世界で2番目にISを起動させてIS学園に強制的に入学させられた井上大河。一夏は1組に所属し、大河は3組に所属する事となった。そんな中、一夏には専用機「白式」が与えられ、他の生徒達は皆驚愕した。ちなみに大河には、とある企業から自社製の試作機があるからそれを供与させて欲しいという事で結果的に専用機が与えられる事になった。しかし、そのISは少し変わっていた。
「試製多目的開発用IS?」
「そうだ。試作品のISを完成させたからお前に供与したいと名乗り出た企業からだ」
IS学園の廊下を歩きながら同伴する大河に説明する凛とした女性は織斑千冬。この学園の教師であり一夏の実姉であり、何と元日本代表でISの世界大会初代チャンピオンなのだ。初日の自己紹介の時の1組の女子生徒達の黄色い歓声や変態じみた声は隣の隣の3組にまで聞こえた程だ。その声を離れた3組の教室で耳にした大河は「イカレてる」と切り捨てた。何故担任ではなく1組の千冬が大河を案内しているのかというと、専用機持ちになるということで顔合わせとそのついでらしい。
「その企業の名前は?」
「日本重工だ」
「日本重工って自衛隊の兵器製造を請け負ってるあの?」
(父さんの会社だ…ISへの事業拡大は父さんから聞いていない…恐らく国から依頼されたんだろう)
試作戦闘機を供与したいと申し出たのは父の寿一が社長の日本重工。何の意図があるのかは不明だが、国から何かしら言われているだろう。そうこう考えてるうちに第2整備室へと到着した。
「織斑先生、井上君。お待ちしていました」
2人を待っていたのは緑色の髪に眼鏡をかけた教師。1組の副担任の山田真耶だ。上から読んでも下から読んでも山田真耶だ。
「山田先生。試作専用機は?」
「はい。先程到着しました。こちらが井上君の専用機、「鉄鋼神」です!」
真耶が示すそこに、「鉄鋼神」と呼ばれたISがどっしりと鎮座していた。ガンメタルの装甲をギラリと光らせ、黄色と黒の警告色の塗装が施されており、腕部には日の丸の塗装が。大河には少し気になった事があった。
(通常のISより少し小さく感じる…)
そんな事を感じながらもこれが自分に与えられたISなのかと実感した。
「これが、俺の専用機になるんですね」
「そうだ。これからお前には
「早く取り掛かれって…」
「早くしろ」
反論しようにも出来そうにない空気の中で大河は鉄鋼神に近づくが、目の前で足を止めた。
「……どうした?」
「あの、しばらく1人してくれませんか? じっくりと向き合いたいので。終わったら連絡します」
「…そうか。管制室にいる。終わったら連絡しろ。山田先生」
「はい。では井上君。失礼します。何かあったらすぐに連絡してくださいね」
「分かりました」
そう言うと、千冬と真耶は整備室を後にしていった。そして1人きりになった大河は改めて鉄鋼神と向き合った。
「はぁ…まさかこんな事になるなんてな。お前を動かせる。ただそれだけの理由で俺はここにいるんだよ。俺は知りたい。ISが人類に何をもたらすのか。この学園にいる奴等は、そんな事は微塵も思ってないだろうけど」
大河は鉄鋼神に語りかけた。自分は世界で2番目の男性操縦者。ただそれだけの事だ。大河はこの世界にISは本当に必要なのか。ISが何をもたらすのかを知りたかった。自分でも何を言っているのか難しいが鉄鋼神に搭乗し、作業を開始した。
「しかし織斑先生…この鉄鋼神というIS、通常のISよりも安価で製造されていたり、パッケージが武器類ではなく工具が大半を占めてます」
管制室にて千冬と真耶は日本重工から渡された資料を見ていた。それは、鉄鋼神がこれまでのISとは少し勝手が違っていた。
「カスタム・ウィングも小型化して、通常のISより一回り小型だ。軍事・競技用ではなく多目的開発用…ある意味原点回帰という訳か」
通常のISのコストを10とするなら、この鉄鋼神は6。低コストで製造されていたり、一回り小型だ。
本来ISは宇宙開発用に造られた物だ。全世界がそれを兵器として見て以降宇宙開発の技術は停滞し、今は競技として落ち着いている。この多目的開発用というのはどのような意図で製造されているのか。
「本来ISは宇宙開発用として開発されましたけど、今はもはやどの国も軍事転用しか考えていませんよね…」
「これは私の憶測だが、ISのイメージアップを目的としているのではないかと思います」
「イメージアップ…ですか?」
「多目的開発用と肩書きを加える事で軍事兵器としてのイメージを払拭し、ISの必要性と優位性を誇示する為の…いわば、プロパガンダの材料にするんだろう」
「プロパガンダ…」
今やISは最強の兵器として、女性達の優位性や権利を誇示するプロパガンダの道具と化している。そこで兵器として恐れられているISに多目的開発用と肩書きを加える事で軍事色を和らげ、必要性と優位性をアピールする為なのではないかと千冬は考えている。
「全く…どいつもこいつも織斑と井上を利用しようとする連中ばかりだ」
一夏と大河を政治目的やプロパガンダの道具に利用する者達に千冬は呆れ果てていた。自身もその様な人間達を見てきたのだから。
「標準搭載されているパッケージを見ると…確かに開発用には見えますが…」
「これらが搭載されている時点で、明らかに軍事利用するつもりだろう」
それから30分後、大河から作業完了の連絡が入り千冬と真耶は整備室へと向かった。そこにいたのは、鉄鋼神に搭乗する大河。保護メガネと防塵マスクが一体化したフェイスガードを装着し、カスタム・ウィングも小型化している。というか、通常のISより一回り小さいのだが。
「これで大丈夫ですか? 何だか一回りくらい小さく感じますけど」
「
「これから鉄鋼神は、井上君のパートナーですよ」
「……パートナー?」
真耶の発言に大河は疑問を感じた。
「ISにも人間の意識に似たような物があるんです。操縦時間に比例して操縦者の特性を、つまり「鉄鋼神」と一緒に過ごした時間によって井上君を理解しようとします」
「……」
「それによって更に機体の性能を引き出す事が出来るので、ISはパートナーとして扱ってください」
ISはパートナー。授業でも聞いた言葉だ。だが、今の大河はそんな考えが何の役に立つのかとしか思っておらず真耶の言葉を聞き流していた。
「…先ほどこのISについてざっと確認したんですが、これ作った人、いい趣味してますよ。悪い意味で」
大河は搭載されているパッケージのデータを千冬と真耶に表示した。標準搭載しているのは何を思って造ったのか特注のセイバーソーやグラインダーにドリル、バールに土嚢袋に伸縮可能のシャベルやペンチにハンマーといった武装というか工具だ。これならまだいいが、問題は護身用という名目で装備されている物だ。
「まぁ、これらがある時点で何となくは察しましたが」
装備されていたのは火炎放射器にしか見えないガスバーナー、ネイルガンという名のニードルガン、もはや工具ですらないガトリングを合体させたチェーンソーという代物。
「……開発者はお前に何をさせたいのかは私には分からん」
こればっかりは千冬も真耶も分からずじまい。
「まぁいいでしょう。それで解除はどうすれば?」
「解除と念じてください。そうすればISは待機状態に戻りますよ」
真耶に言われた通りに大河は念じた。
(鉄鋼神、解除)
すると、鉄鋼神は粒子化して解除され、待機状態となって大河の左腕に装着されていた。ISの待機状態はペンダント等アクセサリーの様な形になるが、大河の場合は黄色と黒の警告色の腕章となっていた。
「腕章か。このIS自体が警告なんだけどな」
そう大河は皮肉をこぼした。無事に専用機の
「織斑先生。井上君も織斑君も、何故男なのにISを動かす事が出来るんでしょうね…?」
「それが謎だからこそ、全世界が注目している事です。だからこそ私達教師は、出来る事をする。ただそれだけの事です」
廊下を歩き、教室へ戻っていく大河。
(俺のやる事は…もう決めている。……でも、まだその時じゃない。俺の計画は、まだ始まったばかりだ)
いかがだったでしょうか?大河の専用機の名前は「鉄鋼神」という名前にしました。パッケージなどは作者の趣味です。ちなみに3組なのは、1組から4組の中でバランスを保つ為です。
次回からは原作キャラが大河の事を回想するみたいな感じにしようかなと思ってます。なので原作やアニメのパートはほぼ無しになります。作者の足りない頭では長くなってしまうので…
今回はここまでです。感想お待ちしています。