カシアンがベルナデッタを実験台に恐るべき悪趣味な効果を実証してみせた「爆音玉」と「腐臭草」。それらを大量に搭載した小舟やイカダが、夜陰に乗じてミルディン大橋へと迫り同盟軍の守備隊に未曾有の混乱と悪夢をもたらす――はずだった。カシアンの描いたシナリオでは。
現実はカシアンの計算を良い意味で裏切ることになった。ミルディン大橋の攻防戦は、カシアンが用意したそれらの新兵器が本格的に火を噴くよりもずっと早く、驚くほどあっさりと終結してしまったのだ。
その最大の要因はベレスの「やる気」にあった。
戦闘開始の狼煙が上がるや否や、ベレスは天帝の覇剣を雷光のように閃かせまるで何かに憑かれたかのように、あるいは何かを追いかけるかのように、女神の力を全開にして敵陣へと単騎突撃した。その剣技はもはや人の域を超え神話の英雄の武勇伝そのもの。また紋章の力で小さなタイタニス・シールドも装備して振り回していた。ミルディン大橋の堅固な守りも歴戦の同盟兵たちの抵抗も、彼女の圧倒的な力の前に次々と薙ぎ払われ、粉砕されていった。そして彼女に引き連れられるように、黒鷲の学級の生徒たちも大暴れしていた。そのためカシアンが「さて、そろそろ秘密兵器の出番かな」と呟き、後方の工兵部隊に準備を命じようとした頃には、既にベレスの掲げる剣が、橋の中央部分で勝利の輝きを放っていた、という有様だった。
用意していた爆音玉も腐臭草も、そのほとんどが使われることなくただカシアンの荷車の中で出番を待ちぼうける結果となった。
「…ベレス。貴女、今日の戦いは、少々…いえ、かなり張り切りすぎていたように見受けられましたが。何か、特別な理由でも?」
戦闘後カシアンは汗一つかいていない、どこか満足げな表情のベレスに訝しげに尋ねた。彼女のあの戦いぶりは、いつもの冷静沈着な彼女とは少し違っていた。まるで何かを証明したいかのような、あるいは何かに対する強い意志表示のようにも見えた。
ベレスはカシアンのその問いに悪戯っぽく、ほんの少しだけ頬を赤らめて微笑むと可愛らしく小首を傾げて答えた。
「内緒。まだ教えてあげない」
その言葉と表情は明らかに何かを隠しており、カシアンに対する彼女の独占欲と特別な感情が複雑に絡み合っていることを匂わせていた。カシアンはそのベレスの不可解な、しかし魅力的な態度に頭巾の下で首を捻りながらもそれ以上追及することは諦め、ただ「そうですか」とだけ呟くしかなかった。
(…まあ結果として最小限の損害で、これほど迅速にミルディン大橋を陥落させられたのだ。彼女の個人的な感情が良い方向に作用したというのなら、それはそれで合理的と言えるのかもしれん)
カシアンは心でそう結論付け、この件については深く考えないことにした。
ミルディン大橋の陥落はレスター諸侯同盟にとって大きな衝撃となった。帝国の侵攻路が大きく開かれたことを意味し、同盟内の結束はさらに揺らぎ始める。カシアンとベレス率いる帝国軍の別動隊は、その好機を逃さずミルディン大橋を拠点として、その後約2ヶ月に渡り同盟領の西部地域への侵攻と切り取りを着実に進めていった。
カシアンの巧みな情報操作とアビスの者たちによる裏工作、そして何よりもベレスの圧倒的な武力は同盟側の抵抗をことごとく粉砕。多くの小領主たちは戦わずして日和見するか、あるいは帝国側に寝返る道を選んだ。
だが皮肉なことに帝国軍の進撃を助けたのは、それだけではなかった。同盟内の有力貴族たちはこの国家存亡の危機にあってもなお、互いの利権や勢力争いに明け暮れ足並みが全く揃っていなかったのだ。ある者は帝国との早期和平を主張し、ある者は徹底抗戦を叫び、またある者はこの混乱に乗じて自らの勢力を拡大しようと画策する。その内輪もめは帝国軍にとってこれ以上ないほど好都合な状況を作り出し彼らの侵攻を事実上、野放しにする結果となっていた。
カシアンはこれら同盟内部を伝える報告書を読みながら、どこか冷ややかに正確に状況を分析していた。
エーデルガルトはミルディン大橋陥落の報と、その後のカシアンたちの快進撃を受け一刻も早く同盟の領都デアドラを直接攻撃し、クロード=フォン=リーガンを屈服させ、同盟との戦いに終止符を打ちたいと強く願っていた。だがヒューベルトをはじめとする帝国軍の慎重派は敵領深くへの単独進軍の危険性と未だ勢力を保つ同盟貴族たちによる挟撃の可能性を指摘し、まずは周辺地域の完全な制圧と兵站線の確保を優先すべきだと主張した。
エーデルガルトもその進言の正しさを認めざるを得ず焦る気持ちを抑え、同盟領西部の切り取りと来るべきデアドラ攻略のための準備を着実に進めることに同意した。
そしてミルディン大橋の戦いから約数か月が経過した、ある秋晴れの日。ついにその時は来た。
カシアンとベレス率いる別動隊も本隊と合流し、帝国軍は万全の態勢を整えレスター諸侯同盟の心臓部、美しき都デアドラへとその進軍の矛先を向けたのだ。
デアドラの城壁が遥か前方に見え始めた時、帝国軍の陣営にはこれまでの戦いの疲労感を吹き飛ばすかのような高揚感と緊張感が入り混じった、特別な空気が満ち溢れていた。フォドラの未来を左右するであろう大きな戦いの火蓋が、今まさに切って落とされようとしていた。
ミルディン大橋を驚くべき速さで陥落させたカシアンとベレス率いる帝国軍別動隊は、その後も破竹の勢いで同盟領西部を切り取り、ついにレスター諸侯同盟の領都デアドラを目前に捉えた。だが黄金の鹿が舞うと謳われていた美しい港町デアドラは、今その輝きを失い戦雲と緊張感に包まれていた。
デアドラの城壁の上、クロードは腕を組み眼下に迫る帝国軍の黒い大群を冷静に深い憂慮の色を浮かべた瞳で見つめていた。彼の傍らには金鹿の学級の仲間たち――ヒルダ、ローレンツ、リシテア、イグナーツ、レオニー、マリアンヌといった、今や同盟軍の中核を担う将となった者たちが、それぞれの表情に覚悟と不安を滲ませながら控えている。
「…ふん、思ったよりも早いお着きだったな、帝国のお歴々さんたちは」
クロードはいつもの軽口を叩くように言ったが、その声には隠しきれない重圧が滲んでいた。
彼はデアドラ市街地での無用な戦闘と市民の犠牲を避けるため既に市街全域を閉鎖し、住民の多くを比較的安全な後方地域へと避難させていた。そして帝国軍を迎え撃つ決戦の場としてこのデアドラが誇る広大で複雑な地形を持つ天然の良港――軍港地帯を選んでいた。そこならば彼の得意とする奇策や罠を存分に活かし数で劣る同盟軍でも互角以上に戦えると踏んでいたのだ。
「陛下、敵軍、デアドラの城門手前で進軍を停止した模様! 全軍、臨戦態勢に入っておりますが、今のところ攻撃の動きは見られません!」
斥候からの報告にエーデルガルトは馬上からデアドラの堅固な城壁と、その上に翻る黄金の鹿の旗を忌々しげに見据えた。
「クロードめ…市街地を放棄し、あの軍港で我々を待ち構えるつもりね。彼の用意した盤面に、まんまと乗ってやるのは癪だけど…」
彼女は傍らに控えるヒューベルトと、そしていつの間にかその隣に並んでいたカシアンに視線を送った。
「…だが、ここで時間を浪費するわけにはいかない。全軍に告ぐ! これよりデアドラ軍港への総攻撃を開始する! あの狡猾な狐を、今日こそ…」
エーデルガルトが攻撃命令を下そうとした、その瞬間だった。
「お待ちください、陛下」
カシアンが静かに、有無を言わせぬ響きでそれを制した。彼の頭巾の下の瞳がデアドラの軍港ではなく、その手前に広がるデアドラ市街の今は無人となったはずの区画を、何かを見定めるように細められている。
「クロード殿のその『おもてなし』に、我々が真正面から付き合って差し上げる必要はありますまい。…それに、実は、ちょうど良い『準備』が、ほぼ整っておりましてね」
カシアンの声にはいつものように感情の起伏は乏しかったが、その奥には確かな自信と、どこか悪魔的な愉悦の色が滲んでいた。
「陛下、どうか、あと一日だけ、私に時間をいただけませんか? 明日の今頃には、クロード殿も、その自慢の軍港で悠長に待ち構えている余裕など、なくなっているはずですから」
エーデルガルトはカシアンのその言葉と彼の瞳の奥に宿る不気味な光に一瞬だけ眉をひそめた。この男が何かを企んでいる時、それは常に常軌を逸し、そして恐ろしいほど効果的な結果をもたらすことを彼女は嫌というほど知っている。
「…分かったわ、カシアン卿。あなたを信じましょう。一日だけよ。」
カシアンは頭巾の下でニヤリと口角を上げたように見えた。
「ふふ…それは、明日のお楽しみ、ということで。ですが陛下もそしてクロード殿も、きっと『気に入って』くださるはずですよ」
彼はそう言うと傍らに控えていたアビスの工作部隊の者たちに、低い声で何事か指示を出し始めた。兵士たちはカシアンの命令を受けるとまるで夜の闇に溶け込むかのように、手際よく音もなく動き出す。彼らが運び始めたの数日前にカシアンがベルナデッタを恐怖のどん底に叩き込んだ、あの忌まわしき「爆音玉」と「腐臭草」の材料が満載された樽や袋、かつてミルディン大橋で使われることなく終わった、大量のイカダや小舟の部材だった。その光景を遠巻きに見ていたベレスはカシアンが何をしようとしているのかを察し、小さくため息をつきながらもその準備作業を静かに手伝い始めた。
一方デアドラ城壁の上ではクロードが帝国軍の不可解な動きに首を傾げていた。
「…おいおい、どういう風の吹き回しだ? 奴さんたち攻めてくる気配が全くねえぞ。デアドラの入り口で陣を敷いたまま、何やらゴソゴソと…何かを始めるみてえな準備をしてやがる」
彼の鋭い目は帝国軍の陣営で兵士たちが慌ただしく何かを組み立てたり、運び込んだりしているのを捉えていた。しかしそれが具体的に何を意味するのか、まだ掴めずにいる。
(カシアン…あの食えない男が、また何か厄介なことを企んでやがるのは間違いねえ。だが、一体何を? あの男の考えることはいつも俺の想像の斜め上を行きやがるからな…)
クロードの脳裏に二つの選択肢が浮かび上がる。
一つは当初の計画通り、この軍港で地の利を活かし帝国軍を待ち構えること。だが相手が何か得体の知れない策を準備しているとすれば、その策が完成するのをみすみす待つのはあまりにも危険。
もう一つは帝国軍の準備が整う前にこちらから打って出ること。成功すれば敵の策を未然に防ぎ戦局を有利に進められるかもしれない。だが失敗すれば守りを固めた軍港での決戦という、唯一のアドバンテージを失うことになる。それは同盟の未来を賭けたあまりにも大きな博打だった。
「どうする…? このまま待つか…? それとも…」
クロードは眼下に広がるデアドラの美しい港と、その向こうに陣取る帝国軍の黒い影を交互に見比べながらギリギリと奥歯を噛み締めた。彼の肩にはレスター諸侯同盟の、そしてそこで暮らす全ての人々の運命が重くのしかかっている。風が彼の金色の髪を揺らし、まるで彼の心の迷いを映し出すかのように不規則に吹き抜けていった。
決断の時は刻一刻と迫っていた。
カシアンが「1日の猶予」をエーデルガルトから得てデアドラ市街への「特別なおもてなし」の準備を着々と進めていた、まさにその時だった。帝国軍の本陣に設えられたエーデルガルトの作戦司令部たる天幕に、血相を変えた伝令兵が、文字通り転がり込むようにして駆け込んできた。その肩には真新しい矢傷があり呼吸は苦しげに乱れている。
「ヘ、陛下! き、緊急報告! デアドラ城門より、クロード率いる同盟軍主力と見られる部隊が一斉に出撃! 我が軍の斥候部隊と接触し既に戦闘が開始されております!」
伝令兵のその言葉に天幕内の空気は一瞬にして凍りついた。ヒューベルトが眉間に深い皺を刻み、他の将軍たちも息を呑む。
エーデルガルトはその報告に一瞬だけ目を見開いたが、すぐに皇帝としての冷静さを取り戻し毅然とした声で命じた。
「…そう。あの男、待っているだけでは気が済まなかったようね。全軍に伝令! 直ちに迎撃態勢を整えよ! 各部隊は所定の陣形に展開し、敵の突出部隊を包囲殲滅する! 敵将クロードの首を、今日こそこのデアドラの地に掲げるのです!」
彼女の力強い号令一下、帝国軍の陣営はにわかに活気づき兵士たちが慌ただしく動き出す。角笛の音が鳴り響き各部隊が鬨の声を上げながらデアドラの城門から打って出てきた同盟軍を迎え撃つべく隊列を整え始めた。
だがその帝国軍の迎撃準備が整うか整わないかのまさにその刹那。先の伝令兵の傷の手当てもままならないうちに、さらに別の若い伝令兵が顔面蒼白で、もはや声にならないほどの悲鳴に近い声を上げながら、天幕へと駆け込んできたのだ。
「も、申し上げます! さ、さらに別の敵影を確認! デアドラの…デアドラの東方、海岸線沿いから、おびただしい数の、み、見たこともない軍装の部隊が…! クロードの軍と連携し、我が軍の側面を突かんとしております! あ、あの旗印は…まさか…!」
若い伝令兵は恐怖のあまり言葉を続けることすらできず、その場にへたり込みそうになる。
「落ち着きなさい! 旗印は何だったの!」
ヒューベルトが普段の冷静さを失いかけるほどの厳しい声で問い詰める。
若い伝令兵は震える指で東の方角を指差しながら、かろうじて言葉を絞り出した。
「猛禽の…そして、何よりも…多くの竜に乗った兵士たちが…!」
その言葉を聞いた瞬間、ヒューベルトの顔から血の気が引いた。彼は傍らにあった望遠の魔道具をひったくるように手に取ると、天幕を飛び出し、小高い丘の上から東の空を見据えた。そして数秒後彼は絶望的な確信と共に、低い声で呻いた。
「…間違いない。あの特徴的な湾曲した剣、軽装ながらも精悍な兵士たち、空を舞うワイバーンの群れ…。あれはパルミラだ。パルミラの正規軍が、なぜこのタイミングで、しかもクロードと連携して、我々に牙を剥くというのだ…!」
彼の声には驚愕と、フォドラの東方に位置する尚武の国パルミラが、この大陸の戦乱に本格的に介入してきたことへの深い戦慄が込められていた。
ヒューベルトは即座にエーデルガルトの元へと戻り、その事実を報告した。
「陛下! 断じて『らしきもの』などではございません! あれは、紛れもなくパルミラの本国の軍勢! おそらく、クロードがあの国と何らかの密約を結び、この決戦のタイミングに合わせて呼び寄せたのでしょう! 急ぎ、対応を! 特に空からの脅威…パルミラの竜騎士たちは、我が軍の魔道部隊や後方部隊にとって最大の脅威となり得ます! 彼らに空の制圧権を握られれば戦況は一気に不利になりましょう!」
ヒューベルトのその進言は的確で、何よりも急を要するものだった。エーデルガルトもこの予期せぬ、そして最悪のタイミングでのパルミラ軍の出現にさすがに顔色を変え、即座に新たな指示を前線部隊へと飛ばし始めた。
その頃帝国軍の本陣から少し離れた、デアドラ市街への秘密の侵入経路近くの草原ではカシアンが工兵部隊とアビスの工作員たちに、例の「おもてなし」の最終準備を指示していた。イカダや小舟には大量の腐臭草の束と爆音玉が満載され、後は風向きとタイミングを見計らってデアドラ市街、特にクロードが籠っているであろう軍港地帯へと送り込む手筈だった。
「…ふむ、風は北西へだ。これならば臭いと音の『贈り物』は、軍港全体を効果的に包み込むことができるだろう。クロード殿も、さぞかし『歓迎』してくれることだろうな」
カシアンは頭巾の下で満足げに頷き、最後の仕上げに取り掛かろうとしていた。
その時だった。遠く帝国軍の本陣の方角から立て続けに鳴り響く角笛の音と、兵士たちの尋常ではない怒号、そして何よりも空気を震わせるような多数のワイバーンの特徴的な翼音と咆哮が、彼の耳にも確かに届いてきたのだ。
カシアンはその異様な音に反射的に顔を上げた。彼の鋭い戦術眼が即座に何らかの異常事態が発生したことを感知する。
「…この音は…まさか…」
彼は傍らに控えていた斥候に状況の確認を命じようとしたが、それよりも早く血相を変えた帝国軍の伝令兵が、馬を駆ってカシアンの元へと駆け込んできた。
「カシアン殿! ご報告が! パルミラ軍です! パルミラの大軍が、クロード軍と呼応し我が軍に攻撃を仕掛けようとしています! 本陣は現在対応中です!」
「パルミラ、だと…!?」カシアンの頭巾の下の瞳が驚愕に見開かれた。クロードが、パルミラと手を組んでいたとは。これは彼の計算には全くなかった、完全な不確定要素だった。そしてあの男ならやりかねない、とカシアンは瞬時に理解した。
(あの男…!この私が、入念な準備を進めていたこの『おもてなし』を、全て無駄にするつもりか! いや、それ以上に、この状況はまずい…!)
カシアンは一瞬だけ準備していたイカダや小舟、そして山と積まれた腐臭草の束に未練がましい視線を送ったが、すぐにその感情を振り払った。今はそんなことに拘っている場合ではない。
「全工兵部隊、及び工作員に告ぐ!」カシアンの声が、草原に鋭く響き渡った。
「現在準備中の全ての物資は、その場に放棄! 一切構うな! 我々は直ちに帝国軍本隊と合流しパルミラ軍の迎撃にあたる! 急げ! 遅れる者は斬り捨てるぞ!」
その命令は、非情なまでに迅速で、そして一切の迷いがなかった。彼の頭脳は既に新たな戦場での最適解を導き出すべく、高速で回転し始めていた。
こうしてレスター諸侯同盟の領都デアドラを巡る戦いは、帝国軍、同盟軍、そして突如として現れたパルミラ軍という、三つの勢力が入り乱れる、フォドラの歴史にも類を見ないほどの大規模で、そして混沌とした戦いの幕開けを告げることになった。カシアンの用意した「おもてなし」は、残念ながらその真価を発揮することなく、草原の露と消える運命となった。だが彼にとってそれは些細なことだった。新たなそしてよりエキサイティングな戦いが、今まさに始まろうとしていたのだから。