IS学園から脱獄した少年   作:ネガ

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どうもです。今回は大河のやるべき事の1つ「何故自分がISを扱えるのか」を知るという事で、その前に知ってはいけない真実を知る話。







Case10 禁忌の秘密

IS学園の国際規約としていかなる組織の介入や干渉は認められないというものがあるのだが、実態としては亡国企業やIS開発企業があらゆる手を用いて接触を図ろうとする為半ば有名無実化しているのが現状だ。男性操縦者である一夏は世界初の男性操縦者として広告塔、特に大河はISの優位性を誇示するプロパガンダにうってつけの為、執拗にコンタクトを図ろうとIS学園にひっきりなしに企業や研究機関がやってくる。そして今日も…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「井上君。君にお客様よ。「黒竜エレクトロニクス」の電子装備部門の方々が、鉄鋼神の電子装備の開発に協力したいって面会を望んでるわ」

 

「そこ九龍グループ系列の企業ですよ。追い返してもらえませんか?」

 

「もちろんよ。今月に入ってもう15社。ホントに困ったわね…九龍グループには…」

 

楯無もうんざりするほどだ。誰もが知る有名IS企業の勧誘などもあるのだが、九龍グループは大河に対して執拗にコンタクトを図ろうとする。考えられるのは鉄鋼神の技術や秘められた機能の略奪やら大河自身の拘束。外交カードとして利用も考えられたりと挙げるとキリがない。

 

「大丈夫か?大河。俺のとこにもIS企業から来るけど大河に関しては何か、異常すぎないか?」

 

「ならずもの国家のIS企業に目つけられてるからな。九龍鉄鋼集団公司、黒竜エレクトロニクス、海南造船集団、上海航空工業集団、CTGC…全部九龍グループ系列だ。これからもっと来るぞ」

 

ひっきりなしにやってくる九龍グループ系列のIS企業。日本企業かと思いきや実際は九龍グループ系列だったりとあの手この手で来る。すでにうんざりしているが、これからもどんどんやってくるだろう。そして最終手段も行使する事も…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時を同じく、日本重工IS研究所では2人の職員が廊下を歩きながら現状を憂いていた。

 

「しっかし、どこから情報が漏れたんでしょうね…?」

 

「はぁ…困ったもんだ…せっかく苦労して開発したというのに…」

 

「今までも九龍グループには何かと研究成果も技術も持ってかれてますからね…」

 

鉄鋼神に密かに搭載された機能が九龍グループに漏洩した事だ。実は日本重工もかつて九龍グループや系列の企業に研究成果や技術を盗まれていたのだ。

 

「ホント危険な国の企業ですよ…」

 

「あぁ。あいつらウチが開発した荷電粒子砲の急速冷却装置や脚部用スタビライザーとか、いつのまにかさりげなく製造して特許取得してるからな…それを指摘したらウチにサイバー攻撃してきやがった。盗人猛々しいもんだよ」

 

目的の為なら手段を選ばない九龍グループに対して不満を漏らす研究員達はエレベーターに乗るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァァァァ…!これからどうするか…」

 

場所は変わりIS学園の寮。大河はひっきりなしに来る九龍グループ系列の会社のオファーを断りながら過ごしていた。もはや何のためにここにいるのかすら分からなくなってくる。それでも…

 

「忘れてたまるか…!そもそも俺何故ISを動かせるのかを探らないといけないんだよ…」

 

本来の目的の1つである自分がISを動かせる理由を解き明かさなければ。その為にはここで終わるわけにはいかないのだ。

 

「大河。入るぞー」

 

そこへ一夏が大河の部屋へやって来た。

 

「どうした一夏?背中に人の顔が浮かび上がったのか?」

 

「そんな訳あるか!……これ千冬姉から。1週間後に俺達を対象に健康診断があるってさ」

 

「なるほどねぇ……ん?」

 

一夏から渡されたプリントには1週間後に健康診断があるとの事。身長、体重、血圧等ありふれた内容の検査だが注目するべきものがあった。それは、「血液検査」だ。

 

(これだ…!)

 

血液のDNAを調べる事が出来れば真実に辿り着ける。ようやく見つけた突破口。この日を逃したらもう次はないかもしれない。大河にとっては千載一遇のチャンスだ。

 

「最悪だな…これはまずいぞ」

 

「ん?どうかしたか?」

 

「1週間ハンバーガー食えないじゃん」

 

「いやそこかよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして1週間後…その日を迎えた。

 

「よし。来たな」

 

千冬の前に立っているのは一夏と大河だ。

 

「これからお前達には健康診断を受けてもらう。受けてもらうのは対して普通の診断だ。事前に医者達には妙な事をするなら拘束すると釘を刺しておいたから安心しろ」

 

「分かりました」

 

こうして、一夏と大河の健康診断が始まった。身長、体重、血圧、視力、聴力、レントゲンといったごくありふれた検査を行った後に血液検査が始まった。

 

「はいじゃ腕捲ってくださいね」

 

まず一夏から血液を抜かれ、次に大河が血液を抜かれた。検査は無事に終わり、2人は廊下で合流した。

 

「ふう…何とか終わったな。よし。それじゃ戻ろうぜ」

 

「一夏。先戻っててくれ。俺トイレ行ってから戻るわ」

 

「おう。分かった」

 

大河はそのままトイレに向かい、一夏はそのまま教室へ向かって行った。そして、大河はトイレから出てきた。いよいよここからだ。大河はそのまま血液検査をした部屋に向かい、のぞくと、男性医師が2人の血液を検査にかけようとしていた。

 

「はぁ…トイレ行ってくるか」

 

男性医師がトイレに向かう為に席を外した。幸いな事に部屋には誰もいない。大河は隙を見て血液の入った試験管が置かれた机に向かい、懐から前日用意した2本のピペットとゴム栓がはまった試験管2本を取り出した。2本の試験管にはそれぞれ一夏と大河の名前が書かれたシールが貼られている。あまり時間はかけられない。試験管からゴム栓を取り、まず一夏の血液をピペットで吸い取る。次に自分の持ってきた試験管の中に一夏の血液を入れた。

 

(よし…!)

 

すぐにゴム栓で塞ぎ、マジックで「一夏」と書いた。次に自分の血液が入った試験管からもう1本のピペットを手に取り、試験管のゴム栓を抜いた。その時…

 

(!?)

 

廊下から足音が聞こえてきた。医者が思ってたより早く戻ってきたのだ。

 

(まずい…!)

 

大河は焦った。ここで見つかったら自分の計画が全てがぶち壊しだ。そして、医者が部屋に戻ってきた。そこには誰もいない。

 

「さてと、2人の血を検査にかけるか」

 

何事もなかったかの様に医者は作業に取り掛かった。その後ろでは、机の下に大河は隠れていた。入ってくる瞬間に咄嗟に身を隠していたのだ。息を殺し、見つからない様に匍匐前進で出口へ進んでいく。ここで見つかったら全てが水の泡だ。ゆっくりと、確実に進んでいく。そして、気づかれる事なく部屋を出た。手には、「一夏」「大河」と書かれた血液の入った2本の試験管。

 

(これでよし…!)

 

深いため息を吐き、目的は果たした。そして、放課後に大河はある人物に電話をかけた。

 

「もしもし? 俺だけど…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間後。大河は外出許可を取ってある場所へ向かった。

 

「いや〜まさか電話してくるとは思わんかったよ」

 

「こちらこそ久しぶりだよ叔父貴。どうしても調べて欲しい事があってさ」

 

とある邸宅で大河は叔父貴という男性と話していた。彼の名は井上正吾。大河の父である井上寿一の弟で大河の叔父だ。現在は病院の医師で大河の主治医でもある。

 

「それはいいんだが、尾行されてないか?」

 

「……今の所は。一応携帯も電源オフにしてる。GPSで探知されるかもしれない。それで本題に入るんだけど…」

 

大河はショルダーバッグから血液が入った2本の試験管を取り出した。

 

「何だこれ?」

 

「織斑一夏と俺の血だ」

 

「は!? お前それどこで手に入れた!?」

 

「声が大きいって!1週間前に健康診断があったからそこでくすねてきたんだ」

 

「お前なんでそんな事を…」

 

大きな声を出す正吾に声のボリュームを下げる様促しながら入手経路を説明した。IS学園で何とか正気を保って生活している事も話した。そして自分が何故ISを動かせるのか解き明かす為にも。

 

「なるほどねぇ…兄貴といいお前も苦労してるんだな…」

 

「父さんはどうしてる?」

 

「毎日の様に九龍グループやその系列企業の奴らを社員達と追い返してる。これじゃいたちごっこだよ」

 

寿一と日本重工もまた九龍グループが執拗にコンタクトを図ろうとする度に、従業員達が何度も何度も追い返している。キリがなく業務に支障をきたすほどだ。

 

「とにかく、これを調べて欲しい。何か分かるはずだから」

 

「分かった。とりあえず俺の研究室へ行こう。尾行されないようにしないとな」

 

正吾は大河を車に乗せて自身が所有する研究室へ向かった。走行中大河が九龍グループの関係者などが尾行していないか何度も確認するなど、神経をすり減らす事となった。

 

 

 

そして正吾の研究室へ到着。そこには様々な医療関係の道具や薬品があちらこちらに配置されている。正吾は一夏と大河の血液が入った試験管を分析装置にかけた。

 

「これで調べてみる。何かあったら呼ぶから尾行されてないか見てきてくれ」

 

「分かった」

 

大河が部屋の外に出ると、正吾はまず一夏の血液を調べた。赤血球や白血球、血小板やヘモグロビン濃度に関しては変化は無し。

 

(白血球とかは何も無しか…大河には悪いが…いやまてよ…?)

 

正吾にはあるもう1つ確かめる検査がある事を思い出した。それは染色体。ISが動かせるなら遺伝子が関係しているのではないかと大河が話していた。まさかとは思うが念のため一夏の血液を分析装置にかけた。

 

「ま、何もないと思うんだけどな…」

 

そして、分析結果が出た。

 

「お。出た出た。さて、どうなって……っ!? こ、これは…!?」

 

分析結果を見た正吾は何もないと思っていたが、分析結果にまるで鳩が豆鉄砲をくらった様に驚愕した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「叔父貴。今の所誰もいなかったよ」

 

「大河!こっちに来い!」

 

見回りを終えて部屋に入ってきた大河に気づいて正吾が驚いた表情で声を大きくして呼んだ。何事かと大河は正吾の元へ向かった。

 

「叔父貴!どうしたの!?」

 

「これを見ろ!織斑一夏の血液の染色体だ…!」

 

「染色体!? どれ……ッ!?」

 

正吾が分析装置のモニターを大河に見せる。そこに映されていたのは、本来の生物学で決してあり得ない結果を示していた。その結果に大河も驚愕した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「XY染色体の大きさが…………逆…!?」

 

一夏のXY染色体は何故か、本来の男性が持つXY染色体の大きさとは逆になっていた。

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?ついに次回大河は自分がISを動かせる秘密にたどり着く事になります。原作12巻で禁忌のXY染色体を一夏が持つという事で、禁忌っぽく染色体の大きさを逆にしてみました。あくまでも原作の所の自己解釈なので細かいところはスルーでお願いします。今回はここまでです。感想お待ちしています。
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