オーバーロードに野生のラスボスが現れたの竜王RPするプレイヤーが居る作品 作:野生の生蛇
「こっちでござるよー」
一同はハムスケ──森の賢王に案内されトブの大森林を突き進む。
元々森の一部を支配していたのもあってハムスケの案内は迷いなく。森という非常に地形が悪い中サクサクと進んでいく。
青の薔薇の一同も森の探索は慣れているのか。誰も躓くことなく進む。
木の根や突き出た土。石や虫その他諸々。
森の中というのは人間の踏み入れない領域だ。人──といってもエルフが管理し始めたのもここ数年の話。それまでは異形の領域だった。
それを迷うことなく進む青の薔薇は流石は冒険者──先へ先へと突き進む者だ。
それに対しアルベドとモモンガは高ステータスと装備品の行動阻害の無効をもってして進む。
足場がどれだけ悪かろうと──例え沼地であろうとユグドラシルのマジックアイテムによる恩恵は物理法則など知ったことかとどんな地形でも平坦な地面と同じように歩けるようにする。
何処かずるをしているような気分だがこの程度は仕方がないとモモンガは進む。
「おっ! リュラリュース殿!」
ぶんぶんと尻尾を高く上げ振る。
果て何があるのか。木の陰から人影が現れる。
ぬるりと木から出てきたのは上半身だけが人間の異形だった。
上半身は枯れた老人の用な佇まいと老骨性を併せ持ち、下半身は完全な異形──蛇のそれだ。
ナーガ。かつてトブの大森林の西地域を支配していた者。
「おお。ハムスケ。ふむ。後ろに人間……となるとおぬしらが森の調査に来た冒険者か?」
「はい。私達は青の薔薇。竜帝国からの依頼で森の調査に来ました」
「ほーう。若いのに凄いのぉ。まぁそれに都合がいい」
「……都合がいいとは?」
「ああ。こっちでも多少調べてたんじゃがな。アーグが逃げて来たという東の巨人の巣穴に部下と共に調査に行ったんじゃ」
ほう。とモモンガは感心する。
部下という言葉を使った──つまりは上に立つ者。それが自らの足で事態解決に動こうとした。
やはり上に立つ者はこういった者の方がいいのだろうかとモモンガは思案する。
「それでわかったんじゃが。深い」
「……深い?」
はてどういうことか。一同は疑問抱きリュラリュースの言葉を待つ。
「ああ──深くて探索しきれない。いくら進んでも進んだ気がしない。モンスターもいないし先へ進んでも何も無い。
流石にこれ以上は探索の続行が不可能と判断し戻ってきたという訳じゃ」
おぬし等も向かうなら覚悟した方がいい──そう言い残しリュラリュースは去っていった。
■
「ここでござるよ!」
深い深い森の奥地。ぽっかりと空いた洞窟に一同はたどり着いた。
目に見えて分かる程に暗い。
モモンガとアルベドは
また
「某の案内はここまででござるが……どうするでござる?」
「そうね……このまま探索しましょう。期間はどうする?」
「これだけ深い穴だ。二日三日で調べれるようなものではなそうだな」
「それに進んだ後が問題。地図を作りながらだと移動も時間がかかるし。帰り道も危ない」
「では。二週間ほどでどうでしょう? 調べて戻るのならばそれだけの時間があれば大丈夫かと」
青の薔薇の相談の最後にモモンガが割り込み提案する。
如何に先輩だからと全て任せてはいけない。こういうところではアピールしなければ。
「……そうね。周囲も探索するかもしれないし、それぐらいが妥当かしら。じゃあハムスケさん。二週間後に戻って来るので。そうお願いしますね」
「わかったでござるよ!」
そうして一同はハムスケに見送られ。穴の中へ入っていった。
■
「
モモンガが光の魔法を唱え明かりを確保する。
「うへぇ。嫌な匂いだ」
洞窟に入ってすぐ。ガガーランが強烈な匂いに顔をしかめる。
第一に鼻に突くのは汚物の匂いだ。小便や大便等の匂い。
ゴブリンやトロールは基本的に汚物の処理が雑。王国や竜帝国ならばスライムを使った衛生管理などがあるが文化が未発達であるゴブリンたちは垂れ流しの放置である。
「可笑しい。汚物の匂いしかしない」
そのことに対し忍者の一人──ティアが疑問を発する。
「アーグが言うにはここの亜人たちは殺されたはず。なのに何故腐臭がしない?」
「わかるものなのですか?」
「わかる。NINJAを舐めてはいけない」
謎の自慢顔でティナが答える。
忍者──元イジャニーヤである双子は探知能力に優れている。
単純なステータスやスキルで言えばアウラ・ベラ・フィオーラ等には劣るがこれまでの経験と長年の勘による探知技能は上回る。
それにアウラなどの元がNPC──ユグドラシルという五感が制限された住人に過ぎない者達は匂いの違いなどはわからない。モモンガも謎に臭いとしか思っていなかった。
「要注意ね。先頭はティアとティナ。次にアルベドさん。次に私とガガーランで。後衛としてモモンガさんとイビルアイで行きます」
「わかりました」
並びとしてはこれ以上ないだろう。クラスも
回復の一転特化型が居ないのが少し厳しいがそれを除けばバランスはとれている。多分。
魔法の光を頼りに一同は進む。
岩肌がごつごつと剥き出しになった整備されていない洞窟。足元等を見れば小さなツルハシ等も落ちている。
洞窟の拡張工事中に襲われ成すすべなく死んだのだろう。
そしてここまで進めば。モモンガも違和感を抱く。
死体が一切ない。
アーグの言が正しいのならばこの洞窟には亜人たちが居たはずだ。なのにその死体が一つとてないのは何故だ?
スライムなどの消化能力でも持つモンスターでもいたのだろうか。
「──止まって」
疑問を抱きながら進むこと数分。ティナが一堂に静止を求める。
「どうかしたの?」
「この先から空気が流れてきてる……下からかな」
「下?」
はてさてどういうことか。一同は注意深く進み──その先にたどり着く。
「これは……」
穴だ。
ティナの言う通り。そこには巨大な穴があった。
モモンガと青の薔薇一行全員が縦や横一列になっても入れそうな程に広く。モモンガの
「……どうするラキュース。ここで行き止まりのようだが……」
イビルアイがそう言いながら
魔法の光に照らされ映るのはただの洞窟の岩壁だ。ここが最終地点。穴以外には何もない。
「穴の中に入ってみます?」
「それはちと危険すぎねぇか? モンスターとかトラップ会ったら死ぬぞ俺ら」
「そうね……モモンガさんは召喚魔法を使えますか?」
「使えます──
ラキュースの言いたいことを悟り先にモンスターを召喚する。
巨大な人の眼球。瞳孔が開きっぱなしという外見のモンスター。
召喚したのはフロード・アイという下級の邪眼系モンスター。目線が会った相手を一瞬行動阻害するという微妙な能力しか持っていない。
更にフロード・アイのレベルは1。レベル三ぐらいなら普通にレベルによってレジスト出来るというクソ雑魚である。
正し常に浮遊し続けている為この場合は有能だろう。
「ありがとうございます。ではモンスターを穴の下に」
「わかりました」
言われるがまま。モンスターに指示を出し穴の下に入らせる。
そのまま潜らせ続け──
「……特に何も無いですね」
アンデッド系統のモンスターでは無いためモモンガと視界等は共有されない。わかるのはただただモンスターが下に降りて行ったということ。
だが何かしらのトラップやモンスターに遭遇し倒されたということも無い。
「……なら降りて見ましょうか」
「私が魔法をかけましょう。
全員に飛行魔法をかけ。浮遊する。
「おー。こりゃ便利だな」
「面白い」
「じゃあ。このまま穴の下まで潜りましょう」