無事にファーストダイブを終えたぼくたちは教室に戻って解散となるはずが、女子だけは説明があると言われて残された。ぼくはといえば、冬子とアイから絶対に先に帰るなと厳命されたのと、あの状態の二人を残して先に帰るのは色々な意味で怖すぎるので廊下で説明が終わるのを待っていた。何故か忠一も一緒にダイブした女子に待つようにいわれているらしく、二人ぽつんと廊下に立って時間をつぶしていた。
忠一もあの装備はすべて背中の背嚢に入れてあるらしく普通の制服にもどっている。
「ヒカル、お前さんダンジョンの中の事覚えているだろう」
突然忠一が声を絞り衝撃的な事を聞いてきた、予想外の言葉に上手く返せずあからさまに動揺する。
「な、なんのことかなーダンジョンの中の事なんて覚えてないよ」
「いや、その態度でごまかすのは無理があるだろう。お前さんダンジョンについて結構
知っているんだろう? 聞きたいことがあるから、この後用事が終わったら寮の自室で相談したいことがある」
ごまかすのは無理だと考え素直に認める。
「わかった、後で自室にいこうか。でも部屋は結構壁が薄いし、先輩連中はダンジョンで身体能力が上がって耳も良いから、内緒話に自室はあんまり向かないぞ?」
自室で相談したいという忠一の提案にそうかえす。
「音楽でもかけながら小声で話せば大丈夫だろう」
「わかった。それじゃあ後で部屋で待ってるよ」
そんな約束をしていたら説明が終わった様で教室から女子達がぞろぞろと出てくる。
こちらに気が付いたアイと冬子が女子の流れを外れてこちらに近づいてくる。その後ろから、同じく流れを外れた女子二人が一人に手を引かれやってくる。
手を引いている方はロングの金髪でメイクをバッチリ決めた、これぞギャルといった風貌で、手を引かれていた女子は小柄で大き目の眼鏡をかけたおさげの女子だ。忠一によれば、どうやら後ろの二人は一緒にダイブした女子達らしく、この後自分たちと同じくカテドラルに向うらしい。それならと6人は一緒に移動することになった。金髪ギャルの女子は涼香さん。小柄な眼鏡っ子はユカリさんと言うらしい。
「あんまり早い時期に転職できると男子も女子も目をつけられて、嫌がらせや囲い込みなんかが有るらしいから、あまり知られない様にするべきらしいよ」
外伝作品に足の引っ張り合いの様な描写があったし、この学園だから無い方がおかしいと思い話す。
そのままカテドラルに着きまず涼香さんが入り、直ぐに出てくる。
「イヤーやっぱり無理だったわー」
そのまま順番に忠一チームから入場し、ついに自分の番になる。カテドラルの中は狭く、中心にいかにもな石柱が有るだけの空間だが、入った瞬間から中心の石柱が低い唸り声の様な音を出しながら発光する。石柱に触れると光が体に纏わりつくように移ってきて発光がおさまる。どうやらこれで終わりのようだ。外に出ながらステータス画面を確認する。
神木光Lv30
職種
定型技能
振り下ろし(武器を振り下ろす威力に補正)Lv5
踏みつけ(踏みつけ攻撃に補正)Lv1
聞き耳(足音等を聞き取りやすくなる)L2
振り分けポイント:0
力10
速7
防7
精3
操0
運0
取得可能技能
称号:霊落者
外に出ると忠一チームは用事があると先に移動する様で、自分が出てくるとまた後でと告げて、そのまま移動していった。その間にアイが入って行き、浮かない顔をして出てきた。
「ヒカルくん…遊び人だった…」
どうやらアイは遊び人にクラスチェンジしてしまった事で落ち込んでいるようだった。しかし、自分としてはおそらくアイは
こちらとしては非常に助かる職である。万が一自分たちが全滅しても、運が良ければ
「大丈夫だぞアイ。
「そうなのかな」
「大丈夫よ、アイ。逆にアイが
カテドラルから出てきた冬子が、事情を知らなければ悪口か皮肉にしか聞こえないような事をいいながらアイを慰める。
「言い方~。そういう冬子ちゃんは何になったのさ?」
「私は
冬子も予想どうり
マップの確認から周辺のモンスターの探知レイドクエストの際の座標指定からの入場と様々場面で必要な職だ、戦闘面もモンスターカードを用いた戦闘が強力だが戦闘力を重要視する普通科生の中では不人気な職だなおかつモンスターを召喚して戦う以上モンスターカードは必須なのだが、学園の女子が自力でモンスターカードを手に入れるのはなかなかにハードルが高い通常ドロップ率0.02%確率はダンジョンで狙ってドロップさせるのは現実的じゃないなおかつあまり戦闘力の上昇に期待できない
「ぼくは
「ナイトということはセカンドジョブなのよね」
「恐らくそうだったと思うよ」
「よかったじゃないこれからもよろしくね、それじゃあ行きましょうか」
冬子が言うと、二人に両側からがっちりと腕をホールドされ、そのまま彼女らの寮に連行された。そのまま部屋に招待されたが、忠一と合う約束があることを伝えて彼女らが所属している
自分のベッドに腰かけると、忠一が声をおさえて話し始めた。
「急に時間を作ってもらいすまんな。実はさっきのダンジョン実習で早めに確認したいことが出来てね。ヒカル、モンスターが死ぬとクリスタルを落とす事があるだろう? なら人間もダンジョンで死ぬとクリスタルを落とすのか?」
そう言って忠一は懐から取り出したモノを掌に載せてこちらに見えやすいようにする。
掌に載っているのは淡く光る多面体の結晶物。先ほど、ダンジョンの中で見ていたゴブリンのモンスタークリスタルとは明らかに違う結晶体。
「
実物は見たことが無いので断言出来ないが、
いてきた、という事だった。
「色々聞きたいことがあるけど、どうしてぼくが事情に詳しいと思ったのか聞きたいのだが」
そう聞いた忠一は軽く驚いた顔をした後、淡々と語った。
「まず初めにベッドの上に枕が無かった事。次に、ボーラを作ったと言っていたが工作の跡はあるのに作ったハズのボーラが無かった事。そして、部屋に有る私物の量が極端に少ないこと。この3つが最初の違和感で、特級科の事情に詳しかった事。その後の聞き込みで得た、生徒の中には生まれ付き異能が使える者が居ること、特級科の生徒はダンジョンの外でもスキルを使えるという情報から推理すると、おそらくヒカルは収納系の異能、アイテムボックスみたいな能力が使えるのでは、と思った。だから今回のダイブでも死んで居ないのではと思ってカマをかけてみたら、思った通り死んでなかったからコレの事を相談した」
えっ怖、なにこいつ。怖すぎなんだけど、なにコレ何この野生の名探偵。いや、枕が無かったり荷物が少ないだけでアイテムボックス持ちとか飛躍しすぎだろうけど、それで正解してるのがヤベーヨ!心の中で一通り罵倒したが、とりあえず落ち着かないとと思い無理やり話を進める。
「それがゆかりさんのだとしたら、涼香さんのはどうしたんだ」
「大丈夫だ。涼香は無事に生還させた。そしてコレがゆかりさんからドロップしたことを怪しく思い、ダンジョン内の事は覚えていないふりをしてもらっている」
忠一の行動に引きながらも、この世界だと中学までは原作の吐馬も野生の吐馬だった事を思い出して無理やり落ち着かせる。
「ぼくも詳しくは知らない。その結晶が
忠一は少し考えるしぐさをして、質問してきた。
「ということは、特級科はダンジョンで死亡していないのか?」
「噂では特級科生徒が
そう聞くと忠一は「分かった返してくる」と言って部屋を飛び出して行った。一人残されたぼくは、テーブルの上のお茶缶を手に取り蓋を開けようと力を込めた瞬間に缶が破れてお茶を被りびしょ濡れになった。なんでさ、スチール缶が紙コップを握り潰すような感覚で粉砕しまった。
通常スキップクラスアップでもこの様な事は起きないがヒカルはパラメータで力に振りすぎ操作性との差が開きすぎてしまい力加減が利かない状態になってしまっている。
「えっ、身体能力上がりすぎでは。原作でこんな力加減を間違える様な描写なかったろ」
飛び散ったお茶を拭き、そのままシャワーに向う事にしたのだが、シャツを脱ぐときに嫌な音がシャツから鳴り、危うく破いてしまいそうになって着替えに手間取ったりしたので大変だった。
そして現在、身だしなみを整えて
「やっと来た、早く来なさいよ」
「もー遅いよヒカルくん」
寮の玄関で待って居たらしい二人がこちらを見つけて駆け寄ってくる。二人は自然に左右の腕に抱きついてきて、そのまま寮の中に進んでいきそのまま二人の部屋まで誘導される。どうやら二人はルームメイトだったらしく、部屋に入るとそのままベッドに腰掛け、先ほどの忠一との会話を二人に話した。
「やば忠一くん。一般人なんでしょう? それでファーストダイブを生き残るとか、あの格好でも凄すぎない? それにちょっとしたヒントでアンタの能力に気が付くとかヤバいわね」
「フユちゃんあの…」
右側からアイがもじもじしながら冬子に話しかけると、冬子もアイの言いたいことを察したのか腕から手を放し上着を脱ぎ始める。二人とも学園指定のジャージ姿で飾り気は無いのだが、非常にイケない事のように感じて非常に気恥ずかしい。
「何してるのよ、アンタも早く服を脱ぎなさいよ。シャワーは浴びてきたんでしょう? 此処まできて今更なに恥ずかしがってるのよ」
「そんな急に言われたってもっとムードとか有るだろ」
「その顔で何童貞みたいなこと言ってるのよ、早く脱ぎなさいよ」
「童貞だよ正真正銘の!」
「うだうだ言ってないで早くしなさいよ。どうせ避妊の心配も無いんだから。まったく、アイ! こいつの服さっさとひん剥いてやるわよ!」
「オッケーふゆちゃん!」
そういって二人は飛びついてヒカルの服を脱がし始める。身体能力が急激に上昇したせいで先ほど力感覚を間違えて未開封のスチール缶を紙コップみたいに破壊してしまったヒカルは抵抗する事も出来ず、美少女二人になすがままにされるしかなかったのだった。