オーバーロードに野生のラスボスが現れたの竜王RPするプレイヤーが居る作品 作:野生の生蛇
「──諸君。集まってくれて感謝する」
「何大物ぶってんだ殺すぞ」
円卓会議上。
黄金のシャンデリアがぶら下がる気品あふれた場所に、多種多様な者達が集まっている。
一人はこの会合を開いたギルド:セラフィムのギルドマスター。ただし名前は情報系魔法で隠した上フードを被ることでアバターがわからないようにしている。
一人はこの中では異様な貧相な格好をした人間種の男。
いかつい無精ひげを生やした非衛生とでも言うべき者であり、武具を上級アイテムで統一したもはや雑魚でしかないが組織:山賊略奪団のかしらである。
一人は黒いローブに金の紋章がつけられたこの中で最も豪華な装いの者だ。胸には赤い球が浮かび、只者ではないと主張している。
スケルトン型のアンデッドの最上位種の一つオーバーロード。そしてギルド:アインズ・ウール・ゴウンのギルドマスターモモンガだ。
傍らには護衛か、あるいは参謀かわからない藁で覆われた植物系の種族の者が佇んでいる。
一人は吸血鬼の男。豪華な──されどモモンガには劣る鎧を纏い、刀を腰に挿した大男。
髭も生えているがこちらは整っており、ダンディー差、とでもいうべきか男らしさを強調しており、清潔感も感じられる。
ギルド:ヴォルキハルのギルドマスター。ハルコンだ。
一人はもはやマジックアイテムですらないボロボロのローブを纏った女。
机の上に足を載せており、「やんのか?」と全員にガンを飛ばしている。
黒い角に黒い尻尾を持っているのが人間ではないことを主張している。
この中で唯一ギルドを持たず、所属もしていないが単体でギルドに匹敵しうる武力を持つ者。竜王ラ―ドゥン。
一人はモノクルを付けた若い男。
セラフィムのギルドマスターと同じように情報系魔法を使っているのか名前がわからぬ優男。
約五十人ものワールドディザスターを抱えるユグドラシル最大の傭兵ギルドのマスター。
「早速本題と行こう。ギルド:燃え上がる三眼についてだ」
ギルド:燃え上がる三眼。
ユグドラシルに突如として結成された情報系ギルドである。
既に前例としてワールド・サーチャーズが存在するが、燃え上がる三眼はそれの有料版、と言ったところだ。
ただしその情報の出所が問題だ。
燃え上がる三眼は幾つものギルドにスパイ行為を働いている。
幾つものギルドに仲間を装って忍びこみ、ワールドアイテムや隠しクラスの取得方法を盗む──人としてやってはいけないことを繰り返す者達。
更には得た情報はネット公開限定。さらにさらにすべて有料。
結果、切れた。それはもうものすごく切れた。
「なるほど、今回の会合はそれが目的と」
藁系の植物プレイヤー、ぷにっと萌えが納得したとアイコンを出す。
「ふむ、ではこの選考はどういうことかね? 一部怪しい者達がいるが」
ちらり、とハルコンがラ―ドゥンと山賊略奪団に顔を向ける。
しかし顔を向けられた二人は知らん顔である。
──ギルド:山賊略奪団。
厳密にはギルドではない。
いや、クランですら──パーティですらないただの個人の集まりである。
ではどういう組織か、となれば内容は名前が示すように山賊だ。
ギルドやクラン、移動中のプレイヤーを襲いkill(殺し)アイテムを奪う一団。それが山賊略奪団だ。
ユグドラシルでは珍しくも無いPK専用ギルド、という訳だ。
ではなぜギルドになっていないのか?
理由は簡単、身内で殺し合っているからだ。
山賊略奪団にはルールがない。精々がトップによる「次はあそこ襲うぞ」という指示に従えと言うだけ。
それ以外は力がすべて、暴力最高な無法者の一団だ。
ではどうなるか? 襲って殺して手にしたアイテムの分配はどうなるか?
結果身内で殺し合って奪う。野蛮極まりない連中である。
昔はギルドであったが殺し合う度にPK用の処理をするのがめんどくさくなって解除したという変わりすぎる集団である。
基本殺し合いしてるため、たまに新人が入っても殺されて身ぐるみはがされるか順応して殺し合う中になるかのどちらか。
ではどれほど脅威なのかというと全然脅威ではない。
確かに襲撃時こそ「お前ら普段からこうできないのか?」と聞きたくなるほどの連携で襲撃を成功させるがその後が最悪である。
配分でもめ、戦功でもめ、特に意味も無くもめて殺し合う。
結果レベルダウンフィーバー。最高レベルが一応トップの男の九十代という百レベルになり易いユグドラシルでそれが最高という低さが物語っている。
それでは百レベル相手にはきついが──全員が全員、一人の例外も無くPK専用のクラスに隠し職業についている。結果ある程度角上でも問題が無いという訳だ。
結果身内で仲良く相性がいいモノ同士殺し合ってる中報復に来られて全滅するギルド擬き。
仲間には異形も亜人も人間もいるというこの中では比較的公平な組織というのが何ともユグドラシルの野蛮さを物語っている。
「そう焦るな。この場にいるのは"燃え上がる三眼"のスパイが入っていないとわかるもののみ」
──確かに。と全員が納得する。
ギルド:アインズ・ウール・ゴウンの加入条件は社会人であることと異形種であること。
隠し条件として仲間の半数以上に認められること。これなら確かにスパイは入れないだろう。
ヴォルキハルは更に条件が厳しい。
種族がなんでもいいので吸血鬼系統というセラフィムと同じ種族限定のみならず、条件として"ロールプレイできるもの"とある。
ロールプレイは今の時代でも恥ずかしがる者が多い。一度入っても"やっぱ無理"や「お前ロールプレイする気ないな?」と追い出される者が多いギルドだ。
竜王ラ―ドゥンはそもそもギルドではないしパーティすら組んでいない完全な個人。
山賊略奪団も似たようなモノだが基本身内で殺し合いしてる以上スパイもクソも無い。
「ふぅん、その……燃え上がる眼とかいのう潰す話か」
「だが報酬が無いとやらんぞ? うちには被害がない」
「おれぁやるぜ。報酬は潰して得たの全部だ」
──この話し合いは長くなりそうだな、とぷにっと萌えとセラフィムのギルドマスターはため息をついた。
■
「……懐かしい夢を見た」
竜が顔を上げる。
最上位まで成長しきった竜ではあるが、食事は睡眠は可能である種族であるためラ―ドゥンは取っていた。
結果懐かしい──数年前の夢を見た。
あの後どうなったか……そうだ、私の必殺ブレスと傭兵連中の魔法で開戦したのだったか。
その後山賊略奪団が先陣を切って突撃し、それに続く形でアインズ・ウール・ゴウンとセラフィムが突っ込んだのだ。
会合の後に他のギルドにも声をかけ、何処からか話を聞きつけた2ch連合もやってきて……飛んだお祭りだった。
「さて、今は……」
──ワールドアイテム:ワールド・アイ。
元は燃え上がる三眼が保持していたワールドアイテムだ。
効果は距離無制限、対情報系魔法・スキルに一切かからない距離無効の千里眼と鑑定能力。
鑑定の方は情報系魔法で対策されるが、それでも相手の名前と種族系統がわかるという非常に便利な代物である。
更に対策してなければ相手の職業・種族にレベルにHPとあらゆる情報が筒抜けになる。
プレイヤーやNPCのみならず、アイテムにも情報鑑定が通じる為売却では世話になったアイテムだ。
ただ最下位の対情報系魔法やスキル一つで無効化されるため、もっぱらアイテム鑑定にしか使ってなかったが
それを用い、更に竜の知覚能力もまして首都を見る。
見れば──奇妙な一団が。
全員が女。それだけならまだしもこの世界では非常に珍しい吸血鬼──さらにはユグドラシルでは聞いたことも無い吸血鬼の種族。
ヴォルキハルにならいたのだろうかと、ふと思案する。
「しかし冒険者か……うむ」「話を聞きたいな」
これから攻め滅ぼす国のことを、当事者からも聞こうと、人の姿になり部下の元へ向かった。