世界最強の兵器「インフィニット・ストラトス 」通称「IS」が既存の現代兵器を鉄屑にし、女性にしか扱えないという事はすでに説明済みだが、競技用というのも、無理があるという声は片っ端から抑え込まれているのが現状だ。そんな中で開発された「鉄鋼神」は表向きは多目的建設用だが笑って済まされない物も数多く装備されている。では、井上大河は建設や製造意外で普段どのようにして運用しているのか。
「…何ですかこれ?」
IS学園の廊下にて大河が見ているのは壁や天井が破壊され、あたりには大きなコンクリートの破片や塵に鉄筋が散らばっている光景だ。何故この様な事になったのか。外国の勢力などに襲撃されたわけではない。それは…
「あの馬鹿共がまたしでかした」
「今月に入ってもう9回目なんですけど」
千冬が言う「馬鹿共」とは箒達の事だ。毎度毎度の事だから彼女達は何かと問題を起こす時にISを展開するのだ。指定区域内でのISの展開は校則ならびに国際法で禁じられているが、彼女達は平然と違反する。頭に血が昇っているのか全く聞く耳を持たず騒動の後に必ず千冬に説教されるのがお約束だ。
「よくいつも反省文で済ませてますよね。無期謹慎か退学、最悪牢屋行きが妥当じゃないですか?」
「そうしたいのは山々だが、そうは問屋が卸さないのが現状だ」
大河からしてみれば校則違反と国際法違反をしでかす箒達の処分が甘すぎるというのが意見だ。
「で、これを修復しろと」
「出来るだけ早めにな」
「最低でもセメントが固まるまでは1ヶ月はかかりますよ」
「それを何とかするのが今のお前の仕事だ」
(本気で言ってんのかこの人…?)
毎月毎月校舎を損傷させる箒達に不満を持つ大河だが、毎回修復を押し付ける学園側や箒達の咎めが甘すぎる事にも不満を高めながら大河は鉄鋼神を部分展開させ、修繕作業に取り掛かった。損傷した部分をコンクリートカッターで切断しながら形を整え、自作したセメントガンでセメントを流し込み、コテで伸ばしていく。2時間かけて全体の修繕を終わらせ、後は区画を封鎖してセメントが固まるのを待つだけとなった。その後は壁のプレートを取り付け作業だ。
「この学園の教師はすぐに修復が完了するって本当に思ってるのか?」
一方その頃…
「はぁ…」
「生き地獄を…耐え抜きましたわ…」
学園寮のロビーでは、廊下を損傷させて千冬からの説教に耐え抜いた箒達が机に突っ伏したり椅子に力無くもたれかかっていた。
「あぁぁ…視線と言葉で殺されると思った…」
「おーい。千冬姉の説教お疲れ様ー」
そこへ一夏がやって来た。箒達が廊下を損傷させて千冬の説教を受けた後、その一部始終を震えながら見ており、その後様子を見に来たのだ。
「あぁぁ…一夏…」
「嫁の声が聞こえる…これは現実か…?」
「現実だよ。ん?何だこれ?」
机に突っ伏すラウラに苦笑いしながら一夏はテーブルに置かれている紙の束を発見した。他にもクリアファイルに挟まれた紙の束が椅子や床に無造作に置かれている。
「それは鈴が書いた反省文だ」
「どれどれ…「この謹慎を機に自分の立場を今一度見直さなければならないと思います。代表候補生としての自覚を改めて持たないと思いました。もう二度とこのような事をしないと決意します」……はぁ…」
絶対繰り返すと一夏は確信した。
「これをね、100枚くらい書かされたのよ!無理矢理!」
一夏が見ても分かるが、何回も何回も千冬から添削や訂正の受けた後がある。
「これは織斑先生に直接提出する物なんだ。何っ回も何っ回も、1回出すのに10回くらい書き直しさせられたなぁ…」
「何がいけなかったんだ?」
「教官曰く「言葉に中身が無い」「文章が拙い」「ありきたりで謝意が無い」…など思い返しただけで教官の言葉が刺さる…」
シャルロットやラウラの言葉を聞く限り、何回も何回も書き直しさせられたようだ。
「うう…このわたくしセシリア・オルコットにも困難が降りかかるとは…」
「これを見てくれ…「もっと書け」と言わんばかりにたくさん白紙のものも渡されてる…」
箒は疲れた様子で白紙の反省文の束を机に投げ出した。
「うっひゃあ…」
(ていうか箒達がむやみやたらにISを展開するからこうなるんだろ…)
…と、クタクタの箒達に苦笑いしながら、後で大河に教えてもらった「スパイシーチキンバーガー」でも作ってやるかと思うのだった。その後作ったのはいいが1食分しか作れなかったので誰が食べるのかで揉めて再び箒達がISを展開して寮の廊下を大きく損傷させてしまい、騒ぎを聞きつけた駆けつけた千冬に説教をくらい反省文200枚と校庭を30周ウサギ跳びで走らされる事になったのは言うまでもない。
そして、廊下を損傷させたと言うことは…?
「またあいつらが寮の廊下をぶっ壊したんですか!?」
当然、大河に伝わって修繕作業に駆り出されることとなる。大体は山田先生か楯無から聞かされる。
「織斑先生から修繕作業を大河君に依頼するって。それじゃ、後はよろしくね♪」
「ちょっと待ってくださいよ!今日もぶっ壊された廊下を修復して、まだプレートの取り付けと塗装も残ってるんですよ!毎度毎度俺に修繕作業やらせるのやめてもらえませんか!?」
箒達が引き起こすドタバタのせいで毎度毎度大河に修復が来る。大河自身の本音は業者に頼めばいいと思うが、無駄な金をかけたくないのと、丁度いいことに多目的建設用のISを専用機で持つ大河がいるから事足りる事を理由に大河に修復をやらせればいいというのが学園側の思惑だ。
「いつまでも過去に縛られてちゃ、前には進めないぞ♪ じゃ、そういう事で〜♪」
(何言ってんだこの人!?)
ウインクしながら訳の分からない事を言う楯無はあっという間に立ち去ってしまった。また余計な仕事を増やされ、休む暇もない。ただただ不満と苛立ちだけが大河に蓄積されていく。
「何なんだよこの学園の生徒と教師はぁぁぁぁぁぁぁっ!」
大河の叫びが虚しくIS学園の空に響くのだった…
いかがだったでしょうか? 今回は大河の鉄鋼神の使い道と問題を起こした箒達の裏側や大河が募らせる不満についての話でした。
最近暑くて全く執筆が進みません…何とか完結には持っていくのでよろしくお願いします。
次回は大河の裏側についての話にしようかなと思ってます。今回はここまでです。感想お待ちしています。