推しの子を目指して   作:滑空ペンギン

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第10話 先輩頑張る

 

 

 

ヒカルがあっさりとオークを倒した事実に思考が追いつかずに、唖然としていたカナデ先輩に声をかけ先に進む。女の子がごつい金棒を肩に担いでトコトコとついてくるのは、なんだか非常に和む。オークの強さは大体分かり、特に脅威になりえないので、遭遇するオークの幾らかを達磨にして先輩に進呈することにした。せっかくここまで連れてきてもらったのだから、少しはレベルも上げてもらわないと不公平だろうから。

そんなことを考えながらゲートを目指していた。

 

 

 

  カナデside

 

「新しいオナホを入れるからお前は首な」突然そんなことを言われ、クラブを追い出されてしまった。私はクラフターだしコミュ力も低いから、役立たずと捨てられてしまった。

クラフターは力は強いが戦闘職ほどじゃないし、動きも遅いため戦闘は苦手だ。クラブで狩りをしていた階層が七層だったこともあり、自分一人ではダンジョンに入ることもできなくなってしまった。何度か一年生のパーティーに入れてもらったこともあったけど、全部失敗して死に戻ってしまったみたいで、そんなことが続くと誰もパーティーに入れてくれなくなった。

 

死に戻っているから週一のダイブノルマもクリアできなくて、もう時間がないけど誰も入れてくれなかった。補習は嫌だな…。

 

そんな風に広場で落ち込んでいたら、突然声をかけられ顔を上げると、金髪のすごく綺麗な男の子が声をかけてくれていた。

 

男の子はヒカルくんと言って、ダイブ相手を探しているらしかった。もしかしたら一緒に連れて行ってくれるかなと期待していたが、当然クラスを聞かれて、半分諦めながら自分のクラスの職人(クラフター)を教えると、大きな声を出されて、やっぱり断られたと落ち込みそうになったけど、突然両手をつかまれ、その綺麗な顔と目で見つめられ、ぜひパーティーを組んでくれと言われてしまって、頭が真っ白になっちゃったけど、なんとか声を出せてパーティーを組んでくれた。その後は第七層に行きたいと言われて、無茶だと思ったけど、あの顔で頼まれたら断れないよ。

 

ダンジョンに入ってからも驚きの連続で、遭遇したオークをあっさり倒しちゃったし、クラスを聞いてみると何と騎士(ナイト)らしい。まだ一年生にダンジョンが解放されて一週間も経ってないんだよ。それなのにもうクラスチェンジしてるだけですごいのに、スキップだよ第二段階(セカンド)だよ。それに、オークの手足を切り取って「はいどうぞ先輩」って、何かおやつのクッキーでも分けるみたいにお出しされたんだよ。

 

なぜここまでしてくれるのか聞いたら「いや、先輩がここまで連れて来てくれたんだから、何かお返ししないと駄目でしょう」って言うんだよ。そんな顔で言われたら私勘違いしちゃうよ~

 

 

 

 

 

 

いや~先輩のおかげで七層から進めるから、かなり時間の短縮になりそうで良かった。それに先輩は職人(クラフター)で、できればこれからも良い関係を作りたいし、性格によっては本パーティーに誘いたいな。やった、ゲートが見えた。

ゲートを見つけたが階層守護者(フロアガーディアン)はいないようだ。一部の階層守護者(フロアガーディアン)は特定クラブの利権になっていることがあり、復活したら即狩られる状態になっている場所がある。

階層守護者(フロアガーディアン)もいないことから、二人は第八階層に続くゲートを潜っていった。

 

 

 

 

 

第『捌』階層、『既知』領域

 

ゲートを抜けると、そこは輪姦会場でした……

ゲートを潜り視界が開けると、二人の女子生徒を数人の男子が輪姦していた。女子生徒はスカートと靴下以外を剥ぎ取られていて、学年は分からない。男子はおそらく上級生だろうが、ゲートを抜けてきた僕たちに気がつくと、あぶれている男子たちがニヤニヤと素行の悪い笑みを浮かべながら近づいてくる。隣にいるカナデ先輩が小声で

「元クラブの人たちです」と教えてくれた。

 

「先輩、彼らの中に3次や4次職(サードやフォース)はいますか」

 

「えっと、いないです」

 

「それなら遊び人(ニート)系はどれですか」

 

話を聞く限りエンジョイ系のクラブのようなので、遊び人(ニート)系がゼロなわけがない。

 

「奥の4人は全員遊び人(ニート)系で、こっちに来てる赤毛とロン毛もそうです」

 

女子二人に腰を振っている4人と、向かってくる6人のうち2人が遊び人(ニート)らしい。こちらが2人で男子も一年と気がついたのか、ニヤニヤと笑いながら囲って来て、先に進めないようにしてくる。

 

「誰かと思えば、この前捨てたオナホじゃねーかよ。一緒にダイブしたら死に戻るって噂になって、パーティーも

組めなくなってたのに、まだ物好きな一年がいたもんだな」

 

「なんで先輩と組んだら死に戻るって知ってるんですか。あまり噂とかそういうことに興味がありそうには見えませんが」

 

「そりゃもちろん、そいつがダイブしたら俺たちが遊んでやってたからな。ついでにアイツと組んだら必ず失敗するって噂を流してやりゃ一発よ」

 

「ということは、カナデ先輩がダイブに失敗していたのは貴方達のせいですか」

 

「そうだよ。今の時期の一年は面白いからな~。お前みたいな便器でも格好つけて守ろうとするからな。馬鹿だよな~、勝てるわけないのに。死なない程度にボコって、目の前でそいつ等を犯してやったらいい顔するんだよな~。ほら、今後ろでやられてる二人、この前お前と一緒にいた奴らだぜ。具合が良かったから今日も拉致って、邪魔が入らないようにここでやってたんだが、丁度良かった。穴が足りねーから、お前もやらせろよ」

 

「こんな奴に誘われて、こんなとこまで来ちゃって。お前いい剣持ってんじゃん、俺が貰ってやるよ。一年にはもったいない」

 

下種の極みみたいなことを言いながら近づいて来るが、よほどこちらをなめているのか、武器を抜いているのは6人中2人しかいない。とりあえず逃げられると面倒なので、遊び人(ニート)と教えられた赤毛とロン毛の首を一息で落とす。正直こいつら同じ人間と思えないし、むしろ喋らない分、オークやゴブリンの方がまだマシまである。

 

続けて、さっきから喋っていたリーダーっぽい奴以外も切り捨てる。何が起こったか理解できずに固まっているリーダーっぽい奴の足を蹴り抜く。足にポキっと軽い音が伝わったので、無事に折れたみたいだ。倒れこんで煩いので、両手も踏み折っておく。

その汚い悲鳴でようやくこちらに注目した4人は、ツインテールの女子を犯していた二人を一薙ぎで首を飛ばして。

 

ショートカットの女子を立位で前後から犯していた奴らは、こちらに背を向けている奴は鎖骨あたりから心臓に向かってナイフを突き入れる。こちらを驚愕の表情で見つめているので、犯されて脱力している女子を引きはがし、保管庫(ストレージボックス)から引き抜いた手斧で脳天をかち割る。打ち漏らしがいないか残心を忘れずに辺りを確認し、今だにのたうち回っているリーダーっぽい奴のところに近づく。

 

「先輩、大丈夫ですか。とりあえずこいつ以外は掃除しておきました」

 

「あっ、ありがとう……」

 

「先輩、どうします?こいつ。先輩が止めを刺すのなら譲りますけど」

 

そう言葉をかけると、先輩は再起動したようで、ハイライトの消えた目で無言でそいつを叩きはじめた。段々先輩の目から涙が溢れて来て、視界が滲んでよく見えないのか、出鱈目なところを叩かれ、中々有効な場所に当たっておらず、折れた手足に当たり、奴は叫び声を上げていたが、段々反応がなくなり、最後はふっと消えてしまった。

叩くモノが消えても、先輩は涙を流し続けていた。そんな先輩を抱きよせ「えっと、先輩、胸位は貸しますから、思いっ切り泣いて良いですよ」

 

そして先輩は声を上げて泣き始めた。

 

 

 

 

 

「もう大丈夫ですか、先輩?」

 

「うん…ありがとね、ヒカルくん」

 

「落ち着いたようで、何よりです。それでですね、先輩、えーっと、あの二人の女子の手当てをお願いしたいのですが、構いませんか?この学園だと今更かもしれませんが、男の自分が介抱するのは嫌がるかもしれないですし…」

 

「あっ…そ、そうだね。任せてよ」

 

そう言って先輩はカバンからタオルとペットボトルを取り出して、二人に駆け寄り、二人の介抱を始める。女子二人はぐったりとして、時折ビクビクと痙攣している。

モンスターが近づいてもマップを起動していたら、急に先輩の後ろにモンスターの反応が出現した。そして、その闇が人型に固まったようなモンスターが、先輩に向かってその鋭い爪を振り下ろす。

 

「危ない」

 

間一髪、そのモンスターを盾撃(シールドバッシュ)で吹き飛ばす。

 

「先輩、二人を連れて離れていてください。おそらく天敵者(アグレッサー)です」

 

天敵者(アグレッサー)が振り下ろしてくる腕をシールドで受け流しつつ切りつけるが、その硬さにまるで岩を切りつけたようだ。

 

「硬っ!なにこの硬さ。GPゲージの有る無しでこんなに違うのか」

 

天敵者(アグレッサー)は、こちらが手ごわいと判断したのか、突然女子二人を抱えて離れようとしている先輩に向かっていった。幸い天敵者(アグレッサー)の動きはそれほどでもなく、その五指を針のように伸ばした抜き手が当たる前に、盾を構えて割って入ることができた。しかし、その攻撃は盾を紙のように貫き、ヒカルの体に突き刺さる。幸い急所は外れていたため即戦闘不能にはならなかったが、傷は浅くない。ヒカルは遊び人(ニート)のスキル自慰(リジェネレート)で傷を回復させつつ、挑発(プロヴォーク)でヘイトを自分に集めつつ攻撃する。

 

硬いが、まったくダメージがないわけではなさそうで、少しづつだがダメージは与えているが、何度も切りつけていると剣が折れてしまう。すぐさま新しい武器を取り出し殴りつけ続けるが、相手の攻撃を武器で受け止めたりなどすると、簡単に壊されてしまう。

 

盾も意味がないので外し、剣だけで戦っていると、天敵者(アグレッサー)の攻撃が剣に当たり、半ばから断ち切られてしまい、咄嗟に天敵者(アグレッサー)の手首を掴んでしまう。空いているもう一つの手で攻撃してくるが、避けられないと判断し、その手もつかむ。両腕をつかまれた天敵者(アグレッサー)、その凶悪な口で噛みついて来ようとするが、腕を突っ張り、なんとか防ぐが、完全にじり貧になってしまった。膠着状態を続けていると、アグレッサーが巨大な影に吹き飛ばされる。突然現れた巨大な人型は、天敵者(アグレッサー)を完全に組み敷いている。流石の天敵者(アグレッサー)も、直立すれば二階の窓位ありそうな巨人の重量には手も足も出ないようだ。うつ伏せ状態で抑え込んでいるため、爪も牙も届かない。

 

「ヒカルくん、今のうちに攻撃してください」

 

巨人からカナデ先輩の声がする。どうやら、あの巨人はカナデ先輩の強化外装骨格(アームドゴーレム)のようだった。抑え込まれても藻掻いている天敵者(アグレッサー)の頭部目掛けて、アイの打撃武器コレクションの一つの、柄の長さだけで2m以上ある戦槌を振り下ろす。本来ならGPのある存在には、特殊な血筋やクラス、あるいは武器がなければ、まともなダメージは与えられない。それくらいGPの有る無しは重要なのだが、ヒカルの魂はその力を殆ど失っているが、上位世界の存在である。そのおかげで少しずつではあるが、ダメージを与えることができている。

 

そして、しばらく叩き続けていると、ついには闇で織ったような黒いぼろ布だけ残し、消えていった。

 

「先輩、ありがとうございます。怪我はしてないですか?」

 

「大丈夫だよ~」

 

ぐったりとした強化外装骨格(アームドゴーレム)の中から声がする。どうやら先輩は直接乗り込んで操作していたようだ。

 

天敵者(アグレッサー)がドロップした、装備したら確実に呪われる布を保管庫(ストレージボックス)にしまいながら、先輩にもう一度お礼を言う。

 

「先輩が助けてくれなければ、かなり危ないところでした。改めてありがとうございます」

 

「今のが天敵者(アグレッサー)なんだね。ていうか、天敵者(アグレッサー)って倒せたんだね」

 

その後、一年二人の介抱を先輩にまかせ、僕はさっきのエンジョイ勢が残していった武器やカバンなどを回収していく。リーダーっぽい奴がつけていた雑嚢は、なんと容量はそれほどでもないが不思議鞄(マジックバック)だった。

 

荷物を集め終わる頃には、女子二人もある程度回復し、ふらつきながらも歩くことができる程度には回復したので、また天敵者(アグレッサー)が出現しないうちに移動することにした。

 

たまに出会うオークを狩り、三人のレベルも上げながら次のゲートを目指していると、閉門時間になり羅城門に帰還する。

 

三人をこのまま返すのはまずいので、冬子達に相談するため連れだって雲雀荘(ひばりそう)を目指す。

 

女子会からの帰りなのか、雲雀荘(ひばりそう)の玄関前で4人に遭遇する。見知らぬ女子を3人も連れているヒカルを見た4人は呆れた目で見てくるが、事情を話すために、とりあえず寮の食堂に移動する時に、忠一も帰ってきたため一緒に向かうことになった。

 

 

 

 

 

 

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