オーバーロードに野生のラスボスが現れたの竜王RPするプレイヤーが居る作品   作:野生の生蛇

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第20話

「さて。実際問題どうしようか」

 

モモンガが玉座からNPCに問いかけた。

 

「モモンガ様。具体的には?」

 

それに対しデミウルゴスが答える。

 

「……やはり竜王ラ―ドゥンだ。問題はそれだけだ……竜王との敵対。それだけは避けなければならない」

 

だから、とモモンガは続けて言い放つ。

 

「竜王ラ―ドゥンとの対話。これは必須だろう」

 

それに対しデミウルゴスが反対意見を口にする。

 

「それは危険では?」

「危険だ。だが相手も俺と同じプレイヤー……ある意味では同胞とすら呼べるだろう。ならば対話の余地はあるはずだ」

 

竜王ラ―ドゥン。

ユグドラシルにおけるボスキャラクター。

超特殊アイテムの力を用いてプレイヤーからボスキャラクターに変化した存在。

他には魔王や氷河の龍等もいるがーーそれでも片手で数えられる程度の超級の存在であることに違いは無いだろう。

 

「それに、だ……竜王ラ―ドゥンはかつてボスキャラクターとして挑戦者から逃げることは無かった。だがここは異世界ーー現実だ。

ならば奴とて逃げるだろう。戦略を練る。知恵を使う。それをされるーーいや。使える時点で正直ナザリックは詰んでいるんだ」

 

そう。それが竜王と骸の魔王の違い。

モモンガは逃げれない。ナザリックを守る為最前線に出なければならない。

竜王に守るべきモノなど無い。その気になればその翼でどこまでも逃げれる。

 

これは単純な心理状態だけにあらず。戦略的にも"逃げることが出来る"というのはもはや地獄だ。

 

竜王はかつてユグドラシルでボスキャラクターとしてプレイヤーと相対した際は逃げることなどしなかった。正面切ってどちらかが死ぬまで戦い続けた。

だがここは異世界。竜王とて自身が死ねばどうなるかわからない以上逃げるという手段を取る。

 

いや、そもそもが竜王は超高度な飛行能力を持つ。特化したーー飛翔にのみ能力を絞った者達に劣らぬ力を。

そして竜種が持つ最強の力であるブレスは射程も非常に長い。

その気になればモモンガ達が対処できない遥か上空からブレスを放ち、近づかれれば飛翔して逃げるというチキン戦法を竜王は取れる。取ってしまう。

 

そうなれば飛翔に特化した者のいないナザリックでは対処できない。こちらの攻撃射程に入る前に竜王は飛んで何処かへ逃げてしまう。

それに一発二発当てても竜王の再生能力で無かったことにされる。

ならば竜王との敵対はそれだけで死を意味する。だが。

 

「……竜王の性格とか趣味とか何も知らないんだよな……」

 

竜王ラ―ドゥンをナザリックはーーアインズ・ウール・ゴウンは知らない。

 

いや。一度だけ相対したことはある。倒したことも。

かつてアインズ・ウール・ゴウンの全盛期。41人が揃っていた時に打倒したことはある。

更に一度だけ共に戦った。純白の聖騎士。大災厄の魔。爆撃の翼王などと共に。竜王を討伐した。

単純なステータスや使うスキル。ブレスなどもわかるがそれだけだ。

性格や趣味嗜好の類はわからない。何が地雷かもわからない。

現状竜王は国を創り出している。ならば支配欲ぐらいはあるのだろうとモモンガは予測できるがそれ以上は出来ない。

しかし竜王ラ―ドゥンさえどうにかできればあとはどうとでもなるとモモンガはたった数日異世界を経験しそう思う。

聞いた限りの青の薔薇なる最高位冒険者。隣国最強の者。それらを聞けば組織としてナザリック地下大墳墓にーーアインズ・ウール・ゴウンに敵う者は何もいない。それは自信を持って言える。

だが強力な個となると難しい。下手なボスエネミーならば兎も角相手は竜王。プレイヤーとしての知識・経験を有している。

中の人がいるボスキャラクター。AIによる自己判断でなくーーその場その場で適した行動を取れるボス。それがどれだけ驚異的かをモモンガは知っている。

かの傲慢の魔王ーーかつてワールドチャンピオンだった者が呪いの力でワールドエネミーとなり、その力を持って暴虐の限りを尽くした超越者。

竜王以上の怪物。その力はギルドを一撃で粉微塵にするというゲームバランスぶっ壊れだ。

更に最終的に"対傲慢の魔王"専用に特化した装備や職業。更に課金アイテムを湯水のごとく浪費してようやく倒すことが叶ったという。ならば竜王もそれに劣る程度の力はある。

だが所詮は個。軍には敵わないがーー軍でも災害には敵わない。大津波に、地面を割く大地震には軍とて無駄無意義。無為に散る雑兵に過ぎない。

 

なれば竜王ラ―ドゥンは災害の具現化。モモンガを死の具現化とするならばラ―ドゥンは災害そのものなのだから。

 

だが対処療法は出来る。

迫りくる大津波に立ち向かうことは出来ない。だが大津波の被害を抑えることは出来る。

津波の被害が出にくいように家々を作り、避難経路を用意する。

あるいは津波が去った後の救助活動。復興。

災害は破壊しかもたらさない。だが軍ならば破壊も、復興もーー生み出すことが出来る。

 

それを、竜王ラ―ドゥンに示すことが出来れば。

 

だからこそ取るべき手段は排除ではなく懐柔。あるいは従属。

ナザリックがーー友の残してくれた大切な者達に頭を下げさせるなどできない。させてたまるか。

ならば下げるべきは自分の頭のみ。NPC達は守らなければならない。

 

「はいはーい。まずわたくしぃが調べた情報を開示していいですか?」

 

すぅっと、三本しかない指を掲げたのはパンドラズ・アクター。

 

「まず第一に。私外に出て色々調べてきました」

「お前何やってんの?」

 

命令してないのに何してんだこいつ。とモモンガは少々呆れる。

 

「申し訳ございません。我が創造主。ですがこれは必要な事だったのです。罰ならば如何様にも」

「……いや。お前はナザリックを思って行動してくれたのだろう。ならばそのことに対し罰など与えれぬ。だが次からは報告してくれ」

「畏まりました」

 

では、とパンドラズ・アクターが続ける。

 

「まず第一に。竜王ラ―ドゥンの目的は世界征服と思って間違いないようです」

「その理由は?」とアルベド。

「旧聖王国の復興。及び支配。スレイン法国の従属化にエルフの支配。竜王国の領土化ーーこれらを上げて行けばおのずとわかりました」

「そして次に。竜王は逆らう者には一切の容赦がありません。恐らく一度でも反逆しようものならば即座に消し飛ばすでしょう。更地になった荒野に屍の居城を築き上げます。

聖王国がそうなったように」

「ならば我々も同じようにーー竜王国やスレイン法国と同じように頭を垂れろと?」

「……最終的にはそうなるかもしれません。ですが今のところそれはないでしょう」

「……何故だ?その破竹の勢いならば王国を支配したように帝国も、俺たちも支配しそうなモノだが」

「そこです。モモンガ様。竜王は余りにも多くを破壊しすぎた。全てを支配せんと走ってしまった。だからこそ、今竜王ではどうにもできない問題を抱えてしまっています」

「……ああ。なるほど。そういうことね」

 

(アルベド何がわかったんだろう)

 

全てわかった、と言わんばかりのアルベドの顔と声にモモンガは疑問を抱く。

 

「何?……あぁ。なるほどなるほど。確かにこの問題は竜王では解決できずーー我々ならば解決できてしまうと」

 

少々忌々しいがね、とデミウルゴスが付け加えた。

 

「どういうことでありんす?」

「うん。俺にもわからん。俺にもわかるように教えてくれ」

 

もはやこの場において知ったかぶりなどできようはずがない。モモンガは素直に問いかける。

この場で知ったかぶりや出来て当然などの態度を取ればやってくるのは破滅。終焉。ナザリックの崩壊だ。

ならばモモンガはくだらない見栄等捨て去る。

 

「単純な話です。モモンガ様。ーー人材不足です」

「……人材不足?」

「はい。その支配領域に対し支配を維持するための者が余りにも少ないのです」

「ん-?あ……あぁ。なるほど。確かに足りてないか」

 

そう。竜王は急ぎすぎた。

全てを支配しようとその翼で駆け抜けてーー全てを取りこぼした。

支配領域はスレイン法国。聖王国(旧)エルフの国。竜王国。

では、これだけの国を支配するのにたる人材は?

 

居ない。誰も居ない。

 

竜王一人で支配を維持などできない。竜王に出来るのは破壊をもたらす事だけだ。

一時支配は出来る。だが維持は出来ない。

現在の竜帝国はその膨大な領土に対し明らかに領主が不足している。

主に竜王国がビーストマンに物理的に領主を食われ続け、聖王国は竜王がブレスで消し飛ばし、エルフの国はそもそも政治機能が死んでいた。

だからこそ竜王は従属を誓った王国に対し属国となる様命令を下した。現状領土が増えても支配を維持できないから。

ならばナザリックが付けるのはそこだ。支配者の足りない竜帝国に対し支配者を足せると竜王にアピールできる。

内政特化のアルベド。支配と軍略に優れるデミウルゴス。財政担当のパンドラズ・アクター。

この者達が居れば竜王の支配を支えることが出来るだろう。

いや。だがそれでも。

 

「……やはり一度は竜王ラ―ドゥンと相対する必要があるな。どうすれば会えるか……」

「……やはり問題はそこですよねぇ。いきなり"プレイヤーだから合わせて"等と言っても取り合ってはくれないでしょうし」

 

そこが問題である。

竜王とそもそも会う機会が無い。

相手は曲がり何も国家元首。はたから見ればモモンガ達は不法滞在してる犯罪者集団。

どう会うか。それが問題だ。

無論ただ待つだけでも会えるだろう。竜王はそのうち領土把握なりで飛んでくるか、あるいは部下を用いる。

そうなればナザリックの隠蔽は破られる。

 

「そうですね……やはりそればかりは地道に冒険者として活動するほかないかと」

「冒険者か……今の俺はミスリルだったな。アダマンタイトーー最高位まであと二つか」

 

結局のところやるべきことは変わらないか、とモモンガは呟いた。

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