AC好きの高校生、透き通った世界に転生する。 作:はぶらし023
最初に出会った時は、怪しいにも程があった。襟足の長いウルフカット、女の様な男の様な、中性的な顔と体つき。身長は……約160cmという所だろうか。
そんなか弱く見える人物が、巨大な人型兵器に乗ってこのアビドスに現れた。
信じるべきではないのに、ユメ先輩はアビドスに案内し、お泊まり会をすると言い出した。私は全力で反対したが、ユメ先輩がどうしてもというので私の監視の元で一夜を過ごした。
お泊まり会ということで、怪しい人物……もとい、渡曾アスカとの話をしたのだが……驚きの連続だった。
「この世界の事を知らない」
「元は違う世界の人間だった」
「借金を返す手伝いをしたい」
……と、正直信じ難い話ばかり。
「この世界の事を知らない」というのは、「元は違う世界の人間だった」という話と繋がるのだが、元の世界の方でかなり壮絶な人生を歩み、子供を庇って電車に轢かれて死亡……かと思えば、この砂漠で目が覚めた……という話らしい。信じられない……。
そして、「借金を返す手伝いをしたい」……この話に関しては、本当に驚いた。
普通、「学校にかけられた億単位の借金を2人でなんとかしようとしている」という話をすると、大体の人が嘲笑するだろう。私だって、アビドスの人間じゃなかったら確実に馬鹿にしている。
でもこの人間は違った。
「当たり前ですよ。どんどん人が減っていく中で、あなたたち2人だけが、アビドスを想って守って来たんだ。馬鹿にするなんて、そんな屑な人間ではありませんよ。俺は」
……なんて、「よくそんな恥ずかしいこと言えますね」と言いたくなるほどの言葉で、私達を肯定してくれた。
その時から、少しは彼を見直して、ほんの少し、ほんの少しだけ彼を信じてみる事にした。
ホシノ「……信じた結果がこれ、ですか」
なんて言葉を溢す。目の前には、ベッドの上で寝たきりの渡曾アスカ。
あの戦闘の後、彼は意識を失い倒れた。急いで医者に連れて行ったお陰か命に別状は無いらしい。寝ている彼を見ると、銃に何発も撃たれ、爆発によってできた傷が。
ホシノ「……彼は、本当に……」
病院の椅子に座りながら、彼を見つめる。
正直、すぐに逃げ出してどこか違う所に行くのだろうと思っていた。こんな過酷な環境じゃ、普通の人ならまず逃げ出すだろう。でも彼は違った。逃げずに、アビドスを守るために、戦ってくれた。
ホシノ「……信じても、良いのでしょうか。……彼の事を」
アスカ「…………良いんじゃ、無いですか……?」
ホシノ「そう……ですよね………………は?」
今の……声は……
アスカ「どうしました……?そんな表情……初めて見ましたね……」
ホシノ「渡曾……アスカ……」
先程まで静かに眠っていた彼が、朧げに目を開けてこちらを見つめている。
ホシノ「……いえ、急に声をかけられたら、誰でも驚くでしょう。もう少し配慮してくれませんか?」
アスカ「……すみません」
…………人は簡単に信じてはいけないと分かっているのに、安堵してしまうのは何故でしょうか……とりあえず、ユメ先輩を呼びましょう。
ユメ「アスカ君……!怪我がなくて良かった……」
アスカ「まあまあ……泣く程でも無いでしょうに。」
ユメ先輩が来た。スマホで電話をかけたところ、1コールが鳴り終わる前に電話に出てきて、アスカが復活した旨を伝えた所
ユメ「すぐ行くよ!!」
と言って、電話の数分後に病室のドアが聞いたことも無いようなぐらい大きな音を立てて開いた。…………ここ学校から相当離れている筈なのですが。
アスカ「いやぁ……にしても、初めての戦闘であれだけできれば上等じゃ無いんですかい?ホシノさん」
ホシノ「……ええ、正直驚いています。的に当てる練習だけであれ程の成果を出せるとは。あとは依頼を受けて、問題なくこなしてくれるのなら文句は言いません」
アスカの銃の手入れをしながら、質問に答える。アスカは目を見開いて、驚きを隠せずにいた。
アスカ「ホシノさんが……人を褒めた?!」
なんだこいつは
ホシノ「あなたは私のことをなんだと思っているのですか?解答次第では……退院した後が楽しみですね」
おもむろに圧をかけながら、アスカの方を見る。アスカは冷や汗をかきながら、震えた声で答えた。
アスカ「え、あ、い、いやぁ……正直、ホシノさんが人を褒める所を見た事無かったし……なんかずっと不機嫌なイメージがあったから……」
ホシノ「……そうですか」
銃の手入れが終わり、戦闘で少し傷がついているマカロフをアスカの近くに置く。
アスカ「……すごい……あんなに砂埃とか付いてなのに、ピカピカだ」
ユメ「ホシノちゃんは銃のお手入れが上手なんだよ!すごいよね!」
ユメ先輩は本当に……少しのことでも人を褒める節がある。正直、恥ずかしいくらいに。この人は本当になんなのだろう……。
少しの苛立ちを覚えながら窓を見ると、景色が赤みがかっていた。
ホシノ「ありがとうございます……そろそろ夕方ですので、私はこれで失礼します」
ユメ「え?!もうそんな時間?!アスカ君、明日もまた来るからね!じゃあね!」
アスカ「さよなら〜」
病室の外に出て、急いで駆けて寄ってきたユメ先輩と一緒に廊下を歩く。少し歩いてから、ユメ先輩が話しかけてきた。
ユメ「ホシノちゃん、アスカ君、すっごく頑張ってたんだよ!ホシノちゃんも見て欲しかったなぁ……」
ホシノ「……そうですか、では、退院後に腕試しでもしてみましょうか。」
ユメ「腕試し?」
ホシノ「ええ、私とアスカの1対1で戦うんです。正直、彼が勝てるとは思えませんが」
ユメ「……手加減してね?」
ホシノ「流石に本気でかかりはしませんよ」
……多分
─────翌日─────
ユメ「お帰りなさい!アスカ君!」
アスカ「ただいまです」
速く病院に連れて行ったおかげか、アスカはかなり早く完治できたらしく、退院するための手続きなどをする為に朝早くから病院に来た。
アスカ「にしても、あんな傷だらけだったのがこんなに早く治るとは……ヘイローってすげえ!!」
ホシノ「…………」
“ヘイロー”その言葉を聞いて、とある“大人”が脳裏に浮かぶ。この力を狙って執拗に勧誘を続けてくる、悪い大人。何故か最近は何もアクションを起こしてこないのですが……警戒はしておきましょう。ユメ先輩やアスカに被害が広がるのだけは避ける為にも。
ユメ「……ん?ホシノちゃん、大丈夫?」
ホシノ「大丈夫です。気にしないでください」
アスカ「……?」
この2人だけには、絶対何もさせない。絶対に…………
アスカ「あのー……そういえば今日、自称ホシノさんの知り合いの人が会いに来たんですけど……明らかに怪しすぎるんですよね~……」
ホシノ「……は?」
嫌な予感がする。
ホシノ「そいつの……名前は……?」
アスカ「え?あー……ええっと、確か……」
想定していた中で、最低最悪のパターン。
アスカ「黒服、って言ってたな」
アスカとの接触
聞きたくない返答が、帰ってきてしまった。
ユメ「黒服?変な名前だね。ホシノちゃんは知ってるの?」
ホシノ「……いえ、知りません。そんな名前、一度も聞いたことがありません」
焦りと絶望を感じながら、返事をする。平然を装えてるかもわからないほど、余裕が押しつぶされて、鼓動の音が強くなる。
ホシノ「とりあえず、学校に、帰りましょう」
アスカ「どうかしましたか?なんか様子が変な感じですけど……」
ホシノ「なんでもありません。気にしないで下さい」
アスカ「……そうですか」
……………………沈黙。何とも言えない空気があたりに漂う。
そんな空気を壊すように、アスカが話し始める。
アスカ「あ、そういえば、これからここで過ごすにあたって、寝床というか、家が欲しいんですけど……どうすればいいですか?」
どうやら家のことらしい。
ユメ「それに関しては大丈夫だよ!アビドスの自治区にある使われてない空き家をアスカ君に使ってもらう予定だから!」
アスカ「そんなのあるんですね……」
ユメ「水も電気も通ってるから、安心して暮らしてね!」
アスカ「ありがとうございます!」
会話を聞きながら、これからのことについて考える。もし彼が、黒服に寝返るようなことになったのなら、私は彼に勝てるのだろうか。あの兵器、見たところかなりのジャンク品であることがわかる。一気に近づいて関節部をショットガンで破壊……いや、一度動きを見たほうが……いや、でも「…………さん?……ノさん!」
アスカ「ホシノさん!!」
ホシノ「……っ、すみません。考え事をしていました」
ユメ「考えすぎはよくないよ。ホシノちゃん」
ホシノ「……すみません」
アスカ「とりあえず、早く学校行って休みましょう。ホシノさんも疲れてるんでしょう、ゆっくりお休みすることも大切です」
ユメ「そうだね!学校で休めば、ホシノちゃんもきっと元気になるよ!」
ホシノ「……ええ、そうですね」
とりあえず、学校に着いてからこのことを考えよう。今考えてもキリがない。そう思いながら、学校に向かった。
アスカ「ふいー……着いたー……」
ユメ「二人ともお疲れ様!」
ホシノ「…………」
学校から帰った途端、ホシノさんは椅子に座り、ひたすらに考え込み始めた。
ユメ「……ホシノちゃん、相当疲れてるみたいだね。アスカ君を迎えに行ってから、ずっとあの調子だよ。病院が遠いからやっぱり疲れちゃうんだね」
アスカ「…………先輩、一回ホシノさんと二人きりで話をしたいんですけど、いいですか?」
ユメ「え?う、うん、いってらっしゃい!」
ホシノ(黒服とアスカの接触。なんと言われたのか、アスカに聞かなければ。もし私と同じような勧誘を受けているのなら……絶対にどうにかしないと、確実にまずいことになる。とりあえず、彼と話をしないと……)
考え込んで、真剣な顔でうつむいていると、アスカに声をかけられた。
アスカ「ホシノさん。場所を変えて、話がしたいです。聞きたいことがあるんです」
丁度良く、タイミングで話をするチャンスが。これを逃す手は無い。
ホシノ「……そうですか。では、少し離れた教室に向かいましょう。私も聞きたいことがあるので」
ユメ先輩のいない、二人だけの教室。今までにないほど、ピリピリとした空気が漂う。
アスカ「……俺から話してもいいですか」
ホシノ「……ええ」
アスカ「黒服ってやつと、何があったんですか?その顔は、過去になにかひと悶着あった人がする顔です」
ホシノ「…………」
アスカ「……答える気はゼロ、ですか。まあ、おおよそ黒服ってやつが、あなたに何かを持ち掛けている……みたいな感じですかね」
ホシノ「?!なぜそれを…………っ?!」
アスカ「ああ、合っていたんですね。昔から、顔を見るとその人がどんなこと考えてるとか、読み取ることができるんですよ。……で、何を持ち掛けられているんです?もしかして、借金についてなんか脅されてるとか、そんな物騒な話とかじゃないですよね?」
ホシノ「……気持ちの悪いぐらいお見通しなんですね。」
アスカ「当たっちゃってるんですね……」
ホシノ「ええ、訂正の余地もないほど当たっていますね。まあ、私はそんな奴の提案に乗るほど馬鹿ではありません、いつも断っています。……では、次は私の番ですね。」
アスカ「……何でも聞いてください。」
ホシノ「病院で黒服と出会った時、なんと言われたんですか。それに対して、あなたはなんと答えたのですか?」
次はアスカ視点です。
二人を守ろうと決意した矢先に、すでに黒服の手が……ホシノさんはどれくらい曇ったのでしょうか……素敵だぁ……本当に心が躍ります。
ACとブルアカのクロスオーバーのはずなのにAC要素が一切出てこないのはマジでごめんなさい。