(書籍発売中!)逃げる魔法使い 〜寿命を削って魔法を使っていただけなのに、なんだか周囲の様子が変です〜   作:うちっち

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カクヨムで書いていた別ルートVerが完結したので、こちらにも貼っておきます!
(章立てにできる機能なんてあるんですね)

アニメ2期、全10話です。


IF ~もし魔法使いちゃんが世界樹で長命種であることを告白しなかったら~
【2期】1話 「新しい旅のはじまり」


 ――拝啓。

 暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私たち一行は、先日から引き続き、海に遊びに来ています。

 

 

 

 

 王女様が案内してくれた別荘は、綺麗な砂浜のある海岸沿いで、波打ち際で陽がきらきらと跳ね、潮風が髪をやさしく揺らす。

 

 このところ遊んでばかりのような気もするが、世界を救ったご褒美だから、しばらく仕事はしなくていいのだそうだ。

 

 本当だろうか。そう言った時の王女様の目が、僅かに泳いでいた気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、初日は砂の城を作って建国を宣言し、砂浜でボールを追いかけて、砂の城に揃って頭を突っ込んで。1日遊んで、次の日。王女様が、これからのことを話し合いたいと言い出した。

 

 

 さすが王女様。これから何をして遊ぶかも、話し合いで決める。きっと1000年後には民主主義の象徴として、彼女の銅像があちこちに建てられることだろう。

 

 

 

 

 

 さっそく私は自室で、計画書の作成にいそしんだ。えーっと、まずはボートで沖に見える島を目指して、次は……そうだ、巨大なカニ牧場をみんなで作ろう! その後は魚釣りして、誰が一番美味しい魚を釣れたか食べ比べ。最後にはみんなで宝物を詰めた瓶を砂浜に埋める! こんなの絶対楽しい。自分の企画立案者としての才能が怖い。

 

 思うがままに書いたので、どんどん計画書の枚数が増えていった。あとはこれを王女様に提出するだけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして、皆を食堂に集めた王女様は、真剣な顔で切り出した。

 

「魔法都市に行きましょう。あそこには、1000年生きた僧侶がいたらしいの。きっと、寿命を伸ばす手掛かりがあるはずよ」

 

 私は、後ろ手に持っていた計画書の束をひっこめた。「今日はボートで沖に繰り出しましょうよ~!」と言うのもやめた。なんだかそんな雰囲気じゃなかったから。

 

 あと、その僧侶は昔の私の友達かもしれない。もう死んじゃったけど。うーん、海で遊ぶために、長生きのコツを聞いておけばよかったか。

 

 

 

 

 

 海で遊べないのはちょっと残念だけれど、ここ、王女様の別荘だしね。一泊できただけでもありがたい。

 

 

 

 

 

 

 剣士も真剣な顔で目を閉じた。

 

「俺もその長命な僧侶の話は、聞いたことがある。高潔な者だったと。それに、魔法結界都市の近くには、世界樹や魂の神殿もある」

 

 あれ……知り合いと思ってたけど、これ違う人かな? 私が知っている僧侶の話なら、彼は自分の研究以外に全く価値を感じない人間だったから。

 

 

 

 

 そして、最後に勇者が大きく腕を振り上げた。

 

「ともかく、行くぞ!」

 

 

 

 

 

 そう言い終えると、勇者は、なぜか私の所にそっと寄ってきた。

 

「残念だろうけどさ。また来ようぜ」

「うん。え? なに?」

「もっと遊びたかった、って顔に書いてあるから」

 

 私は急いで顔をごしごしとこすった。そんな私を見て、勇者は楽しそうに笑い、少し照れたように肩をすくめた。

 

「なんなら……次は2人で来るか? なーんてな」

 

 ぽん、と頭に手を乗せられ、私が見返すと、彼はそっと視線をそらした。むむ。よし、そっちがそのつもりなら、私も乗ってやろうじゃない。

 

 

 

 

 私が勇者の側で背伸びすると、彼はそっと屈んでくれた。やさしい。身長差があるので、そのまま立っていられると耳元で呟けないのだ。

 

 

 私は、目の前に降りてきた彼の耳元で、仕返しにそっと囁いた。できる限り、大人っぽく。

 

 

「じゃあ、2人で来たときは……大人の遊び、教えてあげるね」

 

 

 ちょうどいい潮だまりの見つけ方とか。片方のハサミだけが大きいカニは凶暴だから気を付けるように、とか。

 

 

 

 

 

 

 しかし、それを聞いた勇者がバターン! と両足を上げて勢いよくひっくり返ったので、私は慌てて王女様の後ろに避難する。

 

 王女様は、「駄目よそんなの……!」と言いながら、さっきよりも強く私のことを抱きしめてくれた。いやちょっ……! 王女様、痛い痛い!

 

 

 

 

 勇者はその後、なかなか起きなかった。剣士による流れるような蘇生措置を経て、ようやく起き上がった。熟練の措置だった。

 

 いや、実際、魔王を倒す旅の最中にも、こんなふうに勇者が倒れるのはよくあったのだ。きっと世界を救うプレッシャーというのはそれほど大きいのだろう。

 

 

 

 

 

 

 そして、15分後。ようやく再起動を果たした勇者は、コホンと咳払いをした。キリっとした表情を作っていたが、その後頭部には大きなたんこぶができていた。後で手当てしてあげよう。

 

「えー。その、なんだ。出発するのには問題はないよな。寿命を伸ばすための方法を見つけに行く、っていうのも」

「まあ、1000年後に集まるって話だし。それなら、いっぱい寿命を伸ばさないとっていうのはわかるよ」

 

 すると、勇者は呆気にとられたようにポカンと口を開けたが、すぐにぱっと笑顔になった。

 

「その意気だ!」

「でも、そんなこと、できるのかなぁ……」

「任せとけ! 俺が絶対に方法見つけるから!」

 

 

 

 

 私は、自信満々に言い切る勇者を見て、続けようとした「人間ってそんなに生きないよ」という台詞を呑み込んだ。

 

 ……え? 方法ある……? ないよね?

 1000年生きる人間は、もはや人間ではない、というのが私の常識だけど……。

 

 

 

 

 しかし、燃えている仲間たちを見ると、なんだか水を差すのも悪い気がする。王女様とかテンションが明らかに上がってるもの。

 

 そして、テンションが上がり切った仲間たちは、いっせいに私の方を見た。思わず後ずさってしまう私。

 

 みんな、見事に目がキラキラしていた。瞳の奥で星が瞬いているみたいだった。

 

 まぶしい。おやつを貰えると思って駆け寄ってきた犬が、あんな目をよくしている気がする。

 

 

 

 

 

 でも今、そんなに期待してたら後でがっかりしちゃうかも。……言った方がいいかな? ……よし! 

 

 

 

「そのですね」

「遠慮しないでほしいの! あなたがしたいと思ってることを、ちゃんと聞かせて」

 

 

 

 駆け寄ってきた王女様は、優しくそう言って、ぎゅっと私を抱きしめてくれた。ふわりとした涼やかな香水の香りが、潮風と一緒に鼻をくすぐる。

 

 

 さすがに私も、この流れで「寿命を伸ばす方法とかないと思うんで今日もボール遊びしたいです」とは言えなかった。

 

「あら? それは何?」

 

 その時、私を抱きしめていた王女様が、私が後ろ手に持っていた計画書の束に視線を下ろした。懐に隠そうとしたが、王女様の伸ばした指がそのうちの1枚に触れ、ひらひらと床に落ちる。

 

 その紙には、「みんなで宝物を砂浜に埋めたい」と書いてあった。

 

 

 

 

 

 

「ぐすっ……宝物って何がいいかしら……? 宝石?」

「そんなん見つかったら取られるだろ」

「小刀はどうだ」

「危なくね?」

 

 私は困惑しながら、涙を流しつつ真剣な顔で話し合う3人を見つめた。……人間は、あんなに泣いて水分がなくならないのだろうか……?

 

 

 

 

 

 

 

 そして、結局何を埋めるかは決まらず、全員で砂浜にやってきた。

 

 

 

 

 

 

「このあたりなら、たぶん大丈夫です~」

 

 埋める場所は、波打ち際からずっと離れた、小さな砂の丘を選んだ。

 

 

「本当にここでいいの?」

「海って時間が経つとどんどんこっちに来ちゃうらしいんです。千年後だと砂浜はなくなっちゃうかも……」

「なら昨日の城あたりも海になんの? そんな事ある?」

 

 

 

 

 その後は、全員でその丘に腰かけ、何を埋めるか、結論が出るまで、話し合った。そして――。

 

 

 

 

 

 

 

 皆で囲むのは、瓶に入った一枚の手紙。

 

 王女様が「未来のわたしたちへ」と挨拶を書き。

 勇者は、どこかのんきな近況を書いた。

 剣士は無言のまま、一言だけ添えた。

 最後に私は、4人が肩を寄せ合って笑っている絵を描いた。

 

 

 

 

 

「じゃあ千年後に、みんなでまた掘り出しましょう!」

 

 

 王女様が言うと、勇者が「いいな、それ!」と笑い、剣士も「……覚えていればな」とつぶやいた。

 

 

 海の匂いを含む風が、私たちの間を吹き抜ける。

 

「じゃ行くか! 千年後もここに帰ってくるぞ!」

 

 勇者がそう言ったあと、チラッとこちらを見た。なんだか私も反応を求められている気がする。

 

 

 

 

 少し悩んだものの、私も、頷くことにした。ノリというやつである。

 それに……見つかればそれに越したことはない。

 

「行きましょう~! みんなで寿命を伸ばす方法を、探しに!」

 

 

 

 ちなみに、当然だが、「みんな」の中に私は含まれていない。これ以上伸ばしたらえらいことである。

 

 

 

 

 そして私がとりあえず手を上げてみると、まるでそれが合図だったみたいに、みんなが一斉に手を振り上げた。

 

「おーっ!!」

 

 勇者は拳を突き上げ、王女様は眩しいほどの笑顔を向けてきて、剣士も口元をわずかに上げていた。

 

 

 

 

 ……あれ?

 私、なんか、発起人っぽくなってない? まあ、みんなが嬉しそうにしてるし……いいか。

 

 

 

 

 ……いいのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

* * * * * * * * * * * *

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【逃げる魔法使い2期】第1話「新たな旅のはじまり」実況&感想スレ【地獄の始まり】

 

1:風の名無しさん

 分かっていることまとめ

 ・一瞬出てきた千年後(?)の浜辺に魔法使いちゃんがいる

 ・魔法使いちゃんは1人

 ・魔法使いちゃんは1人

 以上です!

 

6:風の名無しさん

 地獄の匂いしかしないよ……

 

12:風の名無しさん

 なぜバッドエンド確定を先に見せるのか

 

15∶風の名無しさん

 まだあれが未来の話か分かんないだろ!

 

18:風の名無しさん

 なんで寿命が一番短いはずの魔法使いちゃんが千年後も生きてるの?

 

24:風の名無しさん

 寿命を伸ばそうとして、逆に呪われたとか……

 

29:風の名無しさん

 あり得る

 

35:風の名無しさん

 この子の一生を翻弄するの本当やめてあげて

 平穏に過ごさせてあげてよ……

 

42:風の名無しさん

 一期に続いてまーた明るいOPが来たよ

 

50:風の名無しさん

 やった日常アニメだぁ!(中身から目を逸らしながら)

 

57:風の名無しさん

 公式HPに監督からのメッセージが!

 「これはラブストーリーですし、いつだってハッピーエンドを目指してます」だって

 

65:風の名無しさん

 嘘だあああああああああああ!

 

70:風の名無しさん

 監督

 少し黙れ

 

78:風の名無しさん

 始まった!

 

84:風の名無しさん

 海も空もこんなに綺麗なのに

 

91:風の名無しさん

 魔法使いちゃんがまた何か書いてる……

 なんだろうあれ

 

99:風の名無しさん

 ……日記かな?

 

105:風の名無しさん

 紙! メモっぽい紙だったから!

 でもめっちゃ真剣な顔で書いてたね

 

113:風の名無しさん

 王女様からの召集かかった

 決起会だな

 

119:風の名無しさん

 冒険に行くと聞いて、困った笑顔でさっき書いてた紙を隠す魔法使いちゃん

 

124:風の名無しさん

 もうこんなん遺書確定ですやん……

 

131:風の名無しさん

 お願い

 気付いてあげて

 

139:風の名無しさん

 お、勇者が寄っていった

 さすが幼馴染

 

145:風の名無しさん

 勇者にそっと耳打ちされて照れてる魔法使いちゃんかわいすぎ問題

 

150:風の名無しさん

 「え? なに?」って素で返すのほんと好き

 からの「大人の遊び、教えてあげるね」

 

158:風の名無しさん

 魔法使いちゃん

 たまに蠱惑的になるのなんなの

 吐息と目つきがなんかこう……色っぽいんですけど……

 一方の勇者ときたら

 

165:風の名無しさん

 勇者のバターン! が伝統芸すぎる

 お前本当に世界救ったのか?

 

172:風の名無しさん

 魔法使いちゃん

 背伸びして耳元で囁き

 →勇者が即死

 →王女に抱きしめられる

 →剣士が勇者を蘇生

 この流れ、テンプレにして未来永劫語り継ぎたい

 

179:風の名無しさん

 旅で何度も見た光景

 

185:風の名無しさん

 剣士の即蘇生が入るの芸術点高かった

 

193:風の名無しさん

 恐ろしく早い救護

 俺じゃなきゃ見逃しちゃうね

 

199:風の名無しさん

 王女様が駆け寄って「あなたがしたいと思ってること、ちゃんと聞かせて」って抱きしめるとこ完全にプロポーズ

 

206:風の名無しさん

 王女様と魔法使いちゃんって最近距離近いよね

 すぐ抱きしめる王女様

 いつも2人部屋で一緒に寝泊まり

 色気を増した2人

 導き出される結論は……

 

212:風の名無しさん

 こいつら交尾したんだ!!

 

218:風の名無しさん

 交尾言うな

 さ、さすがにそれはなくない?

 

224:風の名無しさん

 完全否定できてなくて草

 

229:風の名無しさん

 おお行くって決断したか

 そりゃ何かしないとな

 

233:風の名無しさん

 王女様が今にも走り出しそうな顔してたけど剣士に止められてて草

 どうやら王城の廊下のランニングは有名な模様

 

236:風の名無しさん

 魔法使いちゃんが「えいえいおー!」ってしてるのかわいい

 みんなが続くのもよき

 

241:風の名無しさん

 剣士が腕組みしながら指をピッと立ててて草

 お前そんなキャラじゃないだろwww

 

247:風の名無しさん

 なんかいつも通りすぎていける気がしてきた

 これ、寿命も何とかなるんじゃね?

 

253:風の名無しさん

 勝ったなガハハ

 よし風呂入ってくる

 

259:風の名無しさん

 で も 魔 法 使 い ち ゃ ん は 一 人 で 千 年 後 の 浜 辺 に い る よ ね ?

 

261∶風の名無しさん

 千年後も魔法使いちゃんだけ生きてるなら1人であのビン掘り返すのかな

 

264:風の名無しさん

 おいやめろ

 

271:風の名無しさん

 もうエンディングなんだ

 いちおう魔法都市に向かう感じなのか?

 世界樹とか魂の神殿ってのも気になるし

 

278:風の名無しさん

 エンディング、また静かで切ない曲なのが怖いわ

 

284:風の名無しさん

 エンディングで魔法使いちゃん、1人で浜辺の波打ち際を歩いてる

 ⇒ハッと後ろを振り向く

 ⇒目が見開く

 怖い 後ろが映らないのが怖い

 

289:風の名無しさん

 これ死後の世界なんじゃ……

 

296:風の名無しさん

 『まだどこかに あなたの声が届く気がして 歩いてる』って歌詞が意味深

 どっちか死ぬじゃん

 

303:風の名無しさん

 いや待て

 両方死ぬという可能性も……

 

306:風の名無しさん

 世界が滅亡するんだと思う

 

309:風の名無しさん

 段々スレ民が疑い深くなってて草

 

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