IS学園を語るにおいて欠かせない物の1つ。「代表候補生」。彼女達はIS保有国の操縦者の候補生であり、実践データの蓄積や操縦技術向上の為専用機を供与させることがある。外国籍の生徒も在籍しており、まさにインターナショナルだ。そんなある日、6人の代表候補生が寮のロビーでガールズトークをしていた。その内容は…
「……突然だが、大河についてどう思う?」
口を開いたのは一夏のファースト幼馴染であり、長いポニーテールがトレードマークの篠ノ之箒。その一言で周りの空気が変わった。
「箒さん? 突然どうしましたの?」
お嬢様口調で話すのは金髪の巻き毛がトレードマークのイギリス代表候補生のセシリア・オルコット。突然大河について聞いてきた事に首を傾げた。
「あぁいや…何となくなのだが、気になってな。一夏と仲が良いからお前達はどう思っているのか気になってな…」
「確かに大河って一夏と仲良いわよね。クラスは違うけど結構色々話し合ってるみたいだし」
次いで口を開いたのはツインテールと八重歯がトレードマークの一夏のセカンド幼馴染で愛称は「鈴」の2組の中国代表候補生の凰鈴音も同調した。
「うん。放課後やグラウンドで朝練でも一夏と大河は2人でいる時が多いよね。何か僕達より仲いい気がするなぁ」
鈴音の言葉に頷きながら話すのは、金髪でボクっ娘のフランス代表候補生のシャルロット・デュノア。一夏からは「シャル」という愛称で呼ばれている。
「夫として嫁の動向は見守ってはいきたいが、少しは私との時間も設けて欲しいものだ」
何故か一夏を嫁と呼び自身を夫と言うのは銀髪と眼帯がトレードマークのドイツ代表候補生ラウラ ・ボーデヴィッヒ。彼女は日本の文化を間違って覚えてしまっており、少しだけズレているのが玉に瑕だ。
「最近は、整備科にも顔を出してる見たい」
と、大河が整備科に顔を出してる事を話すのは水色の紙に眼鏡がトレードマークであり4組の日本代表候補生更識簪だ。ちなみにアニメ好き。
話しているのはどうやら大河についての話らしい。では、専用機持ちと代表候補生の彼女達からは、井上大河はどう見えているのか。
「一夏から聞いてるのは、たまに変な事を言ったりしたりするとの事だ」
「変な事とは何ですの?」
「一夏に聞いたら「知らない方がいい!」と言われて教えてくれなかった。何故私に教えてくれないのだ!」
そう。一夏が箒に話したのはアレだ。一夏が全力で阻止したアレだ。何がとは言わないが。
「だが、一夏はそんな大河といい関係を築いている。私はいい幼馴染を持ったものだ」
心の中で何でお前が嬉しそうに話すんだと箒以外のメンバーは呟いた。
「わたくしが一夏さんから聞いた話は、政治やIS企業の事情の話もすると聞きましたわ」
「確かに大河って、政治やIS企業の話に関心持ってるよね。開発企業の会議に参加してて、耳にタコができるくらい企業の話を聞いたって言ってたよ」
シャルロットの言う通り、大河は日本重工の開発者の会議に参加しており、その度に海外のIS企業の話を聞かされているという。それゆえに一夏にも知識として頭の中に入れておけと言っている。
「大河さんの影響を受けて一夏さんも開発企業とのお話を検討してるとの事で、わたくしのブルー・ティアーズの事もより知りたいとおっしゃってました。うふふ。わたくし、一夏さんの新しい姿を見られるのが楽しみですわ」
心の中でだから何でお前が嬉しそうに話すんだとセシリア以外のメンバー達は呟いた。
「あたしが一夏から聞いた話だと、ハンバーガーが大好物って聞いたわね」
「うん。よく一夏とハンバーガーのレシピを考えてるみたい。整備科でも話題になってる」
鈴音と簪は大河がハンバーガーが大好物だという事。彼の作るハンバーガーは本当に美味く、常にレシピを考えてるという。
「そういえば大河はあたしと簪に一夏が作ったグラタンコロッケバーガーを食べさせてくれたわね〜」
「いち早く食べれて、ラッキー」
鈴音と簪が起爆剤を投下した。その時、箒達が驚いて目を見開いた。実は一夏の作ったハンバーガーを鈴音と簪は一早く食べていた事をいつか優位性をアピールする為に秘密にしていた。
「なっ…!」
「そ、それは初耳ですわ!」
「えぇ!? 僕それ食べてないよ!」
「夫である私を差し置いて手料理を振る舞っただと…!?」
「へへ〜ん。いいでしょ〜?あの味を知らないなんて残念ね〜」
「外はサクッとして、中のグラタンがクリーミーでとっても美味しかった…」
得意げに勝ち誇る鈴音と簪を見た食べた事もなければ聞いてもいない箒達は表情では見せる事のない苛立ちを隠していた。しかし、ここでシャルロットとラウラがカウンターを仕掛ける。
「そういえば大河って、最近任務でビルや廃墟の解体や、データ収集で廃材から拡張武装を作ってるんだよ。その時に、ラウラと一緒に手伝いで一夏と一緒に廃材の調達や瓦礫の運搬を行ったなぁ。任務の後は大河おすすめのハンバーガーショップで一緒に食事もしたっけ」
「大河には感謝しないとな。嫁と共に過ごす時間を作ってくれたからな」
シャルロットとラウラも大河の任務でちょうど手伝っていた一夏と共に廃材の調達や瓦礫の運搬行い、任務終了時に開発者との会議がある大河に3人におすすめのハンバーガーショップの食事券を受け取って一緒に食事した事を得意げに明かした。当然シャルロットとラウラ以外は知らない。なので…
「あの日用事があると言って鍛錬を断ったのは…!」
「抜け駆けですわよ…!?」
「い、一緒に食事…!?」
「2人とも…ズルい…!」
「人聞きの悪い事を言わないでよ。たまたま、たまたま一夏がいて一緒に手伝っただけだから」
「何を羨ましがっている? 夫が嫁と共に任務と食事をするのは当然だろう」
にこやかな笑顔とは裏腹に得意げに勝ち誇るシャルロットと不敵な笑みを浮かべて自慢げに話すラウラに箒達は嫉妬の感情を必死に抑えるのだった。
一方、一夏と大河はというと…
「なぁ、これなんかよくないか?」
「大河が考えてるのはフィッシュバーガーか!俺はエビカツにしようと思ってるだよ」
「エビカツか!アジフライとかも入れてみようと思うんだよな」
「いいなそれ!」
一夏と共に新たなハンバーガーのレシピを開発しているのだった。一夏もまた大河の影響でハンバーガーのレシピ開発にどっぷり浸かっていた。
大河の話をすれば、どういう訳か一夏に繋がってしまい、結局箒達が一夏との優位性をアピールしたり女子同士の駆け引きが行われたりするのはもはや名物なのかもしれない。
という訳で、彼女達から見た井上大河は「一夏と仲の良いときどき変な事を言ったりしたりする事を除けば政治やIS企業に関心を持つハンバーガーが大好物な男」という訳だ。
「お? いたいた。全員揃ってる」
箒達が声のする方向を振り返ると大河が歩いてきたではないか。
「ん? 揃ってガールズトークか?」
「何だ大河? お前こそどうしてここに?」
「いやぁ、また新しいハンバーガーのレシピを考えて、試作したのが出来たからお前達に味見してもらおうと思ってな。これが新しいハンバーガー、エビカツチーズバーガーだ!」
誇らしげに見せる皿の上には、出来立てのエビカツとタルタルソースをかけたレタスとチーズをバンズで挟んだエビカツチーズバーガーが鎮座しているではないか。
「あ、あら…そうですの…」
「ま、またハンバーガー…?あんたどんだけ好きなのよ…」
「ちょっと今はお腹に重いかな…僕は遠慮するよ」
と、全員が苦笑いして明らかに食べる気分ではないのだが、大河がここで起爆剤を投下した。
「でもこれ作ったの一夏だぜ? 箒達に食べてもらいたくて一生懸命考えたってよ」
「「「「「「ッ!?」」」」」」
大河のこの言葉で箒達の目付きが変わった。まるで獲物を狙う豹の様な目に。
「よし!私が味見をしよう」
「お待ちくださいませ!このわたくしが味わってさしあげます!」
「何言ってんのよ!あたしよ!あ!た!し!」
「僕も!僕も食べたい!」
「嫁の手料理を食べるのは夫である私の役目だ!」
「私も…食べたい…!」
一夏の考案したエビカツチーズバーガーの試食する権利を巡ってやいのやいのと騒ぐ箒達を見た大河はげんなりした表情を浮かべ、こう思った。「またか」と。
(何なんだよこいつら…)
一夏が関わる出来事を巡って箒達が争う姿は、これまでたくさん見てきたからだ。何を隠そう箒達は一夏に好意を寄せている。当の本人は唐変木で気づいていないのだが。
「あら? これが一夏君特製エビカツチーズバーガー?どれどれ。おねーさんが味見してあげる♪」
…とここで、箒達が争ってるその隙にいつの間に現れた楯無がエビカツチーズバーガーを食べてしまい、それを見た箒達は声にならない悲鳴をあげ血の涙を流し、一夏の部屋に全員で押しかけて一夏に作れとせがみ、通りかかった千冬に「騒ぐな馬鹿者共!」と一喝されて罰としてグラウンド30周を命じられたそうな。
「ハァ…!ハァ…!何で俺まで〜!」
一夏に非は無いのだがその場にいたという理由で箒達と共にグラウンド30周を走らされるのだった。完全にとばっちりである。ちなみエビカツチーズバーガーの評価は…
「100点満点!食堂で来月の限定メニューで出すわ!」
いかがだったでしょうか? ちなみに今回の時系列はまだ大河がIS学園にいる頃です。ヒロイン達の口調はこれであってますかね?話は作者の足りない頭で何とか執筆しました。
大河は一夏と仲は良いです。ヒロイン達が大河の話をすると、どういう訳か一夏の話になってしまいます。そしていつもの流れです。
次回は楯無から見た大河という話にしようかなと思います。
今回はここまでです。感想お待ちしています。