オーバーロードに野生のラスボスが現れたの竜王RPするプレイヤーが居る作品   作:野生の生蛇

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第25話

「脆弱よの脆弱よの」「余りにも脆い。弱い。貧弱」「よくもまぁその程度で我らに挑んだモノだ」

 

 竜王ラードゥン。

 ユグドラシルにて猛威を振るうプレイヤー。数少ないボスへと成り上がった──あるいは成り下がったプレイヤーの一人。

 九つの世界のうちが一つ。ヴァナヘイムの山頂。

 世界で最も神に近いとされる山脈の頂点にて竜の王が嘲笑う。

 暴風が吹き荒れ、雲一つない快晴の元。君臨している。

 体長170mという圧倒的な巨体。下手なギルド拠点に匹敵するサイズ。

 黒い鱗に覆われた皮膚に十もある首。

 一つの首が並みの竜十体に匹敵するためつけられた異名は『百の頭を持つ竜』。竜王ラードゥン。

 

 それが今、たった一人で無謀にも挑んだプレイヤーを見下していた。

 

「たかがその程度で我らに挑むとは」「貧弱貧弱。脆弱で愚かな劣等種たる人間か」「レベルは最大。だが職業構成がゴミ」「なんで初期職業を一レベルずつ取った?」

「装備も店売りしかない。プレイヤーメイドの方が強いのあるのだからそちらを使うか自作しろ」「レイドボス相手にソロで来るな。野良でいいからパーティ組め」

 

 竜王が嘲笑うも──その内容はアドバイスだった。

 よくよく聞けばクラスを変えろや装備を変えた方がいいというまっとうなアドバイス。

 

 次は職業を見直そう──そう思い残したった一人で愚かに挑んだプレイヤーは消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■

 

 

「んで、モモンガさんのことどう思う?」

 

 グローリーホール。来賓室。

 モモンガの部屋と同じく全てが木でできた一室で青の薔薇一行は寝間着に着替え会話を始めようとしていた。

 話す内容は依頼ではなく同行者であるモモンガとアルベドの二人。

 

「……組合長は”実績つくりのための同行”なんて言ってたけど」

 

 そこにティアがポツリと言葉を漏らす。

 

「モモンガさんは兎も角アルベドさんは結構なやり手っぽい。あと夜の方も強いと思う」

「夜の方はどうでも良いわよ。けど実力はあるのね?」

「あるはず。全身鎧なのに体のバランス崩すこともないし歩行も戦士のそれだった」

 

 ティアが断言する。

 戦士の強さを図る手段は幾つかある。

 単純な武器の腕や武具の質。歩き方等など。単純な気配以外で判断がつく要素がある。

 だからこそ青の薔薇はアルベドの強さをある程度は信用できる。

 そうある程度。実力がいまだわからない。

 

 戦士同士となればある程度の力がわかるというある種の種族能力とでもいうべきものをこの世界の生命は持っている。それで判断が出来ない。

 この場合の原因は二つ。何かしらのマジックアイテムで実力を隠しているか──

 

 ──実力差がわからない程に。差が開いているかのどちらかか。

 

「んでよぉラキュース。モモンガの方見てから変だが何かあったか?」

 

 ガガーランが心配の意を込めてラキュースに問いかける。

 

「あー、そうね……」

 

 さてどうするか。仲間を信頼していない訳ではないがこのことを話してもいいのか。

 ちらり、と横目でイビルアイを見れば大丈夫だ、と仮面の奥からアイコンタクトをしうなづく。

 そして会イビルアイが口を開いた。

 

「モモンガ、という名に聞き覚えがあるだけだ──リーダーから、昔聞いたことがある」

 

 リーダー。この場合はラキュースではない。

 イビルアイが言うリーダーは十三英雄。かつて世界を救いし英雄のこと。

 

「……てことは、モモンガさんは十三英雄の一人?」

 

 それを聞いたティナが極めて冷静に。されど動揺を隠せず問いかける。

 

「いや。十三英雄という訳ではない。おそらくはプレイヤー……かもしれん」

 

 だが、とイビルアイは続けた。

 

「何しろ聞いたのは二百年も前の話だ。正直記憶があってる保証はない。それに単なる同姓同名の別人ということもあるからな」

 

 そもそもプレイヤーならば第四位階程度の訳が無いとイビルアイは思う。

 かつての六大神も八欲王も竜王も。全てがその圧倒的な力を持って世界を蹂躙した。

 リーダーと同じく大器晩成型──最初は弱いにしてもそれではリーダーから聞いた話と矛盾する。

 死の支配者。オーバーロード。幾千のアンデッドを従えた死の魔王。

 それを考えれば今回いたモモンガという物と特徴が合致しない。これなら単なる同姓同名の別人という可能性の方が高い。

 イビルアイ達には力を隠すという発想は無い。力という物はあればあるだけいいものという認識である彼女たちには。

 

「しかしぷれいやー、か……なぁ。どんなぷれいやーがいるんだ?」

 

 好奇心を抑えらず、ガガーランがイビルアイに問いかける」

 

「それ。何気気になっていたのよね。前に聞いた吸血鬼の王とか」

 

 そこにラキュースもワクワクとイビルアイに問いかける。

 

「美女の情報は?」

「ショタは?」

 

 更に双子忍者も問いかけ、イビルアイは分かったと話し出す。

 

「といっても、私自身リーダーから聞いただけだ。あんまり信じるなよ」

 

 イビルアイはかつての旅路。リグリットとドワーフの王。ツアーに羽翼人と焚火を囲い、リーダーが話していたことを思い出す。

 過去に戻った様に。

 

 

『最初に挑んだのは七大罪の魔王。傲慢の名を持つプレイヤー。史上初にして最後のプレイヤーにありながらワールドエネミーへの転生をした魔王。

 まだ生きていた時に一回戦ったけど遠くから遠距離攻撃一発で消し飛ばされた。

 次に挑んだのが竜王。ヴァナヘイムの頂上に居た彼に挑んで踏みつぶされた。彼の助言で職業とかアイテム見直したな。

 そして次は亡霊の王。ワールドアイテム持ちの移動式ダンジョンに挑んで勝てた。PVPの最初の黒星は彼だったな。それまでPVPしてくる人達からは逃げてたし。

 次は……えぇと。そうだ。ナザリックだ。大侵攻前に挑んだんだ。マジックアイテム使って第三まで行ったけどそこの吸血鬼に倒されちゃった。キーノぐらい可愛かったよ』

 

 

 ユグドラシルにおいて上位に数えられるプレイヤーは多数いる。

 ギルドランクではなく個人ランク──単純なステータスや攻略したダンジョン数。取得するスキルや魔法の総数。所持しているワールドアイテム等から算出されるランキングだ。

 ギルドランキングとは違い登録しなければランキングには乗らないためこれを見てワールドアイテム保有者を探す、というのは難しいが上位に数えられるプレイヤーは一癖も二癖もある曲者揃い。

 たった一人で戦局を変えれる文字通りの超越者ばかり。

 

 一位は長いこととあるプレイヤーが独占し、二位以下はころころ変わっていったが名前はそうそう変わることのなかった者達。

 モモンガ。たっち・みー。ハルコン。ウルベルト・アレイン・オードル。天使★撲殺。輝煌天使ねこにゃん。その他もろもろ。

 この中に魔王と竜王はいない。ボス化した者達はランキングから除外される。

 

 それこそモモンガ等は単体での戦闘能力ならば劣るがそれでも──ギルド戦等ならばいるだけで戦局を変えれる。

 

 かつて起こった燃え上がる三眼の殲滅戦や2ch連合とトリニティ。そこに参戦したセラフィムとの戦い。

 そこにかつてリーダーは参戦し、文字通り雑兵のごとく蹴散らされたと笑った。

 

 その話を聞いた青の薔薇は眼を点にする。

 

「……そんなに凄いのか。ぷれいやーってのは」

「あぁ……リーダーは『この中の誰か一人でもいればこの事態は一年で解決できた』と言っていたよ。魔神戦争を一年で終わらせれる超越者だ」

 

 だからこそのプレイヤー。遊び人。超越者足りえるもの。

 

『自分ではなく彼らが転移していれば』と嘆くリーダーの姿を思い出す。

 

「……まぁ。イビルアイも言った通り別人という可能性もあるんだから。そこまで気にしないで。

 さぁ。明日も早いから、寝るわよ」

 

 はーい、と青の薔薇は夢の世界へと旅立った。

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