赤龍帝と騎士王の現し身   作:ファブニル

18 / 53
 どうも、夏の暑い日が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか。私は先日エアコンから大量の水漏れが発生し、カーペットやらの処理に追われていました……。残業帰りで疲れた目に飛び込んでくる水浸しになった部屋……原因は防虫キャップでした。
 ドレンホースクリーナーで解決しましたが、手入れを怠った事を反省しております。

 そんな中で見た皆様からの毎回のコメント、大変うれしく思いました。よろしければ、お気に入り登録や感想をお願いします。

 それでは第十八話、どうぞ!


聖なる剣を憎んで

 パン!

 

 雨音に混じって乾いた音が響く。音は、祐斗の頬から響いた。色白の祐斗の頬が赤く染まる。

 

 

「どう?少しは目が覚めたかしら」

 

 

 怒りに震える声でリアスがそう告げる。なぜこうなったのか。原因は先程まで開催されていた球技大会にある。リアス&朱乃VSソーナ&生徒会副会長の真羅 椿姫(しんら つばき)のテニス対決や、部対抗のドッジボールによるイッセー集中砲火など、様々なイベントやトラブルが巻き起こったのだが、祐斗だけは終始ボケっとしていた。リアスからの忠告やお叱りも無視してだ。

 

 

「 (祐斗、やはり聖剣のことで頭がいっぱいなのでしょうか。最近は沈静化したと思っていましたが……) 」

 

 

 チームとして参加せず、彼の過去を知るか故に、アルトリアは半ば他人事の感覚で祐斗を心配する。すると祐斗は唐突にいつものニコニコ顔になる。

 

 

「もういいですか?球技大会もおわりました。球技の練習もしなくていいでしょうし、夜の時間まで休ませてもらってもいいですよね?少し疲れましたので普段の部活は休ませてください。昼間は申し訳ございませんでした。どうにも調子が悪かったみたいです」

「木場、おまえマジで最近変だぞ?」

「君には関係無いよ」

 

 

 イッセーが問うが、祐斗は作り笑顔で冷たく返してくる。

 

 

「そんな言い方ないだろ、俺だって心配してるんだ」

 

 

 イッセーの言葉に祐斗は苦笑する。

 

 

「心配?誰が誰をだい?基本、利己的なのが悪魔の生き方だと思うけど?まあ、主に従わなかった僕が今回は悪かったと思っているよ」

 

 

 いつもとまるで違う。普段の祐斗は女子から薔薇に例えられるが、今の祐斗は薔薇は薔薇でも野薔薇のように棘まみれだ。らしくない態度にイッセーは言葉を続ける。

 

 

「チーム一丸でまとまっていこうとしていた矢先でこんな調子じゃ困る。お互い足りない部分を補うようにしなきゃこれからダメなんじゃねぇかな?仲間なんだからさ」

 

 

 イッセーの言葉に祐斗は表情を陰らせる。

 

 

「仲間か」

「そうだ、仲間だろ俺達は!」

「君は熱いね。…イッセーくん、僕はね、ここのところ、基本的なことを思い出していたんだよ」

 

 

 突然、祐斗が勝手にそう話し出す。

 

 

「基本的なこと?」

「ああ、そうさ。僕が何のために戦っているか、を」

「部長の為じゃないのか?」

 

 

 イッセーはそう質問するが、それはすぐに否定された。

 

 

「違うよ。僕は復讐の為に生きている。聖剣を、エクスカリバーと呼ばれているあの剣を破壊するのが僕の戦う意味だ」

「は?エクス、カリバー?」

 

 

 祐斗の一瞬だけ見せた暗い表情と同時に放たれた言葉にイッセーは面食らった。

 聖剣エクスカリバー。それは世界一有名な伝説の聖剣であり、彼の幼馴染アルトリア・ペンドラゴンの持つ剣だ。それを破壊する?何故?なら何でアルトリアに襲い掛からない?

 そんな疑問がイッセーの頭をグルグルしている間に、祐斗はその場を去っていった。

 

 

 

 

 

 

 土砂降りの中、祐斗は傘もささずに歩いていた。降り注ぐ雨は熱の上がった頭にはちょうど良かった。

 

 

「(ケンカしてしまった、部長と。自分を救ってくれた主に初めて反抗してしまった。『木場祐斗』として失格だろう。けれど、エクスカリバーへの、■■■■■■■への復讐心を忘れたことなんてなかった)」

 

 

 アルトリアからかつて自分が憎んだ剣の正体を聞かされても尚、エクスカリバーの名によって傷ついた祐斗の心は治らなかった。

 

 

「(ちょっと学園の空気に呆けていただけだ。仲間も出来て、生活も得て、名前も与えられた。生き甲斐も主であるリアス・グレモリーにもらった。これ以上の幸せを願うのは悪いことだ。悪いに決まっている。想いを果たすまで、同志たちの分を生きていいなんて思ったことなど)」

 

 

 ぴちゃ。

 

 

 雨とは違う水の音を祐斗の耳が捉える。顔を上げると眼前に神父がいた。十字架を胸につけ、神の名の下に聖を語る者。祐斗の憎悪の対象。エクソシストならば、ここで牽制してもかまわないとさえ思った。

 

 

「ガ、ハァ!」 

「ッ!?」

 

 

 しかし彼は異常な状態だった。腹部から血を滲ませ、口から血反吐を吐き出すと、その場に倒れ伏した。誰かにやられたのか?だとすれば誰か?

 

 

「ッ!」

 

 

 異常な気配を察し、祐斗は瞬時に魔剣を創り出した。次の瞬間!

 

 

 ギィィィィイインッッ!

 

 

 雨の中で銀光が光り、火花が散った。殺気の方向へ体を向けた時、長剣を振るう何者かが襲い掛かってきたのだ。相手は眼前で死んだ聖職者と同じ格好 ―神父。ただ、こちらは明確なほどの強烈な殺気を飛ばしてきている。

 

 

「ハーイ、おひさだね」

 

 

 こちらを小馬鹿にした嫌な笑みを見せる白髪の少年神父。――フリード・セルゼン、先日の堕天使との一戦でグレモリー眷属とやり合った輩だ。相も変わらず気色の悪い笑みを浮かべている。

 

 

「…まだこの町に潜伏していたようだね?今日は何の用かな?悪いけど、今の僕は至極機嫌が悪くてね」

 

 

 怒気を含んだ口調で言ってみるが、フリードは嘲笑うだけだ。

 

 

「そりゃまた都合がいいねぇ。すんばらしいよ!俺っちの方はキミとの再会劇に涙涙でございますよ!」

 

 

 相変わらずのふざけた態度に苛立ちつつ、左手にも魔剣を創ろうとしたとき、フリードの振るう長剣が聖なるオーラを発し始める。

 その光、纏う雰囲気が祐斗の過去を引き出す。あの地獄の日々を、耐えがたい怒りを呼び起こす。

 

 

「神父狩りも飽きてきたところでさ、ちょうどいいや。バッチグー。ナイスタイミング。お前さんの魔剣と俺さまのエクスカリバー、どちらが上か試させてくれないかね?ヒャハハハハハ!お礼は殺して返すからさ!」

 

 

 そう、彼の持つ剣は祐斗の復讐対象、聖剣■■■■■■■そのものだった。

 

 

「ヒャァッ!!」

「クッ!?」

 

 

 切り刻まんと踊りかかるフリードに対して、祐斗も咄嗟に魔剣を生み出して防御する。

 

 

「ヒャハハ!ウリの甘いマスクが歪んでますなぁ。正に聖剣の錆に相応しい斬られ役だァ!」

「チッ!光喰剣(ホーリー・イレイザー)!!」

 

 

 かつて光の剣を破壊した様に通常の魔剣から、光を喰らう魔剣に切り替える。暗黒色の触手が無数に伸び、フリードの持つ聖剣に絡みついた。しかし聖剣がオーラを強めた瞬間、闇の触手は浄化され消えてしまった。

 

 

「ざぁんねぇん、それ効かないんだわ」

「試しただけさ、その剣が本物かどうかね。これで心置きなく八つ裂きに出来る!」

 

 

 『騎士』のスピードで接近し、再び切り掛かる。しかしフリードは祐斗に匹敵するスピードで避けると、彼の背中を斬りつけた。

 

 

「ガアァッ!?」

「んっん〜、聖剣のお味は如何ざんしょ?クソ悪魔キラーに相応しい威力っしょ?」

「……知ってるよ。痛い程に……」

 

 

 焼けるような痛みと共に、背中から赤黒い煙が立ち昇る。斬られた箇所が聖剣の力で浄化されつつあるのだ。この効果こそ聖剣全般が悪魔に対する特攻武器とされる所以である。

 

 

「んじゃあまぁ、前に言ってた実験の続きでもしましょうか。君はこの聖剣でどんだけ斬り刻めば死ぬのかなぁ!?」

「クッ!「させません!!」!?」

 

 

 ダメージから膝を震わせていた祐斗を庇う様に、十字型の大楯が立ち塞がる。彼を切り刻まんとした聖剣の一閃は大盾に弾かれ、フリードも僅かに体勢を崩した。

 忌々しい気に割り込んだ下手人を見やるフリードの眼に映ったのは暗紫色の大楯と、輝くような美しい金髪のシニヨン。彼のぶっ殺しリスト上位の聖剣使い

 

「ん〜?これはこれはアルトリアちゃ〜ん。本日もお変わりなく、いや?雨で服が濡れ透けしていつもよりセクスィーだね!」

「無事ですか、ユウト」

 

 

 二人の間に割って入ったアルトリアは駒王学園の制服に身を包み、フリードから視線を外さない。彼女の本能が彼の持つ聖剣に反応しているからだ。

 

 

「その剣、エクスカリバーですね?」

「あら、やっぱ分かっちゃう?さっすがアルトリアちゃん。モノホンのエクスカリバーを持ってるって話、あながち嘘でもなさそうだね」

「!何を言っているのですか、貴方は?」

 

 

 フリードの言葉に僅かに眉を動かす。レイナーレを殺したあの時、あの場からフリードの気配は完全に消えていた。彼が自然と一体になるタイプの隠形が出来るとは思えない。ならばその情報は何処から仕入れたのか?

 

 

「しらばっくれなくてもいいよん。うちの上司にはまるっと筒抜けだからさ!なんせ……」

 

 

 何かを喋らんとしたフリードだが、すぐ耳元に魔法陣が現れる。何やら命令を受けたようで、彼の笑顔が若干しらける。

 

 

「はぁ~、どうやらうちの上司はまだバラされたくないようでさ、今日はここまで。まだ会おうぜ、アルトリアちゃん。次は君の事も知りたいな、なんつってバイチャ!!」カッ!

 

 

 懐から取り出した閃光弾が地面に当たり、辺りを白く染め上げる。雨雲で暗くなっていた一帯を照らす光が収まり、眼が慣れた頃にはフリードの姿は消えていた。

 

 

「逃げられたか。相変わらず逃げ足の速いやつめ……」

「ユウト、すぐに人がやってきます。少し離れたところで回復魔術を掛けますので」

 

 

 足早にその場を後にした二人はシャッターの閉まった廃店舗の裏で雨宿りをする。エムリスを剣杖形態に変形させ、祐斗の治療を開始する。入り組んだ路地を暖かな光が照らし出した。

 

 

「どうして、あの場所に……」

「尾けたわけではありません。例の廃教会を調査しようとした道すがらでしたが、幸運でした」

 

 

 アルトリアは街に入った何者かを探る為の調査を開始していた。報告を挙げたその日から街中を探し回り、街中で潜んでいそうな場所は粗方探り終えた。そこで次に郊外の廃屋などを調べる方向に切り替え、かつてレイナーレ達が潜んでいた廃教会を調査しようとしたところ、偶然祐斗とフリードの戦闘を目撃したのだ。

 

 

『でもこれでハッキリした。今この街には『神の子を見張る者(グリゴリ)』の幹部が潜伏している。しかも、何故か例の剣を持ってね。アレは仮にも教会側の切り札。間違いなく教会からエージェントが派遣されてくるね』

「僕たちを散々苦しめた聖剣が、堕落した神父の手に渡る、か……フッ」

 

 

 それは教会への嘲笑か、かつてそれを振るえなかった自分への自嘲か。アルトリアには分からなかった。そうしている間に治療は終わり、祐斗は軽く体を動かすを立ち上がった。

 

 

「ありがとう、それじゃ僕はこれで」

「待ってください。一人であの聖剣を追う気ではないでしょうね?」

「……これは僕の問題だ」

「いいえ、あの剣を教会へと渡したのは我が先祖。これは私の問題でもあります。協力させてください」

「……好きにすればいいさ」

 

 

 そういって祐斗は雨の中を歩いて行った。しかしそれを追う事は彼女には出来なかった。罪悪感からか、彼の問題に踏み込むべきではないと思ったのか。一先ずは廃教会を目指すアルトリアだった。

 

 

 

 

 

 

「聖剣計画?」

 

 

 イッセーの言葉にリアスはうなずいた。

 

 

「そう、祐斗はその計画の生き残りなのよ」

 

 

 勝手に帰った祐斗を除いたオカ研のメンバーは一通りの後片付けを終えた後帰宅。その後イッセーとアーシアはリアスから大事な話があると言われた。夕食後イッセーの自室で明かされたそれは祐斗の過去の話だった。

 

 

「数年前まで、キリスト教内で聖剣エクスカリバーを扱える者を育てる極秘計画が存在したの。才能ある孤児を集め、養育し、聖剣使いになれるよう様々な処置が施されたと聞くわ」

「…初めて知りました」

 

 

 教会に属していたアーシアはこの計画を知らなかったが、それも当然である。聖女として、あくまで神輿として祭られていた彼女の耳にまで、極秘の計画が届くはずもなかった。

 

 

「聖剣は対悪魔にとって最大の武器。私達悪魔が見るだけで身震いし、触れたらたちまち身を焦がす。そして斬られれば、なす術もなく消滅させられる。神を信仰し、悪魔を敵視する使徒にとっては究極とも言える兵器よ」

 

 

 聖剣。アルトリアも持っているそれをイッセーは何度も見た事があるが、震えが出る事は無かった。それは彼女が聖剣を使いこなしているからなのか、それを封じているエムリスが抑えているからなのか。

 

 

「聖剣はその出自は様々だけれど、一番有名なのはアルトリアの先祖、アーサー王が振るったエクスカリバーかしら。日本でもいろいろな書物で取り上げられているわね。神の加護や神の領域にまで達した者が魔術、錬金術などを用いて創り上げた武器。それが聖剣。けれど、聖剣は使う者を選ぶの。使いこなせる人間は数十年に一人出るかどうかだと聞くわ」

 

 

 それを聞き、アルトリアから教えられたアーサー王の伝説にもカリバーンという選ばれた者しか抜けない王の剣の伝説があった事をイッセーは思い出した。あれもまた聖剣の一本だが、既に破壊されてしまったと彼女は語っていた。

 

 

「木場は魔剣を創り出す神器を持った能力者ですよね?それと同じように聖剣を創り出す神器はないんですか?」

「ないわけじゃないわ。けれど、現存する聖剣と比べると、今のところ聖なる神器は今一つね。もちろん、弱いってことではないのよ?中にはイッセーの神器同様に『神滅具(ロンギヌス)』の聖具もある。イエス・キリストを殺した聖ロンギヌス者が持っていた槍が神器となった『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』が有名かしら。『神滅具(ロンギヌス)』の代名詞となったとも言われているわ」

 

 

神滅具(ロンギヌス)』。神を滅ぼすほどの力を有した神器。イッセーの左腕にもそれが宿っている。彼の場合は時に邪なものとして扱われるドラゴンだが、この場合は聖なる道具が神器となったものだ。

 神の子であるイエス・キリストを処刑し、その血に触れたことにより神聖化した聖具が神を滅ぼす神器に数えられるのは、如何にもと言うべきであろうか。

 

 

「ただエクスカリバー、デュランダル、日本の天叢雲剣等々の伝説の聖剣が強力すぎて、匹敵する聖なる神器は現時点で殆ど存在しないわ。魔剣のほうもほぼ同様かしら」

 

 

 ロンギヌスの槍という例外はあるが、基本は伝説に名を残す聖剣魔剣の方がその力は強い。あくまで数打ちの武器と、神秘を色濃く残す一点ものではその性能に差が出るのだ。

 

 

「祐斗は聖剣――特にエクスカリバーと適応する為、人為的に養成を受けた者の一人なのよ」

「じゃあ、木場は聖剣を使えるんですか?」

 

 

 イッセーの問いにリアスは首を横に振る。

 

 

「祐斗は聖剣に適応出来なかった。それどころか、祐斗と同時期に養成された者たちも全員適応出来なかったようだけれど…」

 

 

 剣に精通し、魔剣を数多く扱える祐斗でも聖剣を扱うことが出来なかった。それだけ伝説の聖剣を扱うというのは難しい事なのだ。だからこそ、神話や英雄譚での活躍が光るというものだが。

 

 

「適応出来なかったと知った教会関係者は、祐斗達被験者を『不良品』と決めつけ、処分に至った」

「処分………」

「祐斗を含む被験者の多くは殺されたそうよ、ただ『聖剣に適応出来なかった』という理由だけで」

「…そ、そんな、主に仕える者がそのようなことをしていいはずがありません」

 

 

 アーシアの目に涙が浮かぶ。教会において慈悲と博愛の精神を学び、実行してきた彼女からすれば、彼らの行いは許し難い物だろう。しかし、信仰と正義の名の下に数多の非道を繰り返すのもまた人間だった。

 

 

「彼ら教会の者たちは私達悪魔を邪悪な存在だと言うけれど、人間の悪意こそが、この世で一番の邪悪だと思うわ」

 

 

 リアスの瞳は憂いを帯びていた。その表情にイッセーはリアスの本質を見た。リアスは悪魔だ。だがとても優しい。そのことをかつて口にしたとき、彼女は人間界に長くいたから人間のような優しさを持ったと言っていたが、イッセーにはその優しさこそリアス・グレモリーという女性の生来の魅力だと思った。

 悪魔がみな優しいわけではない事はイッセーにも分かる。だが、少なくとも自分の主だけは絶対の信頼を寄せる事が出来た。

 

 

「私が祐斗を悪魔に転生させたとき、あの子は瀕死の中でも強烈な復讐を誓っていたわ。生まれた時から聖剣に狂わされた才能だったからこそ、悪魔としての生で有意義に使って貰いたかった。祐斗の持つ剣の才能は、聖剣にこだわるにはもったいないものね」

 

 

 リアスは聖剣によって無惨な人生にされてしまった祐斗を悪魔にすることで少しでも救いたかった。聖剣なんかにこだわらないで、悪魔として力をふるい生きてくれ――と。しかし、祐斗の復讐の火は消えなかった。

 

 

「あの子は忘れられなかった。聖剣を、聖剣に関わった者たちを。教会の者たちを」

 

 

 神父を嫌悪していたこと、聖剣の情報にこだわったこと、その全てが今繋がった。自身と、友人たちの人生を滅茶苦茶にされれば怨恨を抱くのも当然だろう。と同時にイッセーには一つの疑問が浮かびあがった。

 

 

「でも変じゃないですか。エクスカリバーが教会の物なら、アルトリアが持ってるのはなんなんですか?木場の奴もアルトリアを憎んでる様子もないですし」

 

 

 イッセーの疑問にリアスは瞑目した後、2人に向き直る。

 

 

「……今から話す事は、アルトリアの関係者である私たちグレモリー家とその眷属、そして悪魔の中でもごく一部の最上層しか知らないトップシークレットよ。それでも聞く覚悟はある?」

「!はい。教えて下さい、部長!」

「私も、アルトリアさんの友人として、グレモリー眷属として知りたいです!」

 

 

 イッセーの決意は固かった。単純な疑問もそうだが、小学校からの幼馴染であり、その手にする力同士に深いつながりのあるアルトリアの抱える物を少しでも背負いたいと思ったからだ。

 

 

「……分かったわ。私はさっきまで教会の持つ聖剣をエクスカリバーと呼んでいたけど、それは間違い。本物のエクスカリバーはアルトリアが持っている方」

「教会のエクスカリバーは、エクスカリバーではない全くの別物なの」

 

 

 それはかつての大戦においてペンドラゴン家が仕込んだ、一世一代のペテンだった。




 因みに球技大会はアルトリアが実行委員会で駆けずり回って居ただけで原作と差がないので飛ばさせて頂きました。アルトリアのスーパープレイを期待されていた方がいましたら申し訳ありません。

 次回、教会の聖剣の正体などが判明いたしますので、そちらをお楽しみにお待ちくださいませ……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。