赤ちゃん系Vtuver『
主にYtuveを中心に活動しているためVtuverと名乗り、配信活動は毎日の雑談配信にゲームプレイ動画や企業案件など多岐に渡る。
「キャー! ほ、ほんもののへのじちゃん様ですわぁ!」
「
正式なコラボ依頼という事もあり
『どどんぱち』は都内のオフィス街にあるビジネスビルの中に本社を構えており、初めて見る近未来のような内装にへのじちゃんは若干興奮しながら周囲を見る。さながら初めて上京したお上りさんのような姿に応対した『どどんぱち』の社員は微笑ましいものをみたような視線を向けている。
「はじめまして。私、『どどんぱち』でライバー専属マネージャーを務めております田中と申します。こちらが――」
「は、はじめまして。『
「あ、これはご丁寧に。私、池宮へのじの母の池宮りんと申します」
「『へのじちゃんねる』動画編集担当の明石です」
待合室で待たされること数分。やってきたスーツ姿の男性とカジュアルな服装をした女性が部屋の中に入ってくる。マネージャーの田中さんと渡部と名乗った女性がぺこりと頭を下げると、
そこから大体1~2分ほどの間、名刺交換の儀式が執り行われる。見慣れた光景にへのじちゃんは「
へのじちゃんが激動の昭和を思い出している間に儀式は無事終了したようで、待合室の椅子に座りなおした大人たちは田中氏の「早速ですが」という言葉を皮切りに話し合いを始めた。
「ご足労いただき誠にありがとうございます。弊社が提案したコラボ企画についてですが、『へのじちゃんねる』様としてはいかがでしょうか。互いに得るものが多いコラボだと弊社は考えているのですが」
「そうですね。当初は何故バーチャルをメインに活動される貴社からと思ったのですが、この内容であるならば私どもとしてもメリットは大きいと感じました。実在のベビー用品の実演をへのじちゃんが行い
「私も
田中氏とやい子が今回の企画に関しての話し合いを進めていく。企画としては割と単純なものであり、へのじちゃんが実際にベビー用品を使う所を撮影し、それに
渡部は舌足らずな喋り方で本物の赤ん坊が話しているように感じる点で人気を博しているが、実際に彼女が赤ちゃんグッズを使用しても……その……となってしまう。故に実演するモデルとなる赤ん坊を探していたのだが、そんな時にへのじちゃんの存在を知って急いで企画を立ち上げた、というのが今回の発端である。
「へのじちゃんならちゃんとモデルをしてくれるって思ったんですぅ。普通の赤ちゃんだと、ご機嫌次第になっちゃうのでぇ」
「あー。分かります。子役は難しい上に赤ん坊は輪にかけて難しいからねぇ」
赤ん坊に声優を当てて喋っているように見せるというのは映画やドラマなどでも良く使われる手法だが、実際に行う際はかなり難易度が高い。まぁ、赤ん坊に台本を読めなんて土台無理な話だからだ。
だが、その点もへのじちゃんならば話は変わってくる。なにせ毎日毎朝気に食わないニュースが流れたら
これに元々赤ん坊役の声優を行っていた
「あ、あの。ところでぇ今日はくろじちゃん様は……」
「あ。流石に企業様にお伺いするんでペットホテルに預けてきてます」
「あ……あ、はいぃ」
渡部まゆりは生粋の犬好きであり、最推しのくろじとのツーショットを楽しみにしていたのだが、残念ながらまたの機会にお預けとなった。別にへのじちゃんが嫌いなわけではない。むしろへのじちゃんオンリーの時から推している