赤龍帝と騎士王の現し身   作:ファブニル

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 辞令が出て、新しいところへ行くことになりました。どうやら新しいところは今いるところより忙しいところらしく……下旬あたりからの更新頻度が伸びるかもしれません。どうかご容赦ください……

 なるべく早く投稿するように努力しますので、よろしければ今回もお気に入り登録や高評価、感想をお願いします。

 それでは、第二十一話、どうぞ!


『聖剣』VS『魔剣』

 旧校舎の前、朱乃と共に結界を張り終えたアルトリアは自身の浅慮を悔いていた。

 

 

「(やってしまった。アーシアを侮辱されて頭に来たとはいえ、素性をバラし、刃を向けるとは。先にあちらが抜いたとはいえ、こうも立て続けに個人的な感情で動くとは守護騎士失格ですね……)準備が整いました」

 

 

 旧校舎近くの広場。そこではイッセーと祐斗、それに対峙するかのようにイリナとゼノヴィアが立っている。

 

 

「では始めようか」

 

 

 イリナとゼノヴィアは白いローブを脱ぎ、黒い戦闘服の姿となっていた。さらにゼノヴィアは得物の布を取り払い、聖剣を解き放つ。イリナも組紐のような形態から日本刀の形に聖剣を変化させた。

 あの後ゼノヴィアはこちらからの挑戦を受け、「リアス・グレモリーの眷属の力、試してみるのも面白い。それに『先輩』とやらの力も気になる」と決闘する事となった。しかも教会には一切知らせない私的な決闘だと、付け加えてきた。あちらも他勢力と刃を交える事の重大さをわかっていたのだろう。

 結果として、殺さない範囲で戦ってもよいという事でこうして2on2の決闘の場が設けられたのだ

 

 

「イッセー、ただの手合いとはいえ聖剣の強さを貴方はアルトリアで分かっている筈、十分気をつけなさい!」

「はい!」

 

 

 祐斗の方は既に神器を発動して、自らの周囲に魔剣を数本出現させている。

 

 

「…笑っているのか?」

 

 

 ゼノヴィアが祐斗に訊く。祐斗は不気味な笑みを浮かべている。薄ら寒くなるほどの笑顔だ。普段の爽やかな面影は消え失せていた。

 

 

「うん。倒したくて、壊したくて仕方なかった物が目の前に現れたんだ。嬉しくてさ。ふふふ、悪魔やドラゴン、そしてアーサー王の末裔がいればいずれ縁が巡ってくると思っていたけど、こんなにも早く巡り合えるだなんてね」

 

 

 ドラゴンは力の塊故に多くのものを引き寄せる、そして縁という物は自然と惹かれあっていく物。二つの引き込む力によって祐斗は2種類のエクスカリバーを目の前にする事が出来た。

 

 

「…『魔剣創造(ソード・バース)』か。神器所有者は頭の中で思い描いた魔剣を創り出すことが可能。魔剣系神器の中でも特異な物。…『聖剣計画』の被験者で処分を免れた者がいるかもしれないと聞いていたが、それはキミか?」

 

 

 ゼノヴィアの問いに祐斗は答えない。殺気を向けているだけだ。このままでは最悪殺し合いに発展する可能性もある。そうなれば、悪魔と天使の二勢力に要らぬ緊張を発生させかねない。

 万が一の時は自分が間に割って入るべきだろうと、アルトリアはエムリスを剣杖のままにして待機する事にした。

 

 

「兵藤一誠君」

 

 

 イッセーの前に立つのはイリナだ。イッセー曰く、彼女が例の幼稚園の頃の幼馴染らしいが、あの活発な印象から随分と様変わりしている。

 

 

「再会したら、幼馴染は悪魔になっていた…。ショックだったわ」

「えーと、紫藤イリナ…イリナでいいのかな?やっぱり、戦わなくちゃダメか?アーシアの悪口に対しては、俺もそちらへ言いたいことを言ったしさ。バトルしなくてもいいような気もするんだけど」

 

 

 イッセーの提案には賛成だった。アルトリア自身長いこと疑問に思っていた部分も含めて大分言いたいことを言えた。個人的には、もうスッキリしている。祐斗とゼノヴィアは止まらないだろうから戦うとして、イリナとイッセーまで戦う必要は無い筈だ。やはり教会を侮辱するような発言と取られて後に引けないと思ったのだろうか。

 しかし、イリナは哀れむ表情をイッセーに向ける。そして頬を涙が一筋伝った。

 

 

「かわいそうな兵藤一誠君。ううん、昔のよしみでイッセーくんって呼ばせてもらうわね。そして、なんて運命のイタズラ!聖剣の適正があって、イギリスに渡り、晴れて主のお役に立てる代行者となれたと思ったのに!ああ、これも主の試練なんだわ!久しぶりに帰ってきた故郷の地!懐かしのお友達が悪魔になっていた過酷な運命!時間の流れって残酷だわ!でも、それを乗り越えることで私は一歩また一歩と真の信仰に進めるはずなのよ!さあ、イッセーくん!私がこのエクスカリバーであなたの罪を裁いてあげるわ!アーメン!」

 

 

 長々と語った後、刀型の聖剣を向けてくるイリナ。成程、自分に酔うタイプだったか。この手のタイプは話が通じない、自分の世界にトリップしているからだ。瞳が星のようにキラキラと輝いている。恐らくは「信仰の為にかつての友人を手に掛けてしまうなんてなんて可哀そうな私」と信仰心に酔っているのだろう。

 

 

「イッセー、彼女は自分に酔っているようです。手加減を忘れてきた際は私も加勢しますが、どうか気を付けて」

「おう!ブーステッド・ギア発動!」

『Boost!』

 

 

 赤い閃光を放ち、イッセーの左腕に籠手が現れる。同時に音声を発して、イッセーの力を倍にした。イッセーの神器にイリナとゼノヴィアが驚いた様子を見せる。

 

 

「…『神滅具(ロンギヌス)』か」

「それって、『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』!?こんな極東の地で赤い龍の帝王(ウェルシュ・ドラゴン)の力を宿した者に出会うなんて…」

 

 

 どちらも顔をしかめていた。その恐ろしさもそうだが、龍は悪魔と同義に扱われる。良い顔はしないだろう。

 

 

「彼に気を取られていると、怪我では済まなくなるよ!」ギィン!

 

 

 ゼノヴィアに祐斗が斬りかかる。難なく祐斗の一撃を受け止めたゼノヴィアは不敵な笑みを見せた。

 

 

「『魔剣創造(ソード・バース)』に『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』。さらにアーシア・アルジェントが持つ『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』。我々にとって異端視されている神器ばかりだ。悪魔になったのも必然と言えるのかもしれないな」

「僕の力は無念の中で殺されていった同志の恨みが生み出したものでもある!この力でその剣を持つ者を打倒し、そして必ず7本全てを叩き折る!」

「ふん、折れる物なら折ってみろ!」

「こちらもいくよ、イッセーくん!」ヒュッ!

 

 

 イリナがイッセーに勢いよく斬りかかる。それに対して、イッセーは必死に避ける。カレトヴルッフはエクスカリバーに比べれば劣る聖剣であるが、その欠片でも下級悪魔を消すには十分な威力だろう。

 

 

「まだまだ!」

『Boost!』

 

 

 イッセーはイリナの刀を躱しながら、籠手の力を上げていく。イッセーも刃引き用の魔術の掛かっていない聖剣と戦うのは初めて故にどう攻めればいいか迷っている様だ。

 がしかし、次第にイッセーがいやらしい表情を浮かべる。

 

 

「…いやらしい顔つきだわ。何を考えているのかしら?」

 

 

 イッセーの表情に怪訝な顔つきのイリナ。恐らくイリナの肉体に欲情しているのだろう。彼女の良く育った胸や尻、引き締まった腹部は男ならば垂涎モノだ。加えて今の彼女はそのボディラインがはっきりと出るスーツを纏っている。大方あの時使った技『洋服崩壊(ドレス・ブレイク)』の発動を狙っているのだろう。

 その証拠にイリナの反応に涎まで垂らすイッセー。

 

 

「…気をつけてください。イッセー先輩は手に触れた女性の服を消し飛ばす力を持っています」

 

 

 隣にいた小猫がイッセーの『洋服崩壊(ドレス・ブレイク)』の能力を教えてしまう。それに対して、抗議の視線を向けるイッセーに小猫はズバリと言う。

 

 

「…女性の敵。最低です」

「あぅ!痛烈なツッコミだよ、小猫ちゃん!」

「なんて最低な技なの!イッセーくん!悪魔に落ちただけではなく、その心までも邪悪に染まって!ああ、主よ。この罪深き変態をお許しにならないでください!」

 

 

 イリナが祈りをあげながら、悲哀に満ちた表情を浮かべていた。

 

 

「そんなかわいそうな奴を見る目で見るな!」

「最低です」

 

 

 最低だが、有効な技ではある。あの技は応用すれば鎧や、纏っている魔法、呪いも消し飛ばすことが出来るかもしれない。今はただのスーツだが、イリナが聖なる鎧か何かを纏った場合ならその鎧を剥がし、有効打をあたえるといった戦い方も出来るだろう。最低だが。

 

 

「相変わらずで逆に安心しますが、それが10年ぶりに会う相手への態度ですかイッセー」

「うぅ、悪かったな相変わらずで!」

「? (何?この感じ……?) 」

 

 

 イリナが言い知れぬ感覚を胸に抱いている頃、祐斗とゼノヴィアの戦いは更に激しさを増していた。『魔剣創造(ソード・バース)』で様々な種類の魔剣を生み出し、連続攻撃を仕掛ける祐斗に対し、それらを次々と粉々にしていくゼノヴィア。

 今度は二種類の魔剣を生み出すとそれを振るい、二刀流の構えでゼノヴィアに迫る。

 

 

「燃え尽きろ!そして凍り付け!『炎燃剣(フレア・ブランド)』!『氷空剣(フリーズ・ミスト)』!」

 

 

 片方の魔剣からは業火が渦巻き、もう片方の魔剣からは冷気とともに霧氷が発生した。祐斗は『騎士』、そして『騎士』の特性はスピード。神速の動きでゼノヴィアに攻撃をくわえている。だが、ゼノヴィアは四方八方から斬りかかってくる木場の攻撃を最小の動きだけで受け流していた。

 

 

「『騎士』の軽やかな動き、そして炎と氷の魔剣か。だが甘い!」

 

 

 ギィィィィン!

 

 

 ゼノヴィアの一振りが、再び木場の魔剣を粉々に破壊する。これまで既に十数本もの魔剣がへし折られてきた。

 

 

「ッ!」

 

 

 一撃で自分の剣を破壊され、祐斗は絶句する。あれが聖剣の、しかも折れた破片から再生産された剣の威力なのか!ペンドラゴン家はなんてものを、と恐れ慄いたがすぐにその気持ちを振り払う。

 

 

「我が剣は破壊の権化。砕けぬ物はない」

 

 

 ゼノヴィアは長剣を器用にくるくる回したかと思うと、天にかざし、地面へ振り下ろした。

 

 

 ドォォォォォォオオオオオオンッッ!

 

 

 

 突然、足元が激しく揺れて、地響きが発生する!体勢が崩され、何人かはその場に膝をつく。そして、周囲に巻き起こる土埃に皆が目をそらす。しばらくして、土煙が収まった。

 再び目を向けるとゼノヴィアが聖剣を振り下ろした場所が大きく抉れ、クレーターが生み出されていた。

 

 

「これが私のエクスカリバーだ。有象無象の全てを破壊する。『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』の名は伊達じゃない」

 

 

 カレトヴルッフに備わる七つの力の一つ、『破壊』の力。斬りつけた対象を破壊するその攻撃力はこうしてみると中々に厄介だ。高い防御力や概念的な物でない限り防ぐのは難しいだろう。そういった力を持たない祐斗の魔剣など小枝の如くへし折れる。祐斗はその光景を見て、苦虫を嚙み潰したよう表情を浮かべていた。

 

 

「…七分の一でさえこの破壊力。七本全部消滅させるのは修羅の道か」

 

 

 その瞳に映る憎悪の影は未だに消えて無いようだ。他の剣たちにもそれぞれ特殊能力が備わっている。それら全ての破壊は困難極まりないだろう。

 

 

『Boost!』

 

 

 イッセーの神器から三度目の倍化の音声が響く。

 

 

「もう!ゼノヴィアったら、突然地面を壊すのだもの!土だらけだわ!」

 

 

 イリナが毒づきながら、服についた土を払っていた。

 

 

「でも、そろそろ決めちゃいましょうか!」

 

 

 再度イッセーへ刀を向けて走り出す。中々の速さでイッセーとの距離を一気に詰める。『騎士』ほどではないが、プロモーションしていないイッセーよりは確実に速い。

 だがイッセーもやられるばかりではない。上手く聖剣の攻撃を避けながら、確実に決められる隙を探している。彼も日々成長しているのだ。

 

 

『Boost!』

 

 

 イッセーの四度目の強化。どうやら準備が整ったようだ。

 

 

「行くぜ、ブーステッド・ギアァッ!」

『Explosion!!』

 

 

 イッセーの倍化が完了する。四度の強化で能力はそれなりに上昇している。そのまま格闘戦に移行するのか、ドラゴンショットで決めに掛かるのか、それとも『アレ』か……

 イッセーの左手に魔力が纏われた。やはり『洋服崩壊(ドレス・ブレイク)』か……

 

 

「剝ぎ取り御免!」

「卑猥な!」

 

 

 魔力を込めた左手を触れさせんと攻勢を仕掛けるイッセー。それを紙一重で回避するイリナだったが、次第にイッセーの動きに対応しきれなくなっている。イリナがバテたのか、否イッセーがイリナの動きに順応しているのだ。成長の証か、煩悩のなせる業か、しかし確実に肉薄しつつある。そして遂にイリナに明確な『隙』が生まれた。

 

 

「今だ!俺のエロを舐めんなぁぁぁ!」

 

 

 脚を踏み込み、イリナに向けてダイブするイッセー。その手がイリナのスーツに触れるその瞬間!

 

 

「キャ!」

 

 

 咄嗟にイリナが裸体を見られまいと身体を屈める。結果イッセーはイリナを飛び越え、そのまま観戦していたオカ研メンバーへと突っ込む!その先にはアーシアと小猫が!

 

 

「危ない!」

 

 

 咄嗟に二人を突き飛ばし、イッセーから庇うようにアルトリアが前に出る。次の瞬間、イッセーの手がアルトリアの肩に触れた。そのままアルトリアを押し倒すような形で倒れ込む二人。咄嗟の出来事に二人は受け身を取れずそのまま地面に倒れ、その衝撃でイッセーの指が鳴った。次の瞬間、

 

 

「ひぁ!?」

 

 

 アルトリアの制服が音を上げて消し飛んだ。そう、下着すら容赦なく消し飛んだ結果、アルトリアは丸裸になってしまう。顔を上げたイッセーの目に映ったのは、6年来の幼馴染の裸体。リアスに及ばずとも十分巨乳と呼べる美しいバスト、筋肉と僅かな脂肪によって引き締まったウエスト、芸術的なまでのラインを描くヒップと健康的な太股。

 それらを両腕で隠し、その顔には怒りと羞恥が混じり合った赤面を浮かべている。

 

 

「アア、アルトリア!これは違うんだ!不発だよ!い、いや、成功しているけどさ!でも、紫藤イリナが避けるもんだから…決して、決して幼馴染のお前を狙ったわけじゃないんだ!」

「……イッセー、言うべきことがあるのでは?」

「ありがとうございます!!」

「ごめんなさいでしょうが!!」

 

 

 ドゴン!

 

 

「ぐっふぅぅぅぅ!」

 

 

 イッセーはアルトリア渾身の蹴りを食らい吹っ飛ぶ。そして地面を何度もバウンドし転がる。あまりもの痛さに起き上がれないようだ。

 

 

「イッセーくん、生きてる?あのね、卑猥な技を開発した天罰だと思うの。これにこりたら、あんなエッチな技を封印すること。いいわね?」

「…い、嫌だ。…魔力の才能をほぼ全部使い込んで開発した技だぞ…。もっともっと女の子の服を弾け飛ばすんだ…。これでも女子の服を透過させる技とどちらにするべきか真剣に悩んだんだ…」

 

 

 イッセーはのろのろと力なく立上り、イリナと再び対峙する。あの合宿の時にそんな事を考えていたのかと、アルトリアはゆっくりと立ち上がりながら考える。そしてすぐに亜空間から別の制服を取り出し、魔術で一度光にしてから装着する事で早着替えした。

 

 

「いつか、見ただけで服を壊す技に昇華するまで俺は戦い続ける!」

 

 

 イッセーは自身の煩悩を叫び、イリナに突っ込んでいた。

 

 

「性欲だけでここまで戦えるなんて!どうかしているわ!」

「紫藤イリナ!性欲は力だ!正義なんだよぉぉぉぉ!」

「アーメン!主よ、このエロ悪魔を断じる力をお貸しください!」

 

 

 イリナも聖剣を改めて握りしめ。イッセーへ向かっていく。イッセーはそれに対して体制を低くし、下段からの蹴りでイリナを足払いしようとするが、イリナも狙いに気づきジャンプで躱す。躱されたイッセーだが、地面を蹴り込んで、アッパーカットをしながら立ち上がる。

 ブゥン!と音を立てて、イッセーのアッパーがイリナの顎すれすれで空を切る。イリナは目元を引きつらせていた。イリナが刀を横薙ぎに振るうが、イッセーは後方へステップし回避する。その様子をイリナは驚いた様子で見ていた。

 

 

「…ゴメンなさい。あなたを少し見くびっていたようね。いい動きだわ」

 

 

 真顔になるイリナ。すると、突然イッセーが地面に崩れ落ちてしまった。イッセーの腹部辺りから、小さく煙が上がっている。『擬態』の能力で切っ先を伸ばし、紙一重に見せかけて僅かに斬りつけていたのだ。

 

 

「聖剣のダメージよ。悪魔、堕天使は聖剣の攻撃をその身に受ければ、力と存在を消されてしまう。たったそれだけの傷でもこれだけの事になるわ。もう少し深く食らっていれば、致命傷だったかもね」

『Reset!』

 

 

 『赤龍帝の籠手』の能力も解除されてしまった。ここまでだ。

 

 

「あと一度パワーアップすればその攻撃を確実に避けられたでしょうね。いい勝負もできたはずよ。貴方の敗因は、相手との力量差が分からずに神器を使っている事。読み間違いは真剣勝負の場では致命傷よ」

「あっちは終了した、こっちもそろそろ終わりにしよう」

 

 

 ゼノヴィアが長剣を構え直す。あちらも決めに掛かるようだ。

 

 

「はぁぁぁぁぁああああっ!」

 

 

 祐斗が気合を発し、手元に何かを創り出していく。それは剣のカタチとなるが、いつもよりも巨大なものだった。

 

 

 

「その聖剣の破壊力と僕の魔剣の破壊力!どちらが上か勝負だ!」

 

 

 その手に現れたのは巨大な一本の剣だった。その全長は優に彼の身長を越えており、禍々しいオーラを放つそれを、祐斗は両手で構える。勢いよくそれを振るい始めるが、ゼノヴィアは冷静だ。それもそのはず、確かに見た目はいかついが……

 

 

「残念だ。選択を間違えたな」ガギィィィィィン!

 

 

 激しい金属音と共に巨大な刀身が宙を舞う。折れたのは祐斗の魔剣だった。ゼノヴィアのエクスカリバーは一切欠けることなく、難なく彼の魔剣を破壊した。

 

 

「君の武器は多彩な魔剣とその俊足だ。巨大な剣を持つには筋力不足であり、自慢の動きを封じることにもなる。破壊力を求める?キミの特性上、それは不要なものだろう?そんなこともわからないのか?」

 

 

 ドンッ!

 

 

 祐斗の腹部に聖剣の柄頭が深く抉り込む。たったそれだけの攻撃だが衝撃波が発生していた。柄頭の一発でも破壊力が大きいのだろう。それを成すだけの実力も備えている。

 

 

「ガハッ」

 

 

 口から吐しゃ物を吐き、祐斗はその場で崩れ落ちた。

 

 

「刀身での一撃でなくとも、いまの打ち込みでとうぶんは立ち上がれないよ」

「…ま、待て!」

 

 

 ゼノヴィアは祐斗を一瞥すると、踵を返した。祐斗が手を伸ばすが、勝負が決着したのは誰が見ても明らかだった。

 

 

「彼らとの勝負は着いた。次はそちらかな?」

「やりますか?」

 

 

 ゼノヴィアとアルトリアの間に緊張が走る。数瞬の睨み合いの末、ゼノヴィアが目を閉じた。

 

 

「止めておこう。君と戦ったら此方も本気を出す必要が出てくる。それはお互い望む事じゃない」

 

 

 その言葉を聞いたリアスがため息をつき、朱乃が結界を解く。辺りを支配していた紅いオーラが消え、戦いは終わりを告げた。

 

 

「『先輩』、次はもう少し冷静になって立ち向かってくるといい。リアス・グレモリー、先程の話、よろしく頼むよ。それと、下僕はもう少し鍛えた方がいい。センスだけ磨いても限界がある」

 

 

 祐斗は憎々し気にゼノヴィアを睨んでいた。ゼノヴィアの視線がイッセーとアルトリアに移る。

 

 

「最後にひとつだけ言おう。『白い龍(バニシング・ドラゴン)』は既に目覚めているぞ。『卑王』と共に、な」

 

 

 その言葉にアルトリアは衝撃を受けた。『卑王』、それはかつてアングロ・サクソン人を率いてブリテン島の王位を簒奪したアーサー王の伯父、ヴォーティガーンに付けられた渾名だ。そんな存在が『白い龍』、『白龍皇』と共に存在していると言う事実はアルトリアの精神に少なからぬ驚愕を与えた。

 

 

「いずれ出会うだろうが、彼女は兎も角、彼がその調子では絶対に勝てないだろうね」

 

 

 ゼノヴィアはそれだけ言い残し、持ち物を手に取るとその場を後にした。

 

 

「ちょっと待ってよ、ゼノヴィア。じゃあ、そういうことでイッセーくん。裁いて欲しくなったら、いつでも言ってね。アーメン♪」

 

 

 胸で十字を切りながらウインクすると、イリナも早足にこの場を立ち去る。瞑目するリアス。その心中は察するに余りあるだろう。イッセー達は彼女達に完敗した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼノヴィア、どうしたの?そんな深刻そうな顔をして」

「ん?あぁ、少しな」

 

 

 駒王学園から去った2人は夕暮れの町を歩いている。そんなゼノヴィアの神妙な顔にイリナは疑問を感じたのだ。

 

 

「なぁ、イリナ。私達が言い渡された任務を覚えているか?」

「何よ、今更?堕天使に奪われた聖剣エクスカリバーの奪還ないし破壊でしょ?それがどうしたの」

「それともう一つ。悪魔側に身を寄せている聖剣使いの調査、だろう」

「あ、そういえばそうだったわね」

 

 

 2人が言い渡された任務は二つ、一つは奪われた聖剣エクスカリバーを取り戻すか破壊する事。もう一つは聖剣が向かった駒王町のリアス・グレモリーのもとに居るとされる謎の聖剣使いの調査だった。

 その素性、何故聖剣使いなのに悪魔側にいるのか、手にする聖剣の正体などを探るのもまた彼女らが日本に来た目的だった。

 

 

「それにしてもまさか、アーサー王の末裔たるペンドラゴンを名乗るなんてね。この街にエクスカリバーが来たのといい、なんだか運命的なものを感じるわね!これも主の御導きかしら、アーメン!」

「かもしれないな。だがそれより私は彼女の持つ聖剣が気になった」

 

 

 ゼノヴィアは一度アルトリアと会っている。互いに言葉を交わす事は無かったが、それでも強者である事は十二分に伝わった。そしてその身に携える聖剣の力もまた断片的に……

 

 

「彼女が持つあの剣は、確実に名のある聖剣だ。だが銘が分からない。私の持つ『聖剣』が反応した以上凄まじい力を秘めている事は間違いない。それも伝説の英雄クラスが持つようなレベルだ」

「そ、そんなに凄いものなのかしら、アレ」

「あぁ。候補は幾つか考えられる。だがどれも違う気がするんだ。ジュワユーズ、マルミアドワーズ、カリバーン、クラレントいや違うか………ブツブツ」

「ちょ、ちょっとゼノヴィア? ねぇ聞こえている?今日のご飯どうするの!?おーい!」

 




 アーシア、小猫の代わりにひん剥かれたアルトリア。今でも十分魅力的な肢体をしていますが、こっから更に進化します……
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