オーバーロードに野生のラスボスが現れたの竜王RPするプレイヤーが居る作品   作:野生の生蛇

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第21話

 全裸の美女が居た。

 頭部からは角を生やし、尻からは尻尾が生えている異形の女。

 竜王ラ―ドゥン。暴虐の王の人の姿。

 

 ラ―ドゥンが現在いるのは浴場だった。

 只々広い──百人は軽く入れる巨大な浴場。

 職人に金をかけ作らせた最高峰の浴場。

 マジックアイテムを用い、最高位の職人に大金を払って作らせた場。

 スレイン法国の職人だけでなく、取り込んだドワーフの国の職人をも使い作らせた。

 装飾一つ一つが丁寧。時間をかけて作ったのだとわかるだろう。

 本人のイメージとしては"王族の風呂場"として依頼した。

 ただし材料はよくある物に過ぎない。大理石などのありふれた物だ。ミスリルなどでは断じてない。

 その材料自体配下の竜に採取と運搬を頼んだ為実質的な費用は職人の雇用日だけとなる。

 

 その浴場をただ一人、ラ―ドゥンは独り占めしている。

 

 最初の頃は「贅沢の限りを尽くしてやる!」と侍女やらメイドやら侍らせていたが最終的に「一人で入りたい」と入れるのを辞めたというくだらない理由だ。

 尚侍女側は「その髪の手入れをさせてください」と懇願してきたが無視された。

 女の髪というのは非常に繊細な物だ。だが竜王は人間ではない。そもそもがその肉体事態が運営──世界を創った神が創り出しという特別性。

 ならば風呂の中に纏めることなく使っても傷つくことはなく、その美は保ち続けられる。

 

(というか女どもも言わずともいろいろしてくれるの嬉しいけど怖いしな)

 

 そう。侍女やらはラ―ドゥンが何も言わずとも動く。動いた。

 その中には竜王に気に入られることによる地位の向上やら自身の安全やら色々あるが──悲しいかな。竜王にそこまで考える頭は無かった。

 

「あー。人材の畑そこら辺にねぇかな」

 

 思わず愚痴が零れる。

 

 現在の竜帝国最大にして唯一の問題──人材である。

 この場合質は問題にならない。ドワーフの国から内政やら鍛冶やらの能力に長けた者を引っ張ってこれたからだ。

 しかし純粋に数が居ない。無。

 それこそ本来ならばもっと分けるべき民などは幾つかの都市に固められている状態だ。分散し農業やらやらせたいがそれをさせれる統治者が居ないため放置されている。

 

 今は少ない統治者──スレイン法国時代の者達やドワーフの国。政治など知らない部族の長程度の者が領主をしている状態だ。

 学校等も作るべきか。だが作るための時間と金。土地はあっても人材が居ない。

 

「どっかに転がってねぇかな……」

 

 竜王は立ち上がりながら、もう一度そう呟いた。

 

 

 

「ラ―ドゥン様。こちらが今年度の予算表になります」

「ああ。ありがとう」

 

 部下の一人が持ってきた書類を竜王は閲覧する。

 ところ変わってここは執務室。簡素な机と椅子。部下と相談するためのソファー等しかない簡素な部屋だ。

 調達品や装飾品はほとんどなく、何故か書類用の棚の上に可愛らしいウサギのぬいぐるみがある程度。

 そこで竜王は神官服を纏った部下から書類を受け取り閲覧する。

 片手には異世界言語の辞書。異世界に来て数年経つが今だ言葉は分からないモノが多い。

 当初はスレイン法国の神官たちが「神聖言語(日本語)で清書し提出しましょう」と言ったが竜王は断った。

 単純な翻訳にかかる時間もあるが、竜王がそれは流石に恥ずかしいと。

 竜王の肉体は強靭。自身の力ならば数日で覚えれるわと高を括っていたがそんなことは無く竜王は数年たっても異世界語を習得できていない。

 ローマ字やら漢字にカタカナと色々覚えてる中いきなり既存の言語体系と全く違う物の習得となれば時間はかかる。

 逆に言うならばたった数年でまるで違う言語をほぼわかるようになっている時点で頭が悪いわけではないが。

 尚竜王は沼地のリザードマンやトードマン。その他多種族間で言語が違うと知って「いつか統一言語創り出してやる」と息巻いた。

 ただし統一言語は地球でも一度作られたが色々あって使われることは無かった言語だ。異世界でも同じことになるだろう。

 

「ふぅーむ。予算的にも問題あるか……」

 

 予算、というのは無限に湧き出るモノではなく、また無限に湧きだしていいモノでもない。

 一定の額をどれだけ作るのか。どうやって消費するのか──それらが書かれた紙を竜王は確認する。

 その姿は実に様になっている。紅蓮のバトルドレスを纏い、両手で紙を持って見るさまは見ようによっては背伸びしている金持ちのお嬢様にも見えるだろう。

 

 自分のポケットマネーを使えたら楽なんだがな、と竜王は思案する。

 竜王が世界が終わる日にかき集めた金貨。マジックアイテム。それらを解放すれば予算など無限に湧き出るが──そんなことをすれば起こるのは腐敗である。

 ならば使う訳にはいかない、とジャラジャラと金貨を両手で出したのを神官たちに止められたのを竜王は思い出す。

 時折辞書から言葉を探る中、こんこんと優しいノックが執務室に響いた。

 

「入れ」

「失礼します」

 

 がちゃり、と木製のドアを開け男が一人入ってきた。

 優男、と言ったところか。

 中世的な容姿だ。男か女か──服装によってはどちらか判断できない者。

 恰好はバトルクレリックという神官の服を纏い、その背には格好には相応しくない見ずぼらしい──今にも朽ち果てそうな槍を背負っている。

 

「何かあったか?」

「はい。エ・ランテルにてアンデッドによる事変が発生しました」

「なんだと?」

 

 竜王が書類から眼を外し、男の──漆黒聖典の隊長を見る。

 

(エ・ランテル……確か王国の都市だったな。帝国との国境にあった。そこにアンデッドが?)

 

「ですが。そこに居た冒険者によって解決したようです」

「……なんだ。なら問題ないな」

 

 今手が空いてるのは誰だったか──と思考を廻らせようとしたところで隊長の声で考えるのを辞める。

 王国は既に竜帝国の属国だ。ならば王国にて問題が発生したならば竜帝国も解決の為に動かなければならない。

 だが勝手に起こって解決したというのならば何も問題は無い。

 

「それで、解決したのは誰だ? 青と朱どっちだ?」

「どちらでもありません」

「なに?」

 

「これはまだ<伝言>(メッセージ)による連絡なので信憑性は低いですが……なんでも突如現れた第四位階を使う魔法詠唱者によって解決したと」

「ふーん。第四位階か……その程度か」

 

 第四位階。才ある物でもごく一握りの者しかたどり着けない英雄の頂。

 スレイン法国でも漆黒聖典などにしかない英雄級の超越者。それをその程度と竜王は断じる。

 

「なんでも名前はモモンガというらしく、仲間としてアルベドなる重戦士が居たようです」

 

「ほーん。モモンガか……モモンガ?」

 

 なんかどっかで聞いた気がする。と竜王は顎に手を当てて考える。

 そして考えるのを辞める。

 竜王は全盛期は毎週のようにプレイヤーと戦い続けた。となれば偶々似た名前の者がいただけだろうと竜王は判断してしまった。

 別に他者の名前を覚えるのが苦手、という訳ではない。だがゲームだった頃の者達の名前など正確に把握などできていない。

 それこそ覚えていられるのは親交のあった同じ超越者──自身と単機である程度戦えた吸血鬼の王。たった一人で万のモンスターを使役した者程度だ。

 どちらとも名前も顔も覚えているがモモンガという名に覚えはない。ならば偶々戦ってきた者達に似た名前がいた程度だろうと思った。

 

「……あーあ。どっかに人材転がってないかな。お前知らない?」

「そこに無ければ無いですね」

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