オーバーロードに野生のラスボスが現れたの竜王RPするプレイヤーが居る作品   作:野生の生蛇

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第11話

会議室。

元々は冒険者同士の会議場として使われていた場所を一部改造。講習の為の場としている。

壁などが新設されることは無く、外から見れば内容が丸見えだが内容としては初歩なので問題ないのだろう。

マジックアイテムである黒板を背に、若い女が講義をしている。

冒険者とは何か。報酬のシステム。失敗したらどうなるかーー等々。

そうして話すこと三時間。何度か講習者からの質問で予定時間より少し伸びてしまっているが。

 

 

「ではこれにて講習を終わります。お疲れさまでした」

「ありがとうございました」

 

ふぅ、とつく必要も無いがため息をつく。

長い、実に長い講習だった。

主に長くなったのはアインズが質疑応答を繰り返したからだが。

朝の凡そ八時から始まった講習は十一時まで続いた。

本来の時間は二時間と考えるとオーバーしすぎている。

 

(だが、知りたいことは知れた)

 

魔法の有無。武技なる力。生まれついての異能(タレント)。その他もろもろ。

聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥だと言い聞かせ、少々他の講習者から注目を受けたが問題は無い。はずだ。

 

 

「では行こうか」

「はい」

 

二人一緒に立ち上がり、周囲の注目を浴びる。

視線の大半はアルベドへのモノだ。

アルベドは現在、鎧を脱ぎ、変わりに衣服を纏っている。

ナザリックのあったモモンガの私物を鍛冶長に改良させた衣服だ。

魔法的、及び物理的な防御能力は非常に劣るが、それでもフル装備で講習を受ける者等早々いる訳がないので武装を解いたのだ。

作業者の様な服、とでも言えばいいのだろうか。

腰のあたりに細工が施され、翼を出せるようにしてある。

汚れても問題の無い、シンプルな服だ。色は茶色の、現代日本でも見かけそうなほどに至ってシンプル。

しかしながら材料は高位のモンスターを素材にしている。例えトラックの突進を受けようが無傷ですむだろう。

そう、今のアルベドは姿をさらけ出している。

アルベドは絶世の美女。つまりは周囲の視線を受けている訳だが、アルベドはモノともしない。

なおモモンガは格好は変わっていない。アルベドはまだ亜人種でごり押しできるが骸骨は流石にどうにもならない。

 

「……次は……昼からの実践講習か」

 

周囲の、主に男からの嫉妬の視線を感じながらモモンガは何ともない風を装い続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は変わって昼過ぎ。場所は冒険者組合裏手。

元々は冒険者たちが体を動かす為の場所兼決闘場だ。

冒険者は血の気の多い者が多い、そういった者達には暴力で決めさせる為に創った場所だ。

今では主に講習の為に使われているが。

その場に、今回の講習で集まったモモンガ達を含めた計五人が集まっている。

そして彼ら新人未満に説明をするための女性と現役の冒険者が一人。

 

「今回の講習をしてくださるミスリル級冒険者のイグヴァルジさんです」

「おう、ひよっこ未満ども、よろしくな」

 

ガサツな男だと、モモンガは思った。

私服ーー武装一つない、ラフな格好だ。

魔法効果一つ付いてないユグドラシル基準でもこの世界でも価値の低い服だ。

"お前らには武装して対処する程の価値はない"とでも言うのだろうか。

 

「おい、そこのお前」

「ーーなんでしょうか?」

「お前、何位階まで魔法が使える?」

「……そうですね、ご……いえ第四位階まで使えます」

「はぁ?第四位階?」

 

何言ってんだ、とイグヴァルジだけでなくこの場の全員のーーアルベド以外ーーの蔑視の視線がモモンガに集まる。

 

(あれ?選択ミスった?)

 

第六位階が伝説。第五位階がごく一部の英雄。第三位階が一級の冒険者が使うというので一個だけ上を選択したが間違っているだろうか。

少なくともモモンガにとっては第四位階等取るに足らないゴミ魔法ばかりである。実戦で使うのならば第八位階からが所流なのだから。

 

「……じゃあそういうのなら実際に使ってみろ。的はあれだ」

 

懐疑の眼のまま、イグヴァルジが指先で藁人形を示す。

ナザリックにある藁人形よりも格段に劣る。本当に唯藁を人型にしただけの様なモノだ。

 

「そうですね。ではーー<雷騎士槍>(エレクトロ・ランス)

 

 

放ったのは第四位階魔法<雷騎士槍>(エレクトロ・ランス)

雷系の攻撃魔法。槍の形をした雷が一直線に藁人形を貫く。

速度こそ早く、詠唱終了とほぼ同時に百メートル以内ならば着弾するだけの速度を持つ魔法だ。

しかしながら非常に弱い魔法でもある。

ダメージこそ<雷撃>(ライトニング)<雷撃球>(エレクトロ・スフィア)より上だし、速度も速いが対象は一体のみ。

確かに<雷撃>(ライトニング)の上位魔法ではあるが、その上に<連鎖する龍雷>(チェインドラゴン・ライトニング)という上位魔法がある。

複数体に同時攻撃可能。かつ威力も上の魔法がある以上使うことはほぼない魔法だ。

 

「……え?」

 

それは誰の声だったか。少なくともモモンガとアルベドではない。

 

「ㇹ、他に何か魔法が使えるのか?」

「使えますが」

「じゃ、じゃあ!飛行!使ってみろ」

「わかりました」

 

言われるがまま、<飛行>(フライ)を唱えて飛翔する。

一メートルから二メートル程。飛翔しているとわかる程度に浮かび上がる。

 

「……まじか」

 

イグヴァルジがそう、呟く。

 

「他に何か魔法を見せた方がいいでしょうか?」

「……いや、充分だ」

 

「?そうですか」

 

「……じゃああれだ、残りの奴らはーー」

 

そうこうして講習は終わった。

 

 

翌日。

モモンガとアルベドは講習が終わり(カッパー)の冒険者プレートを受け取るべく組合にやってきた。

あの後講習はモモンガとアルベドだけ特に何もされることは無く終わった。

精々が午前の午後でも言われたことを口酸っぱく言われたのと。「お前らはまだ初心者なんだから力があると言っても油断するな。油断した奴から死んでいく」と忠告されたぐらいである。

無論モモンガもよくわかっていることだ。ユグドラシル時代でも推奨レベル満たしているからと油断したら即死トラップに引っかかって死ぬなどはよくあること。

しかしここは異世界。死んでも蘇れる保証がない以上いくら警戒しても足りないぐらいだとわかっている。

 

「そこのお嬢さん!」

 

受け取った瞬間。バカでかい声が響く。

組合中の人間全員に聞こえるであろう大音量。

すわ何事かと思えばそこにはちゃらちゃらした金髪茶眼の男。

その背には弓を背負っているのがレンジャー。あるいはアーチャーなどの職業(クラス)だと主張する。

 

「惚れました!一目ぼれです!付き合ってください!」

 

ビシッと、腰を九十度に曲げアルベドに懇願する。

(何だこの男)

胸元には銀色に輝くドックタグ。つまりは冒険者でありランクは(シルバー)

 

「ーーごめんなさい。私は既に心に決めた人がいます。あなたとは付き合えません」

 

微笑み。アルベドがほんの少しーーはたから見ればわからない程度に下げた。

 

「ーーぐっ。わかりました!では友人から!!」

 

(食い下がるなぁ)

 

「それは……どうしましょうか」

 

ちらり、とアルベドが横目でモモンガを見る。

判断を仰ぐ視線だ。

中には"こいつ殺してもいいですか"という視線も含まれているのをモモンガは敏感に感じ取った。

 

さてどうするか。相手のランクの方が上。しかもこちらは新人。

角の立たないように適切に対処するか。あるいはーー

 

ごん、と鈍い音が響く。

 

(シルバー)のプレートを胸にかかげた冒険者が強く。強く男の頭を叩いた。

脳震盪でも起こしたか、あるいは威力が高かったからか地面に倒れこんだ。

 

 

 

 

「本当に申し訳ない!」

 

先ほどと同じように別人が頭を下げる。

 

「顔を上げてください。別に気にしてないので」

 

アルベドが軽く言い放つが、その内心はわからない。

 

「それは……その。それでも謝罪させてください。仲間が無礼を……」

「そうですね……では。謝罪の代わりに……あなたたちについて教えてはくれませんか?」

 

二階。会議室。

先日の講習があったのと同じ場所。

幾つかテーブルがあり、ちょっとした壁で遮られている。

しかし物理的・魔法的な防御は無いため普通に会話内容は盗み聞きされる。

そのうちの一つにモモンガ達は座り、話しを聞いてくる。

 

まずは自己紹介から、と全員が名乗りを上げる。

リーダーのぺテル・モーク。

魔法詠唱者(マジックキャスター)のニニャ。

レンジャーの……アルベドに告白してきたルクルット・ボルブ

森司祭(ドルイド)のダイン・ウッドワンダー

この世人で構成される冒険者パーティ。『漆黒の剣』ランクは(シルバー)級のベテラン冒険者と言ったところだ。

 

「モモンガさん達は先日冒険者登録を?」

「えぇ。冒険者登録の申請をし。ようやく今日講習が終わってプレートが貰えました」

 

かちゃりとプレートを鳴らし主張する。

手にするプレートは(カッパー)。最下級の冒険者である。

 

「へぇ。講習にそんなに時間かかるのか。思ったより大変になったんだな」

「これも"黄金の姫"のおかげであるな!」

「今はもう姫じゃないですけどね」

 

「黄金の姫というのは?」

 

「あれ?モモンガさん知らないの?」

「えぇ。つい先日この国にやって来たばかりなので……」

 

「黄金の姫というのはーー」

 

曰く。

国を変えた英雄。裏の活躍者。賢者。等々。

称える言葉は幾らあっても足りないと漆黒の剣の冒険者は次々に言う。

 

実際に何をしたか、というと

まず腐敗していた貴族の処刑。癒着していた八本指の殲滅。

それだけに留まらず法改正に新しい農法の確立。魔法省設立等等上げていけば限りが無い程。

それに冒険者組合に関して補助金等を出す。モモンガも受けた講習の実装に人員の派遣等々。

上げれば本当にキリがない。流石は黄金の姫だ。

 

「なるほど。なるほど。実に素晴らしい人のようですね」

「えぇ。貴族の粛清なども行った民の為に動ける人です」

 

ニニャが何処か満足げに言う。

 

「それでーーどうでしょうかモモンガさん。これも何かの縁ということで私たちと一緒に依頼を受けませんか?」

「ほう。依頼……どのような」

「依頼、と言っても常駐してあるモンスターの間引きになります。倒したモンスターの数に応じて報酬が出るのでーー」

 

 

 

★だいたい原作なのでカット!

 

「ここがカルネ村ですか」

「えぇ。前はもう少し規模が小さかったんですが、竜帝国との交易が始まって大きくなったんです」

 

たどり着いたのは歪な村だった。

よくある農村と同じ家々の中、幾つか奇妙な家がある。

藁でできた竪穴式住居の様なモノ。逆に豪華な家。

 

「ん?」

 

丁度良く、藁の家から一人出てくる。

いや正確には一体かもしれない。

現れたのは蜥蜴だった。

蜥蜴をそのままに足歩行にして立ち上がらせたらこうなるという姿。

腰には布をつけ、服の様なモノを纏っている。

更に透き通る結晶の様な剣を挿している。

胸には化粧かよくわからないタトゥー。

 

「これは。ンフィーレア殿。いつもより早いな」

「ええ。ザリュースさん。今回はちょっと早く来ちゃいました」

 

リザードマンの名はザリュースというらしい。

 

「初めまして。俺はザリュース・シャシャ。リザードマンの使者の一人だ」

 

よろしく、と差し出された手をつなぐ。

 

「これはご丁寧にどうも。私はモモンガと申します」

 

小手のままで失礼、と軽く言う。

小手を外せば残るは骨。

外見は幻術でどうにでもなるが触覚はどうにもできない。多少失礼に思われるがこれしかない。

 

「ああ、よろしく頼む」

 

ザリュースは疑問に思うこともなく握り返した。

 

 

「これは……」

「凄いだろう?ンフィーレア殿の知識を元に作ったんだ」

 

一面の薬草。

足の踏み場も無い程にーーよく見れば人が通れる程度の道はあるがーー兎も角。森一面に薬草が植えられている。

 

「……これは?」

「ああ、モモンガさんはここら辺に詳しくないんだっけ?」

 

「えぇ。この薬草園は竜帝国のーー」

 

曰く。

トブの大森林は竜帝国の支配領域。

だが人の領域ーー特にリ・エスティーゼ王国にほど近い。

元々近かったカルネ村は薬草採取の為に主にンフィーレアが通っていた程だ。

竜帝国によってトブの大森林の亜人種達が支配化ーー領民にされ、交易が始まった。

この農園もその一環だという。

他にもドアイラドの農園やナーガの魔法講習等を構想しているらしい。

現状大きな成果を上げているのはこの薬草ぐらいらしいが。

 

「しかし竜帝国、ですか……聞かない名ですね」

 

その言葉に、モモンガとアルベド以外の全員が絶句する。

 

「え、ちょっと待ってモモンガさん、竜帝国すら知らないの?」

「……竜帝国の名すら知らないなんて、いったいどこから来たんです?」

 

「え"」

 

「モモンガ様は僻地で研究していた魔法詠唱者。ですのでここ最近の情勢には疎いのです」

 

(ナイスアルベドォ!)

 

連れてきてよかったアルベド。やっぱいてよかった守護者統括。

 

思わず心の中で拍手喝采を送ってしまう。

 

「おおう……僻地て、竜帝国しらないなんてどんなとこよ……」

 

ルクルットが呆れるも、それをダインが嗜める。

 

「まぁ、竜帝国もここ数年国ですからね」

 

ニニャが軽く笑う。

 

「竜帝国という名から竜が関わっているのですか?」

 

精神が沈静化されたモモンガが正気に戻りニニャに問いかける。

 

「えぇ。竜帝国は"竜王ラ―ドゥン"が建国した国です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え」

 

 

 

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