ブルータルアーカイブ   作:N1N3_81RD

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Episode 1:Level 1 エントリーウェイ

「何が起きてんだ……?」

 

 ミレニアムサイエンススクール技術試験部所属、藤九(とうく)カレン。エンジニア部のあるチームが開発した、スタンドアロンでの運用を想定した野外活動用荷物運搬ロボの長期運用試験を終え、一週間ぶりにミレニアムへの帰路についていた。

 

 技術試験部とは一言でいえばある種のテスター。ミレニアムで新規に開発された武器やガジェットなどの使用感や問題点などのフィードバックを主な活動とする。

 

 今回の運搬ロボがスタンドアロン環境での運用を想定したものであることから、デジタルデトックスも兼ねてカレンは今回の検証テスト期間中、活動に必要な通信時以外、オフラインの状態で日々を過ごしていた。

 

 テストする環境は平地から山中、砂漠まで多岐に渡り、デジタルに囲まれた環境(がっこう)から距離を置いて、カレンは仕事の合間に自然環境を満喫した。

 

 仕事もやり終え心もリフレッシュした後の帰り道。ロボを荷台に載せた軽トラを転がしながらミレニアムサイエンススクールの近くまで来ていたカレン。ちょうど学校がそろそろ見えるかというところで彼女が目にしたのは、空高く立ち上る黒煙だった。十中八九ミレニアムサイエンススクールから煙が上がっている。

 

 時には危険な技術も扱うミレニアムではこの手の事はまれによく起きるので、特別珍しいことではない。とはいえ起きたら起きたで相応に警戒しなければならない。

 

 赤信号のタイミングで切りっぱなしにしていたスマートフォンを取り出し、電源を入れる。ホーム画面が見えるや否や、いくつかの通知が飛び込んできた。

 

「……はぁ?」

 

 普段と比べて多いモモトークの通知と、ニュースアプリからの通知を流し見て思わずカレンの口から声が漏れる。それらを流し読みして一つの仮説が組みあがる。

 

 ミレニアムサイエンススクール敷地内に凶暴な未知の生物が大量に蔓延しており、生徒や設備、学校付近の周辺地域に危害を加えているということ。

 

「……ミレニアム(ウチ)って生化学系の部活あったっけ……」

 

 少なくともカレンは聞いたことがない。

 

 青信号。少しだけアクセルを強く踏み、学校へと急いだ。

 

 建物の並ぶ角を曲がり、あとは敷地内とされる域まで一直線といったところで、横殴りの衝撃と爆発音がカレンを襲った。

 

 軽トラは自身の慣性も相まって横転しながら道路を滑っていく。想定していない衝撃と転倒により荷台のロボも道路へと放り出され、軽トラの後を追うように道路を転がる。

 

 車体がアスファルトをこする音が止まり、投げ出されたロボが荷台に丁度ぶつかって元の位置に収まるようにして止まる。

 

「なんだってんだよクソッタレェ!!」

 

 突然の衝撃と轟音とエアバッグの展開に驚かされた怒りで、シートベルトに吊られているカレンは思わず声を荒げた。

 

 一週間の気分転換が早々に台無しにされ、怒りをぶつけるべき原因を探るべくシートベルトを外して上部へよじ登る。ドアを乱暴に押し開けて軽トラの上――平時の左側面――に立った。カレンの全身が日の元に照らされる。

 

 茶髪のポニーテールが風に揺られ、精悍な顔つきは不機嫌一色に染まってしまっている。オリーブドラブ色のM65風半袖ジャケットを羽織り、下には白いリブニット。どちらも丈は短く、鍛え抜かれた腹筋が大胆に露わになっている。下はタイトなブラウンのカーゴパンツにコマンドソールの黒いワークブーツ。

 

 車を確認。後部左タイヤ周りに、まるで側で爆発が起きたような煤の後があった。車自体から煙が出ていたり燃料が漏れている気配はないので、急いで退避する必要はなさそうだ。

 

 誰かがいきなり軽トラに攻撃しやがったな。そう脳内でつぶやいたカレンは周囲を見渡す。

 

 だがその必要もすぐになくなった。飛んできたロケット弾が犯人の位置を教えてくれたからだ。

 

 ロケットは軽トラの側にあった運搬ロボの方へ吸い込まれるように飛んでいき、爆発。自然環境への耐性のみで戦闘を想定したものではないため、ロボは爆発の衝撃に乗ってバラバラに吹き飛ぶ。

 

 トラックのおかげで破片がカレンの方へ飛ぶことはなかったが、自身の成果物でもある検証テスト時のログもろとも吹き飛んだことは嫌でも分かった。

 

 カレンはロケットが飛んできた方角を憤怒の表情で睨みつけながら、右ももの位置に吊り下げられたレザーホルスターから自身の愛銃を引き抜いた。

 

 それはクラシックな12ゲージの二連水平散弾銃(ダブルバレルショットガン)。ソードオフバレル、ピストルグリップだがストック着脱用のホールがある。だがそのショットガンには、本来二つあるべきトリガーが一つしかなかった。

 

「……んだこいつはァ……」

 

 一言で言うならば、胴部にのみアーマーを身に着けた白骨死体。フィクションで見かけるような真っ白な骨ではなく、生々しく黄ばんでおり、アーマーに隠れている部分にはまだ肉が残っているようにも見える。黄ばんだ頭蓋骨を挟むように、両肩にはロケットランチャーの砲がカレンの方を向いていた。

 

 骸骨の肩からロケットが再び放たれる。今度はカレンめがけて飛んできた。

 

 カレンは無言で指でも指すようにそのロケットにショットガンを向け、散弾を放った。全く同じタイミングで二重の銃声が轟き、ロケット弾はカレンにたどり着く前に爆発四散。

 

 骸骨は不服と威嚇を表明するようにカレンに向かって唸る。どうでもいいといわんばかりにカレンはトップレバーを押してショットガンを折り、撃ち殻を排莢。同時に腰の弾帯ベルトから新たなショットシェルを二発、指とは垂直に中指と親指でつまみ、人差し指で底部(リム)を保持。薬室の穴に弾をあてがい二発を同時に装填。ハンドガードを持って銃身を持ち上げ、カレンはスムーズな動作で二連式散弾銃のリロードを終えると同時に、そのまま照準を骸骨(てき)に定めた。




以下に主人公のプロフを置いときますが、本編で順次公開される情報なので読み飛ばしても問題ありません。



藤九カレン(とうく かれん)

学園 :ミレニアムサイエンススクール
学年 :3年
所属 :技術試験部
年齢 :17歳
誕生日:12月10日
身長 :174cm
趣味 :コレクション、トレーニング

ミレニアムサイエンススクール所属、技術試験部のメンバー。口数は少ないが多趣味で活動的。
様々な武器やガジェットを使いこなす器用さを持ちながら、戦闘では圧倒的なスピードで戦場を駆け回り、持ち前のパワーを以て敵を瞬く間に殲滅する。

カレンは技術試験部の中でも主に武器テスターとして活躍しており、その器用さや観察眼、対応力を買われ、戦闘行為が絡む問題の対処などにも助っ人として駆り出されることがしばしばある。戦闘スタイルはパワーとスピードを活かし、後述する固有武器の他に、無力化した相手の銃を奪って使用する。

固有武器:スーパーショットガン
 ソードオフバレルにウッドストックの一見クラシックな12ゲージの二連水平散弾銃。だが撃発機構やトリガーが改造されており、一般的なそれと違ってトリガーは二つではなく一つ。つまり一度引き金を引けば二つのショットシェルを同時に撃ち放つシロモノ。加えて彼女は自分でハンドロードした強装弾を好んで使うため、ファクトリーロードされた一般的な弾よりはるかに強力な銃撃を行うことができる。ストックは着脱式でピストルグリップにすることも可能。本来この手の銃は装弾数やリロード時間がネックとなるが、トレーニングを重ねたカレンは弾帯ベルトを身に着けていれば、一般的な生徒が行うボルトアクション操作とほぼ同等の速度で再装填を行える。

名前の由来は「Kar En Tuk」から。
【DOOM(2016)】【DOOM Eternal】に登場する種族アージャントの言葉であり、
意味は「RIP AND TEAR(暴れ狂え)」。
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