今回は皆さんお待ちかね、ディオドラへの制裁回です。この回を待っていた方も多いでしょう。しっかりとボコすのでご安心ください。
よろしければ、今回もお気に入り登録や高評価、感想、それと『ここすき』をお願いします。
それでは第六十二話、どうぞ!
たどり着いたのは神殿の最奥部。その内に入っていくと、前方に巨大な装置らしきものが姿を現す。捩じれた木の根か骨のような形状で、あちこちに宝玉が埋め込まれていた。怪しげな紋様と文字が刻まれてた装置の中央に囚われている存在を見たイッセーが叫ぶ。
「アーシアァァァァアアアアアッ!」
装置の真ん中にアーシアが張り付けられている!見たところ外傷はない。衣類も破れた様子も乱れた様子もない。どうやら最悪の事態は起きていないようだ。
「やっと来たんだね」
装置の前の豪奢な玉座に座っていたのはディオドラ・アスタロトだった。これまで通りの優し気な笑みが一同の怒りにさらに高める!皆は即座に戦闘態勢に入った。
「…イッセーさん?」
イッセーの声を聞き、アーシアがこちらへ顔を向けた。その目元が腫れあがっている。涙だ、それも尋常じゃない量の涙を流したと思えるほど、目が赤くなっている。それを見てアルトリアはある結論に至った。
「…ディオドラ・アスタロト。アーシアに話しましたね?彼女の過去も、貴方の所業も」
先ほどフリードが語った、アーシア追放の真実。アーシアの優しさに付け込んだ文字通りの悪魔の所業を。ディオドラはその問いににんまりと微笑んだ。
「うん。全部、アーシアに話したよ。ふふふ、君たちにも見せたかったな。彼女が最高の表情になった瞬間を。全部、僕の手のひらで動いていたと知った時のアーシアの顔は本当に最高だった。ほら、記録映像にも残したんだ。再生しようか?本当に素敵な顔なんだ。教会の女が堕ちる瞬間の表情は、何度見てもたまらない」
アーシアがすすり泣き始めた。おのれ……
「でも、足りないと思うんだ。アーシアにはまだ希望がある。そう、君たちだ。特にそこの赤龍帝。君がアーシアを救ってしまったせいで、僕の計画は台無しになってしまったよ。あの堕天使の女、レイナーレが一度アーシアを殺した後、僕が登場してレイナーレを殺し、その場で駒を与える予定だったんだ」
「!あの時から付け狙っていたのですか!」
「そうだよ。君たちは堕天使相手に手が出せないと思っていたのさ。でも君たちは助けに向かった。しかも助け出した彼は赤龍帝ときたものだ。偶然にしてはおそろしい出来事だね。おかげで計画はだいぶ遅れてしまったけれど、やっと僕の手元に帰ってきた。これでアーシアを楽しめるよ」
「黙れ」
イッセーとは思えない程の低い声。怒りだ、尋常じゃないほどの暗く、重い怒りが伝わってくる。加えてイッセーとのパスを通じて、彼の想いがアルトリアにも流れ込んでくる。
イッセーは怒り狂っていた。彼はディオドラの事をテロリストに与する小悪党程度に思っていた。だが、アルトリアから聞かされたディオドラの性癖、これまで戦ってきた被害者、極めつけはフリードが語ったアーシア追放の真実、溜まりに溜まった怒りが今ディオドラ本人を前に爆発寸前になっている。
「あ。一つ聞きたいんだけど、アーシアはまだ処女だよね?僕は処女から調教するのが好きだから、赤龍帝のお古は嫌だな」
こいつだけは
「あ、でも、赤龍帝から寝取るのも楽しいのかな?」
絶対にぶん殴らないと気が済まない
「君の名を呼ぶアーシアを無理矢理抱くのも良いかもしれ「黙れェェェェェェェェッ!」」
『
イッセーの中で何かが弾けた!
「ディオドラァァァァァァッァッ!てめえだけは!絶対に許さねぇッ!」
暴力的なまでの膨大なオーラを放ち、イッセーはその身に赤龍帝の力の宿った全身鎧を纏った。
「皆!絶対に手を出さないでくれ」
「イッセー。全員で倒すわと、言いたいところだけど、今の貴方を止められそうもないわね。手加減してはダメよ」
「分かってます。アルトリア、悪いけどよ」
「えぇ、ゲームはディオドラの元にたどり着くまで。貴方の望むまま、存分に」
「サンキュー。ドライグ」
『なんだ、相棒』
「今回は、好きにやらせてくれ」
『…分かった』
殺意を昂らせるイッセーを見て、ディオドラは楽し気に高笑いしていた。応えるように、その全身がドス黒いオーラに包まれていく。
「アハハハハ!凄いね!これが赤龍帝か!でも、僕もパワーアップしているんだ!オーフィスから貰った『蛇』でね!君なんて瞬殺――」ゴォォォォオオオオオオッ!
ディオドラが口上を語り切る前に、イッセーは背中の魔力噴出口から火を噴かし、瞬間的なダッシュで間を詰める!真っ赤な拳が凄まじい勢いでディオドラの腹部に鋭く打ち込まれる!
「…がっ」
ディオドラの体がくの字に曲がるその顔が激痛に歪んだ。イッセーの速度に反応は出来なかったようだ。そのまま拳をねじり込み、内臓にダメージを加える。
「ごぼっ……⁉︎」
ディオドラが内容物を血と共に口から吐き出した。イッセーは拳を引きながら、訊く。
「瞬殺がどうしたって?」
そのまま投げ飛ばすイッセー。ディオドラは腹部を押さえながら、後ずさりしていく。その表情から先ほどのような余裕のある笑みは消失していた。
「ふざ、けるな!こんなことで!僕は上級悪魔だ!現魔王ベルゼブブの血筋だぞ!」
ディオドラは手を前に突き出すと、魔力の弾を無数に展開した。
「君のような下級で下劣で下品な転生悪魔ごときに気高き血が負けるはずがないんだッ!」
ディオドラの放つ膨大な魔力弾の雨がイッセーへ向かって殺到していく。対するイッセーは避けもせずにその雨の中を一歩一歩歩みだす。弾を手で弾き、跳ね返しながら、一歩一歩詰め寄っていく。鎧に被弾してもイッセーは気にもせずに前進していった。
アレだけの量、アルトリアでも避けながらか、盾形態で防ぎながらでしか進めない。それをああも突き進んでいくとは。いつの間にかイッセーはアルトリアの想像を超えるほどに成長を遂げていた。
「アレだけの攻撃を受けて目立った破損もない。イッセー、ここまでの成長を……」
近づいてくるイッセーに恐れをなしたディオドラは何重もの障壁を展開する。が、
「フンッ!」バリンッ!
「があッ!?」
「ヴァーリの作った障壁より薄いじゃねぇか」
イッセーの拳が防御障壁を難なく打ち壊し、貫いていく。貫いた拳が再びディオドラに突き刺さった!殴られた勢いでディオドラの体が床に叩きつけられる。ディオドラは顔から血を噴出させて、涙を溢れさせていた。
「…痛い。痛"い。痛いよ!どうして!僕の魔力は当たったのに!オーフィスの力で絶大なまでに引き上げられたはずなのに!」
泣き言を言うディオドラの体を引き上げ、腹部に一撃!
「ぐわっ!がはっ!」
続いて顔面に一発!更にオーラを右腕に集結させて、ディオドラに叩きこもうとする!
「こんな下級悪魔如きに僕がぁぁぁぁぁっ!」バチバチィッ!
ディオドラは左手を前方に突き出し、分厚いオーラの壁を発現させる。イッセーの拳がオーラの壁にぶつかるが腐っても上級悪魔、腐っても『蛇』服用者故に魔力とオーラだけは膨大だ。振るう拳の勢いが相殺される。
「アハハハハッ!ほら見たとこか!僕の方が魔力は上なんだ!ただのパワーバカが僕にかなうはずがないんだよ!」
にんまり笑うディオドラの前でイッセーはオーラをさらに右手に込める。先ほどは練り込みが甘かったから弾かれただけ。その気になれば……
「なら、そのパワーバカの力を見せてやる!」
『
ジェット噴射によって飛び出したイッセー。幾重にも続く『倍加』により先ほどよりも拳の勢いが増していく。
ビキッ!
壁にひびが生まれる。そして、
バリンッ!
壁は威力が増大した拳の一撃に儚い音を立てて消失した。
「ひっ!?ま、まだだ!!」
そういってディオドラが手を掲げると、複数の魔法陣がイッセーを取り囲むように展開される。そこから鏃のついた鎖が射出され、赤龍帝の鎧を絡めとった。アレはアガレス家との試合で使われた鎖か!
「ヒャハハハハハハ!どうだぁ?『禍の団』のスポンサーから仕入れた龍封じの鎖だ!そいつに捕らわれたら最後、ドラゴンはなすすべなく封じられる!」
「………」
「ドラゴンは馬鹿だが力だけはあるからね?だからこそ対策させてもらったよ。性能はアガレス家のドブルイニャ・ニキチッチで証明済みだ。どうだい?ご自慢のパワーを封じられて何もできない気分は?アハハハハ!」
イッセーの四肢を封じるように絡みつく鎖がギチギチと音を立てる。
「フン!」バギィ……ン
「………ハ?」
「龍封じ、だったか?こんな細い鎖で俺を縛れるわけないだろ」
イッセーを封じ込めた様に見えていた龍封じの鎖。しかし、イッセーはそれを難なく引きちぎった!千切られた鎖は圧倒的なオーラに吹き飛ばされ、粉々に砕け散る。
龍封じの鎖、それは確かにドラゴンを封じ込める力を持つ『
「ハァァァァァ!?なんだよ、なんだよそれ!クソ、
「小細工はこれでしまいか?」
鎖の欠片を振り払い、ディオドラに掴みかかる。
「や、やめッ」
「俺ん家のアーシアを泣かすんじゃねぇよッ!」グシャッ!
一瞬で顔色を変えたディオドラに向かって、真っ正面から拳を繰り出す!怯えながら前に突き出していたディオドラの左手を叩き折り、その勢いまま顔面に拳を打ち込んだ!
ゴスンッ!
顔面に鋭く刺さる何度目かの拳にディオドラは柱まで吹き飛ばされ、背中から激突した。ズルズルと床に落ちたディオドラは地を這いずりながら叫んだ。
「嘘だ、やられるはずがない!アガレスにも勝った!バアルにも勝つ予定だ!才能の無い大王家の跡取りなんかに負けるはずがない!情愛が深いグレモリーなんか僕の相手になるはずがない!僕はアスタロト家のディオドラなんだぞ!金も、力も下級悪魔なんかとは違うんだ!」
情けない泣き言を喚き散らしながらディオドラが手を前へ突き出し、魔力を急激に集め出した。最大に高めた魔力の波動を撃ちだすつもりなのだろう。
『
対するイッセーも掌に魔力を込める。更に倍加を重ねていく。
「ちくしょおぉぉおおおおおっ!」
苦痛に顔を歪ませるディオドラが魔力砲を放つが、同時に放たれたイッセーのドラゴンショットと真正面から激突する。一瞬のせめぎあいの後、真紅の光球が魔力の流れを引き裂いていく。ディオドラを捉えるかにみえた一撃は、魔力砲によって僅かに逸れ、彼の顔をかすめながら神殿の壁を破壊した。
ドゴォォオオオオオオンッ!
ドラゴンショットは壁の向こう側にある岩山へと激突し、粉々に打ち砕いていった。自身を捉えるかもしれなかった一撃にディオドラは怯え、ガチガチと歯を鳴らし震え上がっていた。
兜を消したイッセーが歩み寄り、腰を抜かしたディオドラを無理やりに引き上げる。
「二度とアーシアに近づくなッ!次に俺達のもとに姿を現したら、その時こそ、本当に消し飛ばしてやるッ!」
ディオドラの瞳は怯えの色に染まっていた。それはまるでバケモノを見たかのように…。勝負は、ついた。
『相棒。そいつの心はもう終わった。──そいつの瞳はドラゴンに恐怖を刻み込まれた者のそれだ』
ドライグの言葉にディオドラを離したイッセーにアルトリアが歩み寄る。
「お疲れ様です、イッセー。彼は私が」
「あぁ、頼んだ」
「殺しておいた方がいいんじゃないか?生かしておいても禍いしか起こさんだろう」
「このような悪人であっても、現魔王の血族です。裁きは親族のアジュカ様、そして政権側に任せるべきです」
ここで斬る事は簡単だ。が、下手に殺すより『禍の団』との背後関係を洗う方がいいだろう。一応魔術で手足だけは縛り上げておく。
これでアスタロト眷属は全て無力化した。もうグレモリー眷属を阻むものはない。皆がアーシアの元へ集まる。
「イッセーさん!アルトリアさん!皆さん!」
「助けに来たぞ、アーシア。約束したからな。必ず守るって」
安堵したのか、アーシアはうれし涙を流している。後はアーシアを助け出し、神殿地下に避難して、騒動が収まるまで待機するだけだ。早速アーシアを装置から外そうと祐斗や朱乃が手探りに作業をし始めた。
「…装置が外れない」
!?そんな!イッセーもアーシアに絡みつく装置を取ろうとするが。
「クソ!外れねぇ!」
アーシアの四肢についている枷を部員の皆で取り払おうとするが、赤龍帝のパワーでも、聖魔剣、聖剣で切っても、魔力を流してもまるで効果が無い。何か特殊な術式、それとも特別な素材で作られているのか?強引に壊す事も出来そうだが、それではアーシアを巻き込んでしまう。
「ハハハハ……」
「ディオドラ!」
「…無駄だよ。その装置は神滅具所有者が作り出した特殊結界のひとつだ。結界系最強の神器『
「発動の条件と、この結界の能力は?」
「…発動の条件は僕か、他の関係者の起動合図、もしくは僕が倒されたら。結界の能力は枷に繋いだ者、つまりアーシアの神器能力を増幅させて
!それはシトリー家との一戦で見た異能の名。確かそれによってアーシアの回復は反転し、殺人結界を生み出していた。祐斗も同じことに気づいたのか、さらに問いただす。
「効果範囲は?」
「…このフィールドと、観戦室にいる者達だよ」
ッ!全員がその答えに驚愕した!マズイ、アーシアの神器の回復能力の凄さは部員の皆がよく知っている。悪魔や堕天使さえも治す無制限の回復能力、それが増幅され裏返ってしまえば……
「…各勢力のトップ陣がすべて根こそぎやられるかもしれない…ッ!」
衝撃の事実にオカルト研究部一同は青ざめた!ここには各勢力の重鎮が多数列席している。それが一度に死ねば、冥界、天界、他神話勢力、挙句の果て現世にも甚大な影響を及ぼすだろう。
「会長との一戦でそんな作戦が思いつかれたのか!」
イッセーの疑問にディオドラは首を横に振った。
「…いや、随分前からその可能性が出ていたようだよ。ただ、シトリーの者がそれを実際におこなったことで計画は現実味を帯びたそうだ…」
「『
「ここ最近の出来事全てに『禍の団』が絡んでいたというの……!」
「…クソッ!どうすれば…」
「ハハハ、考えても無駄無駄。さぁ、アーシア。共に心中しよう……」
「ッ!貴様、何処までも!」
床を叩いて悔しがるイッセーを嘲笑うようなディオドラに思わず蹴りを入れたくなる。そこでアーシアがつぶやいた。
「イッセーさん、私ごと」
「馬鹿なこというんじゃねぇッ!次にそんなこと言ったら、怒るからな!アーシアだって許さない!」
「で、でも、このままでは、先生やミカエル様が私の力で…。そんなことになるくらいなら、私は」
「それが貴方の身を犠牲にしていい理由にはなりません!」
アルトリアもイッセーに続く。またアーシアが自分の力のせいで傷つくなど、あってはならない!更にイッセーがアーシアの肩を抱き真っ正面から言う!
「俺は…俺はッ!二度と、アーシアに悲しい思いをさせないって誓ったんだ!だから絶対にそんなことさせやしない!俺が守る!もう一度誓ってやるさ俺がアーシアを絶対に守ってやる!」
「イッセーさん…」
アーシアも感極まって涙を溢れさせていた。笑みを浮かべてアーシアに言う。
「だから、一緒に帰ろう。家で父さんと母さんが待っている。俺達の家に帰るんだ!」
ギュゥゥウウウウウン。
だが無情にも静かに装置が動き出した。すかさず皆が装置に向けて、攻撃をするが、びくともしない。どうすればいい?時間がない以上手は限られる、どうすれば……
「……ドライグ、俺はお前を信じるぞ」
『どういう事だ、相棒?』
「?イッセー、何か思いついたのですか?」
するとイッセーはアーシアの枷に触れる。そのままイッセーは力を高め出した。
「アーシア、先に謝っておく」
「え?」
その言葉に首をかしげるアーシア。そしてイッセーは目を閉じて、何かを考え、いや妄想し出した!
「高まれ、俺の性欲!俺の煩悩!──
『
鎧の各宝玉が赤く輝き、枷に触れているイッセーの手に流れ込んでいく!そうか!女性の衣服や装備を破壊する『
バギンッ!バババッ!
金属が儚く壊れる音と──衣類が弾け飛ぶ音!アーシアの四肢を捕らえていた枷は木っ端微塵に吹き飛び、同時にアーシアの纏っていた衣服も消し飛んだ。
「いやっ!」
アーシアは瞬間的にその場で屈んだ。同時にエネルギー源のアーシアを失い、ギュゥゥゥン……と音を挙げ、装置の動きも止まった。
「あらあら大変」
朱乃がすぐさま魔力でアーシアに制服を着させる。リアスが鎧をコンコンと小突きながら訊いてくる。
「よく『
「なんとなくですけど、枷は手首足首に密着状態でしたし、身につけているものの一部としての要領でいけるかなーって。全裸のアーシアを脳内で思いだして、その状態にしたいって真剣に妄想しましたし。たぶん、普通にやったら無理です。禁手状態とブーストバージョンで高めたから成功したんだと思います。グレーゾーンの領域をなんとかクリアした感じかな?」
どうやらイッセーも何となくやったらできたもので、そこまで考えてやったものではなかったようだ。まぁ、その場の思い付きと無意識の頭の回転で事態を切り抜けるのもまたイッセーの才能だが。
「イッセーさん!」
「アーシア!」
アーシアがイッセーに抱き着く。何はともあれ、アーシアが戻ってきてくれて良かった。
「信じてました…。イッセーさんが来てくれるって」
「当然だ。でも、ゴメンなアーシア。辛いこと、聞いちゃったんだろう?」
イッセーの謝罪にアーシアは首を横に振り、笑顔で言ってくれる。
「平気です。あのときはショックでしたが、私にはイッセーさんがいますから」
なんていい子なんだ、彼女は。自分の善意を踏みにじられたというのにここまでの笑顔を浮かべられるとは。
「おかえりなさい、アーシア。言ったでしょう?イッセーならなんとかしてくれると」
「ハイ!アルトリアさんの言う通りでした!」
「アーシア!良かった!うぅ、私はお前がいなくなってしまったら…」
アーシアはゼノヴィアの涙をぬぐいながら微笑む。
「どこにも行きません。イッセーさん、アルトリアさん、ゼノヴィアさん、皆さんが私のことを守ってくれますから」
「うん!私はお前を守るぞ!絶対だ!」
抱き合う親友同士。やはりアーシアとゼノヴィアの友情は美しいものだ。
「部長さん、皆さん、有難うございました。私のために…」
アーシアが一礼すると、皆も笑顔でそれに応えていた。今度はリアスがアーシアを抱き、やさしげな笑顔で言う。
「アーシア。そろそろ私のことを家で部長と呼ぶのは止めてもいいのよ?私を姉と思ってくれていいのだから」
「っ。はい!リアスお姉さま!」
リアスとアーシアが抱き合っている。ここに義姉妹の絆が誕生した。
「良かったですぅぅぅぅぅっ!アーシア先輩が帰ってきてくれてうれしいよぉぉぉっ!」
ギャスパーもわんわん泣き出した。それを小猫がよしよしと頭を撫でているが、彼女の眼にも涙が浮かんでいる。
「そ、そんな。アーシアが……」
「ディオドラ・アスタロト、貴方の妄執もここまでです。貴方は2人の、互いを想い合う真の愛に負けたのです」
「クソ……」
ドラゴンを封じ込めるはずが、全ての目論見を封じられ、ディオドラは項垂れるしか無かった。
「さて、アーシア帰ろうぜ」
「はい!と、その前にお祈りを」
アーシアは天に何かを祈っている様子だった。
「アーシア、何を祈ってるんだ?」
アーシアは恥ずかしそうにそう言った。
「内緒です」
笑顔でイッセーの元へ走り寄るアーシア………!?膨大な魔力反応!場所は、神殿上空!!まさかここを狙って!いやこの精度は狙撃!?
「アーシア!避け」カッ!
突如、視界を眩い何かが襲う。視線を送るとアーシアが光の柱に包まれていた。光の柱が消え去った時、そこには
「アーシア?」
だれも居なかった。
どうか、イッセーさんをずっとお守りください。
そして。
どうか、これからもずっとイッセーさんと一緒に
楽しく暮らせますように
聖女は消えた。悪魔の謀略によって。
だがそれは龍の逆鱗に触れる愚行。そして龍の怒りが爆発する時、千数百年の妄執が動き始める。
「あら、壊れましたか。まぁいいでしょう。アレは上位ドラゴンまでしか封じられない廉価品。最初の鎖はサービスで高品質なものを提供しましたが、あの程度の資金力で力ある龍を封じようなど愚かにも程があります。何よりあの方を……」
「まぁ、データが取れただけでも良しとしましょう。これを基に更なる商品開発に勤しむとしましょうか」
その裏で獣は牙を研ぐ。