聖龍隊 気高き二次元人達   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 遂に聖龍隊のメンバーが勢ぞろい! 
 これはホンの序章です。


聖龍伝説 気高き二次元人達
聖龍伝説 ――気高き二次元人達―― プロローグ


[街を見下ろし、届く手紙]

 

 豹の爪、そして黒天狗党の連合軍との激戦の日。あれから、数日後。

 其処はアニメタウン郊外に位置する小高い山の上、その崖から一人の少年がアニメタウンを眺めていた。

 日本の首都、東京とも違う街並み。其処に住む人々は、見た目が普通ながらも様々な国や異世界から来た者も少なくなく、更に超自然的な現象も日常的に在る。

 そしてこの街の者等は、特徴としてはそれぞれ独特の髪型や髪色をしているのが目立つ。

 何より、このアニメタウンには。魔法や変身、その類を使える通称 特殊能力者が多く住んでいる。

 

 その時、少年の後から一人の人外の少年が歩み寄って来た。

「修司」「ん? ……ああ、バーンズか」

 少年は後から声を掛けて来た人外の少年に顔を振り向かせて返事をした。人外の少年は神妙な顔付きで少年に告げた。

「いよいよ……何だよな」

 人外の少年が呟くと、相手の少年も神妙な面持ちで語り始めた。

「ああ、そうだ……この時の為に、俺は聖龍隊を結成させた」

「そうか、しかし……まさか、あの異次元亜空間ゲートも国連の承諾の上で造られていたとはな……」

「まあな……組織と云うのは何かと物入りでな。それに後ろ盾も必要になる……。故に今後、世界が必要になるであろうエネルギー源の供給と、人口増加により人々が住み替え開拓する異世界への交通の為に造ったんだ」

「成るほど……確かに、異世界にはまだまだ手付かずの資源やエネルギーになる物質、それに似合った技術も多数確認されているからな。それに増えすぎた人間が別世界を開拓し、其処に移り住む事が出来りゃ人口増加による問題も少しは解消されるな」

「そうだろ? しかし……やはり世界から認可されるには、まだまだ聖龍隊は力不足だ。認めて貰う為には……必要だと認めてもらう為には、もっと確実な手段を取らなければいけない」

「うん、そうだが……その為に国連には、例の亜空間からの勢力の対抗策としての組織だと言っちまっているのか?」

「そうだ。その勢力を倒さない限り、この世界に平穏が訪れる事は無い。それ以前に、その勢力は俺達が既に周知している別世界にまでも出没しているみたいだ」

「その勢力を倒して国連に、世界に……オレたち聖龍隊の存在意義を認めて貰おうって魂胆か。だがよ、オレ達だけで大丈夫なのか? ニュースでもかなり取り上げられているけど、その勢力っつうか、異次元から来る魔獣の群れはかなり手強そうだぜ」

 すると少年は人外の少年に、横目を向けて言った。

「……しかし、それを倒さなければ、俺たち聖龍隊が世間に認められる事は無い、下手をしたら俺たち全員危険な存在として排除されかねないかもしれないし、何より……世界が終わっちまったら、それこそ意味が無いだろう?」

「………………」

「世界から……世間から認めて貰う為には、それ相応の功績をしなければならない。そして、その功績を手中に納め俺達が生き延びる唯一の手段こそ……謎の軍団である「異世界からの脅威」その撃破だけだ」

 少年は険しい面持ちで語った。

 

 

 

 一方その頃、周囲を森に囲まれたとある研究所にて。

「……う~~ん……遂に来てしまったか……」

 研究所内の一室にて、一人の白髪の老人が椅子に座りながら真剣な真顔で一枚の手紙を読んでいた。

 老人が手紙を読んでいる、その時。突然老人が腰を下ろしていた椅子の前に置かれていたコンピューターから機械音が流れ、老人がキーボードを押すと画面にマスコットに似た黄色い顔が映し出されて老人に告げた。

「犬養博士、ユイ殿やハルナ殿、それにアイ殿がやって来たでありまする」

「おお、ありがとうIR(アイアール)。三人に私の部屋に来るよう言ってくれ」

「はいでありまする」

 老人に告げられた黄色いマスコットは消え同時に画面も黒くなった。

 

 そして部屋に三人の少女が入って来た。

「博士ーー、お久しぶりですーー」

「どうしたんですか? 急に私達を呼び出したりして……」

「またバーチャル世界で何か事件ですか?」

 三人の少女等は部屋に居た老人にそれぞれ挨拶等を述べ、訊ねられた老人は笑顔で少女達に話した。

「おお、久しぶりだね、結くん、春奈くん、それに愛くん。いやね、前にも話した事は有ったと思うんだが…………君達は以前、バーチャル世界でかの有名なメタルバードのパートナーと名乗っていた小さい銀色の鳥でチップバードと遇った事があったと思うが……」

「は、はい……あの時は彼の協力も在って、無事に事件を解決できたのですが……」

 左目の下に泣きぼくろが有る黒髪の少女が語ると、次に赤みの掛かった桃色のロングヘアーの少女が話し出した。

「ええ……彼の話だと、あの時もその前からも、私達の前に現れた新しいタイプのバグルスはプログラムではなく、現実世界にも出没しているモンスターみたいで……」

 ロングヘアーの少女が思い詰めた表情で語り告げると、白髪の老人が神妙な面持ちで少女達に告げた。

「うむ、実はね……どうもバーチャル世界で出現する怪物達は、今ニュースでも取り上げられている「異次元からの魔獣」の様なのだよ」

 これを聞いた少女達は騒然となり、ウェーブがかった茶髪の少女が驚きながら老人に言った。

「う、ウソぉ!? そ、それじゃ、やっぱりチップちゃんの言っていた通り、あのバグルスはコンピューターウイルスなんかじゃなく、本物の怪物だった訳?」

 茶髪の少女に続いて黒髪の少女が老人に言った。

「やっぱり……あのヘドロの様な怪物は異次元からの怪物だった訳か……」

「え? あ、アイちゃん。あの怪物が異次元からきた存在だって知っていた訳なの?」

 黒髪の少女の発言にロングヘアーの少女が訊ねると、黒髪の少女はそれに答えた。

「ええ、あのチップバードとの事件から色々と調べていたんだけど……どうも今、国際連合がそれに対しての対策を色々と講じているみたいなのよ。しかも、一部のメディアが嗅ぎ付けた情報だけど、どうやら聖龍隊がアジアでの魔獣討伐の精鋭として国連の注目を集めているみたいよ」

 これを聞いた茶髪の少女は、半ば興奮しながら叫んだ。

「えぇ!? あ、あの聖龍隊がアジア全てを任せられるヒーローチームになるって訳なの? アイちゃん」

「う、うん、そうみたいだけど……」

 黒髪の少女が呟くと茶髪の少女は思い更けた顔立ちで呟いた。

「ふ~~ん、まぁ、あの聖龍隊ならアメリカのアベンジャーズやジャスティス・リーグの様な、立派なヒーロー集団に成れるだろうし良いかもしれないね」

「ゆ、結ちゃん。結構アメリカのヒーローの事知っているんだね……」

 茶髪の少女の発言を呆気に感じるロングヘアーの少女が言うと、茶髪の少女は笑顔で答えた。

「へへ、ちょっと漫画の参考に色々とアメリカのヒーローを参考にしているんだ」

「相変わらず漫画家への夢は消えてない訳か」

 黒髪の少女が呆れながらも微笑みながら茶髪の少女の言葉に返した。

 するとその時、微笑み合う少女三人に老人が告げた。

「じ、実はね……結くん、春奈くん、そして愛くん。今日君達を此処に呼び寄せたのは他でも無い。その聖龍隊に関してなのだが……」

「へ?」「な、なんですか?」

 茶髪とロングヘアーの少女等が訊き返すと、老人は思い詰めた顔で少女達に語り始めた。

「じ、実はね。今まで話すのを躊躇ってしまっていたのだが……君達がバーチャル世界でチップバードと共闘してしばらく経ってから、私は一人の人物に呼ばれてその人物と対面したのだよ」

「そ、それで?」

 黒髪の少女が訊くと老人は続けて語った。

「ああ、実際私の前に現れた時は、その人物いや少年は付き添いとして信頼の置ける男性を一人連れて来ていてね。その二人と色々と話したんだが……」

「えっ? そ、その人物って、子供何ですか?」

 ロングヘアーの少女が訊ねると老人は

「ああ、君等も良く知っている著名な人だよ。まあ、その子の話だとね……どうも彼は……」

「彼は?」

 話すのを躊躇ってしまう老人に拍車を掛ける様に訊ねる茶髪の少女、そして老人は意を決して少女達に話した。

「実はね、その少年はどうやら………………君達コレクターズである三人も、聖龍隊の一員として加盟して欲しいと、願い出ているのだよ」

「「「……え…………ええぇ!!?」」」

 老人の話に驚愕してしまう三人だった。

 

 

 

[三人と三人+一人と一人]

 

 後日、夕暮れ時に、老人の研究所に一機のヘリが着地した。老人と少女三人等はヘリに同行していた兵士に言われるがまま、半ば強引にヘリに乗せられ連れて行かれた。

 そして彼女達が辿り付いたのは、アニメタウン郊外にある基地の様な研究機関の様な大掛かりな建物で、ヘリはその屋上のヘリポートに着陸し少女達は降り立った。

 

 ちょうどその時、建物の前の道路には多数のジープが並んでいたのだが、更に其処へもう一台のジープが走って来て、建物の前で停止した。

 するとジープから赤い髪の少女と青い長髪の少女、そして眼鏡を掛けた少女の三人が降りて来た。

 この時、偶然にも二組の少女達は屋上と道路からそれぞれ視線が合った。

「「「……」」」「「「……」」」

 それぞれの少女達は数秒間、互いに見つめ合っていた。そして、それぞれ同行する兵士達の案内の元、施設内に入って行った。

 この時、ジープから降りて来た少女達は歩きながら、先ほど視線の合った少女達の事を話していた。

「か、彼女達も聖龍隊の一員なのかしら……?」

「そうかもしれませんね。……此処に居るのは見た感じ、ほとんど男の人ですけど聖龍隊には女性の方々が目立ちますし、おそらくは……」

 青い長髪の少女が口を開くと、それに答える様に周りを見渡しながら云う眼鏡の少女。二人の少女に続いて、もう一人の赤髪の少女が口を開いた。

「あの子達も…………修司君に呼ばれて此処に来たのかな?」

 

 そして老人と少女等、そしてジープで来た三人の少女達は同じ部屋に別々の入り口から入室したのだった。

 部屋は清潔感を感じられる全面白で統一された部屋造りになっていた。その部屋の真ん中には円形の白いテーブルが一つ在り、テーブルの周りには椅子が8つ用意されていた。

 部屋に入って来た老人と三人の少女、そして別の少女三人組は室内で顔を合わせるとそれぞれ挨拶を述べた。

「こ、こんばんは……」「ど、どうも……」

 初見で有った為、双方とも少しばかり余所余所しく言葉を交わす黒髪の少女と青い長髪の少女。

「どうも、初めまして」「あ、いえ。此方こそ」

 一方のロングヘアーの少女と眼鏡を掛けた少女は、お互い丁寧に挨拶を交わす。

「あ、どうもこんばんわーーッ。貴女達も修司君に呼ばれたの!? ねぇ」

「えっ、あ、あ……は、はい、そうなんです……。(はは、元気の良い人だなぁ)」

 赤髪の少女のテンションの高さに驚きながらも笑顔で対応する茶髪の少女。

(こ、この子達も、小田原修司に呼ばれて来たのか……? 見た目の年相応は結くん達と大して変わりないじゃないか……!)

 老人の方はと云うと、一緒に足を運んで来た少女達と初めて逢った少女達の年齢が余り変わらない事に多少の驚きを感じていた。

 

 とその時。両開き型の自動ドアから一人の少年が、全身漆黒のスーツ姿でしかも腰に日本刀を差して部屋に入って来た。

 その少年は角刈りとスポーツ刈りの中間の様な黒い髪型で、若干筋肉質な体格の太い眉に福耳の少年であった。

「あ!」「あ、貴方は、確か……」

 少年の顔を見て驚く茶髪の少女と黒髪の少女。すると彼女達とは別に来た少女達が少年の顔を見て少年に話し出す。

「あ! 久しぶりーー、修司君!」

「もう、急に呼び出したりして、どうした訳?」

「いやな、例のプロジェクトの件で、ちょっとな……」

 少年に向かって元気よく声を掛ける赤髪の少女に、顔を少しばかりしゃくれさせて云う青髪の少女に対し少年は頭の後ろを掻きながら返事した。

「ふふ、元気そうで何よりですわ」「まあ、元気と言えば元気なんだが……」

 少年の顔と言動を見て微笑む眼鏡の少女に対し、少年は喉元を指先で掻き乱しながら返事する。

 その時、会話する三人の少女達と少年等に、老人と一緒にやって来た三人の少女達が話しかけてきた。

「あ、あの……」

「ん? ああ、そうだ。お初に御目に掛かるな、確か……如月春菜(きさらぎはるな)、だったよな」

「え……え、ええ、そうですけど。あ、貴方は確か……」

 話し掛けて来たロングヘアーの少女に真剣な真顔で少女の名を口にする少年。少女は一瞬動揺したが、すぐさま気持ちを切り替えて少年に訊ねた。

 するとロングヘアーの少女に続いて黒髪の少女と茶髪の少女が少年に向かい口を開いた。

「あ、貴方は……確か……」「て、テレビで良く見ている……」

 そして二人同時に少年の名を言った。

「「お、小田原修司!?」」

「ん? なんだ、そのリアクションは……あ、まさか。おい博士、この三人に何にも言ってないのか?」

 二人の少女に、同時に名を呼ばれた少年 小田原修司は少女達と同行して来た老人に訊ねた。

「う、うむ……いや何、少しばかり彼女達に話すのを躊躇ってしまって……」

 老人は下を俯きながら複雑な心境で答えた。

「え。は、博士は小田原修司と面識が有ったんですか?」

 ロングヘアーの少女が訊くと老人は弱冠暗鬱な表情で答えた。

「あ、ああ、詳しい話は彼と会ってからした方が良いと思ってね。それで、遂……」

 老人と少女が会話をしていると、先ほどの威勢の良い赤髪の少女が老人と話している少女の二人に突然話しかけて来た。

「ねえねえ! お爺ちゃんと君達はどんな事できるの? 私達みたいに魔法とか使えるの?」

「え!」「ま、魔法って……。この子、何を言っている訳……?」

 赤髪の少女の発言に驚いてしまう茶髪と黒髪の二人の少女。

 その場が騒然と成り掛けているその時、その場の流れを宥めようと少年が皆に言った。

「はいはい、一旦落ち着こうか皆さん。まずは其処のテーブルに人数分の椅子を用意しているから、話は座ってから落ち着いた状態で語ろうじゃないか」

「は、はい。そうですよね……結ちゃん、愛ちゃん、それに博士も、今は取敢えず座りましょう」

「う、うん、そうだね……」

「まっ、私からも色々と聞きたい事が有るし、座ってから話の続きをしましょうか」

 少年に指摘されたロングヘアーの少女は、同行して来た他の二人と老人に言い、共に椅子に腰を下ろした。

「わ、私達も座りましょうか?」「そうね、立ち話もアレだし」

「じゃっ、話は座ってから続けよっか」

 青髪の少女と眼鏡の少女も、顔を向け合い一緒に席に着く事に同意する。その二人に続き、赤髪の少女も元気よく合意して三人とも席に着き、少年と老人、少女組と顔を向け合いながら話を続けた。

 

「……改めて名乗ろう。俺の名は小田原修司だ。既に周知の事ではあるが、アニメタウンの新市長に就任した男だ、宜しくな」

 漆黒のスーツを着こなす体格の良い少年 小田原修司は七人の少女達と老人等に名乗った。

 すると修司に続いて、まずは老人が初見である三人の少女達に自己紹介をした。

「は、初めまして。私は犬養基継(いぬかいもとつぐ)。コムネット総合開発責任者をしております」

「え、確かコムネットと言いますと、一部の地域にしか浸透してないとはいえ最新のコンピューターを使ったプログラム電脳世界の……」

「おっ、お嬢さん。君は既に知っていてくれているのかね? 私が開発したコムネットを」

「は、はい。少しばかり耳にはしていますけど……まさかその総合開発責任者の博士さんが直々に来て下さるなんて……」

 眼鏡を掛けた少女が訊ねると、犬養博士は嬉しそうに訊き返した。相手の眼鏡の少女も言い返すと、博士は謙遜しながら少女に答えた。

「いやいや。私が彼に呼ばれたのは、この計画に協力を求められたからね。それに、彼が求めているのは大元、彼女達何だけどね」

 博士は共に来た少女達に目を向けた。するとそれぞれの少女達も次々に自己紹介をし始めた。

「初めまして。私、篠崎愛(しのざきあい)と言います」

「私は龍咲海(りゅうざきうみ)、宜しく」

 黒髪の少女愛と青い長髪の少女海は、互いに拍手を交わしながら名乗った。

「如月春菜(きさらぎはるな)と申します。以後、お見知りおきを」

「私は鳳凰寺風(ほうおうじふう)と云います。初めまして、春菜さん」

 赤みの掛かった桃色のロングヘアーの少女春菜と、眼鏡を掛けた少女風は双方とも驚くほど丁寧な挨拶を交わした。

「初めまして! 私、獅堂光(しどうひかる)! あなたの名前は?」

「わ、私は春日結(かすがゆい)って言います。初めまして、光さん」

 赤い髪で後頭部に一本の三つ編みをしている少女光に言い寄られ、若干押され気味になりながらも笑顔で名乗る茶髪の少女結。

 

 各々自己紹介を終えた彼女達は再び椅子に座りながら、眼前の修司と対話を再開する。

「……と云う訳だ。この計画は既に軌道に乗って後戻りはできない時点にまで来てしまっている。君達の事は一部の個人情報を除いて既に国連に伝えてしまっているから、其処は配慮してくれたまえ」

 椅子に座りながら淡々と語る修司の釈明に、光達や結達は黙って聴きいれていた。

 修司の話を聞いて、その部屋に重い空気が感じられたその時。意を決して春日結が手を挙げた。

「あ、あの……」「なんだ? 春日結」

 修司が訊くと、結は心細そうな顔で訊ねた。

「わ、私達は今までその……こ、コムネットって言う電脳空間で戦ってきただけで、現実の世界では戦えないんですが……」

 これに対し修司は神妙な面立ちで平然と言い退けた。

「ああ、それは大丈夫だ。兼ねてより犬養博士と協力の元、現実世界でも戦える特殊なスーツの製作に執りかかっている。まあ、なるべくスグに仕上げる積りだが……」

 この修司の発言を聞いた結達三人は驚愕した。

「えぇ!? わ、私達、現実の空間でも戦えるようになるんですか?」

「ああそうだ、可能になる」

 驚き困惑しながらも訊ねてくる結に対して、表情を変えずに答える修司。すると今度は春菜と愛の二人が、それぞれ心痛な表情とキリっとした顔付きで述べた。

「わ、私たちに現実でも戦えって言うんですか?」「無茶苦茶だわ」

 思わずムッとした表情を浮かべる愛を見て、修司は彼女達に真剣な顔つきで告げた。

「しかし戦わなければ……――――世界は終わる」

 この言葉に、結達は何も言い返せなくなってしまった。

 そんな結達に続いて、今度は光達三人が修司に

「ま、またセフィーロに……あの世界に自由に行き行きできるなら……」

「協力してあげても構わないけど……」「……また、戦うんですね。私たち」

 と、それぞれ再び戦う宿命を与えられる事に、悲しい憤りを感じたのだった。

 

 しかし、修司はそんな三人を始め、結達コレクターズにも表情を変えずに言い放った。

「戦う事は当り前だ、何故なら………………生きる事そのものが、戦いなのだからな」

 

 

 

 

[合流する英雄達]

 

 と、修司達が話しているまさにその時。

「おおう、久しいねえちゃん達に、初見のカワイイねえちゃん達まで居るじゃねぇか」

 と何処からともなく声が聞こえてきたのだった。

「! だ、誰!?」

 謎の声に驚き声を上げる愛に動揺し出す結や春菜に犬養博士。

 だがしかし、光達三人の方はその声を聞いて互いに顔を見合わせた。

「そ、その声は」「聞いた覚えが……!」

 謎の声に対して聞き覚えのある海と風。そして光が突然、歓喜しながら名を叫んだ。

「ばっ……バーンズなの!?」

 光が叫んだ瞬間、誰も居なかった所から突然全身を灰色のスーツを着こなした頭部が三角形で肌が焦げ茶色、金色の瞳をした人外の少年がスッと出現した。

「きゃあっ」「だ、誰なのアナタ?」

 出現した途端、驚いて声を上げてしまう春菜に少年に訊ねる愛。すると驚いてしまっている彼女達に修司が言う。

「ああ、安心しろ。コイツは俺の相棒でバーンズと云う。大丈夫、害は一応は無いから」

「って、一応って……なんで一応を付けるんだよ」

「だってそうだろ。お前は女に目が無いのが事実なんだしよ」

「ヒッデェ、お前は相棒をそんな風に見ているのか「うん見てる」

「ガァーーッン……しょ、しょんなぁ」

 突如出現した人外の少年、バーンズに対し平然と会話をする修司を見て呆然となる結達。

「あ、あの……あの怪獣さんは……?」

 バーンズを指差しながら風に訊ねる春菜。すると風は微笑みながら答えた。

「ふふ、彼はバーンズと云う修司さんのお友達ですわ。実は彼、あの銀翼の英雄メタルバードなんですよ」

 風の発言に結達は驚いた。

「「「ええぇ!?」」」

「う、ウソぉ!? メタルバードって、てっきりロボットかと思ってた」

「わ、私も……。現にテレビで報道されている時のメタルバードって、状況に応じて様々な武器に体を変形できるから、てっきりロボット兵器かと……」

 メタルバードがロボットでは無かったと知った結と愛は、目を丸くして驚いてしまった。

「は、はは……まぁ、良くロボットとかと勘違いされる事は有るけどな。はは……」

 思わず苦笑してしまうバーンズ。すると彼は突然、修司に訊ねた。

「はは……あ、そうだ。修司、みんながお前と再度話がしたいと言っているんだが、良いか?」

「ん、ああそうなのか……それなら丁度良い。ついでに新しく招集したメンバーであるコイツ等を紹介するか。アンタ等、ちょっと俺等に付いて来てくれや」

 バーンズに言われた修司は、皆の所に行くついでに新しいメンバーである結達や光達を手招きしながら椅子から立ち上がり、バーンズと共に自動扉から部屋を出ようとする。

『………………』

 だが、そんな修司の毅然とした振る舞い、そして態度に呆然としてしまう七人。修司は部屋を出ようとしたところで彼等に顔を向けて

「……どうした? これから、あんた等と共に戦うメンバーを紹介してやるんだ。早く来い」

 少しばかり、ふてぶてしい態度で新メンバーである彼女達に言った。彼女等は席から立ち上がり、修司に導かれるまま施設内を歩いていった。

 

 その道中、篠崎愛が初めて見知った三人の内の一人、海咲龍に徐に訊ねてみた。

「あ、あの……」

「ん? なぁに……確か、篠崎愛さんだったわよね」

「は、はい。あ、あの海さん。あなた達は小田原修司やバーンズと面識が有るみたいだけど、以前から聖龍隊と知り合いだった訳ですか?」

「いいえ、話すと長く成るけど……前に修司君やバーンズ君と別の世界で出くわした事があってね。まあ、その後に彼から今回のプロジェクトについて多少の事は聴かされてはいたけど……」

「い、異世界? た、確か今、話題になっていますけど、私達が住む世界の他にも別次元に他の異世界が有るって……!」

 驚いてしまう愛に、海は絶えず笑顔で平然と答えた。

「ええそうよ。その中には私達、人で無い獣人が住んでいる世界や、魔法だって日常的に存在している世界なんかもあるのよ」

「ま、魔法……! そ、そう言えばさっき、海さんと一緒に来た光さんが言っていたけど、魔法って……」

「ああ、実は私達。つい最近まで魔法が存在している世界に訳有って行っていたのよ。修司君の話だと、今回の計画に協力するって言うか、聖龍隊に入ればいつでもその世界に行き行きできるっていうから賛同したんだけど」

「あ、ああ、そうなの……(ま、まさか魔法がホントにあるなんて……。お、御伽話の中だけのモノかと思ってた……)」

 海から事情を聞いた愛は、魔法が本当にこの世にあると知って内心驚きに満ちていた。

 

 そして一行は修司の案内の元、長い時間を掛けて施設内のとある広々としたエリアルームに辿り付いた。

「はぁ、はぁ……な、何なのよ一体……」

「こ、この施設……こんなに広かったんでしょうか……」

 長時間歩いた為、疲労で息が上がる春日結に思わず膝に手を付けてしまう如月春菜。そんな二人に獅堂光が満面の笑みで話しかける。

「はは、大丈夫二人とも? あんまり体動かしてないでしょう? 私はまだまだピンピンに元気だけど!」

 笑顔で語る光に呆れながら海と風が告げる。

「もう光ったら。あなたと彼女達の体力を一緒にしちゃ悪いでしょ」

「そうですよ光さん。彼女達はもちろん、私達だって光さんと違って体力は差ほど無いんですよ。はぁ」

 風の方は、若干顔に疲れが見えていた。

 その時、疲れを見せている彼女達に一人の人物が声を掛けて来た。

「ははっ、それぐらいで音を上げてちゃ、この先の戦いを無事に生き残れる保証は低いよ」

「え?」

 少女達が声のする方に目を向けてみると、エリアの二階のフロアから緑色のコスチュームを着込み、頭に緑の帽子を被った、顔に柊の葉の様なアイマスクを装着している少年が身を乗り出して少女達を見下ろしていた。

「あ! 君は!」少年の顔を見て光が叫んだ。

「あ、あなたは……!」「久しぶりね、ジュニア君」

 光に続き、風と海も少年の顔を見て懐かしそうに歓喜した。

 すると海に名を呼ばれた少年は二階のフロアから颯爽と飛び降りて、少女達の前に姿を曝け出した。

 結達三人に犬養博士はその少年に目を奪われた。

 まるで童話のピーター・パンの様な、全身緑色のコスチュームではあるが、何処か野性的な荒々しさも醸し出す風貌。更に少年の腰には、まるでイバラの様な棘がビッシリある鞭が丸められた状態で携帯されていた。

「あ、アナタ……! 確か……」

 少年の容姿を見て愕然と成る愛。そんな彼女等に修司が目の前の少年について説明と共に結達に紹介した。

「お前達もテレビでも良く見ているだろ。まぁコイツも最近入隊した方だが信頼度は高い。大地の化身ジュピター・キッドだ」

 修司に紹介された緑の少年ジュピター・キッドは丁寧にお辞儀をしながら結達に挨拶を述べた。

「初めまして。君達が新しいメンバーのコレクターズだね。どうも、この組織では参謀を任せられているジュピター・キッドだ。今後とも宜しく」

「え? さ、参謀って、アナタみたいな子供が?」

 キッドの発言に思わずキョトンとしてしまう愛。そんな彼女にすかさずバーンズが言った。

「ああ、ネエちゃん。此処ではな、一応は総長が修司だからな。あくまで年齢や知数ではなく、信頼度で誰がどのポジションか決められちまうんだよ」

「えっ、た、確か聖龍隊の総長って、報道では聖龍使いだったんじゃ……」

 バーンズの発した台詞に戸惑う結。そんな彼女に修司が答えた。

「まぁ、もう隠す必要もないだろう。聖龍隊の総長である聖龍使いは何を隠そう……この俺だ」

「「「!!」」」

 修司の告発に驚愕してしまう三人。ニュースなどで報道されている聖龍使いは、その言動から年期の入った老人だと思われていたからだ。

「ん? みんな、何をそんなに驚いているの?」

「何言っているのよ光」

「ふふ、皆さんもおそらくは聖龍使いが高齢のお年寄りだとばかり思っていたんでしょう」

 驚く三人を見て唖然としてしまう光に指摘する海と風。

 更に其処へ「皆さん、お久しぶりです」一人のふわふわなお下げ髪が特徴的な女の子が、後にもう一人の水色の髪に水色の服を着ている少女を連れて声を掛けて来た。

 彼女達を見て、キッド同様に懐かしそうに笑顔になる光達。

「わあ、久しぶり! アッコちゃん、アプリちゃん!」

「二人とも元気にしてた?」

「はい、光さん達もお変わりなく元気そうで何よりです」

 歓喜しながら二人の少女の名を元気よく口にする光に、笑顔で二人に話しかける海に対して、お下げ髪の少女アッコは笑顔で答えた。

「アプリさん、その後元気に過ごせていましたか? 私、あれから貴女が元気で過ごせているのか気になって……」

「ご心配を掛けてしまって済みません風さん。もうこの世界での生活にも慣れましたし、私はもう大丈夫です。心配してくれてありがとうございます」

 心痛な表情を浮かべながら水色の少女アプリに話しかける風。一方のアプリは笑顔で風に丁寧な言葉遣いで返した。

「あ、あれ? その子達は……」「か、彼女達も聖龍隊の一員なの……?」

 アッコとアプリを初めて見た結と愛が訊ねると、修司がそれに答えた。

「そうだ。彼女達もメディアで既に報道されているが……加賀美あつこ、通称アッコは魔鏡聖女ミラー・ガール。元は普通の小学生であったが、魔法のコンパクトで様々なモノに変身できる特殊能力者だ」

「初めまして、修司から話は聞いてます。確かコムネットと云う電脳空間で活躍しているコレクターズの方でしたよね。私は加賀美あつこ、みんなからは気軽にアッコと呼ばれているので、お姉さん達もそう気軽に呼んでください」

「は、はぁ……」

 修司の紹介され丁寧に名乗るアッコに対して呆気に取られる愛達。修司は続けて今度はアプリについて紹介を始めた。

「そしてアッコの後に立っているのがアプリコット。通称アプリだ。彼女は最近になって我が聖龍隊に入隊し立てのウォーター・フェアリーの素顔なんだ」

「初めましてコレクターズの皆さん、ウォーター・フェアリーことアプリコットと申します。これから共に頑張っていきましょうね」

「は、はい。宜しくお願いします……」

 ぺこりと丁寧に頭を下げてお辞儀をするアプリコットに、動揺しながらも結達も続けて頭を下げて挨拶を述べた。

 

 其処へ。

「おっ、こいつ等が新しいメンバーなのか? 修司」

「お、青児。お前達も来たか」

 部屋にやって来た若い青年に声を掛けられ、修司は平然とした表情で返事をした。

「あ、貴方は……?」

 光 海 風 そして 結 春菜 愛達は青年の方に顔を向けた。

 すると青年の後から二人、金髪のロングヘアーで青と白のカラーが目立つ服を来たスレンダーな女性と、菫色(すみれいろ)の短髪の女性もやって来た。

「あ、あの……」「あなた達も、聖龍隊の人達ですか?」

 初対面の風と海が訊ねると、まず最初に青年が右手の二本指を頭に敬礼のポーズの要領で構えながら名乗った。

「初めましてお嬢ちゃん達。俺の名は早見青児、一応本業は私立探偵何だが色々と事情があってね。今はハニーや聖羅達と一緒に聖龍隊で活動させて貰っている」

 青年 早見青児が名乗ると、後に立っていた女性二人も自己紹介をした。

「初めまして。私は如月ハニーと云うわ、これから宜しくね」

「あ、初めまして……。貴女も如月と云う苗字なんですね、私もなんです」

「まぁ、奇遇ね」

 金髪のロングヘアーの女性 如月ハニーが自分の名を告げると、同じ苗字である如月春菜は笑顔で話しかけ、そんな彼女にハニーも笑顔で言葉を返した。

「私は葉月聖羅(はづきせいら)。貴女達の事は粗方修司から聞いているわ。これから大変でしょうけど、お互い頑張りましょうね」

「は、はい」「こ、此方こそ……」

 腰に手を当てながら名乗る菫色の短髪の女性 葉月聖羅から醸し出される魅力的な威圧感に圧倒されながらも返事する風と海。

 更に其処へ「ほえ~~、この人達が新しい聖龍隊の人達?」一人の少女が修司達の前に現れた。

「き、君は?」

 目の前に現れた少女に訊ねる海。すると少女は丁寧にお辞儀をしながら名乗った。

「は、初めまして……。木之本桜(きのもとさくら)と云います」

 木之本桜は少しばかり照れながらもしっかりと名乗り、光や結達に頭を下げた。

 更に其処へ

「あっ、修司さん、アッコさん。その人達が新しいメンバーなんですか?」

 部屋に駆け込む様に入って来た、金髪のポニーテールの少女が修司とアッコに訊ねる。

「あ、りりかちゃん」

「お、りりか。そうだぜ、コイツ等が新しいメンバーだ」

 アッコと修司は訊ねて来た少女に返事を交わした。そして修司はやって来た少女を光や結達に紹介した。

「光、海、風。それに結、春菜、愛。紹介しよう、彼女も同じメンバーの森谷(もりたに)りりかだ」

「初めまして、皆さん」

 森谷りりかは修司に紹介され、光や結達に御辞儀をした。

 すると今度は部屋に一人の少女と二人の少年がやって来て修司に訊ねる。

「わあ、この人達が新しい聖龍隊の仲間なんですね!」

「へぇ、また賑やかになりそうだぜ」

「おおぅ、これはこれは……実に御美しい御姉様方だ」

 結や光達を見て歓喜するボーイッシュ系の少女に彼女達を見渡して微笑むスポーツ刈りの少年。そして一人、女性達を見て思わず見惚れてしまう少年。

 そんな三人に修司が言った。

「おおイサミ達か。お前等もわざわざ、こんな夕暮れ時の遅い時間帯に来てくれたんだな」

 するとボーイッシュ系の少女が言葉を返した。

「はい、それはもちろん。黒天狗党も今じゃ聖龍隊の協力者だし、家では毎晩ママが帰って来たパパの為に腕を揮って手料理ばかり作ってしますし……」

「ああ、なんだ。即決に言えば、母親の作ったマジイ料理が食べたくないから此処に居る訳か」

「ち、違いますよ! そ、それだけでなく、パパもこれから聖龍隊の計画の為に努めてくれるって言っているし、私も全面的に今まで以上に聖龍隊に努めていきたいのよ」

 バーンズの指摘され、半ば動揺しながらも慌てた口調で言い返す少女。修司はそんな彼等について結や光達に再度紹介した。

「こいつ等も聖龍隊のメンバーだ。名前は花丘イサミに、月影トシ、そして雪見ソウシだ」

「初めまして」「宜しくな、ネエちゃん達」

 ボーイッシュ系の少女イサミとスポーツ刈りの少年トシは、目の前の結や光達に愛想よく挨拶した。

 だが一人、雪見ソウシは何処からともなくバラの花を六本取り出し、結や光達に差し出しながら「初めまして、麗しき御姉様方。僕は雪見ソウシと申します。これから同じ聖龍隊として、末永く共に頑張って行きましょう」と少し気障っぽく女性陣に名乗るソウシ。

「は、はぁ……こ、これはどうも……」

 名乗り出ながら言い寄るソウシの言動に、若干退いてしまう愛。そんなソウシにイサミが怒鳴る。

「もうっ、ソウシ。お姉さん達が困っているじゃない、毎度の事とは云え、そんなに言い寄らない!」

「ウっ……は、はいはい。も、もうイサミちゃん。そんなに怒らないでよ~~」

 怒鳴るイサミに怖気ながらも宥める様に話し返すソウシ。

 そして

「おっ、どうやらほぼ全員揃っているみたいだな」

「わぁーー、いっぱい居るねまもちゃん」

 一人の黒髪で長身の青年と、身長を超える金髪をお団子の様なシニヨン付きツインテールにセットしている独特のヘアースタイルの女性の、二人がその場に来た。

「お、最後にご登場かい。エンディミオン様とセレニティ様は」

 やって来た二人を見て、顔をニヤケさせてキッドが言った。

「あっ、貴女……!」「そ、その髪型、見た事が有る……」

 ツインテールの女性の独特の髪型に見覚えのある言動を口にする風と海。すると二人と共に来た光が思わず叫んだ。

「わーーッ! も、もしかして……あなた、セーラームーンじゃないの!? 髪型が丸っきりおんなじ!」

「え゛ッ、い、いやぁ……」

 思わず苦笑しながら戸惑う金髪のツインテールの女性を見て、修司が彼女に告げた。

「だから言っているだろ、うさぎ。お前等は誰が見たって一発で正体がバレちまうって。ほんと素顔とか分からないように隠しておけよ」

「うっ、だ、だって……」

「それによ、お前の場合は特にその髪型で本人と分かっちまうだろうが。セーラー戦士の中でお前とちびうさが一番髪型が特殊なんだしよ」

 修司に指摘され何も言い返せなくなってしまうツインテールの女性。と、其処へ

「あ、貴女達ね、新しいメンバーは」「初めまして」

 長いストレートヘアーで黒髪の女性と、青色のショートヘアーの女性もやって来た。更に

「わあ、この人達が新しい仲間? 良かったぁ、同じ女性で」

「うん、一層華やかになっていくわね、聖龍隊も」

 金髪のロングヘアーで頭に赤いリボンを付けた女性と、茶髪のポニーテールの女性も来た。そして

「わあっ、女の人が六人も居るーー」

「誰か来るのか聞いてなかったけど、女性だったんですね」

「ほう、これはこれは……美しい子猫ちゃん達だ」

「はるか。色目使うのは止めなさい」

「ふふ、可愛らしい女の子達ね」

 仲良く二人でやって来たピンク髪の尖ったシニヨン付きツインテールの女の子と、紫がかった黒いおかっぱ頭の少女。結や光達を見て色目を使う淡い金色の短髪で美形の人物、そしてその人物を注意する緑青色のウェーブのかかった髪型の女性。そして最後に褐色の肌で、黒い緑色の長髪にしてお団子が頭頂の中央を付きつけた髪型の女性が、結や光達を見て微笑みながら姿を現した。

「こ、この人達は……」「…………」

 大所帯でやって来た女性達と青年に見入ってしまう光に、思わず無言になってしまう結。

「う、うそ……ッ? こ、こんな小さな女の子達まで……!?」

 女性達の中で、最も幼い二人の少女を見て若干驚いてしまう海に修司が言った。

「別に驚く事じゃないだろ。お前らだって充分子供何だしよ」

「こ、子供って……修司さんもそうじゃない」

 修司の言葉に思わず苦笑してしまう風。そして修司は結、春菜、愛、そして光、海、風の六人にやって来た彼女達を紹介した。

「そうそう、さっき結に正体がバレたうさぎも含めて……コイツ等が聖龍隊では最もメジャーな同士であるセーラー戦士たちだ」

 そして修司に紹介されたセーラー戦士達は、各々六人に名前と戦士としての名を語っていく。

「は、初めまして……さっきバレちゃったけど、私がセーラームーンこと月野うさぎ。よろしくッ」

「は、はい、どうも……(な、何だか結ちゃんみたいに元気が良いな……)」

 元気の良い金髪のツインテールの女性セーラームーンこと月野うさぎに親友の春日結を重ねてしまう如月春菜。

「宜しく、俺がタキシード仮面こと地場衛(ちばまもる)だ。苦労するかもしれないが、まあ一緒に頑張ろう」

「え? タキシード仮面って、あの黒いタキシードに身を包んだ、一見怪しそうな男の……」

「〔ガクッ〕あ、怪しそうって……」

 黒髪で長身の青年タキシード仮面こと地場衛に思わず想った事を口にしてしまう風の言葉に軽く衝撃を受ける衛。

「私は火野(ひの)レイ、セーラーマーズよ。宜しくね新人さん達」

「わざわざ来てくれて、本当にありがとう。私は水野亜美(みずのあみ)、セーラーマーキュリーよ」

 長いストレートヘアーで黒髪の火野レイことセーラーマーズ。青いショートヘアーの水野亜美ことセーラーマーキュリー。

「どうもーー、金髪ロングヘアーの美少女、セーラーヴィーナスこと愛野美奈子(あいのみなこ)でぇす♡」

「初めまして、私はセーラージュピターの木野まこと。どうぞ宜しく」

 金髪のロングヘアーで赤いリボンの女性、愛野美奈子ことヴィーナスが満面の笑顔を見せつけながら名乗ると、彼女に続いて茶髪のポニーテールの女性ジュピターこと木野まことが丁寧に挨拶をする。

「やあ、初めましてカワイイ子猫ちゃん。ボクの名は天王はるか、セーラーウラヌスさ。どうぞ宜しく」

「え……っ?(ぼ、ボク? そ、それに確か、ウラヌスって女性だったんじゃ……そ、それじゃこの人、女の人?)」

 男性の身形の天王はるかに内心驚いてしまう獅堂光。するとその時

「はるか、いい加減にしないと怒るわよ」

「ッ! も、もう……そんなに怒っていたら折角の美しい顔が台無しだよ、みちる」

 女性陣に色目を使いながら名乗るはるかに睨みを利かせながら言い寄る緑青色の髪の女性に、一瞬怯みつつ苦笑しながら言葉を返すはるか。

 すると緑青色のウェーブの掛かった女性は、はるかの次に結や光達に顔を向けて微笑みながら自己紹介した。

「ふふ、失礼。はるかったらスグ女の子にチョッカイ掛けたかるんだから……あ、自己紹介がまだだったわね。初めまして、私は海王みちる、セーラーネプチューンよ。これから色々と協力し合う事になるでしょうけど宜しくね」

「え? か、海王みちる? 確かバイオリニストで名を馳せている、あの……!」

 海王みちるの名を聞いて驚いてしまう鳳凰寺風。

 そして、みちるに続いて今度は褐色肌で黒緑色の髪の女性が名乗りながら同時に、ピンク髪と紫がかった黒のおかっぱ頭の二人の少女を紹介した。

「初めまして、私は冥王せつな、セーラープルートですの。それでこの子達は、私達と同じセーラー戦士のリトルレ……あ、いえ、月野ちびうさちゃんと土萠(ともえ)ほたるです。二人はあのちびムーンとセーラーサターンなのですよ」

「こ、こんばんわ……」

「初めまして、土萠ほたるです。以後、宜しくお願い致します」

 褐色肌の女性、冥王せつなことプルートに紹介された二人の少女、ちびうさとほたる。ちびうさは若干照れながら、ほたるは礼儀正しく挨拶をした。

 

 セーラー戦士達が各々、新しく加わったコレクターズにレイアースの少女達に名乗りを終えたちょうどその時。

「修司様、格納庫の整備が終わりました」

 修司の胸ポケットに収納されていた無線から声が聞こえてきた。

「あぁ、分かったよウッズ。これから新メンバーも引き連れてそっちに行く」

 修司は無線で声の主に返事をし、そして前を向いて皆に言った。

「よし、それじゃ新しいメンバーも来た事だし、全員俺に着いて来てくれ。ウッズが格納庫の最終チェックが終わったみたいだから、一緒に見学しに行こう」

 そして修司は新メンバーであるコレクターズの春日結、如月春菜、篠崎愛、そして犬養博士。更に魔法騎士の獅堂光、龍咲海、鳳凰寺風。計七人を加えた聖龍隊メンバーを引き連れて格納庫へと向かった。

 

 

 

[銀の翼と三体の魔神]

 

 修司が皆を引き連れてやって来たのは、学校の体育館の四倍は有ろうかという程の広大な格納庫であった。

「わ、わぁ……」「す、すごぉい……」

 余りの広さに目を丸くして見渡してしまう結と光、そして初めて格納庫を見た多の聖龍隊士も驚いた。

 そして修司は其処に居た一人の人物に話しかけた。

「おい、ウッズ。どうだ、此処の調子は?」

「あ、修司様。はい、だいぶ設備の方も完了してきましたよ」

 修司が話しかけたのは、頭の毛が後頭部から額に掛けて薄らと生えた頭髪、球体に近い丸い顔に点の様な目と鼻、そして優しい微笑みを浮かべる男性であった。男性は手にノートパソコンを持った状態で修司に声を掛けた。

「あ、貴方は……!」

 男性を見た犬養博士が声を上げると

「お久しぶりです、犬養博士。ようやく御一緒に活動する事ができますね」

 男性は博士に微笑みながら言葉を返した。

「ね、ねぇ博士。この丸顔の人、知ってんの?」

「何処かジュピター・キッドと顔が似ていますねぇ」

 男性に声を掛ける博士に結と春菜が訊ねると、博士は彼女等に答えた。

「ああ、そう言えば君達はまだ会った事は無かったね。彼は街の市長そう修司君の秘書兼執事であり、同時に聖龍隊では裏方でサポートをしているウッズ氏だ。私が最初、修司君と会った時も一緒に同行してたんだよ」

 更に博士に続き修司も結達に答えた。

「あ、それと、キッドと顔が似ているのは親子だからだよ」「「「えッ?」」」

 修司の言葉に結達三人は驚いた。

「お、親子だったんですか……!」「どうりで……」

 口を開けて驚く春菜と愛。

 

 とその時「あ! アレ!!」突如、獅堂光が大声を上げて指を指した。

「て、何よ光」「急に大きな声を上げて……」

 海と風が訊ねると「だ、だってアレ……」光が動揺しながら指差し、二人も光の指差した方角に目をやった。すると海と風も光に続いて驚いた。

「え! あ、あれは……!」「な、なんで此処に……!?」

 海と風の視界に入ったモノ。それは頭部に一角が有る赤いロボに、その横には頭部が龍の形状をしている青いロボと、両脇に対の翼がある鳥に似た姿の緑のロボットが存在していたのだった。

「な、何故これが……!?」

 驚きを隠せない海に、修司が口元に笑みを浮かべながら告げた。

「ふふ、お前達にとっては懐かしいだろ? なんせ、これは元々お前達の愛機なんだからな」

 光達に告げる修司に、アッコが訊ねた。

「ね、ねぇ修司。前々からこの3体のロボットが在るんだけど、これって何なの?」

 アッコに訊ねられ、修司は答えた。

「ああ、この三体は元々この三人、魔法騎士が搭乗していたマシーンなんだよ。まぁ、信じられねえかもしれねえが、この三体のマシーンは完全な機械では無く異世界セフィーロで創造された一種の生命体でもあるんだ。だから生命反応も有るんだぜ」

「えッ? い、生きてるの? このロボット……!?」

 修司の説明に驚いてしまうアッコ。

 更にその時、アッコに続いて鳳凰寺風が修司に訊ねた。

「あ、あの……何故、この三体が此処に……。確かこの三機はセフィーロから別の次元に行ってしまった筈なのですが……」

 困惑しながらも修司に訊ねる風に、バーンズが答えた。

「ああ、風のネエちゃん。その三機は俺が見つけたんだよ。俺がちょっくら異次元亜空間にテスト飛行していたら偶然にもこの三機と遭遇してな、そのまま聖龍隊の格納庫までお持ち帰りして来ちゃったのよ」

「なに? その軽い気で持って来ちゃったって」

「い、一応は魔神なんですよ。この三体……」

 軽口調で語るバーンズの言動に若干呆れてしまう海と風。すると三体の機体について木之本桜が訊ねて来た。

「ね、ねぇ、お姉さん達。この機体って言うか、ロボットは……」

 初めて見た機体に動揺しながらも訊ねるさくらに、修司が代わりに答える。

「さくら、この機体はそれぞれ光 海 風の三人の魔法騎士のみが搭乗する事が出来る魔神なんだよ。赤い一角のある獅子の様なロボットが獅堂光の専用機で【炎神レイアース】青い龍のロボが龍咲海専用の【海神セレス】そして緑色で対の翼がある鳳凰の姿をしているのが鳳凰寺風の専用機【空神ウィンダム】。……たしかこの三機はそれぞれ特性が違うんだよなぁ」

 修司が語り終わると、海が続けて話した。

「ええ、この三機はそれぞれ違った特性が有るのよ。私専用のセレスは三機の中では機動力に優れていて、風が搭乗するウィンダムは防御を重視された機体。そして光のレイアースは三機の中で最も剣を使った技や剣戟が最大なの」

「要するに……レイアースは攻撃力、セレスは速さ、そしてウィンダムは防御に適した機体って事だな」

「は、はい、そうです」

 海の説明に後付けする修司に首を頷けて返事をする風。

「うわーー良いなーー。私もこんなロボットに乗って戦いたーーい」

 三機のロボットを見て羨ましがる月野うさぎ。そんな彼女を見て、半ば呆れ返ってしまう他のセーラー戦士達。

 するとその時、光がハッと何かを思い出したのか、咄嗟にバーンズに訊ねた。

「あ、そう言えば……ねぇバーンズ、さっきあなた、テスト飛行していたら魔神を見つけたって言っていたけど、どういう事?」

 光に続いて海と風もバーンズに問い質した。

「そう言えば異次元亜空間に……」「テスト飛行って……」

 すると疑問に思う海と風に修司が

「ああ、それはバーンズの機体に異次元亜空間で飛行できるエンジンとプログラムを搭載して、そのテスト飛行の際に魔神を見つけたんだよ」

「ほら、アレがそうだ」と指差しながら告げた。

 其処には銀一色の眩いほどの輝きを放つ、丸みを帯びた戦闘機が配置されていた。

「う、うわぁ……」「み、見事なまでに、銀色……」「…………」

 余りの美しいフォルム、そして見事なまでの銀色に輝く光沢に驚いてしまう光 海 風の三人。

「う、うわあ」「き、綺麗ですわ……」「あぁ…………」

 そして光たち同様、銀色の機体に見惚れてしまう結 春菜 愛の三人。

「へへ、どうだい? 俺の一族が造り出した超獣族の技術の結晶【シルバー・ウィング】は」

「え? ちょ、超獣族?」

 バーンズが自らの機体【シルバー・ウィング】を自慢げに言うと、同時に口にした超獣族と言うフレーズに結が反応した。

 するとその時「ああッ、それならワイが代わりに話させて貰いまっせ」とシルバー・ウィングの物陰から、銀色の光沢を放つ鳥のシルエットに形状が似ているアクセサリーの様なものが飛び出て来た。

「あ! 君は!」「チップバード!」

 飛び出て来たアクセサリーに光と結が声を上げて呼ぶ。するとアクセサリーは結達に光たちの、六人の女子達の所に飛行しながら駆け寄り、彼女達の前に着地した。

「よっと、久しぶりやなァ。光はんに海はん、風はん。それに結はんに春菜はん、愛はん等のコレクターズも元気そうで何よりや」

 アクセサリーが女子達に挨拶交じりの話をしている時、そのアクセサリーと初対面の犬養基継博士が不思議そうに呟いた。

「な、なんだ? この鉄の板状の喋る鳥は……?」

 するとアクセサリーが疑問視する犬養博士に答える。

「ああ、アンタとは初対面でしたなぁ。ワイの名はチップバード、メタルバードことバーンズ王子のパートナーでっせ。ワイもシルバー・ウィング同様、超獣族の技術の粋を結集させて創られたんや」

「ね、ねぇ。その超獣族って……」

 博士に続き愛が訊ねると、チップバードは淡々と釈明した。

「超獣族って言うのはさかい、あんさん等人間の文明より遥かに優れた高度な文明科学を持っていた、多種多様な特殊能力を持つ種族の事でっせ。ま、今は滅んでしまいましたが……」

 少し切ない感じで語るチップバードの釈明に耳を傾けていた結や光たち。その時、愛がチップバードの話に出た「王子」と言うフレーズに気付いて、すかさずチプバードに訊ねた。

「ね、ねぇ……チップバード。あなた、バーンズの事、王子って言っているけど……」

「そ、そう言えば……アプリちゃんの世界でも呼んでいたような……」

 愛に続き、光もチップバードの言動に気付くと、チップバートは平然と語り出した。

「云うも何も、王子は王子。バーンズ・ウィングダムズ・キングズは超獣族の王家の出身なんですさかい。王国が滅んでいなかったら王家継承者として今でも一族の上に立っておりましたやろ」

『!!』

 チップバードから告げられた事実に、驚愕する結や光たち。其処にバーンズが口を挿む様に云う。

「あ、ああ……チップバード、それは良いから……。あ、あんた達もあんまり気にしなくて良いぜ。王国はとっくに滅んでいるんだし、俺の事はそんなに気にしなくても良いぜ」

 だが六人の女子達と犬養博士は呆然と立ち尽くしてしまっていた。其処に修司が機体についての説明を再開した。

「ま、まぁ、シルバー・ウィングは異次元亜空間の特殊な空間も自在に航行できるようになっているからな。一定期間テスト飛行したし、特に問題は無いだろうな」

 修司に続き、バーンズが再び口を開いて語った。

「ああ、これで国連の御要望通り、異次元からの脅威に対抗できるしな。メンバーも無事揃った事だし、これでいつでも「いや、まだだ」

『?!』

 バーンズが話している最中に、話を割る様に呟く修司の言葉に周りの者達は全員一驚した。

「え、し、修司……?」「に、義兄さん。それは一体……」

 アッコにキッドが動揺しながらも訊ねると、修司は皆に言い放った。

「いや、まだメンバーとして加えたい輩が、後二人ほど居るんだよ」

「そ、そいつ等は、一体……?」

 衛が訊ねると、修司は険しい顔付きで毅然とした態度で言った。

「うむ、実はその二人何だが……今現在、逃亡しているみたいなんだよなぁ」

「と、逃亡!?」「逃亡って……な、何故……?」

 逃亡と聞いて驚くうさぎにせつなの二人に、修司は表情を変えずに皆に言った。

「うむ、ちょっとな……」「と、逃亡って……そ、それじゃ、どうするんだよ……?」

 困惑するバーンズが訊ねると、修司はウッズに右手の親指を寝かせながら手の甲を上向きにして差しながら訊ねる。

「おいウッズ、その二人の所在は突き止めているか?」

「はい、以前入手したデータから割り出せたのですが、どうやら体から特殊な電波が発せられている様でして、既にその電波をキャッチできています」

「よし、場所は?」

 修司が再び訊ねると、ウッズは手に持っていたPC画面を見ながら答えた。

「はい、北海道の森林地帯を時速60Kで走行中です。おそらくバイクか何かの乗り物に搭乗しているようです」

 するとこれを聞いたバーンズが調子良く

「良ッし、俺が行ってくるわ。新メンバー最後の二人がどんな奴等か早く見てみたいしな」

 バーンズに続き、さくらまでもが

「あ、バーンズさん。私も行きます」と名乗りを上げた。

 これに対し修司は二人に

「良し、二人とも宜しく頼む。なるべく相手を刺激しない様に上手く言い包めて連れて来てくれや」

 と言い、バーンズとさくらはバーンズ専用機のシルバー・ウィングに搭乗しようとする。

「さ、さくらちゃん、気を付けてね」

「うん、ありがとうりりかちゃん」

 搭乗しようとすると、さくらを心配して声を掛ける森谷りりか、さくらはそんな彼女に笑顔で礼を言った。

「バーンズ気を付けるのよ」「さくらちゃんに怪我させない様に」

「はいはい、分かっていますよ、ニヒッ」

 自分に声を掛けるレイと聖羅に対してバーンズは笑みを浮かべながら言葉を返した。

 そしてバーンズとさくらはシルバー・ウィングに搭乗すると、自動的に格納庫の巨大扉が開く。そしてエンジンが点火すると、シルバー・ウィングは開いた扉から猛スピードで駆け抜け、最後には山陰に密かに作った発出口から飛び出していった。

 

「だ、大丈夫かしら……」

「大丈夫だろう、バーンズは不死身だし、さくらは既に自分の身を護れるほど自身の魔力だって強くなっているんだし平気だろ」

 日常的ではあるが、毎度の如く心配し出すアッコに修司は平然と告げたのであった。

「そ、それにしても……本当に大丈夫かな?」

「ええ、逃亡してるって……」

 不安な胸中に駆られてしまう花丘イサミと如月ハニー。

「そ、それにしても……なんで逃亡なんかしちゃっているんだ? その二人って……」

 地場衛が口を開くと早見青児が続けて口を開く。

「そ、それにしたって逃亡中の二人を聖龍隊に勧誘するなんて、どういった了見なんだ?」

 そしてアッコが徐に修司に訊ねた。

「ね、ねぇ修司……その、勧誘したい二人って、一体どんな人? 男? それとも女の人?」

 すると修司は「ああ、男と女の二人組だよ。色々と問題は有るが、戦力としては申し分ない」と答える。

「へぇ、かなり強いのか?」

 衛が訊ねると修司は素っ気ない態度で答える。

「ああ、多少能力の制御が不安ではあるが、それを補う事が出来ればおそらく……このメンバーの中では最強かもしれねえな」

「さ、最強!?」

 修司の言った最強の言葉に驚愕する雪見ソウシ。

「ど、どんな人なのかしら……? その、最強の男って……」

 ソウシに続いて新メンバーの龍咲海が呟くように口にすると、修司が真剣な真顔で海に言い返した。

「海、その最強の能力者が……能力の制御ができない奴が男とは、俺は一言も言ってないぞ」

「え、そ、それじゃ……」

 動揺する海、そして修司はその場の皆に向かって険しい顔付きで言い放った。

「その能力(ちから)の制御ができない新メンバーは男と逃亡している…………若い女子だ」

 

 

 

[暗闇に包まれる森の中で]

 

 一方のバーンズと木之本桜は、すっかり日も暮れて辺りが真っ暗になっている夜空をシルバー・ウィングで飛行しながら北海道にまでやって来ていた。

 二人は暗闇の夜空を飛行しながら、機内のモニターで機体の真下からの眺めを見ていた。

 下方の町並みは所々半壊しており、北海道特有の港町もいくつか荒んでしまっていた。二人の真下に位置する森も、点々と火事や抗争により焼失している場所も在った。

「ひ……酷い……」

「ああ……これも、例の亜空間からの敵勢力による猛攻なのかね……」

 そしてしばらく飛行していると、レーダーに反応が有り、近くの公道が赤く点滅しているのがレーダー画面に映し出された。

「あ、バーンズ、これ」

「うん、どうも例の二人組はスグ近くの公道を走っているみたいだな――よし急ごう」

 バーンズは操縦桿を握り締め、レーダーが差す公道に向かって行った。

 

 その公道では。

 青年と少女の二人組がバイクに乗り、森の中の夜道を猛スピードで走っていた。

「…………」「…………」

 運転する男、男の後でしっかりと男の背中にしがみ付き同乗する少女。双方とも無言で、頭にヘルメットをしっかりと被って暗闇の中を突き進んでいた。

 すると唐突に、男の背後にしがみ付く少女が男に話しかける。

「……し……シュウちゃん、私……」しかし話し掛けられた男は無愛想な口調で「何も言うな、とにかく逃げるんだ……!」と少女に言い返す。

 しかし、その時であった。「…………う……っ」「……? ち、ちせ? どうした? 何処か痛むのか?」突如苦しみだす少女に青年は動揺する。

 そして青年は急遽バイクを止め、近くの森の中で少女を休ませた。

「はぁ……はぁ……」

 苦しそうに呼吸をする少女に対し青年は何もできず、只々悲痛な表情で困惑するばかり。

 

 と、その時である。「お前等か? 逃亡中の二人組は」「!」青年が後ろを振り返ると、其処には銀色の光沢を放つ、頭部が三角形状の異形の人物が一人、夜の森の中ジッと青年と少女を見詰めていた。

「お……! お前は……!?」

 初めて見る容姿に驚き衝撃を受ける青年は只ならぬ素振りで銀色の異形の人物に訊ねた。すると訊ねられた銀色の異形人は毅然とした態度で眼鏡を掛けた青年に答えた。

「オレの名はメタルバード。ちょっくら訳有って、お前さん達二人に同行して貰いたいんだが」

 すると青年は表情を一変させ、強い口調でメタルバードに言い放った。

「お、お前は軍の廻し者か! だ、誰がお前等なんかにちせを渡すモノか……ッ!」

 青年はメタルバードにそう告げると、休ませている少女を担いで自分達が乗って来たバイクに向かって走り出した。

「ふぅ…………やれやれ」

 走り去る少年の背中を見ながら溜息をつくメタルバード。

 

 そして青年は少女を担いで公道に出ると自分達が乗って来たバイクの元に辿り付いた。そしてスグに少女を自分の脇にそっと寝かせて、慌ててバイクに収納されていた機関銃を手に取った。

 その時「おいおい、そんな物騒なモン持ち出すんじゃねえよにいちゃん」青年と少女を追って森の中からメタルバードが落ち着いた様子で歩いて来た。

「く……ッ」

 青年は口元を歪ませると寝かせた少女を再び担いで一目散に森の中に駆け込んだ。

「まったく……手の掛かる新人だぜ」

 頭を掻きながら半ば呆れ返るメタルバード。

 そして森の中に再び駆け込んだ青年は腰に機関銃を装備し、少女を背負って暗闇の森の中を駆け抜けていく。

 すると目の前に、一人の少女が舞い降り着地した。「わッ! き、君は……!?」突然目の前に舞い降りた少女を見て青年は困惑していると、少女が青年に向かって恐る恐る訊ねた。

「あ、あの…………あなた達、ですか? に、逃げている二人って言うのは……?」

 すると訊ねられた青年は、少女の言動に気付いて訊き返す。

「ま、まさか……! き、君はメタルバードと名乗る怪人の仲間か?」

「は、はい! そうです、私達はあなた達二人を……」

 訊ねられた少女が話をしようとすると突然、青年が腰に装備していた機関銃の銃口を少女に向けた。

「え……!?」

 銃口を向けられ困惑してしまう少女に、銃を構える青年は言い放った。

「く、来るな……! 頼む、俺達の事は放って置いてくれ……!」

 そして青年は再び逃走しようと、銃口を少女に向けたまま走り出そうとしたが「待て」青年が振り向いた眼前に、あのメタルバードが立っていた。

「ッ!」

 愕然となる青年に、メタルバードは鋭い眼つきで睨みつけながら告げた。

「慌てるなにいさん、オレ達はお前等に何もしねえよ。ただ一緒に来て欲しいだけなんだ……訳は来てからゆっくりと話すからよ」

 しかし青年は顔色を変えず、メタルバードを睨みながら静かに背負っていた少女を地面に置き、そして立ち上がった次の瞬間。青年は構えていた機関銃から無数の弾丸を射出し、至近距離のメタルバードを撃った。

「め、メタルバード!」

 青年の前に現れた少女が悲鳴を上げると、激しい銃声と少女の悲鳴を聞いて意識が朦朧(もうろう)としていたもう一人の少女が目を覚まし体を起こした。そして青年の構える機関銃から無数の弾丸が放出され、それが全弾メタルバードに直撃しているのが目に入った。

「や、止めて! シュウちゃん止めて!」

 目が覚めた少女はマシンガンを連射している青年に抱き付き、慌てて青年を制止する。

「…………ッ」

 少女に抱き付かれ、青年がマシンガンの引き金から指を放す。そして至近距離で撃たれたメタルバードの周りには白い硝煙が舞い上がり、メタルバード本人の姿は隠れてしまっていた。

 青年と青年にしがみ付く少女、そして青年の前に舞い降りた少女が見詰めていると、次第に舞い上がっていた硝煙が晴れていき、メタルバードの姿が見えた。

「め、メタルバード!」

 心配し、メタルバードに駆け寄る少女。

「メタルバード、大丈夫?」

 少女が訊ねるとメタルバードは平然と答える。

「ああ、大丈夫だよ」

 と何事も無かったかのように立ち尽くしていたのであった。これには青年も驚き言葉を失くしていた。

 そしてメタルバードが再び青年と少女に歩み寄ろうとしたその時、青年が今度はメタルバードの足にしがみ付き、メタルバードの動きを封じたのであった。

「う、うわッ。な、何なんだよ、いきなり……」

 両足にしがみ付かれ、困惑してしまうメタルバード。

 そんなメタルバードにしがみ付いた状態で、青年は自分と一緒に行動していた少女に大声で叫んだ。

「に、逃げろちせ!」「し、シュウちゃん……!」

 少女が困惑し立ち往生していると、青年は続け様に叫んだ。

「逃げるんだ……! 捕まればまた、戦わせられる……ッ!」

 苦悶の表情で顔を歪ませて自分に告げる青年の言葉を聞いて、少女は悲痛な面持ちでその場から駆け出した。

「あ、待て! ……クソッ、このままじゃ……さ、さくら! お前何とかあの子を説得して確保してくれッ」

「え……は、はい」

 メタルバードに言われた少女は半ば動揺しながらも、言われた通りに森の奥に駆けて行った少女を追った。

「はぁ、はぁ……」「はぁ……ま、待って……!」

 森の奥に逃げ込む少女を懸命に追い続ける少女。

 そして逃げていた少女が走っていると「はぁはぁ……あっ」躓いて転んでしまい地面に倒れてしまった。

「はぁはぁ……よ、良かった、追い付いた……」

 少女が躓いてしまっていると、逃げ出した少女を追って来たもう一人の少女が息を切らしながらも追い付いた。

 転んだ少女は追い付いた少女の顔をジィッと見詰めた。見詰められた少女は転んでしまった相手の少女の顔を見つめ返した。するとその少女が本当に怯えており、何かに恐れているのを感じ取った。

 少女は若干困惑しながらもニッコリと微笑み、転んでしまった少女に歩み寄りながら優しく話し掛ける。

「だ……大丈夫です、私達は何もしません。ただ、あなた達二人を誘いに来ただけなんです」

「……さ、誘いに……?」

 怯えた目の少女が呟くと、目の前の少女は話した。

「は、はい。私達は、あなた達と一緒にチームを組んで一緒に頑張って行きたいと……そう思い立って、あなた達二人を探していたんです」

「…………」

 何も言わない少女に対し、淡々と語る少女は自分の名を目の前の少女に名乗った。

「な、名前、言っていませんでしたね。初めまして、私、木之本桜(きのもとさくら)と言います。安心してください」

「…………」

「さ、さぁ……一緒に行きましょう。たくさんお友達があなた達を待っているんです。大丈夫、みんな優しい人達ばかりです、さぁ」

 さくらが少女に手を差し伸べようとすると、突然少女が叫んだ。

「こ、来ないで!」「え?」

 拒絶され、困惑してしまうさくら。そしてさくらを拒んだ少女は震える唇でさくらに言った。

「こ……来ないで……私に近寄っちゃダメ……」

 完全に怯えた目と恐怖に満ちた表情の少女の言葉を聞いたさくらは、それでも少女に歩み寄り手を差し伸べた。

「大丈夫、怖がらなくても良いんですよ」

 さくらが少女に手を差し伸べた――――次の瞬間!

「だ、ダメ……! ぐ……ッ」

 突然、苦悶に満ちた表情に顔を一変させる少女。すると少女の右腕が機械化したのだった。

「えっ」

 突然機械の腕に変化する少女を見て愕然と成るさくら。そして機械に変化した少女の腕の先端が光り出した。

 そして先端から強烈な光が一気に放出されたのだった。

 

 一方、必死になってメタルバードの両足を押え込み身動きさせない様にしている青年と、青年にしがみ付かれ身動きの取れないメタルバードの二人は……――。

「くっ……お、おいにいちゃん、話だけでも聞いてくれや」

 両足を青年にしがみ付かれ身動きの取れないメタルバードは困惑しつつもしがみ付く青年に説得を試みたのだが

「う、うるさい……! お前の様な得体の知れない奴と話す気なんか無え……!」

「ふぅ……まぁ、それが正論だろうな」

 メタルバードの容姿を怪しみ話す気が無いと豪語する青年の言動に対し、メタルバード本人は複雑ながらも青年の発言に納得していた。

「……まぁ、仕方がねえか」

 するとその時、メタルバードの身体がグニャリと変形。

「! な、なんだコレは!?」

 メタルバードにしがみ付いていた青年は、突然身体が変形していくメタルバードに驚いてしまった。

 そんなメタルバードは自身の身体を変形させて、しがみ付く青年の両腕をすり抜けた。

 青年が呆然とする中、メタルバードは青年の眼前で自分の体を元に戻しつつ青年に告げた。

「どうだ? このオレを捕えようなんて無駄な事は止めるんだな。大人しく一緒に来て貰おうか」

「………………」

 身体を自在に変形できるメタルバードを見て愕然と成り言葉を失くしてしまう青年。

 と、その時であった。激しい衝撃音が辺りに響き渡り、同時に凄まじい風圧がメタルバードと青年の身体に直撃した。

「う、うわ! 何だ急に?」「くっ……!」

 直撃する強風に驚き、自身の顔を腕で護るメタルバードと青年。

 そして風が納まり、辺りが静けさに包まれると、二人はそっと自身の顔を防いでいた腕を下ろしてみた。

 するとその時「……あ、ちせ!」

 突然メタルバードの両足を押さえていた青年が立ち上がり、駆け出したのであった。

「あ、アンタ、おい……!」

 駆け出す青年を呼び止めようとするメタルバードであったが、青年は止まる様子を見せず仕方なくメタルバードも青年を追ったのであった。

 

 そして駆け出した青年が立ち止まると、メタルバードも青年に追いついて足を止めた。

 其処で二人が見た光景は……――――。

 

 腕が機械の様な形状に変化した少女の眼前が、一筋の焼け野原と化していたのであった。

「こ、これは……!」

 余りの出来事に愕然と成り、動揺を隠しきれないメタルバード。

 一方の少女は自分の仕出かした行為に衝撃を受け、ふっと意識を失ってしまった。

「あ、ちせ……うっ……」

 気絶してしまった少女を見て、青年が少女に駆け寄ろうとした瞬間、今度は青年が突然意識を失い倒れてしまった。

「あッ、あんた」

 突然倒れ込む青年に驚いてしまうメタルバードであったがその時、メタルバードの目に木之本桜の姿が入った。

「さ、さくら!」

 この時、さくらは咄嗟にカード「シールド(盾)」を発動させ、球体状の光の壁を発生させて少女が放った強烈な光線から自分の身を護ったのだ。

 メタルバードは「シールド(盾)」で自分の身を護ったさくらに駆け寄り、慌てて彼女に話しかけた。

「さ、さくら、無事か?」

「あ、メタルバード……うん、何とか」

 メタルバードが駆け寄ると、自然と「シールド(盾)」のカードが解け光の壁は消滅した。

 そして二人は気を失っている少女に目を向けた。

 少女の腕は機械の様な形状に変化しており、少女はそのまま目を閉じ意識が無かった。

「め……メタルバード……この子……」「ああ……この子は、いったい……?」

 突如、機械化した少女に驚き言葉を失くしてしまう二人。

 

 そしてメタルバードとさくら、二人は逃走中の男女二人組を確保し、急ぎアニメタウンの聖龍隊基地施設に直帰した。

 

 

 

[危険な最終兵器]

 

 それから二日後、あの後メタルバードとさくらによって運び込まれた青年と少女は聖龍隊の施設で確保されていた。

 しかし少女の方は未だに目を覚まさず、青年の方は目が覚めた途端暴れ出し何とか衛や青児そしてウエルズ等によって拘束されていた。

 

「は、放せッ、放しやがれッ!」

「お、落ち着け、クソッ……お、おい二人とも、しっかり押さえ付けろ」

「え、ええ……」「あ、暴れるなよオイ……」

 暴れる青年を必死で押さえるウエルズは、同じく青年を押さえ付ける衛と青児に言い付けながら青年を拘束しつつ施設内を移動していた。

 その様子を他の隊士達は通路横で見届けていた。

「な、なんだ……? あのにいちゃんは?」

 暴れまわる青年を見て、若干呆然としてしまう宇崎星夜(うざきせいや)に側に居た李・小狼(リ・シャオラン)が呟いた。

「どうも新しいメンバーらしいんだけど、なんか此処に来た時は極度の疲労で気を失っていて、しかも一緒に居た少女の方は未だに目が覚めないらしい」

「ふ~~ん……で、あの若い奴とその女子って、一体どんな能力を備えているんだ? 修司さんの事だから、かなり有力な能力者に目を付けているだろうけど」

 訊ねられた小狼は真顔で星夜に答えた。

「うん、それが、さくらから聞いたんだけど……どうも能力者の方は女の子の方みたいなんだよ」

「ふぅん、まぁ聖龍隊の大半が女性だしな……今更珍しくもないけど、どんな能力者なんだい?」

 再び訊かれた小狼は、気難しい表情に一変させて重苦しく話した。

「それが……さくらの話だと、女の子の方がいきなり身体の一部を機械に変化させたみたいなんだよ。しかもそれが暴発してさくらに直撃したみたいで……」

「え、さくらの奴が!? だ、大丈夫だったのか、さくらは……?」

「ああ、さくらは咄嗟にシールド(盾)のカードを発動させたから大事は無かったけど……その暴発で辺り一帯は焼け野原になったみたいで……」

「や、焼け野原って……!」

 小狼の話を聞いて仰天してしまう星夜。

 一方の少女はと言うと――――別室のベットの上で未だに目覚めず、眠りに就いていた。

「…………」「…………」

 眠りに就く少女の傍らには、少女を心配そうに見つめるナースエンジェルとセーラーマーキュリーの二人が立っていた。

「……この人、大丈夫かしら……」

 悲痛な面持ちで呟くナースエンジェルにマーキュリーも悲痛な面持ちで呟いた。

「大丈夫よ、きっと…………だけど……」

 眠りに就く少女を見護る様に見詰める二人は、少女の身体の至る所が機械と化しているのに、只ならぬ胸中を感じていた。

 

 

 その頃、修司はと云うと。

 とある基地施設にて、二人の男性とウッズ共々面談を行っていた。

「……と云う訳だ。これは国連からの通達でもあるんだ、承認するだろう? ……ムラセ、そしてワダさんよ」

 施設の一室、その部屋のテーブルで向かい合う様に座る修司は、挑発するように眼前の二人を睨みつけながら語った。

 二人の人物は半ば挙動不審な態度を取り修司の話した国際的なプロジェクトへの協力を拒んでいた。すると修司が咄嗟に腰に下げていた聖龍剣を手に取り、テーブルに足を上げると優柔不断な二人を見下ろしながら吐き捨てた。

「おい、いい加減にしろよ、おっさん……テメエ等、自分の仕出かした事を分かっているのか? アァァん?」

 思いっきし修司に眼(がん)を飛ばされ、若干尻込みしてしまう二人。すると一人の男性が修司に恐る恐る訊ねる。

「あ……あの……」「ん、なんだ? ムラセの学者さんよ」

 修司が訊くと、相手のムラセは訊き返した。

「あ、あの……本当に、あの子ちせをその……今回のプロジェクトに参加させる積りなんですか……?」

「ああ、その積りだが……それが何?」

 見下すような眼差しでムラセを睨みつける修司、すると今度はムラセの隣に座っているもう一人の男性が修司に言った。

「し、しかし……あの子の……ちせの能力は歯止めが効かない状態なんですよ。それなのに……」

 だが修司はその男性に対しても見下すような眼差しで睨みながら返した。

「……だから……だからこそ、俺の組織で完全に能力を使いこなせるようにしてやんのよ。……それとも、お前達の手で兵器にしたあの女の能力の制御をお前さん達は何とかできる訳なのかい? ワダのおっさんよ」

 只々おどおどするムラセとワダの二人に言う修司。しかし二人は中々決心を付けられず、修司は段々腹が立って来た。

 そして「……ッ!」「わ……ッ!」「ヒぃ……ッ」修司はテーブルに聖龍剣を突き刺し二人を威圧した。

 ムラセとワダの二人は一瞬で蒼褪めた。

 更に修司は一旦テーブルから降りると思いきや、突如ムラセの首根っこを掴み、顔をテーブルに押し付ける。

「ぐッ……!」「ム、ムラセさん……! な、何をするんです?」

 顔を押し付けられ表情を苦悶させるムラセを見て、動揺困惑するワダがすかさず修司に訊く。すると修司は訊いて来たワダを横目でジロリと睨みつけた。

 そして次に聖龍剣をテーブルに顔を押し付けられているムラセの耳元にかざして云った。

「おい、早く決めろ。俺はお前等の様な優柔不断な二人と時間を共にしているほど暇じゃねえんだ……アンタ等二人はさっさと最終兵器に付いてのデータを渡してくれれば、それで良いんだ」

 すると

「し、しかし……最終兵器は国家の最重要機密事項……それを渡すとなると……」

「……チッ」

 怯えながら躊躇いを見せるムラセに対し、修司は軽く舌打ちをすると、ムラセの耳元にかざしていた聖龍剣を少しずつ動かした。刃が当った所から少量の血が流れるとムラセは恐怖で身体が震えた。

 そして修司は、刀を耳元に突き付けているムラセとその隣で蒼褪めた表情で立ち尽くすワダに、悍ましい眼光で睨みながら言い放った。

「……さっさと決めろ。これは既に決まった事なんだよ……それとも? データを渡すのを躊躇ってこの俺に、データの代わりにテメエ等のドきたねェ耳をくれるのかい? そんな汚れた身体の一部など、俺は欲しくもないんだけどなぁ……」

 修司は更に刀を微動させ、ムラセの耳を斬り込む。

「!! …………」

 ムラセは修司に耳を斬られ、更に自分を睨み付ける修司の悍ましい眼光に完全に怯えきってしまった。

 

 そして「……わ、分かりました……! 言う通りにします……!!」

 涙目で怯えきった表情でムラセは、言われるがままに胸ポケットに仕舞っていたフロッピーディスクを取り出し、それを修司に手渡した。ディスクを手渡された修司は受け取ると、すぐさま自分の隣に居たウッズにディスクを手渡した。

 修司は次にワダの方に悍ましい目付きで睨みつけ、ワダに告げた。

「さぁ……次はアンタだぜ、ワダ」「ッ!」

 睨みつけられ尻込みするワダに、修司は聖龍剣の切っ先を向けながら一言告げた。

「……俺はな、ムラセ、そしてワダ……テメエ等の仕出かした大罪をどうこう言おうとはしない。だが、少しでも民間の少女を兵器に改造した事に罪悪感を感じているなら即急にデータを渡しやがれ」

 すると睨まれながら言われたワダは、震えながら修司に告げた。。

「し、しかし……! あ、あのミナモト長官に知られたら……私達はもちろん、貴方までも……!」

 怯えるワダの言葉に対し、修司は不敵な笑みを浮かべてワダに言い返した。

「なに……所詮あの男も只の人だ。国はもちろん、国連からの命令には逆らえん……。何より、もうあの男に味方する輩など、この世には居ない。既に多くの実権を握っている連中を丸めこんでいるからな……」

「「………………」」

 修司の言葉に只ならぬ威圧感を感じるワダとムラセ。

 そして修司は再度ワダに告げる。

「さ、早く渡してくれよ……お前自身が血で真っ赤になる前に……な」

「!」

 修司の言動に、ワダは修司が冗談交じりで言葉を吐いている訳ではないと悟り、慌てて白衣のポケットを弄り始めた。そしてポケットからディスクを取ると、すぐさまそれを修司に差し出した。

 修司はアイコンタクトでウッズにそのディスクを受け取らせると、刀を鞘に納めてそのまま部屋を出ろうとする。

 だが修司は部屋を出る直前、背中越しで背後のムラセとワダにこう言い残した。

「この世には……何万の命を一瞬で消し去る程の強大な力も在ろう。しかし、真の恐怖には到底勝てまい……フッ」

 怪しい笑みを浮かべた修司は、ムラセとワダに言い残すとウッズ共々部屋を出た。

 

 

 そして修司は聖龍隊の基地に戻ると仲間達に命じて一室に確保した青年と少女を連れて来させた。

 少女の方は、どうにか意識を取り戻し普通に歩けるようになっていた。

 一方の青年は多少苛立っていたものの、何とか修司の居る一室に素直に行ってくれた。

 ――そして一室の前で、青年と少女は再会した。

「…………」「…………」

 二人は部屋の真ん前で顔を見合せたまま立ち尽くし、そして部屋に入った。

 部屋には黒スーツ姿の修司が部屋のドアに対して背中を向け、振り返りながら入室して来た二人に顔を向ける。

「やぁ、気分はどうだい?」

 眉を吊り上げながら不敵に問い掛ける修司を見て、少女は悲愴な面持ちで黙り込み、青年は顔を険しくさせて修司に言った。

「オイッ、此処は何処だ? 俺達をどうする気だ……!」

 険しい顔で修司に訊ねる青年だが、修司は一歩二歩と二人の前に歩み寄り、強面の真顔で答えた。

「……此処は聖龍隊の基地だ」「せ、せいりゅう隊?」

 初めて聞くフレーズに戸惑う青年に、修司は続けて語る。

「そうだ。今現在、世界中を襲っている異次元の脅威から日本を護ろうと結成された組織だ。君も少しは耳にしているだろ? 米国のアベンジャーズやジャスティス・リーグ、その類だよ」

「だ、だが……日本にそんな組織が有るなんて……!」

「まぁ、まだ結成してからそんなに月日は経ってない上に、異次元からの脅威の為の組織とはまだ何処にも公表してないからな」

「……そ、それで……何故、その聖龍隊が俺達を……」

 困惑してしまう青年に、修司は平然と答える。

「簡単だ……其処に居る少女、ちせも聖龍隊のメンバーに加えたいからだ」

「!」「……え……!?」

 修司の発言に驚愕し顔色を一変させる青年、そして動揺する少女。青年は修司にすかさず反論した。

「お、おいテメエ……! ちせを……ちせにまた戦えって言うのかよ!」

「……」しかし修司は表情を変えずに沈黙を守っていた。

 そして青年は、心痛な面持ちで更に言う。

「またちせに……彼女に人を殺させるのかよッ!」

 そして少女も複雑な心境で、悲痛な面持ちで修司に言った。

「また私に……人を殺せと……」

 そんな二人に、修司はすかさず反論した。

「その逆だ」

 二人が修司の発言に反応し修司の顔を見詰めた、すると修司は二人に告げた。

「人を護るのだよ」

 

 

 

[集いし一同、そして世界の現状]

 

 その後すぐ、修司は青年と少女を引き連れて施設の一角に位置している広いエリアルームにやって来た。

 広い部屋を見渡すと、真ん中に大勢の人間が座れる会議用のテーブルと人数分の椅子が用意されており、その周りには、立っていたり壁に寄り掛かっている聖龍隊のメンバーが居た。

「よっ、お二人さん。気分はどうだい?」

 フロアにやって来た二人にバーンズが駆け寄り声を掛ける。

「あ、あんたは、あの時の……!?」

 動揺する青年にバーンズは笑顔で答えた。

「ああ、俺がメタルバードことバーンズだ、宜しくな」

 するとバーンズに続いて、初会の晩にバーンズと共に顔を見合わせた木之本桜が二人に駆け寄り話し掛ける。

「あ、あの……」「き、君はあの時の!」「! ……」

 話し掛けて来たさくらの顔を見て驚く青年と少女。すると少女が動揺しながら、さくらに訊く。

「あ、あなた……あの夜の…………だ、大丈夫なの……?」

「ん? 大丈夫って……?」

「だ、だって……私の放った、その…………強力な光線を浴びたけど、何も無かったの?」

 すると訊ねられたさくらは笑顔で平然と答えた。

「え……ああ、それなら大丈夫です。咄嗟にカードで自分の身を護ったので何処も怪我してません。安心してください」

「…………」

 笑顔で自分に答えてくれるさくらの言動に、少女は呆気に取られてしまう。

 そして修司はその場に全員揃っている事を確認すると、仲間達に二人を紹介した。

「よし、全員居るな……諸君、この二人が最後のメンバーだ。シュウジとちせ、憶えて置きたまえ」

「え?」「!?」

 修司の紹介を聞いた途端、その場の皆の顔付きが一変した。

 その場の者達が自分達の名前を聞いた途端に顔を変えるのを見たシュウジとちせは、落ち着いた様子を見せながらも動揺した。

 そんな時、その場に居た隊士の一人、月野うさぎが笑顔で質問をした。

「はいはーーい、ちょっとしつもーーん」

「なんだ、うさぎ」

 修司が訊くと、うさぎはシュウジとちせに対して質問を投げた。

「うん、二人はどんな能力を使えるのかなーーって」

 笑顔で訊いてくるうさぎに対して、シュウジとちせは暗い表情を浮かべた。そんな二人の表情を見て只ならぬ事情が有ると悟る面々。だが二人の横に立っていた修司は平然とうさぎの問いに答えた。

「ああ、それはな、うさぎ……このちせが戦力になる能力者なんだが…………サイボーグ何だよ」

 親指でちせを指しながら告げる修司の言動に皆が驚く。

「え?」「さ、サイボーグ……?」

 亜美とレイが驚き呟くと、修司は真顔の無表情で告げた。

「……ま、色々と事情の在る二人と云う事だ。特に少女の方はな」

 修司の様子に異様な空気を察する皆は、黙り込んでしまった。

 そして修司は次に、その場に居たウッズに指示を出した。

「ウッズ、そろそろ映像の準備をしてくれ。皆に見せておかなければ」

「はい、承知しました」指示を受けたウッズは準備に取り掛かった。

 そして修司が席に着こうとしたその時「あ、あの……!」「ん?」突然ちせが修司に話し掛けて来た。

 ちせは悲痛ながらも険しい面持ちで修司に言った。

「あ、あの…………私は此処に居る人達と、一緒に戦うんですよ、ね……」

 何処か不安交じりな口調で訊ねて来るちせに対し、修司は平然と「ああ、そうだが」と答える。

 するとちせは修司に薄暗い表情で言った。

「……知っていますよね、私の事」「……まあな」

 沈鬱な表情で訊ねるちせに、修司は平然とした態度で答える。

 更に少女ちせは修司に問い掛ける。

「……私と一緒に居る事がどんな事か……解っているんですか?」

「…………」

「……私は能力(ちから)の制御が出来ない。だから周りの人達を無意味に傷付けてしまう……それなのに……」

「……それが何?」「え……?」

 しかし、ちせに指摘を受けた修司は平然と調子良く言い返し、更に続けて語った。

「どんな能力で有ろうとそれを使う人間の意志一つで、悪魔だろうが死神だろうが何にでも成れちまうもんだよ」

「…………」

「それに、俺はお前の過去とか能力の危険性とかどうでも良いんだよ。ちゃんとこの聖龍隊で、隊の一員として皆と協力して戦ってくれれば、それで良い」

「…………」

 修司の語りに衝撃を受け言葉を失くしてしまうちせ。

 そして修司は最後に、ちせの隣に立っているシュウジの方を見て告げた。

「それに……俺にとっては、ちせの能力の危うさよりも一緒に居る男の方が問題なんだよな」

「へ……?」「ッ!?」

 修司の言葉に困惑するちせとシュウジ。そして修司は頭を掻きながら呟いた。

「面倒なんだよなぁ、俺と同じとは……」

 困惑し、戸惑うちせとシュウジ。そして修司は薄らと笑みを向けて吐き捨てた。

「……俺も、修司(シュウジ)だからな」「「!?」」

 修司の告白に、若干驚いてしまうちせと同姓同名のシュウジ。

 

 

 そして修司を始め、シュウジとちせも聖龍隊に雑じってテーブルの周りに置かれている椅子に着席した。そして修司はウッズに命じた。

「ウッズ、流してくれ」「はい」

 修司に言われ、ウッズは装置を可動させた。

 すると照明は落ち、部屋が暗くなると同時に巨大なスクリーンが降りて来た。

 更にウッズは機械のボタンを押して、今度は自身の操作している機械のレンズから映像を流し始めスクリーンにそれが投影された。

 皆がスクリーンに映し出される映像に見入ると、皆が皆それぞれ顔色を変えて映し出される光景に驚愕する。

「そ、そんな……ッ!」「これって……!」

 写される映像を見て愕然と成る木野まことと鳳凰寺風。聖龍隊の見ていた映像とは。

 

「た、助けてくれーーッ!」「キャアーーッ」

 ビルの並ぶ都市区内で無数の怪物達が市民を手当たり次第に襲っている光景。

「い、嫌だ、頼むッ、誰か助けてくれ……ってギャアアァァ!」

 荒れ果てた戦場で、まるでドラゴンの様なダンプカー程の大きさの怪物に襲われ喰い殺される兵士の姿。

「うわーーーーッ」「いやあぁぁーー……」

 破壊された町や都市で逃げ惑う人々、そして戦場で怪物に襲われ無残にも喰われて行く兵士達。そんな人々が阿鼻叫喚を上げる惨状に、息を呑み蒼然と成る一同。

 と、その時。バーンズがスクリーンに映し出される映像を指差して叫んだ。

「お、おい! あの怪人、確か……!」

 指差した映像には多種多様な怪人の群衆が、まるで軍隊の如く行進している様が映し出されていたのだが、映し出されている怪人達を見てバーンズに続いて他の皆も愕然とし思わず立ち上がってしまった。

「う、ウソだろ……!?」「な、なんで連中が……!?」

 映像を見て表情を固める衛と青児。そして彼等に続いて如月ハニーと海王みちるが叫んだ。

「な、なんで彼等が居るの?」「彼等は倒した筈なのに……!」

 更にジュニとアプリが映像を見ながら眼を丸くして驚く。

「な、なんで……なんで、アックスの姿があそこに?」

「あ、あれはメデューサ!? なんで彼女が? 聖龍使いに倒されてしまった筈なのに……!」

 映像に映し出されている怪人の群衆は、なんと以前に聖龍隊の面々で倒した筈の怪人や妖魔ばかりであったのだ。

 皆が映像に食い入る様に見入っていると、修司が映像について無表情の真顔で説明し出した。

「諸君、これが現在世界中で頻発している異次元からの敵勢力の横行だ。世界各地はもちろん、映像は無いが他の異世界にも出没している模様だ」

 修司の説明の後、アッコが恐る恐る修司に訊ねる。

「い、今、映像に映っていた怪物と私達は戦うのよね……」

 動揺しながら訊ねてくるアッコに、修司は表情を変えずに平然と言った。

「ああ、そうだ」

 すると今度は天王はるかが修司に告げた。

「ねぇ、修司」「……なんだ? はるか」

 はるかに対しても顔色を変えずに訊き返す修司に、はるかも真顔で訊いた。

「君は以前から、この聖龍隊を異次元からの脅威に備える為に結成していたのかい?」

「……ああ、その通りだ」「何故黙っていた……?」

 真剣な面持ちで問う天王はるかに対しても尚、修司は表情を変えずに平然と答えた。

「…………トップ・シークレットだったからだ」

「フッ、そうかい」修司の答えを聞いて、はるかは鼻で笑ってやった。

 そして次に如月ハニーが修司に質問を投げた。

「このメンバーだけで戦う訳だけど……それにしても、あの魔獣や怪人の軍勢に対してどう対処しようと思っている訳?」

 修司は答えた。

「それをこれから考える、いや……これから俺等の戦力をどう組み合わせて行けば最小限の被害だけで事態が治まるかを検討していくんだよ」

「だけど、敵が現れなかったら対処の仕様が無いんじゃ……」

 思わず発言する月見ソウシの一言に対し、修司は「それは多分、大丈夫だろう」と口にした。

 そして修司はウッズに指示を与えた。

「ウッズ……例の映像集を」「はい」

 そしてウッズは再び装置を操作し、スクリーンに映像を投影させた。

 その映像には……――――。

「……こ……これは!?」映像を見た冥王せつなが声を上げる。

 映像には多数の魔獣や怪人の軍勢に指示を促していると思われる黒いローブ姿が映っていたのだ。

「こ、コイツは……!」

「あ、あいつが魔獣の軍団を指揮していたのかよッ」

 黒ローブを見た途端、表情を一変させて声を上げるデューイと宇崎星夜。

「え? み、皆さん……この黒いローブの人を知っているのですか?」

 皆の反応に戸惑いながら訊ねる風に葉月聖羅が告げる。

「知ってるも何も……! こいつは以前から私達の前に姿を現しては幾度となく戦いを仕掛けてきた奴なのよッ!」

「え!?」

 龍咲海が聖羅の言葉に驚いていると、聖羅に続いて篠崎愛が口を開いた。

「それに……こいつは現実世界だけじゃなく、ネットの世界そうコムネットにも出現しては色々と暴れ回っているわ……現実世界に出没している魔獣に似た怪物も同時に出現させてね」

 皆が映像に出てきた黒ローブに顔を険しくさせて見入っていると、バーンズが修司に訊ねた。

「コイツが……異世界からの敵勢力……その黒幕なのか?」

「……そうかもしれない。しかし情報が少なすぎる為、まだ根拠は無いが重要人物には違いないだろう」

 真顔でバーンズに答える修司の顔からは、今までの様な茶目っ気のある陽気な素振りを見せていた修司の面影が消えている事に、アッコは薄々感じていた。

 

 その時だ。

「……な、なぁ。さっきからアンタ等このガキに訊いているみたいだけど、此処は司令官とか長官とかのリーダー格の人物に質問を投げかけるのが妥当なんじゃないのか?」

 と、シュウジが手を挙げて皆に言った。そしてシュウジの発言を聞いた皆は不意を衝かれた様にポカンとしてしまった。

「な……なんだよ、おい……」皆の反応に困惑するシュウジ。

 するとそんなシュウジに早見青児が告げた。

「おい、新入り。お前がガキって言っている奴が、此処の司令塔なんだけど」

「え…………え、ええぇ!?」

 青児に告げられたシュウジは仰天してしまった。まだ小学生である修司が司令官であると知って目を丸くした。

「お、お前が……此処の司令官??」

 訊かれた修司は酷く動揺しているシュウジに平然と

「ああ、そうだ。自己紹介がまだだったな……俺が聖龍隊の総長を務める小田原修司だ。宜しくな、同名」

「ど、同名?」

「ああそうだ。言っちゃなんだが、俺とお前の名前が一致しているなんてややこしいからな」

 困惑するシュウジに同名呼ばわりする修司の一言に、シュウジは更に困惑してしまう。すると今度はバーンズが名乗って来た。

「はは、まぁ最初は困惑しちまうだろうが頑張んなよシュウジのにいさん……ああ、本当にややこしいな。因みに俺が副長を務めているバーンズだ、宜しく」

「あ……」

 衝撃の事実の数々に困惑し言葉を失くしてしまうシュウジ。

 

 そしてシュウジとちせを新しく加えた状態のメンバーで、修司は皆を引き連れて施設内を移動した。

 

 

 

[さあ、始めよう]

 

 施設内を歩いている道中、皆は新メンバーであるシュウジとちせに対して気軽に話し掛けていた。

「しっかしなぁ~~……最初名前を聞いた時は軽く動揺しちまったぜ」

「同感。まさか修司と同じ名前とは……」

「は、はぁ……(な、なんだよ。最初に俺とちせの名前を聞いて一変したのは、俺の名前に対してだったのかよ……)」

 早見青児と地場衛に話し掛けながら内心唖然としてしまうシュウジ。

「あ、あの……ち、ちせさん。お身体の方は、もう大丈夫ですか……?」

「え……は、はい……もう、平気です……」

 心痛な面持ちでちせに話し掛ける森谷りりかに対して、ちせは戸惑いながらも答えた。

 この時、バーンズとジュニアは小さい声で周りに悟られない様に密談していた。

「……ジュニア、どう思う?」

「そうだね、あの女の子……ちせって少女の能力については父さんからも少しばかり話は聞いている。……まさか自衛隊が一人の少女を勝利の為だけにサイボーグにしていたなんて……」

「この事はまだみんなに言ってないが何れ伝えなきゃいけない事だ。何より、ちせの経緯よりも彼女の能力が一番の課題だ……未だに制御できずに敵味方の多くを死なせてしまっているみたいだからな……」

「…………」

「……まぁ、一番辛いのは彼女本人なんだし、少しずつ周りのみんなと理解し合って行ければ良いんだが……」

「そんな簡単に行くのかい? 今までの僕等とは偉い違い何だよ。彼女だって心苦しいのに、周りと上手く馴染んでくれるのかな……?」

「ま、今は考えたって始まらねえ。まずは新メンバーであるコレクターズに魔法騎士(マジックナイト)、そしてちせと上手く連携が取れるかどうかを確認しねえとな……まぁ、チームプレイが上手くいかなきゃ、さっき見た軍勢に対抗する事は出来ねえだろうけどよ」

「…………」

 バーンズとジュニアは複雑な心境で語り合っていたが、バーンズの方は先に新しい面々とのチームプレイの向上、その為にはちせを含んだ新メンバーと今までの面々が上手く協和してくれる事を模索していた。

 

 

 そして一行は大掛かりな機械やコンピューターが立ち並ぶフロアに連れられて来た。

「うわあ……」「こ、これは……」

 何処か近未来的な造りになっているフロアに皆が驚いていると、そのフロアに居た犬養基継博士がやって来た面々に歩み寄り話しかけて来た。

「おおっ、みんな。来てくれたのかい?」

「い、犬養博士」「こ、此処は一体……?」

 フロアを見て驚いてしまっている結と春菜が博士に訊ねると、博士は神妙な面持ちで皆に告げ、そして淡々と説明を始めた。

「うむ、此処は聖龍隊の隊士達を全面的にバックアップする為のシステムを配備したサポートフロアだ。ウッズ氏から言われて驚いたが、既に敵勢力に備えてアニメタウンの各所にカメラを備え付けていて、そのカメラからの映像で戦況を確認しつつ、町の周りまでも捉える事が出来る最新鋭のレーダーで敵の動きまでも詳細に把握する事が可能なのだよ。いやあ、此処までの設備が既に備わっているとは思わなんだ」

 犬養博士の説明を淡々と聞いた一同、そしてバーンズが徐に修司に訊ねる。

「お、おい修司。お前いつの間にこんな設備を用意していたんだ?」

 すると修司は平然と答えた。

「前々からだ。俺達が町で色々と活動している最中にも此処の設備はもちろん、俺たち聖龍隊が使う地下施設の拡張そして郊外の施設などを内密に増設していたんだよ」

 するとその時、犬養博士が

「それだけでは無いんだ。とても信じられんが、既にこのアニメタウンの周りには多数の防衛用の兵器やシステムが配置されているみたいなんだよ」

 と俄かには信じられない発言を述べて、これを聞いた修司とウッズ以外の面々は驚愕した。 

 

 更に修司はサポートフロアの扉から皆を誘導しつつ、通路の奥まで向かって行った。

 だが通路の奥は行き止まりで扉も無ければ窓もない構造になっていた。

「し、修司? 此処は……?」

 アッコが訊ねると修司は徐に、側面の壁に隠されていた赤いスイッチを押した。

 すると突然、周りに機械音が鳴り響き皆は動揺し出した。そして目の前の壁が上に開平していき、明かりが差し込んだ。

 そして修司を先頭に皆が開いた壁から潜り抜けると、其処は赤茶色の大地が広がる小高い山の上で在った。

 修司は平然と目の前の崖、その先端まで歩み其処から遠方のアニメタウンを眺め始めた。

 アニメタウンを眺めながら修司は皆に背を向けたまま述べ出した。

「……この街は良い。人々が活気に満ち、そして喜怒哀楽に溢れている」

『…………』

 修司の背中から、静かながらも只ならぬ威圧を感じる一同。その時、修司は唐突に皆に訊ねた。

「……お前達、強大な勢力に対抗するにはどうしたら良いと思う?」

 訊ねられた一同は面を喰らった様に驚き、何も言えずにいた。すると修司は後に少しばかり顔を振り向かせ、鋭い眼光を向けて聖龍隊の面々に対して各々問うた。

 

「セーラームーン……お前達が持つ星の魔力と奇跡の力でどうにかなると思うか?」

『…………』

 だがセーラームーンこと月野うさぎを始めとしたセーラー戦士達は何も言う事が出来なかった。更に

 

「キューティーハニー、お前とお前の妹である聖羅の父、如月猛(きさらぎたけし)博士が遺した空中元素固定装置(くうちゅうげんそこていそうち)で全ての敵を排除し切れると思うか?」

「「…………」」

 これに対してもハニー姉妹は何も言えずに、ただ沈黙を守っていた。

 

「さくら。お前の所持している多種多様なさくらカードを使えば、全ての人達を護りきれると思うか? そしてりりか、お前のナースエンジェルとしての使命は全ての人命を救えると信じているか?」

「「…………」」

 修司の問いに、さくらは心痛な表情を浮かべ、森谷りりかは自分の課せられた使命の大きさに再び感じ入り真剣な顔付きになっていた。

 

「しんせん組、お前等の先祖がお前達に託したルミノタイトを使用した武器。お前達はそれを使い、自分はもちろん周りの力無き者等の代わりに、剣と成り盾となって、迫りくる数多くの怪物共からこの町を護りきれると自信が持てるか?」

「「「…………」」」

 しんせん組である花丘イサミ、月影トシ、そして雪見ソウシの三人は、修司の話を聞いて事の重大さを痛感していた。

 

「コレクターズ……これから君等が進む道のりは、電脳世界とは全く違う修羅(しゅら)の道だろう。しかし、誰かが戦わなければ……多くの力を結集して挑まねばどうにもできない事がある。今がその時なんだ」

「「「…………」」」

 電脳世界とは全く違う現実の世界で多くの命を護る為の戦いに身を投じなければ誰も生きていけなくなる現状を、春日結、如月春菜、そして篠崎愛の三人は己が胸にしっかりと刻み込んだ。

 

「魔法騎士(マジックナイト)……これは俺達の世界だけの問題では無い。先ほども述べたが、既に敵勢力は他の異世界にまで出没しているのが現状だ。故に、お前達の身内や親しい友だけでなく、異世界セフィーロの民達までもが危険な事態に陥るだろう」

「「「…………」」」

 この戦いは自分達だけの世界の問題では無い。セフィーロで親しくなった多くの人々の幸せにも影響を及ぼす戦いである事を悟り、獅堂光、龍咲海、そして鳳凰寺風の三人は意を決したような力強い面持ちに表情を一変した。

 

「アプリコット……この世界に来てまだ間もないだろうが、所詮俺達がこの戦いに勝利し敵勢力に打ち勝たなければ、何れ奴等は他の異世界にも必ず進行する。もちろん、お前の故郷のフォンテーランドも例外ではない」

 異世界から来たアプリコットは、修司の話の深刻さに深く共感していた。

 

「バーンズ、ジュニア……俺が余り人を信じないのは既に知っているだろ? 故に、一番信頼の在るお前ら二人に俺の側近である副長と参謀の役目を与えている。俺もなるべくお前達の信頼には応える、故にお前達も役目柄の素晴らしい働きを期待しているぞ」

「……ああ」「うん、分かってる」

 修司の言葉に、静かに返事をするバーンズとジュニア。

 

「ちせ……お前の能力が暴走した際の不祥事には、この俺は微塵の興味もない。ただ何時までも過去を振り返るな、前を向いて生きろ。こいつ等もそうだが、それが本当の強さと云うものだ」

 修司の言葉を聞き、ちせは可愛らしい顔から目付きを険しくさせて意を決する表情を浮かべた。

 

 そして最後に……修司はアッコを睨みつけながら彼女に告げた。

「そして……アッコ」「は、はい……!」

 いつもとは全く違う雰囲気を醸し出す修司に戸惑い怯んでしまうアッコが返事をすると、修司は彼女に述べた。

「アッコ……お前はその気になれば、どんな能力者だろうと幻獣だろうと……はたまた無機物にも変化できる、まさに他者変身(たしゃへんしん)のエキスパートだ、それは認め成らざる事実だ。しかし……お前は本当に自分が成るべき存在に成れているのか? 今回は日常的な御遊び半分の変身でも無く、そしてミラーガールの様な今までの英雄活動とは比べ物に為らないほどの苦戦を強いられることだろう。それでも戦う気なのか?」

 修司の問いにアッコはしばし考えると、彼女は意を決して答えた。

「……う、うん。正直言って私怖いけど…………私、修司とみんなで協力していけば、いえ、助け合っていけば必ず弱い人達を護って行けると信じている! いえ信じたい!」

 アッコの力強い発言を聞いて、周りの聖龍隊の者達は自然と勇気づけられた。

 

 

 とアッコが力強い発言をしている最中、ウッズが修司の足元に濃い緑色の箱の様な物を運んで来た。

 そして修司は皆に正面を向け、こう述べた。

「まあな、だが……結局のところ、それは単なる綺麗事だ。理想だけでは人は護れんし、救う事すらできない。良いか、強大な力から弱き者を護る為にするべき事、成すべき事は結局は一つだけだ」

 この時、修司は誰にも気付かれない様に、スーツのポケットの中に忍ばせたスイッチに手を触れ、そしてボタンを押した。

 するとアニメタウンの沿岸線の砂浜が突如せり上がり、何かの発出口が鈍い光を放ちながら顔を覗かせた。

 と、その時。発出口から何とミサイルが一発発射され、それが修司達の居る崖上に迫って来た。

「う、うわあッ!!」

 自分達目掛けて飛んでくるミサイルに驚愕し、思わず尻込みする面々。

 だがその時、修司はウッズが置いた緑の箱を軽く蹴ると、それが展開図の如く開き中からバズーカ砲が現れたのだ。バズーカ砲を見た聖龍隊の面々はド肝を抜かれ、一方の修司はバズーカ砲を担ぐとすぐさま引き金を引いてバズーカから小型のロケットを放出した。そして放出されたロケットは修司達に目掛けて飛んでくるミサイルに直撃し、どちらとも空中で爆発した。

『………………』

 突然自分達に向かって来たミサイル、そしてそれを平然とバズーカで爆破した修司の行動に唖然としてしまう面々。

 

 

 

 修司は単発式のバズーカを足元に投げ捨てると、皆に不敵で挑発的な笑みを見せつけながら吐き捨てた。

「答えは簡単……破壊される前に破壊する。それだけだ」

 そして最後に修司は腕を背中で組んで、毅然とした態度で見皆に言い放った。

 

「同胞達よ……始めようか」

 

 こうして、聖龍隊の世界の命運を賭けた戦いが今、始まる。

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