第『参』階層、『既知外』領域
ヒカルを中心にしてカナデ、楓、由良、大地、彩音の六人が第参階層に転移してくる、ダイブ前にカナデ、楓、由良、彩音の4人はアイに『
とりあえず既知外領域初体験組がある程度瘴気圧に慣れ一人で歩けるようになれば、冬子の誘導で進み始め近い玄室から順にゴブリンを無力化してパワーレベリングを始めるが、ゴブリンをあえて一体だけ残し大地くんが戦っている
「あれ?大地くんの武器ショートソードじゃないんだね」
「初心者セットの剣でも重そうだったからワシの私物を貸している」
ヒカルの呟きに忠一が答える
「あれ忠一のナイフなんだ」
「そうコールドスチル社のトレイルマスターだ。良いナイフだぞ、ヒカルも一本どうだ?……まあこれで『
大地くんの戦い方はまだ粗削りではあるがゴブリンの動きが良く見えているのか相手の攻撃は喰らわずに確実に傷を与えて居る、最後は破ら被れになったゴブリンが棍棒を振り上げ突進して来たところを足を払い前のめりに倒れたところをすかさず背中にナイフを突き入れゴブリンは瘴気に返っていった。
忠一が言うだけあり単純なセンスだけなら僕じゃ勝てないかもしれない。
カナデ先輩達女子組もこの玄室に居た20匹程度のゴブリンに止めを刺し急激にレベルが上がった様で既に無職組の三人は内股でモジモジしている。しかし休憩にはまだ早いので次の玄室に向かい同様の事を繰り返す、途中から初心者セットのメイスを使っている彩音さんに気が付いたアイが同じ趣味の人を見つけたみたいに早口に成りながら打撃のコツ等を教えていた。
これを繰り返し計算上では余裕を持ってクラスアップ出来るだけの数を倒し、流石に性欲の限界からか由良と楓は腰が抜けたみたいにヒカルに抱きついて歩けなくなり、大地は彩音に後ろから抱きつかれ耳を甘噛みされて
顔を真っ赤にして前屈みになっている。
(正直ダンジョンSEXはやりたくない、何で危険なところで無防備になる事をしなきゃいけないんだよ、でもこれから先を考えると仕方ないか)
「忠一!ここで一旦休憩をしようと思う」
「そうだな、流石にここで帰還玉はもったいない、分かった見張りは任せてくれ涼香・ゆかりかまわないか?」
「まーその状態だと仕方ないかな~ゆかりんもいいよね?
「ん・問題ない」
三人とも快く引き受けてくれた。
「ありがとう、次は見張りは任せてくれ」
「ヒカル〜」
アイが少し拗ねたような声で呼びかける。
「こっちには何かないのかな〜?」
「え?」
「だって〜、由良ちゃんたちばっかりずるいよ〜。私だって頑張ったのに〜」
アイは頬を膨らませながら、ヒカルの袖をくいくいと引っ張る。
「あ、ああ、もちろん。とりあえず今晩埋め合わせはさせてもらうよ」
「ほんと?約束だからね?」
アイの表情がぱっと明るくなる。
「でも〜、約束だけじゃちょっと不安かな〜」
そう言いながら、アイは人差し指で自分の唇をちょんと指す。
「え?」
「手付金♪ 今晩まで待つから、その代わりに今ちょっとだけ〜」
アイは頬を染めながら、上目遣いでヒカルを見つめる。
「はあ〜、しょうがないな」
ヒカルは苦笑いを浮かべながら、そっとアイの頬に手を添える。
「えへへ〜♪」
アイは嬉しそうに微笑むと、そっと目を閉じた。
二人はゆっくりと顔を近づけ、静かに唇を重ねる。短いキスだったが、アイの頬はさらに赤く染まった。
「これで満足?」
「うん♪ でも今晩はもっとね〜」
アイは満足そうに微笑みながら、ヒカルの腕にそっと寄り添った。
「アイちょっと付いて来てくれ」
アイに声をかけアイが装備している『
マットレスも携帯式の薄いやつだが地べたよりはいいだろう使い終わったシーツは隣に置いたゴム袋に入れてもらい洗濯して返してもらう。
此処まで準備をしたのは大地くんと彩音さんまだ二人とも経験がないらしく今回が初めてらしいのでせめて最初はと用意したのだ。二人の初体験なのだファーストダイブの時死に戻っていても彩音さんの初体験なのだ……。
二人をパーテションの内側に見送りこちらも先輩・由良・楓三人と奥の方に向かう。
片付けを終えて探索を再開し、マップに表示されたゲートに近づきつつ玄室を掃討していき流石に『
警戒しながら時間が来るのを待っていると、大地くんと彩音さんが声をかけてくる。
「ヒカル…いやヒカルさん今日はありがとうございました。今日一緒に潜ってみて自分がドンだけ遅れていたのかを痛感しました。自分だけじゃ彩音を守れなかった。だからお願いです俺達をヒカルさんの仲間に入れてください。お願いします」「おねがいします」
そういって二人はそろって頭を下げてくる。
「二人とも頭を上げてくれ。今日一緒に潜ってみて。二人とならうまくやれそうだ。それに自分達のクラブを作ろうと思っているからこちらからもお願いするよ」
ヒカルのその言葉に二人とも安堵の様子をみせる。
「ウチの方針は。人の女に手を出すな。そして自分のパートナーは絶対守れ、死ぬ気で守れ。負けるのは構わない、だが戦わずに諦めるのは許されない」
「もちろんです!ありがとうございます」ございます」
「まあ、なんだ…とりあえず敬語はやめてくれ」
そんなやり取りの後無事に閉門時間が来てダンジョンから脱出することが出来た。
ダンジョンを出て現在は『
各自無事にクラスアップできカナデ先輩が『
打ち上げも終わり、今日も『雲雀荘』で自分のパートナーたちと夜を過ごすが、さすがに2人部屋に6人も入ると手狭になってくる。
夜中に目が覚め、喉が渇いたので部屋から出ようとすると、冬子も起きてきて一緒に行くことになった。自販機の
前に行くと、いつの間にかツクヨミもいて、飲み物を奢ることになりベンチに座りながら飲んでいた。
「そういえばツクヨミ、あんたさ」
唐突に冬子がツクヨミに声をかける。
「あんた確か肉体のある人間だったのよね。でも今は霊体化みたいなことしてるけど、どうなってるの?」
その質問にツクヨミは一瞬何を言われたか理解できないような顔をし、やがて合点がいったのか話し始める。
「ああ、そういうことか。それはね、君たちが認識している謎のカラスの少女としてのツクヨミと私は全くの別物だからだよ」
「ん?どういうことよ」
「うーん、この話は私も詳しく聞いているわけではないんだ。君たちがこの世界に落ちてきた『理由』とも深く関わるから教えるけど、本当に大まかな流れしか私は聞かされていない」
(まさかこんな所でこの世界に来たわけを聞かされるとは)
「まず君たちがこの世界に来た原因を作った黒幕は……ズバリ黒川あかねが原因だ」
「まさかの人物の名前が出てきたわね」
「星野愛久愛海が死亡した後、黒川あかねは星野アクアと星野ルビーが転生者だという事実に気がついた。もう一度星野アクアに会うためにアクアを転生させようとしたが、向こうの世界のツクヨミにアクアの魂はもうこの世界には居ないだからもう再度の転生は出来ないと伝えられる。しかし諦めきれない黒川あかねは他の方法はないかと探っていくうちに、一つの能力にたどり着いてしまった」
「一つの能力?」
「そう、警察官の父親が保管していた資料の中に記された能力——インスタントバレットに」
「うっわ〜」「ないわ〜」
先日話題に上がった名称の出現にヒカルと冬子はあからさまに厄介ごとを感じ取る。
「しかし黒川あかねには、インスタントバレットを生み出せるほどの悪意は持ちえなかった。諦められなかった黒川あかねは、警察が保管していたCOLORFULのリーダーの資料から彼のプロファイリングを始めた。時間はかかったようだけど、彼のプロファイリングを完了して彼を演じてみると、なんと彼の『全知無能』を再現してしまった」
「そこから彼女は止まらない。この世界ではどうやっても再会が叶わないと理解した彼女は、別の世界で行動を起こした。そして世界間の行き来が比較的やりやすいこの世界を見つけた。でもそれだけでは望みは叶わない」
「だから彼女は世界に『推しの子』という概念を強烈に刻み込むことにした。手段は不明だが、より上位の世界から推しの子をよく知る魂を引っ張ってきて世界に焼き付けた。そしてこの世界は、星野アイというマリアが最初からいた世界になった」
「星野アイの誕生を見届けた黒川あかねは、アクアに会うために未来に向かっていった。でも一つ予想外だったのは、この世界ではアイのように見た目の良い孤児なんて、ほぼ間違いなくこの学園に送られるということだった」
「ん?あんた確かこの体に入れたのは神様だって言ったわよね」
「ああ、そうさ。ここからさ、黒川あかねが持ち込んだ『推しの子』という概念は、瞬く間に日本の神々の間に広まった」
「それが、どうしたのよ」
「簡単さ。神々がみんな推しの子のファンになってしまった」
「はぁ?」
「神様たちは『このままでは自分の推しが生まれなくなってしまう、どうしよう。自分たちが直接介入するのはまずい。そういえば丁度良いところに高次元の魂があるじゃないか。彼らに推しを守ってもらおう』ってことになった。それが貴方たちで、それをサポートするために生み出されたのが私よ」
「ちなみにアマテラス様はルビー推しだよ、赤子の頃のアマテラスの化身といってるところが特に気に入ってるみたいよ」
黒川あかねは未来に向かったという言葉に嫌な予想をした冬子がツクヨミに質問する。
「ちょっと待ちなさい。将来的にアクアに黒川あかねが会いに来るの?大人の姿で?」
「いや、そこは少し違う。黒川あかねはこの世界にやってきた時にはすでに物質的な肉体は持っていなかったみたいだ。だから将来アクアに繋がる縁の場所に自分を転生させる。その時にはほとんどの記憶は残っていないとだろうと予想されている」
そしてツクヨミは一呼吸ためて厄介な事実を話始める。
「ちなみにこれのせいで世界間の壁が揺らいでいて、数年間は異世界からの侵略が増えるのは確実になっているから頑張って防いでくれ」
「いや、迷惑すぎるだろ」
ツクヨミの説明を聞き終えた二人は、改めて自分たちが完全に巻き込まれただけであることを認識し。冬子は深いため息をつき、ヒカルはお茶を一気に飲み干す。
そしてお互い向き合い頷くと二人は立ち上がり、部屋へと戻っていく。
疲れたもう寝よう。
かなり無理やりですがアイが学園に居る理由の暴露回でした。