疲れが溜まってるのか、ずっと頭が痛い……整体行きたいですね。
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これからも頑張って週1以上の投稿が出来るように努力してまいりますので、ご愛好のほどお願いします。
それでは、第七話どうぞ!
講壇の下にあった地下への階段を降りる四人。地下まで電気が来ているらしく、仄かな明かりがイッセーたちを照らしている。
祐斗が先頭を務め、小猫、イッセー、アルトリアの順に暗い階段を進む。階段を下りると、奥へ続く一本の通路だけが存在した。両脇の壁にはいくつか扉があり、恐らく天使陣営時代から存在する地下室であろう。
「多分、この道の奥…。複数人が集まってる音がするから…」
小猫が道の先を指差して呟く。奥へ進むと、大きな扉が現れる。
「あれか」
「おそらく、奥には堕天使とエクソシストの大群がいると思う。覚悟はいい?」
祐斗の言葉に皆が頷く。ここが決戦の場だと誰もが思っていた。
「わかった。じゃあ、扉を」
祐斗が扉を開け放とうとした時、扉の方が勝手に開きだした。重い音をたてながら、儀式場らしきの内部が見えてくる。
「いらっしゃい。悪魔の皆さん」
その最奥から堕天使レイナーレが言葉をかけてきた。部屋の中にはフリードと同じ格好の男たちがひしめき、全員が光の剣を構えている。そしてレイナーレの隣、奥の十字架に磔にされた少女を見て、イッセーは叫んだ。
「アーシアァァ!」
彼の声に気付き、アーシアがこちらへ顔を向ける。
「…イッセーさん?」
「ああ、助けに来たぞ!」
イッセーが微笑むと彼女は涙を流した。
「イッセーさん……」
「感動の対面だけれど、遅かったわね。今、儀式が終わる所よ」
「なんだと!?」
突然、アーシアの体が光出す。
「…あぁあ、いやぁぁぁぁぁぁッッ!」
「アーシア!」
「!?まずい!」スチャ!
アーシアが絶叫を上げる。アルトリアはレイナーレ達の目的を察し、武器を弓形態に変形させ、儀式を完遂せんとするレイナーレを狙う。イッセーも駆けよらんとしたが、そうはさせまいと神父が取り囲み、攻撃を加える。
「邪魔はさせん!」
「悪魔め!滅してくれるわ!」
「くっ!狙いが!」
「どけ!神父ども!お前らには用はないんだよ!」
バゴ!と大きな音。見れば、小猫が神父の一人を殴り飛ばしていた。
「…触れないでください」
祐斗も闇の剣を抜き放つ。
「最初から最大で行かせてもらおうかな。僕、神父が嫌いだからさ。こんなにいるなら、遠慮なく光を食わせてもらうよ」
彼の目は鋭く、冷徹な意思を感じられた。それに呼応するように闇の剣がどす黒い殺気を発している。
イッセーも籠手で神父を殴りつけ、アルトリアも武器を基本である剣形態に切り替えて応戦する。
「いやぁぁぁぁ…」
しかし、そうこうしているうちにアーシアの体から大きな光が飛び出してきた。それをレイナーレが手につかむ。
「くっ、しまった!」
「これよ、これ!これこそ、私が長年欲していた力!
狂喜に彩られた表情でその大きな光を、レイナーレは抱きしめた。途端に眩い光が儀式場を包み込む。光が止んだとき、緑色の光を全身から発する堕天使がそこにいた。その指にはアーシアの付けていた指輪が嵌められている。
「うふふ。アハハハハハハ!ついに手に入れた!至高の力!これで、これで私は至高の堕天使となれる!私をバカにしてきた者達を見返すことができるわ!」
高笑いするレイナーレ。怒りに燃えるイッセーとアルトリアはアーシアの下へ駆け出す。神父たちが行かせまいと行く手を阻むが、それを祐斗と小猫のフォローで道を切り開いていく。
祐斗の剣が神父の光の剣を食らい、武器を失った神父を小猫が怪力で打倒した。そのコンビネーションは熟練されており、二人の連携が一日二日で築き上げたものではない事を物語っている。
「ありがとう二人とも!」
「助かります!」
祭壇へと辿り着いた2人はトリップするレイナーレを他所にアーシアの救出にかかる。石の十字架に磔にされたアーシアはグッタリしている。直ぐにアルトリアが拘束具を剣で破壊し、イッセーがアーシアの身体を抱き抱えた。
「…イ、イッセーさん…」
「迎えにきたよ。アーシア」
「…はい」
返事をする彼女の声はあまりに小さく、生気を感じさせなかった。イッセーはまだ助かると思っているが、アルトリアは目を伏せる。
「無駄よ」
彼の心中を否定するかのようにレイナーレが冷笑を浮かべる。
「
「なっ!?」
そう、
「っ!なら
イッセーは怒鳴るが、レイナーレは笑うだけだ。
「返すわけないじゃない。これを手に入れるために私は上を騙してまでこの計画を進めたのよ?貴方達も殺して証拠は残さないわ」
「…くそ、夕麻ちゃんの姿が憎いぜ」
イッセーのその一言を聞いて、彼女は高笑いする。
「ふふふ、それなりに楽しかったわよ。あなたとの付き合いわ」
「…初めての彼女だったんだ」
「えぇ、見ていてとても初々しかったわ。女を知らない男の子はからかいがいがあったわ」
「…大事にしようと思ったんだ」
「うふふ、大事にしてくれたわね。私が困ったことになったら、即座にフォローしてくれた。私を傷つけないように。でも、あれ全部私がわざとそういう風にしてたのよ?だって、慌てふためくあなたの顔が可笑しいんですもの」
アーシアの身体を抱き抱えながら心中を吐露するイッセー。その言葉には深い哀しみと、明確な殺意が宿っている。
「…初デート、念入りにプランを考えたよ。絶対にいいデートにしようって思ったから」
「アハハハハ!そうね!とても王道なデートだったわ!おかげでとてもつまらなかったわよ!」
「…夕麻ちゃん」
「うふふ、あなたを夕暮れに殺そうと思っていたから、その名前にしたの。素敵でしょ?ねぇ、イッセーくん」
「ッ!レイナーレェェェェェッッ!!」
「イッセー!奴の言葉に耳を貸してはいけません!ここは一端退きます!」
アルトリアはレイナーレに怒りを向けるイッセーを肩を揺らして正気に戻す。アーシアが危篤状態なこの場で戦うのは分が悪い。今は退いて状況を立て直すのが最善だ。
「アハハハハ!できるものなら、やってごらんなさい!」
「兵藤君、アルトリアさんの言う通りだ!ここでその子を庇いながらでは形勢が不利だ!一度上に上がってくれ!僕たちが道を開ける!さあ、早く!」
祐斗が神父を薙ぎ払いながら言う。イッセーを刺し殺さんと光の槍を向けるレイナーレだが、アルトリアがすぐに槍を叩き落とす。イッセーはレイナーレをひと睨みすると、アーシアを横抱きに抱え、アルトリアと共にその場から駆け出した。
「小猫ちゃん、二人の逃げ道を作るよ!」
「…了解」
二人が邪魔をしそうな神父を薙ぎ倒していく。中には二人の連携をかいくぐって近づいてきた神父もいたが、アルトリアが切り捨て道を開いていく。二人のフォローもあって、イッセーとアルトリアは一気に儀式場の入口まで進むことができた。
「木場!小猫ちゃん!」
「二人とも早く!」
振り向き、未だ敵の渦中で戦う二人に呼び掛ける。しかし二人は尚も戦い続けている。
「先に行くんだ!ここは僕たちで受け止める!」
「…早く逃げて」
「でも!」
「いいから行くんだ!」
「ッ!イッセー、今は彼女が最優先です!」
イッセーもアルトリアも、あの二人の強さはよく知っている。ここで死ぬはずがないと二人を信じ、今は先へ進むしか道は無かった。
「木場!小猫ちゃん!帰ったら、絶対に俺の事はイッセーって呼べよ!絶対だぞ!俺達、仲間だからな!」
イッセーがそれだけを告げる。最後に見た二人はかすかに微笑んでいた気がした。イッセーとアルトリアはその場を後にして、そのまま一気に地下の廊下を駆け抜ける。階段を上りきり、イッセーはアーシアを抱えたまま、聖堂へと出てきた。
「!?アルトリア、アーシアの様子がおかしいんだ!」
イッセーに言われアーシアを見ると、顔が真っ青だった。アルトリアは近くの長椅子に彼女を横にする様にイッセーに言う。
「神器が抜かれ、急速に衰弱しています。恐らくもう長くは……」
「待ってくれよ!もうすぐアーシアは自由なんだ!いつでも遊べるようになれるんだ!」
「…イッセー、さん……」
イッセーの言葉にアーシアが小さく微笑み、彼の手を取った。その手から生気は感じられず、体温も失われつつあった。
「下がって下さい。気休めですが、回復魔術で延命させます」
「私、少しの間だけでも…友達ができて…幸せでした…」
アルトリアからの治療を受けながら、弱々しくもアーシアは微笑む。
「…もし、生まれ変わったら、また友達になってくれますか…?」
「何言ってるんだ!そんな事言うなよ!これからも楽しい所へ連れていくさ!アーシアが嫌がっても連れていく!カラオケにゲーセンにボウリングだって!他にも連れていってやるさ!」
イッセーは涙が止まらなかった。理解できてしまった。この子は、死ぬ。回復魔術を受けても尚、死からは逃れられない。わかっていてもそれを、否定したかった。こんなこと、嘘に決まっていると。
「俺ら、ダチじゃねぇか!ずっとダチだ!ああ、そうさ!松田や元浜にも紹介するよ!あいつら、ちょっとスケベだけどさ、すっげぇイイ奴らなんだぜ!絶対にアーシアの友達になってくれる!絶対だぜ!みんなでワイワイ騒ぐんだ!バカみたいにさ!」
「イッセーの言うとおりです、アーシア・アルジェント!貴女にはまだ居場所があります!ユウトやコネコもきっと貴女を歓迎してくれます、無論私も。貴女はここで死ぬべき人間ではありません!」
アルトリアもまた必死で呼び掛ける。彼女は後悔していた、ここまで慈愛に満ちた、ただの少女を自分は敵として警戒していた事に。もう少し早く気づけていれば、こうなる前に救えたかもしれないと。
「…きっと、この国で生まれて…イッセーさんと同じ学校に行けたら…」
「行こう!俺達の学校に!」
アーシアの手がイッセーの頬を撫でる。
「私の為に泣いてくれる…もう、何も…」
頬を触れている手が静かにゆっくりと落ちていく。
「…ありがとう…」
「あ、アーシア。アーシア!!」
「落ち着いて下さい!!昏睡していますが、彼女はまだ生きています!」
だがそれも長くは無い。このままではゆっくりと死を待つのみだ。しかしまだ、延命する手はある。が、敵地で行うには危険すぎる。しかし時間は無い。アルトリアは覚悟を決めた。
「……イッセー、まだ未完成であまり使いたくはありませんが、彼女の容体を安定させる手があります」
「!?本当か!!」
「ですが、この手を使うと私は戦えなくなる。使う間は貴方が私を守って下さい。そして、彼女の神器を……」
「…分かった。アルトリア、アーシアもお前も俺が守る。絶対、アーシアの神器も取り返す!」
真っ直ぐな瞳。覚悟に燃えるその瞳は、かつてアルトリアが惚れた兵藤一誠その人のものであった。
「分かりました。では、始めます。エムリス、全力で行きます!」
『やる気だね、マイロード。いいとも、君の願いに応えて見せよう!』
「スゥ、ハァァァァァァアアアッ!!」
アルトリアは剣をネックレスに戻すと、全力で魔力を昂らせる。魔力はネックレスへと集まり、そして魔力を吸い取るとネックレスは黄金に輝いた。
『擬似人格停止。魔力供給量、規定値を突破。第二段階、応用限定解除を開始』
普段のエムリスとは違う、機械的な音声。それは擬似人格に使う領域すらも用いた『奇跡』の再演。
ここに再演されるは伝説の武具。かつてアーサー王を守り、傷を癒した理想郷の名を冠せし鞘。しかしその凄まじき加護はない、ただ強力な防御結界と回復魔術以上の治癒能力を付与するだけの、本物とは比べ物にもならない贋作。
しかし贋作なれど、今一時『聖女』の命を僅かの間繋ぎ止めるため、聖剣と共にその力を振るおう。
「真名、再演。今一時、彼方の奇跡をここに。『
ネックレスが金色に輝きながら変形していく。いつもとは違う輝きを放つと、そこには一つの大きな鞘が組み上がっていた。普段アルトリアが使う剣にも似た、SFチックな見た目の鞘。そこから光が放たれ、アーシアの身体を包み込む。
「これで一時的に彼女を守る事が出来ます。ですが長くは保ちません。早く、彼女の神器を……」
「分かってる。今すぐにでもレイナーレの奴をぶっ飛ばして「誰をぶっ飛ばすのかしら?」?!」
2人の後方、地下の階段からレイナーレの声が聞こえた。振り返ると、其処には階段から出てくるレイナーレの姿が。
「見てごらんなさい。ここへ来る途中、下で『騎士』の子にやられてしまった傷よ」
レイナーレが自身の傷口へ手を当てる。淡い緑色の光が発せられ、傷を塞いでいく。
「見て、素敵でしょう?どんなに傷ついても治ってしまう。神の加護を失った私達堕天使にとってあの子の
木場達は無事なのか?気になるイッセーだったが、今はそれどころではなかった。
「堕天使を治療できる堕天使として、私の地位は約束されたようなもの。偉大なるアザゼルさま、シェムハザさま、お二方の力となれるの!こんなに素敵なことはないわ!ああ、アザゼルさま…。私の力を、私の力をあなたさまのために…」
「知るかよ」
イッセーはレイナーレを激しく睨み付ける。
「そんな事、知らねぇよ。堕天使だとか、神様だとか、悪魔だとか…。そんなもの、この子には関係無かったんだ」
「いえ、関係あったわ。この子は
「…それでも、静かに暮らせた筈だ。普通に暮らせた筈だ!」
「出来ないわよ。異質な
「…俺が、アーシアの友達として守った。そんなことはさせない」
「アハハハハ!無理よ!だって、その子はもうじき死ぬ!何かしている様だけど、無駄よ!神器が無いんだから死ぬしか無いの!本当におかしな子!おもしろいわ!」
「………知ってるよ、だから許せないんだ。お前も、俺も――――」
全てが許せなかった。
アーシアを守れない自分が、アルトリアやみんなに頼り切りな自分が。
彼の中に渦巻く感情が、大きなうねりを上げる。神器は想いの力で動き出し、想いの強さに呼応して力を与える。
――――下地は出来た、門はとっくに
「返せよ」
今、赤き龍の帝王が、目覚める。
「アーシアの力を!魂を!返せよォォォォォッッ!!」
『Dragon booster!!』
左腕の神器が動き出し、手の甲の宝玉が眩い輝きを放つ。曲線の多かったデザインから一変、より龍の腕に近い形状へと変化する。そして籠手に龍の紋様が浮かび上がると同時に、イッセーの体を力が駆け巡る。神器をつけている左腕から全身へ、溢れ出す力に身を委ねながら一気に駆け出した。
「多少形が変わったところでなんだっての?おバカな貴方にも分かるように説明してあげるわ。単純な戦力差よ。私が千。あなたは一。この差はどうやっても埋められないわ。たとえ、その
『Boost!!』
宝玉から音声が再び鳴り響く。甲の宝玉に浮かぶ文字が『Ⅰ』から『Ⅱ』へ変わる。
「うおおおおおおおおおお!」
音声のあとイッセーが一気に詰め寄る。しかしレイナーレはまるで舞うかの様に、跳躍して避ける
「へぇ!少し力が増したの?でもまだね!」
イッセーの攻撃は再び避けられる。回避する瞬間、レイナーレは両手に光が集まりだし、槍の形に形成していく。
「下がって下さい!イッセー!」
「おそいわ、食らいなさい!」
ズドンッ!
イッセーの両足を光の槍が貫く。両足の太ももへ鋭く深く撃ち込まれた。
「ぐぁあああああぁぁあぁっ!」
イッセーは絶叫を張り上げた。
「イッセー!?くっ!おのれ、よくもイッセーを!」
「来るな!!」
イッセーを助けんと、反射的に立ち上がらんとするアルトリア。しかしそれを制止し、イッセーはすぐさま光の槍に手をかけた。
ジュゥゥゥゥゥゥ……!
「ぐぅぅぅぅぅあああああああ!」
肉が焼ける音だ。槍を掴むイッセーの手を容赦なく焦がしている。イッセーの手と足からは煙が上がっていた。必死に槍を抜こうとする様子を見て、レイナーレは嘲笑する。
「アハハハハ!その槍に悪魔が触れるなんて愚の骨頂よ!光は悪魔にとって猛毒に等しいわ。触れるだけでたちまち身を焦がす。その激痛は悪魔にとって最大級!貴方の様な下級悪魔では耐えられない!」
「ぬがぁぁっぁぁぁ!」
イッセーは声にならない声を張り上げて、光の槍をいっそう強く握りしめて足から少しずつ引き抜いていく。
「こんなもの!アーシアが受けた苦しみに比べたらなんだってんだよ!!」
「イッセー………」
涙とよだれを垂らしながら、イッセーは槍を少しずつ引き抜いていく。
ずりゅずりゅ…
嫌な音を立てながら、槍は両足から抜かれていく。両足から引き離し、手から落としたとき、光の槍は音もたてず床に触れず宙へ消えた。
どばっ…!
塞いでいたものがなくなったせいか、両足に空いた穴から鮮血が溢れ出す。
『Boost!!』
闘っていない状況でも籠手による強化は止まらない。まだ制御が上手くいっていないのだ
すとん。 体から力が抜け、イッセーはその場でしりもちをついた。アルトリアは歯がゆく思った。いますぐイッセーを助けたい、しかし今自分がやるべきはアーシアの延命だ。ここで戦闘に参加すれば、アーシアの容体が危うい。そもそも『
「……大したものね。下級悪魔の分際で堕天使の作った光の槍を抜いてしまうなんて。でも、無駄。私の光は派手さはないけれど、悪魔に対して殺傷能力が高いわ。光力の濃度が濃いのよ。神父たちの光の刃の素としても機能できるほど。ひとつでも傷を負えば中級悪魔でもそう簡単には治らない。下級悪魔のあなたじゃ、ここまでが限界。ふふふ、光のダメージは甘くみちゃだめなのよ? 特に私の光はね」
「あなたの体の中を光が回り、全身にダメージを行き渡らせる。治療が遅くなれば死ぬわ。いえ、普通なら死んでもおかしくないんだけれど、本当に頑丈ね」
勝ち誇るように自身の特性をベラベラと喋るレイナーレ。もう勝ったと思っているのだろう。だが、アルトリアには分かる。覚醒直後でまだまだ薄いパスだが、二人の繋がりを通じてイッセーの熱い想い、不屈の精神が少しずつ伝わってくる。イッセーはまだ戦える。
その証拠に今もイッセーは全身をガクガク震わせながら、それでも少しずつ上へ立ち上がっている。
「ッ!?嘘よ!立ち上がれる体じゃないのよ!?光のダメージであなたの体は!」
驚愕しているレイナーレ。信じられないだろうが、そんな常識を打ち破るだけの力を彼は備えている。
「よー、俺の元カノさん。色々と今までお世話になりました」
「…立ち上がれるわけがない!か、下級悪魔ごときがあの傷で動けるはずがない!全身を内側から光が焦がしているのよ⁉光を緩和する魔力を持たない下級悪魔が耐えられるはずがないわ!」
「あー、痛ぇよ。チョー痛ぇ。意識も飛びそうだ。でもよ、てめぇへの怒りと憎悪がスゴくてさ、どうにかなっちゃいそうだ」
イッセーは視線を一ミリもずらさず、相手を睨みつける。間違いなく次の一発が最後の一発だ。それを撃てば、蓄積したダメージで確実には倒れる。だから次で決めるんだと、目標から目を逸らさず拳を構える
「なあ、俺の神器さん。目の前のこいつを殴り飛ばすだけの力はあるんだろうな?前にお前を馬鹿にしたコイツにトドメとシャレこもうぜ」
『Explosion!!』
力強い音声と共に宝玉が一層光り輝く。緑色の眩しい光が辺りを照らし出す。だが堕天使の光と違い、この光には安らぎすら感じる。それはアーシアの癒しの光にも似ていた。イッセーは足を前に動かす。足の傷口からドバっと血が出て、床に落ちた。口からも血を吐いている。瀕死の重傷だ。しかしその体から力強い波動を感じる。
やはり、そうだ。私の眼に狂いは無かった。彼こそ今代の……
「…ありえない。何よ、これ。どうして、こんなことが…。その
驚きと恐怖を隠せないレイナーレ。当然だ、あの神器は『
「噓よ!こんなの嘘だわ!わ、私は究極の治癒を手に入れた堕天使よ!?『
レイナーレが光の槍を再び作り出す。それを勢いよくイッセーに投げてきた。しかし飛んできたそれは、横殴りの拳で薙ぎ払われなんなく消し飛んだ。
ありえない事実に、レイナーレの表情はさらに青ざめる。
「い、いや!」バッ!
黒い翼を羽ばたかせ、レイナーレは今にも飛び立とうとしていた。逃げる気だろうが、そうはいかない。
ダッ!!
イッセーは相手が飛び立とうとした瞬間に駆け出した。レイナーレが反応できない程のスピードでたどり着くと、その手を力強く引く。
「逃がすかよ……」
「私は、私は至高の!」
「吹っ飛べ!クソ天使ッ!」
「おのれぇぇぇぇぇぇぇぇ!下級悪魔がぁぁぁぁぁぁぁ!」
「うおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
イッセーは力を解放し、左腕の籠手を憎むべき相手の顔面へ鋭く、正確に真っ直ぐ打ち込んだ!
ゴッ‼︎
派手な音が鳴り響く。拳を顔面に食い込ませたまま、イッセーは力強く押し出した!レイナーレが拳の一撃で後方へ吹き飛ぶ!
ガッシャァァァァァン‼︎
と、大きな破砕音を立てて、堕天使は壁に叩きつけられた。長年放置され、脆くなった壁は見事に壊れ、大きな穴が生まれた。
宙を舞う埃が落ち着いてきた時、レイナーレが吹っ飛んだ先が鮮明になってくる。穴は外まで達しており、堕天使は地面に転がっていた。
動く気配は無い。死んだかどうかまではわからないが、そうそう立ち上がってはこないだろう。イッセーは一矢報いたのだ。
「ざまーみろ」
「やりましたね、イッセー…」
「ああ」
思わず笑みがこぼれるアルトリア。本当に気持ちのいい一撃だった。正に、我が始祖アーサー王に加護を与えし、ブリテンの赤き龍を宿す者に相応しい一撃だった。
「後は奴から…」
「あぁ。アーシアの、
「い、イッ、セー……」フラッ…
しかし、そこまでだった。突然、イッセーとアルトリアの意識が飛んだ。
設定
今回登場した、『
まだまだ荒削りで、本来の第二段階限定解除と比べれば完成度は低いが、彼女の持つ武器の本来の運用方法の一つではある。