赤龍帝と騎士王の現し身   作:ファブニル

26 / 54
 お世話になっております。

 いつの間にかUAが50000を超えて60000も間近。登録者数や高評価も増えて、やる気がモリモリ湧いてきます。
 皆様の応援に応えられるよう、これからも投稿頑張って参ります!

 よろしければ今回も、お気に入り登録や高評価、感想をお願いします。

 それでは第二十六話、どうぞ!


『聖剣』VS『聖魔剣』

 校庭の中央に白いオーラを放つ一本の聖剣が出現した。アレこそかつてペンドラゴン家が生み出した傑作の一つ『聖虹剣カレトヴルッフ』。分たれた内の五本という未完成ながらも、剣からは凄まじいオーラが発せられている。

 

 

「エクスカリバーが一本になった光で、大地崩壊の術式も完成した。あと二十分もしないうちにこの町は破壊するだろう。解除するにはコカビエルを倒すしかないぞ?」

 

 

 衝撃な事をバルパーが口にした。あと二十分、僅か二十分でこの町が壊されるというのだ。校庭全域に展開していた魔法陣に光が走りだし、力を帯び始める。術式が発動したのだ。

 

 

「二十分、間に合いません。此処は私が『ダメだ、まだあの術式が生きている。もし第二段階を解除したら魔力を吸われて、大地崩壊が早まってしまう!』クッ!」

「フリード!」

 

 

 コカビエルがフリードの名を呼ぶ。

 

 

「はいな、ボス」

「陣のエクスカリバー、否カレトヴルッフを使え。最後の余興だ。不完全とはいえ、修復されたカレトヴルッフで戦ってみせろ」

「ヘイヘイ。まーったく、俺のボスは人使いが荒くてさぁ。でもでも!チョー素敵仕様になったエクスカリバー改め、カレトヴルッフちゃんを使えるなんて光栄の極み、みたいな?ウヘヘ!ちょっくら、悪魔でもチョッパーしますかね!」

 

 

 イカレた笑みを見せながら、フリードが校庭のカレトヴルッフを握った。融合後であっても使えるという事は、少なくとも肉体的、適性的に見ればフリードは高い能力を秘めているのだろう。回復を終えたゼノヴィアが祐斗に話しかける。

 

 

「リアス・グレモリーの『騎士』、共同戦線が生きているのならば、あのエクスカリバーを共に破壊しようじゃないか」

「壊してしまっていいのか?いや、そもそも君は武器を奪われたじゃないか」

 

 

 何ができると言わんばかり祐斗の問いにゼノヴィアは不敵に笑う。

 

 

「心配するな。こんな時の為の秘密兵器だ。それに最悪私はあのエクスカリバー、いやカレトヴルッフだったか。兎も角核になっている『カケラ』を回収できれば問題ない。フリードが使っている以上あれは聖剣であって、聖剣ではない。聖剣とて普通の武器と同じだ。使う者によって、属性や場合も変わる。あれは、異形の剣だ」

「ククク…」

 

 

 二人のやり取りを笑う者がいた。バルパーだ。

 

 

「バルパー・ガリレイ。僕は『聖剣計画』の生き残りだ。いや、正確には貴方に殺された身だ。悪魔に転生した事で生き永らえている」

 

 

 至って冷静にバルパーに告げる祐斗だが、その瞳には憎悪の炎が宿っていた。バルパーの答え次第では一触即発だ。

 

 

「ほう、あの計画の生き残りか。確か逃げ出した実験体がいたな。これは数奇なものだ。こんな極東の国で会う事になろうとは、縁を感じるな。ふふふ」

 

 

 嫌な笑い方だ。祐斗を小バカにしたかのような口調だ。

 

 

「私はな、聖剣が好きなのだよ。特に幼少の頃からアーサー王物語に出てきたエクスカリバーに心惹かれた。ブリテンの騎士王、アーサー王の象徴にして、幾多の魔獣、猛者、侵略者を切り伏せてきた常勝を齎す剣!だから聖剣使いの適性が無いと知った時の絶望といったらなかった」

 

 

 突然、バルパーは己の過去を語りだす。彼にとって今は人生で最も恵まれた状況なのだろう。まるで冥土の土産だとばかりに語っている。

 

 

「自分には使えないからこそ、使える者に憧れを抱いた。その思いは高まり、聖剣を使える者を人工的に創り出す研究に没頭するようになったのだよ。そして完成した。君達のおかげだ」 

「なに?完成?僕たちを失敗作だと断じて処分したじゃないか」

 

 

 眉を吊り上げ、怪訝な様子の祐斗。祐斗達の研究は失敗だと聞いていた。だからこそ用済みだとして処分したのではないのか?

 

 

「聖剣に使うには因子が必要なのだ。アーサー王や円卓の騎士達、シャルルマーニュと十二勇士、その他の聖剣使いも恐らくは因子の力で聖剣を扱えるのだ。私はその因子の数値で適性を調べた。結果被験者の少年少女ほぼ全員に因子はあるものの、それもこれもエクスカリバーを扱える数値に満たなかったのだ。そこで私は一つの結論に至った。『因子だけを抽出し、集める事は出来ないか?』とな。そしてその考えは正しかった!!」

 

 

 そう言うとバルパーは懐から青い水晶の様な物を取り出す。その形にゼノヴィアは見覚えがあった。

 

 

「!アレは聖剣使いとなる者が祝福を受けるときに体に取り込む、そういう事だったのか……」

 

 

 ゼノヴィアが事の真相に気付いたようで、忌々しそうに歯噛みしていた。

 

 

「そうだ、聖剣使いの少女よ。持っている者達から、聖なる因子を抜き取り、結晶を作ったのだ。こんな風にな。これにより、聖剣使いの研究は飛躍的に向上した。それなのに教会の人間共は私だけを異端として排除したのだ!研究資料だけを奪ってな。貴殿を見るに、私の研究は誰かに引き継がれているようだ。ミカエルめ。あれだけ私を断罪しておいて、その結果がこれか。まあ、あの天使の事だ。被験者から因子を抜き出すにしても殺すまではしていないか。くくくくく」

 

 

 愉快そうにバルパーは笑う。彼からすれば教会の行いは自分と何ら変わらない偽善だ。そんな彼らが滑稽に映るのだろう。

 

 

「同志達を殺して、聖剣適正の因子を抜いたのか?お前は言ったな、抜き出しても殺す事はしないと。なら僕らも殺す事は無かった筈だ」

 

 

 祐斗が殺気のこもった口ぶりでバルパーに問う。

 

 

「お前たちは極秘計画の実験動物(モルモット)。用済みになれば廃棄するのが普通だろう?」

「廃棄……!!」

「酷い……」

「欲しければくれてやる。この因子はあの時抽出したものだ。まぁ、残ったのはこの一つだけだが」

「ヒャハハハハ!俺とフレギアスの兄さん以外は因子に身体が持たずにおっ死んじまったがな!因子もパァン!だ!」

 

 

 フリードとフレギアス、2人の聖剣使いを生み出すだけでも、彼らは多大な犠牲を生み出していたのか。奴らの好きにさせていては一体何人の犠牲者が出るか分かったものではない。

 

 

「…バルパー。お前は自分の研究、自分の野望の為に、どれだけの命をもてあそんだんだ…」

 

 

 祐斗の手が震え、怒りによって高まった魔力のオーラが彼の全身を覆った。

 

 

「くくく。いくら死のうと、私の糧になれれば本望だろう、それだけ言うのならば、この因子の結晶を貴様にくれてやる。環境が整えばあとで量産できる段階まで研究はきている。まずはこの町をコカビエルと共に破壊し、あとは世界の各地で保管されている伝説の聖剣をかき集めようか。そして聖剣使いを量産し、エクスカリバーを用いた新たな聖剣を用いて、ミカエルとヴァチカンに戦争を仕掛けよう。そして、最後には私を追放した奴らに私の研究を見せ付けてやるのだよ」

 

 

 それがバルパーとコカビエルが手を組んだ理由。どちらも戦争を求めている。バルパーは興味を無くしたのかのように持っていた因子の結晶を放り投げた。それはころころと地面を転がり、祐斗の足元に行き着く。彼は静かに屈み込んで、それを手に取った。哀しそうに、愛しそうに、懐かしそうに、その結晶を撫でていた。

 

 

「…皆…」

 

 

 祐斗の頬を涙が伝っていく。その表情は悲哀に満ち、そして憤怒の表情も作り出していた。その時だった。手に持つ、結晶が淡い光を発し始める。光は徐々に広がっていき、校庭を包み込むまでに拡大していった。校庭の地面、その各所から光がポツポツと浮いてきて、形を成していく。

 それはハッキリとしたものに成形されていき、人の形となった。祐斗を囲むように現れたのは、青白く淡い光を放つ少年少女達だった。

 

 

「まさか、アレは……」

「この戦場に漂う様々な力が因子の結晶から魂を解き放ったのですね」

 

 

と、朱乃がイッセーに教える。魔剣、聖剣、悪魔、堕天使、ドラゴン、幾つもの力が集った状況では力の干渉や共鳴が起き、さまざまな現象を発現させる。結晶に残っていた彼らの魂がそれらの力を受けて一時的に現界したのだ。

 祐斗は彼らを見つめ、懐かしそうで哀しそうな表情を浮かべた。

 

 

「皆!僕は…僕は!」

 

 

 彼らは祐斗と同じ聖剣計画に身を投じられた者達。そして祐斗と違い、救いの手が届かずに処分された者達だ。

 

 

「…ずっと…ずっと、思っていたんだ。僕が、僕だけが生きていていいのかって…。僕よりも夢を持った子がいた。僕よりも生きたかった子がいた。僕だけが平和な暮らしを過ごしていていいのかって…」

 

 

 霊魂の少年の一人が微笑みながら、祐斗に何かを訴える。口をパクパクしているが、何をしゃべっているかはわからない。すると、アルトリアが不意に話し始めた

 

 

「『自分達のことはもういい。君だけでも生きてくれ』……」

「アルトリア、お前分かるのか?」

「えぇ、何故かは分かりませんが彼らの思念が私にも伝わってきます」

「アーサー王は死後、嵐と亡霊の王『ワイルドハント』になったと伝えられるわ。もしかするとアルトリアには霊媒の素質があるのかもしれないわね」

 

 

 外野には聞こえないが、祐斗は彼らの言葉に瞳を潤わせ、泣き叫ぶのを耐える様に唇を噛み締める。すると魂の少年少女達が口をパクパクとリズミカルに同調させていた。まるで歌を歌うかの様に

 

 

「聖歌」

 

 

 アーシアがそう呟いた。彼らは聖歌を歌っている…。祐斗も涙を流しながら、聖歌を口ずさみだした。

 

 それは、彼らが辛い人体実験の中で唯一希望と夢を保つために手に入れたもの。

 それは、過酷な生活で唯一知った生きる糧。

 

 それを歌う彼らと祐斗の顔は、まるで幼い子供のように無垢な笑顔であった。

 ッ!彼らの魂が青白い輝きを放ちだした。その光が祐斗を中心に眩しくなっていく。

 

 

『僕らは一人ではダメだった』

『私達は聖剣を扱える因子が足りなかった。けど』

『皆が集まれば、きっとだいじょうぶ』

 

 

 彼らの想いが強まったのか、今度は彼らの声がイッセー達の耳にも聞こえる。本来、聖歌を聴けば悪魔は聖なる言葉とメロディによって苦しむ。

 しかし現在この校庭が様々な力が入り乱れている特殊な力場の影響からか、イッセー達は聖歌の苦しみを感じていなかった。

 寧ろ温かさを感じる。友を、同志を想う、温かなものを。イッセーやリアス、グレモリー眷属の皆からもいつの間にか、自然に涙が流れていた。

 

 

『聖剣を受け入れるんだ』

『怖くなんてない』

『たとえ、神がいなくても』

『神が見てなくても』

『僕達の心はいつだって』

「ひとつだ」

 

 

 彼らの魂が天にのぼり、一つの大きな光となって木場の元へ降り注ぐ。優しく、神々しい光が祐斗を包み込んだ。その姿は、まるで天が祐斗を祝福しているかのように見えた。

 

 

「アレは……」

「ユウト、まさか……」

『至ったな、あの『騎士』。相棒、よく見ておけ。アレこそが想いが世界の流れにすら逆らうほどに高まった姿。真の『禁手(バランス・ブレイカー)』だ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただ、生きたかった。研究施設から一人逃げ出し、森の中で血反吐吐きながら走った僕はそれだけを考えていた。森を抜け、とある上級悪魔の少女と出会った時、命の灯火は消えかかっていた。

 

 

「あなたは何を望むの?」

 

 

 死に逝く間際の僕を抱きかかえ、紅髪の少女は問う。かすれていく視界の中で僕は一言だけ呟いた。助けて。僕の命を。僕の仲間を。僕の人生を。僕の願いを。僕の力を。僕の才能を。僕を…。ただただ、それらを籠めて願った。それが人間としての最後の言葉だった。

 

 

「悪魔として生きる。それが我が主の願いであり。僕の願いでもあった。それでいいと思った。けれど。エクスカリバーへの、カレトヴルッフへの憎悪と同志の無念だけは忘れられなかった。…いや、忘れても良かった。僕には」

 

 

 アルトリアさんによってエクスカリバーの真実を聞かされ、復讐の糸は僅かに解かれ、時間と共に恨みも沈静化していった。それに今、最高の仲間がいるんだ。イッセー君、小猫ちゃん。復讐にかられていた僕を助けてくれた。共に聖剣使いを探し回っていた時、思ってしまったんだ。僕を助けてくれる仲間がいる。「それだけで十分じゃないのか?」と。

 だけど、同志達の魂が復讐を願っているとしたら、僕は憎悪の魔剣を降ろすわけにもいかない。だが、その想いも先程、解き放たれた。

 

『自分達の事はもういい。君だけでも生きてくれ』

 

 同志達は僕に復讐を願っていなかった。願ってはいなかったんだ!

 

 

「でも、全てが終わったわけじゃない」

 

 

そう、終わりではない。目の前の邪悪を打倒しなければ、悲劇は繰り返される。

 

 

「バルパー・ガリレイ。貴方を滅ぼさない限り、第二、第三の僕達が生を無視される」

「ふん。研究に犠牲はつきものだと昔から言うではないか。ただそれだけのことだぞ!」

 

 

 やはり、あなたは邪悪すぎる!

 

 

「木場ァァァァァッッ!フリードの野郎とエクスカリバーをぶっ叩けェェェェェ!」

 

 

 イッセー君。

 

 

「お前は、リアス・グレモリー眷属の『騎士』で、俺の仲間だ!俺のダチなんだよ!戦え木場ァァァァッッ!彼奴らの想いと魂を無駄にすんなァァァッ!」

 

 

 君は僕を助けてくれた。何も得が無かったのに、主に罰を受けるかもしれなかったのに。

 

 

「祐斗!やりなさい!自分で決着をつけるの!カレトヴルッフを超えなさい!貴方はこのリアス・グレモリーの眷属なのだから!私の『騎士』はカレトヴルッフ如きに負けはしないわ!」

「祐斗くん!信じてますわよ!」

 

 

 リアス部長、朱乃さん。

 

 

「…祐斗先輩!ファイトです!」

 

 

 小猫ちゃん。

 

 

「祐斗さん、頑張ってください!」

 

 

 アーシアさん。

 

 

「ユウト!私の想いも貴方に託します!今の貴方であれば、カレトヴルッフを打ち破れる!ペンドラゴン家の過去を、業を、断ち切って下さい!」

 

 

 アルトリアさん。ありがとう、貴方に代わってカレトヴルッフを破壊させて貰うよ。大丈夫、皆の応援が、僕に力をくれる。

 

 

「ハハハ!何泣いてんだよ?幽霊ちゃんたちと戦場のど真ん中で楽しく歌っちゃってさ。ウザいったらありゃしない。もう最悪。俺あの歌が大嫌いなんスよ。聞くだけで玉のお肌がガサついちゃう!もう嫌。もうマヂムリ限界!てめぇを切り刻んで気分を落ち着かせてもらいますよ!この五本に統合させた無敵の聖剣ちゃんで!」

 

 

 フリード・セルゼン。その身に宿る僕の同志の魂。これ以上悪用させるわけにはいかない!この涙は決意の涙だ!

 

 

「僕は剣になる」

 

 

 同志達よ。僕の魂と融合した同志達よ。一緒に超えよう。あのとき、達せなかった想いを、願いを、いまこそッッ!

 

 

「部長、仲間達の剣となる!今こそ僕の想いに応えてくれッ!魔剣創造(ソード・バース)ッッ!!」

 

 

 僕の神器と同志の魂が混ざり合う。同調し、カタチをなくしていく。魔なる力と聖なる力が融合していった。そう、この感覚。僕の神器が、僕の同志たちが教えてくれる。これは昇華だと。

 神々しい輝きと禍々しいオーラを放ちながら、僕の手元に現れたのは一本の剣。完成したよ、皆。

 

 

禁手(バランス・ブレイカー)、『双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)』。聖と魔を有する剣の力、その身で受け止めるといい」

 

 

 僕はフリード目掛けて走り出した。『騎士』の特性はスピード!フリードが目で僕の動きを追うが、フェイントを何度も入れて彼の視界から脱する。

 

 

 ギィィィン!

 

 

 それでも僕の一撃をフリードは受け止めた。本当、大した「はぐれ悪魔祓い」だよ。しかし、彼のエクスカリバーを覆うオーラが僕の剣によってかき消されていく。

 

 

「ッ!年代モノのマジ聖剣を凌駕すんのか、その出来立て駄剣が!?」

 

 

 驚愕の声を出す彼。

 

 

「それが本来のカレトヴルッフならば、勝てなかっただろうね。でも、その堕ちた聖剣では、僕と、同志達の想いは絶てない!」

「チィ!」

 

 

 舌打ちしたフリードは僕を押し返し、後方へ下がった。

 

 

「伸びろォォォォ!」

 

 

 彼のエクスカリバーが意思を持ったようにうねり始め、宙を無軌道に激しく動きながらこちらへ迫ってきた!『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』の能力。やはり五本分の能力を有しているんだね。さらに剣は先端から枝分かれし、神速で降り注いでくる。こちらは『天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)』か。速度が武器だったねあれは。四方八方、上からも下からも縦横無尽に鋭い突きを放ってくるが、僕は全て防ぐ。キミの殺気は分かりやすい。殺気の来る方向がわかれば、防ぐのも容易なことだよ。

 

 

「なんでさ!なんで当たらねぇぇぇぇぇッッ!無敵の聖剣さまなんだろぉぉ!昔から最強伝説を語り継がれてきたじゃないのかよぉぉぉ!」

 

 

 フリードが叫ぶ。その姿には明らかに焦りの影が見える。残念だけど君の言う最強伝説の聖剣は彼女のモノだ。君のじゃない。

 

 

「なら!なら、こいつも追加でいってみようかねぇぇっぇ!」

 

 

 聖剣の先端がふいに消える。透過現象?これは『透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)』の力だ。刀身を透明にさせる能力。だけど、殺気の飛ばし方を変えなければ、いくら刀身が見えなくても。

 

 

 ギィン!ギン!ギン!ギィィィィン!

 

 

 透明な刀身と僕の剣が火花を散らす。僕は彼の攻撃を全ていなした。

 

 

「ッ!なら防げなくしちゃうもんねェだ!」

 

 

 フリードは目元を引きつらせつつも聖剣にオーラを纏わせる!『破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)の能力を使う気か!?

 

 

「アレの対処は任せてもらおう」

 

 

 割り込む様にゼノヴィアが介入してくる。話にあった秘密兵器を使うつもりらしく、右手を宙に広げた。

 

 

「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ」

 

 

 何かの言霊を発し始めている。彼女は何をするつもりだ?疑問に感じていた僕の視界で空間が歪む。歪みの中心にゼノヴィアが手を入れた。無造作に探り、何かを掴むと次元の狭間一気に引き出してくる。そこにあったのは一本の聖なるオーラを放つ剣。

 

 

「この刃に宿りしセイントの御名において、我は解放する。 デュランダル!」

 

 

 デュランダル!?エクスカリバーに並ぶほど有名な伝説の聖剣だ。その刀身は決して折れず、欠けず、曲がらない。決して(こわ)れない不滅の聖剣の異名を持つ。それをなぜ彼女が?

 

 

「デュランダルだと!」 

「貴様、エクスカリバーの使い手ではなかったのか!」

 

 

 バルパーばかりか、コカビエルもさすがに驚きを隠しきれない様子だった。

 

 

「残念。私は元々聖剣デュランダルの使い手だ。エクスカリバーの使い手も兼任していたにすぎない」

 

 

 ゼノヴィアがデュランダルを構えた。

 

 

「バカな!私の研究ではデュランダルを扱える領域に達していないぞ!?」 

「それはそうだろう。ヴァチカンでも人工的なデュランダル使いは創れていない」

「では、なぜだ!」

「イリナ達現存する人工聖剣使いと違って、私は数少ない天然ものだ。エクスカリバー使いの、アルトリア・ペンドラゴンと同じな」

 

 

 ゼノヴィアの言葉にバルパーは絶句していた。ゼノヴィアは僕達と違い、アルトリアさんと同じ元から聖剣に祝福された者だったようだ。

 

 

「ただの聖剣ではないと思っていたが、まさか彼女が持つ聖剣の方が真のエクスカリバーとはね。デュランダルが暴れ出したのも頷ける」

 

 

 その顔には騙された!という様な怒りは無かった。寧ろ納得がいったという晴れやかな表情を浮かべている。

 

 

「さて、デュランダルは想像を遥かに超える暴君でね。触れたものは何でもかんでも斬り刻む。彼女の礼装の様な便利な鞘も付けられないどころか、私の言うこともろくに聞かない。ゆえに異空間へ閉じ込めておかないと危険極まりないのさ。使い手の私ですら手に余る剣だ。──さて、フリード・セルゼン。未完成とはいえカレトヴルッフとデュランダルの世紀の一戦だ、一太刀めで死んでくれるなよ?」

 

 

 デュランダルの刀身がフリードの持つカレトヴルッフ以上に聖なるオーラを放ち始めた。あのオーラ、僕の聖魔剣以上の力を発揮している!

 

 

「そんなのアリですかぁぁぁ!?ここにきてのチョー展開!クソッタレのクソビッチが!そんな設定いらねぇんだよォォォォ!」

 

 

 フリードが叫び、殺気をゼノヴィアへ向けた。目には見えないが、『破壊』の力を上乗せし、枝分かれした透明の剣を彼女に放ったのであろう。

 

 

 ガギィィィィン!

 

 

 たった一度の横薙ぎで、枝分かれした聖剣が砕かれて姿を現した。デュランダルからの剣風の余波で、校庭の地面が大きく抉れる。『破壊』の力を合わせた聖剣とかち合っても尚、刀身には傷一つない。

 

 

「所詮は、折れた聖剣か。このデュランダルの相手にもならない」

 

 

 ゼノヴィアはつまらなそうにため息を吐く。凄まじい威力だ。彼女の持っていた『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』など比べ物にならない。

 

 

「マジかよマジかよマジですかよ!伝説のカレトヴルッフちゃんが木っ端微塵の四散霧散かよっ!酷い!これは酷すぎる!かぁーっ!折れたものを再利用しようなんて思うのがいけなかったのでしょうか?人間の浅はかさ、教会の愚かさ、いろんなものを垣間見て俺様は成長していきたい!」

 

 

 殺気の弱まった彼に僕は一気に詰め寄った!彼も対応できていない!チェックメイトだ!僕の聖魔剣をカレトヴルッフで受け止めようとするが。

 

 

 バギィィィ……ン

 

 

 儚い金属音が鳴り響く。カレトヴルッフが砕け散る音だ。

 

 

「見ていてくれたかい?僕の力は、忌まわしい過去(エクスカリバー)を超えたよ」

 

 

 聖剣を砕いた勢いで、僕はフリードを斬り払った。




 カレトヴルッフは弱くないのです。元の性能はDDエクスカリバーと同じなんです。性能的にはトップクラスなんです。

 ただ原作からしてエクスカリバーは強化パーツですし、今作には格の違う真のエクスカリバーがあるので……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。