三連休、凄い雪ですね。今いる場所は余り雪が降らないと思っていたのでビックリです。地元はもっと凄いみたいですけど、あっちは通常運転なので。
今回は若手悪魔の決意発表会。個人的に気になっていた部分なので、ちょっと修正を加えてみました。些か強引ですが、これが良いかなと思いました。皆様のご意見も感想欄までどうぞ!
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それでは第四十四話、どうぞ!
若手悪魔の面々が案内されたのは、異様な雰囲気が漂う場所だった。
悪魔達の前に聳え立つ階段状の席。見上げた先には悪魔社会において古参、古株とも呼ばれる悪魔達が座っており、その更に上の段にも元老、重鎮と呼ばれる悪魔が座る。そしてその上の段には四大魔王たる、サーゼクス、セラフォルー、アジュカ、ファルビウムの四人が座っている。
アルトリアはリアス達から離れ、会場端の階段へと向かう。悪魔界の有力者の横を通りながら、そのままグレイフィアの隣、式典における定位置に着く。
しかしこうして見ると、イッセー達は高い所から見下ろされている状態だ。威圧的だが、こういった点から序列を印象付けているのだろう。イッセー達眷属はリアスを始めとした主人の後ろに並んで待機している。
「 (イッセー、緊張していますね。彼からすればこれらの席の悪魔は皆雲の上の存在、オーラに呑まれなければ良いのですが……) 」
そんな中、リアスを含めた若手六人が一歩前に出る。ゼファードルも途中から参加しており、他同様に一歩前へ出ていた。頬の腫れは未だに引かないようで生々しい痕を残しているが。
「よく集まってくれた。次世代を担う貴殿らの顔を改めて確認する為、集まってもらった。これは一定周期ごとに行う。若き悪魔を見定める会合である」
初老の男性悪魔、確かヴァサーゴ家の悪魔が手を組みながら言う。
「さっそく、やってくれたようだが…」
今度は髭面の男性悪魔、彼はアモンだったか?が皮肉気に言う。先程の争いの事だろう。こうなる事が分かっていただろうに、イビるネタが欲しかったのだろうか?
「君達六名は家柄、実力共に申し分ない次世代の悪魔だ。だからこそ、デビュー前にお互い競い合い、力を高めてもらおうと思う」
「では、若手でレーティングゲームを?」
「エキシビションという形で予定している。これは天使、堕天使を始めとした各界の識者を招くことでレーティングゲームの有用性をアピールする目的もある。」
話を切り替えんとサーゼクスが本題に入る。三大勢力ではなく、各界としたのは今後他の神話体系とも協調路線を取ることを指しているのだろうか。
「我々もいずれ『禍の団』との戦に投入されるのですね?」
サイラオーグがサーゼクスに訊ねる。
「それはまだわからない。だが、できるだけ若い悪魔達は投入したくはないと思っている」
サーゼクスの答えにサイラオーグは納得できない様子だった。
「なぜですか?若いとはいえ、我等とて悪魔の一端を担います。この歳になるまで先人の方々から厚意を受け、なお何も出来ないとなれば」
「サイラオーグ、その勇気は認めよう。しかし、無謀だ。何よりも成長途中の君達を戦場に送るのは避けたい。それに次世代の悪魔を失うのはあまりに大きいのだよ。理解して欲しい。君達は君達が思う以上に我々にとって、宝なのだよ。だからこそ、大事に、階段を踏んで成長して欲しいと思っている」
サーゼクスの言葉にサイラオーグは不満を残しつつも納得した。確かにサイラオーグは強い、エクスカリバーを解放していないアルトリアでも勝てるか怪しい。だが、それでも『禍の団』の全貌が見えない以上、若い芽を出すのは危険と判断したのだ。
その後席に座る何人かの悪魔から、リアスたちの領地経営や眷属選定、素行などに対しての小言ともいえる『ありがたい話』がなされ、今後のレーティングゲームについての説明もあった。
「さて、長い話に付き合わせてしまって申し訳なかった。なに、私達は若い君達に私たちなりの夢や希望を見ているのだよ。それだけは理解して欲しい。君達は冥界の宝なのだ」
サーゼクスの言葉に若手の皆は聞き入っていた。サーゼクスの為人を知らずとも、聴いていてその言葉に嘘偽りが無い事が分かるほどに彼は真剣だった。
「最後にそれぞれの今後の目標を聞かせてもらえないだろうか?」
サーゼクスの問いかけに最初に答えたのはサイラオーグだった。
「俺は魔王になるのが夢です」
『ほう…』
魔王たちだけでなく、高官たちも正面から迷いなく言い切ったサイラオーグの目標に感嘆の息を漏らしていた。
「大王家から魔王が出るとしたら前代未聞だな」
席に座る悪魔の一人がそういう。これはただ前例がないという事だけは無い。魔王と『大王』バアル家の関係は微妙な権力バランスで成り立っている。サイラオーグが魔王になればそのバランスに大きな影響が出るだろう。それを危惧しているのだ。
「俺が魔王になるしかないと冥界の民が感じれば、そうなるでしょう」
再び言い切った。民に認められた者が王になる。そしてそうなる事を疑わず、その為の努力を欠かしていないのだろう。彼の言葉を聞いていると此方も背筋が伸びる思いだ。感心していると次はリアスが言う。
「私はグレモリーの次期当主として生き、そしてレーティングゲームの各大会で優勝することが近い将来の目標ですわ」
それが、リアスの目標か。サイラオーグに比べれば突飛なものではない順当なものだろう。彼女の目標の為にもイッセーたちはこの夏で強くなる必要があるだろう。
しかし自分の目標か……。アルトリアはロウィーナに言われた事を思い出していた。
「(私が覚醒すると、千年王国が生まれて人間以外の神秘が駆逐される?どういう意味なのだろうか、アザゼルもサーゼクス殿にも分からないと言われてしまったし、エムリスには聞いてもはぐらかされてばかり……)」
そのあともアガレス、アスタロト、グラシャラボラスの三家が夢や目標を口にし、最後に残ったのはソーナだった。そして、ソーナが夢を語る。
「冥界にレーティングゲームの学校を建てることです」
学校か、成程。教育は社会の発展や安定に大きな影響力を持つ。それもレーティングゲームという事は、彼女はスポーツ専門学校を作りたいのだろうか?そう思ってると、階段席の悪魔達は眉根を寄せていた。
「レーティングゲームを学ぶ場ならば、既にあるはずだが?」
確認するかのようにソーナに訊く。しかし彼女は淡々と答える。
「それは上級悪魔と一部の特権階級の悪魔のみしか行くことが許されない学校のことです。私が建てたいのは下級悪魔、転生悪魔も通える分け隔てない学舎です」
差別のない学校。成程、ソーナは『公教育』をこの冥界に定着させようとしているのか。悪魔の最も有効な立身出世は貴族の眷属としてレーティングゲームなどで活躍し、階級を挙げていくというもの。しかし上級悪魔の数は限られているし、運よく見出されなければ芽も出ない。そして眷属になったとて機会を与えられるとも限らない。
だが、現代の学校制度とそこからの立身のシステムを導入して、下級悪魔などが学び、鍛えることが出来れば生まれの低い者でもレーティングゲームで出世できるだろう。匙も誇らしげに会長の夢を聞き入っていた。
しかし。
『ハハハハハハハハハハハハッ!』
悪魔たちの笑い声がこの会場に響き渡る。嘲笑、それ以外の何物でもない。リアスたちの方を見れば、目を細めて難しい顔になっていた。イッセーも匙も突然の笑い声に驚いている。
だがこれが現実だ。アルトリアも幾度となく体験した冥界の階級制度と差別。彼等の笑いはその象徴と呼べるものだ。
「それは無理だ!」
「これは傑作だ!」
「なるほど!夢見る乙女というわけですな!」
「若いというのはいい!しかし、シトリー家の次期当主ともあろう者がそのような夢を語るとは。ここがデビュー前の顔合わせの場で良かったというものだ」
それは人類もかつて通った道。公平公正を訴える者と持つ権力を手放せない者たちの確執。今、悪魔の世界でもそれが成されようとしている。
「…今の冥界がいくら変わりつつあるとしても、上級と下級、転生悪魔、それらの間の差別はまだ存在する。それが当たり前だと未だに信じている者達も多いんだ」
イッセーの隣で祐斗が淡々と説明していた。
「なんだ、それ?だって、部長の御家は俺達を普通に向かい入れてくれたじゃないか」
「イッセー君。グレモリーは情愛が深い悪魔の一族だ。あまり人間にも下級悪魔にも差別的な目を向けない。…だけど、フェニックスを思い出してくれ」
そう、ライザーは転生かつ下級のイッセーを見下していた。それはイッセーの人格面を含めてのことではなく、それが当たり前なのだ。階級と家柄、持って生まれた物がその者の価値となり、それが低い者は見下され差別される。それが悪魔本来の価値観、グレモリーのような分け隔てない愛情は寧ろ異端なのだ。
そんな中でもソーナはまっすぐに言う。
「私は本気です」
その言葉によく言ったと言わんばかりにセラフォルーはうんうんと力強く頷いていた。一応魔王という立場上、表立って妹を応援することは出来ない。それでも愛する妹が心配でならないからこそ、こうして頷いている
しかし、冷徹な言葉を年老いた悪魔は口にする。
「ソーナ・シトリー殿。下級悪魔、転生悪魔は上級悪魔たる主に仕え、才能を見出されるのが常。そのような養成施設を作っては伝統と誇りを重んじる旧家の顔を潰すこととなりますぞ?いくら悪魔の世界が変革の時期に入っていると言っても変えていいものと悪いものがあります。まったく関係のない、たかが下級悪魔に教えるなどと…」
その一言に黙っていられなくなったのは匙だった。
「黙って聞いていれば、なんでそんなに会長のソーナ様の夢をバカにするんスか!?こんなのおかしいっスよ!叶えられないなんて決まった事じゃないじゃないですか!俺達は本気なんスよ!」
「口を慎め、転生悪魔の若者よ。ソーナ殿、下僕の躾がなってませんな」
悪魔の一人が言う。匙は叶わないと決めるなと言うがそういう話ではない。彼等にとって身分制度とそれに付随する階級区別は絶対の物。それを崩すソーナの夢は叶えたくない、叶えてはいけない物なのだ。
「…申し訳ございません。あとで言ってきかせます」
ソーナは一切表情を変えずに頭を下げて言う。匙はその反応が納得できないようだ。
「会長!どうしてですか!この人達、会長の、俺達の夢をバカにしたんスよ!どうして黙っているんですか!?」
「サジ、お黙りなさい。この場はそういう態度を取る場所ではないのです。私は将来の目標を語っただけ。それだけのことなのです」
「ッ!」
会長が目を細め、匙をたしなめる。匙も何か言いたげだったが、口を閉ざした。
「全く、ソーナ殿。身分卑しい者はすぐに噛みつく。ああいった輩に必要なのは教育ではなく躾ですぞ。これだから下級悪魔に教育など「ほっほっほっ、道に迷ってしまったわい」!?」
侮辱的な発言を遮るかのように突如会場の扉が開かれる!そこには眼帯を付け、杖を突いた老人が立っていた。その身から漏れ出す物は魔力と、神気。それも格別の質と量を誇っている。
「!オーディン殿、何故此方へ?」
「なに、冥界の旧首都ルシファードというものがどんなところか気になって散歩しておったら迷ってしまっての」
そう、かの老人こそ北欧神話にその名も高き主神。死と戦争、魔術や詩文を司り、嵐と共にやってくるワイルドハントの王の一人にして、叡智ある大神オーディンである。彼はこれより三週間ほど先にある調印式の前の下見として側付きのヴァルキリー、ロスヴァイセと共に初めて冥界に足を踏み入れていたのだ。
「オーディン様!何をなさっているのですか!このような暴挙、せっかく調印式に向けて諸々を詰めているというのに!」
「落ち着け、ロスヴァイセよ。何、少し話したら戻るから待っておれ」
オーディンに続いて、扉から銀髪に鎧をまとった美女が凄い剣幕でやってくる。ロスヴァイセ、という事は彼女が北欧の戦女神ヴァルキリーという事か。と、よくよく見れば扉の向こうの悪魔たちが皆倒れている!?いや眠っているだけか……
どうやら悪魔たちを介抱していたらしいロスヴァイセを片手で宥めつつ、オーディンはソーナへと近づく。突然すぎる出来事にソーナは固まっていた。
「中々面白そうな事を言っておったの?レーティングゲーム、じゃったか。それを学ぶための学校を作りたいと」
「ッ、はい。身分に関係なく皆が学べる場所を作り、いずれは彼らがレーティングゲームの世界で成績を残せられるようにしたいと考えております。」
ソーナのハッキリとした態度にオーディンはうむ、と頷いた。
「良い心がけじゃ。叡智を司る者として知恵ある者、賢き者が増えることは喜ばしい事よ。してどの様な教育を行うのじゃ?」
「はい、日本の優れた教育システムを応用し、魔力が低いなどの才能に劣る者でも勝てるように戦略や戦術などを教えていこうと考えております。また…」
ソーナの考える学校、それは下級、中級悪魔がレーティングゲームにおける戦略戦術を学ぶ他にも、転生悪魔の冥界における様々な基礎知識の教育、魔力の才に乏しい子供の為に少ない魔力でも発動できる効率的な魔法を教えるといった物も含まれており、総じて弱い者、現体制で下に見られている者たちが戦う為の術を学べる場というものだった。
「ふむふむ…… 確かにそれが叶えば恵まれぬ境遇の者達に活躍の場を与えられるだろう。それで、ノウハウは広めるのか?」
「はい。一校だけでは教えられる人数にも限りがあります。ですので成功の暁には冥界各地に同様の学校を「そうなれば、上級悪魔にも広まるのぉ」、え、えぇ」
オーディンの纏う空気が少し変わった。先程まではソーナの話に頷く程度だったが、何か致命的な弱点を見つけた様に目を開く。
「才無き者でも才ある者に喰らいつける画期的教育システム、間違いなく平均値は上がるじゃろう。ならばその理論を才ある者が用いれば良い大きな成果が得られるとは思わんか?そうなれば差は埋まらんぞ?」
「それは、その通りです。ですがそのようなお粗末な結末には致しません。様々な戦術によって力の差をひっくり返せるような選手を育てます」
「だが肝心要の力の差は埋まらんぞ?最後に物を言うのは地力じゃ。今のお主の考えでは望む未来は得られんぞ?」
オーディンの指摘にソーナも黙り込んでしまう。オーディンの指摘は真っ当な物だ、人間界のスポーツでもどれだけ特訓し、戦術や戦略を鍛えても、圧倒的な個に破られてしまう事はままある。だが眷属の殆どが純人間からの転生悪魔であるソーナにとっては、この願いは眷属たちの未来も考えた願いだったのだ。
彼らが転生悪魔だからと差別されない世界をソーナは願っていた。
「お主が今の冥界の在り方を変えたいという気持ちは分かった。だがやり方に関しては詰めていかんとの?まぁ、応援しとるぞ。ではまた後でな、サーゼクスよ。ひよっこ共のお遊戯会、楽しみにしとるぞ、ほっほっほっ」
「お、オーディン様!あぁ、もう!悪魔の皆さま、大変失礼致しました。後でキッチリと絞っておきますのでご容赦くださいませ!」
言いたいことは言ったとばかりに帰っていくオーディン。一瞬ちらりと此方を見る素振りをした後、来た道をそのまま帰っていったロスヴァイセは申し訳なく頭を下げると駆け足で自神話体系の長を追っていった。正に嵐のような老人であった。
「ふ、ふむ。かの北欧の神も難色を示していたな。やはり下級悪魔にレーティングゲームの教育など不必要だ!」
意識を復帰させた悪魔たちは再びソーナに口撃を浴びせる。それをソーナは甘んじて受けていたが、遂に我慢の限界に達した者がいた。
「いい加減にして!!なんなら!うちのソーナちゃんがゲームで見事に勝っていけば文句もないでしょう!?ゲームで好成績を残せば叶えられるものも多いのだから!」
突然のセラフォルーの提案に皆が驚いていた。オーディンがソーナの夢を聞いている間は落ち着いていたが、それ以外の場面ではセラフォルーはずっとご立腹の様子だった。
「もう!おじさま達はうちのソーナちゃんを寄ってたかっていじめるんだもの!私だって我慢の限界があるのよ!あんまりいじめると私がおじさま達をいじめちゃうんだから!」
ゴゴゴ、とオーラを昂らせながらセラフォルーが涙目で悪魔たちに物申していた。流石の高官たちも魔王直々の言葉には逆らえず、黙り込んでしまう。一方のソーナはそんな姉が恥ずかしいようで、顔を両手で覆っていた。
「ちょうどいい。では、ゲームをしよう。若者同士のだ。リアス、ソーナ、戦ってみないか?」
サーゼクスの一言に皆が注目する。ゲーム、例の若手同士の対決か!
「………」
「………」
リアスとソーナも互いの顔を見合わせ、目をパチクリさえて驚いていた。そんな二人にかまわずにサーゼクスは続ける
「元々、近日中にリアスのゲームをする予定だった。アザゼルが各勢力のレーティングゲームファンを集めてデビュー前の若手の試合を観戦させる名目もあったものだからね、だからこそ、ちょうどいい。リアスとソーナで1ゲーム執り行ってみようではないか」
なるほど、時期的には合宿修行の総仕上げという事になるのか。まさかいきなり駒王学園のツートップがやり合う事になるとは。リアスは一度息を吐くと、挑戦的な笑みを見せる。それに対してソーナも冷たい笑みを浮かべていた。どちらも戦意十分だ。
「公式ではないとはいえ、私にとって初レーティングゲームの相手が貴方だなんて運命を感じてしまうわね、リアス」
「競う以上は負けないわ、ソーナ」
早速火花を散らせている。眷属たちも皆、戦意をその眼に宿らせている。
「リアスちゃんとソーナちゃんの試合!うーん☆燃えてきたかも!」
「対戦の日取りは、人間界の時間で八月二十日。それまで各自好きに時間を割り振ってくれて構わない。詳細は改めて後日送信する」
サーゼクスの決定により、こうしてリアスとソーナのレーティングゲームが開始されることとなった!
◆
「そうか、シトリー家と対決とはな」
グレモリー家の本邸に帰ってきたオカルト研究部。そこで迎え入れてくれたのはアザゼルだった。広いリビングに集合し、アザゼルに先程の会合の顛末を話した。
「人間界の時間では現在七月二十八日。対戦日まで約二十日間か」
「しゅ、修行ですか?」
イッセーが訊くとアザゼルはうなずく。
「当然だ、明日から修行開始。すでに各自のトレーニングメニューは考えてある」
「でも、俺達だけ堕天使総督のアドバイス受けてていいのかな?反則じゃないんですか?」
イッセーがそう言うがこれは反則ではない。強みは生かすべきだろうな。
「別に。俺はいろいろと悪魔側にデータを渡したつもりだぜ?それに天使側もバックアップ体制をしているって話だ。あとは若手悪魔連中の己のプライド次第。強くなりたい、種の存続を高めたい、って心の底から思っているのならこっちは手を貸すぜ?うちの副総督も各家にアドバイス
与えてるぐらいだ。ハハハ!俺よりシェムハザのアドバイスの方が役立つかもな!」
今から教えるというのにその発言はいいのだろうか、とアルトリアはアザゼルに白い眼を向ける。
「まあいい。明日の朝、庭に集合。そこで各自の修行方法を教える。覚悟しろよ」
『はい!』
アザゼルの言葉に全員が重ねて返事をした。そこへグレイフィアが現れる。
「皆さま、温泉のご用意が出来ました」
その後オカルト研究部はグレモリー家本邸の温泉で英気を養う事にした。途中、アザゼルがイッセーにおっぱい講義を行い、味わって来いとイッセー女湯に投げ入れひと悶着が起きたが、イッセーはリアスと朱乃に挟まれて夢見心地だったとだけ伝えておこう。
◆
「で?一応グレモリー家に世話になってる俺に何の用だ?」
「アザゼル先生、頼みがある。俺の神器、ヴリトラ系神器ってのは元は一つのドラゴンだったんだろ?なら、それを纏めて一つにするって事出来ねぇか?」
「ほう、少しは自分の神器を知ったか。確かに理論上は可能だ、元は一つの存在だからな。だが複数の神器の融合なんて、俺ですらやった事がねぇんだぞ?何が起きるか分からねぇ。死ぬかもしれねえぞ?」
「会長が勝つには、いや兵藤の奴に勝つにはそれしか考えられねぇ。俺みたいな奴が強くなるにはそれぐらいしねぇとな。それにいいじゃねえか、俺が神器融合の第一号になってやる!」
「いいぜ、その覚悟気に入った。やってみようじゃねぇか!」
「オーディン様、何故あのような事を!」
「えぇい、しつこいぞロスヴァイセ」
リアスたちが闘志を燃やしている頃、オーディンとロスヴァイセは用意された部屋への道を歩いていた。
「あの娘の考えていた学校、あれは確かに今後の世界の為になる。しかし、足りん。レーティングゲームだけではいずれ他の者に対策されて終わりじゃ。結局のところ、才能という壁は如何ともしがたい」
「だから、あのような事を?」
「うむ。何も戦うのみが立身とも限らん。今後の世を考えれば文官や官僚を育てる方が良い。いつの時代も優秀な官吏とは引く手あまたじゃ。彼奴らを引き抜けば我らの益にもなろう」
オーディンは先を見据えていた。今後三大勢力と付き合っていく中で、如何に己の利益を確保するか、どれだけの影響力を残せるか。片目を捧げて得た叡智を今再びフル稼働させ、北欧の大神は自陣営の利益を画策していた。
「分かりました。だとしてもあんな見え透いた嘘をついてまで乱入する事は無かった筈です!」
「全く五月蠅いのぉ。そんなに細かくて五月蠅いから、勇士の一つも堕とせんのじゃ。もっと寛大になれぃ」
「なッ!?誰のせいで出会いが無いとおもってるんですかぁ~!」
涙目になるロスヴァイセを尻目にオーディンは今後の事を考える。いずれはこの娘にも良き縁談が舞い込む。それからの道を上手く導くことこそが今の自分が成すべきことだと。