赤龍帝と騎士王の現し身   作:ファブニル

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 ドーモ、ファブニルです。

 今回から第6章に移ります。ディオドラとの対決、イッセーの暴走、そしてアルトリアの秘密。書きたい内容が盛り沢山で今からどう調整しながら出すか思案の真っ最中です。

 そして先日、また一人高評価を付けてくださった方が居ました。拙作を高く評価していただき嬉しく思います。これからもよろしくお願いします。

 よろしければ今回もお気に入り登録や高評価、感想をお願いします。

 それでは第五十五話、どうぞ!


体育館裏のホーリー
転校生は『天使』


 ぼんやりとした意識の中、一つの光景が目に入る。どこかの国の、どこかの草原。

 

 目の前には石の台座に突き刺さる、一本の剣。金と青の装飾が施された美しい剣。纏う空気はどこか、此方を試すようなものを感じる。

 

 

「それを手にしたが最後、君は人間ではなくなるよ」

 

 

 後ろから声がかかる。振り向けば、そこには白と薄桃色のローブに身を包んだ、どこか花のような気配を感じる魔術師。

 

 

「■■■人が■■てい■■た。■れ■■■■、間■■ではな■と■■ます」

 

 

 自然と口が開く。そして、目の前の剣に手を伸ばして――――

 

 

 

 

 

 

 

「夢、ですか」

『おはよう、マイロード』

 

 

 目が覚めるとそこはもはや見慣れた天井。ここはいまやアルトリアの自宅となった兵藤邸の一室。そこに置かれたベッドの上でアルトリアは目覚めた。

 

 

『最近は早寝早起きが習慣化しているね。感心感心』

「最近はよく眠れる日が続いていますからね」

 

 

 元々未熟なリアスの代わりとして駒王町の夜警に出ていたアルトリア。しかし最近は眷属の充実と実力アップによってアルトリアが出張らなくてもよくなり、最近ではこうして普通に寝て、起きることが出来るようになった。

 さらに今後は三大勢力から人員を出し合って警備する事も決まっており、そうなればアルトリアが夜に出歩く事もより少なくなっていくだろう。

 

 

『さて、下ではもう朝食の支度が整っている頃だ』

「えぇ、ここでの生活もようやく慣れてきました」

 

 

 手早く着替え、身だしなみを整えて部屋を出る。丁度イッセーも部屋から出てきた。

 

 

「おはようございます、イッセー」

「おぅ、おはよう」

「おはようございます、アルトリアさん」

「…おはようございます」

 

 

 イッセーと共に出てきたのはアーシアと小猫。あの冥界での一件以来、小猫はイッセーへの好意を隠さなくなった。猫耳を出して今まで以上にあざとさを強調している。

 

 

「小猫もすっかり夜這いの常連ですね」

「ッ!?」

「アルトリア先輩もすればいいと思います…にゃん」

 

 

 手を丸めて猫の真似をする。クールで突っ込み役だったころの面影はもはや薄い。

 

 

「いいえ。この国には『男女七歳にして席を同じゅうせず』という諺があります。みだりに寝所を同じくするなど……」

「あら、恥ずかしいだけじゃないかしら?」

「「部長」」

「リアス」

 

 

 そこへ、朝食に呼びに来たであろうリアスがやってくる。

 

 

「リアス、今日は来ていましたか?」

「えぇ、今日もよ。今度は映画のチケット」

 

 

 今日も来た。それは上級悪魔であり、元72柱の一角。若手悪魔の一人ディオドラ・アスタロトからアーシアへの贈り物である。

 冥界から人間界へと戻ってきたその日、駅で待ち構えていたディオドラは自身の胸の傷を見せながら、アーシアにプロポーズした。自分こそがかつてアーシアが助けた悪魔であると、そこで一目惚れしたと、どうか自分と結婚して欲しいと。その場は断ったが、以来彼は何度も彼女への贈り物を送り続けている。それも多種多様な物を、大量に。

 

 

「チッ!しつこい野郎だな、あの糸目男」

「………」

 

 

 妹の様に可愛がっているアーシアに粘着するディオドラにイッセーは苛立ちを覚えた。当のアーシアは過去を思い出し、曇った顔を浮かべている。

 

 

「どうしますか。やはりいつも通り」

「えぇ、此方から返品しておく。物によっては売ったり、寄付しておくわ」

 

 

 贈り物の中には大きなものもあり捨てるわけにもいかず、使うのも嫌なので、取り敢えずは返したり、それが出来ない物は中身を改めたり、変な魔術が掛かっていないか調べた上で質に出したり、孤児院などに寄付することにした。

 

 

「うちのアーシアちゃんはあげませんッ!!」

 

 

 立ち上がったイッセーの決意にアルトリアも内心で同意する。ディオドラ・アスタロト、彼はどうにも胡散臭い。直感ではあるが、アーシアの身に危険が及ぶ可能性もある。此方の世界に招いた原因の一端である身としては彼女には幸せになってもらいたい。

 そして彼女を幸せに出来るのはディオドラではなく、恐らく………

 

 

 

 

 駒王学園も二学期に突入した。この時期になると生徒たちの間に変化が訪れる。いわゆる夏デビューと言われる物だ。

 夏休みを境にいままでの自分を変え、大胆なイメチェンを果たす者が出てくる。男子なら髪を美容院で仕立て上げ、女子なら今時のギャル風にスタイルを変える。夏前まで、冴えなかった者たちがイメージを新たに二学期を迎えようとする。尤も多くの者が見た目は変わっても中身が変わっていない者ばかりだが。

 しかしその中には本当に変わった者、具体的には大人の階段を登った者もいる。

 

 

「おおっ、元浜。例の情報は得たのか?」

「ああ、いま松田が最終確認をしに出かけていたが──」

「おおおーい! イッセー、元浜! 情報を得てきたぞ!やっぱり、隣の組の吉田、夏に決めやがった! しかもお相手は三年のお姉さまらしいぜ!」

『くそったれッ!』

 

 

 二学期開始から数日。変態三人組は学校中の、男女の仲に発展した者たちの情報を集めていた。具体的になにかするという訳ではない。ただそれらを把握して愚痴を言いたいだけである。

 

 

「夏を超えても相変わらずねぇ、アンタ達」

 

 

 そんな彼らを揶揄いに桐生藍華がやってくる。同じ下世話な者同士だが、三人組は苦い顔を浮かべている。

 

 

「因みに私の仕入れた情報だとウチのクラスの片瀬と村山の二人も『女』になったそうよ。然も相手は二人とも同じクラスの幼馴染の……」

「何!?って事はアイツ!」

「3P、卒業だと……!?」

 

 

 三人が一斉に振り向く。そこには明らかに近い距離感で話し合う男女三人の姿があった。ピンクのショートヘアと茶髪ツインテールの少女二人が一人の男子を挟んでいる構図は、明らかに関係を持った男女のソレだった。

 

 

「まぁあの三人は例外としても、アンタら意味のない夏を過ごしたんでしょうね」

「「「五月蠅いやい!!」」」

「うるさいのは貴方たちですよ」

 

 

 そこへアルトリアがやってくる。その顔は何処か疲れ気味な目を浮かべていた。

 

 

「まさかあの三人がそんな爛れた関係を築くとは思いませんでしたが……」

「やっぱり夏は魔物ね。ところでアルトリアと兵藤に聞きたいんだけど、最近のアーシアって何処か上の空じゃない?」

 

 

 桐生の目線の先にはぼんやりとしたアーシアがいる。此方に気づくと何処かぎこちない笑みを浮かべ手を振った。原因は言わずもがなディオドラの粘着だ。アレで兵藤家に迷惑をかけていると考えているのだろう。

 

 

「えぇ、少しありまして……」

「フーン。ところで兵藤、アンタ最近変わったわね。体が引き締まって、どこかワイルドに感じるわ」

「ん?そうか?まぁ夏で鍛えたからな」

 

 

 夏休み前と後でイッセーは大きく変わった。肉体はタンニーンとの修行で鍛えられ、精神はロキとシトリー眷属との戦いで大きく成長した。なにより禁手に至ったのが大きいだろう。あの後聞いたがまさか、まさか乳を突いて至るとは思わなかった。ドライグの心労は如何ほどのものか……。

 そんなことを考えているうちにホームルームが始まろうとしていた。皆が席に付き、先生が壇上に立つ。

 

 

「えー、このような時期に珍しいかもしれませんが、このクラスに新たな仲間が増えます。因みに女子です。喜びたまえ男子諸君」

 

 

 まさかのカミングアウトに皆がワクワクしていた。とりわけ男子のテンションは高まっている。女子も男子の反応に呆れつつも興味津々な様子は変わらない。

 

 

「じゃあ、入ってきて」

 

 

 先生の声に促されて入室してきたのは。

 

 

『おおおおおおおおおおおおおっ!』

 

 

 歓喜の声が男子から湧き上がる。登場したのが栗毛ツインテールの相当な美少女だったからだ。しかし一部の者は転校生が来たことよりその人物の正体の方が驚きだった。イッセーはあんぐりとし、アーシアとゼノヴィアもポカンとしている。アルトリアもまた目を見開いていた。

 栗毛の転校生はペコリと頭を下げて後、にこやかな表情で自己紹介をしてくれる。頭を挙げた瞬間、首から下げている十字架がキラリと輝きを放つ。

 

 

「紫藤イリナです。皆さん、どうぞよろしくお願いします!」

 

 

 そう、夏前にゼノヴィアと共にエクスカリバー強奪事件で来日し、更には冥界で共に戦った紫藤イリナその人だった。

 

 

 その日の放課後、オカルト研究部メンバーはイリナを旧校舎へと案内していた。既に部室には一年、二年のメンバーがそろっている。

 

 

「お久しぶりです、イリナさん!」

「まさかまた会えるなんてね」

「私もよ!アーシア、ゼノヴィア!」ガバッ!

 

 

 イリナがアーシアとゼノヴィアに抱き着く。

 

 

「「あ痛!」」

「あれ?」

「ああ、すまない。宗に下げた十字架がチクチクと地味なダメージを与えてくるんだ…」

「あ、悪魔は十字架ダメだったわね。ごめんなさい」

 

 

 うっかりミスにイリナはややあざとげに誤った。これが素なのだから恐ろしい。

 

 

「しかしイリナ。なぜ、ここに?」

「天界からの派遣だよ」

 

 

 ふいに出された解答。扉側へと振り向けばリアスと朱乃、そしてアザゼルがいた。

 

 

「俺はいらねぇって言ったのにミカエルが律儀にな」

「紫藤イリナさん、貴方の来校を歓迎するわ」

「はい!皆さん!初めましての方もいらっしゃれば、再びお会いした方のほうが多いですね。紫藤イリナと申します!教会いえ、天使様の使者として駒王学園にはせ参じました!」

 

 パチパチパチ。

 

 皆が拍手を送る。アルトリアが前々から聞いていた天界からの派遣メンバー。それが彼女らしい。そこからイリナは今回の派遣に関する説明を行いはじめた。それによると天界側はこの街の教会を直し、そこを拠点とする事、通常の教会としての業務の他にアルトリアが行っている警備業務の一部も請け負うこと、更に追加人員として天界の実力者たちがやってくることが明かされた。

 色々と確認したいことがあり詳しく聞きたかったが、途中からミカエル及び高位天使たちへの礼賛が含まれだしていき、最終的にはミカエルへ祈りを捧げだしてしまった。詳しい話はまたの機会か別の人間に聞くとして、信仰心の高さは相変わらずである。

 だが、そんな信仰心が高い分、神の死を知れば相当なショックを受けるだろう。などと考えているとアザゼル先生がイリナに質問する。

 

 

「一応聞いとく。お前さん、『聖書に記されし神』の死は知っているんだろう?」

「せ、先生!いきなりそれは!」

 

 

 イリナがショックを受けると思い突っ込むイッセーだが、アザゼルは嘆息するだけだった。

 

 

「アホか。此処に来たということは、そういうのを込みで任務を受けてきたはずだ。いいか、この周辺の土地は三大勢力の協力圏内の中でも最大級に重要視されている場所の一つだ。此処に関係者が来るということは、ある程度の知識を持って足を踏み入れることになる」

 

 

 先生の言葉にイリナも頷く。

 

 

「もちろんです、堕天使の総督様。安心して、イッセー君。私は主の消滅は既に認識しているの」

「意外にタフだね。信仰心の厚いイリナが何のショックも受けずにここへ来ているとは」

 

 

 ゼノヴィアの言葉の後、一拍開けて、イリナの両目から大量の涙が溢れ出る!彼女はゼノヴィアに詰め寄りながら叫んだ。

 

 

「ショックに決まっているじゃなぁぁぁい!心の支え!世界の中心!あらゆるものの父が死んでいたのよぉぉぉぉっ!全てを信じて今まで歩いてきた私なものだから、それはそれは大ショックでミカエル様から真実を知らされた時、あまりの衝撃で七日七晩寝込んでしまったわぁぁぁっ!あああああああ、主よ!」

 

 

 そのままイリナはテーブルに突っ伏して大号泣してしまった。確かに熱心な信徒からすれば神の死は衝撃という言葉すら生温いだろう。アーシアもその事実を知った時は意識が喪失しかけていた。

 

 

「わかります」

「わかるよ」

 

 

 アーシアとゼノヴィアがうんうんと頷きながらイリナに優しく話しかける。三人はガシッと抱き合う。アーシアとゼノヴィアは今でも神へ祈りを捧げている。例え悪魔になってからも神への感謝を忘れていないのだ。

 

 

「ずっと謝りたかった!アーシアさん!この間は魔女だなんて言ってゴメンなさい!ゼノヴィアにも別れ際に酷いこと言ったわ!ゴメンなさい!」

 

 

 イリナの謝罪にアーシアもゼノヴィアも微笑んでいた。

 

 

「気にしてません。これからは同じ主を敬愛する同志、仲良く出来たら幸いです」

「私もだ。あれは破れかぶれだった私も悪かった。いきなり、悪魔に転生だものな。でも、こうして再会できてうれしいよ」

「「「ああ、主よ!」」」

 

 

 三人で祈りだした。どうやら無事和解は出来たようだ。かつては諍いを起こしていたが、仲がいいことに越したことは無い。

 と、此処でアルトリアはずっと聞きたかった事を尋ねることにした。

 

 

「イリナ。あの時は聞けなかったのですが、あの戦いで貴方が見せたあの天使の力は一体なんなのですか?」

 

 

 イリナはふいに立ち上がると、祈りの構えを取る。すると彼女の体が輝き、背中から勢い良く白い翼が生えた。 

 

 

「紫藤イリナといったか。お前、天使化したのか?」

「天使化?そんな現象あるんですか?」

 

 

 イッセーがアザゼルに聞くと、彼は頷いた。

 

 

「あぁ、極々稀に穢れの無い魂が天使として迎えられることがある。といっても聖人クラスの清らかな魂と人知を超えた、それこそ神クラスの力が合わさって初めて出来ることだからな。お前らも会談で会ったメタトロンやその兄弟のサンダルフォンの奴も元は人間だし、円卓の騎士ギャラハットにもその資格があった。だが最近はそこまで清らかな魂を持つ人間がいないから、もう起きない現象だったんだ。だが、今回の和平による技術交流で流れが変わったようだな」

 

 

 アザゼルの説明にイリナがうなずきながら続ける。

 

 

「はい。ミカエル様の祝福を受けて、私は転生天使となりました。なんでもセラフの方々が悪魔や堕天使の用いていた技術を転用してそれを可能にしたと聞きました」

 

 

 三大勢力の協力態勢は既にそこまで行っているのか。天界の内側での天使の誕生は神の消滅で不可能になり、外から迎えようにも天使に相応しいレベルの人間が居ない。しかし『悪魔の駒』を流用した転生天使システムがあれば、今後は少しずつでも数を増やせるだろう。これで悪魔、堕天使、天使、そして人間という三大勢力の構成種族がここに勢ぞろいしたのか。さらにイリナが続ける。

 

 

「四大セラフ、他のセラフメンバーを合わせた十名の方々は、それぞれA(エース)からクイーン、トランプに倣った配置で『御使い(ブレイブ・セイント)』と称した配下を十二名作ることにしたのです。カードでいうキングの役目が主となる天使様となります」

 

 

 アザゼルがイリナの話に興味を示していた。新技術ほど彼の興味をそそるものはない。

 

 

「なるほど。『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』の技術か。あれと堕天使の人工神器の技術を応用しやがったんだな。ったく、伝えた直後に面白いもん開発するじゃねぇか、天界も。悪魔がチェスなら、天界はトランプとはな。まあ、もともとトランプは『切り札』という意味も含んでいる。神が死んだ後、純粋な天使は二度と増える事が出来なくなったからな。そうやって、転生天使を増やすのは自軍の強化に繋がるか」

 

 

 なるほど。『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』を天使バージョンで作り出したのか。技術提供でそういうことも出来るとなると様々なボードゲームを参考に他勢力でも作られそうだ。

 

 

「そのシステムだと、裏でジョーカーなんて呼ばれる強い者もいそうだな。後ポーカーみたく札の組み合わせで力も発揮しそうだ。十二名も十二使徒に倣った形だな。まったく、楽しませてくれるぜ、天使長さまもよ」

 

 

 くくくとアザゼルは楽し気に笑いを漏らしていた。この人ならその内、外交特権か何かで駒やトランプを入手しかねないと思ってしまう。

 

 

「それで、イリナはどの札なんだ?Aの文字が浮かんでたからやっぱり……」

 

 

 イッセーが気になってイリナに訊くと彼女は胸を張り、自慢げに言う。

 

 

「その通り!私は『A(エース)』よ!ふふふ、ミカエル様のエース天使として光栄な配置をいただいたのよ!もう死んでもいい!主はいないけれど、私はミカエル様のエースとして生きていけるだけで十分なのよぉぉぉぉっ」

 

 

 目を爛々と輝かせる彼女の左手の甲にはあの時見た『A』の文字が浮かんでいる。

 

 

「あー、新たな人生の糧はミカエルさんか」

 

 

 イッセー嘆息しながら呟くと、隣でゼノヴィアも応じる。

 

 

「うん。自分を見失わないよりはマシさ」

「えぇ、下手に絶望して自暴自棄になるよりは良い事です」

 

 

 神の死を知り自分を見失いかけたゼノヴィアや、それを繋ぎとめたアルトリアがやや呆れながらもイリナを褒める。更にイリナはこちらへ楽し気に告げる。

 

 

「さらにミカエル様は悪魔のレーティングゲームに異種戦として、『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』と『御使い(ブレイブ・セイント)』のゲームも将来的に見据えているとおっしゃっていました!今はまだセラフのみの力ですが、いずれはセラフ以外の上位天使様達にもこのシステムを与え、悪魔のレーティングゲーム同様競い合って高めていきたいとおっしゃられていましたよ!」

 

 

 ほう、ゲーム。悪魔と天使でシステムの対決か、いやガス抜きか?驚く一同を尻目にアザゼルは感心していた。

 

 

「天使や悪魔の中には上の決定に異を唱える者も少なくない。長年争い合ってきた仲だ、突然手を取り合えと言えば不満も出るさ。しかし考えたなミカエル。そうやって、代理戦争を用意することでお互いのうっぷんを競技として発散させる。人間界のワールドカップ、オリンピックみたいなもんだ」

 

 

 両陣営内には敵対する種族を倒す事を生き甲斐としてきた者達も居ただろう。和平が成った今、一部の者は『禍の団』へと流れた。そんな不満を持った者達のガス抜きが必要になる。協力態勢を作ったからこそ各勢力に時代に則した新政策が必要なのだ。

 

 

「じゃあ、俺達グレモリー眷属と天使のゲームシステムが戦うこともあるんですか?」

 

 

 イッセーの質問にアザゼルは首をひねる。

 

 

「将来的にはそうなるかもな。と言っても、すぐにじゃない。少なくとも十年…もしかしたら二十年後だ。ま、お前らはその頃ちょうど新人悪魔としても良い時期だろうし、楽しめるだろうさ」

 

 

 二十年後……、悪魔ではない自分はどうしているだろうか。悪魔や天使は長生きだが、人間のアルトリアは40歳にならんとしているアラフォー。その頃に未だ肉体の若いイッセー達と肩を並べて戦えるかどうか……

 

 

「望むところよ」

「面白そうだね」

 

 

 リアスや裕斗は興味津々だ。なんだかんだでこの2人も血の気が多い。

 

 

「きょ、教会は怖いですぅ…」

 

 

 ギャスパーは複雑そうだ。確か教会はヴァンパイアハントは未だ続けているらしい。まだ吸血鬼と和平を結んだわけではないから当然といえば当然だ。 

 協定後の教会はどの派閥も表向きでは今まで通りの教えを説いているが、裏では会談で挙がっていた眷属加入前の人間の待機地を始めとして悪魔や堕天使と協力して事を運んでいるようだ。

 

 またそれによる新たな不正が生まれないよう、特殊な権限を持つ専用のチームも組まれたと聞く。緊急時には各勢力からの援助が行われ、確保や討伐の際には諸々の手続きが省略されるらしい。そして彼らと同じ権限を、三大勢力の重要地である駒王町を守るグレモリー、シトリー、そしてアルトリアにも与えられたようだ。

 といってもアルトリアに関しては今後と仕事内容は変わらないだろう。

 

 

「その辺りの話はここまでにしておいて、今日は紫藤イリナさんの歓迎会としましょう」

 

 

 リアスが笑顔でそう言って〆る。イリナも改めて皆を見渡して言った。

 

 

「悪魔の皆さん!私、今まで敵視してきましたし、滅してきました!けれど、ミカエル様が『これからは仲良くですよ?』とおっしゃられたので、私も皆さんと仲良くしていきたいと思います!というか、本当は個人的にも仲良くしたかったのよ!教会代表としてがんばりたいです!よろしくお願い致します!」

 

 

 複雑な経緯もあるが、イリナもまた駒王学園の裏を知る仲間ということになった。その後、一同は兵藤家へと場所を移し、そこでイリナ歓迎会が行われたのだった。




 今回チラッと出てきた片瀬と村山の二人は特に絡みはありません。私個人がこの二人が好きで出させてもらいました。なぜこういう設定にしたかは他サイトを見れば分かるかと……
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