FGOで新イベントが来ましたね。2部やり切った後にどんなストーリーを展開するのか、とても気になります。とりあえず花坂翁は人気出る、間違いない。
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それでは第四十五話、どうぞ!
次の日。オカルト研究部一同はグレモリー家の広い庭の一角に集まっていた。皆、動きやすいジャージを着て、庭に置かれたテーブルと椅子に皆座って早速修行開始前のミーティングを行う。
そして各人のデータと思われる資料を持ったアザゼルが話を始める。
「先に言っておく。いまから俺が言うものは将来的なものを見据えてのトレーニングメニューだ。直ぐに効果が出る者もいるが、長期的に見なければならない者もいる。ただ、お前らは成長中の若手だ。方向性を見誤らなければ良い成長をするだろう。さて、まずはリアス。お前だ」
アザゼルが最初に呼んだのはリアスだった。
「お前は最初から才能、身体能力、魔力全てが纏まって高い高スペックの悪魔だ。このまま普通に暮らしていてもそれらは高まり、大人になる頃には最上級悪魔の候補となっているだろう。だが、将来よりもいま強くなりたい、それがお前の望みだな?」
アザゼルの問いにリアスは力強く頷く。
「ええ。今の成長速度で満足する気は無いわ」
「なら、この紙に記してあるトレーニング通り、決戦日直前までこなせ」
アザゼルから手渡された紙を見て、リアスは首を傾げる。
「…これって、特別すごいトレーニングとは思えないのだけれど?」
「そりゃそうだ。基本的なトレーニング方法だからな。おまえはそれでいいんだ。全てが総合的にまとまっている。だからこそ、基本的な練習だけで力が高められる。問題は『王』としての資質だ。『王』は時によって、力よりも頭を求められる。その時に必要なのは、どんな状況でも打破できる思考と機転、そして判断力だ。期日までお前はレーティングゲームを知れ。ゲームの記録映像、記録データ、それらすべてを頭に叩き込め。眷属の下級悪魔が最大限に力を発揮できるようにするのがお前の仕事なんだよ。ただ、これも覚えておけ、実際のゲームでは何が起こるかわからない。戦場と同じだ」
普段とは違う強い光、その目は実際に戦場を知る将の目だった。基本おちゃらけてるが、こういう時には頼りになる。
「次に朱乃」
「…はい」
返事をした朱乃の様子は不機嫌なものだった。彼女は母の死から、父親だけでなく堕天使自体を憎んでいる。だが、これからはそうもいかない。それを分かっているアザゼルはそのことを真正面から朱乃に言う。
「フェニックス家との一戦、記録映像で見せてもらったぜ。なんだありゃ。本来のお前のスペックなら、敵の『女王』に道連れにされるなんて事は無かった。なぜ、堕天使の力を振るわなかった?雷だけでは限界がある。光を雷に乗せ、『雷光』にしなければお前の本当の力は発揮できない」
確かにあの戦い、朱乃は有利には立ち回っていた。だがアザゼルからすれば、朱乃なら有利どころか圧倒出来たはずなのだ。にもかかわらず朱乃は『雷光』を使わなかった。やはり憎しみが先に来るのだろう。現に彼女の顔は複雑なものだった。
「…私は、あのような力に頼らなくても」
「否定するな、自分を認めないでどうする?最後に頼れるのは己の力だけだぞ?否定がお前を弱くしている。辛くとも苦しくとも自分を全て受け入れろ。お前の弱さは今のお前自身だ。決戦日までにそれを乗り越えて見せろ。じゃなければ、お前は今後の戦闘で邪魔になる。『雷の巫女』から『雷光の巫女』になってみせろよ」
「………」
アザゼルの言葉に朱乃は応えなかった。自分でもどうするべきか分かってる筈だ、後は彼女の心の強さを信じるしかないだろう。
「次は木場だ」
「はい」
「まずは
流石は神器のエキスパート。刀剣に関しても詳しいと見た。
「剣術の方は…お前の師匠にもう一度習うんだったな?」
「ええ、一から指導してもらう予定です」
剣の師匠に一から習うのか。という事はもしかすると天然理心流に目覚めることもありそうだ。
「次、ゼノヴィア。お前はデュランダルを今以上に使いこなせるようにすることと、もう一本聖剣に慣れて貰う事だ」
「もう一本の聖剣?」
「ああ、ちょいと特別な剣だ。お前には聖剣使いとしての高い才能がある。いずれお前には複数の聖剣を扱える聖剣使いとしてその力を振るって貰うぞ」
一体何を持たせるつもりなのか。にやけるアザゼルだが、直ぐに笑みを止めてギャスパーに視線を向ける。
「次にギャスパー」
「は、はいぃぃぃぃぃ!」
完全に縮こまるギャスパー。どれだけ辛い特訓が待っているのかとびくびくしている。
「そうビビるな。お前の最大の壁はその恐怖心だ。何に対しても恐怖するその心身を一からきたえなきゃいかん。元々、血筋、神器共にスペックは相当なものだからな。『僧侶』の特性、魔力に関する技術向上もお前を大きく支えてくれている。専用の『引きこもり脱出計画!』なるプログラムも組んだから、そこでまずは真っ当な心構えを出来るだけ身につけて来い。全部が無理でも人前に出ても動きが鈍らないようにしろ」
ギャスパーの力は強力無比、だが彼のメンタルが足かせになっている。彼が堂々と停止能力などを扱えるようになればかなりの戦力になるだろう。
「はいぃぃぃぃぃぃっ!当たって砕けろの精神でやってみますぅぅぅ!」
そう気合を入れるギャスパーだが、彼の場合本当に砕けそうで心配になる。そこから再生もしそうだが。
「同じく『僧侶』のアーシア」
「は、はい!」
アーシアも気合が入っている。常日頃から、自分が皆の役に立っていないかもしれないと漏らしていたからこそ、彼女はこの夏に賭けているのだ。今でこそ唯一無二の能力を持つがそこで満足はしないのだろう。
「お前も基本的なトレーニングで、身体と魔力の向上。そして、メインは神器の強化にある」
「アーシアの回復神器は最高の物ですよ。触れるだけでどんな怪我でも瞬時に治しますしね」
イッセーの意見だ。確かに十分回復速度もある。あと他に強化するとすれば……
「それは理解してる。回復能力の速度は大したもんだ。だが、問題はその『触れる』って点だ。味方がケガしてるのに、わざわざ至近距離にまで行かないと回復作業ができない」
やはりか。戦場という危険な場所で態々走り回るのはリスクがある。そしてアーシアの手は限られる。アザゼルがどう強化していくのか分かった。
「もしかして、アーシアの神器は範囲を広げられるの?」
リアスの言葉をアザゼルが肯定する。
「ご名答だ、リアス。こいつは裏技みたいなものだが、『
「アーシアの神器は遠距離も可能なんですか?」
イッセーの問いに先生は頷いた。
「俺達の組織が出したデータの理論上ではな。神器のオーラを全身から発して、自分の周囲にいる味方をまとめて回復なんてことも可能なはずだ」
広域回復が出来るのか。それなら一定のエリアに行けばまとめて回復できる。これならアーシアを戦場の中心部に置いておく必要もなくなる。戦術は大きく変わるだろう。
「だが、問題は敵味方の判断が出来ずに回復させてしまいそうなことだ。敵味方を判別し、味方だけを回復できればいいんだがな…。アーシアの生来のものが不安だ」
「アーシアの優しさが敵にも作用する、と?」
アルトリアの言葉にアザゼルは再び肯定の意を示す。
「ああ、アーシアは戦場で敵のケガした奴を視認したとき、そいつのことも回復してやりたいと心中で思ってしまうだろうな。それが敵味方判別の神器能力の妨げになる。おそらく、アーシアは判別する力を得られないだろうさ。いま言った回復範囲拡大はこのチームにとっては諸刃の剣となりかねない。それでも範囲拡大は覚えるべきものだ。手札は多い事に越した事はない」
アーシアは優しい子だ。その優しさは敵である悪魔すら回復させてしまう。それが彼女の人生を変えたのだから、同じ様な事態を気にするのも当然か。
「だから、もう一つの可能性を見出す。回復のオーラを飛ばす力だ」
「そ、それは、ちょっと離れた所に居る人へ、私が回復の力を送るということですか?」
アーシアが何かを投げるジェスチャーをする。
「ああ、直接飛ばす感じだな。イッセーやギャスパーなら分かるだろうが、要は回復弾だ。たとえば、イッセーが十メートル先で戦闘してて、ケガをしているとき、イッセーに向けて回復の力を飛ばすのさ。さっきのが一定のフィールド限定なら、いま説明したのは飛び道具バージョンだな。直接触れなくても回復できるようになる」
「そ、そりゃ、すげぇ!アーシア大活躍できるぜ!」
イッセーがアーシアの手を取ってはしゃいでいた。アーシアもアザゼルが教えてくれた情報に驚きながらも喜んでいる様子だ。
「直接触れて治すよりも多少パワーは落ちるだろうが、それでも遠距離の味方を回復できるのは戦略性が広くなる。前衛に1人か2人飛び込ませて、後方で回復のアーシアとアーシアを護衛する誰かを配置すれば、理想的なフォーメーションが組めるだろうさ」
グレモリー眷属のフォーメーションまで考えていたのか。流石に抜かりない。その意見にリアスも同意する。
「王道だけれど、だからこそシンプルに強いフォーメーションだわ。通常、味方を回復する術なんてフェニックスの涙か、調合された回復薬ぐらいですものね。アーシアの神器は汎用性と信頼性に関して、それらよりも遥かに上だわ」
「そうだ。アーシアの悪魔をも治す神器の力はこのチームの象徴的な持ち味、武器と言える。あとはアーシアの体力勝負だ。基本トレーニング、ちゃんとこなしておけよ?」
アザゼルの言葉にアーシアは深く頭を下げた。
「は、はい!頑張ります!」
「次はアルトリア」
「はい」
ついにアルトリアに番が回ってきた。彼女のみオカルト研究部ではあるがグレモリー眷属ではない。よってソーナとのゲームには参加しないが、それでも会談での戦いを経てアルトリアは更なるレベルアップを求めていた。
「お前は基本トレーニングに加えて、各形態の力を引き出すためのトレーニングを行う。前にも行ったが、お前の聖剣の持つ『応用限定解除』には進化系となる第二段階が存在する。それを引き出すにはそれぞれの力への理解と習熟が不可欠になるだろう。ただ魔力を高めるだけじゃない、強いイメージを持って形作ることが必要になる。この点に関しては神器と似てるな」
アザゼルの話はエムリスから聞いた話を彼なりに解釈したものだが、恐らく当たっているだろう。理屈ではない、この武器を扱う者としてそれが正解だとナニカが訴えているのだ。
「そこでお前には『神の子を見張る者』の施設でトレーニングと並行してデータ取りも行う。さっきのはあくまでもエムリス伝いの方法だ。解析していけばより効率の良い方法も見つかるかもしれない。それにエクスカリバーのデータも欲しいからな」
アザゼルは不敵な笑みを浮かべるが、こちらとしても好都合だった。何回か魔王アジュカ・ベルゼブブのラボで解析を行なってきたが中々芳しい成果は得られていない。神器に近しいシステムが組み込まれている事は分かっている為、アザゼルの元で解析を受ければ新しい事が分かるかもしれない。
「次は小猫」
「…はい」
静かな、しかし気合いの入った返事。ここ最近は調子が悪そうだったが、今日は妙に張り切ってる。そこがアルトリアには何処か空回りしている様に見えた。
「お前は申し分のないほど、オフェンス、ディフェンス、『戦車』としての素養を持っている。身体能力も問題ない。だが、リアスの眷属には『戦車』のお前よりもオフェンスが上の奴が多い」
「……わかっています」
ハッキリ言うアザゼルの言葉に小猫は悔しそうな表情を浮かべていた。最近様子が可笑しかったのはそれを気にしてたのか?
「リアス眷属内でトップのオフェンスは現在木場とゼノヴィアだ。禁手の聖魔剣、聖剣デュランダル、凶暴な兵器を有してやがるからな。ここに予定だが、イッセーの禁手が入る」
確かに、本来スピード型の『騎士』にオフェンスで負けているのは由々しき事態だろう。『戦車』の傾向の内、小柄な小猫は攻撃寄りな方だ。その強みである攻撃面が他に上回られては面目丸潰れだろう。
「小猫、お前も他の連中同様、基礎の向上をしておけ。その上で、お前が自ら封じているものをさらけ出せ。お前もまた自分を受け入れなければ大きな成長なんて出来やしねぇぞ」
「…………」
その言葉に小猫は何も応えなかった。先程まであったやる気も『さらけ出せ』の一言で消失してしまった。彼女もまた秘密を抱える一人なのだ。
「大丈夫、小猫ちゃんならソッコーで強くなれるさ」
イッセーが小猫に気軽に言い、頭を撫でようとしたが、その手は小猫に払いのけられていた。
「…そんな、軽く言わないでください」
イッセーが小猫の地雷を踏んだようだ、小猫のこんな険しい表情初めて見た。空気が重くなった中、先生は時計を気にしていた。
「さて、最後はイッセーだ。お前は…。ちょっと待ってろ。そろそろなんだが…」
空を見上げるアザゼル。つられて皆も空を見上げる。何かあるのかと空を見上げる視線の先に大きな影が写る。それがとんでもない速度で向かってくる。魔力感知を掛ける、!この波動はまさか!
ドオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
地響きと共にそれは目の前に飛来してくる。土煙が舞い、それがおさまった後、眼前に現れたのは巨大な怪物。大きく裂けた口、狂暴な牙、太い腕に、太い脚。そして横に広がる両翼。そのフォルムはまさしく……
「ドラゴン!」
イッセーの呟く声にアザゼルが答える。
「そうだ、イッセー。こいつはドラゴンだ。とびきり強いな」
「アザゼル、よくもまあ悪魔の領土に堂々と入れたものだな」
巨大なドラゴンは口の端を吊り上げて言った。
「ハッ、ちゃんと魔王様直々の許可を貰って堂々と入国したぜ?文句でもあるのか、タンニーン」
アザゼルとかの龍は顔見知りのようだ。いや、かの龍の出身を考えれば交流もあったのだろうか?
「ふん。まあいい。サーゼクスの頼みだというから特別に来てやったんだ。その辺を忘れるなよ、堕天使の総督殿」
「ヘイヘイ。てなわけで、イッセー。こいつがお前の先生だ」
アザゼルが親指をクイっと指して、イッセーに言う。
「えええええええええぇぇぇぇぇぇぇえええっ!この巨大なドラゴンが!?」
「お久しぶりです、タンニーン卿」
「久しいな、アルトリア卿。前に会ったのは新年の祝賀パーティーか。そしてドライグ。お前も聞こえているのだろう?何年ぶりだ?」
ドラゴンはイッセーの方に語り掛けるように語り掛けてくる。すると、イッセーの左腕が勝手に赤く輝き、
『ああ、懐かしいな、タンニーン。二百年は会っていないんじゃないか?』
籠手の宝玉からドライグの声が響く。
「知り合いか?」
イッセーが訊ねると『ああ』とドライグは肯定した。
『こいつは元龍王の一角だ。『五大龍王』のことは以前聞いただろう?このタンニーンは龍王が『六大龍王』と呼ばれていた頃の龍王の一匹だ。聖書に記された龍をタンニーンと言うのだが、コイツを指している』
「タンニーンが悪魔になって、『六大龍王』から『五大龍王』になったんだったな。いまじゃ、転生悪魔の中でも最強クラス。最上級悪魔だ」
とアザゼルが言う。改めて、ドラゴンから悪魔に転生とは、キリスト教としては同じような存在だろうが、態々悪魔に仕えるというのは並大抵の覚悟ではなかっただろう。なぜそうなったのかはドラゴンの諸々の事情が関係してくるが今は置いておこう。
「『
アザゼルはタンニーンにそう頼み込む。アザゼルの頼みにタンニーンは嘆息する。
「俺がしなくてもドライグが直接教えればいいのではないか?」
「それでも限界がある。やはり、ドラゴンの修行といえば」
「元来から実戦方式。なるほど、俺にこの少年をいじめ抜けと言うのだな」
アザゼルのあとに言葉を続けるタンニーン。どうやらイッセーの修行は過酷なものとなるようだ。
「ドライグを宿す物を鍛えるのは初めてだ」
タンニーンが目を細めながら楽し気に言う。
『手加減してくれよ、タンニーン。俺の宿主は想像以上に弱いんでな』
「死ななければいいのだろう?任せろ」
「期間は人間界の時間で二十日間ほど、それまでに禁手に至らせたい。イッセー、死なない程度に気張れや。それじゃあアルトリア、行こうか」
「えぇ。イッセー、無事を祈っています」
そう言い残すとアザゼルは手を振って去っていく。イッセー何やら言いたげだがタンニーンにヒョイと摘まれる。
「さて、各自各々に修行メニューをこなすこと。いいわね」
『はい!』
「イッセー、気張りなさい!」
リアスが親指を立ててエールを送る。イッセーはその様子に諦めて涙を流す事しか出来ない。
「リアス嬢。あそこに見える山を貸してもらえるか?こいつをそこに連れていく」
タンニーンが指で遥か先の山を指差す。あの山はグレモリー家所有の土地であり、貴重な動植物もない。修行するにはうってつけだろう。
「ええ、鍛えてあげてちょうだい」
「任せろ。死なない程度に鍛えてやるさ」
タンニーンがイッセーを手に掴むと、バッと羽ばたく!
「部長ォォォォォォッ!」
イッセーが泣きながらリアスに手を伸ばすが当の本人は笑顔で手を振っていた。
哀れイッセー、しかしこれも修行。この山籠りでイッセーがどう進化するのか、自分が何処まで強くなれるのか。アルトリアはまだ見ぬ自身の特訓内容に闘志を燃やした。
次回、オリジナル修行回。初めて訪れる『神の子を見張る者』の研究施設。キャラの濃い面子!意味不明の技術の数々!そこでアルトリアは何を学び、吸収するのか!