赤龍帝と騎士王の現し身   作:ファブニル

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 どうも、ファブニルです。

 せっかくの三連休という事で、もう一話出してみました。といっても短め且つアルトリアの関与しないギャスパー救出シーンですので原作との違いはあまりありませんが。

 また前回オーフィスをアルテミット・ワンとしましたが、思えばあの子と対となる同格居たなって事で、彼女にはアーキタイプを名乗って貰う事にしました。ちゃんとアーキタイプとアルテミット・ワンの区別付けておかなきゃですね……

 よろしければ今回もお気に入り登録や高評価、感想をお願いします。

 それでは第三十六話、どうぞ!


箱入り吸血鬼の覚悟

 イッセーとリアスが目を開ける。そこはいつも使っている部室だった。が、中はテロリストによって荒らされている。どうやらグレイフィアによる転移は成功したようだ。

 

 

「部長、部室が……」

「片付けなら後でも出来るわ。いまはギャスパーを!」

「!ハイ!」

 

 

 二人は早速一階へと降り、ギャスパーのいる部屋にたどり着く。侵入される事を想定していないのか、扉にはトラップも防御結界も無かった。何もないならとイッセーは籠手を装着し、扉を破壊する。

 

 

「———ッ!まさか、ここに転移してくるとは!」

「悪魔め!」

 

 

 室内は不気味なローブを着た女魔術師達が占拠していた。

 

 

「ぶ、部長!イッセー先輩!」

 

 

 ギャスパーの声のした方へ視線を向ければそこにはギャスパーが壁に貼りつけの状態にされていた。魔術で固定され、強制的に力を発揮させられているのか強いオーラを放ってる。

 

 

「ギャスパー!」

「動くな!動けばコイツの命はない!」

「テメェら卑怯だぞ!」

「……部長…。もう、嫌です…」

 

 

 咄嗟に剣を突き付けられたギャスパーは途端に泣き出した。

 

 

「僕は…死んだほうがいいんです。お願いです。部長、先輩。僕を殺してください…。この眼のせいで、僕は誰とも仲良くなんてできないんです…。迷惑ばかりで…臆病者で…」

 

 

 ギャスパーは涙をボロボロとこぼしていた。敵に捕らわれ、利用され、皆に迷惑掛けたと思っているのだろう。リアスはそんなギャスパーに優しく微笑む。

 

 

「バカなことを言わないで。私は貴方を見捨てないわよ?あなたを眷属に転生させた時、言ったわよね?『生まれ変わった以上私の為に生き、そして自分が満足できる生き方も見つけなさい』と」

 

 

 しかしリアスの言葉はギャスパーに届かず、彼は首を横に振る。

 

 

「…見つけられなかっただけです。迷惑かけてまで僕は…生きる価値なんて…」

「貴方は私の下僕で眷属なの。私はそう簡単に見捨てない。やっとあなたを解放させることができたのに!」

「そうだぞ、ギャスパー!部長も俺もお前を見捨てない!お前の生きる理由を一緒に探してやるさ!」

 

 

 そんな二人の思いを嘲笑うように魔術師は剣でギャスパーの頬に傷をつける。

 

 

「愚かね、貴方達。こんな危なっかしいハーフヴァンパイアを普通に使うなんてバカげているわ。旧魔王派の言う通りね。グレモリー一族は情愛が深くて力に溢れている割には頭が悪いって」

 

 

 魔術師はリアスを侮蔑的な視線で見ていた。彼女からすればリアスは下らない感情で動く甘ちゃんでしかなかった。

 

 

「さっさとこんなヴァンパイアを洗脳して、道具として有効的に使えばもっともっと評価を得ていたのではないかしら?敵対している堕天使の領域にこの子を放り込んで神器を暴走させれば、幹部の一人でも退けたかもしれないわ。それか眼だけ移植するなり、抉り出して礼装にするなりでもすればよかったのに。それをしないのは何?もしかして、仲良しこよしで下僕を扱う気なの?」

「こ、この」

 

 

 リアスを侮辱され怒ったイッセーが魔術師に殴りかかろうとしたが、リアスはイッセーを手で制止する。リアスの態度は冷静そのものだった。

 

 

「私は…自分の下僕を大切にするわ」

 

 

 ヒュッ!ボン!

 

 

 女魔術師が小さな魔力の弾をリアスに放つ。リアスに当たり、制服の一部を消し飛ばす。

 

 

「生意気な口ね。それに悪魔のクセに美しいのも気に入らないわ、グレモリーの娘」

 

 

 女魔術師の嫉妬にまみれた言葉。魔術師はギャスパーの首元に刃を突き付ける。

 

 

「動くとこの子が死ぬわ。ちょっと遊びましょうよ」

 

 

 魔術師は手を突き出し、さらに魔術を放とうとしている。リアスの方は言われた通り避ける気配を見せない。しかし魔力の弾が再び放たれる瞬間、イッセーがリアスの前に立ち盾となる。

 

 

 ボンッ!

 

 

 弾はイッセーの首より下の部分に当たっていた。位置としてはリアスの顔の辺り。その綺麗な顔を吹っ飛ばしてやると言わんばかりだ。すると、リアスはイッセーの後ろから出てきてギャスパーに優しく語り掛ける。

 

 

「ギャスパー、私にいっぱい迷惑を掛けてちょうだい。私は何度も何度も貴方を叱ってあげる!慰めてあげる!私は決してあなたを放さないわ!」

 

 

 それはリアスの覚悟。眷属を、家族を決して見捨てない。情愛の一族たるグレモリーに相応しい決意表明だ。そしてギャスパーは、主人がここまでの覚悟を見せて、黙っているような男ではなかった。

 

 

「ぶ、部長…僕は…僕はっ!」

 

 

 泣き出すギャスパー。だが、それは今までのような恐れからでも悲しみからではない。主人の言葉に感動し流した嬉し涙だった。

 

 

ギャスパァァァァァアアアッッ!

 

 

 イッセーは室内に響き渡る大声を張り上げる!ダメ押しだ!

 

 

「逃げるなッッ!恐れるなッッ!泣き出すなッッ!俺も!部長も!アルトリアも!朱乃さんも!アーシアも木場も小猫ちゃんもゼノヴィアも!皆、仲間だ!絶対にお前を見捨てないッッ!仲間外れなんかにしないぞォォォォオオオッ!」

 

 

 リアスの覚悟に呼応する様に、イッセーも左腕を掲げる。

 

 

「ブーステッド・ギア!」

Boost(ブースト)!』

 

 

 イッセーが籠手の力を発動させる!

 

 

「部長!『女王』に昇格します!」

 

 

 リアスが頷き、イッセーは『女王』に昇格する。

 

 

「アスカロン!」

Blade(ブレード)!』

 

 

 新たな音声と共に神器の甲から伸びたのは、神社で手に入れた聖剣アスカロン。女魔術師達がイッセーを警戒するが、イッセーは剣の切っ先を自分の手元へ向ける。

 

 

 ザシュ

 

 

 イッセーは刃で右の掌を自ら斬った。斬られた傷から血が滴り落ちる。

 

 

「イッセー……?」

 

 

 イッセーの行動を怪訝そうに見ているリアス。だがダメージはそこまで大きくはない。そもそもイッセーは聖剣の扱い方をあまり知らない。アルトリアがこれから教えてくれるのだが、今はそれで良かった。何故なら血を出す事が目的だからだ。

 

 

「ギャスパー!次はお前の番だ!何かするってんなら自分から立たなくちゃ始まらないんだぜ?女の子に活を入れて貰ったら、あとは立てッ!てめぇにも立派なもんついてんだろうがぁぁぁぁっぁぁあっっ!」

 

 

 イッセーが左腕を突き出すと、血の付いたアスカロンがギャスパーの方へ伸びていく。魔術師達が反応するよりも早く、アスカロンについた血は飛び散り、ギャスパーの口元に付着する。

 

 

「飲めよ。最強のドラゴンを宿しているとかいう俺の血だ。それで男を見せてみろッ!」

 

 

 イッセーの言葉にギャスパーは強い眼差しで頷いた。ギャスパーが舌で口元についたイッセーの血を舐めとる。ギャスパーが血を口にした瞬間、この室内の空気が一気に様変わりした。不気味で言い知れない悪寒が全員の全身を駆け巡った。その感覚を振り払い魔術に縛られたギャスパーへ目を向けた時、

 

 

「「「!?」」」

 

 

 消えた!ギャスパーがいない。ギャスパーを縛っていた魔術すら解けていた。女魔術師達もギャスパーが突然消えた事に驚き、辺りを見渡す。室内全域に視線を配らせると。

 

 

 チチチチチ……

 

 

 不気味な鳴き声が聞こえてくる。部室の天井近くを無数のコウモリが飛んでいた。赤い瞳をしたコウモリの群れは一斉に女魔術師達に襲い掛かる。

 

 

「クッ!変化したのか、吸血鬼め!」

「おのれ!」

 

 

 毒づく彼女達は手をコウモリに向けて、魔術の弾を撃ちだそうとするが、何かにして下へ引っ張られて体制を大きく崩した。目を向ければ女魔術師達の影から黒い手が無数に伸びていた!

 影から出てきた手は、彼女達を影のなかへ引っ張ろうとしている。まるで地獄から伸びる亡者の腕だ。

 

 

「吸血鬼の能力か!」

「くらえ!」

 

 

 ドンッ!

 

 

 影へ魔術の弾を撃ちだすが、影の手は何事もなく霧散するだけ。その間にもコウモリは魔術師の体を包み込んで、各部位を噛んだ。

 

 

「血を吸うつもりか!?」

「血だけじゃない、私達の魔力も吸いだしているぞ!」

 

 

 苦戦している魔術師達。コウモリと影から伸びる手になすがままにされていた。ギャスパーのヴァンパイアとしての力だろうか、かなり禍々しい。

 

 

「イッセー、あれが本来ギャスパーが秘めていた力の一部よ。イッセーの血を飲んだ事で、解放されたのね」

 

 

 とリアスが言う。あれがギャスパーの力か、『変異の駒』を使わなければ転生出来なかったのにも頷ける、とイッセーは畏怖の目線で見る。

 

 

「くっ!ならば、こうするまでよ!」

 

 

 魔術師達が照準をこちらへ向ける。下僕がダメなら主をという事だ。すぐさまイッセーは前に出て盾となる。撃ちだされた無数の魔術の弾がイッセー達を狙うが、

 

 

 ピタッ

 

 

 それら全部が、空中で停止した。

 

 

『無駄ですよ。貴女達の動き、攻撃は全て僕が見ています』

 

 

 室内に響き渡るギャスパーの声。コウモリの赤い目が輝いていた。ギャスパーがコウモリの視線から神器を発動していたしかも修行と違い、魔術師の弾だけをものの見事に停止させている!

 イッセーの血を飲んだ影響か、神器を使いこなしている。

 

 

『僕は貴方達を停めます!』カッ!

 

 

 無数のコウモリが赤い瞳を光らせ、この部屋にいる全ての女魔術師の時間を停止させてしまった。

 

 

『イッセー先輩!トドメです!』

「任せろ!」

 

 

 イッセーは駆け出し、魔術師達にタッチしていく。そして部屋の中央でポーズを取りながら、叫んだ。

 

 

洋服崩壊(ドレスブレイク)ッッ!」

 

 

バババッ!

 

 

 時間を停止させられた魔女たちの衣服がはじけ飛んだ。その内側から大小様々なおっぱいが零れ落ちる。

 

 

 ブッ!っと時間停止と洋服崩壊(ドレスブレイク)の合わせ技に鼻血を噴き出しながら、イッセーは勝利の笑みを浮かべていた。

 

 

「ギャスパー、やっぱ俺達が組めば無敵だ」

『はい!』

「さーて、全裸の見本市を堪能しますかぁ!」

「そうじゃないでしょ?」ぺちっ!

 

 

 リアスがため息を吐きながら、イッセーの頭を小突いた。トドメどころか倒してすらいない、然もテロの真っ最中にも関わらずいつもと変わらないイッセーにリアスは呆れてしまうのだった。 

 

 

 

 

 ギャスパーの救出に成功した後、改めて魔術師を倒したイッセーは魔術師達を縛り上げて、リアスの展開した魔法陣へと置いていた。この魔法陣は冥界にある留置所へと繋がっている。そこで捕縛されて、牢屋に入れられるのだ。これでテロの生きた証人が手に入った。後は彼女たちから情報を引き出すのだろう。

 

 

「先輩、手は大丈夫ですか?」

 

 

 コウモリや影から元の姿に戻ったギャスパーが尋ねる。今彼はアザゼルから貰った腕輪をしている為、神器の暴走も起きないだろう。

 

 

「ああ、このぐらいのケガは慣れっこだ。これでも堕天使の攻撃で腹に風穴があいた事もあるんだぞ」

「うえええええっ!ほ、本当ですか…?せ、先輩はバイオレンスですね…」

「全く、アスカロンは悪魔にもドラゴンにも効く聖剣よ、いくらまだ使い方を知らないからって無茶しすぎよ。ビックリしちゃったじゃない」

「す、すみませんでした……そうだギャスパー、俺の血を飲んで、どうだ?」

「はい、一時的に力が底から沸き上がりましたけど…今は元の状態に戻ってます」

 

 

 強化はやはり時間制限付きだった。イッセーが未熟だからか、吸血鬼の血液ブーストがそういうものなのかは分からない。それでも血を飲めば十分なほどに戦力になる。

 

 

「うん。全員、あちらへ転送したわ!さて、イッセー、ギャスパー!魔王様たちの元へ帰るわよ!」

「はい!あ、そういえば部長。さっきオーフィスって名前を聞きましたけど、そんなに凄い奴なんですか?」

 

 

 部室を出ながらイッセーがリアスに質問する。

 

 

「そういえば貴方にはまだ話していなかったわね。『無限の龍神』オーフィス、この世で最も強いかもしれない存在ね、少なくともドラゴンの中では最強と言われているわ。最もこれは私より、赤龍帝の方が詳しいでしょうけど」

「って言ってるけど、どうなんだドライグ?」

 

 

 リアスに勧められ、イッセーは籠手の中の相棒へと問いかけた。

 

 

『そうだな、俺や白いの、世界中に存在する名のあるドラゴンの誰よりも強い。あの『神』すらうかつに手が出せない強者だ。なんせ『アーキタイプ』だからな』

「アーキタイプ?」

『『金型』という意味だな。この星が生み出した頭脳体、アバターと考えればいい。星から生まれたという点においてはエクスカリバーの親戚ともいえるな。噂だがこの世の始まりから存在しているとも言われている。それ以上の事は俺もよく知らん。だが「無限」と付くだけあって文字通り無限に等しい力を持った化物だよ』

「そ、そんなやべぇ奴がテロリストの親玉かよ……」

 

 

 アルトリアのエクスカリバーが外からの侵略者に対抗する為の兵器だの、テロリストのボスが世界の始まりからいる最強のドラゴンだの、イッセーは話のスケールに置いて行かれそうな雰囲気を感じていた。

 そのまま三人は旧校舎からサーゼクス達のいるはずの新校舎へと向かう。道中にも魔術師たちがいたが、後ろから襲われると思っていなかったのか、リアスとイッセーの奇襲であっさりと倒された。三人が校庭に出るとそこは戦場と化していた。

 

 アルトリア、祐斗、ゼノヴィアの三人と、ミカエルに付いていた高位天使が結界の外に出て応戦している。空には魔術師に加えて悪魔の姿もあった。最も魔術師に比べれば数は少なく、一人また一人とアルトリアと天使によって倒されていく。

 

 

「アルトリア!木場もゼノヴィアも戦ってる!」

「良かった、こちらの方が優勢よ。さ、急いでギャスパーをお兄様の下に!」

 

 

 イッセーは目の前の敵を蹴散らしつつ、サーゼクスとミカエルの張る防御結界の下へとたどり着いた。

 

 

「リアス!無事にギャスパー君を保護できたのか」

「ハイ、お兄様。ギャスパーをお願いします」

「これで後はテロリストを殲滅すればッ!?」

 

 

 ドッガァァァァアアアアンッ!

 

 

 ミカエルが改めて戦場に目を向けた瞬間、轟音が響き渡る。地面に何かが落ちたのだ。立ち込める土煙が消えたあと、そこにいたのは。

 

 

「チッ。この状況下で反旗かよ。ヴァーリ、ロウィーナ」

 

 

 ダメージを負った堕天使総督アザゼルだった。




 一応オーフィスはアーキタイプ:天体とかガイア側の存在かなぁと思ってる。逆にあの赤いドラゴンはアラヤ側じゃないかなって感じ。

 あのドラゴンは『夢幻の幻想』から生まれてる、これを集合無意識と定義すると何となくアラヤ側かなぁと。で、対になるオーフィスはガイア側かな。『無限』は星の長生きしたいという思いの結晶みたいな?
 この考えやアーキタイプに関する認識についても感想お待ちしております。
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