遂げた
まずゲヘナでは、ロシア政府の提案に対して万魔殿が快諾したのは良いものの、現地生徒の反発――つまり、特別地区と定めようとしている場所に住んでいる生徒が、ロシアのゲヘナ参入を嫌い、武力抵抗を始めたのである。
更に
ロシアとしては、直ぐにでもゲヘナの治安を改善して、ロシア軍の進駐やロシア系資本の進出を進めたいのだが、それを成すには風紀委員会との協力が不可欠。
だが、それを万魔殿は許さず、ロシアは頭を抱えた。
結果的に、ロシア政府と万魔殿、風紀委員会の三者会談が行われ、ロシアが先日万魔殿と締結した防衛協定の内容に組み込まれた『エデン条約締結時のロシアによるゲヘナへの軍事的な支援や影響力の保持』について触れたうえで、対立関係を解消しなければ直ぐにこれを取り消す、と半ば恫喝に近い形で万魔殿を説得し、両者の宥和を達成した。
これを機にロシア連邦軍が大々的にゲヘナの治安維持に参入し始め、風紀委員会の業務量は万魔殿の妨害も無くなった上にロシアの大規模派兵で激減し、より高いパフォーマンスを発揮することとなった。
だが、ロシア軍の派兵は、ゲヘナに大きな爪痕を残す。
前述の通り、ゲヘナはキヴォトスの中でもトップレベルに治安が悪く、倫理観もぶっ飛んでいる。その為、治安維持作戦に参加したロシア陸軍の兵士約22人が死亡、数百人が負傷するという最悪の結果を生むこととなった。
これにより、ロシア兵のゲヘナ生に対してヘイトは勿論、ロシア兵を撃ち殺してしまった不良生徒や、それを間近で目撃していた風紀委員の心に深いトラウマを残した。
こうしてキヴォトスと地球国家の間での初の死者が出たゲヘナ治安維持作戦であったが、当のロシア政府はそこまで気にはしていなかった。
何故なら、ロシアと万魔殿が特別地区と定めた周辺の安全は、完全に確保されたからである。
だが当然、ロシア政府がこの事件を利用しない訳もなく、ロシア政府は後日公式に『ゲヘナに於ける犯罪勢力の壊滅』を掲げ、ブラックマーケットなどの裏社会勢力の拠点を次々と空爆。ロシアによる治安維持作戦は、更に泥沼へと引き込まれていく事となる。
トリニティ総合学園とEUは、ロシアとゲヘナのような大きな事件もなく、順調に交流を進めていた。
トリニティが抱える火種として、同校の生徒会であるティーパーティーの派閥争いがあるのだが、これらについてはEUは原則不介入とし、無駄な火種を生むことを避けた。
むしろ大きな動きがあったのはEUの方で、EUはフランスの提案により対キヴォトス勢力やロシアを想定した統合軍であるヨーロッパ連合軍の編成を決定。
各国が戦力を出し合い、大規模な軍隊が創設された。
こうして、ゲヘナはロシア、トリニティはEUという大きな後ろ盾を手に入れ、エデン条約はより政治的闘争の激しさを増していった。
一方で、北太平洋に開いたゲートは全く異なる扱いとなった。
ゲート開通から数十時間後、ゲート周辺ではアメリカ合衆国海軍第3艦隊と、中国人民解放軍海軍南海艦隊が睨み合いに入り、両者とも引く姿勢を見せていなかった。
初めて海上経由でキヴォトスに参入できる機会を得る事ができるのだから、アビドスにより進出が阻害されているアメリカと、そもそもゲートが開いていない中国。
その双方が、この太平洋に開いたゲートを強く求めた。
結果的には中国が、異世界市場を持つアメリカと敵対するのは自国の経済・外交的立場を著しく損なうとして艦隊を撤退させたことで事態は終息した。
後にこれは北太平洋危機と呼ばれ、キヴォトスを巡って引き起こされた地球国家の対立の一つとされる。
北太平洋に開いたゲートはIHCCにより、国連が管理する全世界共通の『異世界への入り口』とされ、持たざる国が唯一キヴォトスとアクセスできるゲートとなり、イギリスや中国といった国々がこれを通じて連邦生徒会と接触を図った。
このゲートはD.U.地区沿岸部28海里地点と繋がったため、日本政府と連邦生徒会の計らいでD.U.第2港湾区を地球国家が自由に利用できる港湾地区とされ、日米露欧をはじめ数ヵ国の海軍と数十ヶ国の大使館が置かれることとなった。
こうして世界が繋がったことで、経済・軍事・文化の全てが交錯する多極化の時代が始まった。
国家と学園、政府と生徒、そして
やがて、これらの積み重ねが大きな連鎖を引き起こし、世界はある一つの決断を迫られることになる――
【現時点でのゲートが開通した地点】
日本 銀座:D.U.シラトリ区
アメリカ合衆国 テキサス州:アビドス自治区
ロシア連邦 モスクワ:ゲヘナ学園
ベルギー ブリュッセル:トリニティ総合学園
北太平洋:D.U.沿岸部から28海里地点
ロシアによる治安維持作戦の描写、番外編で描写してみたいんですげど、書く時間が……
誰か三次創作で書いてください(懇願)