※前もって言って置きます。それぞれのキャラのやり取りが酷いです。読む際はどうか御配慮の程を。
[切羽詰まる状況]
キューティーハニーとミスティーハニーの如月ハニーと葉月聖羅の姉妹、そして早見青児は同じ部屋で修司の報道機関に対する公言そしてやり取りに愕然とし、険しい顔付きでテレビを見詰めていた。
そして修司の報道が済むとすかさず青児がリモコンでテレビの電源を切断し、画面は暗くなった。
「…………はぁ」
思わず溜息をついてしまう青児に、恋人のハニーと妹の聖羅が声をかける。
「青児さん……」「顔色、優れないわよ……」
すると青児は冴えない顔で
「どうもこうもない……毎度の事とは云え、修司の公での言動には目に余るものがあるぜ……」
と呟き返した。
「たく、修司は一体、聖龍隊をどうしたいんだ? 人から慕われるのか、恐れられるのか……訳が分からないぜ」
憂悶な表情を浮かべて吐き捨てる様に言う青児の言葉に、ハニーは優しく告げた。
「青児さん、今は少し様子を見ましょう。修司君には修司君なりの考えがある筈よ」
「う、うん……」
ハニーに告げられ青児は小さく返事した。ハニーに続き聖羅も青児に告げる。
「そうよ。今はまず、新しいメンバーとも連携が取れる様に励まないと……」
聖羅の言葉に、青児は小さく頷いて返事をした。
「そ……そうだな。今は少しでも早く、新しい面々とチームプレイできるようにしないとな」
青児は神妙な真顔で己が思いを口に出した。
「今の俺達は、既に後戻りができない所まで来てしまっている……。一刻も早く連携を取りながら戦えるようにならないと本当にこの世界が滅茶苦茶になっちまう……!」
青児の切羽詰まった発言に、ハニーも聖羅も険しい顔付きで聞き入れた。
そして訓練場では――――。
「はあァッ!」「グッ……!」
キューティーハニーと花丘イサミが剣で組み合いをしていた。
「えいッ!」「なんのッ」
ミスティーハニーとデューイも火花を散らしながら剣を交える。
「……ふぅ、相変わらず凄まじいな、あの二人」
「まぁね……」「デューイの奴も頑張ってるじゃないか」
少し離れた所でそれぞれの組み合いを眺める青児に高木はるか、そして宇崎星夜の三人。
「ハニー達も色々と苦悩しているからな……折角豹の爪(パンサークロー)を壊滅できたと心のモヤモヤが消えていたのに、今度は異次元からやって来る怪物共の相手だなんてよ……」
遠目でハニー達を見詰めながら愚痴を吐く様に言う青児、だがそんな彼に高木はるかが声をかける。
「でも青児くん。辛いかもしれないけど、今報道されている現状や修司君の話によれば、何もしないままだと本当に世界中の人が怪物達に殺されちゃうかもしれないのよ。今はそれを阻止する為にも頑張らないと」
「あ、ああ……」
はるかの発言に顔を渋くさせて呟くように返事をする青児。するとはるかに続き星夜も青児に言った。
「まぁ、今回も何とかなるんじゃないっスか? 今までのメンバーに加え、新しい面々も居ますし、何より困ったらミラー・ガールの能力を増幅させる力でどうにかなるかもしれないんだし」
「そ、そんな他力本願な……」
星夜の発言に唖然としてしまう高木はるかであった。
と、その時「きゃあっ」「ワッ、なんだなんだ?」突然辺りに轟音が響き、驚いたはるかに星夜が声を上げる。
そして皆が目を向けると、其処には壁に巨大な穴を開けてしまった、腕を機械化しているちせが蒼褪めた表情で立ち尽くしていた。
すると壁の穴から黒焦げのメタルバードが這い出て来て、ちせに何かを言うメタルバード。
更に其処へ修司も歩み寄ってしばし会話を三人とした。
すると突然、修司は聖龍使いになってちせと一戦やろうとするが相手のちせは困惑してしまっていた。
そんな情景を見ていたハニー達は愕然と立ち尽くしてしまっていた。
「あ……アレ……」「う……うん……」
キューティーハニーとミスティーハニーは蒼然となり
「あ、アレがあの子の……能力なの、か……」
早見青児は立ち尽くしてしまっていた。
[セーラー戦士達の意見]
そしてそれから、早見青児は聖龍隊から供給された戦闘服等の装備を点検していた。
すると其処にキューティーハニーとミスティーハニーがやって来た。
「あ、青児さん」「お、ハニー、聖羅。訓練ご苦労さん」
やって来たハニー達に気軽に声をかける青児。そして二人はそのまま青児の傍らに座り込んだ。
「どうだ調子は?」「まあまあね」
青児に訊かれミスティーハニーは小さく返事した。
その時、今度はミスティーハニーが青児に訊ねた。
「ねぇ、青児さん」「ん? なんだ?」
青児は愛用の拳銃を磨きながら返事をした。
「私達が所属する別働隊はどうなの? 聖龍隊では余り強力な能力を持ってない人達が中心に集まっているけど……」
再度ミスティーハニーが訊ねると、青児は神妙な素振りで答えた。
「ああ、どうも俺等別働隊は、主に主力メンバーのサポート及び敵の排除が任務らしい。ま、確かにメンバーのほとんどが非力な輩だしな。各言う俺もそうだが」
口元を不敵に笑わせて言う青児に、今度はキューティーハニーが訊ねて来た。
「……そう言えば、青児さん」「ん? なんだハニー」
「……新しく加わった人達を、青児さんはどう思う?」
「どう思うって?」
「う、うん、実はね……さっきセーラー戦士のみんなと話していたんだけど、彼女達、特にウラヌスやネプチューンは新人の女の子達そうコレクターズの三人やあのちせって子の事は余り良く思って無くて……」
「お、思って無いって……?」
青児が訊き返すとハニーは不安交じりの表情で語った。
「うん、コレクターズの結ちゃん、春菜ちゃん、そして愛ちゃん達の三人は現実での戦闘経験が無い全くの素人だって気に入らないみたいだし……」
ハニーに続きミスティーハニーも悲痛な面持ちで話した。
「それに、あのちせって女の子は自分の能力を制御できないでいるから危険だって言うのよ。確かに、あの威力じゃそう思っても仕方ないかもしれないけど」
溜息交じりで話すミスティーハニーの釈明に、青児も心痛な想いで語った。
「……そう言えば。新メンバーのシュウジだが……何だが色々とあったらしくて少し塞ぎ込んでいる様に見えるんだよなぁ。これから同じ聖龍隊の仲間として共闘して行かなきゃならねえのに、先行きが心配だぜ」
「「…………」」
思い詰めた表情で語る青児の話を聞いて、同じく思い詰めてしまうキューティーハニーとミスティーハニー。
そんな時、封を切る様にキューティーハニーが二人に言った。
「……今は様子を見ましょう。新メンバーのみんなだって、それぞれで思い悩んでいる所もあるでしょうし、私達は私達で少しでも彼等と親睦を深められるよう努めていけば良いのよ」
「は、ハニー……」「姉さん……」
青児とミスティーハニーが呟き返すと、ハニーは意を決したような顔付きで更に言った。
「今回の戦いは今まで以上に激しい戦闘になる筈よ。だからこそ新しい仲間とも息を合わせないと、これから先も一緒に仲良くする事ができないじゃない」
そして最後に、キューティーハニーは笑顔で二人に平然と言った。
「多少の蟠(わだかま)りや食い違いは人として当たり前、大事なのはそれをどう乗り越えて相手と上手く関係を築けるかじゃないの」
このキューティーハニーの言葉に、早見青児とミスティーハニーは衝撃を受けた。
[キャプター達の反応]
そして此方では。
労費した魔力を回復させる為にも一休み入れていたキャプター組の木之本桜(きのもとさくら)、李・小狼(リ・シャオラン)、李・苺鈴(リ・メイリン)の三人がテーブルを囲んでいた。テーブルにはいくつか菓子があり、ヌイグルミ形態のケルベロスが美味しそうに菓子を食べてもいた。
そんな三人と一匹(?)の前に如月ハニーがやって来た。
「さくらちゃん、それに小狼くんに苺鈴ちゃんも調子どう?」
「あ、ハニーさん」「あ、はい、何とか……」
「少しは調子は良いですよ」
ハニーに声を掛けられた三人は、何処か気まずい雰囲気を醸し出しながらハニーに言葉を返した。
「?」
三人の様子が何時もと違う事に気付いたハニーは気になり、三人に訊いた。
「どうしたのみんな、何かあったの?」
するとさくら達は暗鬱な表情でそれぞれ言った。
「は、はい、ハニーさん。実は……」
「ちょっと新しいメンバーの事で……」
「え……」
さくらと苺鈴の言葉に若干動揺するハニー、そして小狼が本題を言った。
「実はハニーさん、新しいメンバーである人達の事で色々とさくらが気にしていて……」
「と、言うと?」
ハニーが訊き返す、そして小狼は真顔で
「はい、魔法騎士(マジックナイト)の方々は意外と僕達とウマが合いまして良かったんですけど、コレクターズの人達は現実世界での戦闘に慣れていないから危ないんじゃないかって」
「あ……(う、ウラヌス達と同じだ……)」
内心ハニーが思うと更に小狼は続けて
「それにあの「ちせ」と言う人も、未だに自分の能力を制御できずに苦しんでいるみたいで、何とかしてあげたいってさくらが言うんですよ」
「……」
ハニーがさくらの顔を見ると、彼女の顔から悲痛な思いが伝わって来た。
そしてハニーはさくらに優しく話しかけた。
「……さくらちゃん」「は、はい」
「……さくらちゃんは、どうにかしてコレクターズの人達や、あのちせって女の子と上手く付き合って行きたいのね」
「は、ハニーさん……!」訊ねられたさくらは力強く答えた。
「は、はい、そうなんです! 私、色々と言われて苦しんでいるコレクターズのお姉さん達とも仲良くしていきたいし、あのちせって女の人の苦しみを何とかしたいんです!」
力強いさくらの言葉に、ハニーは微笑みながら再度訊ねた。
「さくらちゃんは、新しい人達の力にどうにか成りたいって……そう想っているのね」
「は、はい……!」
力強く返事をするさくら。彼女に対しハニーは優しさ溢れる頬笑みで述べた。
「それなら……その気持ちを大事にしながら、新しい人達とも付き合って行けば良いわ。さくらちゃんは元から優しい良い子何だし、その相手を思いやれる気持ちを忘れない限り誰とでも親しく付き合って行けるわ」
「は、ハニーさん……」
「私は今までさくらちゃんを見て感じたわ。あなたの他人を思いやれる優しい心を」
「……」「「……」」
ハニーの言葉に感極まり、思わず無言になってしまうさくら達。
その時、菓子を頬張っていたケルベロスもハニーに賛同する様に話し出した。
「うむうむ、ハニーはんの言う通りやで。さくら、お前はお前で頑張れば良いんや。お前も何時も言っているやないか、苦労して集めたカードを今度こそ人の役に立たせて行きたいって。さくらが他人を想う気持ちはカードにもちゃんと伝わっているから安心せい」
ケルベロスに続きハニーも再びさくらに笑顔で言う。
「そうよさくらちゃん。あなたのカードはもちろん、私達の能力は人の幸せの為に使わなきゃ」
「ハニーさん」
「お互い頑張りましょう、ね」
ハニーはさくらに笑顔で励ましの言葉を言い、さくらもハニーに笑顔で答えた。
[悩む天女]
その後、ハニーは次にナースエンジェルこと森谷りりかと会った。
「あ、りりかちゃん」「ハニーさん」
二人は出会い頭に笑顔で挨拶を交わし、そのまま会話を始めた。
「りりかちゃん、何だか顔に疲れが見えているわよ。何かあった?」
「は、ハニーさん、実は……」
少しばかり顔色が優れず疲労が垣間見えるりりかの顔を見て心配するハニーが訊ねると、彼女は心痛な面持ちで語り始めた。
「実は、新しく加わった、あのちせさんの事なんですが……」
「え? ……(ちせって、あの兵器に改造された……)」
ハニーが意中にあのちせの事を思い浮かべている最中、りりかはハニーに自分の想いを釈明する。
「私、どうしたら良いんだろうと……そう、思ってしまって」
「…………」
「……私、彼女に……ちせさんに対して何かしてあげられないかなと考えてはいるんですが、未だに答えが見つけ出せずにいるんです」
「……」
「ちせさんは、自分の意志とは関係なく兵器にされてしまって……しかも、それで得た力で周りの人達はもちろん自分までも傷付け、そして苦しんでいて……私に出来る事は有るかなと……」
「りりかちゃん……」
りりかの悲痛な想いに感化するハニー。更にりりかは述べる。
「私……今、頻繁にちせさんの体の怪我をウッズさんと一緒に治しているんです。彼女、自分の身体が機械化したら其処から出血もしてしまうらしくて、スグに私が治癒能力で治してあげるんですけど……問題は身体の傷じゃないんです……」
「え、それってどういう……」
りりかの言葉に動揺し訊き返すハニーに、りりかは重苦しい心痛な表情を浮かべてハニーに言った。
「彼女の一番重症な傷、それは……ちせさん自身の、心の傷なんです」
「こ、心の……傷……」
りりかの一言に悲痛な想いに駆られるハニー、そしてりりかは自身が言った心の傷に対して釈明し出した。
「自分が兵器にされ、そして制御できない力で多くの命を奪ってしまった彼女は、周りから色々と言われてしまっていたらしく、心に大きな傷を負ってしまっているんです。私は身体の傷は治せますが心に追った深い傷までは治せない…………それが私の能力の限界なんです」
「………………」
「身体の傷はスグに癒えます。しかし心に追った傷は、下手をしたら一生背負い続けなければいけない時があります。私はそんな心の傷も癒してあげたい、だけど私ではどうしようも出来ないんです」
自身の悲痛な想いを心痛な面持ちで淡々と語るりりかを目の当りにして、ハニーは凄く居たたまれない心境に駆られた。
そしてハニーは意を決して森谷りりかに話し出した。
「……大丈夫よ、りりかちゃん」「は、ハニーさん……」
ハニーの力強い眼差し、そして力強い発言に若干怯むりりか。そしてハニーは力強い眼差しでりりかを見詰めながら言い放った。
「大丈夫、あなたの能力は決して人の傷を癒す力だけでは無い。あなたのその優しい想いだって立派な能力であり才能よ。身体の傷だけでなく、目に見えない心の傷も治してあげたいと思い願う気持ちは、ちゃんとちせって女の子に届く筈よ。だから、そんな悲観的にならないで」
「ハニーさん……」
ハニーの力強い励みの言葉に感動したりりかは悲痛な表情から一変、力強い眼差しでハニーに言い返した。
「解りました、私頑張ってみます……! 少しでもちせさんを始めとした多くの人の心の傷も治せるよう、努力していきます!」
「うん、その調子よりりかちゃん! 私も少しでも、今まで以上に戦える様励んでいくわ」
白衣の天女ナースエンジェルこと森谷りりか、そして愛の戦士キューティーハニーこと如月ハニーは力強い笑顔で決意した。
[訓練の最中にて]
キューティーハニーは訓練として、仲間であるメンバーと練習試合をしていた。
相手は小学5年生の花丘イサミ、月影トシ、そして雪見ソウシ等のしんせん組の三人だった。
「えいっ!」「はッ!」
まず最初にイサミの龍の剣をハニーが自身の武器であるシルバーフルーレで受け止めつつ応戦していく。
「あなた達! 攻めが甘いわよッ、もっと懸かって来なさい!」
「「「は、はい!」」」
ハニーはイサミ達三人に威勢良く呼び掛けると、三人も威勢良く揃って返事をする。
「い、行きますッ! えいッ」
するとトシが自身の武器である龍の目を野球ボールほどの大きさに変化させてハニー目掛けて勢い良く投げつけるが
「まだ甘いッ!」
ハニーは何なく飛んでくる龍の目をフルーレで弾き返してしまう。
「あ……ッ」
動揺してしまうトシにハニーは言う。
「まだまだ勢いが足りないわッ、これじゃ、魔獣の群れには到底勝てないわよ」
そしてハニーは次にソウシにフルーレで差しながら指示を促した。
「ソウシ君、次はアナタの番よ! 手を抜かず、真剣に懸かって来なさい!」
するとソウシは「は、はい……!」多少戸惑いながらも弓の形状に変化させた龍の牙で狙いを付けて、弓を思いっきり引いた。
そして龍の牙から放たれた矢は一直線にハニー目掛けて飛来するが、ハニーは自身の腕に装着しているフラッシュブレスを触り、ブレスからボウガン状の武器ハニー・ルージュアローを出現させて同じく矢を射撃した。ハニーが放った矢は、ソウシの放った矢に直撃して、二つの矢は空中で消滅した。
ハニーがアローを構えていた腕を下ろすと同時に、ソウシも緊張の糸が緩んだのか、思いっきし呼吸を吐いた。
「はぁッ……はぁ……」
そしてハニーはソウシに続き、他の二人イサミとトシの顔も確認する。他の二人も顔に若干の疲労の色が見えていた。
三人の顔を見たハニーは険しい面持ちから一転、穏やかな表情で「よし、一先ず休憩しましょ」と三人に言った。
「は、はい……」「ふひぃ、しんどい……」
息の上がるソウシとトシは荒い呼吸でハニーに返事をしたが、イサミは
「ま……まだイケますッ! お、お願いします……!」
と他の二人と違いまだハニーと仕合おうとする。が
「……イサミちゃん、無理はダメよ。少しは休憩しなきゃ「いいえ! まだ、戦え、ます……はぁ」
ハニーが声をかけるものの、イサミは龍の剣をハニーに向けたまま、険しい顔付きで身構える。しかしハニーは表情を変えずに再度優しくイサミに話しかける。
「イサミちゃん、焦りは禁物よ。今は一旦休憩をはさんで、少し休んだらまた仕合いましょう。ね」
「は……はい……」
ハニーに再度言われ、イサミはようやく龍の剣を納めた。
そして休憩の最中、ハニーはイサミ等と会話をしていた。
「イサミちゃん、日に日に剣の上達が増して行ってるわよ」
「は、はい、ありがとうございますッ」
腰を下ろしながらイサミを褒めるハニーに、飲んでいたお茶を片手に持ったままで礼を言うイサミ。
そんな中、ハニーはイサミに訊いた。
「イサミちゃん」「ん、何ですか? ハニーさん」
イサミは汗をタオルで拭いながらハニーに訊き返した。するとハニーはイサミを見詰めながら再度訊ねる。
「イサミちゃん今日もそうだけど、なんだか最近やけに戦闘の訓練とか仕合いに熱心なのね。どういう風の吹き回しなの?」
訊ねられたイサミは神妙な面持ちでハニーに話した。
「はい、私……私、少しでも強く成りたいんです。今以上に」
「イサミちゃん……」
イサミの発言にハニーが驚いていると、イサミは続けて釈明する。
「私、少しでも良いから強くなって多くの人達を護りたいんです。私の周りに居る家族や友達、大切な人達だけじゃ無い。世界中の多くの命を、そして同じ聖龍隊の仲間を護って行けるよう、今以上に強くなりたいんです!」
「……!」
「ハニーさん、私もっと強くなります! そして異世界からの脅威に立ち向かいたいんです! その為には、もっともっと自分の力を磨かなきゃいけないんです!」
力強いイサミの発声に唖然とするハニー。するとイサミの横で腰を下ろしていたトシとソウシも口を開いた。
「ふぅ、相変わらずだなイサミ」
「誰かの力になりたい、そんな思いが人一倍有るのがイサミちゃんだもんね」
思わず笑みを浮かべながらイサミに言うトシとソウシ。するとイサミも笑顔で二人に返した。
「と、トシ、ソウシ……そんな事無いわよ。ただ、今まで私達の力になってくれたみんなに、聖龍隊のみんなに少しでも協力していきたいのよ。ただそれだけ」
ハニーはこの時、イサミ達の強い団結力と意志を感じ取り、静かに感極まっていた。
そしてハニーは満面の笑顔で立ち上がり、三人に言った。
「よしッ、休憩終わり! 始めましょっか」
「は、はい!」
「よぉし、俺もイサミに負けてらんねえぜ」
「へっへ、僕だってそれは同じだよ」
ハニーに声をかけられ、イサミ達も元気良く返事し立ち上がった。
キューティーハニーと花丘イサミ、月影トシ、雪見ソウシ等しんせん組の面々はその後も体がクタクタになるまで仕合ったと云う。
[苦悶する少女達]
ハニーが基地施設内を歩いていると、通路から特別研究室が見えるガラス窓に差し掛かった時である。
部屋の中で苦悶の表情を浮かべ、落ち込んでいるコレクターズの三人の姿がハニーの目に入った。
「あ、あの子達……」
ハニーは三人の様子に気になってしまい、彼女達の居る部屋の電動ドアの前に立った。
そしてドアが開くと、すかさずハニーは中の三人に挨拶をした。
「こ、こんにちわ……」
だが室内の三人、春日結(かすがゆい)に如月春菜(きさらぎはるな)、そして篠崎愛(しのざきあい)はハニーの方に顔を向けたが小さく頷くだけで返事をしなかった。
三人の気落ちした様子に只ならぬ空気を感じるハニーは、三人の座っている丸いテーブルの空いている席に近づき、三人に言った。
「少し良いかしら」
そう言うとハニーは空席に座り、三人と向かい合った。
そしてハニーは穏やかな表情を浮かべて三人と話を始めた。
「どうしたのみんな。最初顔を合わせた時はあんなにも明るかったのに」
だが三人はスグに答えようとはせず、しばし沈黙を続けていた。
と、その時。黙っていた春日結が重い口を開いてハニーに言った。
「は、ハニーさん……」「ん? どうしたの? 結ちゃん」
ハニーが訊ねると、結は沈痛な面持ちで語り出した。
「わ、私達……此処に居る意味、有るんでしょうか……?」「え」
結の言葉に驚き衝撃を受けるハニー。更に結は心痛な口振りで語った。
「わ、私達……やっぱり現実の世界でも戦うのは、少し気が退けてしまって――――そ、そりゃ、何もしなければ世界が滅びてしまうのは解ります。で、でも……」
結に続き、春菜もハニーに悲痛な面持ちで語り出した。
「でも、やはり私達じゃ足手まとい何じゃないかって……そ、そう思い初めてしまって……」
そして最後に愛も他の二人同様に、ハニーに自分等の心中を釈明した。
「私達、実際はコムネットつまり電脳空間でしか戦った事は無いですし、それなのにいきなり現実の世界でも戦わなければいけないなんて……」
ハニーは苦悶に満ちた表情を浮かべる三人に訊ねた。
「……恐い?」「え」
戸惑う三人にハニーは再度訊ねる。
「恐いの? 戦う事に……そして、死ぬ事に……」
すると三人は一瞬で表情を変えて答える。
「あ……は、はい。少し……」結に続き春菜も「私も、実際に本当の戦場で戦うと思うと……」と答える。
そして最後に愛がハニーに答えた。
「私達、電脳の世界ではこれでも幾度となく修羅場を潜って来たんです。それも、下手をしたら本当に死んでしまう様な危機的状況も経験してきました……。だからこそ解るんです……死への恐怖と云うものが……」
三人の釈明を聞いたハニーは、悲痛な心情の結達三人の心境に深く痛感した。
そして神妙な面持ちで結達三人に言った。
「……恐いのは、誰だって同じよ」
「え?」「そ、それって……」「もしかして……ハニーさんも……?」
ハニーの言葉に動揺する三人。そしてハニーは続けて三人に言話した。
「そうよ。そもそも、聖龍隊に死を恐れない人なんて、まず居ないわ。まぁ、あの修司君はどうなのかは知らないけど、少なくとも私や他のみんなは普通に死ぬ事を恐く感じているわ」
「そ……それじゃ……ハニーさん達は何で戦い続けるんですか?」
愛がハニーに訊ねると、彼女は優しい微笑みで答えた。
「それはもちろん……弱い人達に代わって戦う事で少しでも多くの人を救い出せるのなら、私達はいくらでも戦って行く積りよ」
「「「……!」」」愕然とする三人。更にハニーは
「強大な相手に対して、弱い人々が抗う事は難しいわ。だからこそ私達が自分の力を最大限に発揮させて、一人でも多く命を護って行かなければいけないのよ。その為の特殊能力なんですし」
「「「……」」」
「前に修司君が言っていたわ……「俺達の特殊能力は、力無き者達の剣と成り盾と成る、その為の力なのだ」とね」
「力無き者の……」「剣と成り……」「盾と、成る……」
ハニーの語り言に呆然となってしまう結達。
そしてハニーは最後に結達に告げた。
「これだけは心に留めて置いて。修司君は無理に相手に戦わせようとする横暴な子じゃないわ。ただ彼が目を付けた人は決して足手まといになるような無力な人じゃ無い事は確かよ。だからあなた達も自分の力を信じて最後まで頑張ってみて。応援してるわよ」
ハニーはそう言い残し、部屋を出て行った。
[魔法と科学]
この日ハニーは魔法騎士(マジックナイト)の獅堂光(しどうひかる)、龍咲海(りゅうざきうみ)、そして鳳凰寺風(ほうおうじふう)の三人と特訓仕合をしていた。
ハニーはお得意のシルバーフルーレやハニーブーメランで魔法騎士の三人を牽制していた。だが相手の三人も懸命にハニーの攻撃に応戦していく。
そして仕合が終わり、ハニーと光達は一息入れていた。
「ふぅ~~……やっぱり強いんですねキューティーハニーは」
「そりゃ当り前よ。なんせ本物のスーパーヒロインなんだからさ」
「ふふっ、久々に良い汗掻けましたわ」
キューティーハニーと闘って彼女の強さを絶賛する光に賛同する海、そして掻いた汗を白いタオルで拭いながら微笑む風。
「そんな、貴女達も充分に強かったわよ。これなら上手くいきそうね」
そしてハニーもタオルで汗を拭いながら三人に笑顔で言う。
休憩の合間、彼女達は自分達の今までの道程を語り合った。
そしてハニーは知った。光達が行った事のある異世界セフィーロでの出来事、そして戦いを、試練を。
そして光達もハニーから聖龍隊に入る前後の激闘の数々、そしてハニーやハニーの妹である聖羅の出生について。更に芹沢グループ本社での豹の爪(パンサークロー)との最終決戦の事まで。
彼女達は自分達の経緯を隅から隅まで語り合った。
「…………ま、まさか……セフィーロでそんな事があったなんて……!」
光達三人から、異世界セフィーロでの経緯を聞いたハニーは驚きの余り表情を固めてしまった。
「は、ハニーさん……まさか、そんな……!」
「し、知らなかった……! まさか、ハニーさんと聖羅さんが……」
「そんな…………お二人が、人工生命体……!? ま、まさか……」
そして一方の光、海、風の三人はハニーの語った彼女と聖羅の素性に驚愕してしまっていた。
ハニーは自身の気持ちを落ち着かせて、再び三人と会話を続けた。
「……で、でも、そんなに気にしなくても良いのよ。確かに、最初自分が人間で無かったと知った時は凄くショックだったし落ち込んだわ。でも周りのみんなの理解も有って、今では何も感じて無いわ」
笑顔で三人に語るハニーの話を聞いて、光達も悲痛な面持ちでハニーに次々に言った。
「で、でも、そんな……」「……辛かったんですね、ハニーさん」
「お父様も亡くされて、それでも悪い人達と戦い続けて……」
光、海、風の悲痛な言葉。だがハニーはそんな三人に笑顔を絶やさず言った。
「大丈夫だって。何より、そんな困難を一緒に乗り越えて来てくれた心強い仲間が居るんだし、へっちゃらよ。それよりみんな、今はこの先の戦いに備えて少しでもお互いの息を合わせて戦って行ける様に頑張りましょう」
更にハニーは険しい顔付きに表情を変えて三人に言う。
「命を賭けて戦うのは怖いわ。だけど私達が弱い人々の生活を護る為に勇気を出して挑まないと……。力の無い人達に変わり戦い、そして彼等を護って行く――それが聖龍隊の真の存在意義なのよ」
ハニーの台詞に光達は驚きつつ感心したのだった。
更にハニーは三人に意味深な話を語った。
「確かに聖龍隊には様々な人達が居るわ。――私の様な人工生命体も居ればバーンズの様な特殊な身体能力を持った人外の存在、ジュピター・キッドやウォーター・フェアリーの様な小人や妖精、そしてあなた達の様に魔法を使える女の子達。更にはコレクターズやあのちせちゃんの様に科学の力で立ち向かう子や、修司君の様な自然の力を操って戦う武人など、多種多様な能力者が居るわ」
更にハニーは力強く光達三人に告げる。
「様々な能力と云う可能性、これらを幾つも掛け合わせる事で更なる可能性を生み出し運命を切り開いていく……これが結束と云う力だと、あの修司君は言っているのよ」
「え? し、修司君が?」
ハニーの言葉に思わず海が訊くと、ハニーは笑顔で答える。
「そうよ。確かに一人一人の力は弱い、だけどみんなが一致団結して一緒に取り組めば可能性はいくらでも広がるのよ。――それを私は聖龍隊で学んだわ」
ハニーの力強くも温かい話に、光に海そして風は心の底から感心したのであった。
そしてハニーは三人に言い放った。
「さぁ、その為にも特訓を続けましょう。異次元からの脅威と衝突する前に少しでも戦闘力を上げておかないと」
「「「は、はい!」」」
笑顔で三人に言うハニーに対し、光達も笑顔で威勢良く返事をするのであった。
その後、更に彼女達は特訓仕合を続けた。
[人で無い故の危険性]
ハニーは更に兵器へと改造された、あのちせという少女と少しばかり会話をした。
彼女は其処でちせに話した。自分が産まれた時から人間では無く人工の生命体で有った事を。しかしそんな自分にもちゃんと人としての幸せが、愛が感じられたとちせに話した。
ハニーは自分で自分を苦しめてしまっているちせに少しでも元気になって貰おうと必死に励まし続けたのだった。
自分はこの世に産まれた時から人では無かった。だがそれでも人としての愛や幸せを感じられるのだから、兵器と化してしまったちせにだって幸せを感じられる筈だと勇気づけた。
ハニーはしばし、ちせと話をすると静かに彼女が籠りっきりになっている部屋から出て行った。
その道中、ハニーは二人組の軍服姿の男達にバッタリ出くわした。
「あ、こんにちは」
二人に対してハニーは出会い頭に丁寧に挨拶を述べた。すると二人組はハニーを睨みつけながら言葉を返した。
「ん、なんだ? お前もこの施設の……聖龍隊の一員か?」
「え……は、はい、そうですが……」
ハニーは一瞬戸惑いながらも返事をした。すると二人の内の一人がハニーに向かって一言。
「ふん、そうか……お前も人間では無いんだな」
「え……!!?」
男の発言にハニーは目の色を変えて驚愕した。更に男は容赦なくハニーに言う。
「まったく……こんなバケモノ共に国家防衛を任せていると、不安でしょうがない」
この一言にハニーは感情的に成り男に反論した。
「ちょ、ちょっと何なんですかさっきから! バケモノって…………聖龍隊のみんなの事を言っているんですか!?」
すると男は鼻で軽く嘲笑しながら平然とハニーに言い返した。
「ふっ、聖龍隊で無ければ誰の事を言っていると思っているんだ? そもそも、聖龍隊の連中以外にバケモノ染みた輩など他に居ると云うのかね?」
「っ……!」
男の発言全てに愕然となるハニー。だが男は愕然と成るハニーを眼前に更に容赦ない言葉を淡々と語り続ける。
「国もどうかしてるよホント、こんな悍ましい能力(ちから)を持った危険な奴等に異次元からの勢力に対する防衛を任せるとは。バケモノにはバケモノの力で相打ちを狙おうと云うのなら納得できるがね。未知で危険な存在はそれこそ、異次元の魔獣と対して変わりは無いしな」
「あ、アナタ……!」
産まれた時から人間では無い自分が言われても仕方が無いと自負していたハニーだが、仲間である聖龍隊の皆までもバケモノと言われる事に深い憤りを感じた。更に自分達が戦おうとしている理性無き魔獣と聖龍隊が一緒にされた事にハニーは感情が昂った。
そして男は、憤りを感じて俯き悲観するハニーを脇目にそのまま彼女の横を通り過ぎて行った。
男は歩きながらもう一人の男に背中越しで「行くぞ」と告げる。告げられた相手の男は毅然とした態度で「はっ、ミナモト長官」と返し、二人はそのまま立ち去った。
この時ハニーは昂る感情を必死で抑えていた。
自分はまだ良い。人で無い、空中元素固定装置の種子から産まれ出た自分はまだ良いとして、特殊能力を持っている他のみんなまで異形の者と言われた事にハニーは悲しかった。
確かに、自分達は普通の人では決して出来ない事が出来る、そして普通の人には無い力がある。だが、それだけで理性無き怪物達と一緒にされる事に、ハニーは堪れない心境であった。