世界の男性で2番目にISを起動させた井上大河。最初にISを起動させた織斑一夏と共に男性達の希望となると決めつけられていたが、その望みを打ち砕くかの様にIS学園から脱走して逃亡。そのまま行方をくらませた。彼はどのような人物なのか。そしてなぜ逃亡という道を選んだのか。それを知るために世界は井上大河とは何者なのかを知るべきだろう。
井上大河は、2007年7月に東京都で誕生した。父は自衛隊の装備等を開発する大手企業日本重工の社長の井上寿一で母は若き東京都議会議員の早川雅美。大手企業社長と政治家という非常に恵まれた家庭に生まれた大河だったが、親ガチャ成功とは手放しに喜べない事情があった。
雅美には寿一と結婚しているにも関わらず、隠し子がいたのだ。それは雅美と愛人との間に生まれた大河の3歳上の異父姉である早川沙彩。政治に携わる雅美に隠し子がいたと知れ渡れば雅美の地位は確実に失墜する。雅美は沙彩の存在を世間と寿一に隠し続け、沙彩を自信の親戚に預けて大河を東京の邸宅に隔離して育てた。雅美は外界から切り離された存在である大河を溺愛。寿一も雅美がやけに大河の事は任せてほしいとしつこく言ってくる事を疑いながらも大河をひどく可愛いがり、いずれ社長の座を譲ってやりたいと思うほど愛した。
寿一は会社の成長の為に事業を拡大していき、雅美は次期国会議員としての地盤を着々と固め、大河が3歳の頃にようやくその存在を寿一に明かして沙彩の実父は死んだと伝えた。歪な関係だったが寿一も沙彩を娘として受け入れ、大河も沙彩も寿一と雅美に愛情を注がれ、何不自由なく育った。
それから大河が5歳になっていた2012年。IS…「インフィニット・ストラトス 」の登場だ。開発者は篠ノ之束という自他共に認める天才科学者。…いや、「天災」という方が正しいか。しかし、その発表を世界は鼻で笑い見向きもしなかった。しかし1ヶ月後、歴史が動く事件が起こる。
突然日本を射程距離内とする世界の軍事基地が一斉にサイバー攻撃を受けてハッキングされ、約2300発のミサイルが日本に発射されたのだ。しかし、その半数をたった1機の白いISがその半数を迎撃したのだという。そのISを捕獲もしくは撃破せんとする各国の軍の戦闘機や駆逐艦をも無力化し、死傷者もいなかったという。
しかし、このニュースを見た寿一はこう思った。
「嫌な予感がする」と。
その予感は的中した。
ISの前では既存の兵器は鉄屑と化し、ISが女性しか扱えないという事が判明した瞬間、「女性=強い」いわゆる女性至上主義思想が蔓延を始めた。
「今こそ女性の力で日本を、世界を動かしていきましょう!」
その最前線に立ち演説をしているのが雅美だ。瞬く間に女性優位政策が加速し、女性達は横車を押し、無理を通らせ道理を引っ込ませる。
男性の主張は「女性への差別・ヘイトだ!」という形で封殺されるほど。寿一がテレビをつけてもニュースやドラマはもちろん、バラエティやワイドショーに音楽番組、アニメや子供向けの教育番組ですら女性とISの優位性を誇示するプロパガンダばかり。まるで共産主義国家にいるような気分になった。
「いつからこの国は独裁国家となったんだ…」
正確に言えば民主主義の皮を被った独裁国家と言えるだろう。ただ、日本はまだ可愛いもんだと海外のSNSユーザーは発信していた。アメリカや韓国、中国やロシアにヨーロッパは日本より更に酷いらしい。その措置は言葉では表せないほどのものだ。男性達は常に女性の顔色を伺い、密告や冤罪等に怯えながら暮らすようになった。
「沙彩と大河を雅美に利用されてたまるか…!」
それから寿一は沙彩と大河を雅美に会わせない事にした。少しでも接触させれば間違いなく自分の思想を押し付けて洗脳するに違いない。母の代わりに父や協力者に教育を頼んだ。沙彩を女尊男卑思想に染まらせない為。大河を雅美に消されない為に。そして中学受験を控えた大河は寿一にある提案をした。
「父さん。頼みがある」
「何だ?」
「俺の存在を世間から隠して欲しい」
「どういう事だ?」
意外な事を話す大河に寿一は何故かと問う。
「今の母さんはもう昔の母さんじゃない。権力を握れば間違いなく俺と父さんを消しに来る。だから姉ちゃんを世間に見せる父さんと母さんの子供にする。姉ちゃんは後ろ盾がつくから狙われる可能性は低いはずだからさ」
「……本気なのか?」
「うん」
「……分かった。私もお前と沙彩に辛い目に合わせたくない。…すまんな」
「気にしないでよ父さん」
大河の要求を受け入れた寿一も自分の子供に惨めな目に合わせたくない気持ちでいっぱいだった。
こうして大河は雲隠れし、沙彩が表向きの寿一と雅美の子供になった。真意を知った沙彩はひどく悲しんだという。
雅美には大河の存在を知られたら地位が確実に失墜すると説明し、雅美は「それもそうね」と素直に納得した。
沙彩は女尊男卑思想に染まることなく、世間に見せる寿一と雅美の子供として暮らしながらIS学園に入学し、その後優等生として卒業。現在は雅美から距離をおいてシンガポールで暮らしている。その裏で大河は寿一や支援者の手を借りながら素性を隠して一般人に紛れて暮らし、中学校を優秀な成績で卒業出来た。
そして、大河が15歳の時に運命を変える出来事が起こる。
「速報です!世界で初めて、男性がISを起動させました!起動させたのは日本の中学生の織斑一夏君です!」
その時歴史が動いた。織斑一夏が世界で初めてISを起動させたのだ。全世界を揺るがす出来事にメディアはこぞって取り上げた。世界はすぐさま自国にも男性でも起動できる人間がいるのではないかと一斉に検査を始めた。日本も同時に動き出し、乳幼児と高齢者を除く全ての男性が検査を実施したのだった。
「行きたくないな…でも行くしかない。どうせ反応しないだろ…」
高校受験を控えた大河も当然検査対象だ。しかし、検査しなければならない。大河は邸宅を出て会場へ向かった。
そして、検査会場についた。列は男性の長蛇の列だ。次々と男性がISに触れるが、ISはうんともすんとも言わない。列に並び静かに覗いてみると。奥にはガンメタルの装甲がギラリと光るIS「打鉄」が重鎮していた。
(あれが…IS…!)
本物を見るのは初めてだ。あんなものの為にこんな事をしなければならないのは遺憾だが仕方がない。そうこうしているうちに列はどんどん進んでいき、遂に大河の順番が回ってきた。
「次の方どうぞ。井上大河さんですね。ではどうぞ」
「はい」
職員に言われ、大河はゆっくり打鉄に触れた。その時、不思議な事が起こった。
「…!? 何だ…!?」
突如としていきなり脳内に送り込まれる処理しきれない程の情報。そして触れた手から光が溢れ、閃光が会場を包み込んだ。
「たった今入ってきたニュースです!男性で世界で2人目のIS起動者が現れました!起動させたのは日本の中学生の井上大河君です!」
街の街頭テレビや家電屋のテレビのニュースは大河がISを起動させた話題で塗り替えられ、街の人々は皆釘付けになっていた。
「あぁ…!」
自宅でニュースを見ていた寿一は愕然としてテレビから目を逸らし、頭を抱えた。
「これは…!」
気がつけば、大河は打鉄を起動させていた。その場にいた者達は全員驚愕していた。
「2人目が…現れた…!」
周りの職員達が驚きと喜びに湧き立つ中、1人大河が目を見開きどうしていいのか分からず呆然としていた。
「こんなはずじゃ……!」
その日、大河にとって長い1年が始まろうとしていた。
いかがだったでしょうか?今回は井上大河がどういった人でありどのような経歴なのかという話です。あまりパッとしないと思いますが、作者の足りない頭ではこれくらいしか思いつきませんでした。
次回は大河の試作専用機とかにかな…?原作やアニメの部分はほぼ無しと思ってください。
なお、この小説は政治的主張や特定の人物や団体等を誹謗中傷する目的で執筆された物ではありません。
好評で続きます。今回はここまでです。感想お待ちしています。