オーバーロードに野生のラスボスが現れたの竜王RPするプレイヤーが居る作品 作:野生の生蛇
「なにこれ……」
「なんじゃろうな」
「どういうことだ?」
「ショタはぁはぁ」
「幼女どこ……? ここ……?」
それぞれが驚愕する。
たどり着いた先はアベリオン丘陵と聖王国を分かつ城壁──だった場所だ。
一部分が完全に破壊され、見るも無残な姿になっている。
そして破壊された城壁を直すもの達がいる。
人間──だけではない。
ケンタウロスが資材を運び、ミノタウロスが資材をその場で加工。ゴブリンが細かい所を修復する。
人間が指示を出し、魔法で資材を運んだりバファルクと談笑しながら食事をしている。
かつて青の薔薇が夢見た光景が、目の前に広がっている。
「ん? 見慣れぬ人間だな」
馬車から降りて見上げていた青の薔薇に、一匹──一人のオークが近づく。
「もしかして、他国の冒険者か?」
「はい、私たちは──」
■
「すんなり通れたな」
「いっそ不気味」
「無警戒にも程がある」
城塞跡を難なく──通行税を払うだけで通貨出来てしまった。
馬車の中を確認されることも手荷物検査も無い。ガバガバ警備。
これならば八本指などは麻薬をいくらでも持ち込めてしまうだろう。
「だが警戒を怠るなよ? ここはいわば敵地。警戒するだけ損はない」
「わかってるわ、リグリット」
──数日後。
「……地図、あってる?」
「認めたくないけど、あってる」
「これを……たった一人の竜が、成したというのか」
絶句。
あるいは、反応のしようがない。
冒険者として各地を渡り歩き、リグリットやイビルアイから聞いたどんな話よりも恐ろしい何か。
かつて首都ホバンスがあった場所には、何もない。
何も、無い。
城の跡も家の後も何もない。
瓦礫一つない荒野。
"突如家とか消えたらこうなるのか"という妄想が現実になったような──何もない場所。
「理解が及ばぬ」
冷や汗を流し、リグリットが戦慄する。
通常、こういった破壊には跡が残る。
魔法でも武技でも、何を使ったとしても。
しかしながらこれには何もない。破壊の痕跡すらないという未知の恐怖。
「──何か来る」
「多分馬車」
双子の忍者が、あっちだと指をさす。
数分後、幾つもの馬車がが首都の後を通る。
その一つにラキュースは勇敢に声をかけ、止めた。
「ギィ? ナンダ、オマエタチ」
御者はまさかのゴブリン。馬はスレイプニル。
積み荷は限界まで載せたとわかる建材……恐らく城壁を直すための物だろう。
「えぇっと、私たちこの国の……竜帝国の首都に行きたいんですが」
「ソウカ、ココ、マッスグデツク」
「この先に、首都があるんですか?」
「竜王サマ、アタラシイノ、ツクッタ、スレイン? とイッショニ」
「え」
じゃあもう行くと、ゴブリンはスレイプニルを動かし行ってしまった。
「スレイン……スレイン法国?」
青の薔薇は全員、顔を見合わせた。
■
「ここが……首都」
「でかーい」
「うむ、でかいな」
竜帝国。首都。名前はまだない。
そこにたどり着いた青の薔薇一行は、驚愕した。
ゴブリンが人間の幼子と手をつなぎ、談笑しながら歩く。
ミノタウロスが人間の女を肩車し、一緒に騒いでいる。
バファルクがスネークマンと共に歩き、治安を維持している。
人と亜人の共存が、成り立っている。
「あれは……城なのか?」
人に視線を奪われる中、たった一人リグリットが首都の中心に目を向ける。
そこはまさに異様と言うべき城だった。
まず、でかい。
ロ・レンテ城や帝国の皇城などよりはるかに大きい。
そして、円形。
屋根など要らぬと闘技場の様にただったぴろい。
城どころか建物と呼べるのか不安だが、よく見れば下部には入り口や窓がある。
例えるなら城の上にでかい皿を載せたようなものだろう。
ただし滅茶苦茶でかい。王城などよりも遥かに。
これは竜王が170mもの巨体だからこそ、だろう。だが。
「可笑しい……これほどの建築を、いったいどうやって?」
そう、そこが疑問。
資材等ならば亜人と協力すれば確かに、得られるだろう。
だが技術は? それはどうやって得る?
あれだけの巨大な城擬きに、これだけ大量の家々の建築。
それらには人が──技術者が必要だ。だがそれだけの数はいないはず。
そもそも竜帝国……聖王国は滅びたのだ、竜王の手で。
ならばその復興はどうなった? 竜王が戦ったという首都が壊滅処か消滅しているのだ、他の都市もそこまではいかずとも致命傷を負ったはずだ。
竜王が──プレイヤーが建築系の能力を持っていたか、あるいは。
「スレイン法国の支援があった……?」
だとしたらなぜ?
「おい、邪魔だ」
「あ、すみません」
通りすがりのバファルクに、大通りで面食らっていた青の薔薇が注意される。
そのまま脇までよけ、相談を開始する。
「もうこれで充分、直ぐ逃げるべき」
「訳が分からなすぎる。撤退推奨」
「俺もティナとティアに同意だな、これ以上は得られる情報もねぇよ」
「私もだな。これ以上は藪をつつきかねん。一泊して補充したら帰るべきだ」
「──ワシは逆に残るべきだと思う」
一人、リグリットだけが反対の意見を出す。
「訳は?」
「うむ、まだ何もわかってはおらぬからだ。確かにこの国の異質さは見てわかった。だがそれだけじゃ……この国がこれから先何をするか見定めるべきじゃ」
と言っても時間はかけられんから、三日ほどで何があっても出国するべきだ──とのこと。
「わかったわ」
じゃあ宿を探そうと、動こうとした時──
「青の薔薇のラキュースはどれだ?」
男が声をかけてきた。
胸に見たことの無い紋章──他の兵士が付けていたのと同じ、竜を象った紋章をつけたオークの男だ。
豚の顔を蹄を持つ亜人種である。
「──私がラキュースです。私に何か?」
表向きは何事も無いように振る舞い、されど仲間たちは警戒する。
この国へは依頼も受けずに──完全な非公開(プライベート)できている。
馬車等を購入し、ここへ来ることは予想されたかもしれないがそれにしたって行動が早すぎる。
「我が国の王、ラ―ドゥン様がお呼びだ……来い」
「え」
え