聖龍隊 気高き二次元人達   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 聖龍隊メンバーから見た現状を各々執筆していきます。
 続いてカードキャプターこと木之本桜からの視点です


聖龍伝説 ――カードキャプターVision――

[chapter:報道を見届ける少女達]

 

 さくらカードの使い手、木之本桜(きのもとさくら)と彼女の親友で香港出身の李・小狼(リ・シャオラン)と彼の従妹、李・苺鈴(リ・メイリン)は自分達の総長である小田原修司の報道機関への公言をテレビで拝見していた。

 

 そして修司の公言を見て、軽く溜息をつく。

「はぁ~~……別にあんな言い方しなくても……」

 さくらに続き小狼も複雑な心境で言った。

「ああ、あんなんじゃ、下手をしたら俺たち聖龍隊全てが危険極まりないみたいじゃないか」

 そして最後に苺鈴も顔をムスッとさせて言う。

「全く、修司さんは一体全体なにを考えているのかしら!?」

 三人が修司の公言に対して各々の想いを口にした、その時。

「さくらさくら、それに小僧に小娘、今はそんなに動揺していたってしゃあないやないか」

 物陰からケルベロスが飛び出してきて三人に告げる。

「け、ケロちゃん……」「だ、だけどな……」

 自分達に言うケルベロスに困惑な表情で言葉を返すさくらと小狼、そして最後に苺鈴が言い返す。

「だ、だけど……! あれじゃまるで、私達まで異次元からやって来る怪物達と変わりないみたいな言い方じゃ無い! いっちゃ何だけど、聖龍隊には私の様な普通の女の子や人間だっているのよ! そ、そりゃ、さくらや小狼は魔力が有って普通とは言えないけど、それでも変身できるセーラー戦士やキューティーハニーよりは断然人間っぽいわ!」

「そ、そんな、苺鈴ちゃん……」

「ま、魔法が使えたり変身できるだけで人間っぽくないって決めつけるのはどうかと思うぞ。それなら俺やさくらだって充分人間じゃねえよ」

 苺鈴の発言に苦笑しながら言い返すさくらと呆れながら返す小狼。

 そんな三人にケルベロスは腕を組みながら考え込む様な表情を浮かべて告げた。

「ま、今は取敢えず様子を見ようやないか。何より修司はんの言う通りなら、ワテラしか異次元から来る怪物共を倒せる可能性は無いみたいやし……此処は落ち着いて聖龍隊の皆はんと一致団結して戦おうやないか」

「そ、そんな……なんか、怖いなぁ……」

 不安がるさくらにケルベロスは更に言う。

「そんなに怖がるなやさくら。お前は今や其処の小僧、小狼をも凌ぐカードの使い手になっているやないか。何よりあのナッシング(無)のカードも自分のカードとして新しく生まれ変わらせる事が出来たやないか」

「け、ケロちゃん……」

「何より、そんなカードをさくらは弱い人達の助けに成れるように使って行きたいと思って聖龍隊に入ったんやろ。だったら今回もさくらのカードを聖龍隊の為に、新しい人等も含めて使って行こうやないか」

「…………」

「ほれほれ、いつもの明るく無駄に元気の良過ぎる木之本桜はどうしたんや。気をしっかり持ちィな」

 不安がるさくらを元気づけようとするケルベロス。更にケルベロスに続き小狼もさくらに言った。

「そうだ、さくら。今はしっかりと新しい人達とも連携を取れる様にして行かないと」

「小狼くん……」

 更に苺鈴もさくらに笑顔で言った。

「そ、そうよね。小狼の言う通りだわ……さくら、こうなったらトコトンやってやりましょう! 新しいメンバーの人達と一緒に怪物共を全部倒しちゃおう!」

 苺鈴の言葉を聞き、さくらは次第に自身の心に活気が満ち溢れて来た。

「め、苺鈴ちゃん…………うん、分かった。私、頑張ってみる……今までのみんなとはもちろん、新しい人達とも上手くやって行ける様に頑張ってみるよ……!」

 するとケルベロスが調子の良い口調でさくらに笑顔で言った。

「そやそや、その元気こそさくらやでぇ。いっつもわんさか騒ぎ捲る無駄な元気が有ってこそ木之本桜や」

「ちょ、ちょっとケロちゃん! 無駄な元気ってどーーゆーー事ッ」

 ケルベロスの発言に立腹するさくら。そしてそんな二人のやり取りを見て高々と笑い笑顔になる小狼と苺鈴。

 

 彼女達はこれからの激戦を共に乗り越えて行こうと強く決意するのだった。

 

 

 

[最適なカード]

 

 そして新しい面々を交えた合同訓練での事。

 さくらは訓練場の片隅で一人座り込み、自身のカードと睨めっこをしていた。

 そんな時、彼女を気にしてジュピター・キッドことジュニア・j・プラントとウォーター・フェアリーことアプリコットが座り込んでいるさくらに近寄り話しかけた。

「……さくらちゃん?」「……え? あ、アプリちゃん」

「どうしたんだい? こんな所で一人座り込んで……まだ新しいメンバーと馴染めないのかい?」

「ち、違うんです。私……」

「「……?」」

 二人に話しかけられたさくらは思い詰めた表情で二人に話した。

「私……どんなカードを使って行けば上手く戦えるのか悩んじゃって……」

 さくらの言葉を聞いて内心納得するキッドはさくらに話した。

「ああ、成るほど。確かにクロウ・カード……あ、いや、今はもうさくらカードだったね。さくらのカードは本当に多種多様な効力はもちろ威力も違っているカードが多いからね。戦況によって使うべきカードもその都度違ってくるから悩み所が多いね」

 考え更けるキッド、そして彼はしばし考え込んでさくらに告げた。

「……まぁ、そんなに考え込む事はないよ、さくら」

「え……?」

 キッドの言葉に思わずキョトンとしてしまうさくら。するとキッドは微笑みを向けながら更に言う。

「戦況ってのは一分一秒、その都度変わりつつあるもんなんだよ。だからその時の戦況によって使うべきカードも違ってくる……どんな事態にどんなカードを使うかによって自分達が有利不利に成って行くか悩みどころではあるさ。だけどさくらは今まで通り、自分の想いや周りの仲間達、そして自分に尽くしてくれるカード達を信じて戦って行けば良いだけだよ」

「…………」

「今までさくらは、そうやって自分や周りの人間を信じて来たじゃないか。そして信じて来れたからこそ、今こうして全てのカードを手中に納めた上に大切な友達も護って来られたんじゃないか。だからさくらは今まで通り、自分を信じて進んでいけばそれで良いと、僕は思うよ」

「き、キッド……」

 ジュピター・キッドの優しくも心強い語りにさくらは勇気づけられた。

 

 と、その時「きゃっ」「な、なに?」「え!?」

 フェアリー、さくら、そしてキッド等が一緒に居る時、突如辺りに轟音が鳴り響き、三人は驚いてしまう。

 そして何事かと轟音のした方を見てみると、訓練場の壁に巨大な穴が開いておりその前には両腕を機械化しているちせがポツンと立っていた。そして壁の穴から銀色のボディを黒焦げにしながらメタルバードがヨロヨロと這いずる様に出て来たのであった。

 更に其処へ修司が二人の元に歩み寄って来てメタルバードとちせに何やら話しかけてきた。

 

 そんな様子を見たキッド達は異常なまでのちせの能力(ちから)に愕然と立ち尽くしていた。

 

「き、キッド……あれ……」

 震える指でちせを差すウォーター・フェアリーにキッドが口を開いた。

「ああ、未だに能力の制御が不完全なんだよ、彼女」

 複雑な心境で言うキッド、そしてさくらはそんな彼女ちせを動揺しながらも呆然と見詰めていた。

 

 

 

[同じ星の魔力]

 

 それから木之本桜はセーラー戦士である月野うさぎと愛野美奈子(あいのみなこ)とお喋りをしていた。

 彼女達は自分達の魔力、そう星の魔力について話をしていた。

「ははは、それにしても奇遇だよね、良く良く考えてみたらさ」

「ホントよねぇ、私達とさくらちゃんの魔力が同じ星の魔力とは」

「は、はい」

 自分達の司る魔力が同じ星の力を司る魔力である事に話題を膨らませる三人。

「それにしても良いわよねぇ、さくらちゃんは」

「ほ、ほえ? な、なんで……」

 突然の美奈子の言葉に動揺するさくらに、美奈子は続けて言う。

「だって、さくらちゃん……色んな技を使えるじゃ無い。それって凄い戦いには有利じゃないの。はぁ羨ましい」

「は、はぁ……」

 美奈子の発言に軽く反応するさくら、すると美奈子に続いてうさぎもさくらに言った。

「確かに、美奈ちゃん言う通りだよね。……さくらちゃんは色んな種類の魔法を使えるし、何より今じゃ一度に複数の種類の魔法を使えるんだものね。少し羨ましいな」

「そ、そうでしょうか」

 うさぎの発言にさくらが訊き返すと、すかさず美奈子が笑顔で言い返した。

「そうよそうよ。私も一度は亜美ちゃんやレイちゃんみたいに水や炎の技を使ってみたいわ」

 美奈子に続きうさぎも。

「そうだよね。私も一度はカッコ良く電撃や氷の技使ってみたいなーー」

 そして再び美奈子が言う。

「あ、それに確か、さくらちゃんは色んな種類の技だけでなく武術系の魔法も使えるんだったわよね」

 再度うさぎが美奈子に続き語る。

「そう言えばそうだね。確かファイトにパワー、それにソードって言う剣の技魔法も使えちゃうのよね。ホントさくらちゃんだけで色んな魔法が使えるからスッゴク便利というか、重宝出来るわよね」

「そ、そうでしょうか……」

 さくらが呟くとすかさず美奈子が言った。

「そうよ! だからさくらちゃん、私達あなたの事期待しているわよ」

 うさぎもさくらに言い放つ。

「うん、さくらちゃん。さくらちゃんのカード、私達も頼りにしてるよ。だから一緒に頑張ろうね」

「は……はい!」

 うさぎと美奈子、二人に期待の言葉を告げられたさくらは意を決したような力強い面持ちで返事をした。

 

 

 

[死への恐怖]

 

 それから、さくらはナースエンジェルこと森谷りりかと話をした。

 さくらはこの時、りりかに自分が内心激戦の最中に死んでしまったらどうしようか打ち明けていた。

「………………」「……さ、さくらちゃん……」

 不安な表情を浮かべるさくらを見て、りりかは内心居た堪れない心境であった。

 更にさくらはりりかに言う。

「……それに、りりかちゃん」「…………」

「私ね、自分が死んじゃう事も怖いんだけど……それ以上に、一緒に戦ってくれる小狼君や苺鈴ちゃん、そして聖龍隊のみんなに何か遭ったらと思うと、私怖くて……」

 不安に満ちた口調で語るさくら、そしてりりかは悲痛なさくらの心境を汲み取り、さくらに優しく言葉を掛けた。

「……さくらちゃん、安心して」「りりかちゃん……」

 そして森谷りりかはさくらに話し続けた。

「安心してよさくらちゃん。何が遭っても私や他のみんなで互いに護り合いながら同時に怪我だって治してあげるから。何より誰も死なせはしないわ」

「…………」

「前にも話した事有るけど……私も以前、自分の命に探し求めていた「命の花」が封印されていて、自分の命を散らさなきゃいけないと解った時は凄く苦しんだわ。死にたくない、まだみんなと一緒に生きていたい……そう何度も思ったわ」

「……」

「だけど私は死ぬ事を決意したわ。自分が死ななければ命の花は解き放たれず多くの命が苦しんでしまう。何より私の周りの人達もそんな苦しんでしまう命だと思うと私は凄く辛い心境になった。私が命を絶たなければ周りの人達が苦しんでしまうのなら、私は自分の命より多くの人の幸せを選んで死のうと決心したわ」

 次第に険しい顔付きに成りながら語り続けるりりかを見て、さくらは言葉を失いつつ耳を傾けていた。

 更にりりかは話し続ける。

「……けれど、私が世界中の命を想う様に私自身を大切に思ってくれる人達が居る。それを私はアッコさんから言われて気付いたの。誰かを大事に想う様に自分も誰かに想われている。誰かを大事に想う前に自分自身を大切にしなきゃいけないって――アッコさんが言ってくれたわ」

「………………」

「だからさくらちゃん、貴女がみんなを想うのと同じくらい自分の命も大切にして。一度自分の命を絶とうとしていた私が言うのもなんだけど、さくらちゃんも余り無茶はしないで……もしさくらちゃんやみんなが大怪我を負ってしまったら私がスグに治してあげるけど……けれど命が危険に晒されてしまうような状況にまで自分を追い詰めないで、お願い」

 慈愛に満ちた優しい言葉をさくらに告げるりりか。そしてさくらは力強くも穏やかな笑みを浮かべながらりりかに言った。

「りりかちゃん……うん、解った。私も余り無理はしないわ。りりかちゃんも気を付けて一緒に戦おう。もしりりかちゃんが危険な時に陥ったら私が全力で護ってあげるから」

「うん、それなら私は、さくらちゃんやみんなが何時怪我しても良い様に万全の態勢で常に一緒に居るわ」

 りりかもさくらに笑顔で返事をした。

 

 そして二人は互いに両手で握手を交わしながら双方の無事と安全を願い合った。

 

 

 

[先祖からの意志と己の決意]

 

 この日、さくらは少しでも戦闘に適応できるようにと、しんせん組である花丘イサミ、月影トシ、雪見ソウシの三人と仕合っていた。

 さくらは(ソード)「剣」のカードを使い、イサミの龍の剣での攻撃を受け止めていた。

「ッ……!」

「ッ……さ、さくらちゃん、悪いけど本気で行かせて貰うからね……ッ」

 双方共に押し合っていると、イサミが切羽詰まった表情でさくらに告げる。

 だが、さくらも負けじと別のカードを発動させた。

「れ……レリース(封印解除)……!」

 さくらが発動させたのはパワー(力)のカード。このカードは使用者に常人離れした怪力を付与するカードであり、さくらはパワー(力)のカードの効力で得た怪力でイサミを押し返した。

 

「う、うわっ」

 押し返されたイサミは、突然力の上がったさくらの腕力に驚きつつ動揺してしまう。

 すると、さくらがイサミを押し返したその時、今度は月影トシがさくら目掛けて龍の目をサッカーボールの大きさに変化させて蹴り飛ばして来た。

「あっ」飛んでくる龍の目に気付いたさくらは再びカードを発動させた。

「レリース(封印解除)!」

 発動させたのはファイト(闘)のカードで、さくらは格闘系の体術が得意な状態でトシが蹴り飛ばして来た龍の目を咄嗟にトシ目掛けて蹴り返した。

「う、うわッ!」

 自分が蹴り飛ばした龍の目が蹴り返され動揺してしまうトシであったが、咄嗟に両手を前に構えて蹴り返された龍の目を受け止めたのであった。

 更にその時「さ、さくらちゃん行くよ!」御次はソウシがさくらに向けて弓状に変化させた龍の牙で三本の矢を放った。

 さくらは自分に向かって飛んでくる矢に対処する為、更にカードを使う。

「レリース!」

 使ったのはウインディ(風)で、さくらは強風を起こしてソウシの放った矢を吹き飛ばそうとした。

 だが「あ……あれれっ? 矢が吹き飛ばない……」

 強風でも矢は吹き飛ばず、矢は一直線にさくらに飛んで来た。

「わ、わわっ……れ、レリース!」

 困惑するさくらは咄嗟にカードの一つ、シールド(盾)を発動させて自身の周りに透明な壁を張った。

 だがしかし、三本の内の一本が惜しくもシールドを張る前にさくらの肩に直撃してしまい、他の二本のみが盾に弾かれた。

「あ、さくらちゃん!」「だ、大丈夫か木之本!」

 肩に矢を受けたさくらを心配して声を掛けるイサミにトシ、そして最後に矢を放ったソウシ本人が申し訳なさそうに声を掛けた。

「さ、さくらちゃん……ゴメン、大丈夫?」

 するとさくらは矢を受けた肩を押さえながら言い返した。

「だ、大丈夫です……」

 多少強がって言うさくらを見て心痛な面持ちになる三人であったが、そんな三人にさくらは続けて言い放った。

「さ、さあ、次行こう。私は全然平気だから、続きをしよう……私も少しでも戦闘に適応していかないと……」

 笑顔で強がりを言うさくらに、イサミ達三人は彼女の心境を汲み取り、何も言い返さず仕合を続けた。

 

 そして、仕合を終えてさくらとイサミ達はしばし休息に入った。

「さくらちゃん、肩の傷大丈夫?」

「うんイサミちゃん、ほとんど怪我して無いから大丈夫」

 さくらの肩の傷を気にして声を掛けるイサミに、さくらは笑顔で答える。

「だ、だけど……なんでウインディの風で吹き飛ばなかったんだろう……」

 そうさくらが呟くと、ソウシがそれに答える。

「ああ、さくらちゃん。それは龍の牙で放たれた矢は物質的なものではなく、一種のエネルギー体何だよ。だから強い風圧にも吹き飛ばされずに済むんだ」

「そ、そうだったんだ……」

 ソウシの説明を聞いて納得するさくら。

 するとその時、今度はさくらの方からイサミ達に訊ねた。

「ね、ねぇ……あの、イサミちゃん……」

「ん、なに? さくらちゃん」

 イサミが訊き返すと、さくらは思い詰めたような悲痛な表情で言った。

「あ、あのね……イサミちゃん達は、怖くない? 今回の戦い……」

 さくらの発言にしばし言葉を失うイサミ達。そしてイサミは微笑みながらさくらに答えた。

「それは……確かに、怖くないと言えば嘘になるわ。だけどみんなが居れば……聖龍隊の仲間達と一緒なら、怖さなんて半減するわ! 何より心強い仲間が居れば、どんな戦いだって乗り越えられて行ける筈! 私はそう思うわ」

「…………」

 力強いイサミの言葉に呆然と成るさくら。更に其処へトシとソウシもさくらに告げた。

「へへ、そうだぜ木之本。怖がってばかりじゃ何も始まらないだろ」

「と、トシ君……」

「そうだよさくらちゃん。確かに異次元からの敵達は、今まで僕等が戦ってきた相手とは別格の脅威だろう。だけど、いやだからこそ、今まで以上に聖龍隊が一致団結して共に戦って行かなきゃこの世界を護りきれやしないじゃないか」

「そ、ソウシ君……」

 自分に笑顔で言うトシとソウシの言葉に目を丸くしてしまうさくら。

 更にソウシは続けてさくらに話した。

「そりゃ……確かに突然、修司さんに聖龍隊を結成させた本当の理由は異次元からやって来る怪物達を倒す為で、更にあの国連と協力関係に在ったって聞いた時は驚いたよ。けれどそれは同時に、僕達聖龍隊が世界に必要と認識されかけているからこそ、多くの人達に代わって戦いそしてみんなの幸せを護って行く為に遣るべき事なんだなって僕でも理解できる」

 そしてソウシに続き、再びイサミが話し出す。

「うん、自分の誇りの為だけでなく、弱い人達の代わりに戦い続ける――聖龍隊以前にそれが本物の武士道何じゃないかって、私も最近思い初めているわ。かつて私達の先祖である新撰組――私達の先祖は別働隊だった為に激動の戦火に身を投じる事は無かったけど、主力のメンバーである近藤勇(こんどういさむ)、土方歳三(ひじかたとしぞう)、そして沖田総司(おきたそうし)は変わりつつある日本の歴史の波に揉まれ、そして朽ちて行ったと云うわ……例え自身の立たされた立ち場が窮地に陥っても、決して諦めず命と誇りを賭けて戦いの渦中に身を投じる――それが儚くも美しい侍の生き様何じゃないのかな」

「……」

 イサミの話を聞き、心配そうな表情になるさくら。イサミは咄嗟にさくらに告げた。

「……あっ、だ、大丈夫だからねさくらちゃん。確かに命を投げ出して戦い抜くのが武士とは言え、私達は決して自分の命を投げ出すような事はしないわ。何より自分を護りつつ周りの人達も護って行かなきゃホントの強さとは云えないものね」

 イサミの話を聞いて、さくらは小さく頷きながら笑顔でイサミに言った。

「う、うん……そうだよ。どんなに強くても、死んじゃったら意味無いもの。イサミちゃん、私もだけど……お互い無理せず生き抜いていこう、ね」

「ええ、約束するわ、さくらちゃん」

 イサミも笑顔でさくらに言い、互いに手を取り合ってどんな戦火の中でも生き抜いていこうと約束を交わしたのだった。

 

 

 

[苦悶するコレクターズと訊かれるキャプター]

 

 そして、さくらが施設内を歩いていると例のコレクターズの三人とばったり遭遇した。

「あ、こんにちわ、コレクターズのお姉さん」

 笑顔で挨拶をするさくらに、コレクターズの一人である篠崎愛(しのざきあい)が話しかけて来た。

「あ、あなたは確か……」

「あ、はい。木之本桜です。え、えっと確か、お姉さん……」

「あ、私は篠崎愛よ。ちょっと君に訊きたい事があるんだけど、良いかな?」

「え……は、はい、構いませんよ」

 こうしてさくらは、愛達三人のコレクターズに連れられ彼女達の部屋に入った。

 

 そして其処でさくらは三人に色々と訊かれた。

「ね、ねぇさくらちゃん」「はい、なんでしょうか結さん」

 春日結(かすがゆい)がさくらに声をかけると、結に続いて今度は如月春菜(きさらぎはるな)がさくらに訊ねた。

「あの、さくらちゃん……話に聞いたんだけど、さくらちゃんって、不思議なカードが使えるのよね」

「は、はい、そうですけど」

 すると再び愛がさくらに訊ねた。

「さくらちゃんはそれで聖龍隊に入れられたって言うけど……」

「ま、まぁ確かに……あの時はカードを集めたりとか色々と事情が重なって、それで修司さんからカード集め等を手伝ってくれるって言う項目で聖龍隊に入隊したんですけど……それが何か?」

 思わず訊き返すさくらに対し、コレクターズの三人はしばし互いの顔を見詰め、そして再びさくらに顔を向けて語った。

「じ、実はね、さくらちゃん」

「私達、聖龍隊で上手くやって行けるか、不安になっちゃって……」

「ほ、ほへっ?」

 結と春菜の発言に驚くさくら、そして愛も思い詰めた表情でさくらに語った。

「さくらちゃん、貴女も既に聞いているとは思うけど……私達は本来、現実の空間では無くコンピューターの世界、つまり電脳空間でしか戦った事は無いの。だから今回の様に現実の世界でも電脳空間と同じように戦って行くのは初めての事で…………」

「…………」

 さくらが話を聴き入れていると、愛の次に結がさくらに話した。

「わ、私達……現実の世界で戦って行く自信が無いのよ……。スーツの方はまだ調整中だし、それに例えスーツが出来ても上手く戦う事が出来るのか……不安でしょうがないの……」

「ゆ、結さん……」

 悲痛な面持ちの結の想いを聞いて心痛な心持ちになるさくら。

 するとその時、春菜が唐突にさくらに訊ねて来た。

「ね、ねぇ……さくらちゃん」「はい? なんでしょうか、春菜さん」

 春菜に訊き返すさくらに、春菜は訊ねた。

「さくらちゃんは私達と違って現実の空間で、しかも魔法で戦ってきたみたいだけどその…………怖いって思った事は無い?」

「え……それって……」

 春菜の言葉に動揺するさくらに愛が告げる。

「よ、要するに、戦う事に対して抵抗や恐怖心は無かったのって春菜は訊いているの……さくらちゃんは大丈夫だったの? 怖い思いしてまで戦う事に、抵抗は無かった?」

「わ、私…………」「「「…………」」」

 訊ねられたさくらは、しばし考え込んでしまった。そしてコレクターズの三人がジッと思い込むさくらを見詰めていた。

 

 そして、さくらは静かに三人に語り出した。

「私……確かに戦う事に最初は抵抗が有りましたし怖かったです。けれど」

「「「…………」」」

「けれど…………私、みんなが居てくれたから戦う事が出来たんです」

「「「え……?」」」

 笑顔のさくらから発せられた言葉に驚き動揺する三人。そんな三人を尻目にさくらは笑顔で更に語った。

「確かにカード集めたりしながら同時に事件を解決していく為に怖い怪人さんやオバケさん達と何度も戦う羽目に遭いました。だけど、何時も側には掛け替えのないお友達がいたからこそ、こんな私も戦う勇気が持てたんです」

「「「…………」」」

「お姉さん達もそうじゃないですか? 困った時は助け合って行けたからこそ、どんな困難も無事に乗り越えられて来れたんじゃないんですか? 私だって一人じゃ何もできません。お友達の知世ちゃんに小狼君や苺鈴ちゃん、そして聖龍隊のみんなが助けてくれたり、時には助けたりと……そうやって助け合って来れたから、私は今でも聖龍隊で頑張って来れるんです」

「さ、さくらちゃん……」「「…………」」

 さくらの話に静かなる衝撃を受ける結と春菜、愛。

 そしてさくらは三人に笑顔で告げた。

「人ってのは一人じゃ何もできないんです、それが人なんですよ。どんなに強い能力(ちから)を持っていたとしても必ず壁にブツかって立ち止まってしまうものなんです。そんな時に自分を励ましてくれたり、一緒に困難を乗り越えて行ってくれる仲間が居るからこそ何度でも立ち上がれるんですよ。だからコレクターズのお姉さん達も自分達だけで悩まず誰かに悩みを打ち明けて下さい。安心してください、聖龍隊の人達はみんな優しい人達ですし、中には気難しい人も居るけど、基本そんな人も根は良い人なんです」

「「「…………」」」

「だから……頑張りましょう、結さん、春菜さん、愛さん! 絶対だいじょうぶですから」

 さくらは最後に笑顔で三人に言い放った。

 

 そしてさくらの、彼女の話を聞いてコレクターズの三人は少しばかり元気付かされるのだった。

 

 

 

[似たような顔立ち]

 

 そしてこの日、さくらは魔法騎士(マジックナイト)の三人――獅堂光(しどうひかる)、龍咲海(りゅうざきうみ)、鳳凰寺風(ほうおうじふう)の三人と特訓仕合をした後、休憩を取りつつお喋りをした。

「はは、まさかこんなカワイイ女の子まで聖龍隊に加わっているなんて」

「そ、そんな……み、皆さんほどではありません……」

 お喋りの最中、さくらの事を可愛いと云う光に、当の本人のさくらは照れながら謙虚するが

「そんな事無いですわよ。さくらさんだって可愛いですよ」

「そうそう。こんな可愛い女の子も聖龍隊に居るなんてね」

 風と海が微笑みながら照れながら謙虚するさくらに言う。

「そ、そんな…………」

 光だけでなく海や風にも容姿を褒められ、遂にさくらは顔を真っ赤にしてしまう。

 そんなさくらを見て微笑む風は、微笑みながらさくらに話す。

「ふふ、それにしても……さくらちゃんもそうですが、聖龍隊の女の子は小さい子ながらも頑張っている子が居るんですね」

 風に続き海も話し出す。

「そうよね、以前ボスコワールドで最初に出逢ったアッコちゃんもそうだし、ちびうさちゃんやほたるちゃん、そしてりりかちゃんにさくらちゃんの様な年端もいかない子までも聖龍隊に加盟させて戦わせるなんて……修司君も無茶させるわよね。まぁ、あの子自身もまだ子供だけどね……」

「は、ははは……た、確かに……」

 海の話に思わず苦笑してしまうさくらであった。

 そして再び女子四人で楽しくお喋りを続けていたのだが……――。

 

 そんな中、突然、海がさくらの顔を見ながら一言呟いた。

「そう言えば……さくらちゃんって何処か私達と顔立ちが似ているわね」

「そう言われてみれば……」

「ほ、ほえっ? そ、そうですか……?」

 海や風に指摘され、不意をつかれる表情を浮かび上がらすさくら。

 更に其処へ光も、風や海の意見に賛同する様に言った。

「うん、言われてみれば……さくらちゃん、何処か私達と似ているね」

「そ、そうでしょうか……?」

 二人だけに非ず、光までにも顔立ちが自分達と似ていると云われ呆気に感じてしまうさくらであった。

 更に風がさくらに神妙な面持ちで語り出した。

「そう言えば、さくらさんと最初顔を合わせた時……不思議と何かを感じたのですが……」

「え、それってどういう事なの? 風」

 風の発言に咄嗟に訊ねる海、すると風は思い詰めた真顔で平然と言った。

「ええ、何だか…………何だかさくらさんを見た時、他人とは思えない、そんな感じがしたんです」

「えッ、それって…………どう言う事なの??」

 風の発言に理解できない光はポカンとしてしまう。

 するとそんな光を尻目に、海が風に訊ねる。

「ふ、風、それって、どういう事、なの?」

 海に訊かれた風は真剣な顔つきに一変させて真面目に答えた。

「はい、上手く言葉では云えないんですが……さくらさん……いいえ、あの小狼さんや苺鈴さんに対しても同じように感じられたんです。何だか私達、とても他人とは思えない……そんな気がして……」

 風の話を聞いて愕然としてしまうさくら。

 

 そして彼女は、さくらは一人風の発言に思い更けた。

(……確かに。光さん達と最初に顔を合わせた時も、ちょっとだけ感じた……光さんに海さん、風さんと私……何処か身近に感じられる、そう何だか親戚の様にも感じられる親近感……この感覚って、一体…………)

 

 

 この時、彼女達は知る由もなかった。

 自分達が他の面々と違い、とても身近な存在同士である事に、さくらも魔法騎士の三人も気付いてはいなかったのだ。

 

 

 

[兵器の少女に託したカードと未来(あす)を左右する三枚のカード]

 

 後日、さくらは用意しされた自室で一人籠ってしまっている少女ちせと対面をした。

 ちせは未だに自分の力が暴発してしまった事で危うくさくらを死なせてしまった事に対して居た堪れない心境に浸っていた。

 しかしさくらは、そんなちせに対して微塵も気にしていない素振りを見せながらちせと話をした。

 さくらはこの時思っていた。目の前の少女ちせに少しでも笑顔で居てくれる様に、少しでも幸せだと感じて欲しいと、ちせに色々と優しく話しかけた。

 だがちせは過去の暴発でも多くの人命を奪ってしまった経緯も有り、簡単に笑顔を見せる事が出来なくなっていた。

 するとさくらは、ちせに一枚のカードを手渡した。

 そして彼女に、ちせに向かって笑顔で語った。決して希望を捨てない様に、決して諦めない様に。そして、絶対大丈夫だよと、懸命にちせを励ましてあげた。

 

 

 

 一方その頃、別室では小狼とケルベロスがテーブルに腰を下ろして向かい合いながら、何やら真剣な顔つきで話し合っていた。

「なぁ小狼、お前はどう思う? 例のカードについて」

 ケルベロスに訊かれ、小狼は険しい顔つきで答えた。

「ああ、あのカードだよな……一体、何を意味しているのか……」

「うむ、そうやなぁ……修司はんに頼まれて占いをしてみたけど、あの三枚のカードは一体全体、何を意味しているのかぁ……解らへんなぁ」

 二人は深々と考え込んでしまっていた。

 そして小狼が再びケルベロスに言う。

「あのカード……修司さんの要望通りに行った、さくらカードを使ったタロット占いで表示された今回の戦いを左右する三枚のカード……それが意味しているのは、何なんだろうか……?」

 小狼に続きケルベロスも腕を組みながら思い詰めた表情を浮かべて呟いた。

「そうなんやなぁ……一体、あのカードが表示した激戦の結末いや、戦果って……何なんやぁ?」

 

 その後も二人いや、一人と一匹は更に長時間考え悩み続けた。

 

 

 一体さくらは兵器と化した少女ちせに何のカードを手渡したのであろうか。

 そして修司の提言でさくらがカードを使って占った際に表示された三枚のカードとは一体。

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