AC好きの高校生、透き通った世界に転生する。   作:はぶらし023

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終わりと初まり

 

 

 

 

X月X日

水族館に行ってからホシノがとても優しくなったように感じる。いつものツンツンとした雰囲気が和らいで、口調も冷淡な口調から温かみのある口調に変わった気がする。信頼されたのだろう。でもホシノの訓練はキツイままだった。水族館のことが嘘だったかのようにボコボコにされた。あの人にはまだ敵わないなぁと実感した。

 

X月X日

今日の依頼でACを使ってみた。

ゲヘナからの依頼で不良集団を蹴散らしてほしいと言われたのだが、人数が多いのと戦車などの戦力を保有している集団だったのでこちらも戦力が必要だったのだ。結果はもちろんこちらの圧勝だった。ゲヘナの風紀委員会も悩まされていた集団らしく、大量に依頼金を貰うことができたので3人で大喜びした。

 

X月X日

幾つかの依頼を終えたACの武器の銃弾とミサイル弾薬を補給するため、あの工場に戻った。

レバーの操作方法とかを手探りで見つけることができたので、おそらくACを新しく組み立てることもできると思う。だけど今は、とりあえずあいつに働いてもらおうと思う。

 

X月X日

新入生……もとい将来の俺たちの後輩の話になった。ユメ先輩は甘やかし、ホシノは逆にキツく鍛えて自分が働かなくとも勝手に金を稼げる様にしたいらしい。そんなことを言ってたもので、ホシノにユメ先輩を見習え!と言った所顔をぶん殴られた。痛う……。

 

X月X日

毎日ホシノにキツく鍛えられていたお陰である程度ホシノと戦えるようになってきた。この調子で行けばホシノを超える事も出来るかもしれない。ただやはり戦い慣れたホシノの瞬発力には敵わず、負けてしまう事が多い。……これに関しては場数を踏まないとなぁ。

 

X月X日

ホシノとユメ先輩の仲が悪くなっている気がする。

というよりか、ユメ先輩がお気楽すぎてホシノの怒りのボルテージが少しずつ溜まっっていると言ったほうが正しいか。……なんにせよ、ユメ先輩とホシノが大喧嘩して喧嘩別れ、なんてことにならないと良いのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───アビドス高等学校───

 

 

ホシノ「もう、何やってるんですか!

 

ユメ「ほ、ホシノちゃん、ごめんね。私のせいで……。」

 

ホシノ「ごめんじゃありません!どうして毎回毎回騙されるんですか?!」

 

アスカ「ま、まあまあ……確かにユメ先輩はアホだから騙されやすいけどさ、流石に言い過ぎだよ……」

 

ユメ「アスカ君酷いよぉ!?」

 

ホシノ「アスカも、ユメ先輩に甘くしすぎです。全く、こんな体たらくで「夢と希望に満ちたアビドス」なんて、よく言えたものですね……。もう2人で勝手にやっててください!」

 

ユメ「ほ、ホシノちゃん……?」

 

ホシノ「もう付き合ってられません!生徒会は終わりです!先輩達なんて知りません!

 

アスカ「おい!ホシノ!!」

 

 

ホシノはそう言って乱雑にドアを開け、教室から出て行ってしまった。……危惧していた状況が来てしまった。このまま喧嘩別れとか、流石に不味いぞ……どうしたものか。

 

ユメ「…………」

 

アスカ「……ユメ先輩……だ、大丈夫ですよ!きっと、すぐ機嫌を直してまた戻ってきますよ!」

 

ユメ「……そ、そうだよね!」

 

 

なんとも言えない顔をしていたユメ先輩を、何とか元気付けることができたようだ。……これから、なんか仲が良くなるような事ができるといいがなぁ……。

 

 

ユメ「……実は私、今から用事があって、銀行に行かないといけないんだけど……アスカ君に付いてきてほしいんだ。もしよかったら、一緒に来てくれる?」

 

アスカ「わかりました。どうせなら、あれに乗って行きましょうか」

 

 

窓から見えるACを指差す。

 

 

ユメ「え?良いの!わーい!楽しそう!」

 

アスカ「スピードは控えめにしますので。安心して乗ってください」

 

 

学校から出てグラウンドに鎮座しているACに乗り込む。起動してユメ先輩が乗れるように身体を下げ、腕をユメ先輩の前に差し出した。

 

 

ユメ「わぁ……」

 

 

ユメ先輩はおもちゃを目の前にした子供のように目をキラキラさせながらACの腕に登り、そのまま肩まで登りきった。ユメ先輩が肩に座った事を確認し、ACを立ち上がらせた。

 

コックピットに乗ったままじゃ意思疎通ができないので、スマホでユメ先輩に電話をかけてトランシーバーのような使い方をしてみた。

 

すると、ユメ先輩の楽しそうな声がスマホから聞こえた。

 

 

ユメ『アスカ君!すごく高い景色だね!』

 

アスカ「はい。しっかり捕まっててくださいよ!出発しまーす!」

 

 

そういえば銃を持ってくるのを忘れていたな……。まあ、ACがあるなら大丈夫か。

 

そうしてブースターを吹かして進み始めた。ユメ先輩に方角を教えてもらい、その方向に向かってACを動かす。

 

 

ユメ『……風が気持ちいいね〜』

 

アスカ「そうですね〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年少女移動中

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どのくらいの時間進んだだろうか。アビドス高等学校はもう見えず、周りは砂漠の景色だけ。……今さらだが、こっちで本当に合っているのだろうか。一応ユメ先輩にコンパスを持たせてあるので、帰れないことはないが……。

 

 

アスカ「……ユメ先輩、本当にこっちで合ってるんですか?なんか一向に目的地が見えませんけど……」

 

ユメ『方角的には合ってるんだけどなぁ』

 

 

その時だった。突然地面が大きく揺れ、辺りが砂嵐で覆われ始めた。

 

 

ユメ『きゃぁ?!

 

アスカ「?!ユメ先輩!捕まっていてください!!」

 

 

揺れが最高潮に達した時、地面から巨大な何かが飛び出した。それは白く、淡いオレンジ色の光を放っていた。

 

 

アスカ「……なんだよ……あれ……」

 

 

それは蛇だった。鯨のような頭を持ち、まるで兵器のように機械的で人工的な見た目の、巨大な蛇だった。

 

 

ユメ『……なに……これ……』

 

 

呆気に取られているとその巨大な蛇がこちらを見るなりミサイルを放ってきた。だが、すぐに反応し避けることができた。ミサイルはそのまま地面に当たり、爆発の衝撃が地面を伝ってACに伝わる。

 

アスカ「くっ……

 

ユメ『きゃぁ?!

 

 

ACの大きな身体が揺れるほどの衝撃が地面を揺らす。

 

巨大な蛇による攻撃、砂嵐。このままではユメ先輩が危険だと判断した俺はACの身体を下げ、腕を地面に降ろした。ユメ先輩を逃がそうと決心したのだ。

 

 

ユメ『アスカ君?!何をしてるの!?』

 

アスカ「降りてください!俺が食い止めます。速く逃げて!」

 

ユメ『アスカ君はどうなっちゃうの?!』

 

アスカ「俺は大丈夫です!……ホシノを呼んでください。それまで、先輩を守り抜きます。だから、早く!」

 

ユメ『……約束だよ』

 

 

ユメ先輩を地面に降ろし、立ち上がる。巨大な白い蛇へと身体を向け、構えた。

 

いつの間にか周りは強い砂嵐で囲われており、逃げ場のない戦場のようになっていた。

 

 

アスカ「……ふぅ……よし、行くぞ!!」

 

 

蛇に向かってアサルトブーストを吹かした。

 

蛇はこちらに向かってきたことを確認すると、口を大きく開いた。そして、開いた口のなかでエネルギーの玉を生成し始めた。

 

 

アスカ「?!

 

 

ある程度の大きさになった時、それはビームとなってこちらに牙を向いた。クイックブーストで左に避けて、蛇に近づく。ビームの通った地面が赤黒く焼けていて威力の大きさを雄弁に物語っていた。

 

充分に近づいたと思い、手始めにミサイルを放つ。頭を狙って放ったミサイル弾が狙い通りに命中した時、蛇は少し苦しむような素振りを見せていて、こちらの攻撃が効くことがわかった。

 

そうとなればと、サブマシンガンを蛇に撃ちながら次は左肩の拡散バズーカを放った。頭に向かって拡散しながら放たれた弾頭は、蛇の巨大な頭を覆うように命中した。

 

だが蛇もやられっぱなしではないらしく、反撃に出てきた。煙の中でまたもや口を開き、エネルギーを溜めてビームを放つ。こちらはそれをクイックブーストで小刻みに避けながら、ミサイルを放ちダメージを与える。

 

ユメ先輩は大丈夫だろうか。そう思いながら蛇を攻撃すると、苦しむ素振りを見せる。

 

───だが、決定的な1打ではないのは明らかだった。

 

左腕のチェンソーを当てることができるのなら、状況は変わると思うが……試してみる価値はあるだろう。

 

蛇の頭に向かってアサルトブーストを吹かす。蛇の口がまた開き、エネルギーの球が形成される。

 

 

アスカ「させるか……よっ!」

 

 

アサルトブーストによって蛇の頭上に飛び上がった俺は、頭に描かれた丸い紋様を目掛けて更にブーストを吹かしギュインと鳴り響くチェンソーを当てた。

 

すると、金属と金属の擦れあう音を響かせながら蛇の頭の装甲を徐々に削り取り、遂には内部が露出した。

 

ある程度削った辺りで、蛇が物凄い勢いで首を振り始めた。これ以上は危ないと判断し蛇の頭から離れ、地面に足を付ける。

 

頭を削り取られた蛇はこちらを向いて、怒りによるであろう咆哮を辺り一帯に轟かせた。

 

 

白い蛇「GUGYAAAAAAAA

 

 

アスカ「うお!?急に叫び出した?!」

 

 

咆哮をした次の瞬間から蛇からの攻撃が激化し始めた。ミサイルの数が増え、ビームを放つ回数も増え、さらには砂嵐の勢いも強くなってきた。

 

ユメ先輩が心配だ。大丈夫だろうか……。

 

そう思っていたところ、スマホから着信が来た。なんと、ユメ先輩からだ!

 

 

ユメ『アスカ君!大丈夫?!』

 

アスカ「大丈夫ですよ!そちらこそ、砂嵐とか大丈夫でしたか?!」

 

ユメ『いま砂嵐の外に出て、ホシノちゃんに連絡できたの!もう少しで着くって!』

 

アスカ「わかりました!任せてください!」

 

 

ホシノという希望が見えてきた!あとはそこまで戦い抜くだけだ!

 

とはいえ、ホシノが来るまである程度弱らせて起きたい。もう一度あの削れた部分を狙おう。

 

アサルトブーストで上へ向かう。蛇も狙いに気づいたのかミサイルで迎撃しようと弾幕を張ってきたが、難なく回避する。こちとらアーマードコアガチ勢だぞ、そんな生ぬるい弾幕は当たらん。

 

蛇の頭にチェンソーをぶち込むべく、もう一度ブースターを吹かした────その時だった。

 

 

アスカ「ぐあ?!」

 

 

突如、蛇が頭をとてつもない勢いで振り回しこちらに向かってその巨体を押し付けた。

 

見事当たってしまった俺……ではなく俺のACは、スタッガーと呼ばれるスタック状態に陥った。

 

スタッガーというのは、ダメージを受け続ける事で姿勢制御を司るACSという制御装置が限界を迎え、エラーを吐いてしまう障害のことである。

 

これは直るのに少し時間がかかるのだが、直されている間に攻撃を受けると普段よりも大きなダメージとなってしまう。

 

スタッガーによって硬直してしまったACを蛇が見逃すはずもなく、頭を振り回した直後に放たれた多量のミサイルによってかなりのダメージを受けてしまった。

 

 

COMボイス「AP 残り30%」

 

アスカ「ぐぅっ……」

 

ユメ『アスカ君!!大丈夫?!』

 

 

ACのダメージ状況を見るとかなり不味いことになっていた。こうなるってわかってたらもっとガチガチのアセンブル組んでたのになあ!?

 

 

アスカ「不味い、このままじゃ……」

 

 

蛇の猛攻は止まることを知らなかった。多量のミサイル弾幕、頻度の高いビーム攻撃。

 

避ける事で手一杯で、近づく隙も無い。

 

 

アスカ「クソ……」

 

ユメ『アスカ君!ホシノちゃんが来たよ!!

 

ホシノ『今そちらに行きます!耐えて下さい!』

 

 

打つ手無しの絶望展開だと思っていた戦況に、1つの希望が現れた。

 

 

アスカ「ホシノ!!

 

ホシノ『……あれが、巨大な白い蛇……』

 

 

ユメ先輩の携帯からホシノの声が聞こえる。避けているので手一杯だが、ホシノがいればなんとかなるだろう。

 

 

アスカ「攻撃は俺が引き付ける!攻撃を頼んだ!!」

 

ホシノ『気をつけてくださいよ!!』

 

 

通話を閉じて画面の左側を見ると、とてつもないスピードでホシノが走って蛇に近づいて行くのが見える。

 

 

アスカ「こっちだ!蛇野郎!」

 

 

ホシノに攻撃しようと向きを変えた蛇に向かってバズーカを叩き込む。バズーカを叩き込まれた事でヘイトがこちらに向き、ホシノがその隙を狙って蛇の身体を頭上に向かって駆け巡りながら蛇に向かって攻撃する。だが、装甲が硬いために効いている様子は見られなかった。

 

 

ホシノ「……あれを狙うしか!」

 

 

蛇の背を走り抜け飛び上がったホシノが空中で見たのは、見事に装甲が削れて中が露出している蛇の頭だった。

 

 

ホシノ「っ!!」

 

 

ホシノがそこに向かってショットガンを放つと、丸い鉄の弾が拡散し弱点の様に露出した部分にめり込んだ。

 

 

白い蛇「GYAAAAAAAAA

 

 

散弾を諸に食らった蛇は苦しそうにもがき、頭を振り回した。ホシノは吹き飛ばされ、砂の地面に強く叩きつけられた。

 

 

ホシノ「ぐあ?!」

 

アスカ「ホシノ!!」

 

 

地面に叩きつけられ動けないホシノに向かって、蛇は口を開けエネルギーの球体を作り始めた。

 

 

アスカ「させるか!!

 

 

俺は咄嗟に、ホシノをACの足で吹っ飛ばした。ホシノの硬さなら、このくらいものともしないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アスカ「後輩に優しくしろよ」

 

 

言葉が届くことは無く、俺は蛇から放たれた光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

アスカとユメ先輩に文句を言った後、少し時間が経ってから私は教室に戻った。でも、そこにはアスカの姿も、ユメ先輩の姿も無かった。あの人型兵器も無くなっているのを見るにユメ先輩を乗せて何処かに行ったのだろう。

 

少ししたら戻るだろう──そう思い、私は教室で待ち続けた。待ってる間の教室はいつもの騒がしさのない淋しい場所となっていた。

 

だが、いくら待っても戻ってこない。

 

焦りを感じた私はあの2人を探すために砂漠に赴こうとした。でも、丁度その時にポケットに入れていた携帯電話から着信が鳴った。

 

ユメ先輩からだ。

 

 

ホシノ「ユメ先輩!何処にいるんですか?!全く……少しくらい声をかけて……」

 

ユメ『ホシノちゃん!!急いでこっちに来て欲しいの!!アスカ君が危ない!!

 

 

その声はいつものお気楽な先輩の声では無く、ふざけた様子の無い緊急事態であることを言外から感じ取った。

 

 

ホシノ「?!分かりました。今すぐ向かいます!」

 

 

電話を切り、ユメ先輩の携帯のGPSを頼りに急いで砂漠に駆け出した。

 

アスカが危ない。それを聞いてこんな気持ちになるなんて、前の私だったら考えられないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユメ先輩の元にたどり着いた時、目の前には巨大な砂嵐ができていた。あの中でアスカが戦っているのだろう。

 

ユメ「ホシノちゃん!」

 

ホシノ「……なんですか……この巨大な砂嵐……」

 

ユメ「アスカ君と出掛けてたんだけど……急に大きな白い蛇が出てきて、攻撃されて……多分、砂嵐もその白い蛇が起こしてるんだと思う……」

 

ホシノ「……とりあえず、アスカを助けましょう」

 

ユメ「アスカ君!ホシノちゃんが来たよ!!」

 

ホシノ「今そちらに行きます!耐えて下さい!」

 

 

アスカの携帯と通話がつながっているユメ先輩の携帯に話しかける。急いでアスカを助けて、早く帰ろうと決意した。

 

ユメ先輩と共に砂嵐の中に入ると、アスカの兵器と頭の1部が削れた巨大な白い蛇が戦っていた。だが、戦況は良いものでは無かった。

 

蛇によるミサイルとレーザー攻撃によってアスカは防戦一方の戦いを強いられていた。兵器の損傷具合もかなり激しく、あと少しで壊れてしまいそうだった。

 

 

ホシノ「……あれが、巨大な白い蛇……」

 

アスカ『攻撃は俺が引き付ける!攻撃を頼んだ!!』

 

ホシノ「気をつけてくださいよ!!」

 

 

蛇に向かって走り抜ける。蛇はこちらに気づき攻撃をしようとしたが、アスカがヘイトを買ってくれたお陰で攻撃されることは無かった。

 

蛇の背中を駆け巡りながら蛇に対して発砲するが、まるで効いていないようだった。装甲が硬く弾丸をまるで通さないため、いくら撃っても効果が無かった。

 

 

ホシノ「……あれを狙うしか!」

 

 

蛇の背を走り抜け、頭上に上がるために飛び上がる。頭上にはあのアスカが削ったであろう傷跡がある。あそこを狙えばもしかしたら……。

 

飛び上がった後、空中でショットガンを構える。頭上の抉れた傷跡を狙いトリガーを引いた。

 

 

ホシノ「っ!!」

 

 

狙い通りに、放たれた弾は抉れた傷跡の中に入り、めり込んだ。蛇は咆哮しながらもがき苦しみ、かなりの損害を与えられた事がわかった。

 

 

白い蛇「GYAAAAAAAAA

 

 

しかし、蛇がもがき苦しみながら頭を振り回し始めたせいで、私はハエたたきに叩かれたハエの様にその巨体で地面に叩きつけられた。

 

 

ホシノ「ぐあ?!」

 

 

叩きつけられた衝撃で身体が動かず、目の前の巨大な蛇の口が開いた。その口からエネルギーの球体が形成され始め、私は思わず目を瞑って痛みが来ることを覚悟した。

 

───だが、身体に生じたのは真横からの鈍い痛みと衝撃だった。

 

 

ホシノ「ぐっ?!」

 

 

吹き飛ばされた。何かに。いや、何かは分かっていた。───分かりたくなかった。

 

 

ホシノ「?!アスカ?!逃げて!!」

 

 

手を伸ばした。掴める筈が無いのに。

 

ひたすらに叫んだ。聞こえる筈が無いのに。

 

強く願った。奇跡なんて起こる筈が無いのに。

 

アスカの機体は蛇の口から放たれた白い光に包まれて、砂煙が舞散った。

 

白い光も、砂煙も落ち着いた時、目の前に映った光景は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホシノ「───────っあ……」

 

 

蛇の攻撃によって、コックピット部分が焼け溶けた──人型兵器だった。

 

 

ホシノ「────っあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 

 

蛇に攻撃することも忘れて、ただ絶望に打ちひしがれた。泣き叫んだ。蛇は砂に潜り何処かに消え、砂嵐もいつの間にか消えていた。

 

気づいた時には、目の前で倒れている残骸のコックピット部分に縋るように走り寄った。でも、そこには何も無かった。

 

 

 

 

アスカは私を庇って死んだ。

 

私が動けなかったから死んだ。

 

アスカは私のせいで死んだ。

 

私がアスカを殺した。

 

私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が

 

 

ホシノ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 

そこからは、何も覚えていなかった。

 

気づいたら教室に戻ってきていた。ユメ先輩の顔が涙でぐしゃぐしゃになっていた。それを見て、また泣いた。涙が枯れるまで、ずっとユメ先輩と泣いた。ただひたすら、自分の無力さと絶望に打ちひしがれながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

 

使われてない教室でアスカの使っていた銃を撫でながら過去の事を思い出す。

 

あれから色んな事があったよ。後輩ちゃんが沢山増えて、アビドスはとても豊かになった。ノノミちゃん、シロコちゃん、セリカちゃんに、アヤネちゃん。

 

ユメ先輩も無事に卒業して、なんと連邦生徒会に雇われることになったんだって。聞いた時おじさんビックリしちゃった。

 

でも最近、連邦生徒会長が失踪しちゃって大変なことになってて、ユメ先輩も忙しそうだったよ。ユメ先輩によると連邦生徒会長が呼んだ大人が来てくれる見たいだけど……信じて良いのかな。

 

おじさんも、もう先輩になっちゃった。ユメ先輩みたいな優しい先輩になれたかな。

 

 

セリカ「ホシノ先輩!どこにいるの?!」

 

 

後輩ちゃんに呼ばれちゃった……もう行くね。

 

 

ホシノ「うへ〜今行くねぇ〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───連邦生徒会本部───

 

???「……い。……先生、起きてください。……先生!

 

 

鋭い声に呼び覚まされ、目を開ける。

 

 

‪‪”‬……?‪”‬

 

???「少々待っていてくださいと言いましたのに、お疲れだったみたいですね。なかなか起きないほど熟睡されるとは」

 

 

目の前の女性に声をかけられていたようだ。……誰なんだろう。

 

 

???「……夢でも見られていたようですね。ちゃんと目を覚まして、集中してください」

 

???「もう一度、改めて今の状況をお伝えします」

 

リン「私は七神リン、学園都市「キヴォトス」の連邦生徒会所属の幹部です」

 

 

どうやら、この女性の名前はリンと言うらしい。

 

リン「そしてあなたは恐らく、私たちがここに呼び出した先生……のようですが。」

 

‪”‬‪……うん?‪”‬

 

リン「……ああ。推測形でお話したのは、私も先生がここに来た経緯を詳しく知らないからです」

 

‪”‬‪……ええ?‪”‬

 

リン「混乱されてますよね。分かります。こんな状況になってしまったこと、遺憾に思います。でも今はとりあえず、私についてきてください」

 

‪リン「どうしても、先生にやっていただかなくてはならないことがあります。……学園都市の命運をかけた大事なこと……ということにしておきましょう」

 

‪”‬‪ついていく”‬

 

 

エレベーターに乗り、学園都市「キヴォトス」を高所から眺める。高いビルが立ち並び空は青く透き通っている。

 

 

リン「「キヴォトス」へようこそ。先生

 

 

 

 




アビドス過去編が終わりましたー!!次回からは本編に沿った内容となります!
先生の見た目は次回にでも出そうかなと思っております!
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