「ハイスクール転生アンド巻き込まれ」にハマりハイスクールハックアンドスラッシュの二次創作を探してハイスラの二次創作が少なすぎるので自己生成始めた者です。
「ハイスクール転生アンド巻き込まれ」に引っ張られるかもしれませんが、できるだけ気を付けて、初めてのこのような小説を書くので、ゆるゆるやって行こうと思っています。
電車は濃い霧の中を走っていた。ゴトン、ゴトンという規則正しい音だけが僕の感覚を支えていた。外の景色は見えず、窓の外には白い幕が張られたようにただ霧が立ち込めている。伽藍洞のような静寂の車両には僕と、向かいの座席に座る少女以外には誰もいなかった。
「いつまで現実逃避するつもりなの?」
白髪の少女——いや、幼女と呼ぶべき存在が腕を組み、僕を見下ろすような視線を向けてきた。「いい加減に諦めて、これからの展開について考えたら?」
彼女の赤い瞳が僕を射抜く。黒いドレスのようなフォーマルな服に身を包んだその姿は、どこか異質で神秘的だった。
突然異世界に拉致られ、「世界を救え」なんて超常の存在に一方的に力を与えられるような、テンプレ展開ならまだ気楽に未来を夢見ることもできただろう。だが僕が送り込まれる舞台はとてつもなくバイオレンスでデンジャラスなだけでなく、「世界を救う」というお願いも正直ムリゲーとしか思えない。一時の現実逃避くらい許されるだろう。
事の始まりは唐突だった。目が覚めたら見慣れない列車に乗っていて、正面の座席には今と同じ白髪赤目の黒服幼女が座っていた。
「はじめましてね。ツクヨミよ、あなたのサポート役をやってあげるわ」
そう自己紹介した彼女は、事情を説明し始めた。
「上役の神様たちにも予想外の事態が起きたの。どうしようかと考えていた時に、ちょうど良く落ちてきた魂たち——あなたたちを新しい体に入れて、代わりにやってもらうことにしたの」
僕の認識では、自室でいつものように眠ったはずだった。それが目覚めたら、こんな超展開に巻き込まれている。
「もう、分かったよ。いい加減現実を見よう」
僕は深いため息をついた。
「それで、僕にインストールされたらしい特典とやることとやらを詳しく教えてくれる?」
ツクヨミは微笑んだ。その笑顔には何か不気味なものがあった。
「ようやく素直になったわね、もう一度言ってあげるから、よく聞きなさい。あなたに与えられた特典は三つ。『
貪欲吸収は簡単に言えば経験値ブーストスキル。状態操作は自分のステータスパラメーターを振り分けたり、習得可能なスキルを使えるようにするスキル。保管庫は容量有限のアイテムボックスと考えればいいわ」
ツクヨミは立ち上がり、僕の前に歩み寄った。小柄な体で僕を見上げるその姿は、どこか威圧的だった。
「実際に使って覚えなさい。そして貴方がやらなきゃならない事は——」
彼女は僕の瞳を見つめ、ゆっくりと告げた。
「星野アイの護衛。彼女を守り、上司たちの『推しの子』が生まれるようにすること」
その瞬間、僕の頭に鋭い痛みが走りまるで何かに気が付いたような、自分の存在がこの世界に焼き付けられるような漠然とした感覚に襲われた。
「分かった?神木ヒカルくん」
そう、僕は星野アイの双子の遺伝子上の父親であり、彼女にとっての仇で黒幕である神木ヒカルにぶち込まれたのだ。これが普通の「推しの子」の世界なら気楽に過ごせただろう。しかし、あいにくここは厄介な世界とのクロスオーバーだ。それが彼女を守り、双子を誕生させるという任務をベリーハードな難題に変えているのだ。
「あ、もうすぐ現実世界に抜けるわ」
ツクヨミがニヤリと笑った。
「ここからはあまり話しかけれないと思うけど寂しくて泣いちゃダメよ?」
「そういえばあそこは推薦じゃないと入学出来なかったはずだけど、ぼくの推薦者はだれになってるんだ?」
そう聞くとツクヨミは聞かれたくなかった質問のようでばつが悪そうにこたえた。
「えっと上司のお姉さんが伝手があるから頼んでみるといって張りきって下りて行って直ぐ入学できるようになったみたい、だから推薦者のことはあまり考えない方がいいとおもうわ…」
ツクヨミの上司の、姉の伝手とか厄介ごとの匂いしかしないので、考えないようにしよう。
しばらくして特急電車がトンネルを抜けたような軽い衝撃と気圧の変化を感じた。突然、列車は先ほどまでの濃霧ではなく、深い森を切り開いた路線を走っていた。車両の中には座席が半分ほど埋まるほどの乗客の姿が見え目の前に座っていたツクヨミはいつの間にか姿を消している。
マイクにスイッチが入るノイズの後、放送が流れた。
「次は終点、中野駅。中野駅、お降りの際はお荷物等の忘れ物などございませんよう」
駅の出入り口を抜けると、武器屋と大手コンビニチェーンなどが並ぶ違和感のすごい駅前商店街を抜けた先には今日から通うことになる豊葦原学園、正式名称|豊葦原千五百秋水穂学園《とよあしはらのちいほあきのみずほのくにがくえん》の正門が待ち構えていた。
そう、この世界は「推しの子」と「ハイスクールハックアンドスラッシュ」のクロスオーバー世界だったのだ。
最後までノーデスクリアできる自信はまったくない。なおかつこの世界では、双子の誕生が鬼のような難易度になっている。この学園にはダンジョンがあり、普通科生には「ダンジョン内で死んでも記憶を失うだけで、デメリットなく復活できる」と説明されている。しかし実際には、ダンジョン内で死亡すれば魂の一部が失われ、ダンジョンに吸収される。この「魂魄結晶」を失うと寿命が極端に短くなり、子供を作ることができなくなる。
原作の描写から再生することもあるみたいだが、具体的な方法は明示されていない。リスキーすぎるので、死なないことを最優先する必要がある。
また、ダンジョン外の学園生活も危険だらけだ。特に女性にとっては。拉致られて一日中凌辱されるくらいなら「ちょっと運が悪い日だった」みたいな、倫理観が終わっている世界だ。男性教師も授業中に性処理用の女生徒を物色するような奴らばかり。
そんな中で、僕は星野アイを守らなければならない。
それに若い頃の神木ヒカルの体に入れられたせいか。明らかに感情のコントロールが難しくなっているみたいだ、この体に入れられる前の個人的な事はあまり覚えていないが少なくとも成人してある程度の年を重ねていたと思う。
そうして、これからの事を考えながら足取り重く。
自分が入る寮——
「ここが僕の部屋か...」
自室に届いている着替えなどの最低限の私物は、ツクヨミ曰く「サービス」だそうだ。同室の生徒はまだ部屋におらず、いくつかのダンボールだけが置かれていた。
ベッドに腰掛け、「
神木光 Lv 0
職種
定型技能
振り分けポイント:0
称号:霊落者
「霊落者」という見慣れない称号があるが、ポイント不足のためか操作できる箇所はなさそうだ。
次は「
手に持った枕の前方が波打ち、そのまま押し込むと、枕はめり込むように消えた。感覚的に格納されていることがわかる。
しばらく枕の出し入れを繰り返していると、いくつかの特性が分かってきた。出し入れする空間は任意の場所に作れる。出し入れする際、裏表などはなく、どちら側からも出し入れ可能だ。中に入れた物はその時の状態で保存され、時計を入れれば時間が止まる。物を投げ入れれば、慣性などもそのままに取り出した瞬間、そのまま飛んでいく。その軌道は素直な弾道で、正面に飛んでいく。
「投射武器としても使えそうだけど...」
考え込みながら呟いた。しかし、ダンジョン内では石をぶつけてもダメージは与えられない。基本的に近接戦闘以外では攻撃が通らないと聞いている。
「あと使い方で思いつくのは、前方に展開して盾として使うか——あっ!」
その時、頭に浮かんだのは、鎖鎌の分銅をゴブリンに巻きつけて足止めに使うというシーン。
「そうだ!ボーラなら使えるかもしれない!」
興奮に声が上ずる。「ボーラ」——石や金属球を紐でつないだ投擲武器。獲物の足を絡めとるのに使う。
「でも、紐を確保しないと...」
普通ならコンビニや百均で購入できる材料だが、あいにくこの世界の通貨である「銭」はまだ支給されていないので、自分で何とかするしかない。
荷物を探したが、最低限の服や文房具しかなかった。「最悪、シャツをバラして紐を作るか」と考えながら、部屋の外に材料を探しに出た。
結局、手頃な紐状の物は見つからず、シャツが一着犠牲になった。だが何とか三つのボーラを作成できた。作りながら「このままじゃ職人適性が上がるんじゃないか」と思ったが、今はそれよりも生存戦略が重要だ。
次の検証に入ろうと思ったところで、コンコンと扉がノックされた。
「あっ、どうぞ」
「こんにちは〜!多分この部屋だと思うんだけど」
扉が開き、短髪でぽっちゃり気味の眼鏡をかけた少年が入ってきた。身長は180センチほどあり、大型のリュックサックとウエストポーチを装備し、手には紙袋を下げている。
「そっちのベッドに荷物があるから確認してみたら?」
「え〜っと...あっ、やっぱりこの部屋みたいだね…お~すごいイケメン!金髪碧眼とか、もしかして外国の人?」
彼の反応で、自分が神木ヒカルの外見をしていることを思い出す。
「いや、生まれも育ちも日本だよ。俺の名前はヒカル。はじめまして」
「ワシの名前は、なぐ...おっと危ない、名前は忠一。これからよろしく」
フルネームで名乗りそうになったように見えた。彼は手を差し出し、僕はそれを握り返した。
「しかし、すごいリュックだね。登山にでも行くみたいだ」
高さだけで1メートル近くある大型バックパックに目を向けた
。
「ダンジョン探索に役立ちそうな物を考えているとどんどん物がふえてしもてね」
忠一は照れくさそうに笑った。
「なるほど、備えは大事だ。あ、何か手伝おうか?」
「マジで?ありがとう!じゃあ、ダンボールを開けていってくれるか?」
「了解!」
荷物の整理を手伝いながら、僕は話を続けた。
「ここの駅前の店並び、見た?武器屋の隣にコンビニがあったり、おしゃれなカフェの横で鎧売ってたり。すごい違和感だったよ」
「ほんと、事前の説明通りダンジョン攻略は本当なんだってことを実感したよでも、ダンジョン内で死亡しても記憶を失うだけで復活するって...本当なのかな?一体どんな仕組みなんだろう」
「復活するらしいけど...」僕は言葉を選びながら続けた。「死んでるんだから、デメリットがその時の記憶の消失だけで他には何もないっていうのは、さすがに都合が良すぎると思うんだよね。できるだけ死ぬのは避けたいところだ」
「そうだよな!」
忠一は大きく頷いた。
「死んでも復活できるからいくら死んでも大丈夫とは言われても、死にたくはないよな。だからできるだけの備えはしておかないとな」
「そういえば、忠一はどのクラス?」
「ワシは『
「僕も
「そういえばヒカル何か作ってたのか?机の上がすごいことになってるけど」
「えっ?あー実はダンジョン用にボーラを作っていてね、紐が無かったからシャツを一つバラシて作ってたんだ」
「ボーラかなるほどね」
会話をしながら忠一の荷物が入っているダンボールを開封していく一つ目のダンボールには整然と目一杯つめられた数種類のチョコレート菓子がつめられていた。
「さすがにお菓子多すぎない、これ一人で食べるの?」
あまりのお菓子やジュースの量に思わず質問すると
「さすがに全部は食べないよ、ほとんど配るように持って来てる」
「くばる?」
「そうこの学園って銭という独自通貨しか使用できないと聞いてさ、もしかしたらダンジョンの成果物も銭での買取だとしたら、ダンジョンに沢山潜らせるために生活必需品は安く手に入るけど、嗜好品は割高な可能性があるなと思い、先輩達から情報を貰いやすくするために多めに持って来た、こういう嗜好品を節約するような人らはダンジョン的には落ちこぼれだろうけど今はどんな情報でもほしいからね」
学園内の独自通貨とダンジョンの組み合わせだけでそこまで考えれるの凄いな…原作で描かれていた学園側の思惑を殆ど読み取ってるし…ヤバ
「ダンジョンの中ってどうなってるんだろ、最初のダイブの時に罠とかワイヤーとか使って陣地構築出来たりしないかな」
「いやダンジョンの10階までは迷宮タイプだし、それに同じ所にとどまるとアグレッサーが湧いてくるから絶対やるなよ」
ダンジョンの中に防衛陣地とか言い出した忠一発想にぶったまげる。
「アグレッサー?何それ」
「えーと、たしかダンジョンの中で一定時間同じエリアにいると出現する、超強いモンス
ターのこと」
「そんな奴がいるんだ、ヤバいねダンジョン。あっそれから普通科と特級科で制服も違うんだね、荷物持って無かったら普通科との違いを聞きに行ったのに、残念やった」
とんでもないことをやらかしかけていた忠一に思わず忠告する
「いやダメだって、特級科の生徒は普通科生徒の無礼打ちが許されてるんだから、関わらない方が絶対いいよ」
そうこの学園時代錯誤にも程があるが実際に特級科生は普通科生徒の無礼打ちが許されている原作の副会長の話し方的に毎年何人かやられてるみたいだったし。
「えマジで!特級科そんな事できんのヤバ、ほかに特級科について知ってることない?」
「知ってることかー呼び方が華組とか特級科だと外での家格がそのまま学園内のヒエラルキーに反映されてるとか言われてたけど」
そんな感じで会話をしていたら荷物の整理も終わったので、忠一は情報収集してくると、部屋を出て行ったので、能力の検証をまたはじめることにした。
しかしルームメイトはとんでもない奴かもしれない。